2026年8月期第3四半期決算説明
キャスター、オンラインアシスタントの知見を強みにAI投資を推進し成長基盤を構築 AI関連の売上比率向上へ
沿革

勝見彩乃氏:本日はお忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただきありがとうございます。IRを担当している執行役員の勝見です。初めて当社の説明会をご視聴いただいている方もいらっしゃるかと思いますので、会社についてご説明します。
当社は2014年の創業時より、フルリモートという新しい働き方を実践してきた企業です。多様なスキルを持つ人材を幅広く活用しながら、クラウドツールと人的リソースを融合させたBPaaSモデルで事業を拡大し、人手不足や人材難に直面する企業に対して人的リソースを提供してきました。
そのような新しい働き方や経営手法のパイオニアとして、2023年に東証グロース市場に上場しました。さらに、2025年からは「AI FIRST経営」を掲げ、AIとヒトを融合させてバックオフィス業務を高度に効率化するAI-BPaaSとして事業を進化させています。
この進化を実現するため、AIや技術に関連する子会社を合計3社取得・設立し、キャスターグループの体制に移行しました。そして、国内外での開発およびサービス提供体制を強化している状況です。
当社を取り巻く環境①

当社が対峙する市場に関連が深いのは、主に労働市場です。生産年齢人口は年間で約95万人というペースで減少しており、2025年と比較すると2040年には累計1,000万人規模の労働力が失われる予測があります。
この影響は、単に採用が難しくなるだけにとどまりません。スライド右側に掲載している帝国データバンクの調査によると、人手不足を理由とした倒産件数が過去最多を更新し続けています。企業が業務を自社の人材だけで行うことは、もはや経営リスクそのものとなっています。
人材の奪い合いが激化する労働市場だからこそ、安定した労働インフラを提供できる当社の需要が高まっていると認識しています。
当社を取り巻く環境②

人手不足の影響により多くの企業が直面しているのは、採用難が従業員の疲弊を招き、さらなる人材流出を引き起こすという負のスパイラルです。また、専門人材の不足により、本来進めるべきAI活用やDXが停滞しているというジレンマも生じています。
こうした状況の中、外部リソースを活用するBPO市場は拡大基調にあり、前年度比4パーセント増の成長を続けています。特に最近では単なる作業の外注にとどまらず、戦略・設計から一気通貫で業務プロセス全体を刷新したいという高度な委託ニーズが急増していることが、市場拡大の追い風となっています。
当社グループの提供サービス

そのような市場環境の中で、当社が運営・提供する事業は大きく分けて3つのセグメントで構成されています。
まず、主力となっているのが、スライド上段に記載しているBPaaS事業です。この事業では「CASTER BIZ」シリーズを中心に、秘書業務などの日常業務から経理や労務業務といった専門領域まで、当社のリモートワーカーがチームとして幅広く対応しています。
そして、昨今の生成AIをはじめとする技術革新や事業環境の急速な変化を踏まえ、このオンラインアシスタント領域で培った業務知見とAIを組み合わせたAIアシスタントサービス「CASTER NEO」シリーズへの刷新を順次進めています。
これにより、窓口となるAIフロントによる24時間365日の受付対応や、「Slack」を介した指示による自動完結など、AIとプロ人材によるハイブリッドな業務実行を実現していきます。BPaaS事業は安定した収益基盤として、全体の売上の7割から8割を占めています。
スライド中段に記載しているHR事業では、リモート特化型の求人メディアや人材派遣事業を運営しています。これにより、BPaaS事業では対応できない、例えば「外注ではなく自社採用をしたい」「決まった人物に決まった時間で業務対応してほしい」といったニーズに応えることができ、幅広い人材ニーズに対して網羅的な支援が可能となっています。
スライド下段に記載しているAI Tech事業には、AIを活用したマイクロロットのオンラインアシスタントに加え、下部に記載しているコンサルティング事業やAI研修事業などを提供する子会社群が含まれています。
BPaaS事業とHR事業の利益をAI Tech事業へ投資することで、当社グループ全体の成長を牽引していきます。
キャスターとは

