平成29年3月期決算説明会

山口均氏:本日は大変お忙しいなか、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。私は菊水化学工業株式会社代表取締役社長の山口均です。

平成29年3月期決算説明会を管理本部の稲葉、経営企画室の中原の3名でさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

本日ご説明させていただきます内容は、まず(1つ目は)当社グループの状況として会社概要や当社を取り巻く環境などについて。

2つ目は平成29年3月期の業績報告について。3つ目は平成30年3月期の業績予測について。以上です。

まず、当社グループの状況として会社の概要や当社を取り巻く環境などについてご説明させていただきます。

1.菊水化学工業グループの状況≪会社概要≫

当社は名古屋証券取引所と東京証券取引所の2部に上場しております。

主な事業は建築塗料の製造販売と工事です。愛知県名古屋市で昭和34年に創業し、現在の資本金は約19億7,000万円、従業員は2017年3月期末現在、447名です。

遠山昌夫が創業し、1988年に名古屋証券取引所2部に上場、2005年工事事業の拡大のため住宅事業部を新設し、2010年無機セメント事業の拡大のため日本スタッコを子会社化。

2014年12月16日東京証券取引所2部に上場、2015年菊水加工(上海)有限公司を連結対象としました。

また、同年に菊水香港有限公司、菊水建材科技(常熱)有限公司を設立。2016年台湾菊水股份有限公司を設立、2016年3月より3社も連結対象としました。以上が2017年3月末現在の当社グループの会社概要です。

≪経営理念≫

当社の経営理念は、「1.みんなのために 2.よりよい商品3. ゆたかな愛情」を社是とし、社会性、科学性、人間性を追求し、売上利益のみならず環境との調和を図ることを基本にしております。

この理念をもとに市場の変化を迅速に捉え、その対応を明確に行うことで顧客、株主と利益先および従業員に必要とされる企業の存在があると考えております。

≪事業内容≫

当社グループの事業内容は5つです。

塗料の製造・販売と特殊工事を行う「汎用塗料事業」、住宅メーカーとの連携を主とした戸建住宅塗替え工事を行う「住宅事業」、海外への輸出、海外子会社において塗料を製造・販売する「海外事業」、コンクリート構造物の維持・修繕をする製品の製造・販売する「無機セメント事業」、外壁パネルなどのライン製造企業へ塗料の製造・販売をする「工業用塗料事業」、以上が当社グループの事業です。

≪当社を取り巻く環境①≫

当社を取り巻く建設業界についてはご覧のとおりです。

建設投資につきましては、平成4年度の84兆円をピークに減り続け、平成22年度には42兆円と約半分にまで落ち込みました。

その後、平成24年度からは東日本大震災からの復興等もあり回復傾向となり2年連続で増加しましたが、以降は横ばいで推移しています。こうした市況のなかですが、建設投資に占める改修の割合は上昇傾向にあります。

平成28年度の投資額は約11兆円で約21パーセントを占めています。

≪当社を取り巻く環境②≫

塗料業界における塗料の生産量推移はご覧のとおりです。この塗料とはご覧いただいている円グラフでご確認いただけるとおり、建物、船舶、車両、工業などを含む塗料全般を示しています。

そして当社製品の需要は主に建物です。戦後順調に成長を続けてきた塗料工業でしたが、平成2年度の220万トンをピークに下降傾向となり、平成21年の世界同時不況の影響で大きく減少しました。その後、平成24年度からは、東日本大震災前の水準の160万トンに戻し推移しています。

≪当社を取り巻く環境③≫

建築用仕上塗料における製品出荷量の推移はご覧のとおりです。建築用仕上材とは、砂壁状、土壁状、凹凸状、さざ波状などテクスチャーがつけられる各種塗料になります。

平成28年の建築用仕上塗材の出荷量は、前年比5パーセント減となりました。平成28年度の新設住宅着工戸数は97万4,000戸の前年比5.8パーセント増で2年連続で伸びましたが、新設住宅での建築用仕上塗材は少なく、着工数の増加が需要の拡大には結びつきません。

しかし需要が多い戸建改修分野の減少により、出荷量は減少となっています。左官材料・補修材料の出荷量は平成22年度を底に緩やかに上昇し、ここ数年は前年比の増減を繰り返しています。

≪当社を取り巻く環境④≫

建築塗装工業の市場規模はご覧のとおりです。業界紙では建築塗装工事の市場規模を約1兆9,000億円と推計しております。

平成27年度の内訳では、新設3,100億円、構成比率16.3パーセント、低層住宅塗替3,700億円、構成比率19.4パーセント、マンション大規模修繕3,900億円、構成比率20.5パーセント、非住宅塗り替え8,300億円、構成比率43.6パーセント、市場規模の80パーセント以上を改修・塗替工事が占めております。

塗料メーカーの製品展開においても戸建住宅の塗り替えを中心とした町場需要向け新製品の発売が活発であります。

しかし2,600万戸ともいわれる莫大なストックを抱える戸建住宅は、シリコン自主塗料が主流となり、汎用化の構図にはまり他との優位性が得られません。

このため他社との差別化製品、ワングレード上の製品展開が加速しています。このような市場において当社の建築用塗料販売シェアは、業界紙によりますと平成27年度は6パーセントの業界4位となっております。

2.平成29年3月期業績報告について≪業績報告≫

それでは、平成29年3月期連結決算の内容についてご説明させていただきます。

売上高は205億1,100万円、前期比6.6パーセント減。売上原価154億5,800万円、前期比5.7パーセント減。営業利益2億1,300万円、前期比62.7パーセント減。経常利益2億8,700万円、前期比53.9パーセント減。親会社株主に帰属する四半期純利益2億900万円、前期比46.6パーセント減となりました。

