2027年3月期第1四半期決算説明
三井物産、当期利益は1Qで過去最高、基礎営業CFと共に計画を上回る進捗 2,000億円の自己株式取得を決定、資本効率向上と株主還元強化へ
2027年3月期第1四半期決算説明
田中誠氏(以下、田中):三井物産株式会社代表取締役常務執行役員CFOの田中です。本日は、お忙しい中ご参加いただき誠にありがとうございます。
はじめに、このたびの熊本地震により亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災されたみなさまに心よりお見舞い申し上げます。
現時点では、当社グループの事業活動に重大な影響は確認されていませんが、引き続き被害状況を注視していきます。また、先ほど公表のとおり、当社として適切な支援・対応を行っていきます。
それでは私から、2027年3月期第1四半期の経営成績概要についてご説明し、その後、経理部長の栗原より詳細をご説明します。
経営成績サマリー

当四半期の経営成績サマリーについてご説明します。基礎営業キャッシュ・フローは前年同期比646億円増の2,809億円、当期利益は前年同期比1,025億円増の2,941億円となり、ともに大幅な増加となっています。当期利益は、第1四半期で過去最高益となりました。
基礎営業キャッシュ・フロー、当期利益ともに、資産リサイクルやミドルゲームの推進を軸に事業計画を大きく上回るペースで進捗しています。
また好調な業績を受け、資本効率の向上と株主還元の強化を目的として、2027年1月末を期限とする2,000億円の自己株式取得を機動的に決定しました。継続的な1株当たりの価値を高めるために、今回取得する全株を消却します。
中東情勢の影響も見極めつつ、事業計画に対する高い進捗率や今後の見通しを踏まえ、適切なタイミングで通期業績予想の見直しを行っていきます。
2027年3月期 事業計画に対する進捗率

こちらは事業計画に対する各セグメントの進捗率を示したものです。イノベーション&コーポレートディベロップメントセグメントでは、大型の資産リサイクル益を中心に極めて高い進捗率となりました。
化学品セグメントでは、ミドルゲームの推進によりトレーディング及びメタノール事業を主因に高い進捗率となっています。
エネルギーセグメントでは、第2四半期以降に、LNG関連や資産リサイクル益を主因とする、本格的な貢献を見込みます。
中期経営計画2029 キャピタル・アロケーション(更新)

中経2029のキャピタル・アロケーションについて、更新した内容をご説明します。
中経2029のスタートとして順調な出足であり、機動的に自己株式取得を行う方針に照らして、今回2,000億円の自己株式取得を決定しました。優良な成長投資案件はしっかりと進捗、また新規の成長案件も着々と準備が進んでおり、中経期間中に、引き続き追加還元を行う確度は高いと考え、当社の経営の意思を明確にするべく、株主還元の割合目標を基礎営業キャッシュ・フローの50パーセント超に更新しました。
マネジメント・アロケーションは、ベースケースを2.4兆円としており、今回決定した2,000億円の自己株式取得はこの中から充当します。
当社は、ミドルゲームの推進により基礎営業キャッシュ・フロー基盤の更なる強化と資産価値の向上を進め、さらに機動的な資産リサイクルを推進することで、マネジメント・アロケーションを拡充し、6兆円を超える豊富なパイプラインから厳選した優位性の高い成長投資と、配当・自己株式取得にバランスよく配分していきます。
29年3月期にROE12パーセントを確実に達成すべく、経営環境の変化に応じてマネジメント・アロケーションの金額・使途を決定し、ステークホルダーのみなさまとのエンゲージメントを継続していきます。
キャピタル・アロケーション見通し・実績

こちらのスライドでは、キャピタル・アロケーションの見通し・実績についてご説明します。キャッシュ・インは、基礎営業キャッシュ・フロー2,810億円と、資産リサイクル590億円を合わせて、3,400億円となりました。キャッシュ・アウトは投融資合計で1,470億円となりました。
計画を上回る進捗を踏まえ、第2四半期にこれまでどおり、通期業績予想と合わせてキャピタル・アロケーションを見直す予定です。
成長投資による収益貢献開始時期

