ピーバンドットコム、高付加価値サービスが牽引し営業利益は前年比32.8%増と大幅伸長 量産市場の開拓も加速
2026年3月期第3四半期決算説明
司会者:本日のゲストをご紹介します。株式会社ピーバンドットコムの代表取締役社長の後藤康進さんと、取締役会長ファウンダーの田坂正樹さんです。
さっそく、お二方より決算説明を資料を交えて解説していただきたいと思います。まずは、今回初めてご覧になる方もいらっしゃるかと思いますので、お二方の自己紹介をお願いします。
自己紹介
後藤康進氏(以下、後藤):株式会社ピーバンドットコム代表取締役社長の後藤です。よろしくお願いします。
司会者:最近ハマっていることがあれば教えてください。
後藤:うちでは猫を飼っています。猫が3匹いるのですが、気づいたら1匹が急性腎不全という病気で命の危険にさらされていました。自分で点滴をして看病したところ、元気になりました。
司会者:それはよかったです。
後藤:暗い話題で申し訳ありません。
司会者:いえいえ、猫がお好きなのですね。
後藤:大好きです。
司会者:ありがとうございます。それでは、田坂会長もお願いします。
田坂正樹氏(以下、田坂):私は、この会社の創業メンバーです。代表取締役を務めた後、現在は取締役会長ファウンダーを務めています。最近は非常に寒い中、大型バイクの免許を取りに行っているのですが、寒さが厳しく大変です。バイクの免許取得は特に寒い時期にはこたえますね。
司会者:やはり寒いですよね。現在、免許を取得中なのですか?
田坂:大型バイクの免許を取りに行っているのですが、寒さが厳しく、なかなか通えていません。
後藤:ハーレーに乗りたいのですか?
田坂:そうですね、大型バイクに乗りたいと思っています。
司会者:きっとお似合いになりますね。では、本日もよろしくお願いします。
メインサービス

司会者:あらためて、ざっくりとピーバンドットコム社の事業概要とビジネスモデルについて教えていただけますか?
後藤:「P板.com(ピーバンドットコム)」というサービス名称で事業を展開しており、社名もそのまま「ピーバンドットコム」です。「.com」という名称から、インターネット上で何かを販売している会社だとイメージいただけるかと思います。
枕詞にある「P板」という商材が、当社唯一の商材です。一般的なEコマースといえば、さまざまな商材を取り扱いモール化するイメージを持たれると思いますが、当社はこの「P板」1つの商材に特化しています。
司会者:プリント基板のことですね。
後藤:そのとおりです。「プリント基板」を表す略称で、「P板」といいます。プリント基板は少しイメージしづらいかもしれませんが、テレビや電子機器、スマホ、パソコンなどに使用されている、緑色の板です。
司会者:確かに、見たことがあるかもしれません。
後藤:あの板を「P板」と呼んでおり、それをインターネット上で販売する日本初のサービスを提供しています。
利益率改善により、営業利益成長が加速

司会者:早速、業績を見ていきたいと思います。2026年3月期第3四半期の決算です。
売上成長率は前年同期比プラス5.4パーセントに対し、営業利益の成長率はプラス32.8パーセントと、利益率の高さがうかがえる結果となっています。
また、売上インパクトに対する粗利の割合である売上総利益率もプラス2.2ポイントとなっており、原価を抑え、効率的に利益を出していることがわかります。この点については、いかがでしょうか?
後藤:まさにそのフェーズに入っているところであり、売上を堅調に伸ばしつつ、利益をより強く伸ばしていくことが、我々の現在のフェーズだと考えています。
利益レバレッジの構造変化

司会者:以前お話しされていた高付加価値サービスについても、ぜひご説明いただければと思います。
後藤:先ほど述べたプリント基板の派生となる設計、つまりプリント基板を作るための図面をCAD上で設計するサービスであったり、プリント基板そのものだけでは動作しないため、半導体や電子部品を一緒に購入いただき、それをはんだ付けする実装サービスなどの周辺サービスを提供しています。
また、プリント基板にも簡単な基板から高度な基板までさまざまな種類があります。
司会者:難易度によって分かれているのですか?
後藤:そのとおりです。わかりやすい例としては、表と裏しかない2層基板から、内部にさらに層を重ねて4層、さらにはそれ以上の多層基板があり、そのような領域にも我々はどんどん進めており、それが高付加価値サービスとなっています。
司会者:それに伴い、プリント基板の売上も増加していくわけですね。
後藤:そういった高度な基板の対応ができることで高くなり、1案件あたりの単価が上昇しています。
司会者:以前もお話しされたと思いますが、提案型のインサイドセールスに取り組み、ビッグデータや顧客データを活用して、最適なタイミングで提案される営業スタイルを実施されていますよね。
後藤:我々は基本的にインターネットを窓口としており、ある程度、自動的に案件が入ってくるような仕組みとなっています。マーケティング調査でお客さまの情報や注文情報、また基板の図面を見ることで、試作から量産へ切り替わるタイミングが把握できます。
そのようなタイミングで提案を行ったり、図面を基に当社が調達可能な半導体をご提案することで、お客さまをサポートしています。このように、提案型のインサイドセールスを積極的に展開しています。
業績サマリー

