Yahoo!ファイナンス投資の達人が語る「これからの株式投資」

田中雅大氏(以下、田中):本日はお越しいただき、ありがとうございます。ファシリテーターを務めさせていただきます、ペロンパワークスの田中と申します。

いつもは紙媒体で株式コンテンツを作っていて、中原さんにはいつもご協力をいただいています。今回はそのご縁で登壇させていただきました。本日はよろしくお願いします。

中原良太氏(以下、中原):よろしくお願いします。

田中:まずプロフィールからご紹介しましょう。中原さんといったら、みなさん「Yahoo!ファイナンスの投資の達人」に予想を出しているイメージがけっこう強いのかなと思います。さらにシステムトレードにも詳しく、ご自身で売買戦略を構築されています。

システムトレード自体株式ではまだ珍しいと思うのですが、どうやってシステムトレードと出会ったかについても伺いたいと思います。

中原:そうですね……ちょっとシストレはマニアックな話になっちゃうんですけど。今、僕は26歳なんですけど、この会場に僕より若い人はいますかね?

(会場挙手)

中原:あ、いらっしゃる。なかなか出会わないんですよね。いつも前に立ってるくせに、僕が一番若い、みたいなことが多いんですけれども。

僕が株式投資を始めたのは大学1年生の夏休みでした。当時、大学生になりたてでお金がない。ただ、サークルなどでいろいろ活動しているなかで、「お金がほしい」という葛藤があったわけです。

時給800円とか900円とかでいろいろなアルバイトで働いてみて、「時間をかけてやっても大してお金が入らないな」「もっとお金がほしいな、どうやればいいんだろうな」と思っていたところで、サークルの同期に株式投資をやっていた友人がいて、そいつに教えてもらって始めたというのが最初です。

田中:大学生で株式投資デビューって一般的には早いですよね?

中原:そうですね。あんまり仲間はいなかったですね。

大学時代に感じた株式投資の恐怖

田中:(株式投資を)始めて、滑り出しとしてはどんな感じだったんですか?

中原:この会場にいらっしゃるみなさん、株式投資経験者だと思うんですけど、一番最初に株を買うときって、ものすごく緊張しませんでした? 例えば「5,000円で100株買います」といって発注ボタンを押したら、その瞬間に50万円分のお金が株につぎ込まれると。

田中:ちょっとねえ。

中原:手が震えちゃって。

田中:がんばって小遣いを貯めてたのに、みるみる減っていくみたいなことですよね。

中原:アルバイトで貯めたなけなしの5万円から始めたんですけど。1ヶ月かけてがんばって貯めた5万円が一瞬にして4万円になったりするので、「怖っ!」て思いながら始めました。

一番初めは、せっかくだったらその分野の世界一から学ぼうということで、ファンダメンタルズ分析ですごく有名なウォーレン・バフェットの投資法を真似してみようと、彼に関わる本を読みまくって勉強したという記憶はあります。

田中:勉強して、ちょっと負けたけれども、挫けずに勉強し続けたと。

中原:当時、僕が株式投資を始めた直後の時期は2009年だったんですよね。

田中:ああ……リーマン・ショック後の。(景気が)戻ってきたぐらいですかね。

中原:そうですね。あの時期はどの株を買っても上がったんですよ。だから運良く利益が出たという感じですね。

ただ、出た利益も実力じゃないという気はしていて、なんとなくよさそうな株を買って、なんとなく利益が出て、運か実力かもわからない状態で、「ちょっとお金が増えた」みたいな(笑)。

田中:そのときはまだ、普通に材料を見て、裁量取引をやっていたんですよね。

中原:材料はぜんぜん見てなくて、決算書を見ていました。

田中:今とはまったく違う、システムトレードではないやり方で?

システムトレードを始めたきっかけ

中原:そうですね。システムトレードを始めたきっかけというのが、あまり大きな声では言えないんですけれども……。株式投資を始めると、怪しい勧誘が増えるんですよね。

例えば、「このDVDを50万円で買いませんか?」みたいな。それに見事に引っかかってしまって。

「このDVDを50万円で送りますよ」と。「ここには株式投資で勝てる極意が詰まっている。これを買えば君もきっと億万長者になれるだろう」みたいなDVDを買って(笑)、何年もかけてがんばって貯めたお金がそのDVDを買ったことでパーになり、しかも利益も出ずという挫折があって(笑)。

田中:なにやってるんですか?(笑)。

中原:そうなんですよ。当時学生で、がんばって150万円ぐらいまで貯めたのかな? だいぶがんばって貯めたんですけど、そのお金がすっからかんになっちゃって。

詐欺ではないんですけど、騙された感じになって、お金がすっからかんになっちゃったんです。そのDVDの中身がシステムトレードだったんですよ。

田中:システムトレードの商材だったってこと?

