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株式会社True Data4416

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米倉裕之氏(以下、米倉):株式会社True Data代表取締役社長の米倉です。本日は、当社の2026年3月期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

本日は、カンパニーハイライトとして、AI時代における当社の圧倒的な優位性と戦略のコアについてご説明した後に、2026年3月期の通期決算概況および2027年3月期の通期計画についてご説明します。

限られた時間ですので、財務詳細などの一部スライドは割愛し、要点を絞ってお話しします。その後、質疑応答の時間を設けますので、よろしくお願いします。

エグゼクティブ・サマリー

エグゼクティブ・サマリーです。本日お伝えしたいポイントは3点あります。

第1に、当社はAI時代において希少性の高いリアルなリテールデータ基盤を運営・活用する企業であるということです。

生成AIやAIエージェントの進化に伴い、ソフトウェアは今後コモディティ化していく一方で、AIの学習や推論に必要な高品質なデータの価値は、非連続的に高まっています。当社は、この希少なリテールデータを基盤に、企業の意思決定を支援する「リテールデータ×AIインサイト」企業への進化を強力に推進しています。

第2に、2026年3月期の業績は、売上高18億7,000万円、営業利益1億100万円となり、前期比で増収増益を達成しました。第4四半期にスポット型案件が想定以上に積み上がったことで、2月に開示した修正計画を上回る結果となりました。

第3に、中期経営計画の初年度となる2027年3月期は、将来の利益成長を飛躍させるための戦略的投資フェーズと位置づけています。目先の短期利益よりも、AI活用を前提とした次世代プラットフォームへの進化を最優先する方針です。

基本情報

カンパニーハイライトからご説明します。まず、当社の基本情報および中期経営計画に込めた思いについてお話しします。私たちはこれまで、購買データを分析し提供するマーケティングSaaSの企業として成長を遂げてきました。しかし、AIの台頭により、市場環境の前提は完全に変化しました。

これからのAI時代に圧倒的な価値を持つのは、AIそのものではなく、AIが学習・推論するために、きれいにクレンジングされた高品質なデータです。正確に言えば、AIとデータの組み合わせこそが価値を持つと考えています。

当社は、全国6,500万人規模、年間10兆円に及ぶ購買データを日々精製・管理するデータプラットフォームを運営しています。これは一朝一夕には構築できない、日本でも極めて希少なデータ資産です。

当社は、このデータプラットフォームというアセットを基盤に、単なるツールの提供を超えて、企業の意思決定そのものを支える意思決定基盤(OS)となることを目指しています。

提供価値

スライドのチャートは、当社の提供価値の全体像を示しています。ドラッグストア、スーパー、コンビニエンスストアなどから集まる膨大でリアルなリテールデータと、当社のAIインサイトを掛け合わせることで、お客さまである企業の経営判断や現場の意思決定を支援し、小売業界や消費財メーカー全体の収益向上を加速させていきます。

事業概要

当社の事業概要と収益構造についてです。当社のサービスの多くは年間契約であり、2026年3月期の売上高のうち、継続的な収入であるストック型売上高が81.4パーセントを占めています。収益の安定性と予測可能性の高さが、当社の強固な経営基盤となっています。

なお、今回から投資家のみなさまに中期経営計画の進捗をより正確かつ論理的にお伝えするため、ストック型売上高の区分をプロダクト別から顧客属性別へと刷新しました。この意図については後ほど詳しくご説明します。

事業系統図

こちらのスライドには、当社のバリューチェーンおよびエコシステムを示した事業系統図を示しています。当社は、データ保有者である小売業などのお客さまに当社のデータプラットフォームをご採用いただき、データを一元的に精製・管理しています。

そして、小売業、消費財メーカー、政府、自治体などにさまざまなソリューションを提供し、サービス利用料をいただく構造となっています。テクノロジー面では、Googleやニールセンといった世界トップクラスのパートナー企業と連携し、最先端のシステムを迅速に取り込む体制を構築しています。

