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白銅株式会社7637

東証プライム

卸売業

目次

角田浩司氏(以下、角田):白銅株式会社代表取締役社長の角田浩司です。本日はお忙しい中、当社決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。ただいまより、2026年3月期中間期の決算説明を開始します。どうