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株式会社PRISM BioLab206A

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医薬品

企業理念

竹原大氏(以下、竹原):本日は株式会社PRISM BioLabの2026年第2四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。代表取締役の竹原です。資料を使いながら当社についてご説明します。

まずは企業理念です。当社独自の創薬プラットフォームである「PepMetics」技術を活用して新薬を創り出し、誰もが希望に満ちた生活ができるようにすることを目指しています。

そのためのミッションとして、自由な発想と積み重ねた技術で「あたらしい創薬」に挑戦します。従来、創薬が難しかった標的に対して「あたらしい創薬」を目指しています。

また、ビジョンとして「あたらしい研究」を掲げ、世界のトップレベルの研究者が集まり、「あたらしい研究」にチャレンジできる舞台を作ります。さらに、彼らの才能を最大限に活かせるような組織作りを目指しています。

2026年9月期 中間会計期間 ハイライト

中間期のハイライトとして、共同研究の進捗についてご説明します。小野薬品工業とのプロジェクトでは、昨年11月に初回のマイルストンを達成し、一時金および共同研究費を受領しました。

このプロジェクトは、当社のサイエンティストと小野薬品工業のみなさまが共同チームを組み、邁進しています。難易度の高いターゲットではありますが、関係者のみなさまの努力によって着実に進捗が見られることに感謝しています。

また、秘密保持のため具体的な内容はお話しできませんが、中間期において、他のパートナー企業との間でも新しいプロジェクトを立ち上げています。現在「ヒット化合物探索」ステージで活動を進めています。

一方で、この上半期中に2件の契約が終了しました。前四半期にもご報告しましたが、フランスの製薬会社であるLES LABORATOIRES SERVIERとの契約が10月2日に終了しています。

また、Boehringer Ingelheim International GmbHとは2020年から契約を結び、さまざまな取り組みを進めてきましたが、本日5月18日をもって終了します。

2026年9月期 中間会計期間 ハイライト

一方、当社のプラットフォーム基盤である化合物空間を確保するために、知財を継続的に出願しています。この上半期には、日本で2つの新しい特許が成立しました。

昨年6月に日本で初めて成立した特許が、このたびアメリカでも特許として成立しました。当社では「骨格特許」と呼んでいる、基本的な化合物を抑えるための特許について、日米欧できちんと整備していくことを目標にしています。

2026年9月期 中間会計期間 ハイライト

今期から中心的に進めている、PPI創薬をさらに加速するための施策として、2つの柱を掲げています。「ヒット創出プログラム」と「創薬バイオテックとの共同開発」については、後ほど詳しくご説明します。

2026年9月期 中間会計期間 損益状況

業績について、概要をご説明します。2026年9月期の中間の売上高は2億5,300万円で、前期に比べて微増となりました。

一方、研究開発がさらに加速しており、研究開発費の増加に伴い、営業損失は5億8,400万円で若干増加しました。最終的に、上半期の損失は6億円となっています。

2026年9月期 中間会計期間 財政状況

現預金は期首に29億円ありましたが、現在は24億5,400万円となっています。

2026年9月期 中間会計期間 キャッシュフロー状況

純損失が6億円に対して、営業活動によるキャッシュ・フローは4億6,000万円です。

投資活動によるキャッシュ・フローは15億円となっていますが、現預金の一部を6ヶ月以上の定期預金にすると、キャッシュ・フロー上は投資活動に含まれます。したがって、この15億円は現預金と同様の定期預金と考えていただければと思います。

期首の現金及び現金同等物の中間期末残高は29億円でしたが、中間会計期間では9億5,000万円となっています。実際には15億円を含めた24億5,000万円が現在の預金残高となります。

PepMeticsがあたらしい創薬領域を創る可能性

冒頭に言及した「PepMetics」技術について、あらためてご説明します。これは、我々が独自に開発した創薬プラットフォームで、新しい創薬領域を生み出す大きな可能性を秘めています。

これを3つのステップでご説明します。まず、我々が主な標的としているタンパク質間相互作用(PPI: Protein-Protein Interaction)は、以前から認識されていながらも、非常に困難とされている有望な創薬標的です。

PPIにおいて重要な役割を担うのがヘリックス構造です。このヘリックス構造はタンパク質の一部の構造で、非常に重要な役割を果たします。従来、ヘリックス構造を低分子で模倣することは難しいとされていましたが、当社の基盤技術「PepMetics」を用いることで、ヘリックス構造を高い精度で模倣することが可能となりました。