司会者:続いて、業績サマリーです。売上高は16億6,700万円で前年同期比5.4パーセント増加、営業利益は1億2,100万円で32.8パーセント増加、経常利益は1億2,100万円で28.9パーセント増加、四半期純利益は8,300万円で31.6パーセント増加しています。
驚異的な増加率だと思いますが、こちらについての所感はいかがでしょうか?
後藤:所感としては、売上が堅調に伸びていることに加え、しっかり利益を稼げる体制へ進めているという状態です。とはいえ積極的な投資もさまざま行っており、そのお話も後ほどさせていただければと思います。
「時間」を価値に変える収益改善施策

司会者:四半期の重点施策を見ていきたいと思います。まずは「デリバリーゼロコース」について、どのような点に重点を置かれていたのか、具体的にご説明をお願いします。
後藤:まさに先ほどの高付加価値の部分に関連しますが、お客さまは基本的に急いでいる状況があります。
司会者:試作を何度も行わなければならず、短期間で多数製作する必要があるということでしょうか?
後藤:おっしゃるとおりです。我々のお客さまは試作で当社のサービスを利用されるケースが多く、その中でいかに早く試作を繰り返して検証できるかが、お客さまの競争力に直結します。
このようなニーズに応えるために、「デリバリーゼロコース」という施策を進めました。従来は当社倉庫から出荷し、翌日にお届けするスケジュール感でした。
司会者:それでも十分早いように思えますね。
後藤:出荷当日にバイク便でお届けするという取り組みを進めており、需要が比較的高まっていますね。
司会者:それだけスピード感が本当に求められているのですね。
後藤:はい。もう1点、各種サービスとして、例えば生板の製造サービスや先ほど言ったはんだ付けを行う実装サービスなどさまざまなサービスがあり、この基本納期を一律で短縮しています。
こちらは、従来のさまざまな工程を改善したことで実現しました。その結果、販売単価の上昇が可能になり、コストも改善できており、利益率の上昇につながっています。
司会者:速さを付加価値として提供できている取り組みであり、利益率の改善にもつながっているということですね。
後藤:はい、企業努力によって実現しています。
収益改善を仕組み化するサービス:GUGEN Hub(在庫管理)

司会者:続いて、こちらは比較的お話しいただいているかと思いますが、「GUGEN Hub」についてご説明をお願いします。
後藤:少しわかりづらいかもしれませんが、当社では現在、新たな成長ドメインとして「GUGEN Hub」を掲げています。
ものづくりを、このプラットフォームでさまざまな場面でお手伝いできればと考えています。まず第一段階として取り組んでいるのが、現在お伝えしている内容です。
具体的には、プリント基板の上には必ず半導体や電子部品が使われるため、それらを当社の倉庫でお預かりし、必要に応じて補充を行ったり、当社で製造したプリント基板の上に保管している半導体や部品を実装し、お客さまのお手元に納品したりという流れを、まずは行いたいと考えています。
このサービスにより、お客さま側の保管にかかる管理コストが削減され、ミスも防げるという効果があります。
司会者:部品実装もしてくれる、ということですね。
後藤:そのとおりです。
司会者:ユーザーにとっては、非常にありがたいサービスですね。こちらは成長のドライバーとして、後ほどまた詳しくお話をうかがえればと思います。
収益基盤を海外へ展開する成長戦略:ASEAN(タイ)

司会者:続いて、以前は北米市場向けにECを新規開設されていたかと思います。次はASEAN市場、具体的にはタイでの展開について、ぜひ詳しくお聞かせいただければと思います。
後藤:東南アジアはもともと生産拠点として量産工場が多くありますが、現場で使われる生産治具など、生産ラインをより効率化するための機械や、小ロットのモジュールや治具などが、実は現場でかなり必要とされていました。
そこで日本のほうに、「我々のサービスでご利用できないのか?」といったお問い合わせを多数いただいていました。
司会者:そもそもニーズがあったということですね。
後藤:そのとおりです。ニーズは高く、現在は主に日系のお客さまを対象に展開していますが、将来的には現地のメーカーやさまざまなお客さまにも提供できるのではないかと考えています。
司会者:どんどんグローバルに展開されているのですね。
開発・設計段階へ関与を広げる次世代成長戦略