競争優位性(1/2)

競争優位性についてです。まずは、リアルデータの圧倒的な網羅性と信頼性についてご説明します。国内の小売業4業態の年間販売額42兆9,000億円のうち、約2割強に相当する10兆円規模の小売業のみなさまに、当社のデータプラットフォームを導入していただいています。

過去1年間に購入実績があるポイントカード会員数を示す年間アクティブ数は6,500万人規模に達し、政府の地域経済分析システム「RESAS」にも長年採用されています。

ここで投資家のみなさまに強調したいのは、当社の競争優位性がデータ量そのものにとどまらないという点です。

異なる小売企業で日々発生する膨大かつ多様なデータ、例えば売上データ、商品マスタデータ、店舗マスタデータ、会員マスタデータ、在庫データなどを高度に統合し、標準化・匿名化して分析可能な状態で維持するデータ整備のノウハウを当社ではクレンジング技術と呼んでいますが、この部分にこそ最大の参入障壁があります。

この仕組みは20年以上にわたり構築してきたものであり、単純な資金投下だけでは模倣することはできないと考えています。

競争優位性(2/2)

もう1つの当社の競争優位性として、POSデータとID-POSデータの違いについてご説明します。従来のPOSデータは「何が、何と、いつ、いくつ、いくらで売れたか」といった商品を軸としたマクロな動向しか把握できませんでした。一方、当社の強みであるID-POSデータは、人(=ID)を軸に分析することが可能です。

これにより、商品単位のリピート率や競合商品への乗り換えを示すスイッチング率など、消費者ごとの連続した行動をミクロに捉えることが可能となり、小売業や消費財メーカーの精緻な経営判断を支えています。

市場環境認識

スライドのチャートは、当社が属する市場環境と独自のポジショニングを示しています。データマーケティング市場における競合は、POSデータによって市場をマクロ的に分析する大手の調査会社ですが、当社はID-POSデータ分析において、トップシェアを確立しています。商品軸と人軸(ID)を掛け合わせた分析により、消費者のペルソナ単位で購買を深掘りできる独自性を持っています。

また、広告およびビジネスアナリティクス市場では、既存の広告代理店やデータ分析企業を競合ではなく、強力な協業相手として捉えています。

当社では、データのクレンジングからマスタ管理、インサイトの導出まで統合されたプロセスを既存の広告プレイヤーの強みと掛け合わせることで、協業をベースとしたエコシステムを形成し、ともに市場を積極的に開拓していく戦略を取っています。

協業ネットワーク

当社の協業ネットワークには、「パターンを作る」「パターンを横展開する」という2つの明確な役割があります。

まず、世界トップクラスのテクノロジーパートナーとともに、顧客企業の課題を解決するカスタムソリューションを開発し、それを汎用化できる技術パターンを構築します。

次に、こうして構築されたパターンを、伊藤忠商事、アルフレッサ ヘルスケア、あらたといった強固な取引基盤を持つ販促パートナーのネットワークに載せることで、市場へ効率的に横展開していきます。

中期経営計画

2029年3月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画についてご説明します。最終年度に、売上高30億円超、営業利益3億円から4億円、営業利益率10パーセント以上を計画しています。

10億円超のM&A投資枠を新設していますが、こちらは事業計画には一切織り込んでおらず、オーガニック成長のみで達成する計画です。当社は、今後3年間を単なる売上拡大の期間ではなく、AIによる意思決定支援を事業の中核に据えるための発展的な構造転換期と位置づけています。

中期行動計画

中期経営計画における3年間のロードマップです。トップラインを引き上げる事業側の施策としては、共同開発案件の汎用化や、アライアンスを活用した横展開による収益の複層化を進めます。

一方で、利益創出力を向上させる組織側の施策としては、役割と成果を明確化するバーチャル社内カンパニーの組織体系の導入を進めます。さらに、営業プロセスの定型化やパイプライン管理の徹底を図ることで、少人数でも高い生産性と成長レバレッジを発揮できる組織体制へのアップデートを進めていきます。