これにより、従来模倣できなかったヘリックス構造の模倣を実現し、PPIを制御してあらたな創薬領域の創出を目指しています。

タンパク質間相互作用(以下「PPI」)は有望な創薬標的

まず、PPIの重要性についてです。人間の体は基本的にタンパク質が、筋肉など体を構成する部分だけでなく、体内でさまざまな信号を伝える役割を担っています。

左の図では、細胞膜の外から信号が入ると新しいタンパク質が生成される場合について示しています。リガンドタンパク質という信号を伝達するタンパク質が、受容体タンパク質に結合することから始まります。

受容体タンパク質が酵素タンパク質やシグナル伝達タンパク質と結合することでシグナルを伝達し、DNAからmRNAを読み起こすための転写コンプレックスを形成します。この際も複数のタンパク質がうまく組み合わさることで、機械的にmRNAを読み出します。

また、mRNAからタンパク質を生成する「翻訳」という機構では、この過程でも複数のタンパク質が適切に結合し、機械的に進行します。

これらのタンパク質は、それぞれが選択性を持ちながら必要に応じて結合することで、体の調節機能を果たします。人間の体が成長したり、恒常性を維持したり、疾患と闘う際に、多様なPPIが関与していることが知られています。

さまざまなタンパク質が異常な状態になると疾患が発生します。それを元の状態に戻すことで疾患を治療することが、PPIの制御による創薬につながります。

PPIで重要な役割を担うヘリックス構造

PPIを制御する際に最も重要なものがヘリックス構造です。タンパク質は数百から数万のアミノ酸が1本の長い紐状になって構成されています。このタンパク質が先ほど述べたような機械仕掛けのように働くためには、正確に一定の形に折りたたまれる必要があります。

正確に折りたたまれることを確保するために、アミノ酸のタンパク質は3つのシンプルな安定した構造を持っています。それはヘリックス構造、シート構造、ターン構造です。これらが組み合わさり、1つの形を形成します。このようにして安定した構造を作り出すことができます。

この3つの構造の中で、PPIの結合界面において最も重要なのはヘリックス構造です。約6割のPPIでヘリックスが重要な役割を果たしていることが知られています。

当社のプラットフォーム基盤技術「PepMeticsテクノロジー」

ヘリックス構造を模倣することでPPIを制御するのですが、ヘリックスはその名のとおり螺旋状の構造を持ち、4つほどのアミノ酸で一周します。この構造を模倣するためには、アミノ酸置換基の側鎖が360度さまざまな方向に向いている立体的な構造を作る必要があります。

ところが、従来の低分子は基本的には平面的な構造を有しており、立体構造を模倣するのは苦手だとされています。

そこで、当社は独自の「骨格」を用い、2つの環が一定の角度で比較的固く結合することによって、3次元的な構造を形成する「骨格」を約40個ほど開発しています。また、天然あるいは非天然のアミノ酸を自由に結合することが可能な合成ルートを開発し、「骨格」において多様な「側鎖」の組み合わせを生成できるようにしました。これが「PepMetics」技術の基本的な構造です。

これにより、従来は困難とされていたヘリックス構造の模倣が可能となり、PPIを制御することができるようになります。

「細胞内」PPIをターゲットとする創薬の課題

従来、PPIは低分子での制御が難しく、バイオ医薬品ではタンパク質や抗体といった大きな分子が用いられています。

これは、細胞の外を制御することには適していますが、大きすぎて細胞内に入ることができません。細胞内では、先ほどご説明したように、さまざまなPPIが作用して人間を維持していますが、それを制御するためのツールがこれまでなかなか存在しませんでした。それに対して、当社では制御が可能です。

右図のグレー部分は、比較的大きなポケットを示しています。これは従来の低分子では制御が難しいとされていた大きなポケットです。ここにヘリックス構造がすっぽりと入ります。その一部を模倣することで、大きなポケットでも低分子で制御することが可能です。

細胞内PPIに対する他モダリティとの比較優位性

従来の低分子は細胞内には入れますが、PPIを制御することはできません。一方で、PPIを制御できる抗体や大きな化合物やペプチドについては、細胞内にはなかなか侵入できないという問題がありました。

当社の化合物は細胞内に侵入し、PPIを制御すると同時に高い選択性を発揮しながら、経口剤としての実用化を可能にする新しい創薬を実現しています。

PPI創薬を加速する2つの戦略

期首にご説明したPPIを加速するための2つの戦略について、この上半期での進捗をご報告します。

まず、ヒット創出プログラムです。スライドに記載の「HTS(ハイ・スループット・スクリーニング)」とは、ライブラリ化合物の活性を自社内でスクリーニングする技術を指しますが、この技術を昨年までに社内で確立しました。これにより、さまざまな標的に対して迅速に評価ができるようになりました。

