2020年、営業利益率15パーセント達成に向けて

司会者:それでは質疑応答に移らせていただきたいと思います。ご質問のある方は挙手をお願いいたします。

質問者1:UBS証券の○○と申します。2020年営業利益率15パーセントに向けて、利益率改善のドライバーはどういうふうに考えていらっしゃるか教えてください。

デジタル化、Eコマースの浸透ですとか、サプライチェーンの改革といったところが大きなドライバーになるのか、今日いただいたお話のところも絡めて教えていただければと思います。よろしくお願いします。

柳井正氏(以下、柳井):まずやっぱりグローバルでやっていくということが一番です。それをやっていく上で、会社の仕組み自体を全体で変えて、しかも膨張でなく成長するために経費比率を下げていくということをやっていきたいと思っています。

幸い海外事業も、一部まだまだ成功とは言えないところもあると思いますが、たぶん今年あるいは来年ぐらいに全地域で成功になると考えております。

質問者1:Eコマースのデジタル化というのは……。

柳井:デジタル化ということに関しては、先ほどお話ししましたように、有明型のEコマースのフラッグシップストアを全国各地に作っていきますし、欧米でもそういったことをやります。将来的には、中国やアジアの国々でもやっていきたいと思っています。

質問者1:それが利益率の改善につながっていくと捉えていいのでしょうか?

柳井:ええ。当然ですけど、我々が最終的に目指しているのは、できるだけ直接、工場から顧客に商品が届けられるという業態です。その手段として、店とかEコマースがあると思います。

国内ユニクロ事業の変革について

質問者2:野村證券の〇〇と申します。1点お願いしたいんですが、国内ユニクロ事業なんですけれども。CEOがおっしゃったこの情報小売業というのは、国内ユニクロ事業もそうなるということでいいですか?

柳井:国内ユニクロ事業を含めて、あらゆる業態をそのように変えていきたいと思っています。

質問者2:ポジショニングとして、柚木さんの(成長戦略)は、「ユニクロはこう、ジーユーはこう」みたいな書き方になっていたんですけれども、ユニクロ自体のビジネスモデルも変わると、あんなにクリアにならないんじゃないかなと思うんですけれども。

柳井:まあでも、いわゆる小売業とかファッションとか、そういう産業自体がそのように変わるんじゃないかなと思っていますし、いよいよ本格的に情報化時代が実産業のほうに来た、あるいはインターネットが実産業のほうに来たという。

その一番いい例がGoogleとかUberみたいなものになって。たぶん小売業とかファションもすべて情報を主にした業態に変わっていくんじゃないかなと思います。

質問者2:最後、確認なんですけど、要するに、「ジーユーと海外が伸びるから、国内ユニクロは伸びなくていいとは思ってない」でいいですよね?

柳井:当然です。やっぱり日本で伸びないかぎり海外でも伸びないと思っています。

質問者2:今期ネットを含む既存店全店が2パーセントということなんですけど、店頭横ばい、ネットで2パーセントということなんですが。2パーセントの増収率ということは、あまり伸びてないというか……。

柳井:ええ、そうですね。

質問者2:だと思うんですけど。この2パーセントがどういう数字がというのは……。

柳井:確実にお約束できそうな数字ということだと思ってもらったらいいと思います。

質問者2:そういうことですね。ありがとうございました。

ジーユーはメンズ・キッズ商品を強化

質問者3:ゴールドマン・サックスの〇〇です。せっかく柚木様いらっしゃってるので、ジーユーについてお話をうかがえればと思うんですが。

国内において、本格的に出店ポテンシャルを上げようと思ったときに、今は非常にレディースのウェイトが高いかと思うんですが、メンズとかキッズの部分を、品揃えとしてどう考えていらっしゃるかというところと。

海外に打って出ていったときに、H&MとかZARAとか、海外発のファストファッションの会社があって。海外のほうがファストファッションでも少し女性らしいというか、女性らしいといったら失礼ですけど(笑)、スタイリッシュなファストファッションが好まれていると思うので。

ジーユーとは受け入れられ方もちょっと違うんじゃないかと思うんですが、そこの嗜好性も合わせて、海外についてどうやっていけばいいのかというところも合わせて教えてください。

柚木治氏(以下、柚木):まず、メンズとキッズはこれから大幅強化していきます。(これまでは)とくにトレンドファッションということを強調してポジションを取ろうということで、意図的な部分もあってレディーズものに注力してきた。

