2026年3月期決算説明
クイック、構造的人材不足を追い風に人材サービス売上が伸長 今期より人的資本、既存事業、新領域への投資を大幅強化
目次

川口一郎氏:代表取締役社長の川口です。すでに開示していますが、6月の株主総会では私が代表取締役会長兼グループCEOに就任する予定です。みなさまとの説明会およびIR活動全般は、今後も私が担当したいと思っていますので、よろしくお願いします。
それでは、2026年3月期の決算についてご説明します。まずは目次です。2026年3月期の決算概況、2027年3月期の通期業績予想、中期計画、株主還元、そして企業価値向上に向けた取組みについてご説明します。
26年3月期 決算ハイライト(連結①)

2026年3月期の決算ハイライトについてです。既存事業の拡大と継続的な投資により、過去最高の売上を達成し、増収増益となりました。
売上高は前年同期比4.4パーセント増の339億2,000万円、経常利益は前年同期比1.7パーセント増の46億8,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比16.1パーセント増の41億5,000万円となっています。
26年3月期 決算ハイライト(連結②)

ハイライトです。売上高は、主力の人材サービス事業等、HRプラットフォーム事業以外の領域で増収しました。特に地域情報サービス事業は前年同期比14.4パーセントの増収となり、人材サービス事業では建設・不動産、IT分野、製造業といった注力領域が堅調に推移しました。
営業利益は、リクルーティング事業、地域情報サービス事業、海外事業でいずれも2桁の増益を達成しています。リクルーティング事業では、「Indeed」「求人ボックス」の運用型広告に加え、業界職種特化型メディアが順調に拡大し、前年同期比29.6パーセントの増益となりました。
地域情報サービス事業では、生活情報誌の販促広告や北信越エリアでの転職支援が寄与し、前年同期比35.3パーセントの増益となっています。また、欧米では高年収帯案件の成約が利益を押し上げ、海外事業全体として前年同期比25.4パーセントの増益を確保しました。
当期純利益は、保有する投資有価証券の一部を売却したことで、11億6,400万円の投資有価証券売却益を特別利益として計上し、前年同期比で16.1パーセントの増益となっています。
26年3月期 連結業績 (前年同期比・計画比)

連結およびセグメント別の業績についてご説明します。
売上高は339億2,400万円で、前年同期比4.4パーセント増となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は41億5,800万円で、前年同期比で全体的に増加していますが、計画比ではわずかに売上高が不足しています。
また、スライドの一番下に「※印」で記載がありますが、主に賃上げ促進税制の適用による税額控除を受けたことにより、当期純利益が計画よりも増加しています。
26年3月期 セグメント別業績 (前年同期比・計画比)

セグメント別業績です。次のスライドより、セグメント別に詳しくご説明します。
26年3月期 セグメント別業績|人材サービス事業

人材サービス事業についてです。構造的な人材不足を背景に、企業の採用意欲が依然として旺盛であり、人材紹介・派遣市場全体が拡大傾向にあります。
人材紹介における売上は7億8,000万円の増収となり、特に建設・不動産、IT分野、製造業の特定領域、および看護師紹介が好調に推移して増収となっています。
人材派遣については、看護師派遣は堅調でしたが、保育士派遣は登録者の減少傾向により減収となっています。
26年3月期 セグメント別業績|リクルーティング事業

リクルーティング事業についてです。事業環境として、幅広い業種・職種で採用ニーズが旺盛である一方、採用手法の多様化がさらに進み、競争環境が激化しています。
売上高の増減要因としては、まず「Indeed」「求人ボックス」や他メディアによる増収が1億7,300万円となりました。
一方で、採用コンサル関連は、採用ツールの多様化やダイレクトリクルーティングの普及に伴い競争が激化し、案件獲得が伸び悩んだことで減収となっています。
また、イベントに関しては、新卒看護領域の「看護roo!(カンゴルー)就活」において掲載病院数が増加したことに加え、合同説明会への集客を目的とした学内就活セミナーの実施数を拡大した結果、好調な推移が見られます。
26年3月期 セグメント別業績|地域情報サービス事業

地域情報サービス事業についてです。事業環境としては、飲食店やショップなどの販促広告で大手・リテールともに旺盛な需要があり、堅調に推移しました。転職市場では、地元の優良企業と求職者をマッチングする人材紹介マーケットが拡大しています。
生活情報誌は1,200万円の増収、「Indeed」は1億1,100万円の増収、さらにコンシェルジュにおいて、特に転職領域で人材紹介が大きく伸び、1億9,500万円の増収となりました。
26年3月期 セグメント別業績|HRプラットフォーム事業

HRプラットフォーム事業についてです。事業環境として、採用・育成・定着支援やHRテック領域のサービスに対する企業のリプレイスニーズが一巡し、市場全体に落ち着きが見られます。
その中で、「日本の人事部」関連サービスでは1億4,500万円の売上減となっています。
一方、「日本の人事部」イベント関連については、「HRカンファレンス」「HRラウンドテーブル」が好調に推移し、さらに新設の「次世代リーダーカンファレンス」開催が寄与し、イベント事業は増収となっています。
26年3月期 セグメント別業績|海外事業

海外事業についてです。北中米では関税政策を背景とした採用控えが見られ、英国は景気の先行きに不透明感があります。一方、欧州域内のマーケットは好調に推移しました。アジアではタイにおける高度人材のニーズが底堅く推移しています。
26年3月期 セグメント別業績|海外事業(2)

こちらのスライドは海外拠点展開を示すマップです。スライド左下の「※印」に記載されているとおり、上海クイック有限公司は2025年12月に解散および清算を完了しました。また、2026年3月にドイツのデュッセルドルフに新拠点を設立し、事業を開始しています。
今後も海外事業の業績拡大と「クロスボーダーリクルートメント」の推進に注力していきたいと考えています。
従業員数の推移(グループ全体)

従業員数の推移についてです。前期末比で92名増加し、1,892名となりました。
Topics 当社への評価 ~社外・従業員からも一定の評価~

当社への評価については、社内外から一定の評価をいただいていると考えています。一例として、「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)」に認定されています。
また、Openwork社が実施するランキングでは、従業員や退職した従業員が匿名で企業を評価するサーベイにおいて、「働きがいのある企業ランキング2026」で総合評価が約2万社中15位にランクインしています。特に「風通しの良さ」や「社員の相互尊重」「20代成長環境」については、上位にランクインしています。
27年3月期 連結業績予想

2027年3月期の通期業績予想についてです。
後ほど詳しくご説明しますが、増収を見込む一方で、積極的な成長投資を行うことにより今期は一時的に減益の見通しを立てています。
また、当期純利益の減益については、前期に実施した投資有価証券の売却を、今期は今の時点では予定していないため、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比で32.5パーセント減となる見込みです。
1株当たりの配当額は、2025年12月1日に株式分割を実施し、この株式分割を考慮した金額を記載しています。2026年3月期の実績は37.6円でしたが、今期は38円を計画しています。
27年3月期 セグメント別業績予想

セグメント別業績予想についてです。
人材サービス事業に関しては増収を見込んでいますが、投資を加速させるため、営業利益は前年同期比3.3パーセントの減少を計画しています。リクルーティング事業でも新たな投資を開始する影響で、前年同期比4.5パーセントの減少を見込んでいます。その結果、連結営業利益は前年同期比10.3パーセントの減少を計画しています。
また、すでに開示しましたが、関連会社であるワークプロジェクトを7月1日付で代表取締役社長によるMBOとして売却することを計画しています。人材サービス事業はその数値を反映しています。
27年3月期 通期見通し①

各事業の見通しです。人材サービス事業では「アンドプロ」の機能強化、コンテンツの拡充、コンサルタントの能力開発、そしてAIによる業務効率化を推進し、競争優位性の確立を目指しています。
ご参考:サービスブランド「アンドプロ」について

こちらのスライドはサービスブランド「アンドプロ」の概況です。
クイック人材紹介事業では「業界/職種を知り尽くしたプロと共にあなただけのキャリアを」というコンセプトのもと、サービスブランドとして「アンドプロ」を展開し、そのフロントとなる中核の旗艦サイトとして「アンドプロ」をリリースします。現在、サイトは順次アップデート中であり、2026年度内を目標に機能の拡充を進めていきます。
この背景には、旗艦サイト構築を通じて資本効率の最適化を図りたいという考えがあります。これまで各領域に特化した専門サイト等に分散投資されていた経営資源を、旗艦サイト「アンドプロ」に集中投資することで、認知拡大と集客効率の向上を目指します。
さらに、収益基盤の強化を通じてブランディングを進め、独自の集客基盤を構築し、自社集客比率を高めることで、より強固な収益性の確保を図りたいと考えています。
サービスブランド「アンドプロ」については、旗艦サイト、登録者との面談、情報提供、転職活動支援までを1つのブランド「アンドプロ」として確立し、激化する市場環境の中で競争優位性を構築していきたいと考えています。
27年3月期 通期見通し①