この技術を活用し、年間10件のHTSを実施して、さまざまなヒット創出を行っています。年間10件という数は創薬の世界では非常に高水準であり、大手製薬企業でなければこれほど多くを実施する例はなかなかないかもしれません。

多くのスクリーニングを行うことで、ヒット化合物を基に自社での検証を進め、また共同研究も推進していこうとしています。

ヒット創出プログラムの進捗

創薬のプロセスは、まず標的を決定し、それに対して初期の作用を持つヒット化合物を見つけます。そして、ヒット化合物を改良してより強い活性を持つリード化合物を作製し、さらに人の体に十分効くものにして臨床候補化合物を創り出します。この工程はリード最適化と呼ばれます。

我々のプラットフォームが最も得意とし、他社にはできないことに取り組んでいるのは「ヒット化合物探索」の段階です。自社でHTSが可能になり、今年度からここに力を入れて、多くの成果を創出していく予定です。それによって、自社パイプラインの拡充もそうですし、ライセンス機会の増加も目指しています。

目標は10プログラムですが、昨年下半期末にスタートした2つのプログラムと、今年度に入ってから開始した4つのプログラムを加え、合計6個のプログラムを開始しています。

合計6個の中で、すでに2つのヒット化合物を取得しました。1つは中止しましたが、残りの3つについても初期のヒットが確認されています。現在それを確認する作業を進めており、比較的想定よりも高いヒット率で推移しているのが現状です。

数だけでなく、標的探索の段階で新しい試みにも着手しています。あらたな創薬コンセプトに基づき標的を選定し、従来のPPI創薬に加え、すでに確立された大きな市場においてあらたな市場を創出することを目指しています。

PepMeticsによる「あたらしい創薬標的群」への展開

「PepMetics」によるPPI創薬は、将来的に非常に大きな可能性を秘めており、他社がこれまで実現することが難しかった困難なものとされています。

一方、短期的には新しい創薬分野であるため、さまざまな壁に直面します。この分野は非常に難易度が高く、開発には比較的長い時間がかかります。そのため、パートナー企業においては、PPI創薬に対して慎重な姿勢のところも多い状況です。

従来のPPI創薬に加えて、すでに巨大市場を持ち、既存の創薬標的として知られているものとして、キナーゼや膜タンパク質があります。スライド下部の表に記載されているとおり、キナーゼでは70以上の薬剤、膜タンパク質では700以上の薬剤が承認され、大きな市場を形成しています。

これらは大成功を収めていますが、その中にもいまだに解決が難しい課題が残っています。この困難な課題を解決することで、既存の大きな市場の中であらたな市場を創出することを目指しています。

あらたな展開:PPIを標的にする次世代キナーゼ阻害剤

まず注目しているのがキナーゼ阻害剤です。これは非常に大きな市場であり、先ほどもお伝えしたように70以上の品目が承認されており、8兆円規模の市場になると予測されています。しかしながら、さまざまな未解決課題が存在しています。

キナーゼは、対象のリガンドタンパク質をリン酸化する酵素です。ATPという細胞内のエネルギー源となる低分子を用いた反応を行います。

3つのリン酸を持つATPのうち1つをタンパク質に結合させる役割を担う酵素がキナーゼと呼ばれるものです。キナーゼは必ずATPが結合するポケットを備えており、リガンドと結合してリン酸を付加します。

つまり、すべてのキナーゼ阻害剤は、同じ化合物であるATPが結合するためのポケットを持っています。このポケットを標的とすることで、従来の低分子化合物でも十分に対応が可能です。そのためキナーゼ阻害剤は、ATPポケットをターゲットとして、低分子を利用した分子標的薬として非常に活発に開発が進められてきました。

課題として挙げられるのが、選択性の低さです。同じATPが入るポケットにおいて、キナーゼごとにわずかな違いがあるもののほぼ同じ構造を持つため、100パーセントの選択性を実現することは難しいです。その結果、他のキナーゼにも作用してしまい、副作用が生じるという課題があります。

さらに、ATPのポケットは比較的変異が起きやすく、多少の変異が生じてもATPは結合するのですが、特別に微細な部分を設計した化合物では、わずかな変異でも効果が失われることがあります。このため、薬剤耐性が発生するという課題も知られています。