中原:そうなんです。あまりいい出会いではないんですけど、全財産を失うきっかけがシステムトレードだったんですよね(笑)。

田中:(笑)。

中原:そのDVDでは、なんか偉そうなおじさんが話していて、その人の投資法がぜんぜん儲からなくて、「これだったら自分で作ったほうが早いんじゃないか?」と思って、まあ負けたのがあまりにも悔しくて、「システムトレードを勉強してみよう」といってスタートしたのが20歳の時でしたね。

田中:でも、普通は1回システムトレードで負けたら、「もう二度とやりたくない」となると思うんだけれども、そこでまだ粘り強くやろうと思ったんですね。

中原:まあ悔しかったんですよね。「自分でやってみたら、できるんじゃないの?」といろいろ研究してみて、相場の分析をしてみたり。そしたら、学生だったのにそのDVDの内容よりもずっといいものができて、「こんなしょぼいものを50万円で売っていたのか」って思ったんですよ。

そこで「システムトレードおもしろいな」って、そのおもしろさにも気づき、お金を失った経験の悔しさから、「こういう人を周りに増やしたくないな」と思い始めて、「株式予報」という投資情報のWebサイトやブログ、メルマガを始めました。ちなみに、僕のメールマガジンを読んでいるという方はどれぐらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

中原:あ、すごい!

田中:けっこういますね。

中原:申し訳ないです。あんなしょうもない話を読んでいただいて(笑)。本当にしょうもなくて。

田中:いやいや、おもしろいですよ。

中原:みなさん、先週のメールマガジン見てくれました? 僕、先週、石原さとみとデートしたんですよね。デートしたっていう体でメールを書いて……。なんか反応してくださいよ(笑)。

内定を辞退して、本格的に株式投資の世界へ

田中:(笑)。まあ株式とは関係ないこともいろいろと盛り込んでるということですね。その始まりが22歳ぐらいだったと。

中原:そうですね。始めてもう5年目に入りましたね。

田中:プロフィールで大学時代の経歴を書いているじゃないですか。就職活動はしなかったんですか?

中原:就職活動はしたんです。一応内定はいただいていたんですけど。有名なアナリストの方でお世話になっている大先輩がいらっしゃって、その方の会社(フェアトレード)をお手伝いしたほうがよっぽど楽しいということで、内定は辞退させていただきました。

田中:じゃあ内定を辞退して、その時から本格的に株式で生きていこうと。

中原:そうです。

田中:すごいな(笑)。やっぱり大胆というか。

中原:バカなんですよ(笑)。たぶんこの会場にいらっしゃる方のなかで、僕が一番頭が悪いと思うので。

田中:いやいや。「頭が悪い」というキーワードが出たんですけれども、中原さんって、ここに書いてないですけど、たしか人口の上位2パーセントのIQの人がどうたらという……。

中原:MENSA(メンサ)ですかね。

田中:そうそう。これなんですか?

中原:わかんないです(笑)。

田中:これ、要するに「俺、すごいんだぜ」「頭良い」みたいな感じですよね(笑)。

中原:これは大学時代に入った団体なんですけど。なんか「おもしろいから(プロフィールに)書いとけば」って言われて書いただけで、大した意味はないんです。

みなさん学校とかでIQテストを受けたことがあると思うんですけど。基準にもよるんですけど、130〜150ぐらいある人がこのMENSAという団体に入れると。

田中:普通の人は100ぐらいですか?

中原:100が平均ですね。上位2パーセントというと、偏差値でいうと70ぐらい。

田中:やっぱり賢い。なんで(MENSAのテストを)受けようと思ったんですか?

中原:なんか不思議な、変な人がたくさんいて、おもしろいじゃないですか(笑)。当時はなにも持っていなかったので、「これ以上、人生悪いことないだろう」と思って、「受けてみようかな」みたいな。それで受かって。

田中:システムトレードに興味を持ったり、MENSAに興味を持ったりとかって、けっこう好奇心旺盛な感じ?

中原:考えるよりも前に動いちゃうタイプだと思いますね。

田中:なるほど。それでフェアトレードさんのところに入って。それはいつぐらいですかね?

中原:いつだっけかな? 一昨年くらい?

田中:それまでにすでに「Yahoo!ファイナンス投資の達人」という実績があったということですかね。

中原:そうですね。載ってました。

「Yahoo!ファイナンス投資の達人」になるまで

田中:そのお話を聞きたいんですけれども。Yahoo!ファイナンスはもちろん知っているんですけど、「Yahoo!ファイナンス投資の達人」ってけっこういますよね? 僕ぜんぜん知らない人もいる。

中原:そうですね。少なくとも100人以上は達人がいますね。中には幽霊みたいな人もいますし。

田中:あれはどうやったらなれるんですか? 「月3,000円で投資の達人になりませんか?」みたいなメールが来るとか、そういうわけじゃないですよね?

