フリー、通期売上高予想を前期比26%増に上方修正 共同創業者の横路CTOがCAIOに就任、AIイニシアティブを加速
2026年6月期第2四半期のハイライト

佐々木大輔氏(以下、佐々木):フリー株式会社代表取締役CEOの佐々木大輔です。フリー株式会社2026年6月期第2四半期の決算についてご説明します。
まずはハイライトです。
第2四半期の売上高は前年同期比29.5パーセントの成長を達成し、順調な着地となりました。上期を通して好調な実績を示したことから、通期の売上高予想を前期比プラス26.0パーセントに上方修正しています。
法人Midセグメントについて、新規顧客獲得が順調に推移したこともあり、前四半期と比較してARRの純増ペースが加速しました。このような純増ペースに転じることができた点を評価しています。
次に、ユーザー数についてです。上期での法人ユーザー数の純増は2万社超となり、結果として累積25万社を突破しました。このマイルストーンは従来の計画より遅れがあるものの、しっかりと達成することができました。
また、AIの活用は経営においてますます重要なテーマとなっています。その優先順位を反映し、AIイニシアティブをさらに加速させる目的で、これまでCTOを務めてきた共同創業者の横路がCAIO(Chief AI Officer)に就任しました。横路はAI推進にフォーカスし、この取り組みをさらに加速させていきます。
こちらについては、今後の方針なども含めて、後ほど横路よりご説明します。それでは、財務の詳細についてCFOの坪井よりご説明します。
主要KPI及び財務指標

坪井亜美氏(以下、坪井):常務執行役員CFOの坪井です。よろしくお願いします。私から各財務指標の実績と通期の見通しについてご説明します。
主要KPIおよび財務指標です。スライドの上段のみ読み上げます。まず、プラットフォームARRは391億円で、このうち法人が311億円となり、前年同期比29.5パーセント成長しました。
スライド中央記載のプラットフォームの有料課金ユーザー企業数は、全体で64万3,000社、法人では25万6,000社となりました。
スライド右側のプラットフォームARPU(ユーザー平均単価)は6万800円で、法人では12万1,600円、全体では前年同期比で11.2パーセント成長しています。
プラットフォーム ARR

財務実績について詳細をご説明します。まず、プラットフォームARRです。今年度より新しい指標として導入したプラットフォームARRは、従来のサブスクリプションARRに、利用の継続性が認められる手数料や従量課金などの売上を示すトランザクションARRを加えたものです。
このプラットフォームARRは前年同期比26.0パーセント成長し、391億5,100万円となりました。内訳として、サブスクリプションARRは、Midセグメントでの新規顧客獲得が加速したことにより、法人セグメント全体で前年同期比27.1パーセントの成長を達成しています。
個人事業主セグメントのサブスクリプションARRも前年同期比13.9パーセント成長しました。また、トランザクションARRは多くを法人向けクレジットカード事業の売上が占めていますが、この事業の拡大に伴い、前年同期比81.3パーセントという高成長を継続しています。
有料課金ユーザー企業数及び ARPU(プラットフォーム)

有料課金ユーザー企業数とARPUについてです。法人セグメントの有料課金ユーザー企業数は上半期に2万1,265件の純増となり、累計で25万社となりました。これは、ダイレクトチャネルでのユーザー獲得に加え、会計事務所とのパートナーシップを通じた新規顧問先獲得が堅調に推移したことによるものです。
平均単価については、法人セグメントではクロスセルの進捗などにより、前年同期比で9.7パーセント増となりました。個人事業主セグメントは前年同期比3.3パーセントの伸びを記録しています。全体では単価の高い法人への顧客ミックスシフトの影響もあり、ARPU成長率は前年同期比11.2パーセントとなっています。
売上高

売上高です。第2四半期の売上高は前年同期比29.5パーセント増の101億9,700万円となり、四半期ベースで初めて100億円を突破しました。この順調な売上高の伸びを受け、通期の売上高見通しをアップデートしましたので、後ほどご説明します。
売上総利益