司会者:続いては、製造だけでなく開発・設計段階にも関与を広げる点についてです。それぞれご説明をお願いします。
後藤:こちらは、半導体メーカーのローム社についてです。
司会者:トピックスとなっていますね。
後藤:ローム社がプラットフォームとして構築している「Engineer Social Hub」に当社も参画しており、そこからさまざまなお客さまとの接点を構築しています。
司会者:情報発信を行うことで、さらに上流工程におけるユーザーや潜在的なユーザーとの接点を広げていくということですね。スライドの右側はいかがですか?
後藤:スライドの右側は、当社のお客さま向けに定期的にセミナーを開催しているという内容です。
具体的には、AIを活用した設計アシストツールや、設計の中でも難易度が高い分野であるEMCについて、専門家を招いて技術的なノウハウをお伝えする取り組みを行っています。
これらのセミナーを通じて、その後の試作や製造・量産につなげていく活動を展開しています。
司会者:今は生成AIが大きなトレンドとなっており、市況的にもその影響が大きいと思います。やはり、このようなニーズは増えてきているのでしょうか?
後藤:そうですね。現在、ソフトウェア開発においてはバイブコーディングやAIがどんどん活用されていますが、ハードウェアにはまだ未開の部分が多い状況です。
司会者:ハードウェアの分野は、まだあまり進んでいないということですか?
後藤:多くのハードウェアエンジニアが、AIをどのように活用できるか試行錯誤している状況かと思います。
我々も、これまでの受注データやお客さまからいただいた技術情報などのデータベースを活用し、例えば「このような製品を作りたい」というコードを入力すると、それに必要な回路図や部品リストが生成され、最終的には物が作れるような仕組みを構築したいと考えています。
司会者:AIがすべてを提案してくれるということですね。
後藤:そのとおりです。
司会者:本当に便利ですね。
後藤:本当ですね。恐ろしいくらいです。
体制 持続的成長を加速させる「両利きの経営」

司会者:続いて、事業基盤についてうかがっていきたいと思います。まず、経営体制について、こちらは「両利きの経営」ということですが、いかがでしょうか?
後藤:既存事業の拡大を私が担当し、新規事業の探索を創業者である田坂が担当するという、「両利きの経営」を実践しています。
強み 成長が続く脱炭素、自動車、半導体関連

司会者:次の資料は、少し新しくなったようですね。御社の強みとして、成長市場での実績がある点について、それぞれ詳しくお話しいただけますか?
後藤:我々のプリント基板は、比較的いろいろなところに使われています。中でも成長分野や技術革新の分野では、特に多くの産業が新たな価値を創出している時代だと思っています。
そのような観点から、多岐にわたるキーワードの中で、私たちのプリント基板は多くの場面で役立っています。そちらについて少しご紹介したいと思います。
司会者:まず、脱炭素ソリューションですね。
後藤:脱炭素は、いまや誰も例外ではなく直面する課題だと思っています。
シムックスイニシアティブ社は、まだあまり名前を聞かないスタートアップ企業のお客さまですが、エンドユーザーに大手電力メーカーがあり、工場向けのエネルギー見える化デバイスを手がけています。
司会者:なるほど。電力をどれくらい使っているか、といった情報でしょうか?
後藤:そのような情報をクラウドにアップロードし、使われていない電力を抑制することで省エネを実現するソリューションを提供している会社です。
この会社のデバイスを当社が丸ごと担当しており、プリント基板だけではなく、EMS(電子機器製造受託サービス)として製造を行っています。
司会者:見える化を実現する機械を作られているのですね。
後藤:そうです。日本全国でそのデバイスが電気をウォッチしています。
司会者:では、気づかない場所に御社が作ったものがあるということですね。
後藤:そのとおり、かなり多く存在しています。ただ、申し上げられないものもたくさんあります。
司会者:続いては、国内大手自動車部品メーカーですね。
後藤:我々のお客さまは基本的に多くが言えない企業ですが、世界的な企業のティア1メーカーも含め、かなり以前からご利用いただいています。
基本的には試作のみを行っています。試作だけでも十分な需要があり、長年にわたってご利用いただいています。
司会者:自動車の部品メーカーという分野でもご活躍されています。続いて、半導体製造装置です。この分野はまさに中心的な領域ですね。
後藤:そのとおりです。本当に半導体関連銘柄でいえば、少し持っているだけでも利益が出るような分野と言っても過言ではありません。
これ以上は控えますが、名だたる企業さまにも当社のサービスを応用いただいている実績があります。具体的な内容はお伝えできませんが、当社もこの分野でサポートしています。
強み 宇宙開発の最前線で選ばれる信頼性