≪業績分析≫

当連結会計年度において、戸建て住宅以外の市場をもターゲットとして、「下地から仕上げまで」のオールラウンドプレーヤーとしての総合塗料メーカーを目指すため従来の当社ラインアップを一新し、商品の統合を合理化として新商品の開発を継続して実施しました。

当社が連携しています住宅メーカーからの工事受注におきましても一昨年市場に投入した業務用高付加価値製品が軌道に乗り、顧客の皆様より堅調なご指名をいただくことができました。

しかし、不正競争防止法違反の疑いによる影響が予想以上に大きく、消費税駆け込み需要の消失。また、全国的な天候不順による工事着工および完成の遅れ。

戸建住宅改修費用の低迷、首都圏での特殊工事受注での苦戦。当社商品ラインアップの一新途中および新商品の市場への浸透不足などが売上高に影響しました。

また、全体的なコスト削減を推進してまいりましたが、商品構成の変化による原価率の上昇。特殊工事の競争激化による工事原価率の上昇などから売上原価率は前年74.6パーセントと比べ0.7パーセント増加し、営業利益に大きく影響しました。

≪年度別売上推移≫

平成29年3月期の業績を含む平成18年3月期からの年度別推移はご覧のとおりです。

3.平成30年3月期業績予測について≪業績予測≫

それでは平成30年3月期連結業績予測についてご説明させていただきます。

売上高228億6,000万円、前期比11.4パーセント増。売上原価171億5,200万円、前期比11.0パーセント増。営業利益4億3,100万円、前期比102.1パーセント増。経常利益4億5,500万円、前期比58.6パーセント増。親会社株主に帰属する四半期純利益、2億7,000万円、前期比28.9パーセント増となります。

≪中期経営計画の推移≫

中期経営計画の最終年度である平成30年3月期の業績予測を含む3ヶ年の推移はご覧のとおりです。

1.菊水化学工業グループの状況≪目指すポジション≫

当社が目指すポジションについてご説明させていただきます。当社は下地調整材と仕上材の両方を幅広く揃えられる業界唯一のメーカーです。

各業界でもワンストップ化が進むなか、建築仕上業界で唯一、「下地から仕上げまで」の製品をワンストップできるメーカーとして製品の品種・品質共に強固なものとして建築塗料業界、建材・左官業界の各社が追従できないポジションを目指します。

≪国内販売戦略①≫

国内販売戦略についてご説明させていただきます。

当社は総合塗料メーカーへの変革を目標に戸建住宅の市場を中心に主力製品の展開を進めてまいりましたが、平成29年度より戸建住宅に加え、集合住宅、ビル、マンション、学校、病院さまざまな建物用途など、幅広い市場をターゲットに下地から仕上までのオールラウンドプレーヤーとしての総合塗料メーカーを目指しています。

それに伴い従来の当社商品ラインアップを一新し、商品の統合、合理化と新商品の展開を図り、オールラウンド商品として整備が完了しています。

また、高付加価値商品として塗り替え市場で汎用化が進むシリコン樹脂塗料のワングレード上に高級シリコン樹脂塗料「キクスイロイヤルセレクション」、他社との差別化としてさらにグレードを上げた「フッ素セレクション」の整備も完了しています。

平成29年3月期の業績においても商品ラインアップを一新した商品群は前年比17パーセント増となりました。平成30年3月期において市場への認知、浸透も済さらなる期待もあり、前年比20パーセント増プラスアルファを予測しています。

商品ラインアップの一新を図り整備が完了した弱溶剤塗料の「キクスイSPシリーズ」、水系塗料の「水系ファインコートシリーズ」、計20品目になります。

高級シリコン塗料として整備が完了した「キクスイロイヤルセレクション」、計10品目になります。

商品ラインアップの一新を図った合計30品目は戸建住宅から、集合住宅、ビル、マンションなどさまざまな建物にオールラウンドで対応できるようになり、他社との差別化、営業効率のアップ、製品在庫の削減など、売上利益に貢献する商品として整備されています。

≪国内販売戦略②≫

国内販売戦略の2つ目についてご説明させていただきます。

顧客ニーズ、業界ニーズに対応すべく当社は、「下地から仕上げまで」の総合塗料メーカーをめざす経営方針を推進するために愛知県瀬戸市に新工場を建設中です。

新工場においては最新設備による高い生産性を通じて顧客満足の向上を目指しております。

竣工は今年7月を予定しております。生産品目は先ほどご紹介いたしました「キクスイSPシリーズ」を含む弱溶剤塗料を製造いたします。

平成29年3月期の弱溶剤製品の出荷総額は「キクスイSPシリーズ」が整備されたこともあり、前年比20パーセント増となりました。

平成30年3月期の予測では、一新した各種製品の認知、浸透が進んだことと新工場が稼働することで、前年比30パーセント増プラスアルファを予測しています。

≪国内販売戦略③≫

国内販売戦略の3つ目についてご説明させていただきます。

当社の強みであり目指すポジションでもある「下地から仕上げまで」をさらに普及させるために「2017リノベーションケミカル―キクスイからの提案―」 と題し、全国8拠点、北海道、東北、関東、中部、近畿、中四国、九州、沖縄を中心に6月より商品説明会を実施します。

さまざまな改修パッケージプランの提案と新商品を発表します。

≪海外事業≫

最後に海外事業についてご報告します。当社は中国事業を展開するなか、合弁会社菊水建材科技(常熟)有限公司を設立し、工場建設に着手しておりましたが、2017年5月16日に開業いたしました。

生産品目は建築塗料、塗材になり、初年度の生産塗料は22,400トンを見込んでいます。この新工場稼働は中国事業展開において売上、利益に寄与する重要な拠点として期待をしております。

以上、平成29年3月期決算のご説明をさせていただきました。