続いて、新規案件の収益貢献時期について、現時点での見通しをご説明します。中経2026に実行した成長投資案件は着実に進捗しています。2026年3月期に商業生産を開始した豪州天然ガス事業Waitsiaは、当四半期から収益貢献が始まりました。
また、2025年に投資を実行した米国太陽光発電事業も予算内で完工し、第2四半期に収益貢献の開始を見込んでいます。
中経2029で発表した、進化した3つの攻め筋に沿って、計画策定時には未算入であった案件も含め、豊富な投資パイプラインの中から厳選した投資を確実に積み上げ、既存事業のミドルゲームとともに更なる成長を実現していきます。
なお、7月22日に公表したPenske Automotive Groupの浮動株買収提案に関しては、現時点ではこのスライドに記載していません。今後の進捗を踏まえ、適切なタイミングでご説明したいと思います。
株主還元

株主還元方針についてはすでにご説明したとおり、好調な進捗を受け、資本効率を高め、また株主還元を強化するべく2027年1月末を取得期限とする2,000億円の自己株式取得を決定しました。その後、全株を消却予定です。
当社は、再現性の高いキャッシュ創出力の拡大に応じて、継続的な配当の引き上げを図るとともに、資本効率向上等を目的に、金額・時期も含めて機動的に自己株式取得を実行していくことを株主還元方針としています。
今後も、成長投資とのバランスも意識しながら株主還元の拡充に努め、基礎営業キャッシュ・フローに対する株主還元の割合の目標である50パーセント超を実現します。
以上で、私からの説明を終わらせていただきます。続いて、経理部長の栗原より、四半期業績の詳細をご説明します。
基礎営業キャッシュ・フロー(実績) セグメント別前年同期比 増減要因

栗原雅男氏:経理部長の栗原です。それでは、経営成績の詳細についてご説明します。まず、基礎営業キャッシュ・フローの前年同期比増減について、セグメント別にご説明します。当四半期の基礎営業キャッシュ・フローは、前年同期比646億円増加の2,809億円の獲得となりました。
金属資源では、鉄鉱石及び原料炭価格が上昇しましたが、原料炭コスト増等を主因に、29億円減少の690億円の獲得となりました。
鉄鋼製品では、19億円減少の44億円の獲得となりました。
エネルギーでは、海外エネルギー事業のIPOに伴うFVTPL評価益、米国ガス事業等を主因に、317億円増加の801億円の獲得となりました。
モビリティ・デジタル・インフラでは、関連会社及び一般社外宛投資からの配当増加を主因に、131億円増加の465億円の獲得となりました。
化学品では、前年同期における引当金取崩益の反動がありましたが、トレーディング、メタノール事業の増益を主因に、82億円増加の409億円の獲得となりました。
ウェルネスエコシステムでは、前年同期の「その他、調整・消去」とのセグメントをまたぐ取引の反動を主因に、86億円増加の76億円の獲得となりました。
イノベーション&コーポレートディベロップメントでは、量子コンピューティング事業のIPOに伴うFVTPL評価益を主因に、126億円増加の247億円の獲得となりました。
その他の要因として、ウェルネスエコシステムとのセグメントをまたぐ取引の他、各セグメントに賦課しない経費・利息・税金を主因に、48億円減少の77億円の獲得となりました。
四半期利益(実績) セグメント別前年同期比 増減要因

次に、当四半期利益の前年同期比増減についてセグメント別にご説明します。当四半期利益は、前年同期比1,025億円増益の2,941億円となりました。
金属資源では、銅・鉄鉱石・原料炭価格上昇、鉄鉱石の数量増を主因に、97億円増益の612億円の利益となりました。
鉄鋼製品では、12億円減益の53億円の利益となりました。
エネルギーでは、海外エネルギー事業のIPOに伴うFVTPL評価益、米国ガス等を主因に、142億円増益の344億円の利益となりました。
モビリティ・デジタル・インフラでは、自動車やガスインフラの増益を主因に、236億円増益の730億円の利益となりました。
化学品では、トレーディング、メタノール事業の増益がありましたが、前年同期の評価性/一過性の反動を主因に、43億円減益の266億円の利益となりました。
ウェルネスエコシステムでは、前年同期の資産リサイクル益の反動はありましたが、タンパク質をはじめとする食料事業での増益を背景に、36億円増益の184億円の利益となりました。
イノベーション&コーポレートディベロップメントでは、米国不動産所有・運営事業であるCIMグループの事業再編に伴う資産リサイクル益や量子コンピューティング事業のIPOに伴うFVTPL評価益を主因に、549億円増益の652億円の利益となりました。
その他の要因として、各セグメントに賦課しない経費・税金・利息等により20億円増益の100億円の利益となりました。
四半期利益 要素別増減分析(前年同期比)