司会者:続いて、宇宙開発についてです。こちらも成長市場と言えますね。
後藤:まさに内閣府が主導して進めている宇宙開発ですが、当社の基板は以前から宇宙で活躍しています。
お客さまからの質問も多いところですが、お伝えできる範囲で申し上げると、JAXAの宇宙ステーション内で活躍している「きぼう」という船内ドローンに当社の基板が採用されています。
また、大学関連では、東京工業大学や東京理科大学などが取り組む「宇宙デブリ」、すなわち宇宙空間に漂うゴミを対象としたプロジェクトがあります。そのプロジェクトでは、ロボットアームで宇宙デブリを捕捉する技術が研究されており、そのアームの基板に当社の製品が使用されています。
司会者:すでに宇宙でご活躍されているのですね。
後藤:そうですね。最近上場したアクセルスペースさんにも、創業当初から当社のサービスをご利用いただいています。
強み 過酷環境と医療領域に耐える品質

司会者:続いて、ロボットやドローンについてです。
後藤:今年のキーワードとなる「ロボティクス」は、まさに今注目されています。
司会者:「フィジカルAI」などですね。
後藤:ロボットは今年、本当に重要なキーワードになりそうだと感じています。この分野でも私たちは企業のみなさまを支援しています。少し変わったところでいえば、深海探索用のドローンや医療用BMI(ブレインマシンインターフェイス)といった製品です。
少し専門的で細かくなりますが、何が言いたいかというと、先ほどお話しした宇宙分野も含めて、非常に厳しい環境下での使用が求められる場面や、高い信頼性が必要とされる分野において、当社の基板が多くの製品に採用されているということです。こちらは当社の実績として、強くアピールしたい点となっています。
司会者:過酷な環境でも耐えられる品質と技術が強みということですね。さまざまな場面で使われていることがわかります。
市場 メガトレンドが追い風

司会者:お話を聞いていると、現在のトレンド分野が多く含まれており、とてもわくわくします。そのような分野の市場規模や事業環境についても、おうかがいしたいと思います。
主軸となるプリント基板市場は、どのくらいの成長性が見込めるのでしょうか?
後藤:業界団体が発表している数字によると、2037年には現在の2倍近くまで成長する見込みとされています。
司会者:成長のドライバーとしては、EV(電気自動車)やAI、DXなどがあるのでしょうか?
後藤:AIやロボットといった分野ですね。
司会者:これらは現在の株式市場を牽引している分野だと思います。
環境 業界No.1ポジションと、未開拓市場への大きな成長余地

司会者:市場における現在の御社の立ち位置と、今後注力していく市場についておうかがいします。
後藤:当社は冒頭にもお伝えしたように、試作段階で当社のサービスを活用いただくケースが多いです。その中で、さまざまな機能試作や製品試作を繰り返した後の量産段階でも、引き続き当社のサービスをご利用いただけると考えています。
そのため、営業活動を通じてお客さまにご提案し、この市場でもしっかりとシェアを獲得していきたいと考えています。
司会者:量産というのは、販売段階の製品ということですか? そうなると、単価も上がってくるのでしょうか?
後藤:実際に市場に出ている製品に使用されるプリント基板を指します。単価は逆に下がってくる部分があります。一方で、量と注文のリピート性や、安定的にご注文いただける利点があります。
司会者:ストック収益のようなイメージもあるのでしょうか?
後藤:そうですね。その分、品質保証や管理の面ではコストがかかる部分も出てきます。ただ、そこをいきなり固定化せず、お客さまの期待に応えられるレベル感で、私たちのほうでリソースを整えていこうという戦略に沿って、同時に固めていきたいと考えています。
司会者:どちらの市場も取っていくということですね。
戦略1 DXを武器に、中堅・大手企業の商慣習の壁を超える

