【QAあり】西華産業、旭サナック子会社化で海外販路拡大へ 産業機械の回復が追い風・M&A推進で非連続成長に意欲
CONTENTS

櫻井昭彦氏(以下、櫻井):みなさま、こんにちは。代表取締役社長の櫻井です。本日はお忙しい中、2026年3月期第2四半期の決算説明会にご出席くださり誠にありがとうございます。また日頃より西華産業にご関心をお寄せいただき、重ねて御礼を申し上げます。
本日はスライドに記載の5つの項目についてご説明します。
決算サマリー

はじめに2026年3月期第2四半期の決算サマリーです。取扱高は1,325億5,000万円、売上高は518億3,000万円、営業利益は32億6,000万円、中間純利益は31億2,000万円となりました。
また、受注残⾼は723億3,000万円と⼤幅に増加しています。
配当⾦について、当社は10⽉1⽇付けで分割割合1:3の株式分割を実施しており、期末配当は37円を予想しています。
2026年3月期第2四半期(中間期) 連結決算概要

川名康正氏(以下、川名):専務執行役員の川名です。2026年3月期第2四半期の連結決算概要についてご説明します。冒頭のサマリーでお伝えした各数値をスライドにまとめていますのでご確認ください。
連結業績の進捗

こちらは連結業績の推移をグラフ化したもので、いずれも堅調に推移しています。
連結の範囲

連結の範囲はスライドの図のとおりです。収益の柱となるグループ企業は、Tsurumi (Europe) GmbH、⽇本ダイヤバルブ、セイカダイヤエンジン、敷島機器の4社です。
連結バランスシート

連結バランスシートです。9⽉末時点の時価総額は731億円、PBRは1.45倍となり、ともにこの6ヶ月で⼤幅に上昇しました。EPSについては、10⽉1⽇付けの株式分割を考慮した数値を記載しています。
キャッシュフロー

キャッシュフローについてご説明します。投資活動によるキャッシュフローは、本年4⽉に実施した東京産業株式会社の株式取得によるキャッシュアウトもあり、マイナス30億1,000万円となりました。なお、政策保有株式の連結純資産に占める割合は、⽬標としている20パーセント未満の⽔準を維持しています。
連結純利益のウォーターフォール分析(2025/3 2Q vs 2026/3 2Q)

連結純利益における前期比のウォーターフォール分析です。売上総利益は7億8,000万円増加したものの、前期の負ののれんを計上したことの反動や、今期の政策保有株式売却益が少なかったこと、訴訟関連損失引当⾦の4億8,900万円を特別損失として計上したことにより、中間純利益は前年同期⽐で19億円減少しました。
過去3ヶ年の推移

各業績における過去3ヶ年の推移はスライドのとおりです。
セグメント別概況

続いて、セグメント別の概況です。実績および各セグメントの状況はスライドにあるとおりです。
エネルギー事業では、売上高が12.4パーセント増加しましたが、セグメント利益は39.8パーセント減少しました。なお、前期に発生した負ののれんを考慮した場合、セグメント利益は5.7パーセントの減少となります。
産業機械事業では、売上高が52.2パーセント増加し、セグメント利益も前期の第4四半期以降黒字化しており、回復基調にあります。プロダクト事業では、売上高が5.3パーセント減少しましたが、セグメント利益は11.4パーセント増加しています。
セグメント別 四半期毎の進捗

セグメント別の売上高、およびセグメント利益の進捗です。産業機械事業のセグメント利益については、第2四半期ですでに通期予想を達成したため、現在、通期見通しを精査中です。
セグメント別 受注残高の推移

セグメント別の受注残高については、表のとおりです。産業機械事業の受注残高は大型案件の受け渡しが進んだ影響で前期末より1億円ほど減少していますが、全体としては前年同期比31.9パーセントの増加、前期末比8.3パーセントの増加と、着実に増加傾向を示しています。
主要連結子会社の状況