売上総利益です。売上総利益は81億9,800万円、売上総利益率は80.4パーセントとなりました。当社では、2025年度よりプロダクト開発投資のソフトウェア資産化を再開しており、それに伴いソフトウェア資産が積み上がっています。
その資産の積み上げに伴い減価償却費が増加しており、売上総利益率への影響が徐々に大きくなっています。スライド右側のチャートの括弧内をご覧いただくと、ソフトウェア資産の減価償却費を除いた売上総利益率が示されています。
この括弧内では、第2四半期が82.7パーセントとなっており、前四半期と同水準で推移しています。つまり、ソフトウェア償却を除けば、安定した粗利を維持できているということです。
調整後営業利益

調整後営業利益です。第2四半期の調整後営業利益は6億6,200万円、調整後営業利益率は6.5パーセントとなりました。前四半期比では利益率がわずかに低下していますが、概ね想定の範囲内です。
当社は、通期ベースで調整後営業利益率目標を達成するよう、規律あるコスト管理を行っています。また、前年同期比では利益率が5.9ポイント下がっていますが、これは意図的で戦略的な選択によるものです。
昨年度は特に上半期に保守的な成長投資を行いました。それに対し、今年度は既存事業の生産性向上を進めると同時に、将来の成長に向けた戦略的投資を実施しています。
具体的な投資内容としては、会計事務所とのパートナーシップ強化に向けたセールス人員の増強、AI関連の投資、ブランド認知向上のための広告宣伝投資などがあります。これらの戦略的投資は、短期的なリターンではなく、中長期的な収益性向上に向けたレバレッジを効かせることを目的に実施しています。
販売費及び一般管理費の対売上高比率

販管費および一般管理費の対売上高比率の実績です。スライドのグラフでは、各費用項目の対売上高比率が四半期推移ごとに示されています。大きなトレンドを把握する上では、前四半期比の変動よりも前年同期比でどうなっているかをご覧いただければと思います。
それぞれご説明します。まず、一番上の水色のラインで示されているS&M(Sales and Marketing)の費用についてですが、前年同期比では微増となっています。
これは、先ほど申し上げた中長期の戦略投資として、セールス人員、特に会計事務所とのパートナーシップ強化を目的に人員を増強したことや、ブランド認知向上のためにWeb広告の配信を増やしたことが挙げられます。また、ユーザーのロイヤリティ向上を図るためにオフラインおよびオンラインでユーザーイベントを実施しました。
このようなマーケティング施策への戦略投資を行った結果、S&M費用の対売上高比率が上昇しました。
ただし、特に強調したいポイントとして、セールスの生産性向上が挙げられます。セールストレーニングやAI活用によるオペレーションの生産性が向上しており、このS&Mの人件費の対売上高比率は前年同期比で低下させることができています。
次に、灰色のラインで示されているR&D(Research and Development)についてです。R&D費用の実力値を見ていただくには、点線のライン、すなわちソフトウェア資産化の影響を除いたラインをご覧いただきたいと思います。
こちらをご覧いただくと、R&D費用の対売上高比率が前年同期比で1パーセント程度減少しています。このように徐々に対売上高比率を抑えながらも、業種別のニーズに対応した開発やAI関連の開発を目的とした戦略的な投資を行っています。
なお、費用の内訳には若干の変化が見られます。従来、R&D費用の大半はエンジニアの人件費や業務委託を含む人件費でしたが、徐々にAI関連ツール費用やサーバー費用といった通信費の割合が増加しています。
最後に、調整後G&A(General and Administrative)比率についてです。こちらは前年同期比で横ばいとなっています。コーポレート部門は基本的にオペレーティングレバレッジが効く領域ですが、横ばいとなった理由として、昨年と比べて全社的な採用人数が増加したことが挙げられます。これに伴い、採用教育費の増加がG&Aに反映されています。
調整後フリー・キャッシュ・フロー

調整後フリー・キャッシュ・フローについてです。調整後フリー・キャッシュ・フローは半期ごとの実績として開示しており、2026年度上期の実績はマイナス54億7,900万円で着地しました。
これはITツール関連の前払費用のキャッシュアウトといった例年見られる季節性要因によるものです。下期にかけては、年額払いユーザーからの前受収益の積み上がりを見込んでおり、通期での調整後フリー・キャッシュ・フローの着地予想は、通期ガイダンスのレンジ内に収まる見込みです。
通期売上高予想を前期比 +26.0%の41,930百万円に上方修正