通期業績 | サマリー

2026年3月期の通期決算概要についてご説明します。2026年3月期は、複数の大手小売業向けの大型案件が立ち上がり、売上高は前期比20.3パーセント増の18億7,000万円、営業利益は前期比2.1倍の1億100万円と、大幅な増収増益を達成しました。

2月に開示した修正計画に対しても、第4四半期にスポット型案件の売上高が想定以上に積み上がったため、売上高・営業利益ともに大きく上振れました。

通期業績 | サービス別売上高・KPI

主力サービスである消費財メーカー向けのSaaS「イーグルアイ」の導入件数は、卸商社との協業案件が着実に進展し、前年度の159件から180件へと順調に積み上がりました。

通期業績 | 営業利益・営業費用

営業費用全体は17億6,800万円となりました。大型案件の立ち上げや円安影響に伴いシステム関連費が前年から1億3,000万円増加しましたが、コストコントロールを徹底しながら、中期的な高収益化に向けた必要投資を継続していきます。

開示内訳の変更に関して

今回、開示内訳を変更した意図についてご説明します。中期経営計画のテーマは、“パターンの作成”דパターンの横展開”です。その進捗度合いをより正確に示すため、「メーカー向けソリューション」「リテール向けソリューション」「リテールメディアその他」という顧客属性別の開示区分へ変更しました。

このうち、メーカー向けソリューションについては当社のみで営業を行う「単独契約」、および協業先と収益をシェアする「協業契約」に分割して表記しています。

卸商社との協業契約は、レベニューシェアの形態のため、1契約当たりの当社の収益は限定的です。しかし、新中期経営計画の1年目は、圧倒的な量的拡大により市場シェアを獲得することを最優先としています。ここで構築した強固な土台や分母が、将来的な高単価AIソリューションのアップセル・クロスセルに向けた戦略的な布石となります。

この後の20ページから22ページには四半期の業績推移を記載していますが、第4四半期のスポット型売上の集中や通期での大幅な上振れ着地のファクトに集約されるため、説明を割愛し、次のスライドに移ります。

TOPIC① | SMN株式会社と広告効果に関する共同検証を実施

前期から今期にかけての主なトピックスを2点ご紹介します。

1つ目は、SMN株式会社との広告効果に関する共同検証についてです。テレビCMとデジタル広告の連携によるオフライン購買計測を実施したところ、双方に接触させた層の購買率が大きく伸びたことが実証できました。

これは、当社の広告用購買データの高い価値を証明するものであり、今後のリテールメディア領域における本格的な収益拡大を後押しするファクトとなります。

TOPIC② | ペガサス・テック・ホールディングスへの投資を決定

2つ目のトピックは、ペガサス・テック・ホールディングス株式会社への投資の決定についてです。将来的な協業可能性やシナジーが高い最先端のAIテクノロジー企業を開拓・獲得することを目的として、戦略的な出資を決定しました。

中期経営計画で掲げる「リテールデータ×AIインサイト」の進化を加速させるためのアライアンス推進となります。

なお、このあとの26ページから28ページに掲載している財務諸表の詳細や開示内訳変更については資料に記載のとおりですので、説明を割愛します。

2027年3月期計画 | サマリー

最後に、2027年3月期の通期計画についてご説明します。2027年3月期は、売上高で前期比17.6パーセント増の22億円を見込む一方で、営業利益は前期比21.3パーセント減の8,000万円を計画しています。

今期は、中期的な利益拡大に向けた仕込みや構造改革の強化を目的とした投資フェーズと位置づけています。

2027年3月期計画 | 前提条件

計画の前提条件についてご説明します。

まず、売上総利益率は51パーセントを計画しており、前期比で低下する見込みです。これは、卸商社との協業を加速することで、レベニューシェアにより一時的にセールスミックスが悪化することが要因です。また、将来のストック型収益の拡大に向けた開発案件の織り込みやシステムコストの値上げ、さらに昨今の円安リスクも反映しています。

