2026年12月期第2四半期決算説明
オンコリス、マイルストーン収入で大幅増収、食道がん治療薬「テロメライシン」を8月21日発売し製品販売売上高の計上開始
2026年12月期第2四半期決算説明
浦田泰生氏(以下、浦田):代表取締役社長の浦田です。すでにみなさまご存じのことかと思いますが、当社が20年以上かけて開発してきました「テロメライシン」について、去る6月に再生医療等製品の協議会において薬事承認を受けました。
また、一昨日にニュースにもなりましたとおり、「テロメライシン」の薬価案が了承されたことで、いよいよ当社はこれから飛躍を遂げる段階に来ています。
そのような中で、当社は研究開発の企業から製造販売までを行える企業へと変わる時期に差しかかっています。現在、会社全体も非常に忙しい状況ですが、社員一同、集中してこの販売を着実に進められるよう一丸となって努力しています。
「2026年にご期待頂きたい事項」

こちらは、株主総会でみなさまにお話しした、今年度にご期待いただきたい事項として挙げた11項目です。本日までに、右側のチェック欄に記載されているように、3項目が達成できたと考えています。
一番上に記載されているとおり、製造販売承認を達成することができました。また、2番目の薬価収載については、薬価の案は通過しましたが、実際に薬価が薬機法のガイドブックに正式に収載されるのは8月13日となります。まもなく実現予定です。
この薬価収載をクリアすると、3番目として「テロメライシン」の発売が開始されます。それ以外にも、安定性試験のクリアや効能拡大試験の開始があります。6番目の効能拡大については後ほど触れますが、すでに治験届を提出し、手続きを進めているところです。それ以外のパイプラインについても、後ほどお伝えします。
では、まず決算のハイライトとして、財政状況等について当社の担当である原野取締役から説明します。
財政状態の概況

原野修氏:あらためまして、業務管理部門を担当しております取締役の原野です。私から第2四半期の決算についてご説明します。
このスライドは財政状態の概況を示しており、貸借対照表となっています。まず、資産の部ですが、合計金額は45億1,000万円で、前期末の金額とほぼ変わらない水準で計上しています。
内訳については、現金および預金は31億8,600万円で、前期末から4億8,800万円減少しました。一方、売掛金は製造販売承認に伴うマイルストーン収入の計上により、5億8,200万円を記録しています。その結果、昨年の期末と比較して5億5,100万円の増額となりました。
現金および預金が5億円減少し、売掛金が5億円増加したため、資産合計額はほぼ変わらない結果となっています。
負債の部については、借入金の合計が前期末比で4億8,500万円増加しました。この増加要因は、みずほ銀行からの新たな借入によるものです。
純資産の部については、資本金、資本剰余金、利益剰余金の金額に大きな変動がありました。これは、3月の株主総会で資本金および資本剰余金を減額し、欠損金を補填するための利益剰余金への振り替え手続きを行った結果です。このため、これらの項目に変動が生じています。
経営成績の概況

損益結果についてご報告します。まず、売上ですが、5億300万円を計上しました。これは、製造販売承認に伴うマイルストーン収入が寄与し、前年から4億7,500万円の大幅な増収となりました。
また、営業利益については、臨床開発の終了に伴い研究開発費が2億5,100万円減少し、費用全体も削減されました。これに加えて、先ほどお伝えした増収効果により5億円の増益となり、赤字幅が縮小しました。
経常利益および当期利益については、営業利益に加えて為替差益がプラスに寄与し、それぞれ5億5,100万円の増益となっています。
キャッシュ・フローの概況

キャッシュ・フローについてご説明します。期首の現預金残高は34億2,900万円でしたが、営業キャッシュ・フローとして10億1,700万円を支出しました。
なお、先ほどご説明した売上約5億円は7月に回収予定だったため、この営業キャッシュ・フローには含まれていません。営業キャッシュ・フローについては、前年同期比とほぼ同水準となっています。
一方で、財務キャッシュ・フローについては、先ほどご説明したとおり、4億9,600万円の調達を実施しました。これは、みずほ銀行からの新規借入が主な内訳です。
その結果、キャッシュ・フロー合計は4億8,700万円のマイナスとなり、当中間期における現預金残高は29億4,100万円となっています。
補足となりますが、キャッシュ・フローには含まれないものの、先ほどお伝えした製造販売承認に伴うマイルストーン収入および前受金を、7月に受領しています。
2026年12月期の業績見通し

