連結業績概要 前期比

尾上広和氏(以下、尾上):日頃はお世話になりまして、ありがとうございます。また、本日は大変お忙しい中、弊社の決算説明会にお越しいただき、ありがとうございます。

それでは、2018年3月期の連結業績の概要について、ご説明をさせていただきます。

まず、当期の連結業績の概要につきましては、売上高は各セグメントでの販売が増加したことにより、前期に比べ2.1パーセント増加いたしました。

また、営業利益につきましては、金融市場でのプロダクトミックスの悪化等により、前期に比べ3.7パーセント減少いたしました。

経常利益につきましては、為替差損が減少したこと等により、前期に比べ2.0パーセント増加し、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、法人税等の増加により4.7パーセント減少いたしました。また、EBITDAにつきましては、2.7パーセント減少いたしました。

売上高の変動要因(セグメント別)

続きまして、売上高の変動要因をご説明いたします。

当期の売上高をセグメント別に、前期と比較いたしますと、海外市場はプラス29億7,100万円、金融市場はプラス6億6,900万円、流通・交通市場はプラス5億5,900万円、遊技市場はプラス1億3,600万円、その他はプラス4億4,500万円。全体では、前期に比べ、47億8,000万円の増収となりました。

営業利益の変動要因

次に、営業利益の変動要因をご説明いたします。

増益要因といたしまして、売上高の増加による効果が18億6,100万円ありました。一方、減益要因といたしまして、原価率の上昇による影響が13億4,800万円、販管費の増加による影響が12億6,300万円ありました。この結果、当期の営業利益は前期と比べ、7億5,000万円の減益となりました。

以上で、連結業績の概要に関する説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

セグメント別売上高・営業利益 前期比

熊谷定子氏:熊谷です。よろしくお願いいたします。それでは、連結業績の詳細をご説明させていただきます。

まず、セグメント別の業績につきまして、ご説明いたします。

当期のセグメント別売上高につきましては、先ほど社長の尾上からご説明いたしましたとおり、全セグメントで前期と比べ、増加いたしました。

一方、営業利益につきましては、海外市場、流通・交通市場、遊技市場が前期と比べ増益となりましたが、金融市場、その他については前期と比べ減益となりました。

海外市場

セグメントごとの状況について、ご説明いたします。

まず、海外市場についてご説明いたします。

金融市場向けの窓口用紙幣入出金機「RBGシリーズ」の販売は米国において好調であり、流通市場向けの紙幣硬貨入出金機「CI-100シリーズ」の販売は、欧州において好調でした。

この結果、売上高は前期比プラス2.9パーセントの1,067億5,800万円となり、営業利益はプラス12.8パーセントの111億6,700万円となりました。

地域別売上高

海外市場の地域別売上高につきましては、米州では米国で金融市場向け製品の販売が好調でしたが、流通市場向け製品の販売は商談が延伸傾向であったことから、売上高は前期と比べ減少しました。

欧州では、金融市場向け製品の販売は低調であったものの、ドイツ・フランスを中心に流通市場向け製品の販売は好調に推移し、売上高が増加いたしました。

アジアでは、中国で紙幣整理機や両替機の販売は堅調でしたが、全体として低調となりました。

また、OEMは、ATM用紙幣ユニットの販売が低調でした。

各地域の現地通貨ベースの伸び率は、右の列に示しているとおりです。

金融市場

続きまして、金融市場をご説明いたします。

金融市場では、主要製品である「オープン出納システム」の販売は、コンパクトタイプの販売が前期の大口需要の反動により、売上を落としました。

また、窓口用紙幣硬貨入出金機の販売は、更新需要を捉えて好調でした。

この結果、売上高はプラス1.3パーセントの539億7,000万円となり、営業利益につきましては、「オープン出納システム」の販売減によるプロダクトミックスの悪化等により、マイナス37.9パーセントの40億4,300万円となりました。