販管費は、賃上げなどの人的資本投資に加え、中長期の企業価値向上に直結する施策について機動的に動けるように、一定額の戦略投資費用の予算枠をあらかじめ織り込んでいます。

投資家のみなさまに強くお伝えしたいのは、この戦略投資費用の予算枠を消化しなければ、2026年3月期比でしっかりと増益を確保できるほど、足元のオーガニックな収益力は極めて強固であるということです。中長期的な収益レバレッジを最大化するために、今期はあえて攻めの減益予算を策定しました。

2027年3月期計画 | 四半期業績の進捗イメージ

最後に、今期の四半期業績の進捗イメージと結びのメッセージをお伝えします。

今期は成長投資が先行して発生するため、第1四半期に一時的な営業赤字を見込んでいますが、こちらは想定どおりの動きです。

下期に向けてストック型収益が累積し、第4四半期には大型の開発検収が集中するため、今期の営業利益の過半を第4四半期で一気に稼ぎ出すという力強い進捗イメージを描いています。

本日お伝えしたいことは非常にシンプルです。当社は単なるデータ分析会社ではありません。全国6,500万人規模、年間10兆円に及ぶ購買データを管理・精製し、日本で唯一無二の希少なデータプラットフォームという資産を基盤に、AI時代における企業の意思決定を支えるインフラ企業、すなわち意思決定基盤(OS)への進化を目指しています。

2027年3月期は、そのための重要な投資の1年となります。短期的なP/Lの数字だけではなく、その先にある巨大な成長機会を着実に捉え、中期経営計画の達成と企業価値の向上に全力で取り組んでいきます。

以上で、私からの説明を終わります。本日は誠にありがとうございました。

質疑応答:大手卸商社との提携の狙いと収益インパクトの見通しについて

司会者:「卸商社との提携強化により、販売網が強化されました。あらたとの協業の進捗状況および卸商社との協業による2027年3月期の収益インパクトはどの程度でしょうか?」というご質問です。

米倉:あらたとの戦略的業務提携については、当初の想定を上回るスピードで立ち上がり、拡販に向けたサービス開発が完了しました。これにより、国内流通の川上を握る大手卸商社3社との強力なネットワークが完成しました。

今期の協業案件は、前期末比で新規契約社数が3倍以上、売上高で4倍以上という非連続的な急成長を計画しています。

戦略的な意図は、分母の拡大です。卸商社経由の協業契約は、収益をシェアするモデルであり、単独契約に比べて1社当たりの当社の受取単価は限定的なため、短期的には売上総利益率の低下やセールスミックス悪化の要因となります。しかし、中期経営計画1年目の最優先課題は圧倒的なスピードで市場シェアを拡大し、分母を拡大することにあります。

また、もう1つの意図として、来期以降へのレバレッジがあります。足元の4月だけですでに十数社の新規契約を獲得しており、非常に強いスタートダッシュを切ることができています。ここで築いた強固な顧客基盤、つまり分母に対して、中期経営計画の2年目、3年目には高付加価値なAIインサイトを追加実装することで、アップセル・クロスセル効果の最大化を図ります。

質疑応答:購買データ量が急増した要因とコンビニエンスストアを対象市場に追加した理由について

司会者:「購買データ量が10兆円規模と前期より大幅に拡大しています。急増した理由と、国内小売販売額にコンビニエンスストアが加わっている理由を教えてください」というご質問です。

米倉:購買データ量の拡大については、小売業ごとの専用環境である「ショッピングスキャン」プラットフォームの採用が大幅に拡大した結果です。戦略的な観点としてはモート(参入障壁、競争優位性)の深化やTAM(対象市場)の拡張ということかもしれません。

また、コンビニエンスストア業態を加えた理由は、国内の主要メガプレーヤーにおいて、当社のプラットフォームおよびソリューションの導入が正式に開始されたためです。

最大の競争優位性として重要なのは、データ量そのものではなく、異なる小売業ごとの膨大な購買データを専用環境で安全に管理し、標準化した上で、分析可能な状態で維持し続ける当社のデータ整備ノウハウにあります。