中原:来ないです(笑)。僕の場合はたまたま知り合いの方がご紹介してくださって。

田中:スカウトというか、なにか紹介的なものがあるんですかね。

中原:知り合いの知り合いみたいな感じですね。Yahoo!で記事をアップしている人とコネクションがあって、その方につないでいただきました。

当時まだ大学4年生だったんですけど、「君、ちょっとここに載ってみない?」と言われて。

田中:衝撃ですよね。

中原:はい、自分もまさか学生の分際でこんな大舞台に立てるなんて思ってもみなかったので(笑)。

田中:これはなにか審査的なものはあるんですか?

中原:審査というよりかは、どちらかというとコネなんじゃないですか。

田中:そうなんですか。先ほどのプロフィールを見ると、もういきなり実績を出したみたいな感じですか?

中原:いや、僕のメルマガを長く読んでくれている方はご存知だと思うんですけど、僕はもうここのサイトでずっとビリだったんですよ。最初の1年か2年ぐらいずっとビリで。

田中:えっ!

中原:パフォーマンス、マイナス150パーセントで1年間ぐらいずっと垂れ流し続けてたんですよ(笑)。もう断トツでビリ。2ちゃんねるとかでむちゃくちゃ叩かれていて。

田中:「あいつ怪しいぞ」みたいな(笑)。

中原:そうそう(笑)。「センスないわ」みたいに言われながら1年間経って。

2015年「ベストパフォーマー賞」を受賞

田中:それが投資の達人の賞である、2015年のベストパフォーマーに選ばれたんですよね。なにかきっかけがあったんですか? なんでそんなに爆発的にパフォーマンスがよくなったんですか?

中原:腕が上がったんじゃないですか(笑)。

田中:(笑)。

中原:単純にシステムトレード……まあ僕自身の腕が上がったというのはあると思います。あとは地合いがよかったというのが一番で、ラッキーだったんじゃないですかね。

田中:なるほどね。アベノミクスの最中ぐらいですかね。

中原:僕、アベノミクスで一番負けていたんですよ。アベノミクスが終わりかけたあたりから、なぜかパフォーマンスが(笑)。2015年、2016年がそこそこ成績よかったので。

パフォーマンスで1位になれたのは、数を打ったのが一番の理由だと思います(笑)。だって僕の記事を見てください。たぶん僕の記事が一番多いですから。

田中:そうですよね。ここで中原さんの名前が知られたというのは、けっこう大きなブレイクだったんですよね。株式予報の流入も増えたというかたちですかね?

中原:そうですね。ちょうどメールマガジンを始めて3年ぐらい経って、今は読者の方が1万2,000人ぐらいいらっしゃいます。

田中:そんなにいらっしゃるんですか。

中原:みなさんのおかげです。僕はボランティアをしているだけなので。

田中:いやいや、やっぱり実績もあって、継続してるってことが大きいんですかね。ベストパフォーマーを獲ってから、調子としてはどうですか? 2016年はどうだったんですか?

中原:たしかプラス1000パーセントと言われてました。

田中:すごいですね。

中原:だって1,000記事以上出してますから。記事数出してますからね(笑)。

田中:この1,000パーセントというのはどういう計算なんですか?

中原:100万円の株が101万円になったら、プラス1パーセントとカウントされます。もう資金管理とか完全に無視した状態で。

田中:単純に積み上げで?

中原:そうです。

システムトレードは天気予報

田中:いつも思うんですけど、予想期間ってあるじゃないですか。あの期間設定は単一にしたほうが当たりやすいということはないんですか? 直近のものは読めるとか。

中原:日予想と週予想ってことですかね。個人的には、システムトレードだと1日が一番当てやすいと思います。なぜかというと、僕のメールマガジンをお読みのみなさんだったらご存知だと思うんですけど、システムトレードは天気予報なんですよ。

田中:天気予報?

中原:統計を使って、明日株価が上がるか下がるかを天気で例えると、「明日晴れるか、雨が降るか」という降水確率みたいなもので、過去100回の似たような株を調べて、60回上がった、40回下がったみたいなことをやっているだけなんですね。

天気予報って明日の天気予報が一番当たるじゃないですか。強いて言えば、3時間後くらいの、近い未来のものが一番当たるんですね。逆に離れていくほど当たらなくなります。「今から1年後の天気どうなってる?」と聞かれても、遠すぎてわからないじゃないですか。だから予想期間が短いほうが当たると思います。

田中:なるほど。ちょっと素人的な質問なんですけど、システムトレードの相性としては、中長期じゃなくてスイング、なるべく短い、数日ぐらいのスタンスのほうがいいということでしょうか。

中原:それが当たりやすいんじゃないのかなとは思います。もう本当に天気予報と一緒の考え方なので。

「株式予報」で情報を発信する理由

田中:そうなんですね、わかりました。手法的なものはあとで聞くとして、すごく素朴な質問をしたいんですけれども、中原さんはなにで食ってるんですか?