流通・交通市場

続いて、流通・交通市場です。

主要製品であるレジつり銭機の販売は、前期並みに推移いたしました。

警備輸送市場向け売上金入金機の販売は、前期と比べ低調でしたが、多能式紙幣両替機の販売は好調でした。

この結果、売上高はプラス1.3パーセントの432億1,600万円となり、営業利益につきましては、プラス9.2パーセントの34億7,600万円となりました。

遊技市場

次に、遊技市場です。

主要製品であるカードシステム等の販売は、規則改正の影響を受け売上を減らしましたが、当期より販売を開始した、遊技動向分析システム「遊動」の販売は、好調でありました。

この結果、売上高はプラス0.7パーセントの205億7,000万円となり、営業利益につきましては、プラス80.6パーセントの13億3,100万円となりました。

その他

最後に、その他の事業につきましては、顔認証システムの販売及びその他の商品の販売が、ともに堅調でした。

この結果、売上高はプラス18.5パーセントの28億4,500万円となり、営業利益につきましては、4億3,000万円の営業損失となりました。

四半期毎のセグメント別売上高

当期のセグメント別売上高と営業利益を、四半期毎にまとめてみますと、当期においても第4四半期に収益が高まる結果となりました。

セグメント別売上高・営業利益 予想比

続きまして、セグメント別売上高・営業利益の、予想との比較です。

売上高につきましては、金融市場以外のセグメントは予想を下回り、全体で3.3パーセントのマイナスとなりました。

また、営業利益につきましては、海外市場とその他がプラス、金融市場、流通・交通市場、遊技市場はマイナスとなり、全体で6.6パーセントのマイナスとなりました。

設備投資他

次に、設備投資他です。

設備投資額につきましては、プラス8.2パーセントの87億600万円。減価償却費につきましては、マイナス0.2パーセントの94億5,000万円。研究開発費につきましては、プラス1.1パーセントの141億1,900万円となりました。

損益計算書・包括利益計算書

続きまして、連結損益計算書・包括利益計算書につきまして、ご説明いたします。

売上高から営業利益までのご説明は、営業利益の変動要因と内容が重複しますので、割愛させていただきます。

営業外損益につきましては、為替変動に伴う営業差損の21億2,400万円が発生したこと等により、経常利益は175億5,300万円となりました。

また、特別損益につきましては、主だったものが発生しなかったため、税金等調整前当期純利益は175億3,800万円となり、法人税等を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は、98億9,200万円となりました。

貸借対照表 前期末比

次に、貸借対照表です。

資産の部では、Talaris Topco Limited社の買収によるのれん等が減少したため、無形固定資産は前期末に比べ、86億6,900万円減少いたしました。

また、負債の部では、短期・長期ともに借入金の返済が進み、有利子負債は前期末に比べ、124億5,700万円減少いたしました。

キャッシュ・フロー計算書 前期比

続きまして、キャッシュ・フロー計算書です。

営業活動によるキャッシュフローと投資活動によるキャッシュフローを合わせたフリーキャッシュフローは、前期末と比較して174億7,900万円減少し、59億7,600万円となりました。

財務活動によるキャッシュフローにつきましては、235億7,400万円のマイナスとなり、現金及び現金同等物の当期末残高は前期末と比較して146億7,500万円減少し、623億7,500万円となりました。