市場拡張の観点で申し上げると、当社が20年以上にわたり培ってきたこの仕組みが、ついに巨大なコンビニエンスストア市場の企業にも認められ、データ活用やデータ事業を推進するために組み込まれ始めました。このことは、当社のTAMが確実に次のステージへと拡張している証明であると考えています。

質疑応答:大手小売業向けAIソリューションの横展開と業績貢献までのリードタイムについて

司会者:「大手小売業へのAI販促、新規出店予測AIの導入実績がありますが、他の大手小売業への横展開の可能性についてどのように考えていますか? また、導入が決定した場合、業績に反映されるまでのリードタイムはどの程度でしょうか?」というご質問です。

米倉:AIソリューションの横展開については非常に強い手応えを感じています。現在、複数の大手小売業への提案において、具体的な議論が進行中です。

導入決定から業績へ反映されるまでのリードタイムについては、お客さまごとのデータ連携の難しさや、専用環境を構築する際のカスタマイズに関するご要望により多少変動しますが、早ければ半年程度と、非常にスピーディな立ち上げが可能となっています。

以前は個別企業ごとにカスタム開発が多く必要でしたが、これまでの取り組みを通じて、本件に関するベースとなるプロダクトの型が完成したこともリードタイムの短縮へ寄与しています。

また、生産性向上の観点では、新中期経営計画期間の3年間において、この型をそのまま横展開することで、自社の人員リソースを過度に消費することなく、少人数体制のまま効率的に売上高を拡大できるフェーズに移行しています。

質疑応答:リテールメディア領域のスケールおよびアライアンス戦略について

司会者:「SMNとの取り組みは業界的にも非常に有益なサービスかと思いますが、このサービスを含め、リテールメディアをスケールさせるための戦略はどのように考えていますか?」というご質問です。

米倉:当社の戦略としては、リソースの競合を避けるためにも、拡販は強力なパートナー網に委ね、当社はコアとなるデータプロセスとOSのポジションに特化するという、非常に資本効率の高いモデルを採用しています。

アライアンスの補完関係については、デジタル広告領域においては、これまでにもご説明してきた楽天、Hakuhodo DY ONE、そして今回のSMNとの提携により、デジタル広告からテレビCMまでを一気通貫で網羅するオフライン購買効果の可視化インフラが整備されてきました。

フロントの営業や出稿などの運用はパートナー企業が担い、当社は裏方のプラットフォームとして高度なターゲティングや精緻な効果検証データを提供することでそれぞれが収益を上げていきます。

この役割分担により、当社は膨大な営業人員を抱えることなく、市場の拡大スピードをそのまま自社の成長レバレッジとしていきます。

質疑応答:「リテールメディアその他」セグメントの減収の背景と実態について

司会者:「開示資料を拝見すると『リテールメディアその他』のセグメントが前期比で減収となっているように見えます。リテールメディアのデータ連携収益の拡充はどの程度見込んでいますか?」というご質問です。

米倉:「リテールメディアその他」の開示セグメントが前期比で13.5パーセントの減収となった理由は、リテールメディア領域ではない「その他」に含まれる従来の一過性のBPO案件において、解約や需要一巡に伴う整理が集中したためです。

リテールメディアの真の実態として投資家のみなさまに強くお伝えしたいことは、成長ドライバーであるリテールメディア単体の収益は、現在は規模がそれほど大きくないものの、極めて爆発的に成長していることです。

現状、収益規模が小さいためサービス単体での開示は行っていませんが、ストック型とスポット型を合算したリテールメディアの売上高は、前年同期比で2倍以上の大幅な成長を遂げています。