まとめると、当社は単にリモートでBPOを行う会社ではなく、深刻化する人手不足に対してAIネイティブなバックオフィスインフラで応える企業となります。
当社ではリモートワーカーの圧倒的なリソースを基盤に、業務プロセスをクラウド経由で効率化・自動化するBPaaS、そして業務をAIプロセスへと進化させたAI-BPaaSへと段階的にサービスを進化させています。
その基盤となっているのは、中小企業をメインとした広範な顧客基盤と、その中で蓄積された150万件以上の豊富な業務データおよび実績です。さらに当社では、一般的な作業のAI化にとどまらず、コミュニケーションのAI化を推進しています。これにより、運営効率を圧倒的に高める業務構造改革を進めています。
この改革では、開発子会社の知見やAI技術を活用しながら、AIがコミュニケーションを担い、人は人でしか対応できない業務を担い共生する、次世代型の業務代行サービスとして、生産性向上と業務構造改革を実現するインフラ基盤を構築していきます。
AIとヒトの力を組み合わせ、安定した労働力を提供できるAIネイティブなバックオフィスインフラこそが、深刻化する人手不足に対して当社が提示する解決策です。
私からの説明は以上です。続いて、代表取締役の中川より、2026年8月期第3四半期の決算についてご説明します。
2026年8月期 通期業績予想修正(2026年7月14日開示)の内容

中川祥太氏:代表取締役の中川です。よろしくお願いします。通期業績予想は売上高の修正を行っており、中期経営計画を取り下げています。スライドに記載のとおり、BPaaS事業における稼働社数の積み上がりが少し遅れていることが要因の1つです。
また、AI Tech事業において研修事業が立ち上がってきましたが、売上計上が来期以降に本格化する見込みのため、売上高を下方修正することとなりました。スピードが少し足りなかった点については申し訳ございません。利益については現時点で変更はなく、収益性重視の方針を継続します。
また、今期に実施した全従業員を対象としたAIリスキリング研修に伴う助成金を、最大で9,400万円程度受領する可能性があります。
ただし、交付決定や受領時期が未確定のため、現時点では業績予想に含めていません。助成金を受領した場合はプラスオンされるというリリースを開示予定ですので、ご確認いただければと思います。
中期経営計画の取り下げについて

今回、中期経営計画を取り下げました。その背景については、開示した時点では「CASTER BIZ」シリーズ、つまり人間が行うアナログ的なサービスを中心に考えていました。一方で、現在はAIアシスタント「CASTER NEO」シリーズを中心とする事業モデルへの構造転換が進んでいます。こちらは、KPIや収益構造が大きく異なります。
そのため、今後は「CASTER NEO」シリーズへの投資を強めていく流れの中で、計画内容が変化することが明確になりました。中期経営計画は一度取り下げますが、現在計測している新しいKPIをベースに、新しい計画を展開していきたいと考えています。
中期経営計画にご期待いただいていたみなさまには申し訳ございません。新しい計画についてはあらためて合理的に策定ができるようになった時点で開示しますので、どうぞよろしくお願いします。
サマリー

2026年8月期第3四半期の決算概要についてご説明します。スライドに記載のとおり、売上高は33億5,000万円、営業利益は3,500万円で着地しました。
トピックスとしては、営業利益は3四半期連続で営業黒字を達成しています。収益をある程度担保しつつ費用コントロールを継続して、通期での目標達成を目指して運営していきたいと考えています。
業績概要

販管費の効率化により営業利益の黒字化を達成していますが、販管費のコントロールは主に広告費ではなく、自然減で退職する従業員の補充は行わないなど人件費が中心と考えていただければと思います。最近話題となっているAI化を進めるなど、効率化に取り組んでいます。
営業利益増減要因

広告投資をある程度行いつつ、販管費コントロールを中心として、全体的な利益を確保しています。
セグメント別業績サマリー

セグメント別の業績サマリーです。収益性を重視しているため、売上はやや伸び悩んでいます。利益を重視したかたちにシフトしているとご理解いただければと思います。
ご参考)BPaaS事業 主要KPI

各種KPIについてです。特に質問を多くいただくBPaaS事業の主要KPIのみを開示しています。稼働社数は増加している一方で、ARPU(顧客平均単価)はやや減少傾向にあります。この要因として、一部のサービスでプライシングを変更した影響が含まれています。
しかし、今後はAIを活用した業務プロセスの拡大により、特にスモールロットのお客さまからのニーズが拡大する可能性があります。
そのため、BPaaS業界全体として、場合によっては顧客数が増加し、客単価が下がるといった傾向がさらに顕著になるかもしれません。このようなトレンドを視野に入れながら、全体を見据えた運営を進めているとご理解ください。
財政状態

財政状態です。若干ですが黒字となっており、大きな変更点はないと考えていただければと思います。
AI研修事業(子会社:キャスターテックジャパン)