今期の業績見通しについてご説明します。「テロメライシン」の販売開始に伴い製品販売の収入が見込まれますが、現時点では販売提携先である富士フイルム富山化学と販売予測を精査中です。そのため、現時点での開示は控えます。業績見通しについては、来期から開示する方針です。
パイプラインの状況

浦田:各パイプラインの状況について、私から報告します。こちらについては、みなさまもうすでに何度もご覧いただき、慣れておられるかと思いますが、パイプラインの状況です。
スライド上部の赤いラインが「テロメライシン」、中央の青いラインが「OBP-601」です。
ご覧のとおり、「テロメライシン」では、一番上の食道がんが2026年6月製造販売承認として、ゴールに達した状況にあります。それ以外のパイプラインについては現在進行中であり、大きな変化はありません。
テロメライシン注

まず、「テロメライシン」についてです。スライドの写真のようにパッケージが正式に決まりました。スライドの左側に映っているのはバイアルと呼ばれる瓶で、この中に2ccの「テロメライシン」の溶液、すなわち2兆個のウイルスが含まれた製品が入っています。
外箱はスライドに示されているパッケージデザインで、「テロメライシン」のイメージカラーとして紫色を採用しています。
主な上場BVの再生医療等製品の承認条件

今回の承認についてですが、スライドにあるように、「テロメライシン」は条件および期限付きの承認ではなく、通常承認となっています。再生医療等製品において通常承認を得ることは非常に珍しい結果です。
これまで当社より先に3つ上場バイオベンチャーの再生医療等製品が承認されましたが、いずれも条件および期限付き承認であり、発売後に臨床試験を実施し、承認時のデータと遜色がないか、再現性があるかを確認する必要がありました。しかし、当社の「テロメライシン」の場合、その必要がなく、通常の医薬品としての承認を得ることができました。
新しいモダリティの発売である以上、安全性調査は全例で行いますが、新たな臨床試験を組む必要がなくなったことで、当社にとって大きなメリットのある承認形態となったと考えています。
薬価について

薬価が決まりました。スライドに記載されているとおり、1バイアル約310万円の薬価が設定され、2週間おきに3回投与することで1クールとなります。そのため、3回1クール投与の合計薬価は約930万円となります。
この薬価を高いと見るか、安いと見るかについては、さまざまな意見があると思います。当社としては、これよりかなり低い薬価が設定されると予測していましたが、それを踏まえると、今回設定された薬価は当社にとって大変メリットのあるものではないかと考えています。
このような薬価も高額医療に該当しますので、患者さまがこの薬価の30パーセントを実際に負担するわけではありません。高額医療費制度の適用により、月々の負担額はおおよそ8万円から9万円の範囲となります。
この算定の根拠ですが、スライドに記載のとおり、類似薬効比較方式が採用されています。結果として、第一三共社が発売しているヘルペスウイルス製剤「デリタクト」が類似薬効比較方式に基づいて選定されました。
この「デリタクト」は確かに同じウイルスを使用した製剤ですが、対象とする疾患は脳腫瘍です。当社としても、厚生労働省と協議を重ね、脳腫瘍治療薬が食道がん治療薬と類似薬効比較に該当するかどうか、さまざまな議論がありました。しかし最終的には、厚生労働省が「デリタクト」との薬効比較を基準にしました。
一方で、「デリタクト」と同じ価格設定とはならず、オーファン加算、先駆加算、有用性加算がそれぞれ10パーセント追加されています。「たった10パーセントか」との見方もあるかもしれませんが、近年の新薬においては加算が5パーセントなどの例が多く、今回の加算は注目すべき内容と言えます。
1項目だけしか加算が認められないケースも多い中、今回のように3項目それぞれで10パーセントが認められたことは、当社としても「テロメライシン」が厚生労働省から高く評価された結果であると考えており、それなりに満足できる内容ではないかと思います。
3番目に記載されている革新的新薬薬価維持制度についてですが、これは革新的新薬が市場に登場し、最初の薬価で適切に販売が続けられる場合、薬価が据え置かれる制度です。
実際の卸価格と薬価の乖離があまりにも大きくなった場合には、薬価が切り下げられる可能性もありますが、この薬価維持制度に該当したことは、1つの安心材料と考えています。
効能・効果と対象患者