2027年3月期の計画は、期初段階で一定の保守性を考慮して算出していますが、足元では引き合いが非常に強く、計画を上回るペースで推移していると認識しています。

質疑応答:前期第4四半期のスポット型売上の継続性と今期の見通しについて

司会者:「2026年3月期の第4四半期は想定以上のスポット型収益が積み上がったとのことですが、この需要は一過性のものでしょうか? それとも、2027年3月期以降も継続するものとして計画に織り込んでいるのでしょうか?」というご質問です。

米倉:下方修正を行ったにもかかわらず修正計画から上振れて着地した理由については、保守的な修正計画を設定した中で、第4四半期にスポット型売上が大きく跳ね上がったことによるものです。

スポット型売上が修正予想を大きく上回って計上された1つ目の要因は、受注から納品までのサイクルが短いリテールメディア領域において、需要が想定以上に急拡大したことが挙げられます。2つ目は、進行中の複数の大型開発案件に対して徹底したプロジェクト管理を行った結果、前倒しで検収を完了できたことです。この2つのポジティブな要因が影響しています。

計画への織り込みという観点では、2027年3月期は、開発案件などのスポット型売上について、現時点ではバイネームで確実性が極めて高く、具体化しているプロジェクトのみを織り込んでいます。そのため、期ずれを除き、大きなダウンサイドリスクはないと考えています。

また、アップサイドの余地として、足元のAI関連やリテールメディアの需要が非常に強いと感じています。期中に新規で発生する単発案件を確実に捉えることで、今期計画に対する大きなアップサイドを積極的に狙っていきたいと思います。

質疑応答:売上総利益率の具体的な改善施策について

司会者:「2027年3月期は売上高が前期比プラス17.6パーセントの増収となる一方、営業利益は前期比マイナス21.3パーセントの減益計画となっています。今後の売上総利益率改善に向けた施策はどのように考えていますか?」というご質問です。

米倉:ご質問いただいたとおり、今期は増収減益、売上総利益率低下の計画になっております。売上総利益率向上への取り組みについては、2つの視点でお答えします。1つは売上総利益率向上へのコミットメント、もう1つは収益レバレッジの仕組みについてです。

今期の売上総利益率は、51パーセントとなる見通しです。これは、中期経営計画の最終年度に向けて意図した、一時的なセールスミックス悪化と先行投資が要因となっています。マージンの劇的な改善は、経営陣として最優先のコミットメントと考えています。

売上総利益率の改善に向けた具体策として、今期は個別企業向けのカスタム開発から得た知見を徹底的に汎用化し、プロダクトとして型化する仕組みを確立する予定です。また、自社の運用プロセスにおいて、データ生成やクレンジングの裏側にAIツールやAIエージェントを徹底的に組み込むことで、業務の大幅な省力化と効率化を推進していきます。

来期以降の収益レバレッジについては、今期中に型を洗練させ、運用の省力化の土台を固めることを目指しています。

これにより、来期以降は人員を増やさずに売上拡大がそのまま利益の最大化に直結し、本来の高レバレッジな高収益フェーズへ大きく転換できると考えています。この目標に向けて取り組んでいきます。

質疑応答:事業モデル変化後のベンチマーク企業について

司会者:「AIの進化による事業環境の変化を受けて、事業モデルを変えています。ベンチマークとしている企業は、海外・国内でどこになるのでしょうか? また、現状で御社が比較している企業の認識と、ビジネスモデルの変化によって比較対象となる企業はどう変わるのでしょうか?」というご質問です。

米倉:ベンチマークとしている企業の1つにアメリカのWalmartがあります。

同社はオフラインからデジタルまでを集約し、自社の顧客とメディアとしての価値を持ちながら、メーカーなどの取引先を見事に結びつけたエコシステムを構築しています。その中で、本業以外でも大きな利益を生み出すモデルを実現しています。

日本の場合は大手の小売業が独占しているわけではなく、さまざまな小売業が分散して市場を構成しています。当社はそれぞれの小売業を支援しながら、集合体として、または個別のお客さまとして、Walmartのようなモデルを実現できる可能性を見込んでいます。この世界観を実現するため、今回の新中計のコアであるリテールデータ全体とAIインサイトを組み合わせる取り組みを進めています。

