三谷産業、売上・各段階利益で連結開示以来の中間期過去最高 全6事業セグメントで増収、営業利益はYoY+124.2%
2Q決算サマリ

三谷忠照氏:みなさま、お忙しいところありがとうございます。代表取締役社長の三谷です。それでは、2026年3月期の中間決算をご説明します。
当中間連結会計年度の業績について、売上高は566億2,100万円で、前年同期比79億200万円増の16.2パーセント増となりました。営業利益は16億9,400万円で、前年同期比9億3,800万円増の124.2パーセント増でした。
経常利益は22億8,000万円で、前年同期比11億1,700万円増の96.1パーセント増となっています。親会社株主に帰属する中間純利益は18億3,900万円で、前年同期比5億6,700万円増の44.6パーセント増となりました。
売上高およびすべての段階利益において、連結決算開示以来、中間連結会計期間としては過去最高となっています。売上高は4期連続、親会社株主に帰属する中間純利益は3期連続で過去最高を更新しました。
売上高が前年同期比で79億200万円増加した要因は、当社グループが展開する6つの事業セグメントすべてで増加が見られたことによります。営業利益が前年同期比で9億3,800万円増加した要因は、住宅設備機器関連事業を除く5つの事業セグメントでの増加によるものです。経常利益および親会社株主に帰属する中間純利益は、営業利益の増加を主要因として増加しました。
各セグメントの状況については、決算短信の添付資料または今期から「決算ハイライト」に改称した本資料の3ページから9ページに記載しています。その中で、売上高・営業利益ともに前年同期比で増加した情報システム関連事業と化学品関連事業についてお話しします。
情報システム 増収増益

情報システム関連事業では、文部科学省が推進する教育現場でのICT活用、いわゆる「GIGAスクール」の第2フェーズである「NEXTGIGAスクール」案件を富山県に納入したことに加え、当案件を契機として受注したセキュリティ環境の整備を実施しました。
首都圏では、複数の基幹システムの更新案件が順調に進捗し、業績に寄与しました。この結果、情報システム関連事業の売上高および営業利益は、中間連結会計期間として、「NEXTGIGAスクール」案件を除いても過去最高となり、売上高は2期連続で過去最高を更新しています。
化学品 増収増益

化学品関連事業については、国内の化成品販売において顧客の稼働が全般的に増加したことや、医薬品原薬において自社製品の販売が好調であったことが要因で増収増益となりました。機能性素材の受託製造では、既存顧客から新規案件を獲得しました。
また、環境ビジネスにおける有価金属の回収事業では取扱量が増加し、これらが業績に寄与しています。この結果、化学品関連事業の売上高は、中間連結会計期間として2期連続で過去最高を更新することができました。
2026年3月期 業績見通し
2026年3月期の通期連結業績の見通しについてご説明します。決算短信をご覧ください。
上期終了時点での業績予想に対する進捗率は、売上高が51パーセント、営業利益が75パーセント、経常利益が77パーセント、親会社株主に帰属する当期純利益が75パーセントと非常に好調です。第3四半期以降の業績も引き続き堅調に推移すると見込んでいます。
一方で、当社グループの業績は例年、下期偏重の傾向がありますが、今期は下期から上期への前倒しで計上したものも一定数ありました。また、日本の政治情勢や米中の貿易摩擦などが影響する可能性もあるため、引き続きマーケットを注視する必要があると考えています。
このため、現時点では業績予想の修正は行わず、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも、本年4月に発表した予想を据え置くこととしました。
通期の連結業績予想について、売上高は前期比69億2,800万円増の6.7パーセント増で1,100億円、営業利益は前期比1億7,600万円増の8.5パーセント増で22億5,000万円を計画しています。経常利益は前期比2億9,400万円増の11パーセント増で29億5,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比1,000万円増の0.4パーセント増で24億5,000万円となる見込みです。
売上高は6期連続の増収、各段階利益は3期連続の増益を見込んでおり、売上高および親会社株主に帰属する当期純利益は、2期連続で1988年7月の上場以来最高値を更新すると見込んでいます。
配当予想の修正(増配)