司会者:今後、そのような市場を取り込むための戦略についてもうかがいたいと思います。御社がターゲットとしている中堅・大手企業には、どのようにアプローチされていくのでしょうか?
後藤:まず、最初にプリント基板市場において当社が提供できた価値を一言で表現するのであれば、「DX化」であると言えます。プリント基板は一品一様で、オーダーメイドのすべて異なるものです。
そのため、エンジニアの方々は完成した回路をどこで基板設計し、どこで基板を製造し、どこで部品を実装するのか、それぞれの工程で打ち合わせを行います。更に各工程の見積もりをし、仕様変更があれば資料を作り直すといった、非常に手間のかかる作業をこなしてきました。
その点、当社の「P板.com」はネット上で見積もりを行え、設計から製造、実装までのすべてを一括してサイト内で管理できる仕組みを提供することが、もともとの付加価値だったのです。
司会者:プリント基板において、唯一ですよね。
後藤:設計から対応できるのは、世界で唯一だと思っています。そこをさらに極めていくというのが戦略かと思っています。中堅・大手企業には、日本企業特有の商習慣があります。例えば、FAXでの紙伝票などです。ほかには商社での口座取引ができないなど、そのような点です。
司会者:アナログな部分があるのですね。
後藤:我々が得意とするのは、そのような部分を仕組み化し、限界までDX化していくことです。
一方、それだけでは利用してもらえない部分もあるため、先ほどの提案型インサイドセールスでしっかり「仕組み×人」を活用し、販売していくことがこの戦略になっています。
戦略2 基板の次は、部品。必然の成長戦略

司会者:続いて、こちらは先ほどお話しされていた基板に必ず搭載する電子部品についてです。
後藤:基板だけでは動作しないため、電子部品は必ずどこかでお客さまに購入していただいています。
戦略2 部品調達の利用率15%へ。

後藤:こちらのスライドをご覧いただくとわかるかと思いますが、現在、当社の生板、いわゆる基板だけのご注文を100パーセントとした場合、そのうちの3パーセントだけが、当社が部品調達をお手伝いしている状況です。
つまり、残りの97パーセントは、お客さまがどこかで部品を調達し、実装しています。97パーセントはもったいないですよね。
司会者:もったいないです。使ってもらえるとよいですよね。
後藤:現在、部品調達では人が個別に見積もりを出し、お客さまに回答していますが、きちんとeコマースとしてのサービスを構築しようというのが、この取り組みです。ネット上で見積もりをいつでもどこでも取得し、注文ができる点が当社の強みです。電子部品においても、サービス構築を進めています。
司会者:では、目標は利用率15パーセントですね。
後藤:そうですね。まずは15パーセントが堅実な目標です。
司会者:すごいですね、売上高4億円を部品の部分で達成するということですよね。
後藤:おっしゃるとおりです。
戦略3 上流工程を掴むコンサルティングサービス「S-GOK(スゴック)」

司会者:最後に「S-GOK(スゴック)」ですが、こちらは一緒にモノづくりをお手伝いするイメージでしょうか?
後藤:はい。試作時に我々のサービスをご利用いただくケースが多く、試作されるお客さまから「もう手がいっぱいなので、このあたりの開発自体をやってくれませんか?」という引き合いをいただくことがよくあります。
そのようなアイデアベースのものが実際のモノづくりになるための要件定義や壁打ちの段階から、お客さまとお付き合いしています。
司会者:要件定義とは、「このようなものが必要です」ということを具体化するものですか?
後藤:漠然と「このようなものを作りたい」と考えた際、それを実現するには細かい要件定義を行わなければなりません。お客さまが作りたいものをそのままかたちにすると、とんでもない金額がかかってしまうこともあります。
そのため、要件定義を工夫しながらお客さまの予算に合わせたかたちで進めていく作業が必要です。
司会者:コンサルタントのようですね。
後藤:そのとおりです。しかしこれがなかなか難しく、お客さまがアイデアを諦めてしまうケースも少なくありません。我々はそのようなところをお手伝いし、最終的には量産まで持っていくという取り組みを行っています。
司会者:一緒に伴走し、最初から最後までサポートするということですね。
変革 ピーバンドットコムの「第ニの創業」

司会者:新たな成長ドメインとして、先ほどお話があった今後の成長ドライバーである「GUGEN Hub」は、20年の実績を礎に製造業の未来インフラを構築すると記載がありますが、この構想についてお聞かせください。
変革 解決策:設計・部品・製造を統合する「電子製造 OS」

