銘柄発掘|
特注金型で世界シェア首位の金型部品株、通期業績予想上方修正で利益率改善へ
> 国内の注目銘柄を紹介する連載「ログミーFinanceの#銘柄発掘」。ビジネスモデルやファンダメンタルズの分析を通じて、中長期で保有できる優良銘柄の見極め方が身につく実践的シリーズです。今回は、パンチ工業(6165)を取り上げます。
金型部品売上比率92.6%、特注金型部品で世界シェア首位
パンチ工業は、自動車や電子部品・半導体向けの精密金型部品メーカーで、カタログ品と特注品を短納期で供給しています。2026年3月期の売上高421億円のうち、金型部品は390億円で92.6パーセント、自動化設備や関連部品を手がけるFA事業は31億円で7.4パーセントを占めました。
金型部品の売上高の内訳は、特注品が249億円、カタログ品が141億円となっており、特注品比率は64パーセントです。また、特注金型部品の世界シェアは首位、金型部品全体でも世界シェア2位に位置します(同社推計)。顧客ごとの仕様に応じる加工力と、多品種少量の製品を短納期で供給する体制が求められる特注品は、同社の競争力の源泉であり、製品構成の改善を通じて利益率向上にも寄与しています。
2027年3月期1Q決算は営業利益47.4%増、稼働回復で利益率5.2%へ
注目したいのは、国内工場の稼働回復による利益率改善です。2027年3月期第1四半期は、売上高が前年同期比6.7パーセント増の108億5,200万円、営業利益が同47.4パーセント増の5億6,600万円となり、営業利益率は3.8パーセントから5.2パーセントへ上昇しました。国内売上高が13.1パーセント増えたことで工場の稼働が高まり、原価率が改善して販管費の増加も吸収しました。
中期経営計画で営業利益率6.8%へ、ミスミグループとの協業も推進
中期経営計画「バリュークリエーション28(VC28)」では、2026年3月期に4.8パーセントだった営業利益率を、2029年3月期に6.8パーセントへ2.0ポイント引き上げる目標です。その中心となるのが、国内工場の稼働率向上と、付加価値の高い特注品へのシフトです。同社は国内工場を特注品の生産に特化させ、特注品売上高を249億円から307億円、構成比を64パーセントから68パーセントへ高めます。国内受注の増加は稼働率を、特注品比率の上昇は製品構成を改善するため、2027年3月期第1四半期に表れた原価率改善を継続させやすくなります。ミスミグループとは商品の相互供給や共同購買などの協業を進めており、両社の規模を活かしたコスト競争力の強化も利益率改善を後押しします。
もっとも、2027年3月期は原材料高と国内営業への先行投資が利益率を圧迫します。原材料高には価格改定と海外調達の強化で対応しますが、値上げに伴う一時的な離客が増収効果を弱める可能性もあります。国内営業の人員増や先行コストなどにより、固定販管費全体では8億5,500万円の減益要因を見込みます。これに対し、会社は増収効果9億1,300万円と原価改善3億2,800万円などでコスト増を吸収する計画です。粗利益の増加が先行負担を上回るかが、中計初年度の利益率を左右します。
中国売上比率59.2%、非自動車需要で工場稼働を維持できるか
国内の改善を連結利益率の上昇につなげるには、2026年3月期に連結売上高の59.2パーセントを占めた中国でも工場稼働を維持する必要があります。2027年3月期第1四半期は、中国の自動車関連向けが減少したことなどから、全社の自動車向け売上高が前年同期比4.1パーセント減少しました。中国の自動車関連の受注減が続けば、生産量の減少と現地工場の稼働低下を通じて、国内の採算改善を相殺しかねません。その一方、同四半期の中国ではスマートフォン向けや医療関連が伸びました。自動車以外の需要が減少分を補い、中国の工場稼働を維持できれば、国内で生み出した採算改善を連結利益率に反映しやすくなります。
配当利回り3.8%・年間20.10円、通期予想を上方修正
株主還元は、連結配当性向30パーセント以上かつDOE(株主資本に対する年間配当額の割合)3パーセント以上を基準とし、2027年3月期は年間1株20.10円の配当を見込みます。
2026年8月7日には、2027年3月期予想を売上高450億円から455億円へ1.1パーセント、営業利益23億円から24億円へ4.3パーセント引き上げました。2026年8月14日終値を基準とする予想PERは12.12倍、PBRは0.60倍であり、指標面では割安感がありますが、低PBRには低い収益性も織り込まれていると見られます。評価見直しには、国内増収と原価率改善の継続が必要になりそうです。次回決算では、売上高や営業利益率に加え、特注品シフトやミスミグループとの協業の進捗も確認したいところです。
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パンチ工業が登壇する9月5日(土)開催セミナー
タイムテーブル
・11:00〜11:05
オープニング
・11:05〜11:55
①パンチ工業(6165)
・12:00〜12:50
②ラクーンホールディングス(3031)
・12:55〜13:45
③クエスト(2332)
・13:55〜14:45
④基調講演:関本圭吾氏 × 塩谷航平氏
・14:55〜15:45
⑤ビジネスエンジニアリング(4828)
・15:50〜16:40
⑥レカム(3323)
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※当日は投資家向けに注目テーマの解説や質疑応答などを予定しています。
執筆者プロフィール
執筆:西田哲郎ライター・コンテンツディレクター。投資歴15年。大きな損失を出したことをきっかけにイナゴを卒業、ビジネスモデルとファンダメンタルズ重視の手法に切り替える。業界紙やスタートアップを経てフリーで投資情報メディアやM&A情報サイトの立ち上げに関わり、現在は主に週刊誌で投資や経済関連の記事を執筆。
※記事内容、企業情報は2026年8月16日時点の情報です。
※当記事内容に関連して投資等に関する決定を行う場合は、ご自身の判断で行うものとし、当該判断について当社は一切の責任を負わないものとします。なお、文中に特定の銘柄の投資を推奨するように読み取れる内容がある可能性がございますが、当社および執筆者が投資を推奨するものではありません。
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