2026年度通期の業績見通しについてお話しします。これまでの四半期では、売上高予想を前期比23.0パーセントから25.0パーセントの成長と見込んでいましたが、上期の堅調な売上高実績を踏まえ、今回、売上高予想を前期比プラス26.0パーセント成長の419億3,000万円に上方修正します。
利益指標について、調整後営業利益と調整後フリー・キャッシュ・フロー、各利益率のマージンは当初の予想を維持します。「この増収分をそのままボトムラインに反映しないのか」というご質問をいただく可能性がありますが、売上高の上方修正に伴う増収分は、2027年度以降の中長期成長を見据えた戦略投資に充当する方針です。
具体的には、上期と同様に、2つの領域をメインに投資を進めていきます。1つ目は、会計事務所パートナーシップの強化です。2つ目はAI関連への投資で、プロダクト開発の効率化を加速させるとともに、AIを活用したアウトソースサービスの拡充などを進めていきます。
なお、利益の絶対額としては、売上高の増収に伴い増加しています。絶対額で見た場合、調整後営業利益額は前期比33.7パーセントの成長を見込んでいます。
継続的なコスト効率化と重点領域への成長投資を実行

通期の費用項目別の対売上高比率見通しです。こちらのスライドは再掲ですが、通期の調整後営業利益率見通しに変更はありません。また、戦略投資についても、いずれかの項目に大きく偏った増額は行わない予定です。この表については、期初に提示したレンジ内での着地見込みを維持しています。
本ページはほぼ再掲となるため詳細な説明は省きますが、基本的な投資アプローチとして、全社的にAI導入による生産性向上を図りつつ、中長期的な成長加速と収益性向上を両立させるための戦略的投資を進めていきます。
(再掲) 法人セグメントのポジショニング強化に向けて投資を継続

トップラインにおけるセグメント別のARR成長見込みについてです。こちらのスライドも再掲です。期初の見込みからの変更はありません。
新規顧客獲得の加速によりMidセグメントのARRは着実に成長

Midセグメントでは、プラットフォームARRが前年同期比28.2パーセント増加し、147億7,000万円となりました。
中でも、サブスクリプションARRは前四半期比で7億5,800万円の純増となり、成長が加速しています。特に中小企業における人材不足による需要増を背景に、HR領域のプロダクトを中心とした新規顧客獲得とクロスセルが堅調に推移しました。また、今四半期は大型案件の獲得という好影響もありました。
以上、第2四半期の実績と通期の見通しについてお伝えしました。ここからは佐々木が中長期戦略成長の取り組みについてご説明します。
2028年6月期でのRule of 40達成に向けたドライバー

佐々木:昨年8月の通期決算発表において、向こう3年間の「Rule of 40」達成に向けた重点領域として4つの成長ドライバーをご紹介しました。これらについては、引き続き継続して投資を行っています。特にAIについてはさらに加速して進めており、いくつかの取り組みをご紹介したいと思います。
顧客基盤のさらなる拡大に向けて業種別ニーズ対応のプロダクト強化を推進

まず、業種対応を積極的に進めています。これまで当社の顧客層は比較的ITリテラシーが高い企業や、プロジェクト型のサービス業が中心でした。
この課題に対し、顧客基盤をさらに効率的に拡大するため、さまざまな業種でより使いやすく、より良い体験を提供することに大きな可能性を見出しています。
投資を進める中で、医療福祉業界向けの会計機能について今春にリリースできる目処が立っています。例えば、部門別にB/Sを分ける機能など、医療福祉業界のみならずさまざまな業種に応用可能な機能を含めて、医療福祉業界向け機能を拡充する予定です。
また、建設業界向けには工事台帳機能が求められていましたが、他社の連携アプリとの連携強化により、このパッケージを提供可能となりました。
さらに、固定資産台帳機能の強化もまもなくリリース予定で、製造業、建設業、医療業界、運輸業界など、設備投資の多い業種での需要が見込まれています。これらを通じて、セールス&マーケティングへの投資効果が一層効率化されていくものと考えています。
支出管理プラットフォームとして決済市場 TAMへのアプローチを強化

