価値ある株の買い方とは

中原良太氏(以下、中原):こんにちは。株式予報の中原良太です。今回は、「価値ある株の買い方」というテーマで、講義の目的は「いい会社を安く買う方法を理解する」ということです。

この動画講座の中では、そもそも「いい会社とは何なのか」「安く買うとはどのようにすればいいのか」。この2点に焦点を絞って、お話を進めていこうと思います。

今回の目次なんですけれども、一番最初に「価値とは?」。いい会社を示すための定義を一番最初にお話ししていきます。価値・バリューとは何か。

その次に、価値の種類について1つずつお話ししていきます。1つ目が「財産価値」というもの。2つ目が「収益価値」。最後に「ブランド力」。

今回はこの4つのテーマでお話を進めていきます。

価値を決める2つの定義

では、一番最初の「バリューとは、価値とは何か」というところからお話をしていこうと思います。

価値には、大まかに分けて2つの定義があると思っています。

1つ目が、ファンダメンタル分析をする時の定義です。株価というのは、企業の業績に基づいて決まりますと。ですから、会社のことをとにかく詳しく調べる必要があるんですね。

なので、ファンダメンタル分析、決算書を見たうえで、企業の価値を探っていくというのが、1つ目の価値基準になってきます。

もう1つが、テクニカル分析ですね。こちらは、株価は企業価値をもうすでに反映してしまっているという考え方です。

なので、株価を分析すれば企業の価値がわかるというファンダメンタル分析とはちょっと順序が入れ替わったような考え方です。

ですので、株価を決めているのは投資家心理ですと。だから、価値というのは投資家の心によって決まるんだという考え方をして、チャートを見ながら価値を探っていく。僕はこの2つの方法があると考えています。

今回はこの2つについてお話していくんですが、もうすでにおわかりのとおり、当然と言えば当然なんですけど、分析手法によってバリューの探し方は変わってきます。

ですので、まず自分はどういった投資スタイルなのかといったところを押さえておかないと、価値基準がまったく違うんですね。

そもそもチャートを見ている間に企業の決算情報を調べても、価値の探り方としてはゴチャゴチャになってしまっているので、目的どおりの結果が得られなかったりということが考えられます。

なので、まずは自分はどういう側面から価値を見極めようとしているのかなという、自分の立ち位置をしっかりと確立するのがいいかなと思います。

今回はこのファンダメンタル分析と、あとテクニカル分析という2つの立ち位置から、価値というものをお話ししていければなと思っています。

ファンダメンタル分析における2つの価値

まずファンダメンタル分析の場合、僕は2つのバリューに着目するのが大事だと考えています。

ファンダメンタル分析をした時の株の本質的価値というのは、2パターンあります。1つが財産価値、もう1つが収益価値です。

このように示されるんですけれども、「株の本質的価値=財産価値+収益価値」。会社の価値、株の価値というのは、財産価値と収益価値の2つが組み合わさって株の価値と言えると考えています。

1つ目の財産価値とは何かというと、企業が持つ目に見える価値を示しています。

もう一方の収益価値とは何かというと、企業がこれから生み出す目に見えない価値を示しています。

この1文だけじゃよく理解ができないと思うので、それぞれについて、これから詳しくお話をしていきます。

財産価値とは何か

まず、「財産価値とは何か」というところからお話を進めていきます。こちらは先ほどお伝えしたとおり、企業が持つ目に見える価値を示しています。

これはちょっと長文なんですけれども、「企業は土地や現金などの資産と、借入金などの負債を持っています」。資産というのがお金の根源ですね。資産からお金が生まれる。

逆に負債というのは借り物とか、自分のお金がどんどん減ってしまうようなものですね。負債を持っていますと。

企業が保有する資産をすべて売却して、その後にお金が手に入ると。このお金で負債を返していきます。ここに残ったお金というのが企業の財産価値だと考えられています。

それで、「実際に会社が解散した時には、資産を売却して、そのお金で負債を返済し、残ったお金を株主に返還しますので、財産価値は『会社の解散価値』とも言うことができます。これを1株あたりで表すのがBPS(1株あたり純資産)と呼ばれる指標です」。

PBR(株価純資産倍率)という指標は、株式投資をやっていればご存知だと思うんですけれども、このBPSをもとに計算されています。

具体的な計算式は、「PBR=株価÷BPS」という感じで、1株あたりの会社の価値がいくら分ぐらいあるのかを示すのがこちらのPBRという指標です。

ですので、今ある会社の価値を示すのが、このBPSやPBRという指標なんですね。これは、僕が考える目に見える価値というものです。

収益価値の測り方

もう1個、収益価値についてもご紹介していきます。(こちらは)企業が今後生み出す目に見えない価値のことです。

そもそも、企業は株式を発行して資金調達をして、そのお金を使って生み出した利益は株主に返還するということをしています。

あるいは、会社の成長のために使うという方法もあるんですけれども、一般的には会社で生み出された利益というものは、株主に還元されるものだと。これがそもそも株が買われる原点ですよね。

ということで、会社が生み出した利益は株主のものですと。なので、企業が1年間に生み出す利益を調べておくと、株主が得られる利益というのが、まあざっくりとして計算ができるはずですよね。

ということで、企業が1年間あたりで生み出す利益を1株あたりで表したものを、1株あたり純利益・EPSと表記することができます。これはPER(株価収益率)という指標でよく使われるものです。

こちらも株式投資する時にはよく使われる指標なので、収益価値というものがあって、PERとかEPSという指標が産出されているんだということをご理解いただければと思います。

それで、1個前の財産価値とか収益価値、PERやPBRという指標が産出されるわけなんですけれども、PERとPBR、この指標は、低ければ低いほど割安だと言われています。

ですので、これから利益を出しまくりそう、つまり収益価値の高い会社で、しかも今たくさんの資産、財産価値もたくさん持ってる会社。

この2つを満たす会社を安く買うのが、ファンダメンタル分析をしてる方にとってのいい投資だと考えられるわけです。