2018年3月期の配当について

次に、配当の状況です。

2018年3月期の期末配当金は、1株当たり(の配当金の)31円に、創業100周年の記念配当20円を加え、51円を予定しております。

中間配当金の31円を加えた年間配当金は82円となり、連結配当性向は52.6パーセントとなる予定です。

また、配当金総額と自己株式取得金額を合計した総還元性向は、113.1パーセントとなる予定です。

以上で、2018年3月期の連結業績の詳細に関する説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

ビジョン

尾上:それでは、去る(2018年)4月2日に発表いたしました「長期ビジョン2028」と、その礎を築く「2020中期経営計画」につきまして、ご説明いたします。

まず、「長期ビジョン2028」につきまして、ご説明いたします。

当ビジョンは、今後10年間に起こりうる社会的課題や、テクノロジーの進化を世界規模で予測した上で、10年後の当社グループのありたい姿として、打ち出しました。

グローリーグループ全員で長期ビジョンを共有し、さらなる成長に向けて一丸となって、前に進んでいきたいと思っております。

新たなビジョンは、「人と社会の『新たな信頼』を創造するリーディングカンパニーへ」となっております。

世界中の誰もが望む安全、安心、確実な社会。安全でシームレスな決済手段や、あらゆるシーンで自分自身であることを瞬時に証明する仕組みなど、未来の社会には「新たな信頼」が求められております。

私たちグローリーは、あくなきチャレンジ精神と、通貨処理の枠を超えた先進の技術により、その未来を実現し、お客さまとともに「新たな信頼」を創造するリーディングカンパニーを目指すという想いを込めております。

メガトレンド

長期ビジョン策定にあたり、弊社では5つのメガトレンドに着目いたしました。

1つ目は、決済手段の多様化です。デジタル化の波は通貨領域にまで影響を及ぼすものの、通貨流通量は新興国を中心に今後も増加しますが、一方、仮想通貨を始めとするFintechの市場は、今後大きく拡大するとも見込まれます。

2つ目は、新興国を中心とした人口増と経済発展です。2030年にかけて、中国を除くアジア・アフリカで人口が増加し、インドを始めとする新興国や中国の経済水準が急速に高まり、先進国の所得水準に近い人口が増加することが、予想されております。

3つ目は、テクノロジーの進化です。AI・ロボットが進化し社会に浸透するとともに、金融機関や流通業界においても、機械に代替される仕事が拡大することが予想されております。

4つ目の安心、安全に対する意識の拡大では、世界におけるテロの発生件数は増加し、技術の進展に伴い、サイバーテロ等が急増することが予想されております。

5つ目の、日本の高齢化・人口減少に伴う課題解決先進国化では、先進国でもっとも高齢化が進む日本では、他国に先駆けた課題解決が求められるようになると、予想されております。

目指す規模感と事業ドメインの目指す姿

「長期ビジョン2028」では、目指す事業領域といたしまして、従来の通貨処理事業に加え、通貨流通・決済・個体認証・自働化社会の、4つの新事業領域の創造を推進いたします。

新事業領域の1つ目の通貨流通の信頼では、新たなキャッシュサイクルの実現による現金物流コストの削減や、誰もが真贋を疑うことなく安心して通貨が利用できる環境の構築など、新たな管理スキームの構築を実現します。

2つ目の決済の信頼では、店舗でのレジレス決済や、都市部以外でも容易にキャッシュレス決済が導入できる環境の構築など、多様な決済手段を提供いたします。

3つ目の個人の信頼・個体認証では、生体・画像認識技術を用いた統合セキュリティサービスなど、子どもから高齢者まで、誰もが安心して生活できる「見守り社会」を提供いたします。

最後に、ロボットと人が協調した社会の信頼では、ロボット・SI事業を始め、多様な領域で人と協調するロボットの提供により、生産性の向上に寄与します。

事業領域の拡大により、これまで築いた信頼に加え、新たな信頼を創造する企業を目指します。

ステップ毎の目指す姿

「長期ビジョン2028」は、3つのステップを経た目標達成を目指しております。

今期から2020年度までの3ヶ年は、新たな信頼創造に向けた仕込みの期間として、位置付けております。

次の3ヶ年は、グローバル展開に向けた事業基盤の確立に取り組みます。

最後のステップは、新たな事業が収益に大きく貢献すると見込んでおります。最終年度には、売上高で5,000億円を目指しております。

2017中期経営計画

それでは続きまして、「長期ビジョン2028」に向けたファーストステップとして取り組む、「2020中期経営計画」について、ご説明をいたします。

まず始めに、2015年度から2017年度までの3ヶ年にわたって取り組んだ「2017中期経営計画」について、ご説明をいたします。

「2017中期経営計画」は、長期ビジョン達成に向けた「顧客起点のモノづくり」による事業成長と収益性向上を基本方針に掲げ、業績目標を、連結売上高で2,600億円、連結営業利益で280億円、海外売上高比率で50パーセント以上、ROEで8パーセント以上の達成を目指し、事業戦略・機能戦略・企業戦略の各戦略を実行してまいりました。