次に、決済領域における商品ラインナップの拡充についてです。新たに「freee振込」という新しいサービスをリリースしました。これまでは、「freee会計」内の未払金情報をもとに、銀行の総合振込用ファイルを一度ダウンロードして振込いただくというユーザー体験になっていました。
「freee振込」により、シームレスに「freee会計」から振込指示を出すことができ、指定口座から直接振り込みを行えるというユーザー体験を実現しています。
法人の決済において国内では銀行振込が非常に高い割合を占めています。手形や小切手は一部存在していますが、これらは2027年3月末までに廃止される予定です。そして、法人カードの領域は年成長率20パーセント程度で拡大を続けています。
このように、大多数を占める銀行振込と、成長中の法人カードの双方にfreeeが対応することで、決済市場のTAMへのアプローチをより強化します。
AIによりプラットフォームの価値向上を加速させ顧客満足度を最大化

続いて、AI関連の進捗についてです。「まほう経費精算」という機能を2月に正式リリースしています。こちらは、経費精算したい領収書を撮影すると、企業の申請ルールをもとに自動で申請内容が作成され、簡単に申請できる機能です。
この機能は、これまでβ版として開発を進めてきましたが、ご利用いただいたユーザーからは「申請時間が15分の1になった」などの声をいただいています。また、経理などの管理部門の方々が確認作業で疲弊するという大きな課題をこの機能が解決することになった、という報告もいただいています。
SaaS及びアウトソースサービスへのAI導入によりマーケットへの浸透を加速

また、昨年「AI年末調整」という機能をリリースしましたが、こちらも大きな成果が上がっています。このリリースにより、AIによる年末調整機能は18万5,000人を超える従業員の方々に利用していただけるようになりました。こうした利用者の体験は非常に大きな成果です。
さらに「freee人事労務」という機能としての利用にとどまらず、「freee人事労務」の機能を通じて年末調整業務を当社がアウトソースとして引き受けるという、年末調整の代行を行うかたちのサービスもAIを活用し、安価に提供しています。
これにより、利用対象となる従業員の数が昨年度と比べて約2.8倍に増加しました。また、社内オペレーション面では、不備の割合が約95パーセント減少し、大幅な効率化を実現しています。
このサービスを利用されたユーザーからも、社内のオペレーション改善においても、両方で大きな効果を確信しています。
人材不足が顕著なスモールビジネスのバックオフィス人件費及び BtoB決済領域の広大なマーケットを見据え持続的成長を牽引

今回ご紹介した決済プラットフォームの拡充など、AI活用の加速によってバックオフィス業務の代行体験のさらなる提供が可能になります。
これは、スモールビジネスにとってバックオフィス人材の確保が難しくなる中、バックオフィス人件費のマーケットにも対応できることを意味します。この点は、フリー全体の戦略にとって非常に重要だと考えています。
AIネイティブの統合型経営プラットフォームへの進化を牽引

また、冒頭でも触れたとおり、今後AIネイティブの統合型経営プラットフォームへと進化していくことは、当社にとって経営上非常に重要なトッププライオリティと捉えています。
その中で、創業者でありCTOである横路が、AIを活用したトランスフォーメーションに専任で取り組むことで、さらなるAIに向けた取り組みについてギアチェンジしていこうと考えています。
本日は、具体的にAIによって当社がどのように変わっていくのか、横路よりご説明します。
横路隆氏(以下、横路):このたびCAIOに就任した、横路隆です。創業以来、佐々木とともにテクノロジーのベストプラクティスを常に追い求め、日本のスモールビジネスの働き方をアップデートし続けることを牽引してきました。
このたび、テクノロジーの最先端であるAIを活用し、フリーをさらに次のステップに押し上げていくために、ベストプラクティスを駆使して取り組んでいきます。
顧客価値のシフト:“Done by You” から “Done for You” の時代に変わる