食道がんの局所治療薬として「テロメライシン」が、世界で初めて承認されました。この治療薬の添付文書に記載されている効能・効果については、スライド右上に示されているように、根治手術および化学放射線療法の適応とならない食道がん患者が対象となっています。
臨床試験では、大変高齢の方が多く、心臓が悪くて長時間の手術に耐えられない方や、肝臓・腎臓などの臓器障害があるために化学療法ができない方が多く含まれていました。このような適応とならない患者を対象に臨床試験を実施しました。
臨床試験では、ステージⅡおよびステージⅢの食道がん患者において、局所完全寛解率が50パーセントという結果を得ました。今後、このようなマーケットについてどのように考えるかという点ですが、円グラフに示されているように、実際には年間約2万5,000人の新規食道がん患者がいるとされています。そのうち、7パーセントから10パーセントの患者が放射線単独で治療を受けていると言われています。
それ以外の方については、手術を受けられる方が約20パーセント、化学放射線療法を受ける方、あるいは内視鏡による早期発見によって切除される方がいらっしゃいますが、放射線単独治療は非常に少ない状況です。そのため、いわゆるオーファンドラッグとして市場性加算が付与されています。とはいえ、青い四角内に記載されているように、毎年およそ1,500例以上が放射線単独治療を受けると考えられます。
また、厚生労働省から適正使用ガイドラインが発表されており、この「テロメライシン」の使用について、ステージⅡ、Ⅲに限らず、場合によってはステージⅠやステージⅣの患者にも使用が許容されています。
例えば、ステージⅠの方でも根治手術が困難である場合や、食道の全周に病変が広がっている場合、あるいは臓器障害があり化学放射線療法が適用できない場合には、本剤を使用しても問題ないとされています。
また、4番目のケースとして、手術や化学療法を希望されない方々がいます。例えば、「絶対に切りたくない」と考える方や、「化学療法のつらい治療を受けたくない」と考える方が該当します。実際の医療現場においては、こうした方々も根治手術や化学放射線療法が適用できない分類に含まれるため、そのような方々にも本剤の投与が可能とされています。
2番目に記載されている内容は、当社としては食道がん市場における「テロメライシン」の活用方法を考えるうえで、非常に重要であると考えています。ここに挙げられている免疫チェックポイント阻害剤と化学療法の併用は、食道がんのファーストライン治療としてますます主流になっています。
しかし、臨床試験の結果を見ても、このチェックポイント阻害剤と化学療法の併用で十分な治療効果を得られる方は全体の20パーセントから30パーセント程度で、それ以外の方には引き続き他の治療法を模索する必要があります。
一方、放射線治療は、生涯において1つの臓器に対してどれだけの放射線量を受けたかの制限があり、それ以上の照射ができないという限界があります。
しかし、免疫チェックポイント阻害剤と化学療法の併用の場合、放射線を使用していない方、つまり生涯でまだ食道に放射線治療を受けていない方が治療の対象として残ってしまった場合、「テロメライシン」と放射線併用の適応となります。
この点についてはガイドラインでも、以前の治療内容にあまりこだわっていないため、こうした方々に対してどれだけマーケットを広げていけるかが、これからの我々の課題であると考えています。
この1,500例についてですが、1回の治療で約930万円かかると仮定すると、1,500例中1,000人に投与される場合、90億円程度の規模となる見込みです。これに早期に到達できるよう、当社と販売先である富士フイルム富山化学とで、どのようにマーケットを広げるかを集中的に検討しています。
また、スライドにも記載していますが、2030年までには遅くとも黒字化を達成したいと考えています。
テロメライシン注 発売の意義