次に中間配当金についてのお知らせです。業績予想を据え置くとお伝えした一方で、配当金については本日、上方修正を決定し、決算短信と同時に「配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」を開示しました。そちらからご確認いただくか、このスライドまたは決算短信をご覧ください。
当社は株主さまへの利益還元を重要な経営課題として認識しており、継続的な安定配当を実施するとともに、企業体質の強化や将来の事業拡大に備えるため、必要な内部留保を確保することを基本方針としています。このような方針・考え方を基本としながら、先ほどお伝えしたように、今期第2四半期までの連結業績が過去最高となりました。
現在も業績予想の達成に向けて堅調に推移していることを受け、今期の中間および期末配当予想を上方修正することを決定しました。具体的には、中間配当金を4円50銭から50銭増の5円に、期末配当金を5円50銭から1円50銭増の7円にそれぞれ修正します。これにより、年間配当金は10円から2円増の12円となります。
なお、第3四半期以降の連結業績が想定を上回る場合には、さらなる配当の見直しが可能かどうかを慎重に検討していきます。
これまで、業績が好調な年において1円の増配はありましたが、2円の増配はあまり例を見ず、それだけ業績が非常に良好であることを示しています。また、増配の背景には業績の期待値が当初予想よりも大きいと考えられる点もあります。しかし、基準値を超える確度が十分に高いとは言えないため、目下のところ業績予想は据え置いています。
以上、2026年3月期の中間決算、2026年3月期の通期連結業績の見通し、および配当金についてご説明しました。この後は、第2四半期以降のトピックスについてお話しします。
トピックス

1点目のトピックスとして、「Chalaza(カラザ)」が「カオナビ パートナーアワード2025」にて表彰されました。「カオナビ」はよく知られていると思います。「Chalaza」については決算説明の場でもたびたびご報告していますが、クラウドサービスをつなぐクラウドサービスと言えばわかりやすいかと思います。
スライド右の図にあるとおり、「奉行クラウド」シリーズはカオナビ社が提供しているものではありません。また、「PHONE APPLI」もカオナビ社の製品ではありません。ただし、それぞれのシステム同士をつなぐ役割を果たしている「Chalaza」というシステム製品において、当社はFaaS(Function as a Service)のインテグレーターとして、各データの連携を支援する役割を担っています。
こうした製品はつながる先が非常に多く、約200近く存在すると認識しています。特にカオナビ社や株式会社HRBrainなど、いわゆるHRテックと呼ばれる分野において、ありがたいことに非常に高い期待を寄せていただいています。その中でもカオナビ社については、スライドの一番下にもあるように、人事業務の効率化や人的資本情報の活用促進に貢献したことが評価され、表彰されたということです。
当社の分析によれば、例えば「奉行シリーズ」がすでに導入されているお客さまが「カオナビ」を新たに導入する際、既存の情報をうまく連携させることで、両者がしっかりと組み合うことが可能です。そのため、連携を前提に結合を進めていくことで、「『カオナビ』のデータ移行時に同一データを複数回入力しなければならず、使いにくい」といった課題を解決でき、1つのデータで複数のサービスとの連携が可能になるという利点があります。
この仕組みにより、多くのお客さまにご満足いただいています。また、連携に伴い、双方のサービスの解約や離脱の防止といった副次的な効果も得られると考えています。
当社でも二重入力の手間がまれに発生しますが、「Chalaza」のような製品を利用することでその手間は大幅に削減されています。例えば、「Microsoft Teams」のスケジュールに登録すると、社内イントラにも自動的にスケジュールが登録されるといった使い方です。また、人事マスターなどにも非常に活用いただいています。
トピックス