我々はATPポケットではなく「キナーゼを動かすスイッチ部分」を標的とします。特に今回注目したのは、CDKと称される種類のキナーゼです。これは「サイクリン依存性キナーゼ」と呼ばれるもので、サイクリンと呼ばれる別のタンパク質がキナーゼタンパク質に結合することでその役割を果たします。

つまり、サイクリンとキナーゼのPPIがあって初めてキナーゼとしての役割を果たす仕組みとなっています。そのため、ATPポケットではなく、CDKとサイクリンの結合部分を阻害することで、キナーゼの機能を働かなくさせることが可能です。

この結合部分の組み合わせはそれほど多くはないので、高い選択性を得ることができます。また、この箇所はATPポケットより変異が起こりにくいため、薬剤耐性の回避も期待できる新しい作用機序と言えます。

先ほどお話ししたとおり、2つのヒット化合物をすでに発見しています。これらの化合物にはキナーゼ阻害活性があるものの、ATPと競合することはありません。すなわち、ATPポケットに入るのとは異なる手法でキナーゼを阻害しています。さらに、2つのCDKに対して完全に異なるヒット化合物が見つかっており、選択性が十分に確認されています。

プログラムの進捗:自社開発(期首設定目標と進捗状況)

このような試みを通じて、今期は10個のスクリーニングを実施し、新しいヒット化合物の創出を目指しています。上半期に1つ、4月以降にもう1つが創出され、計2つとなっています。これを推進しています。

創薬バイオテックと共同開発

もう1つの取り組みである創薬バイオテックとの共同開発についてです。すでにリリースしていますが、この上半期において「Talus Bio」および「Receptor.AI」と提携を行いました。

Talus Bioは、転写因子およびPPI標的に対する新しい標的と阻害剤を一緒に探索できるプラットフォームを有する企業です。

彼らはプロテオミクスを基盤にPPIの標的を発見します。ただし、彼らもそれを制御する化合物を見つけることは難しいので、当社の化合物と彼らの技術を組み合わせることで、新しい標的に対する新しいヒット化合物を創出していこうという試みを始めています。

また、Receptor.AIはその名のとおり、受容体とAIを組み合わせて、AIを活用して受容体に対するヒットを生成し、さらに設計していくことを強みとしています。

Receptor.AIは、膜タンパク質などの受容体に対して、抗体やペプチドを用いたAI創薬を行っていました。これを低分子にも応用することが可能ですが、なかなかそれに近い低分子が少ないという中で、当社の低分子と彼らのAI技術を組み合わせることで、新しいヒット化合物を創出する試みを始めています。

PPI創薬コンソーシアム構想を始動

PPIという新しい創薬分野には極めて困難が伴います。当社は低分子において1つの差別化できる技術を有していますが、それだけでは不十分であり、スクリーニングやAIなどのさまざまな分野で新しい創薬を進める必要があります。

これをグローバルに視野を広げ、先進的に取り組んでいる企業や機関と組み合わせることで、創薬プロセスをさらに促進していきます。その一環として、PPI創薬コンソーシアムを今期の初めに構想として立ち上げました。

今回は2つ、Talus BioとReceptor.AIですでに活動を開始しています。他にもいくつか共同研究を検討中です。このような新しい創薬において、当社が中心的な役割を果たしていきたいと考えています。

PPI創薬を推進するビジネスモデル

進捗中のパイプラインについてご説明します。その前に、ビジネスモデルについてもご説明します。

当社は新しい創薬を創り出す基盤を有しており、それを活用した2つの事業モデルを展開しています。

1つ目は自社開発事業です。自らヒット化合物を発見し、臨床候補まで開発し、ライセンスするところから始まりました。新しい技術であるため、きっちりと薬を創れることを世の中に示すために、実績を重ねてきました。この事業でライセンスアウトを経て、現在2つのプログラムが進行しています。

このプロセスには3年から5年という長い期間と多額の費用が必要です。そのため、当時、自分たちでバイオロジーを持っていなかったこともあり、製薬会社とのコラボレーションを始めました。製薬会社が持つ創薬標的でヒットが見つからなかった領域に対し、当社の技術でヒット化合物を創出し、それを基にした共同開発事業を、2020年頃から開始しています。

初めから共同研究費をいただきながら進められるため、プロジェクト単体では黒字化が可能です。最終的な利益は自社開発よりも小さい可能性がありますが、安定的な事業運営ができるというメリットがあります。