AIエージェントにより、人々の働き方が大きく変わると言われていますが、この変化に伴い、SaaSやソフトウェアが提供する価値も大きく変わると考えています。
当社では、この顧客価値の変化を「『Done by You』から『Done for You』へのシフト」として捉えています。従来のSaaSは人が使いやすく、人が使うためのツールでした。しかしAI時代では、AIがSaaSを使用するようになります。従来のSaaSは人が使いやすいという点に価値がありましたが、今後はAIによって正確に業務を遂行できることが新たな価値となります。
具体的に我々の基幹業務領域、すなわち経理、記帳、労務での顧客体験の変化についてご説明します。
例えば、先ほどの「まほう経費精算」のように自動で申請してくれるものから、証憑を集めるだけでレポートまで作成できるといった体験が期待されます。
さらに、従来から自動化されていた勤怠管理や給与計算においては必要情報の収集に手間がかかっていましたが、今後は自然に情報が回収され、AIエージェントがユーザーのために仕事をするという体験が求められるようになっていきます。
AIエージェント時代における SaaSの提供価値の再定義

これに伴い、SaaSに求められる要件や提供価値が変化し、その重要性が増しています。
この変化に対して、私たちは4つの要件を定義しました。1つ目は、「正本」としての完全性です。当社が提供してきたサービスの中では特に申告などの分野が理解しやすいものとなっています。
具体的には、会計や決算申告等のコンプライアンス対応が求められる領域の業務データを網羅的に保持し「正本」としての台帳(System of Record)を構築しているかどうかです。
2つ目は、AIエージェントがジョブを完遂するための実行基盤です。従来のSaaSは、自動化というより便利なツールを人に提供するものでしたが、今後は業務を最初から最後までAIエージェントが完遂する仕組みが求められています。そのため、業務が分断されることなく、AIが再現性を持ってデータ入力から検証、システムへの反映まで一連のプロセスを遂行できる実行基盤の価値が高まっています。
3つ目として、人が説明責任を果たすための証跡基盤です。AIが業務を遂行した場合、最終的には誰が責任を取るのかというアカウンタビリティの観点が大きな課題として浮上すると考えています。
AIエージェントによる業務遂行においては、AIが明確に「この範囲でのみ仕事を行う」といったルールを守り、決まった規則に従って動作しているかどうか、また、どのような根拠でどのように動作したのかを正確に辿れるトレーサビリティが重要となり、そういった証跡の価値が非常に高まります。
4つ目として、昨今、AIエージェントを作るハードルが大きく下がっています。それに伴い、ユーザーがさまざまなAIエージェントを利用する機会が増加しています。このような中、「freee」のAIエージェントを利用するユーザーにも、他のAIエージェントを利用するユーザーにも、「freee」が最も使いやすいと評価され選ばれるということがAIエコシステムにおけるアクセシビリティになります。
freeeは、“AI時代に強くなるSaaS” としての競争優位性を既に構築

このように4つの軸で整理したところ、従来、統合型として提供してきた当社のプラットフォームは、AIエージェントにとっての実行基盤として非常に大きな価値を有しており、AIが進化するほど、むしろ独自の競争優位性が高まると自信を持っています。
特に、1点目に関して、会計や決算申告、人事労務といった領域におけるSystem of Recordの構築は、「freee」の価値そのものです。2点目として、当社はすでに1,000行以上の金融機関とAPIで連携しており、証憑を自動で取り込むことで、申告までエンドツーエンドで完遂することが可能です。これにより、ジョブ完遂をサポートする唯一の統合型プラットフォームとなっています。
さらに、オートメーションエンジンを搭載しており、業務を横断しながら、ある業務が終了した際に他の業務を自動で実行することができ、これをAIエージェントに応用することも可能です。
3点目の説明責任を果たすための証跡基盤については、柔軟な権限管理と監査ログが従前から備わっており、AIエージェントの挙動をしっかりと統制する基盤となっています。
また、5,000社超の会計事務所が認定アドバイザーとして参画するプロフェッショナルネットワークとAIを組み合わせることで、説明責任を果たせる安心感を提供する基盤を構築しています。
4点目については、当社は2013年に業界で初めてパブリックAPIを公開し、それ以降、基幹プロダクトでのオープンAPIの提供を推進してきました。Anthropic社の「Claude」に含まれる「MCP」と「Skills」との連携も可能となっており、「Claude」と「freee」を組み合わせることで、これまでとは異なる次元の業務体験が可能になると話題になっています。
AI時代にfreeeが提供する価値 “Done for you” の2つのコンセプト