これからの商品を「テロメライシン注」と呼びますが、このようなことから、食道がんのステージにかかわらず使用できる薬であること、また、食道が閉塞してしまった、例えばステージⅣの方でこれ以上治療ができない場合でも、放射線を使用したことがない方であれば、食道閉塞を解消するために放射線と併用して使用することが可能であるという特徴があります。
さらに、副作用については、発熱が約50パーセント、リンパ球数の減少が約30パーセントであり、非常に重い副作用は見られないという点も特徴です。
加えて、当社のさまざまな調査結果により、外来治療も可能になりました。具体的には、ウイルスを投与された患者さまが出血するといった場合でも、絆創膏や使用したティッシュをビニール袋に入れ、ハイターなど塩素系洗剤を入れて袋を密封し、普通のゴミとして処理可能となるように規制の解除がされています。
また、投与後1週間程度、糞便中にウイルスが排出されるというデータがありますが、日本の下水処理技術は非常に進んでおり、このウイルスが下水に流れても他人に移る可能性は極めて低いと考えられています。
「テロメライシン」の投与を受けた方については、1週間程度、排便後にハイターなどの塩素系洗剤をふりかけてからトイレを流すことが許容されており、こうした対応により外来治療が可能になったと考えています。
副作用については逆の視点となりますが、抗がん剤による非常に重い副作用、例えば毛が抜けたり、激しい吐き気に襲われたりするような症状を避けられるという利点もあります。
当然ながら、長時間にわたる侵襲度の高い手術の回避が可能です。また、手術に伴う腎臓や肺への合併症も回避できると考えています。
これらの点から、手術や化学放射線療法に次ぐ第3の選択肢となる可能性があると考えています。当社としても、創業以来掲げている「非常に手の込んだ食道がん治療の未来を少しずつでも変えていきたい」という目標に向けて取り組みを続けていきます。
サプライチェーンの状況

「テロメライシン」の発売に際して、サプライチェーンの状況についてご説明します。
この点については株主総会の際にもお話ししましたが、ベルギーで製造された「テロメライシン」製剤が日本国内に輸入され、神戸の三井倉庫で箱詰めされます。その後、富士フイルム富山化学に提供され、そこから各医療機関へ配送されるかたちで、卸業者による運搬が行われるという流れです。
このサプライチェーンはすでに確立されており、複数回にわたるトライアルを経て、医療機関への配送が問題なく行えることを確認しています。発売が間近に迫り、発売直後に医療機関へ届けるサンプルはすでに出庫待機状態となっています。追加の生産も年内にもう1回行われる予定であり、欠品が生じる可能性はほぼないと考えています。
また、有効期限に関しては、これまで18ヶ月とお伝えしてきましたが、年内には24ヶ月に延長できる見込みです。さらに、来年には36ヶ月、すなわち3年間、マイナス80度で安定的に保管できるようになると予測しています。
販売体制の整備

販売体制として、当社では市販後の安全性調査についても、安全性情報を厚生労働省に報告する体制を整えています。
富士フイルム富山化学では当然販売活動を行いますが、安全情報を各医療施設から収集する必要があります。この点についても、富士フイルム富山化学が協力する体制が整っています。
スライド下側に記載していますが、今後、8月13日に保険適用され、8月21日に実際に発売される見込みです。そのため、最も早い症例では8月21日から投与が開始されると聞いています。
現時点では今後どれほど売れていくかについては明言できませんが、当社と富士フイルム富山化学が可能な限り速やかにその数字を算出し、年内にまとめて、来年にはみなさまにご報告できるよう努めていきます。なかなか稀な市場であるため、少し時間を要しています。
OBP-301の新たな開発計画

「テロメライシン」の今後の適応追加の状況ですが、以前からお伝えしているように、「テロメライシン」を投与できる臓器であり、なおかつアンメットメディカルニーズ、すなわち十分な治療ができない領域を選択して進めています。
まずスタートしているのは、一番下に記載のある下部直腸がんや肛門がんといった、あまり多くの治療方法がない領域での取り組みです。
現在、すでにプロトコルの着手に至っているのが、喉頭がんです。これは、スライドの上から2番目に記載されている声帯の周辺の領域に該当します。喉頭がんでは、声帯を除去する手術を行うと声を出すことができなくなります。
そのため、声帯にまで浸潤していないがんに対しては、「テロメライシン」による治療によって声帯を残す治療法を実現したいと考えています。この取り組みをできる限り早く開始する計画です。
OBP-301 下部直腸がん・肛門腺がんパイロット試験

こちらは下部直腸がんの臨床試験の状況です。我々の目的は、当然がんを縮小させることですが、単独では肛門がんの治療はなかなか難しい状況です。現在、肛門がんに対しては化学療法および放射線療法が行われていますが、これに「テロメライシン」を上乗せします。
肛門や下部直腸は非常に投与しやすい領域であるため、頻回投与が可能です。こうした領域に「テロメライシン」を追加し、まず人工肛門を作る必要がない患者さまをどれだけ増やせるかを到達点とするパイロットスタディが、現在始まろうとしています。おそらく今月中に最初の症例が投与される見込みです。
知的財産権の拡大