自社開発事業

すでにライセンスアウトされ、臨床開発に進んでいる2つのプログラムについてご説明します。

1つはエーザイとの「E7386」です。実はこちらはスライド下段に記載されている「PRI-724(OP-724)」を基に共同開発した化合物ですが、エーザイにおいて、抗がん剤「レンビマ」との併用でPhaseⅡの臨床試験が進められています。

もう1つの化合物は、大原薬品に提供している「PRI-724」です。HCVおよびHBV、MASHを由来とする肝硬変の患者を対象に、PhaseⅡ試験を進めています。

2026年9月期 中間会計期間 E7386進捗

エーザイは、この半年間で大変積極的にさまざまな情報を発信しています。昨年10月のESMO(欧州臨床腫瘍学会)年次総会を皮切りに、臨床試験や非臨床試験の結果を通じて、この薬が効果を発揮していることを示すデータを積極的に公表しています。

また、子宮内膜がんにおける「レンバチニブ」との併用に焦点を当てて開発を進めています。

自社開発事業:E7386

スライドで示されている作用機序ですが、「Wntパスウェイ」という、1980年代から知られている作用機序です。当時、このWntパスウェイを入口で遮断する薬が複数開発され、臨床試験が行われましたが、毒性が強く、すべてが中止となりました。

パスウェイを遮断すると毒性が発生するとされていましたが、私たちの化合物はここを遮断するのではなく、先ほどお話ししたように細胞内に入り、シグナル伝達タンパク質であるβカテニンが転写因子と言われるCBPというタンパク質に結合する箇所を、PPI阻害というかたちで切断します。

CBPとβカテニンが結合すると、がんの増殖が促進されることが知られています。当社の化合物は、この結合を選択的に阻害しますが、CBPと非常によく似たタンパク質であるP300とβカテニンの結合は阻害しないため、細胞分化を誘導することが可能です。

これまではすべての結合を一括して阻害していたのに対し、一部のみを選択的に阻害することで、正常細胞への毒性を抑えつつ、がん細胞の増殖のみを抑制するという成果を実現しました。

現在、エーザイが進めている臨床試験では、前段階である1b試験において30名の患者のうち36.7パーセントにあたる11名の患者になんらかの効果が見られ、極めて高い効果が示されています。

自社開発事業:PRI-724

「PRI-724」は大原薬品に導出しているものですが、メカニズムとしては同じです。このWntパスウェイは、人にとって非常に重要なパスウェイであり、線維症にも関係することが昔から知られています。

これを抑制することで線維化を抑制し、分化を誘導します。現在、肝硬変を対象に研究を進めており、フェーズ2aのデータでは線維化を改善する効果が示されています。この結果をもとに、次の段階へ進めています。

臨床開発の進捗

こちらのスライドは、各臨床試験の進捗状況を示しています。スライドには、2019年7月にスタートした「レンバチニブ」との併用試験が、現在進行中であることが記載されています。

共同開発事業:創薬共同研究

もう1つ、共同開発事業として進めているものについてお話しします。現在、小野薬品工業、Roche、Genentech、Merckの4社と提携しており、それぞれ異なる段階で進行しています。

プログラムの進捗:共同開発(期首設定目標と進捗状況)

これは今期の期首に立てた目標です。期首時点で標的探索段階が4つ、ヒット化合物探索が1つ、リード化合物探索が1つありましたが、SERVIER社が止まり、2つのマイルストンを達成して、それぞれ上に上がってきています。今回、BI社との契約が残念ながら止まってしまった状況です。

創薬は大変難しい部分があり、時間もかかります。また、すべてのプロジェクトが順調に進むわけではありません。その中でも確率をできる限り高め、多くの提携やプログラムを開始しながら、確実に成果を出すことを目指しています。

進むものもあれば止まってしまうものもありますが、全体としてバランスのよいかたちを作り上げていくことを目指しています。今後ともご支援いただけると幸いです。

以上でご説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:上場後の株価とIR活動に関する取り組みについて

司会者:「株価に対しての意識が見えにくく、資本市場で株価に遊ばれている気がします。広報は存在していますか? 株価を上げる意識は強く持っていますか?」というご質問です。

竹原:ご指摘のとおり、上場以来、株価が上場時を下回る状況が続いていることに対しては、大変忸怩たる思いがあります。また、これを何とかしなければならないと認識しています。

ただし、先ほどもお話ししたように、創薬はすぐに結果が出るものではなく、一つひとつのプロセスに半年、1年という期間が必要です。また、それらすべてが前進するわけでもありません。このような中で、できる限り頻度高くみなさまにご説明できるよう、昨年からIR担当を強化し、積極的なIR活動を進めています。