ここでは、当四半期利益を前年同期と比較し、その増減を要素別にまとめています。事業別の「基礎収益力」は、化学品トレーディング、自動車、タンパク質を中心とした食料事業、メタノール事業などを主因に、合計では460億円の増益と大きく伸長しました。
金属資源とエネルギーの「コスト・数量に関わる基礎収益力」は、原料炭におけるコスト増がありましたが、鉄鉱石・エネルギーにおける数量増やコスト減を背景に、10億円の増益となりました。
「市況」は、銅、鉄鉱石、原料炭等の価格上昇により金属資源全体で140億円の増益となりました。「為替」は、円安を主因として170億円の増益となりました。この結果、「市況・為替」は310億円の増益となりました。
「資産リサイクル」は、CIMグループ事業再編を主因に420億円の増益となりました。
「評価性/一過性要因」は、170億円の減益となりました。
2026年6月末 バランスシート

当四半期末のバランスシートについてご説明します。2026年3月末と比較して、総資産は0.1兆円減少し、20.7兆円となりました。一方、ネット有利子負債は0.3兆円増加し、4.4兆円となりました。また、株主資本は0.2兆円増加の9.0兆円となりました。この結果、ネットDERは0.49倍になりました。
以上をもちまして、私の説明を終わります。
質疑応答:基礎収益力の伸長要因について

質問者:「四半期利益 要素別増減分析(前年同期比)」(説明会資料13ページ)の事業別の基礎収益力からFVTPLの増益幅を除いた基礎収益力の継続的な向上として、第1四半期を振り返って手応えを感じている事業と、その伸びている背景について解説してください。
田中:化学品トレーディングは、基礎化学品をはじめとして、中東情勢により市況も物流量もタイトな中、製品自体と、物流、貯蔵タンク、タンカーなどの組み合わせでお客さまに対してソリューションが提供できています。
市況のボラティリティは引き続き高いので、このままの数字が継続するわけではないと思いますが、堅調さや確からしさという意味で、引き続き当社が役割や機能を発揮できる機会はあると思います。
メタノールは、アメリカ及び中東で製造事業を行っており、中東は製品を出荷できないのでマイナスのインパクトが出ていますが、アメリカの事業でそれを上回るプラスが出ています。
アメリカ産のコスト競争力のあるガスを原料として調達でき、生産されたメタノールは強含んだ国際価格で販売できるので、利幅が大きくなっており、この状態はしばらく継続すると考えています。
自動車は、円安の効果もあったと思いますが、北米・南米を中心に少しずつ利益が積み上がっています。
食料は、主に養鶏事業が、各地域で堅調な消費が続いており、この状況は今後も持続すると考えています。
質疑応答:米州自動車事業の収益持続性について
質問者:米州の自動車が極めて強い点に関し、これはどこかの地域に偏っているのではなく、全体的に継続的に利益が上がっており、今後も期待できそうなものという見方をしているのでしょうか?
田中:そのような見方をしています。
質疑応答:キャピタル・アロケーション見直しの考え方について