もう1つニュースがあります。こちらもすでにお話ししていますが、腫瘍溶解アデノウイルスを内視鏡でがんの局所に投与する特許が、昨年、日本で成立しました。そして、今年になり欧州でもこの特許が査定を受け、使用可能になりました。一方、米国ではまだ特許審査中です。
この特許が査定されたことは非常に大きな成果です。食道がんや喉のがん、胃がんをはじめ、将来的には直腸がんにもカテーテルや内視鏡を用いて投与することが可能になるかもしれません。
このような技術は、すべて当社の特許に関連します。他のアデノウイルスがこの領域に参入する場合、当社にライセンス料を支払う必要が生じるため、当社にとって非常に有利な特許です。少なくとも食道がん治療分野では、世界でオンリーワン、そしてナンバーワンの地位を築ける可能性があると考えています。
続きまして、海外ビジネスの展開について、当社の樫原常務が説明します。
海外展開に向けた背景

樫原康成氏:事業開発を担当しています、常務取締役の樫原です。私からは「テロメライシン」の海外展開についてご説明します。
まずは、背景についてです。「テロメライシン」は6月8日に承認を取得し、8月5日には薬価案が了承されています。日本での承認に用いた放射線単独療法との併用で得られた臨床データを可能な限り活用し、新たな大規模臨床試験を必要としないかたちで、早期に各国での承認取得を目指すことが基本的な考え方です。
この考え方を前提に、各国の治療環境や薬事制度に加え、患者数、薬価、医療水準などを踏まえて、海外展開の戦略を立てています。
アジアに関しては、スライド左の図をご覧いただくとわかるように、患者さまの80パーセントがアジアに集中しています。非常に大きな患者市場があるため、重点的に注視し、事業提携を検討していきたいと考えています。
この中でも特に韓国と台湾の2ヶ国は、薬価制度などを考慮すると、非常に優先度が高い国だと考えています。また、シンガポール、タイ、マレーシアといった経済・医療水準の高い東南アジア市場にも、一定の事業機会があると考えています。
内視鏡診療については各国で地域差がありますが、今後、内視鏡が東南アジアに普及するに伴い、「テロメライシン」の普及も狙っていけるのではないかと考えています。
欧州については、アジアに次いで患者数が多い地域となっています。先ほど社長から、日本では放射線単独で治療される患者さまが約7パーセントから10パーセントいるとの話がありましたが、欧州諸国でも同程度の患者さまが放射線単独で治療されると考えられます。すなわち、最大で5,400人ほどの対象患者が見込まれる可能性があります。
これらの市場は、日本で承認を取得した放射線単独療法との併用によって展開できる可能性があると考えています。また、各地域の医師に確認したところ、「テロメライシン」には非常に高いニーズがあることがわかりました。
一方で、米国および中国に関しては、現時点では市場性や承認取得までに必要な開発内容について十分に検討できていません。特に中国では特許の問題もあるため、中長期的に対応を検討したいと考えています。
年内に海外1社と新たな契約を締結します

この考えに基づき、現在、具体的に進めている海外展開の活動についてご説明します。
まずアジアでは、台湾においてすでに2024年12月にMedigen社へ権利を許諾しています。日本と台湾の間には簡略審査という制度があるため、この制度を利用して早期の承認取得を目指し、両者間で準備を進めています。韓国についても、すでに複数の企業から提案を受け、具体的に契約条件の交渉を進めています。
また、先ほどお伝えしたシンガポール、タイ、マレーシアなどの国々をカバーする大手製薬会社とも協議を進めています。この地域全体を1社でカバーしていただくことを目指し、契約を模索しています。
欧州に関しても、すでに複数の欧州拠点の製薬企業から提携への関心を示されています。特に英国では、日本の承認を活用した英国での承認取得の可能性があり、International Recognition Procedure(国際承認手続き)という制度を利用して、まずは英国での検討を優先しています。
米国と中国については、中長期的な視点で今後どのようなかたちで提供していけるかを検討していきたいと考えています。
このように、アジアと欧州で具体的な事業化を進めることを現在の海外戦略の中心に置いています。その具体的な成果として、今年中に海外の1社と新たな提携契約を締結することを目指して活動を進めていきたいと考えています。
以上、「テロメライシン」の海外展開についてご説明しました。
トランスポゾン社の進捗及び今後の展開