成長に向けた取り組みについてお話しします。まず、AI研修事業についてです。子会社のキャスターテックジャパンで、外部のさまざまな企業に対してAIを導入する支援を行っています。
AIリスキリング研修や、最近話題のバイブコーディングと呼ばれる手法を使って簡単な社内業務システムを構築し、業務の効率化を図るといった内容が含まれるAI研修サービスを開始しています。
「X」などのSNS系プラットフォームにおいては「市場が爆発的に伸び始めている」と評価されており、確かに企業のニーズが高まっていると感じています。当社もこの市場で差別化を図りつつ、さらなる成長を目指して取り組んでいきたいと考えています。
営業戦略

営業戦略についてです。細かい話で恐縮ですが、昨今、検索エンジンで検索結果が表示される画面において、「AI Overviews」という機能の存在感が大きくなっています。
この影響により、Web広告業界におけるチャネル、すなわち広告を出稿する先の数字が大きく変動しています。当社も影響を受け、さまざまな調整を行いましたが、おそらくBPOだけでなく、多くの領域で広告が揺れていると考えています。
我々は、その点において他のチャネルへどんどん移行しています。まだ正解が明確に見えているわけではありませんが、ある程度の見立ては立てています。
AIが最終的に検索エンジンの領域を駆逐し、すべて消し去ってしまった後に、お客さまがどのような経路で流入していただけるのかを引き続き模索している状況です。このあたりは変化が激しいため、個人的に興味深いと感じながら取り組んでいます。
外部パートナーとの連携

他社とのアライアンスによる販売代理店戦略で成長の最大化を目指しています。ありがたいことに、当社のサービスを気に入っていただき、取り扱いを一部開始していただくなど、販売代理店から声をかけていただけるようになってきましたので、その成果も徐々に表れています。
これまで自社でアプローチしてうまくいかなかったところですので、外部パートナーの協力により徐々に拡大が進んでいる点は、来期に向けた非常に良い取り組みとなっていると思います。
AIと共生するビジネスの進化戦略①

ここからは「CASTER NEO Assistant」など、AIについてたくさん記載しています。オンラインアシスタントで培った運用資産、つまり中小企業のみなさまに向けたBPO支援という特殊な運用資産を、AI時代に適したかたちに変えて強化していくことが必要だと考えています。
スライド左下に記載のとおり、赤字や、黒字の中でも十分な額を出せていない状況が続いていますが、その中で累計9億円程度をAI関連に投資してきました。これだけの期間にわたり捻出した金額を投下してきた結果が、現在「CASTER NEO」シリーズなどで少しずつ結実し始めています。
この内容をサービスとしてオンラインに載せる段階が近づいていると捉えていただければと思います。
AIと共生するビジネスの進化戦略②

よく質問をいただく内容について、先にお答えします。企業のバックオフィス業務の流れを「ワークフロー」と呼びますが、現状ではワークフローのすべてをAIで自動化することはできません。
「できる」と答える方もいらっしゃるかもしれませんが、当社は実際のお客さまの業務を再現したかたちでAIを運用しているため、できない領域がはっきりとわかっています。
これを可能領域と限界領域に分け、その例をスライドに挙げています。両方を活用してシステムを比較的シームレスに連携させ、企業のワークフローにおいてAIとヒトでなるべく多くの領域を自動化することを、BPaaSモデルとして構築していると考えていただければと思います。
よくある例として、スライド右側の一番上に記載していますが、AI向けのAPIやMCPと呼ばれるものを公開する企業があります。当社では公開された段階で、先行してその内容を確認し、実際に担当者にお話をうかがっていますが、本当の意味ですべてをAIが担っているというわけではない場合があります。
「AIですべてできている」と記載されていても、実際には一部が欠けていることや、そもそもそのような機能を想定しておらず動作できる状態ではない場合もあります。また、「ここが抜けていたら動かない」ということを、システムの担当者自身が気づいていないこともあります。海外では対応が進んでいる部分もありますが、日本ではこのような話がまだあります。
したがって、当社は「ここが動かないと動かせない」とお話しし、相手の方も一生懸命開発しながら対応を進めている状況です。「順次対応します」と回答をいただいたり、対応できない場合は当社が作ったりしています。
まだまだAI単体で完結することが難しい領域は数多く存在します。そうした領域で人間が積極的に取り組むことで、現時点では社会においてあまり広く普及していないモデルですが、企業運営に耐え得るレベルのサービスとしてしっかりと提供できるよう努めていきます。
AIと共生するビジネスの進化戦略③