質問者:「キャピタル・アロケーション見通し・実績」(説明会資料7ページ)に、第2四半期でキャピタル・アロケーションの金額・配分を見直す予定と記載されていますが、現時点で見直す方向性のものはどの項目ですか。第1四半期の進捗率が高い基礎営業キャッシュ・フローが挙げられると思いますが、リサイクルや新規投資の方向感、追加還元の可能性についても解説してください。
田中:今回、還元割合の目標を50パーセント超に更新していますが、5月に公表した時点から考え方はまったく変わっていません。マーケットとの会話を踏まえ、第1四半期の堅調な業績を踏まえてこのタイミングで更新しました。
通常は第2四半期で通期予想の見直しを行いますので、基礎営業キャッシュ・フローの見直しも入ってきますし、今の状況であれば、ある程度上方修正の可能性もあります。
また、リサイクルや今仕掛けている新規投資案件を、第2四半期決算公表時には具体的な名前でご説明できますので、それらを踏まえて、アロケーションを見直したいと考えています。
還元について、現在は50パーセント超という言い方をしていますが、単年で見ればすでに57パーセントぐらいまで上がってきており、2年目から3年目を50パーセントで置くと、全体としては50パーセントを超えるというのが今のベースケースです。
毎年度必ずではないものの、このように見直していくのが当社のスタイルです。過去の実績を見ていただき、ご理解いただければと考えています。
質疑応答:第1四半期業績の評価とエネルギー事業の見通しについて

質問者:一過性要因やFVTPLもあり、実際の進捗が見えづらいのですが、第1四半期の業績は社内計画に対しどの程度上振れたのか、コメントできる範囲で教えてください。また、エネルギーにつき第1四半期は通期計画に対して低進捗となっていますが、今後の見通しについて教えてください。
田中:当社は、過去の実績を見ていただくと、第1四半期が弱く、第3四半期が強い傾向にあります。これはLNG物流やLNGプロジェクトからの配当のタイミングが1つの要因です。
そのような背景がある中で、第1四半期実績の進捗率が、しっかり30パーセントを超えてきたというのは高い進捗と認識しています。第1四半期の実績として、史上最高値を更新していますし、真水でもかなり強い数字になっていますので、十分に自信を持てる数字と思います。
FVTPLも米国不動産所有・運営事業のCIMリサイクル益も、計画より上振れた数字で出ています。また、第1四半期で見込んでいたものの、期ずれとなった利益もありますので、それも考慮しますと、全体で強いイメージを持っています。
エネルギーに関しては、進捗は低いですが、第1四半期で見込んでいたリサイクル益が実現しなかったことが1つの要因です。また、LNGの大口配当が下半期に予定されていること、LNG物流自体も、少し下半期に利益が偏るような傾向になっているものもあり、足元の実績は少し弱く見えています。これは必ずキャッチアップしていきます。
質疑応答:ROE目標達成に向けた財務レバレッジの考え方について

質問者:第2四半期にてキャピタル・アロケーションを見直すという話もありましたが、ROEの目標達成に向けて、レバレッジを上げて達成を目指すといった議論はあるのでしょうか?
田中:中経公表の際にもご案内しましたが、ROE12パーセントは、当社における最重要KPIであり、2029年3月期の12パーセントは必達と考えています。
ただ、まだ2年半以上ある話でして、しっかりその道筋がついていれば、今ここで何か断定的に言う必要はなく、選択肢を幅広く持ちたいというのが当社の考え方です。今後もこのような機会を通じて、四半期毎にしっかりお話をさせていただいて、当社の考え方をご理解いただければありがたいです。
今回、2,000億円の自己株式を取得しますし、2.4兆円のマネジメント・アロケーションの前提は、多少レバレッジをかけることも想定しています。さまざまなアプローチがあると思いますが、当社としては、この3年間の帯でしっかりコントロールしていきたいというスタンスです。
質疑応答:LNG物流事業の収益見通しについて
質問者:LNG物流の業績が第1四半期では、想定よりも低かったのですが、下期により収益が出てくると理解してよろしいでしょうか?
田中:LNG物流の詳細はご説明できないのですが、需要地の冬場にあたる下半期でのデリバリーが増えていく中で収益を出せる体制を作っております。
質疑応答:ROE向上に向けた株主還元の考え方について