このたび、「freee」がAIエージェント時代に提供する価値として、新しい2つのコンセプトを発表します。「スモールビジネスオーナー」のみなさまと「バックオフィス業務のプロ」のみなさま、この2つのペルソナに向けて2つの価値をお届けします。
なぜ2つ届けるかというと、AIエージェントが業務を遂行した際に、プロフェッショナルの方がどのように責任を取るのかという課題が、これまで以上に大きくなると考えているためです。そのため、まずはプロフェッショナル向けにfreeeがコックピットとなることが重要だと考えています。
会計や税務には唯一の正解があるわけではなく、専門家のサポートのもと、決められたロジックに準拠して一貫した業務を行うことで説明責任を果たすことが可能となります。
これをAIとともに実現するのが「freeeコックピット」であり、唯一無二のものであると自負しています。この「freeeコックピット」があることで、スモールビジネスオーナーの方々が業務を丸ごと任せられるような代行サービスが可能となります。
そうした代行サービスの裏では、専門家が監修したAIエージェントが自動で動いているため、説明責任を果たすこともできます。ユーザーは、業務の最初から最後まで安心して任せられるのが「freeeオートパイロット」です。この2つの軸を、今回発表しました。
専門家の正確性とアカウンタビリティを実現する “freeeコックピット”

「freeeコックピット」について、さらに詳しくご説明します。専門家がAIエージェントに対して経理規定や労務規定といった業務ルールをコンテキストとして設定できる仕組みになっています。
さらに「freee」が、申告領域も含めた数百万の業務完遂データの活用をはじめ、日本のローカルルールや商習慣、法規制のルールをしっかりと組み込むことで、AIエージェントが正確に業務を遂行できるよう設計されています。
加えて、先ほどもお話ししたとおり、AIエージェントがどのように動いたのか、その根拠を後から監査可能なかたちで業務データを記録しています。そのため、AIエージェントがルールどおりに動いたか専門家が最終確認し、例外的な挙動があればそれを検知する仕組みとなっています。これが「freeeコックピット」のイメージです。
業務をまるごと任せるためのエコシステム “freeeオートパイロット”