2点目のトピックスとして、三谷産業コンストラクションズでは、石川県野々市市に「sosu select showroom(ソスー セレクト ショールーム)」という名前のショールームをオープンしました。もともとショールームがあった場所ですが、このたびリニューアルオープンしています。8月のオープン時にはメディアの方々にもお越しいただきました。
こちらには、日本でもあまり見る機会のない高級輸入品や国内大手メーカーによる非常に凝った商品がラインアップされています。これらの商品はいずれも単価が非常に高く、最も高価なシャワーヘッドで200万円程度のレインシャワーがあったと記憶しています。このような商品は、一般住宅ではなく高級・中高級層向けの商品・商材として、多数展示しています。
通常、このような商品を見るためには、そのブランドのショールームに赴く必要があり、それは主に首都圏やヨーロッパの本国に所在しています。現物を見る機会がなかなか得られない工業製品ですが、これらは機能美と造形美を兼ね備え、まるで工芸品のような存在感を持つ住宅設備機器として展示し、ご紹介しています。
また、三谷産業グループのオリジナル製品についても、並べても恥ずかしくなく、引けを取らないと考えるブランドがいくつかあります。そうした製品を効果的に配置し、一般住宅の中でも高級・中高級層を対象としたビジネスを展開しています。提案から販売、施工、アフターサポートまで一貫したサービスを提供することで、この事業をさらに強化していきます。
この「sosu」という名前は、数字の「素数」に由来しています。素数とは、1とその数以外では割り切れない数のことです。英語ではprime numberと言い、primeという言葉は「プレミアム」などを連想させる語でもあります。
割り切れないアイテムを多数配置し、それらを組み合わせることで、お客さまにご提案を行うというイメージです。素因数の組み合わせで自然数が形成されるという概念を持ちながら、独自のアイテムを配置していくという意図を込めて命名しています。
スライドには「アイテム自体が調和を持ち既に完成されているような美しさ・完璧さを有している」と記載しましたが、それらを組み合わせた時の調和もまた腕の見せ所です。一品だけが突出していても、空間全体の調和に至ることはありません。
当社では少しずつ高級物件の施工や商品の納入を手掛けることが増えてきており、そうしたビジネスを加速させたいと考えています。東京でも事例が多く、Webにおいても少しずつ増えてきました。
オープン以来、反響が非常に大きく、「sosuを見に行ったか?」という話が業界内で聞かれるようになり、大変うれしく思っています。東京から視察に来る方も時折います。
トピックス

3点目のトピックスとして、「三谷産業グループではたらく」を一層推進していきます。こちらのスライドでは、働く環境面でのニュースをいくつか掲載しています。
左側に「国立高専卒社員の初任給引き上げ」とありますが、これは他社ではあまり見られない、非常に珍しい取り組みだと思います。弊社グループでは、空調設備セグメントを中心に高専卒社員が活躍しています。これまでの大卒社員の活躍を平均して見た場合、高専卒社員の活躍のほうが上回る感覚があります。それに基づき、大卒給与を上回る報酬設計を採用しています。
また、一般的に高専卒のほうが大卒よりも年齢が若いため、同期入社の大卒社員たちと比べて年少ながらも給料が高くなる構図になります。ただし、三谷産業グループとしては、それだけ高専の卒業資格に価値があると考えており、今後の高専卒社員の採用に大きく寄与することを期待しています。
スライド中央に「脳の健康度セルフチェックツール利用開始」とありますが、こちらはたびたびニュースリリースしています。40歳以上の役員・社員を対象として、脳の健康チェックプログラムを開始しました。
提供元はテオリア・テクノロジーズという会社で、エーザイの子会社です。エーザイは認知症の薬を提供していますので、同社にとって認知症患者が増えたほうが利益につながるかもしれませんが、医薬品の売上を損なったとしても、豊かに暮らせる人を増やすことが使命だと考えているすばらしい企業です。
「イノベーションのジレンマ」という言葉もありますが、そのジレンマを自社内で乗り越え、予防に関するサービスやチェックに関するサービスを医薬品以外に提供しています。エーザイの方に「すごいですね」とお伝えすると、「社名の由来は『衛生材料』であり、もともと医薬品が本業ではなかった」と謙遜されますが、本当にすばらしい取り組みだと思います。
私たちも5年ほど前から、シリコンバレーのベンチャーによる製品を用いた認知機能テストやチェックツールを導入し、認知症の疑いがある方に向けた本格的な試験をスマートフォンで受験できる仕組みを提供していました。同じく40歳以上の役員・社員を対象にスタートしていましたが、残念ながらそのサービスが終了し、どうすべきかと考えていたところ、エーザイからお声掛けをいただき、現在はお互いの信頼関係が非常に高い状態でパートナーシップを結べています。
この取り組みは、私どもの中で稼働しているだけでなく、外部販売に向けた支援を行ったり、認知症に対する理解を深めるセミナーを開催したりしています。実際にセミナーを開催した際には、私たちのグループ内での認知症に関する体験を共有させていただく機会もありました。
対象が40歳からということもあり、若いうちから認知機能の低下曲線を年齢に応じて確認し、自分自身で把握することができます。当社は定年退職を撤廃しましたので、会社の中でセルフチェックをしながら、自ら働く期間を決めていただくことを目指しています。
スライド右側にある「産休・育休取得の支援体制拡大」は、三谷産業の人事本部が考案し、グループ全体に展開しているものです。さまざまな制度が整備されても、実際に子どもができるまでは、どのような制度があるのか、自分から調べることはなかなかありません。子どもができて初めて感度が高まりますが、その時にはどこにどのような制度があるのか、把握しにくい状況になっています。
この写真は、全社員に配布されているパンフレットに掲載されているものです。このパンフレットだけでなく、育児支援の窓口として「いくQコンシェルジュ」を設置し、制度の案内や申請支援、面談などを行っています。
男性の育休取得率も非常に高くなっており、現在、対象となる男性社員の90パーセントが育休を取得しています。そのうち、1ヶ月以上の育休を取得する男性社員は約50パーセントに達しています。会社全体として、世の中の要請に応えるかたちだと考えています。
トピックス