リクルーティング事業についてです。アグリゲーション型求人サービスに採用コンサルティングなどを組み合わせた総合提案を行い、提供価値の向上と顧客数の拡大を目指します。
新卒看護領域では、「看護roo! 就活」のアプリ機能開発やコンテンツ拡充を含めた開発投資、セミナー実施校の開拓を進めることで、医療機関との関係構築を深め、事業基盤を強化していきたいと考えています。
営業利益については、その費用の影響で若干の減益となっています。
27年3月期 通期見通し②

地域情報サービス事業についてです。メディア事業では、SNS広告や「Indeed」の拡販、イベント連動型の提案を通じて、売上の底上げと収益向上を図りたいと考えています。
HRプラットフォーム事業では、先ほど申し上げたリプレイスニーズの一巡や大手顧客の予算縮小が今後も続くと見込んでいます。そのような中で、イベント開催形態の見直しやマッチング施策の強化を進めることで、顧客の投資対効果を高め、競合他社に対する優位性の構築を目指します。
また、「日本の人事部」サイトにおける独自コンテンツの充実による会員数の拡大、人事コミュニティを通じたユーザーとの関係深化に注力していきます。
海外事業については、米国での待遇改善による定着率の向上や、メキシコでは人員およびマーケティングの強化、欧州では新規顧客の開拓を重点的に推進していきます。米国での待遇改善に伴い、営業利益は若干の減益となる計画です。
また、ベトナムでは日本人を対象とした人材紹介事業の組織再構築を進め、タイでは新たな領域の開拓を強化していきます。
27年3月期 中期計画

中期計画についてご説明します。2027年3月期は先ほどご説明したとおりです。2028年3月期も積極的な投資を継続することで、売上高は前年同期比6.8パーセント増の371億6,000万円、経常利益は42億6,200万円と微増益を計画しています。
さらに、2029年3月期には、2027年および2028年の投資による利益を獲得し、売上高は前年同期比11.0パーセント増の412億3,000万円、経常利益は前年同期比10.9パーセント増の47億2,600万円を計画しています。
27年3月期 中期計画セグメント別

セグメント別の中期計画についてです。人材サービス事業は、投資を加速させることで、2029年3月期には売上高が前年同期比11.8パーセント増、利益が8.7パーセント増となる計画です。
リクルーティング事業では、今期の利益は前年同期比で4.5パーセント減となりますが、2028年3月期には6.9パーセント増、2029年3月期には5.5パーセント増を見込んでいます。
27年3月期配当予想

株主還元、企業価値向上に向けた取組みについてご説明します。
2027年3月期の配当予想は、今期より下限配当(38円)を導入します。中期計画期間中は、配当性向70パーセントと下限配当のいずれか高いほうを採用します。さらに、合計30億円以上の自己株式の取得を行うことで、総還元性向は100パーセントを超える見込みです。
企業価値向上に向けた取組み

こちらのスライドは、企業価値向上に向けた取組みを示したものです。直近の取組みについて記載しています。
詳しくは、以降の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」でご説明します。
エグゼクティブサマリー

エグゼクティブサマリーです。まず、現状分析として、必要以上の現預金や株主資本の蓄積が資本効率の低下を招いていると認識しています。過去4期のROEは20パーセントを超えており、当社が認識している株主資本コストを大きく上回っています。
一方、営業キャッシュフローと利益の蓄積を背景に現預金・株主資本比率が上昇傾向にあり、バランスシートの効率性に課題があると考えています。また、資本収益性の向上には、現預金の適切な活用と株主資本の過度な拡大の抑制が必要であると認識しています。
このような現状認識に基づき、中長期的な企業価値向上を目指した投資の拡大と株主還元の強化を実施する方針です。
今期からの3年間では、人的資本投資・既存事業投資・新領域投資を大幅に強化する計画です。また、今期より下限配当(38円)を導入し、配当は下限配当と配当性向70パーセントのいずれか高いほうを採用します。さらに、この3年間で合計30億円以上の自己株式の取得を行い、総還元性向は100パーセントを超える見込みです。
投資効果の実現を通じた利益成長と資本効率の改善により、中長期的な企業価値の向上を目指していきます。
以上が概要です。ここからは、現状分析についてより詳しくご説明します。
株価実績

まずは、株価実績についてです。安定的な業績拡大を背景とした増配や、流動性・認知度向上に向けた各種取組みにより、過去5年間の株価はTOPIXを上回る形で推移しています。スライドのグラフでは、下部のグレーの折れ線がTOPIXを、赤の折れ線が当社の株価をそれぞれ示しています。
補足:最近の主な取組み