「freeeオートパイロット」は、先ほどの「freeeコックピット」との組み合わせにより、業務の上流工程からAIとプロフェッショナルに頼れるサービスを提供しています。
例えば、サービスの利用開始時に、初期設定からAIエージェントとプロフェッショナルの専門家が関与し、その後は金融機関との連携を行うことで、すべてが自動的に仕分けされ、最後はワンタップで確認するだけで説明責任を果たせるようになります。
また、以前から取り組んできたように、金融機関連携だけではなく、さまざまな証憑の収集という作業も非常に時間がかかるため、多くの方々が苦労されています。これに対し、すべての証憑を簡単に収集し一元管理できる価値を提供していきます。
質疑応答:通期業績の上方修正と下期の見通しについて
質問者:上期は非常に好調な決算であったという印象ですが、今回発表された通期の売上と利益の上方修正について、ほとんどが上期からの増加分を反映しており、下期における増加の可能性は含まれていないという理解でよろしいですか?
坪井:基本的には、上期でのARRの積み上がりをベースに通期の見通しを更新しています。ここからさらに下期が順調に伸びれば、上方修正をさらに上回る着地となる可能性は十分にあると思います。
また、私たちのガイダンス数字の出し方の方針として、これまでも毎年、通期のガイダンスを必ず達成してきました。そのため、高いコミットメントの数字であるとご理解いただければと思います。
質疑応答:第2四半期決算の振り返りと今後の期待について
質問者:第2四半期の決算内容について、マネジメントチームとして「ここがもう少し良ければよかった」と思う点や、「もう一歩改善が欲しかった」と感じる点はありますか?
坪井:全般的に良かったと評価しています。概ね当初計画を上回り、Midセグメントも順調に成長しました。社内でより高い目標を設定して事業を進めている中、その目標に対してもかなり良好だったと評価できる点があります。その中でも特に、法人Smallセグメントが好調だったと捉えています。
質問者:その好調さは、第1四半期から同じトレンドで続いているのでしょうか?
坪井:そうです。
質疑応答:AIエージェント対応SaaSの利用状況と展望について
質問者:AIに関するご説明をありがとうございました。現在、SaaSマーケットは非常に厳しい状況にあり、御社の株価も含め、ここでなんらかの回答を示されたことは非常に良かったと思っています。
その中で、AIについてですが、AIエージェント対応のSaaSになるというお話があったと思います。実際に、AIエージェントを利用して御社のプラットフォームを使っている方々はすでにいらっしゃるのでしょうか?
また、個人、法人Midなど、AIエージェントの利用はどのあたりから始まりそうか、あるいは業種的にはIT関連の顧客が多いとのことですが、それらの企業ですでに利用が進んでいるのかなど、実態として今どのような状況にあるのか教えていただけますか?
横路:ありがとうございます。ユーザーから直接見えるエージェントとしては、先ほどの「まほう経費精算」がわかりやすい例です。こちらは経費精算に関するものであり、法人のユーザーにご利用いただいています。
また、「Claude」の例については先ほどお話ししましたが、「freee」のAPIはオープンであるため、それを「Claude」から呼び出して活用いただけます。法人の方も個人の方も、SNSなどを検索するとさまざまな事例が見つかると思います。実際の業務においては、すでに「Claude」を経由して利用されている方が多数いらっしゃいます。
あとは、社内で「freee」を最初にお使いいただく際、初期設定の部分でつまずくユーザーがいらっしゃいました。その課題に対して、AIエージェントと人を組み合わせて初期設定を代行し、「最初から使いこなせる」という体験を、社内のオペレーションと組み合わせて提供しています。
またBPO事業においても、人手だけではなくAIエージェントが作業する仕組みを取り入れています。このような取り組みは外から直接見える部分ではありませんが、ユーザーの体験として、納品のリードタイムや原価の低下というかたちで表れています。
我々の開発手法は、外部からは見えにくい部分だからこそ、内部で新しいパラダイムシフトを取り入れやすく、その結果、改善サイクルを高速に回すことができています。
質疑応答:AIエージェントの利用状況と今後の展望について
質問者:AIエージェントによる全体的なインパクトが少しわかりにくいのですが、多くの人が使っているという点に関して具体的にどの程度の割合なのでしょうか?
佐々木:エンドユーザーの利用という観点では、先ほどご説明した「AI年末調整」は、「freee人事労務」のユーザーにおいて比較的当たり前の機能として広まってきていると思います。
ただし、例えば「freee」を活用しながら、ユーザーの自作のAIエージェントを使用するケースは、エンドユーザーではまだ限定的です。一部の先進的なBPO事業者や税理士法人でようやく活用が始まっている状況だと捉えています。
先ほどのご説明のとおり、AIエージェントを利用しやすくすることが技術的な骨子です。しかし、AIエージェントを量産し、ユーザー体験を高めていくという取り組みについては、私たちが主体となって、その体験を届けていきたいと考えています。こちらが先ほどご説明した2つのコンセプト「freeeオートパイロット」と「freeeコックピット」と呼んでいるものです。
先ほどお話しした年末調整などは一例ですが、このような領域をますます拡大させることで、プロフェッショナルの方々およびエンドユーザーのみなさまの両方に対して、責任をしっかり果たしながら意義のあるサービスを提供していくことが、私たちの目指すところです。
質疑応答:Mid領域における営業活動と大型案件獲得の背景について
質問者:Mid領域で大型案件を獲得したというお話がありました。その具体的な内容について教えてください。
坪井:今回、主にHR領域で2件あります。1件目は、大型のグループ企業でシェアードサービスとして、バックオフィスの領域においてグループ会社全体に「freee会計」を導入いただいた事例です。2件目は、比較的単価の高いHR領域のアウトソーシングサービスを、大規模な従業員を有する企業で導入いただいた案件です。
「freee」は基本的に従業員300名以下をコアターゲットとし、プロダクトとしては従業員1,000名までの企業で快適に使用できることを前提に設計されています。そのため、あまり積極的に大型案件を取りに行く方針ではありませんが、とくにグループ会社シェアードサービスのユーザーという観点では、今後も継続的に獲得を目指していきたいと考えています。
佐々木:グループシェアードサービスについては、子会社自体が「freee」の価値を提供しやすいターゲットとなり得るケースが非常に多いです。ある種、会計事務所やBPOサービス事業者といったパートナー向けに提供しているサービスに非常に近い部分もあると認識しており、今後はその領域を積極的に強化していきたいと考えています。
質疑応答:「freeeオートパイロット」および「freeeコックピット」の収益貢献開始時期とKPIへの影響について
質問者:「freeeオートパイロット」と「freeeコックピット」について、これらを受けて今後、課金顧客数やARPUといったKPIには、いつ頃からどのようなかたちで貢献が始まりますか?
特に、先ほどお話にあった従業員規模が大きい企業などの大型案件の開拓によって、収益への貢献がさらに効果的に表れるのではないかと思います。この観点から教えてください。
佐々木:収益貢献という観点では、特に来年度以降、プロフェッショナルユーザー向けの「freeeコックピット」を通じて、「freee」における顧客獲得がさらに進む点が大きいと考えています。
もう1つは、先ほどのご質問にもありましたとおり、人事労務のアウトソースサービスの一環として、「freee」自身が代行サービスを提供しており、この分野でのAI活用が非常に進んでいます。この取り組みをより積極的に推進することで、収益貢献がより早い段階で見えてくる可能性があります。
積極的に大型企業を狙うというよりも、私たちが主にターゲットとしているSmallセグメントおよびMidセグメントにおいて、「バックオフィス担当者がいない、辞めてしまった、もしくは対応できる人がいない」といった課題に対し、業務を完全に代行するサービスを求めるニーズは非常に強いです。このニーズをしっかり捉えていくことで、収益貢献を見込めると考えています。
質疑応答:利用ユーザー数とARPUへの影響について