2017中期経営計画 総括

残念ながら、連結売上高・営業利益・営業利益率・ROEともに、厳しい結果となってしまいました。

主な要因といたしましては、海外市場では欧米でのリテール市場の開拓により、販売は拡大いたしましたが、中国及び新興国などの販売が低調に終わりました。

国内事業では、新規顧客の開拓や更新需要を確実に獲得し、主要製品の販売拡大や顔認証システムを活用したセキュリティ分野への進出など、事業領域の拡大を図りましたが、遊技市場における市場環境の変化等により、販売が減少いたしました。

その他、機能戦略・企業戦略につきましても、技術のプラットフォーム開発や生産の自働化推進など、さまざまな施策を展開してまいりましたが、全体といたしましては、収益面において課題が残る結果となってしまいました。

セグメント別 総括(目標対比)

事業別の業績について、もう少し詳しく申し上げます。

まず、海外市場ですが、米州では金融機関向け製品の販売は拡大いたしましたが、リテール市場向けの販売が伸びず、計画を下回りました。

また、欧州では、リテール市場向け製品の販売が拡大しましたが、金融市場向け製品の販売が伸びず、計画を下回っております。

アジアでは、直販・直メンテナンス体制の強化に取り組みましたが、経済の停滞や中国での市場環境の変化等が影響し、販売が低調でした。

最後に、OEMでは、ATMの市場環境が変化する中、新製品のATM用紙幣入出金ユニットの販売は増加しましたが、従来製品の販売が減少したことから、計画を下回っております。

一方、国内市場では、金融市場は更新需要の確実な獲得や、新規顧客の獲得を推進した結果、オープン出納システムや窓口用紙幣硬貨入出金機の販売が拡大しました。

流通・交通市場では、主要製品のつり銭機の販売は、新規顧客の獲得や更新需要を確実にとらえ、順調に拡大いたしましたが、その他の製品販売は低調でした。

遊技市場では、遊技台に関する規制などの影響により、主要製品のカードシステムの販売が伸び悩みました。

以上で、「2017中期経営計画」の総括に関する説明を終わらせていただきます。

外部環境

続きまして、前中期経営計画の結果も踏まえ、「長期ビジョン2028」に向けたファーストステップとしての、2018年度~2020年度までの3ヶ年を計画期間とした「2020中期経営計画」につきまして、ご説明をいたします。

今回、「2020中期経営計画」の策定にあたり、当社では国内外の事業環境を次のとおりに予想しております。

海外では、ドル・ユーロなどの主要国の通貨流通量は増加傾向にあります。また、日本と比べて通貨処理機の導入率が低い海外では、機械化の需要はさらに高まると予想しております。

また、キャッシュレスにつきましては、ゆるやかに進むととらえております。

一方、国内では、決済手段の多様化や働き方改革による生産性向上に向けて、より一層の機械化が進むものと予想しております。

また、キャッシュレスにつきましては、経済産業省のキャッシュレスビジョンによりますと、「2025年までにキャッシュレス決済比率を40パーセント以上にする」という目標を掲げており、電子マネーなどを利用した小額決済は、ますます拡大すると予想しております。

2020中期経営計画のポイント

このような外部環境を踏まえ、「2020中期経営計画」を策定いたしました。本計画のポイントは、3つでございます。

1つ目は、通貨処理事業のさらなる深化を図り、販売拡大を目指す。2つ目は、新事業ドメインの推進と新たなビジネスチャンスを創造する。3つ目は、既存事業及び新事業への積極的な戦略的投資を実行する。以上となります。