当然ながら、これを実現するにはデータプラットフォームとしての強固な基盤が重要になります。グローバル市場には、大きな価値を持つようになった著名なスタートアップ企業や、ユニコーンのさらに100倍の価値を持つヘクトコーンと呼ばれるスタートアップまで存在しています。

この中で、AIを活用して進化していくデータプラットフォームを提供する企業があり、それらのプラットフォームを当社の中にうまく組み込むことでビジネスモデルを構築していくイメージです。

質疑応答:戦略投資予算の使途とスタンスについて

司会者:「中長期的な収益拡大に向けた戦略投資予算を今期のP/L計画に織り込んでいるとのことですが、現時点で想定している施策を教えてください」というご質問です。

米倉:当社は本中期経営計画において、「リテールデータ×AIインサイト」で企業の意思決定を支援する企業へと進化することを目指しています。そのための戦略投資として、今期の計画には主に3つの施策を盛り込んでいます。

1つ目は、AIをはじめとする新技術を活用したソリューションや、運用を実現するための研究開発です。2つ目は、成長の源泉である優秀な人材の維持と、エンゲージメント向上に向けた人的資本への投資です。3つ目は、自社での開発や成長スピードをさらに加速させるためのM&AやAIスタートアップ企業などとのアライアンスの推進です。

中期経営計画全体では、投資枠を意識しつつ、情報収集や連携を本格化させていきます。中期の持続的な成長に不可欠な施策に対しては、状況に応じて柔軟かつスピード感を持って資金投入できるよう、機動的な予算枠を設定しています。

目先の利益だけではなく、将来の収益基盤をより強固なものにするための投資であるとご理解いただければ幸いです。

質疑応答:長期的な成長を予測するために注目すべき指標について

司会者:「今回開示されたKPIでは、今回の中期経営計画の次のステージ以降の成長の姿を予測しにくいです。どのような指標に注目したら長期的な成長を予測できるのか、米倉社長の考えを教えてください」というご質問です。

米倉:ストック型売上のメーカー向けソリューションについては、数値を分解して開示を行いましたので、もう1つの急成長領域である「リテールメディアその他」をどのように捉えればよいのかというご質問だと理解して回答します。

こちらについては、パートナー企業との取り組みを積極的に進め、プレスリリースなどを通じてその進捗を発信していきます。これらがその先の長期的な成長につながりますので、エコシステムを組み上げていく段階をご確認いただければと思います。

また、数字の積み上げを見ながら、投資家のみなさまにご理解いただきやすい、適切な指標を導いた際には、新たなKPIとして積極的に提示したいと考えています。

質疑応答:M&A投資枠の狙いとCVC事業とのすみ分けについて

司会者:「中期経営計画で掲げている10億円超のM&A投資枠の具体的なターゲットやスタンス、CVC事業とのすみ分けについて教えてください」というご質問です。

米倉:当社の事業計画や中期経営計画の最終年度の目標である売上高30億円超は、一切M&Aによる上積みを織り込んでいない、純粋なオーガニック計画となっています。M&Aは、この目標をさらに上振れさせるためのプラスアルファの武器として位置づけています。

M&Aのターゲットについては、当社のコアである10兆円規模の購買データのOSの上に載せることで提供価値を高め、お客さまの単価を引き上げられる先端AIエージェントや、独自のDXソリューションを持っている企業などを想定しています。

また、垂直方向にAIの価値を積み上げるだけでなく、横展開できるソリューションを持つ企業も対象としています。

さらに、CVC事業とのすみ分けについても明確化しています。例えばペガサス・テック・ホールディングスやファンドへの出資は、あくまでシードやアーリーステージの最先端AI技術を早期に捕捉するための目利きや探索、スカウティングの役割を果たしています。

その中で将来的なシナジーや現場でのパターン作成が実証された先には、マジョリティ投資へとステップを進めるという、財務規律を徹底した合理的な投資プロセスを敷いています。

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