質問者:今回発表された2,000億円の自己株式取得を含めると、現時点での今年度の基礎営業キャッシュ・フローに対する還元割合が57パーセントとなり、目標の50パーセント超となります。御社のROEを今後改善させるためには、総還元性向を引き上げていく必要があると思いますが、株主還元についてどのようにお考えでしょうか?
田中:恒常的にROEを上げていく上で、総還元性向を引き上げなければ自己資本の積みあがるスピードが速すぎるという問題意識と理解しますが、総還元性向が50パーセントであればご認識の通りです。
しかしながら、当社は利益を伸ばすことで、ROEの改善を図ろうとしています。中経2029にて公表した利益目標に留まらず、更に拡大できれば、12パーセントのレベルは十分に視野に入ると考えています。
中経2029発表時にご案内のとおり、ミドルゲームや即効性のある新規案件を通じて利益成長の確からしさをお示ししていく考えです。現時点では、そうした即効性のある新規案件をお見せできていませんが、今後適切なタイミングでご説明します。
なお、ROE12パーセントを持続的に達成していく上で、還元割合が50パーセント超でよいかという点については、経営陣も強い課題意識を共有しており、資本効率向上と成長投資のバランスを踏まえながら、社内でも継続的に議論しています。
質疑応答:ROE向上に向けた財務レバレッジの考え方について
質問者:成長投資に充てられる金額は御社の財務レバレッジやネットDERにも関係してくると思いますが、御社内でどのような議論がなされているか教えてください。
田中:ネットDERは、その時点の一時のいわば輪切りの指標であり、ネットDERをターゲットにした場合、市況など多くの変動要因によって変化してしまいます。よって、これまで明確なターゲットの設定はしていませんでした。
一方で、他社では0.6倍といった目安が示されている中、0.6倍を無視するようなことはなく、当社の経営状況、今後の投資案件の規模、マクロ環境等を踏まえた上で、どのようにレバレッジを変化させていくか、経営陣で毎週のように議論しています。ROEを引き上げていく上で、常にレバレッジも考慮している点はご理解いただければと思います。
質疑応答:PAG案件とマネジメント・アロケーションについて
質問者:先日発表されたPenske Automotive Group, Inc.(以下「PAG」)の全浮動株を対象とした買収の提案は、現時点では金額・案件ともに未定のため、資料上はマネジメント・アロケーションからは未配分と整理されていますが、案件が成立した際には、この枠から配分するという理解でよろしいでしょうか?
また、最終年度でのROE12パーセントを達成するためには、積極的に投資を行う必要があると思いますが、株主還元とのバランスも含め、マネジメント・アロケーションから配分する時間軸を教えてください。
田中:PAGの件については、ご理解の通りマネジメント・アロケーションからの支出となります。
時間軸ですが、収益貢献の即効性があり、過去の実績から見ても確度の高い案件を積み重ねることで、リターンの確からしさをお示ししていきたいと考えています。早期に実績をご案内できるように、そして利益貢献度を高められるように、着実に案件をクローズすることが重要だと考えていますし、「成長投資による収益貢献開始時期」(説明会資料P8)で描いている収益貢献開始タイミングを守ることが、当社として重視しているポイントです。
質疑応答:PAG案件のシナジーとミドルゲームについて
質問者:投資によって単に利益を取り込むだけでは無く、相乗効果や機能連携などのミドルゲームの取組みを早期に実現していかないと、ROEやROICの向上は実現できないと思います。
例えば前述のPAG案件に関して、どのようなシナジー効果を見込んで投資を実行したか、リターンを着実に高めていくためにどのようなミドルゲームでの工夫をされるか、教えてください。
田中:PAG案件に関して、現時点では詳細なご説明は差し控えたいと思いますが、当社は長年にわたりPenske Corporationと協業してきており、相互の信頼関係、確かな実績もあります。トラックリース事業での協業もしていますが、当社は単独で行っているトラックオークション事業もあり、事業面での広がりも見込めると考えています。
ミドルゲームの取組みについては、いくつか例を挙げてご説明したいと思います。まずはエームサービスの事例です。過去からも国内事業を中心に収益力は高かったものの、当社の機能発揮により更に収益を伸ばせると考えたことから、当社の100パーセント子会社化を果たし、従来よりも積極的に成長投資を行っています。このような、成長投資をもとにした、収益改善に向けた取り組みを行うことで、既存事業強化を積み重ねています。
また、赤字事業からのターンアラウンドやExitも重要です。親会社で行う事業では、例えばコーヒーや砂糖の事業が該当します。関係会社のJA三井リースに関しては、昨年度に一過性の持分法損失を計上しましたが、資本増強を行い、今期は堅調な実績となっています。このような事例を積み重ねていますので、時間が経過するにつれて、実績をお示しできると考えています。
質疑応答:モビリティ・デジタル・インフラと化学品の増益要因について