ただ、発表のタイミングについては、毎月行えるわけではなく、プロセスが進展した際に適切かつ正確な情報をお伝えするよう努めています。

また、株主のみなさまに価値を提供するためには、研究活動が着実に進むことが重要だと考えています。そのため、日々研究開発部門と連携を図りながら進め、できる限り情報を開示するよう努めています。

質疑応答:個人投資家向けの説明会と情報開示の取り組みについて

司会者:「昨年11月の決算説明会の質疑応答で、株主対話と今後のIRの取り組みについて、コミュニケーション手段を拡大していく予定とのご説明でしたが、御社ではどのような取り組みを行っていますか?」というご質問です。

竹原:昨年12月には、個人投資家向けのセミナーを地方でも何度か実施しました。また、今後数ヶ月の間に2度ほどIR説明会を開催し、投資家のみなさまが集まる場で、対面形式でご説明する機会を設けたいと思っています。

今までなかなか対面でご説明する機会はあまりありませんでしたが、昨年度末からそれをできる限り増やし、みなさまに直接ご説明できるようにしていきたいと考えています。

また、現在ホームページの改修を進めており、みなさまにとってよりわかりやすい開示を目指しています。

質疑応答:創薬事業の黒字化の見通しについて

司会者:「黒字化のめどについて教えていただけますか?」というご質問です。

竹原:繰り返しになりますが、創薬は、非常に時間と資金を要する取り組みです。先行投資型の事業である点は変わりません。しかし、黒字化をできる限り早めるために、先ほどご説明した共同開発事業を増やしていきたいと考えています。

現在一部減っていますが、早期の段階でパートナリングを進められるよう積極的に働きかけを行っています。

現時点では黒字化の明確なめどが立っているわけではありません。しかし、一度黒字化し始めると、当社のビジネスの特徴として、収入が入り始めればかなり大きな黒字を実現する可能性があると考えています。

質疑応答:AI創薬の可能性と未来について

司会者:「AI創薬の可能性と未来についてお聞かせください。社外との提携によるAI創薬による化合物の評価や、また社内での取り組みも含めて教えてください」というご質問です。

竹原:みなさまもおそらく実感されているように、AIはすでに我々の未来を大きく変えるドライバーとなることは明らかです。創薬においても例外ではなく、AIによってさまざまなスピードが上がり、新しいことができるようになると感じています。

一方で、これまで培われてきたサイエンスは大変深いものがあります。また、我々が特に取り組んでいる新しい創薬の分野では、AIがすべてをすぐに解決できるわけではありません。

AIの仕組みとして、データが豊富にあることで初めてその中から類似したものを予測するという役割を果たします。しかし、我々が取り組んでいるPPI創薬では、成功事例が極めて少なく、正確なデータがほとんど存在しない分野です。そのため、従来のデータを基に将来を予測するAIの仕組みだけでは、前進することが難しいのです。 その時に重要なのは、新しいデータを作り出す能力です。当社ではウェットラボ、つまり実験室で実際に化合物を合成し、それを測定してデータを取得する力を重視しています。この力こそが、AIを活用し、新しい分野を切り開く上で重要だと考えています。 これに関連して、当社では合成分野のサイエンティストに加え、バイオロジー分野のサイエンティストも含めた優秀な人材を集めています。そして、こうしたウェットラボ機能を維持しつつ、AIの活用をどのように進めていくかについても、並行して取り組んでいるのが現状です。

質疑応答:創薬事業の社会貢献性と収益性について

司会者:「貴社はどのようにして社会貢献をし、存在意義を認識して、高い営業利益率を高めて、それをどう配分するのかというご見解を教えてください」というご質問です。

竹原:私たちが行っている創薬事業そのものが、社会貢献に極めて直結する事業であると考えています。実際に患者さまの生活を改善し、治療や命を救うことにどのように貢献できるかが、私たちの事業そのものだと思っています。

それを実現するには長い時間がかかります。しかし、一度それが実現すると、収益率の非常に高い事業となります。

製薬会社の利益率は他の業界と比較して極めて高く、それによって新しい薬を開発するための投資が可能になります。我々の場合も、新しい薬を開発し、それが例えば承認を得てロイヤリティ収入が発生し始めた段階になると、コストはほとんどかからずにロイヤリティ収入が得られることで、高い利益率を実現できると考えています。

このバイオ創薬事業は、先行投資に時間がかかりますが、その後、投資家のみなさまにしっかりとリターンをお返しすることが可能です。長期的な視点で投資対効果をご理解いただければ幸いです。