そして当社は「CASTER NEO Assistant」の提供を開始しています。別の場でもお話ししたかもしれませんが、お客さまと仕事をする上で最も大きな工数を占めるのはコミュニケーションです。
お客さまからはさまざまな内容で「こういうことに困っているんだけど」という相談や、「この進捗はどうなっているのか?」というお話やもっと曖昧な相談、「よくわからないんだけど」という質問も寄せられます。
このようなやりとりのコミュニケーション業務が全体の7割を占めることが当社でも判明しているため、AIを活用して高速かつ24時間365日体制で管理できる仕組みを整えています。
従来「フロント」と呼ばれていたスタッフは、AIコーディネーターとしてバックオフィスに配置され、進捗状況を見るなど、業務が停滞していないかを確認しています。サブエージェントもありますが、AIエージェントとして実際の作業を担うチームにも人間がサポートとして参加しています。
このチームに受け渡し、AIが認証で詰まった際にはAIコーディネーターが介入して認証を突破するなど、AIとヒトを組み合わせて全業務を回していく体制へと移行しているとご理解いただければと思います。
説明が難しい部分もあるかと思いますので、「こういうのはどうするのですか?」とご質問いただければ幸いです。
AIと共生するビジネスの進化戦略④

最近では「FDE(Forward Deployed Engineer)」という言葉が使われていますが、従来のSIerとそれほど大きな違いはないと考えています。SMB向けのFDEという新しい形態のSIerのような方向に、当社のサービスを進化させていきたいと考えています。
ほとんどすべての企業がAIを活用する時代が来ると想定されるため、1日でも早く多くの企業にサービスを提供できるような状態を目指したいと思っています。世界的に見てもSMB向けのFDEはまだそれほど多く存在しておらず、依然として大きな市場が眠っていると考えています。
トピックス①(CASTER NEO Accounting)

トピックスです。当社では「Slack」というチャットツールを起点に、会計処理を自動で行う「CASTER NEO Accounting」を提供しています。
これは、会計ソフトを展開するfreeeが提供しているMCPを使っています。APIの集合体のようなもので、AIが接続できる入口を開放してくれています。現在はMCPが提供されているツールに限定されていますが、このような領域を実行できるようにしています。
また、ワークフローや経費精算などのAIが対応できない領域は、freeeでもまだ存在します。そのため、人間が対応する部分とAIが行う部分を組み合わせるかたちで、このサービスを運用しています。
現在はfreeeのみ対応していますが、他のベンダー各社ともお話を進めていますので、対応が進み次第、拡大していく予定です。
トピックス②(CASTER NEO EC support)

EC領域で「CASTER NEO EC support」を提供しています。もともとグラムスという当社の子会社がECサポートに大きく取り組んでいますが、そのサービスを一部パッケージ化して業務として展開し、当社でも窓口を設けたとご理解いただければと思います。
少し専門的な話になりますが、服の写真を基に着用画像を生成する「バーチャル・トライオン」という技術があります。「ユニクロ」の服を例に挙げると、私はだいたいMサイズを着用しますが、この技術により、Mサイズの人にSサイズを着せた時に服がぱつぱつになる様子を再現することができます。
この「バーチャル・トライオン」の専門的な技術が組み込まれており、「CASTER NEO EC support」でECのさまざまな業務をAI化したソリューションを提供しています。
トピックス③(CASTER NEO Assistant)

「CASTER NEO Assistant」についてです。先ほど簡単にご説明しましたが、AIがお客さまとコミュニケーションを行い、24時間365日即レスで返ってくるサービスです。
分解されたタスクは、いったんAIコーディネーターという人間がチェックし、その後ろにいるAIエージェントと人に分配して業務を処理し、お客さまに戻すという業務構造となっています。
先ほどお伝えしませんでしたが、1点特徴として挙げられるのは、業務対応領域がほぼ無限であるという点です。なぜなら、AIがあらゆる領域で業務を行えるよう、AIエージェントが展開されているサービスが多くなってきているためです。
我々はそのようなAIエージェントサービスも活用し、お客さまのニーズに応じてカスタマイズされたワークフローを提供することが可能になってきています。最終的には、どのような業務も断ることなく喜んで受け入れる業務フローを構築できればと考えています。
質疑応答:BPO市場での競争優位性
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