後藤:先ほどもお伝えしましたが、「GUGEN Hub」をモノを具現化するためのハブとして活用していきたいと考えています。
現状、当社ではプリント基板を基本的にファブレス形式でさまざまな工場に製造を委託し、それをお客さまに納品しています。そのような意味ではプラットフォーム、あるいはハブとしての役割を十分に果たしている部分があります。
こちらを、さらに電子部品や電子機器におけるハーネスやケーブル、ケースなど、多様な製品に広げていきたいと考えています。「GUGEN Hub」のプラットフォーム上でこれらの調達が可能となり、最終製品としての組み立てまで一貫してご提供できる仕組みを目指しています。
司会者:プリント基板だけでなく、必要な部品や組み立ても行い、製造まで対応可能だということですね。
後藤:そのとおりです。現状では、試作といえばどうしてもスポットの製造受託になってしまいます。
しかし、ハブを保有することで、お客さまの製品自体の生産ラインとして機能できるようになります。先ほどのサブスクではありませんが、こちらが非常に強みとなります。
この20年間で積み上げた実績が、そうなるための礎になっていると考えています。プリント基板に限っていえば、すでにその体制が実現できている部分もあるため、今後はいろいろな部材調達に広げていこうという取り組みです。
司会者:派生的にどんどん広げていくということですね。
変革 自己成長するプラットフォーム(フライホイール効果)

司会者:AIも活用していくのでしょうか?
後藤:そこは、先ほどの構想の中で、どのようなかたちで価値を提供できるかがまだ明確になっていない部分があります。
ただ、まずはプラットフォームを構築することで、さまざまなデータを集めることが重要だと考えています。そもそもプリント基板の試作データは、この20年間で多くのデータが蓄積されてきたため、それをより広くものづくりへ活用していきたいと考えています。
データを蓄積することで、AIを活用したさまざまな価値提供を実現していきたいと考えています。
司会者:20年の実績で培ったデータを活用すれば、新たな提案も可能ですよね。
後藤:そうですね。現在、「アイデアを具現化する」ということを当社の将来ビジョンの一環として掲げています。それがAIによって現実化し、世界や未来が想像できるような仕組みを作りたいと考えており、なんとかその実現を目指していきたいと思っています。
司会者:それはすばらしいです。ワクワクしますね。
計画 中期経営計画に基づく堅実な売上高の拡大

司会者:それでは最後に、中期経営計画と株主還元についてもうかがっていきたいと思います。売上高について、数字面はいかがでしょうか?
後藤:2028年3月までに、まずは29億円から30億円弱を目指します。非常に堅実だと言われることもありますが、まずはそこを目指しながら将来的には飛躍的な成長を目指したいと考えています。
計画 収益性の向上と当期純利益の推移

司会者:続いて、利益についてお聞かせください。
後藤:当期純利益は、売上が堅調に推移する中で、積極的な将来投資も併せて実施します。
還元策 株主価値向上に向けた実行策と還元方針

後藤:株主価値の向上を目指し、利益を積み上げて最終的な株主還元につなげ、企業価値を向上させていきたいと考えています。
司会者:以上、決算についてお話をうかがいました。「コツコツ成長が大切」というコメントがありました。それでは、質疑応答に移ります。
質疑応答:海外事業推進と各国の戦略について
司会者:「ASEANと北米で海外展開をされているかと思いますが、売上貢献が見えてくるのはいつ頃でしょうか?」というご質問です。
後藤:まだ準備中ですね。そのような意味で言うと、昨年度は北米で三井物産と活動し、今回はタイで展開します。各国で戦い方がまったく異なるというのが、私の実感です。
司会者:それぞれ違うのですか?
後藤:そうですね。勝ち筋もまったく違っています。現在はトランプ関税の影響で、自国内での開発を進める動きが世界中に広がっています。
そのため、タイ以外の東南アジア、フィリピンやベトナム、さらには西のインドといった地域が戦場として浮上してくるのではないかという印象です。
司会者:今後の展開が楽しみですね。
質疑応答:プリント基板の原材料高騰と価格転嫁について
司会者:「半導体関連は軒並み販管費が上がっていますが、御社は価格引き上げをされていますか? いろいろ大変かと思います」というご質問です。
後藤:原材料はやはり高騰しています。
司会者:需要が逼迫していますよね。
後藤:そうですね。我々のプリント基板でいえば、銅です。電線の部分に影響があり、価格の一部を転嫁している部分があります。
質疑応答:ピーバンドットコムのイメージ転換と今後の展望について
司会者:「過酷な使用環境を想定されているのはさすがだなと思ったのですが、このあたりが御社の真髄なのでしょうか?」というご質問です。
後藤:そうですね。ここは私たちが今後さらに訴求していきたい部分です。
最初に私たちが登場した際のイメージとしては、先ほど述べた簡単な2層基板の試作しかできない企業だと思われていたかもしれません。
しかし、実際には水面下でそのようなニーズや引き合いが増え、我々に対する印象が少しずつ変わり始めているのではないかと考えています。
司会者:他社から見たピーバンドットコムのイメージが変わってきているのでしょうか?
後藤:お客さまからのイメージとして、より難易度の高い試作や、そもそも量産も可能なのではないかという期待があります。その期待を私たちとしても後押しし、「できます」という状況だといえるでしょう。
司会者:可能性が広がりそうです。そのような意味では、真髄になるのかもしれませんね。
後藤:要求される品質レベルは、我々がしっかりと高めていく必要があると感じています。
質疑応答:フィジカルAIとその将来性について