質問者:「四半期利益 前年同期比 増減要因(セグメント/要素別)」(説明会資料26ページ)で開示されている、モビリティ・デジタル・インフラの基礎収益力について、自動車以外の要因を教えてください。また、(同27ページ)化学品の基礎収益力における前年同期比増減要因についても教えてください。
橋本:モビリティ・デジタル・インフラの基礎収益力の伸長ですが、自動車事業以外にガスインフラ事業、タンカー保有関連事業、加えてモビリティ事業の社外投資先からの配当やIPP事業、メキシコの下水処理事業等の積み上げとなっており、非常に力強い伸長を感じています。また化学品については、化学品トレーディング、メタノール事業が主因となります。
質疑応答:追加株主還元の可能性と判断基準について
質問者:当期中に追加の自己株式取得を実施する可能性があるのか、また、その判断に当たりどのような要素を重視するのか教えてください。あわせて、マネジメント・アロケーションについては、中経の3年間を通じて管理する考えなのか、それともROEなどを踏まえながら各年度ごとに管理していく考えなのかお聞かせください。
田中:自己株式取得や増配などの追加株主還元については、中経3年間におけるキャピタル・アロケーション全体のバランスを踏まえ、格付機関との対話も通じてレバレッジを適切に管理しながら判断していきます。
一方で、中経の最終年度にまとめて株主還元を実施するのではなく、今回決定した2027年1月までの2,000億円の自己株式取得のように、各期の進捗を踏まえながら機動的に対応していく考えです。
また、追加株主還元の判断に当たっては、ROEやマネジメント・アロケーションの状況に加え、成長投資案件の進捗や新たな投資機会の有無を重視しており、中経策定時に想定していなかった有望な投資案件が生じた場合においても積極的に取り組んでいきます。
そのため、現時点で数年先までの株主還元を確定することは難しく、今後の投資機会や事業環境の変化を踏まえながら判断していきます。
質疑応答:成長投資案件とマネジメント・アロケーションの関係について

質問者:「成長投資による収益貢献開始時期」(説明会資料8ページ)のチャートで示されている投資案件とマネジメント・アロケーション2.4兆円の関係を教えてください。
田中:チャートに掲載されていない成長投資案件もあるため、掲載案件のみでマネジメント・アロケーション2.4兆円の中の成長投資枠が全額埋まるわけではありませんが、マネジメント・アロケーションにおける成長投資の大部分は同チャートに掲載された案件で構成されています。
今後、中経策定時に想定していなかった新たな投資案件が出てきた場合には、それらも成長投資の対象として取り込み、必要に応じて他案件の見直しや資産リサイクルを行いながら対応していく考えです。
質疑応答:鉄鉱石事業の生産・価格動向について

質問者:鉄鉱石事業は第1四半期に堅調な業績となりましたが、期初に見込んでいた生産量の減少見通しに変化はあるのでしょうか? また、足元の鉄鉱石価格の下落やBHPのストライキ問題を踏まえた事業環境と今後の見通しについて教えてください。
田中:足元の生産数量は当初想定を上回って推移していますが、現時点で通期見通しを変更する段階には至っていません。鉄鉱石価格は中国経済の影響などから必ずしも強い状況ではなく、フレート高の影響もあるため、市場環境は楽観できる状況ではありませんが、まずは堅調な生産を維持していく考えです。
橋本:生産量増加は主にRio Tintoの堅調な操業によるものであり、通期見通しの見直しについては第2四半期終了後に検討します。BHPのストライキについては、代替要員の活用などにより影響は限定的とみており、想定以上に長期化しない限りは管理可能と考えています。
需給面では中国の不動産市場の低迷が続く一方で、AI関連需要やEV輸出は堅調であり、粗鋼生産にも回復の動きが見られることから、中長期的な市場見通しに大きな懸念はないと考えています。
質疑応答:第1四半期実績の計画対比とセグメント別動向について