浦田:「OBP-601」の状況についてお話しします。スライドに示したように、パイプライン、つまり臨床試験は現段階で準備中です。
トランスポゾン社の現状ですが、リードインベスターが見つかりました。年内クローズを目標に、2,000万ドルから3,000万ドルの資金を調達する計画で進行中です。ただし、準備にやや時間がかかっており、リードインベスターとそれ以外の投資家とのマッチングに時間を要しています。
一方で、メガファーマを中心とした製薬企業が引き続き関心を寄せています。ただし、これらの会社がターゲットとしているALSやアルツハイマー病といった大きな市場では、最近、臨床試験がなかなか成功していません。臨床試験を確実に成功させるため、投与量や投与期間、評価方法などについて、現在製薬企業が精査していると聞いています。
PSPにおいては、FDAからファストトラック指定を受けている状況に変わりはありません。資金調達が完了すれば、彼らが言うところの「用量最適化試験」をすぐに開始する予定です。この試験は製薬会社が非常に関心を寄せています。
また、難病であるALSに対するさまざまな薬を評価する「ヒーリーALSプラットフォーム」には、「OBP-601」がすでに採択されており、この状況も変わっていません。資金調達が完了次第、こちらもすぐに開始する予定です。
一方、アルツハイマー病については、「アルツハイマー病創薬財団」から500万ドルの資金が提供されています。この資金でなんとか開始することは可能ですが、開始後に頓挫するわけにはいかないため、引き続き資金調達を待っています。
さらに、「長寿・健康寿命延伸」に関する報告がされています。老化に対して「OBP-601」が効果を持つ可能性があるというものですが、「効く」については何をもって効果とするかが難しい課題となっています。ARPA-H(米国の医療先端研究計画局)から最大2,200万ドルの研究開発支援を受け、すでに米国の多数の研究施設でこの資金を活用した「OBP-601」の抗加齢効果に関する研究が始まっていると聞いています。
このような状況下では、まだ大きな臨床試験の進捗は見られません。しかし、彼らは少なくとも2,000万ドルから3,000万ドルの資金を調達し、1つの方法として来年のIPOを目指すことを想定しているようです。それが難しい場合でも、製薬会社と協力する選択肢も十分に残されています。
これまでトランスポゾン社の進捗をご報告する機会がなかなかありませんでしたが、後ろ向きに進んでいるわけではないことだけは確認できていますので、この場でみなさまにご報告します。
OBP-702 膵臓がん医師主導試験

「OBP-702」についてです。「OBP-702」についても、膵臓がんを対象とした医師主導試験が計画されています。「OBP-702」は非常に強力な抗がん活性を持っています。特に膵臓がんにおいては、CAFと呼ばれるがんに関連した間質細胞が薬剤治療を妨げる要因となりますが、この間質細胞にも「OBP-702」が効果を示すことがわかっています。
現時点では、ステージⅢおよびⅣの患者さまを対象としています。膵臓がんは発見された時点でほとんどの場合、ステージⅣであることが多く、早期の患者さまはあまり診断されません。この試験では、ステージⅢおよびⅣの患者さまに「OBP-702」を2回投与します。具体的には、内視鏡を使用して胃まで進み、胃から膵臓がんの部位に注射針を刺して投与する方法を取ります。
こうした試験を計画中であり、現在はPMDAと協議を進めています。臨床試験を開始するためのプロトコル作成や、特に製剤のCMCに関する照会事項への対応を進めています。できる限り早期に試験を開始できるよう、準備を進めています。
「2026年にご期待頂きたい事項」

パイプラインでは、冒頭でお話ししたように「2026年にご期待いただきたい事項」が多く存在しています。私たちも最大限努力をして、これらの課題をすべてクリアし、このような項目を達成したいと考えています。
以上でパイプラインの説明を終わります。続きまして、TOPIX採用について、秦執行役員から追加の説明をします。
TOPIX(東証株価指数)採用の見込み①