質疑応答:新しいPPIを加速する成長戦略について

司会者:「成長戦略として新規に発表される予定や見込みがあれば教えていただけますか?」というご質問です。

竹原:先ほどご説明した新しいPPIを加速するための2つの施策もそうですが、成長戦略は常に見直しながらアップデートを行っています。

私たちが重要だと考えているのは、業界の変化、特にAIの進展を含めて、進化し続ける環境に対応することです。その中で、私たちの根本的な技術は変わりませんが、その技術をどのように活用し、少しでも早く製薬会社のみなさまと協力しながら前進できるかということです。

これは製薬会社のニーズを的確に受け止めながら進める必要があります。

今回の施策も、これまでの事業活動の中でPPIの活用範囲をさらに広げていこうという議論から生まれたものです。新しい成長戦略は常に作り続けており、その都度みなさまにご説明したいと思います。

質疑応答:PPI技術の応用とキナーゼを中心としたあらたな標的領域について

司会者:「PPIを作用機序とするキナーゼ阻害剤の探索を手掛けることについて、大きな意味ではPPI創薬の一環とも言えますし、PPIコンソーシアムの取り組みの1つの事例かと思いますが、よりターゲットを絞り込んだPPIの共同研究を顧客に提案していくという理解でよろしいでしょうか? それとも共同研究よりは自社創薬を先行させていくという方針でしょうか?

また、上場時は年間契約2本が目標でしたが、やはり自社開発に重点を置くように変更されたのでしょうか?」というご質問です。

竹原:ご指摘のとおり、これまでPPIは、特に細胞内での転写領域など難しいPPIが中心でした。しかし、今回のキナーゼは、メカニズムとしてPPIで、それをうまく活用しながら、既存の標的に当てはめたものになっています。

我々の技術の可能性を最大化する中で、さまざまな取り組みを進めています。現在はキナーゼに取り組んでいますが、別の切り口として膜タンパク質など、新しい標的の領域を作り出そうと努力を重ねています。

こうして得られたヒット化合物は、想定以上に多く出てきそうです。しかし、それらすべてを自社で推進するだけの体力を確保するのは難しいため、一部は自社で進めつつ、一部は共同開発として製薬会社にヒット化合物が得られている標的をご提案し、共に進めていただけるパートナーを探していきたいと考えています。

質疑応答:PPI創薬における優位性について

司会者:「国内上場企業の中でライバルとなりますと、サイフューズ、ノイルイミューン・バイオテック、シンバイオ製薬など、いろいろ想定はされますが、そのようなライバル企業と比べた場合、御社の最大の強みをあらためて教えてください。同業他社に対する優位性はどこにありますか?」というご質問です。

竹原:他のバイオベンチャー企業もそれぞれ強みを持っているため、比較するのは難しいと思いますが、我々自身について申し上げると、この創薬の分野において、難しいとされていたPPIを低分子で阻害する技術が一番の優位性であると考えています。

それをどのように活用し、どのようなかたちで創薬に結びつけるか、どの標的に対してそれを使うかが極めて重要です。そのため、我々は十分な経験を積み重ね、できるだけよい切り口でこれらを進められるよう、ここ数年間努力を重ねてきました。

おかげさまで、非常に優秀なサイエンティストたちが集まってきてくれており、サイエンスを推進するバイオテック企業として優位性が出せる唯一の要素は、サイエンティストの能力と、その能力を引き出すための環境作りにあると思います。

優秀な人材が集まり、彼らが取り組むべきしっかりした創薬基盤が整っていることが、最大の優位性だと考えています。

質疑応答:E7386のトップラインデータ公開に関する期待と見解について

司会者:「エーザイの発表によると、E7386のトップラインデータの取得は2026年度という記載があります。「ClinicalTrials.gov」によると、プライマリーコンプリーション、すなわち、最初の終了期間は2027年3月31日とあります。

これらを合わせると、トップラインデータの開示時期としては2027年半ばまで待たなくてはならないのでしょうか? 前倒しでなにか開示されることを期待するのは難しいでしょうか?」というご質問です。

竹原:ご指摘のとおり、エーザイは2026年度にトップラインデータが出ると発表されています。我々も大変期待しています。

一方で、申し訳ありませんが、エーザイが開発を進めているため、契約上、それ以上のことについては我々が申し上げる立場にはないというのが現状です。

予測としては、2026年度ということは3月までにデータが出るのではと考えています。エーザイからはこれまで比較的積極的に情報を開示していただいているため、今回も可能な限り早く開示していただけることを願っています。