2020中期経営計画①

「2020中期経営計画」の位置づけといたしましては、長期ビジョンの実現に向けた仕込みとし、強固な基盤を築いてまいります。

「2020中期経営計画」の業績につきましては、連結売上高を2,600億円、連結営業利益を250億円、営業利益率を9.6パーセントとしました。

また、経営指標につきましては、ROE8パーセントに、再度チャレンジをいたします。

2020中期経営計画②

次に、「2020中期経営計画」の基本方針です。

方針1の「持続可能な事業運営の基盤づくり」では、既存事業である海外事業・国内事業のさらなる深化を図り、通貨処理機事業の販売拡大を目指します。

方針2の「社会課題解決に向けた協働の取り組み強化」では、新事業ドメインの推進及び新たなビジネスチャンスの創造を目指します。

方針3の「成果に直結する生産性の向上と企業体質の強靭化」では、働き方改革や業務改革による生産性の向上、オープンイノベーションを実現するための組織風土改革等を積極的に進めて、邁進してまいります。

また、中期経営計画の達成に向けての組織体制として、海外事業は迅速な意思決定を実現するために、事業制からカンパニー制へ移行しております。

国内事業では、地域戦略を強化するために、支店運営の見直しを図りました。

新事業につきましては、新事業ドメインの推進と新たなビジネスチャンスを創造するために、ビジネスイノベーションセンターを新設いたしました。

セグメント別業績目標

セグメント別の業績目標につきましては、2020年度に、海外市場が1,320億円、金融市場が500億円、流通・交通市場が470億円、遊技市場が240億円、その他は70億円といたしました。

海外事業では、年平均でプラス7.4パーセントの事業成長率を見込みます。2017年度に比べ、プラス23.7パーセントの成長を目指します。

国内事業では、年平均でプラス2.0パーセントの事業成長率を見込み、2017年度に比べ、プラス6.1パーセントの成長を目指します。

海外事業戦略

次に、各方針についてご説明いたします。

まず、方針1の持続可能な事業運営の基盤づくりですが、海外事業では、事業戦略を「セルフオペレーション化による金融事業の再成長とリテール事業のさらなる加速」とし、地域ごとに重点施策を展開してまいります。

まず、欧州・米州においては、金融市場では窓口用紙幣入出金機(TCR)の浸透率の向上及びセルフ市場の開拓、リテール市場では、バックオフィス市場の拡販強化とフロント市場への参入を推進してまいります。

次に、アジアでは、金融市場で窓口用紙幣入出金機の販売拡大、リテール市場では高度成長期待国への投資を進めてまいります。

最後にOEMでは、販売チャネルの強化によるATMユニットの販売拡大を推進いたします。

国内事業戦略

国内事業戦略につきましては、「市場変化に柔軟に対応したソリューション提案の推進」とし、とくに次世代店舗スタイルの実現、非現金事業分野の拡大を目指します。

金融市場では、次世代店舗スタイルを実現する製品の販売拡大、主要製品の裾野拡大に取り組みます。

流通・交通市場では、レジつり銭機のシェア拡大、非現金事業分野の販売拡大を推進します。

遊技市場では、ソリューション提案の強化による収益の拡大を推進いたします。

機能別戦略

また、機能別戦略につきましては、「市場環境の変化、顧客ニーズに応える機能強化の実現及び収益構造の改善」としました。開発分野では、コア技術の深化及びシステム対応力の強化。品質保証分野では、海外品質保証体制の充実。生産分野では、自働化など生産性の向上による利益の追求。調達分野では、グループ一体での購買・検査機能の推進といたしました。