最近の主な取組みについては、先ほどの内容と一部重複していますが、以下のとおり記載しています。
2025年2月10日に株式の立会外分売を実施し、2025年10月10日に株式分割を行いました。さらに、2026年4月30日には株主還元方針の見直しを開示しました。そして本日、2026年5月12日には、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を更新しています。
PBR・ROE実績

PBRおよびROEの実績についてです。当社の推計では、株主資本コストは9パーセントから10パーセント、ROEは過去4年間の4期で20パーセントを超えています。
B/Sの効率性

B/Sの効率性についてです。現預金と株主資本の蓄積が進んでおり、資本効率を向上させるためには、現預金の適正な活用と株主資本の過度な拡大を抑制することが求められます。
この現状認識を踏まえ、企業価値向上に向けた取組みについてご説明します。
キャピタルアロケーション

まずは、キャピタルアロケーションについてです。
中長期的な成長を実現するために、投資を加速するとともに、株主還元の強化に取り組みます。また、バランスシートの適正なマネジメントにより資本効率の改善を図っていきたいと考えています。
2026年3月期の現預金は133億円ですが、今後3年間の営業キャッシュフローは費用性投資を含めて203億円を計画しています。そのうち、人的資本投資、既存事業投資、新領域投資の総投資額は97億円を計画しています。
配当については自己株式の取得を含めて株主還元を重視し、96億円を計画しています。
また、戦略投資の実施としては、事業領域の拡大、DX投資、他社との戦略的アライアンスやM&Aを通じて、一定の戦略投資額を含めています。これにより、現預金水準の適正化を図りたいと考えています。
中長期的なROE向上

中長期的なROEの向上についてです。中長期的な成長に向けて資金を投下するため、一時的に減益となる見込みですが、株主還元を強化したいと考えています。また、投資効果の実現による利益成長と資本効率の改善を通じて、中長期的なROE向上を目指していきます。
ROEは過去4年間にわたり20パーセントを超えていましたが、今期は14.5パーセントを計画しています。そして、2029年3月期にはROEを16パーセントまで向上させ、それ以降はさらに投資効果の実現を通じて利益成長を図っていきます。
投資計画

投資計画についてです。中期計画期間の3年間においては、人的資本、既存事業、新領域の各分野への投資を拡大していきます。人的資本投資では、既存社員の待遇改善、ワークエンゲージメントの向上や企業価値向上に向けたインセンティブ強化を目的とした従業員向けRS(譲渡制限付株式)付与の導入を計画しています。
既存事業への投資では、看護師の就職支援において、サイトやアプリの機能強化、コンテンツの拡充、プロモーションの強化を実施する予定です。
生産性向上を目的とした社内システムやAIなどのシステム投資も実施します。そのほか、拠点の拡張や移転も行います。具体的には、東京本社のATT EASTでワンフロアを4月から増床しました。また、福岡に新拠点を設置し、長野支店と富山支店も増床のために移転しています。
新領域投資では「アンドプロ」の立ち上げがあります。また、既存事業投資と重なる部分もありますが、「アンドプロ」の立ち上げとともに、今年度後半にはYouTubeチャンネルの開設およびプロモーションの強化を予定しています。
その投資総額は、合わせて97億円を計画しています。
株主還元方針

株主還元方針についてです。繰り返しになりますが、2027年3月期より下限配当(38円)を導入します。中期計画期間中は配当性向70パーセントと下限配当のいずれか高いほうを採用する方針です。
さらに、合計30億円以上の自己株式の取得を予定しており、総還元性向は100パーセントを超える見込みです。
資本コストの低減

Appendix(参考資料)として、資本コストの低減についてお話しします。株主や投資家から見た不確実性を低減するため、還元方針の見直しを通じて予見性の向上を図ります。また、IRおよびSR活動を強化し、双方向の対話と積極的な情報発信を推進していきたいと考えています。
特に②のIRおよびSR強化のうち、「●」の2番目の項目についてですが、今期以降、新規海外機関投資家とのオンライン面談を設定するほか、これまで年に1回東京で開催してきた個人株主向け事業説明会を年2回に増やし、機関投資家向けの面談数も増やすなど、積極的に対話を進めていきたいと考えています。
また、第1四半期および第3四半期の決算説明資料の公開も検討しています。
株主・投資家との対話

最後に、株主・投資家のみなさまとの対話についてです。株主・投資家のみなさまとの対話結果については、適宜、私も含めた経営陣にフィードバックし、具体的な施策へと反映してきました。今後はより一層強化していきたいと考えています。
以上、決算概要と資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた方針発表についてご説明しました。
Q&A
質疑応答に関してはこちらに掲載されています。
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