質疑応答:共同開発の新規契約検討状況について

司会者:「新規共同開発の契約を協議している会社はありますか? ある場合、その企業の数と規模がわかれば教えてください」というご質問です。

竹原:これについては継続的に取り組んでいます。国内外のさまざまな企業と話をしており、状況によって具体化したり、前に進めなかったりすることもありますが、現在も複数の案件で可能性について協議を進めています。

質疑応答:ホームページ改善に関する取り組みについて

司会者:「ホームページを改善するとおっしゃいましたが、いまだにされていないように思います。最初に英語を選ぶ項目が出てくるなど操作性が悪いので、早急に対応してください」というご意見です。

竹原:従来のホームページについては、プラットフォーム自体が海外に設置されていることもあり、改善が難しい状況でした。現在、新しいプラットフォーム上で、新たなホームページを構築中です。そう遠くないうちに改良できる見込みですので、今しばらくお待ちいただけると幸いです。申し訳ありません。

質疑応答:配当方針と株主優待制度について

司会者:「配当開始時期はいつ頃でしょうか? また、株主優待制度というものはお考えでしょうか?」というご質問です。

竹原:配当を実施するにあたり、黒字化が重要なポイントとなります。先ほどのご質問でもお答えしましたが、現在の段階では具体的にいつ黒字化するかを申し上げることは難しい状況です。ただし、できる限り早期に黒字化を実現できるように努めています。

配当については、黒字化を達成した上で株主価値を最大化するためには、配当を行うことも重要ではありますが、もし十分に価値のある投資機会がある場合には、再投資することも選択肢として検討します。そのため、再投資の機会と配当のバランスを考慮し、黒字化後にあらためて検討したいと思います。

株主優待制度については、当社の業態上、個人投資家のみなさまに直接的に何かを提供することが難しいのかなと考えていますが、今後も検討・勉強を進めていきます。

質疑応答:創薬プロジェクトの解約に対する見解について

司会者:「共同研究の解約が続いているように思います。そのような解約理由というものを可能な範囲で教えていただくことはできますか?」というご質問です。

竹原:ここ数件、解約がやや多くなっていますが、これまでお話ししているように、創薬はすべてのプロジェクトが順調に進むわけでも、すべてが成功するわけでもありません。成功確率は全体で見ると極めて低いものです。

では、立ち上げたプロジェクトのうち、いくつ本当に承認まで到達するかというと、FDAの承認は、世界中で成功事例として認められるものですが、年間でFDAの承認を受ける薬の数は30から50程度に限られています。それ以外のすべてのプロジェクトはどこかの段階で停止してしまいます。

世界中で年間に立ち上がるプロジェクトの数を考えると、承認への道のりは極めて狭き門といえます。このような状況もあるため、終了するプログラムがあることを私たちは必ずしもネガティブに捉えていません。

それぞれのプログラムにおいて一定の成果を出しているものもあります。例えば、ヒット化合物がきちんと発見されている場合や、X線解析で標的への結合が確認される場合もあります。

それでも優先順位の観点から、製薬会社が多くのプロジェクトの中で限られたリソースをどこに注ぐかを判断する過程で、一部のプロジェクトが中断されてしまうのが現実です。それらを我々の勉強材料とし、新しい標的の選定や新しいプロジェクトの立ち上げに活かしていきたいと考えています。

質疑応答:食品関連への事業展開について

司会者:「タンパク質関連創薬技術から食品関連の展開は考えられるのでしょうか?」というご質問です。

竹原:大変興味深いご質問をありがとうございます。正直なところ、現時点ではあまり考えたことがないのですが、我々のPPIというもの自体は、すぐに食品に結びつくものではないであろうと思っています。

基礎技術としては、薬または動物用医薬品、あるいは関連する創薬の実験用材料といったかたちになるのではないかと考えます。

当社においては、現在我々のミッションやパーパスにも掲げているように、新薬を開発することで社会に貢献していくことに集中していきたいと考えています。

竹原氏からのご挨拶

竹原:本日は長い時間ありがとうございました。私たちは新しい技術を活用し、患者さまに新しい治療方法や選択肢を提供することを目標に取り組んでいます。

すばらしいサイエンティストたちに集まってもらい、前には進めていますが、結果が出るまでにどうしても時間がかかる点についてはご理解いただき、ぜひ長い目で当社の活動をご支援いただければ幸いです。今後ともどうぞよろしくお願いします。

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