新事業ドメインの推進

次に、方針2の、社会課題解決に向けた協働の取り組み強化について、ご説明をいたします。

この方針は、「長期ビジョン2028」で掲げた4つの新事業の推進です。

1つ目の「通貨流通の新たな管理スキームの構築」では、新たなキャッシュサイクルの実現を目指します。現時点ではビジネスモデル特許などの問題もあり、具体的な事業内容については申し上げられませんが、例えば銀行口座保有率が低い新興国などで、支払いや送金ができる仕組みなどを考えております。

(2つ目の)「多様な決済手段の提供」では、決済手段の多様化の実現に向けた、サービスインフラの強化を推進いたします。弊社が保有する情報処理センターのさらなる強化・拡大なども、その一環でございます。

(3つ目の)「個体認証事業の確立」では、オープンイノベーションを推進し、生体認証技術を用いたセキュアなソリューションを提供できる体制を目指します。ビッグデータやAIを使った、BtoBtoCを意識した新たなビジネスモデルの創造に挑戦いたします。

(4つ目の)「自働化社会の推進」では、ロボットSIサービスの提供による、ロボットと人との協働環境の実現を推進し、ロボットと人が協働できるさまざまなシーンを提供いたします。

新たなコア技術の獲得

そして、これらの新事業ドメインを創造する根幹として、既存のコア技術に加え、新たなコア技術として、多種多様な情報を適切に分析・活用する「データアナリティクス技術」の獲得を目指します。

また、オープンイノベーションを推進し、システムエンジニアリング技術の補完・強化も推し進めてまいります。

経営基盤の強化

続きまして、方針3の、成果に直結する生産性の向上と企業体質の強靭化につきましては、働き方改革・業務改革による生産性の向上。また、オープンイノベーションを実現するための、組織風土改革を進めてまいります。

投資計画

「2020中期経営計画」の投資計画につきましては、既存事業及び新事業への戦略的投資枠(M&A)として、最大600億円。また、設備投資計画では、3年間で総額300億円の投資を計画し、開発投資計画は、2020年度の連結売上高研究開発比率の目標を、5.5パーセントといたしました。

株主還元

最後に、株主還元につきまして、ご説明をいたします。

「2020中期経営計画」の利益配分に関する基本方針は、「2017中期経営計画」の方針を踏襲し、連結配当性向で30パーセント以上を目標に、配当を実施させていただく予定でございます。

なお、自己株式の取得につきましても、従来どおり今後の事業展開・投資計画・内部留保の水準・業績動向等を総合的に勘案し、検討してまいります。

以上で、「2020中期経営計画」の説明を終わらせていただきます。

2019年3月期 業績予想

続きまして、2019年3月期の連結業績予想につきまして、ご説明をいたします。

売上高は前期比プラス5.6パーセントの2,400億円、営業利益は前期比プラス2.0パーセントの200億円、経常利益は前期比プラス13.9パーセントの200億円、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前期比プラス21.3パーセントの120億円を予想しております。

セグメント別売上高・営業利益

セグメント別売上高・営業利益の予測につきましては、売上高・営業利益ともに、遊技市場とその他以外のセグメントでは、増収増益を予想しております。

セグメント別売上高・営業利益(半期)

半期ごとのセグメント別売上高・営業利益につきましては、売上高は上期・下期の比率が47:53、営業利益につきましては上期・下期の比率が35:65で推移することを予想しております。例年よりも、下期の割合が増加することを見込んでおります。

海外地域別売上高

海外地域別売上高の予想につきましては、米州では米国の金融市場での堅調な需要や、流通市場向け製品の販売増を見込んでおります。

欧州では引き続き、流通市場向け製品の販売が業績を牽引することを予想しております。

アジアでは、主要国での金融市場向け製品の販売増を見込んでおります。

OEMは、ATMユニットの販売が厳しいことを予想しております。

設備投資他

設備投資他の予想では、設備投資につきましては、前期比プラス14.9パーセントの100億円。減価償却費につきましては、前期比プラス5.8パーセントの100億円。研究開発費につきましては、前期比マイナス0.8パーセントの140億円を予想しております。

以上で、2019年3月期の業績予想に関する説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。