4点目のトピックスとして、『Carbon』という会報誌をご紹介します。こちらはお客さまや仕入れ先に配布しているものです。主に大企業とベンチャー企業やスタートアップ企業とのコラボレーションの事例、オープンイノベーションの事例などを掲載しています。
今回の13号は「能登、イノベーションの息吹」というタイトルで、能登地域で起こっているさまざまな事例を特集しています。もちろん、能登地域はまだまだ外部からの支援を必要としていますが、現地の方々の活力を感じられる新たな取り組み、ユニークな企画、イノベーティブな活動などを取材し、記事にまとめています。そして、それらの記事を県外を含む全国の約5,000社のお客さまにお配りしています。
今後の能登地域への支援のあり方については、私たちも非常に難しさを感じています。金銭的な支援を続けるべきかどうか、その是非についても答えが出ていません。
私どもとしては、関連会社であるニッコーの食器を能登地域の仮設住宅を中心とした住民の方々に提供する活動を継続しています。また、地域の祭りの復興のため、スポンサーとしての支援も行ってきました。これは本来、新聞各社の役割だと思いますが、私どもの接点のある企業を中心に、能登地域への注目が集まるよう、自分たちなりの努力を続けています。
トピックス

5点目のトピックスとして、今年3月に新聞各社に依頼し、一面15段の広告を掲載しました。印半纏(しるしばんてん)が大胆に載り、「かつて三谷産業にお勤めだった方がお持ちの“印半纏”を探しています」という内容でした。
この募集広告を出したところ、大きな反響をいただき、SNSでも多く言及される広告となりました。画像のインパクトはもちろん、メッセージ性も非常に高かったことが評価されたのだと思います。3年後に創業100周年を控える中、「100周年を目前にした会社」というアピールがしっかりと伝わりつつ、印半纏を探す理由もわかりやすい内容でした。
かつてお勤めだった方が亡くなった際に印半纏を棺に入れ、一緒に燃えてしまうケースが多かったと聞いています。そのため、現存するものがほとんどない状況です。この広告を通じて、そうした背景や思いを持った社員がいた会社なのだということも伝えられたのではないかと感じています。
新聞掲載後はSNSを通じて拡散され、多くの方から情報をいただきました。しかし、実際に現物を持ってきていただいても、それがレプリカ品でありオリジナルではなかったというケースが続きました。レプリカ品は本来、返却いただくことになっていましたが、手元に残っている方も多かったようです。
そしてつい最近、「本物を保管している」というお申し出をいただきました。その方のお父さまは昭和20年頃の石炭の時代に当社に入社し、定年まで勤め上げたとのことです。そして、勤務時に実際に使用していた印半纏が形見として大切に保管されていました。
募集広告を出しておきながら恐縮ですが、思い出の詰まった品物であったことから、ご提供を決断するまで悩まれたのだろうとお察しします。最終的に三谷産業にご提供いただけることになり、私どもも半ば諦めていただけに、半年以上経って本物が見つかり届く結果に非常に驚きました。
このような結果に至ったのは、やはり新聞というメディアが持つ力によるものだと感じています。この広告も、新聞の良さを最大限に活用できた好例ではないでしょうか。
回収広告といえば、例えばヒーターのリコールや探し人、迷子犬のような広告が一般的です。このような形式を通じ、企業ブランディングに結びつけることができた点については、専門家のみなさまからも評価をいただいています。先日、「日経広告賞」を受賞することが決まり、大変ありがたく思っています。
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