司会者:「御社のターゲットはフィジカルAIのほうですか? 得意そうですよね」というご質問です。「フィジカルAI」とは、ロボットにAIを組み合わせてロボットが自ら考えて行動するものです。
後藤:そうですね。ロボットはまさにハードウェア産業であり、今後さらに成長していく分野だと考えています。
ユーザーの中にはスタートアップ企業も多くあり、日本では名だたる産業ロボットメーカーも多数存在します。これらの企業にも、引き続きしっかりと営業していきたいと思います。
司会者:日本といえばものづくりの国であり、産業用ロボットにおいても非常に高い技術力を持っています。その中でフィジカルAIが新たなトレンドとなりつつあり、可能性が広がっていると感じます。
後藤:AIが機械に乗って実際に動き出す時代が来たら、少し怖さもありますね。
司会者:映画のような世界になりそうですね。
後藤:ここで問題になるのが、電力です。低電力でAIが駆動するようになれば、将来的には本当に「ドラえもん」が間違いなく実現します。
司会者:そうですね、なんでもお願いできるようになるかもしれませんね。
後藤:人間が唯一勝てるのは、消費電力だそうです。
司会者:どのくらい電力を使うかということですね。
後藤:人間は2ワットで動けるらしいです。そう考えると、AIは膨大な電力を消費し、現在の世界の二酸化炭素排出の大部分はAIによるものです。しかし人間は2ワットで動けるため、その点で人間は優れています。
司会者:省エネで優位性を持っていますね。
質疑応答:基板パターン設計と省電力デバイスについて
司会者:「基板で省電力化は可能ですか?」というご質問です。
後藤:基板におけるパターン設計の引き回しなどにおいて、この分野には十分な需要があります。また、省電力を推進するデバイスも多く存在します。
司会者:パソコンにも使われているのですね。
後藤:非常に重要な部分になると思います。
質疑応答:基板発注と比較した際の優位性や期待感について
司会者:「最近、製造業のDX化が話題ですが、御社のサービスは従来の基板発注と比べて、具体的にどのような点がユーザーに支持されているのでしょうか?」というご質問です。
後藤:一言で表現すると「ネット上でいつでもどこでも見積もりが取れて注文できる」ということです。
司会者:それが一番の強みということですね。
質疑応答:設計自動化の進展とAI活用によるものづくりのスマート化について
司会者:「田坂会長に質問です。AIをどのように活用し、事業を成長させていこうとお考えになっていますか?」というご質問です。
田坂:1つ目は、先ほど話した「GUGEN Hub」でAIを活用し、蓄積されたデータを用いてサービスの精度を向上させることです。また、以前から取り組もうとしてまだ実現できていないのは、設計の自動化です。
先ほどお話ししたように、お客さまが「このようなものを作りたい」という要件を入力すると、設計が自動的に行われ、プリント基板の製造を開始できるというものです。こちらが実現すると、これまで設計にかかっていた時間が不要になります。
司会者:つまり、考えなくても、作りたいと思ったものを入力すれば、一気に設計図が完成するというイメージですね。
田坂:そのとおりです。そして実際にモノが届き、電気を通せば動作するというわけです。その可能性は、今、格段に実現に近づいています。社内でも長らく試行錯誤しています。
司会者:ものづくりがAIや仕組みによって、どんどんスマートに進化していける世界になりそうですね。
田坂:そうですね。本当に、昔はブラウザでひたすら検索しまくっていたのは何だったのだろうと、今となっては思います。
司会者:確かに。反対に、それが良さのようなところもあったかもしれません。
田坂:それが参入障壁のような役割を果たしていた部分もありましたね。
質疑応答:成長性の継続性について