主要連結子会社4社の売上高・営業利益の推移です。各社に若干の増減はありますが、おおむね期首の予定どおり進捗しています。
長期経営ビジョンにおける営業利益目標達成イメージ

長期経営ビジョンにおける営業利益目標達成のイメージについてご説明します。中期経営計画では、今期66億円、最終年度である来期は70億円を営業利益目標として掲げています。
この目標はエネルギー、産業機械、プロダクトなど、オーガニック事業の年6パーセントの成長率によって達成可能と考えています。また、長期経営ビジョンの最終年度となる2030年度には、今期の66億円から約2倍の120億円を目標としています。
目標達成に向け、オーガニック事業の成長に加え、事業投資やM&Aをはじめとしたノンオーガニック事業への取り組みを進めています。
ノンオーガニック事業への取り組み

ノンオーガニック事業への取り組みの1つとして、10月27日に開示した旭サナック株式会社の子会社化についてご説明します。同社は1942年(昭和17年)に創業し、愛知県尾張旭市に本社を置く、塗装機械、圧造機械、洗浄機械のトップメーカーです。
かねてより合弁先・取引先として協力してきましたが、今回の子会社化を契機に、タイやドイツをはじめとした海外での販売拡大を図り、シナジーを発揮していきます。なお、旭サナックの株式譲渡実行日は、本年12月1日の予定です。
2026年3月期 連結業績予想

今期の連結業績予想についてです。期首予想からの修正はなく、売上高は1,050億円、営業利益は66億円、経常利益は71億5,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は60億5,000万円と予想しています。
2026年3月期 セグメント別連結業績予想

連結業績予想と同様に、セグメント別予想についても期首予想からの修正はありません。セグメント利益の算出方法は、今期、2026年3月期より、従来の営業利益に加えて持分法投資損益を含めたものに変更しています。
エネルギー事業は、前期第2四半期の大型案件の反動により減益を見込んでおり、プロダクト事業は微減を想定しています。産業機械事業は、受注残の受け渡しが進むことで増益を見込んでいましたが、当第2四半期で予想を上回ったため、現在予想を精査しています。
株主・投資家との対話から得られた関心事項

櫻井:株主さまや投資家のみなさまとの対話から得られた関心事項をご紹介します。
主な関心事項はスライドに記載のとおりです。各項目について詳しくご説明します。
株主還元や配当方針

はじめに、株主還元や配当方針についてです。
冒頭の決算サマリーでご説明したとおり、本年10月1日に株式を1対3の割合で分割しました。これは、当社株式の投資単位あたりの金額を引き下げることで、より投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図ることを目的としています。
今後も当社の取り組みを幅広くご理解いただけるよう、積極的な情報開示に努め、投資家のみなさまとの対話やIRを強化していきます。
IR活動の状況 - 株主数および売買代金の増加

IR活動の状況についてです。
今年度のIR面談件数は、9月末時点で合計68件と、前年度を大きく上回るペースで取材依頼をいただいています。面談でいただいたコメントは、取締役会や経営会議メンバーとタイムリーに情報を共有し、経営戦略に反映しています。
一昨年度と比較すると、全体の株主数は約30パーセント増加して1万3,600人強、日々の売買代金は約3倍に増加しています。
IR活動の状況 - 各種メディア掲載

本年掲載された各種メディアの一覧です。『会社四季報』や『日本経済新聞』『ダイヤモンドZAi』などの株式投資情報誌を含め、さまざまな媒体に取り上げていただく機会がたいへん増えており、ありがたいことです。
TOPIX残留に向けた取り組み(個人株主の状況)