質問者:第1四半期の実績について、実力ベースでは会社計画に対してどの程度上振れ、または下振れているのでしょうか? セグメント別の上振れ・下振れの濃淡とその背景を教えてください。
田中:金属資源については、全体として概ね想定どおりです。ただし、原料炭では、Dawsonにおける降雨の影響による減算に加え、ディーゼル価格の上昇に伴うコスト増もあり、想定を下回りました。その他の事業については、特段の問題はなく、計画の範囲内です。
エネルギーについては、大型リサイクル案件の一部に期ずれが生じており、損益およびキャッシュ・フローの双方で計画をやや下回っています。
ただし、あくまで期ずれによるものであり、今後キャッチアップできると認識しています。当期利益、キャッシュ・フローともに、第2四半期以降に着実な進捗を見込んでおり、現時点で大きな懸念はありません。
モビリティ・デジタル・インフラは、全体として堅調に推移しており、計画を上回っています。化学品についても同様です。
ウェルネスエコシステムについては、全体として概ね計画どおりです。養鶏事業をはじめとするタンパク質分野は想定を上回った一方、流通・ウェルネス分野は事業計画並みの進捗となっており、今後の動向を注視していく必要があります。
イノベーション&コーポレートディベロップメントについては、FVTPLおよび米国不動産所有・運営事業CIMのリサイクルが事業計画を上回る評価水準となったことから、大きな上振れ要因となっています。
また、商品デリバティブトレーディングについても、市場のボラティリティが高い環境下で着実に利益貢献しており、計画を大きく上回っています。
質疑応答:資産リサイクル進捗について
質問者:第1四半期の資産リサイクルの進捗が遅れていますが、これはタイミングの問題であり、何か環境変化が起きている状況ではないという理解でよろしいでしょうか?
田中:特段、資産リサイクルの環境が変化している認識はありません。進捗が遅れている1つの要因は、エネルギーにおけるリサイクルの期ずれです。また、化学品でも、プレスリリース済みの曽田香料の期ずれがありました。これらの案件は、第1四半期にリサイクル益を計上予定でしたので少し弱めに見えています。
質疑応答:ポートフォリオ良質化に向けた取組みについて
質問者:中経2026では、効率化・ターンアラウンドによる利益の上積みについて説明されていました。その観点から第1四半期に進捗が見られた取組みがあればご紹介ください。
田中:ミドルゲームや効率化・ターンアラウンドの取組みは、継続的に取り組むべき課題であると考えています。事業環境の変化に伴い、これまで収益を上げていた事業の業績や将来見通しが悪化する可能性もあるため、先見性をもって事業を評価し、必要に応じて早期に売却することで、バリューの最大化を図る取組みを継続しています。中経2029においても同様です。
特に赤字事業への対応に加え、収益規模が小さく成長性が見込めない事業についても対象とし、子会社、関係会社を含めたポートフォリオの良質化を進めています。
具体的には、ROICを活用し、業界WACCとの比較を行いながら評価を進めています。デジタル技術を活用しながら分析を進めていますが、まだ着手した段階であるため、本取組に起因する売却・撤退事例はありません。秋口にかけて検討を進めていく予定であり、これが現在の全社的なポートフォリオ見直しの方向性です。
先日プレスリリースした曽田香料の売却に関して、同社は赤字事業ではなく優良企業でしたが、当社として貢献できる役割は一定程度果たすことができたと考えておりました。その上で、同社のさらなる成長や企業価値向上の観点から、新たな株主を迎えることが最適であると判断し、協議を進めた結果、条件面で合意に至りました。
このように、黒字事業であっても、事業の将来性や当社グループ全体のポートフォリオ戦略の観点から取組方針を継続的に見直しています。
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