質問者:「AI年末調整」とそのアウトソースサービスに関して、ARPUにどれほどの押し上げ効果が出ているかを教えてください。
佐々木:「AI年末調整」は、「freee人事労務」に組み込まれている機能であり、現在のところ追加料金はいただいていません。「AI年末調整」を活用したアウトソースサービスについては、従業員1名あたり500円でサービスを提供しています。
収益貢献の観点では、アウトソースサービスをご利用いただいた場合に得られるものとなります。また、「AI年末調整」というプロダクト内機能により優れた顧客体験を提供し、「freee」からの直接販売およびパートナー経由での販売につなげるという点を、収益貢献ポイントとして位置づけています。
質疑応答:「まほう経費精算」の正式版開放と利用浸透について

質問者:「まほう経費精算」については、現在どれほどのユーザーが利用しているのでしょうか? また、ARPUにどの程度影響が出ると考えればよいでしょうか?
佐々木:「まほう経費精算」については、これまで一部のユーザーにクローズドβ版として提供してきましたが、2026年2月より全ユーザーに向けて正式版として開放する予定です。そのため、利用浸透については今後示していければと思います。
佐々木氏からのご挨拶
みなさま、ご清聴いただきありがとうございました。ご説明したとおり、好調な上期実績となり、通期でも上方修正を行いました。
今後さらに業種対応にも取り組み、またパートナーとなる会計事務所の高いエンゲージメントも獲得していきます。そして、AIを活用することで、これまで以上にfreeeに丸ごとお任せいただける体験をお届けし、横路CAIOの下で、AIネイティブな統合型プラットフォームへの進化を加速させていきます。引き続き、freeeにご期待いただければと思います。
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