TOPIX残留に向けた取り組みとして、個人株主さまの状況についてご説明します。個人投資家向け会社説明会の実施や株主優待導入の効果により、前述のとおり大幅に増加しています。
スライド右側のグラフは保有期間別の損益の分布を示しており、すべての既存個人株主さまが含み益を抱えている状況ではないかと考えられます。TOPIX残留の基準日である来年8月に向けて、気を緩めることなく、売買代金回転率および浮動株時価総額の上昇に取り組んでいきます。
また、海外投資家さまへの対応についても、昨年に引き続き、今年もIR活動をしっかりと実施していきたいと考えています。具体的には、12月頃を目安に台湾での機関投資家面談を予定しています。
原子力発電事業の状況と今後の見通し

2023年度より開始した原子力発電事業の状況と今後の見通しについてです。当社の三菱重工業代理店業務を担当する稼働中のプラントは、図のとおりです。主な業務は、法令に基づく13ヶ月ごとの定期点検や保守業務です。
本年2月に政府が発表した第7次エネルギー基本計画において、原子力を脱炭素電源として最大限活用する方針が決定されています。東京電力や北海道電力の泊発電所など地元関係者からもこのようなお話をいただいています。この原子力事業に関しては、全般的に追い風となっているのではないかと考えています。
また、6月には最大運転期間を20年延ばす「GX脱炭素電源法」が施行されました。今後の見通しとしては、定期点検業務に加え、高経年化プラントにおける大型の主要発電設備や周辺設備の更新、それに加えて使用済核燃料の乾式貯蔵施設に関連する商談といった需要も見込んでいます。定期点検に加え、比較的大規模な更新工事にも期待しています。
東京産業株式会社の株式取得

本年4月に株式を取得した東京産業株式会社との状況についてご報告します。
株式を取得した際、大量保有報告書においては「投資収益を目的とした株式取得」であると記載しました。また、中期経営計画においては、収益力強化に向けた補完的なM&Aの活用を表明しています。
今後、政策保有目的の変更の可能性について検討していくことも公表しています。この可能性を検討するため、現在、協業・協働を視野に入れ、両社の企画ラインを窓口として協議を開始しました。
目的としては、ステークホルダーの期待に応えるべく企業価値向上の重要性、商社において社員が最重要経営資源であること、事業の相似性によるシナジー効果を念頭に置き、相互の尊敬と信頼関係を基礎として建設的な対話を行っていきます。
今後も開示すべき事象が生じた場合には、速やかに開示しお知らせします。
以上で、2026年3月期第2四半期の決算説明を終了します。株主・投資家のみなさまには、今後とも変わらぬご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。本日はご清聴いただき、誠にありがとうございました。
質疑応答:ノンオーガニック事業の取り組みと今後の成長領域について

質問者:ノンオーガニック事業への取り組みにおいて、今回、旭サナックを子会社化された件ですが、塗装事業を評価されたと認識しています。今後、2030年度に向けて強化したい分野や伸ばしていきたい分野についてうかがいたいです。
櫻井:成長戦略の中で、オーガニック部門とノンオーガニック部門ということで分けていますが、正直に言いますと明確な区分けはありません。
戦略変更というものの、私どもは機械を中心にしたビジネスを手がけており、この領域で既存の事業に関連する部分が、やはり選定・投資の対象になるだろうと思います。いわゆる機械ビジネスおよび既存事業に隣接した範囲までを考えています。
基本的には、そのような領域の中で既存事業を強化するために、私たちの成長に資する投資と考えれば、デットを活用しつつ、健全な財務基盤を基に、積極的に投資を進めていきたいと考えています。
質疑応答:旭サナックの2030年度収益目標と長期ビジョンについて