秦耕平氏:執行役員の秦です。TOPIX(東証株価指数)は、今年10月から制度が変更されます。従来は東証プライム上場企業のみが候補対象となっていましたが、今年10月からはすべての上場企業が候補対象となり、その中から選別された企業だけがTOPIXの採用企業になります。
採用基準は大きく2つあります。1つは株式の流動性で、年間売買代金回転率が0.2以上であることが新規採用の条件です。この基準は8月の回転率で判断されますが、現状では基準を大きく上回っています。そのため、流動性向上を目的とした株式分割は、現状では実施しない方針です。
TOPIX採用の見込み②

もう1つ基準があります。すべての上場企業の中で、浮動株時価総額の累積比率で上位96パーセント以内に入らなければならないというものです。
当社の7月までの実績については、SMBC日興証券から情報提供をいただき、基準に対する状況を確認しています。直近6ヶ月は採用のボーダーラインを上回って推移しています。こちらも8月の月中平均株価で判断されます。今後も情報公開を十分に行い、しかるべき浮動株時価総額を形成していきたいと考えています。
事業推進資金の獲得方針

浦田:事業推進資金の獲得方針についてです。先ほど決算状況についてお話ししましたが、2026年は、マイルストーンや製品販売などの事業収入や銀行借入による資金で事業を運営しています。したがって、現時点では2026年度内に株式の希薄化を伴う資金調達を実施する予定はありません。
もちろん、「テロメライシン」の売上によって、来期もできる限りこの状況を維持したいと考えています。
“Next Door” ~新たな展開へ~