司会者:「売上高成長率5.4パーセント増を大きく上回る、営業利益成長率32.8パーセント増の持続性はあるのでしょうか?」というご質問です。
後藤:現在、私たちが狙っている市場は、基板の難易度を高めたり量産を進めたりすることによる、高付加価値の分野を目指しています。そのため、トップラインは自然と上昇すると考えています。
その上で、コストの改善をしっかりと行うことで、現在の市場シェアは非常に小さいものの、残された市場シェアを獲得する段階においては利益率を着実に改善できる体制で進めており、持続性があります。
司会者:先ほどのお話にもあったように、高付加価値サービスと固定費抑制を続けて市場を広げていくことで、売上のトップラインが自然に伸び、利益率も高くなるということですね。
後藤:そうです。また、我々自身も少数精鋭で事業を進めています。
司会者:現在は40数名でしょうか?
後藤:50人規模になったり、40人規模になったりといった状況です。
司会者:少数精鋭で取り組まれているのですね。
質疑応答:中国企業との競争と基板ネット販売の戦略について
司会者:「基板のネット販売は競合も増えている印象を持っているは、私だけでしょうか?」というご質問です。
後藤:この質問は来るだろうと思っていました。中国には同様のサービスを展開している企業があり、価格競争力が非常に高いため、我々も「驚異的ではないですか?」とよく言われています。
ただし、中国が驚異的だというのは日本の製造業全体の話であり、我々だけに限定される話ではありません。我々はすでにそのラインには属しておらず、先ほど述べたようにネットを活用して量産を進めています。
ネットから高多層の難しい基板を調達するなど、現在はそのようなフェーズで競争を行っている段階です。市場にはさまざまなプレイヤーが増えていますが、当社としては競合視していません。
司会者:狙うターゲットなどが異なるということでしょうか?
後藤:そうですね。とはいえ、彼らも狙っている可能性はあるかもしれません。
司会者:中国などでは、基板のネット販売が増えているのですか?
後藤:そうですね。もともと世界中に存在しており、当社がこの事業に参入する以前からすでにありました。
司会者:ターゲット層ややり方が異なり、戦略も違うということですね。
後藤:そのとおりです。
質疑応答:高付加価値サービスと納期短縮の取り組みについて

司会者:「売上総利益率が37.7パーセント、前年同期比プラス2.2ポイントと改善した具体的な要因は何ですか?」というご質問です。
後藤:先ほどのスライドでもお伝えしたとおり、「デリバリーゼロコース」など、時間を価値に変えるサービスを提供することで、お客さまから高い単価をいただくことができています。このような高付加価値サービスによって単価を上げていくことが、1つの取り組みです。
また、サービスの納期短縮は、現在のバリューチェーンをしっかり見直したことで実現できました。その結果、派生的にコスト改善が進み、利益率の改善につながりました。
司会者:今、配達などの逼迫もありますが、0日はすごいですね。
後藤:そうですね。実現が難しいのではないかと思うこともありましたが、対応できています。お客さまのニーズを把握し、適切な対策を講じているため、現時点では問題なく対応できています。
司会者:ユーザー目線で必要とされるものをしっかり提供されていると感じました。
質疑応答:成長投資と還元のバランスについて

司会者:「これからの配当方針や増配などの見通しについて教えてください」というご質問です。
後藤:こちらについてはお伝えできない部分もあり、お話しすることが難しいのですが、基本的には成長投資と還元のバランスを見ていくことが、我々の経営上の重要課題だと思っています。タイミングを見てお伝えできる機会があれば、ぜひお知らせしたいと考えています。
司会者:続報に期待するところですね。
質疑応答:海外進出について
司会者:「海外進出したら、一気に拡大しそうです」というご意見が届いています。私も、世界的に需要が高いと感じます。
後藤:ありがとうございます。おもしろそうですよね。
田坂:以前はリソースや人が足りず、対応できていませんでした。当初はまず日本国内でサービスのバリエーションをしっかり増やすことに注力していましたが、人材も育ち、このようなAIの仕組みなども含め、今では展開が可能な時期になっています。
司会者:タイミングとしては、今できるようになってきたということですね。
後藤氏・田坂氏からのご挨拶
後藤:我々のサービスは事業体が非常にわかりにくい部分があるといつも言われており、このような機会を通して、みなさまにしっかり伝えていきたいと思っています。なかなか説明が下手な部分もありますが、今日をきっかけに知っていただき、応援していただければ幸いです。
田坂:現在、海外やAIなど新しい取り組みをいろいろと進めており、今後それらが数字として表れてくると思います。ぜひご期待いただければと思います。
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