それで、ユニクロと差別化されたポジションは取れたと思っていますので、いよいよメンズ・キッズを強化していく段階だし、そこはすごく伸びしろがあると思っています。

もちろんその時にもユニクロとの差別化というのは非常に重要です。正直なところ、女性ほどデザインとかトレンド性というものが、程度で言うと、メンズのほうが多くはないと思うので。

ユニクロがよりトレンド性があるベーシックだとしたら、少しデザイン性とかトレンド性が入ったというところ。逆にそうでないと売れないと思いますし、そういったところをやっていこうと思っています。

ジャパンDNAを生かした商品の魅力

海外については、まずアジアに注力しています。おっしゃるように、洋服というぐらいなのでヨーロッパから来たのがもともとで、ファストファッションということだと、H&Mさん、ZARAさん、一日の長どころかずっとやってこられてると思いますので。

我々はグローバルなトレンドとか情報とかアイデアを全部集めるんですけど、それをジャパンDNAで編集してデザインするという。

ちょっと抽象的に聞こえるかもしれないんですけれども、日本人独特のバランスを取るのがうまい。なのでデザインも行き過ぎてなくちょうどいい。商品構成もいい。着やすい、組み合わせやすい。

実際に今、中国と台湾でお客様からそういう評価をとてもいただいているので、そういうジャパンDNAの特性を入れた、とってもエキサイトメントがあるんだけど、とっても着やすいというポジションを試行錯誤しながら追求していこうと思っています。以上です。

質問者3:今、お話を聞いてると、アジアに関しては独特のポジションニングを押し出して、消費者がそういった嗜好に変わるというか、その価値に気づいていくというようなスタイルを考えていらっしゃるということでよろしいんでしょうか?

柚木:価値に気づいていくのか、需要を創造するのかという……私はそういうニーズがすごくあると思ってるんですね。ファッションって楽しみたいけど、けっこう大変というか。「今のトレンドなんなの?」「なにが自分に合うの?」みたいなことを見つけるのがけっこう大変なので。

そういうトレンドがあって、エキサイトメントがあって、ファンがあるんだけど、非常にイージーだというのが実はニーズがあると思っていますので、そこの潜在需要を掘り起こしていきたいと思っています。

2017年春、物流センターの稼働計画

質問者4:メリルリンチの〇〇と申します。物流センターの稼働計画について確認させていただきたいんですが。有明がフル稼働になるのはいつなのかということと、もうしてるのかどうかということと。

それから今、柳井さんのお話で10ヶ所すでに動いているというお話だったんですけど、この10ヶ所がフルに稼動するのはいつ頃になるのか。このあたり教えてください。

柳井:あの、岡﨑が担当なので、僕より岡﨑がいいんじゃないかなと思います。たぶん来年春ぐらいにかなり稼動してくると思いますし、これは終わりがない。

そのように会社自体を全部変えていくということなので、一足飛びには行けないと思うんですけど、できるだけ早くそういった会社に全社を変えていきたいと思っていますし、そういったサービスも順次。本格的に、目に見えるように変わるのは来年春ぐらいだと思いますけど。どうぞ、ちょっと話をしてください。

岡﨑健氏(以下、岡﨑):例えば有明についても、もう店舗配送についてもEC配送も始めておりますし、そういう意味でいうとフル稼働には入ってはいるんですが、フル稼働というときの生産性であるとか処理効率みたいなことっていうのはやっぱり一定の目標をもってやっていますので、そこまでたどり着くまでにはもう少し時間がかかるかなと思っています。

柳井が申し上げたとおり、来年の春頃にはお客さまから見て「ユニクロ変わったな」」と思っていただけるようなものを、お客さまにコミットできるようなかたちで展開していけるのではないかなと思ってます。

質問者4:残りのセンターに関してはいかがですか? 全部で10ヶ所ということなんですが。

岡﨑:基本的には同じような考え方ですが、10ヶ所全部がECとリアルを両方やるわけではなくて。すべてにおいてリアル店舗のほうはやりますけども、ECはそのなかの数ヶ所ということになります。

質問者4:10ヶ所のフル稼働も来年の春と考えてよろしいんでしょうか?

岡﨑:もうフル稼働してるところもありますし、もうほとんどはフル稼働してると考えていただいていいと思います。

質問者4:ありがとうございます。

質問者:ご質問が尽きないこととは思いますが、お時間の関係上、以上をもちまして説明会を終了とさせていただきます。本日はありがとうございました。