最後に、「Next Door」について株主総会でもお話ししてきましたが、だんだんと当社が見える景色が変わってきました。これまでは研究開発を進めるステージで、「テロメライシン」が薬になるか決定していないという状況が昨年まで続いていました。
しかし、現時点では当社は「テロメライシン」という製品を保有する会社となりました。このように考えると、当社もバイオベンチャーという枠にとどまるのではなく、製薬企業としての体制を整えるべき時期に来ていると考えています。
もちろん、研究開発は今後も続けていきますが、製品を持つ会社としての経営という観点では、これまでとは大きく景色が変わります。社内の体制も変化が求められる中、新しいファンクションを持ったスペシャリストを当社に迎え入れ、新たな「オンコリス」を築いていきたいと考えています。
今後10年間にはさまざまな変化が見込まれます。その1つとして、自社で製造ができる会社になること、さらに自社で営業ができる会社になることを実現することで、本当の意味で製薬企業としての姿を確立することができます。
私たちはその目標に向かって歩みを進め、今まさに新たな扉が開かれた状況にあります。これからもオンコリスバイオファーマは、全力で努力を重ね、会社の成長を推進していきます。
以上で発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:薬価算定と類似薬効比較方式の選定経緯について
司会者:「薬価について教えてください。薬価は類似薬効比較方式で決定されました。原価計算方式の可能性も想定されたと思いますが、類似薬効比較方式で算定された理由や、原価計算方式よりも希望に沿う薬価であったのか、これらについて教えてください」というご質問です。
浦田:薬価算定については、先ほど少しお話ししましたが、「デリタクト」というヘルペスウイルス製剤と比較されることを、最終的に厚生労働省から通告されました。当社としては、原価計算方式による薬価を想定したこともあります。しかし、先ほどからお話ししているように、当社の製品はベルギーのサーモフィッシャーグループで製造しているため、その会社から実際の原価を当社に開示してもらうことは、なかなか厳しいというより不可能でした。
そのため、サーモフィッシャーグループに「直接、厚生労働省に原価を出して話し合いをしてほしい」と依頼したところ、「それはいいですよ」と回答を受けました。しかし、さまざまな紆余曲折を経た結果、「デリタクト」との類似薬効比較方式で薬価が決定しました。どのような議論が行われたのかについては、当社には開示されていません。
基本的に、当社は原価計算方式でも高い薬価を取得できるよう準備をしていましたが、結果的に妥当な薬価が設定され、類似薬効比較方式でも成果が得られたと考えています。
質疑応答:「テロメライシン」の市場規模の見通しについて
司会者:「『テロメライシン』の市場規模の見通しについてコメントをお願いします。食道がんの患者さまが毎年2万5,000人以上いらっしゃることや、医療機関の口座を多数開設することを目指している状況を考慮すると、1患者あたり930万円の薬価であれば、薬価ベースで100億円以上の製品まで、『テロメライシン』は早期に成長するのではないか」というご質問です。
浦田:我々もそれは望むところであり、その実現に向けて富士フイルム富山化学ともディスカッションを進めています。ただ、「マーケット」という表現が適切ではないかもしれませんが、食道がん、内視鏡、あるいは放射線を担当する医師の間で、これから「テロメライシン」についての正しい情報がどれだけ広がるかという点では、発売後も多少時間がかかるのではないかと思います。
また、厚生労働省の適正使用ガイドラインも策定されています。この中では、どの医療機関でも使用できるようになるわけではなく、「テロメライシン」の使用方法が十分に周知され、ウイルスの取り扱いやカルタヘナ法に準じた患者さまへの対応ができる医師に限定されています。なおかつ、放射線と「テロメライシン」を投与できる条件が整った医療機関での使用が求められています。
とはいえ、日本国内には、がんや放射線の取り扱いが可能な中規模以上の病院が何百も存在します。そのような条件が課されても、特段売上に大きな制約があるわけではありません。
潜在的な患者さまを含めて1,000例以上の患者さまが存在すると考えています。すべての患者さまに3回ずつ投与されれば、薬価ベースで90億円から100億円の製品への成長も達成可能と考えていますが、多少時間がかかると見込んでいます。
質疑応答:「テロメライシン」の販売体制と今後の計画について
司会者:「『テロメライシン』の販売促進活動について教えてください。富士フイルム富山化学のMRがメインで実施すると思いますが、それ以外にオンコリスから専門MRなどの販売促進部隊を派遣する必要はあるでしょうか?」というご質問です。
浦田:富士フイルム富山化学でも非常に強力な販売体制を整えていただいています。現時点では、「テロメライシン」に特化した販売グループに、指名されたMRが20名以上いらっしゃいます。
富士フイルム富山化学も、別途、自社の再生医療等製品を取り扱うことになると思います。そのような意味で、大変イノベーティブな方々がセールスグループに所属していると聞いており、当面は当社からMRを派遣する段階ではないと考えています。
ただし、販売計画や「このような患者さまに使えるかどうか」に関するディスカッションについては、当社のメディカルアフェアーズ部の担当者が中心となり、富士フイルム富山化学とともにマーケットを検討する体制が整っています。
今後どのように売上が伸びていくのかはまだ明確ではありません。ただし、もし本当に売上が過度に拡大することが明らかになった場合には、MRを増員していただく、あるいは当社から適切なMRを派遣する可能性も考えられます。しかし、現時点ではそのような計画は考えていません。
質疑応答:「テロメライシン」効能拡大の準備状況と今後の計画について
司会者:「『テロメライシン』の効能拡大の準備状況について教えてください。直腸がんで開発を進めていますが、中期的な目標として、直腸がんでの販売開始時期の目標などがありましたら教えてください」というご質問です。
浦田:先ほどお話しした下部直腸がん・肛門がんについてですが、1例目が今月中に入る見込みです。まずは本当に効くかどうか、また人工肛門を造設する必要がないほど効果があるかどうかを確認する必要があります。
その結果を基に「これでいけるだろう」となれば、しっかりとした臨床試験を行います。これもおそらくオーファン領域に該当すると思われますので、研究班を組織し、2030年頃にはその成否を明確にする予定です。場合によっては2030年を少し過ぎる可能性もありますが、その頃までには効能拡大として、新しい「テロメライシン」の市場に参入したいと考えています。
また、できる限り同じタイミングで喉頭がんも効能拡大の対象に加える予定です。先ほどお話ししたように、「テロメライシン」の単年度売上が100億円を超えるような施策を進めていきたいと考えています。
質疑応答:「テロメライシン」の製造体制について
司会者:「製造について教えてください。『テロメライシン』の製造は、ベルギーのヘノジェン社に委託していますが、年間キャパシティの上限など、何らかの製造能力の制約があるようでしたら教えてください」というご質問です。
浦田:ヘノジェン社とは、製造方法も含めて相当長い期間にわたり、かなり詳しく話を詰めてきました。国内の売上予測はまだ明確ではありませんが、ヘノジェン社から当社に十分な供給量を提供できる状況であることは、すでに確認済みです。
先ほどお話ししたように、効能追加が進んだり、予想以上に市場が広がった場合には、もう一度ヘノジェン社と話し合い、調整が必要になる可能性がありますが、当面は十分な供給が可能な状況で契約を進めていく方針です。
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