中原:もちろん先ほど申しあげたとおり、会社をお手伝いしている分のお金をいただいているというのと、あとは雑誌の取材費。

あとは新しい電子書籍を出したとか、本を出したとか、そういうものをご案内して、ご購入いただいたらそのお金が入るという。

田中:50万円のDVDを売ったりとか、そういうのは(笑)?。

中原:いやいや、絶対やらないです(笑)。

田中:不思議な職業だなと思うんですけれども、それでもけっこう食っていけるものなんですか?

中原:まあ人並みには。

田中:要するに、なにが聞きたいかというと、自分で開発したシステムトレードを自分だけで運用していくという方法もあったと思うんですね。

中原:そうですね。

田中:システムトレードというのは統計的なものであって、競争者というか、利用する人が多ければ多いほど利益が出なくなりますよね。そうなると、自分で自宅にこもってやる方法もあったと思うんですけど。

中原:これには2つ理由があります。僕がなぜ情報を提供しているのかというと、冒頭でもお話ししたとおり、僕はお金を失った経験があります。そういう思いを読者の方にはしてほしくないなと思ってるのが1つ。

もう1つが、始めたのが学生の時で、もともとお金がなかったんですよ。だから自分1人で調べた結果、ニヤニヤしながらデータを見てるよりかは、公開してみんなでワイワイしたほうが楽しいんじゃないかなと思って。

田中:今はもうポジションは取ってないんですか?

中原:今は取ってないです。例えば、自分でトヨタの株を買って、トヨタの株予想を出したとします。それで株価が上がってその後自分で売ると、株価操縦になっちゃうんですよ。

そういうのは絶対にあってはいけないので、意図的にやるのはもちろん論外として、間違ってやってしまうことがあると怖いので、今はストップしています。

田中:じゃあ、純粋にアドバイザー的なもので。

中原:アドバイザーってほど仰々しいものじゃないですけどね。

トレーダー同士のつながりの重要性

田中:なるほど、わかりました。話が飛ぶんですけど、システムトレードが日本で普及し始めたのってここ最近ですよね? システムトレードを買いたい人って、その当時はいたんですか?

中原:これは僕の勝手な感覚なんですけど、システムトレードが広がり始めたのは、リーマン・ショック後だと思います。リーマン・ショックでかつてない大暴落が来て、9割の株が下がりました、どんな株を買ってもだいたい損するというつらい状況が来て。

サジを投げる人もいたでしょうけど、その時に残った人たちの、「どうすればこの惨事から学びを得られるのか?」という1つの選択肢としてシステムトレードが出てきたんじゃないかなと思います。予想ですけど、そのあたりからいろいろなソフトや本が出てきたんじゃないかなと思います。

田中:なるほど。最近って、個人投資家の間で「これがいいんじゃないか」「あれがいいんじゃないか」と情報公開をする動きがあるのかなと思うんですけど、シストレのなかでも「このストラテジーはすごいイケてる」みたいな情報交換ってあるんですか?

中原:むしろ上手な方ほど、情報公開をしています。

田中:そうなんですか。

中原:僕も最初はいい投資法が思いついたとき、「これはしめたもんだ、これから億万長者になるぞ」みたいに思って、自分の内に秘めていた時期もあったんですけど。そういう案って、友達に話すとたいていダメなアイデアなんですよ(笑)。

田中:(笑)。

中原:いろいろダメ出しをしてもらって、そこで初めてフィードバックをもらえると。結局、自分のなかで閉じこもっちゃうと、自分以上のものは出てこないので、ほかの人にいろいろ刺激をもらって、「ああでもない、こうでもない」とやったほうが成長が早いのではないかと思います。

若い人だったらTwitterを見てると思うんですけど、利益を出している億トレーダーと言われてる人たちって、みんなつながっているんですよね。

田中:すごいつながってますよね。

中原:まあ当たり前の話で、自分1人でやるよりも知恵を寄り集めてやったほうがいいというのは、何事もそうだと思うので。

だから、ここにいらっしゃるみなさんは株式投資にすごく意欲的な方が多いと思うので、ぜひTwitterやLINEの交換をしてください。稀有な仲間だと思いますので。