質問者:長期ビジョンにおける計画で、120億円という目標があると承知しています。2030年度における旭サナックの収益について、どの程度を見積もっているか教えていただけますか?
櫻井:ノンオーガニック事業に取り組む中で、今回は旭サナックへの投資を実施しました。これまでもさまざまな説明会で、戦略的な投資を活用して長期ビジョンの到達目標を達成していくことをお伝えしてきました。本件については春先から取り組んでいましたが、ようやく公表できたことに安堵しています。
旭サナックの収益については、スライドのグラフにもあるように、現状、営業利益で約15億円から17億円ほどです。当社はこれまでにドイツとタイで合弁会社を設立してきました。その経験を活かし、当社の経営資源をしっかりと活用することで、さらに高みを目指したいと考えています。
正式には12月1日に株式譲渡が行われる予定です。今後、営業部門も交えながら具体的に課題を深掘りしつつ、一つひとつ着実に進めていきます。また、自立的な成長と当社とのシナジー効果を高めることで、さらに高い成果を目指していきたいと考えています。
比較的、旭サナックは当社と近くて、事業も比較的堅調です。いわゆる底堅く、浮き沈みがない事業で、その点で着実性の高いものと考えています。
2030年に向けた長期ビジョンの目標数字を共有しながら取り組んでいきたいとあらためて思います。
質疑応答:東京産業との協業・協働への進捗とメリットについて

質問者:東京産業との協議が進んでいると思いますが、実際にいつ頃に着地、つまり結論が出るのでしょうか? その場合、協業・協働のメリットはどのような点が想定されるのでしょうか?
櫻井:まず、東京産業は三菱重工業の代理店業務を核に、エネルギー分野を中心とした、当社と比較的近い相似系のビジネスモデルを持っていると理解しています。ただし、東京産業のビジネスの詳細については、まだ十分に把握できていないというのが正直なところです。
当社としては、競争力のある取り扱い商材の拡充、クロスセル、重複する間接部門の効率化、さらには人的資本の拡充など、さまざまなメリットがあるのではないかと考えています。
今回の協業・協働の可能性を検討するため、企画ラインを中心に協議を開始したところです。
ご質問の「いつ頃までに結論が出るか」という点についてですが、現状では丁寧に議論を進めることが重要だと考えています。
また、2030年の長期ビジョンを期限として意識しており、その達成を見据えながら進めていく方針です。できるだけ速やかに進めたいという思いはあるものの、相手があることですので、慎重さも求められると考えています。
長期ビジョンという期限を念頭に置きつつ、総合的かつ丁寧に進めていきたいという気持ちはありますが、現時点では慎重に議論を尽くすことを優先したいと思います。
具体的な結論の時期については、お答えが難しいことをご理解いただければ幸いです。
質疑応答:今期業績の着地予想と中期経営計画の見直しについて

質問者:今期の業績の着地についてうかがいます。通期の予想は変更しないとのことですが、先ほど社長が説明されたように、1つは産業機械が中間期で目標利益を達成していること、また旭サナックを買収し12月から連結されることで、当然その分も上乗せになると考えると、営業利益もかなり上方にずれてくるのではないかと思います。この点について、どのように考えればよいでしょうか?
川名:ご説明したとおり、産業機械事業は非常に好調に推移しており、現在しっかりと精査を行っているところです。
また、旭サナックについても12月1日から私どものグループに加わり、さまざまな活動が始まっていますが、現時点では詳しいことをお伝えできる状況にはありません。この点について答えが出ましたら、速やかにご説明します。
櫻井:過去を振り返っても、当社の業績はどちらかといえば下期偏重という傾向があります。この点については、これまでの実績を精査いただければご理解いただけるかと思います。
今後、社内会議などを通じて議論を深めることで、業績予想の確度を高めていきたいと考えています。中間期においては、現時点の予想を据え置く予定ですが、その点もしっかりと精査を進めていきたいと考えています。後半には大きな期待を持っています。
質問者:現状のお話では、今期の営業利益が70億円に達する可能性がありそうだと感じるが、その場合、中期経営計画の見直しが行われる可能性はあるのでしょうか?
櫻井:現在、具体的にお話しできる状況ではありませんが、開示条件を踏まえ、遅滞なく適切に情報を提供していきたいと考えています。
新着ログ
「卸売業」のログ





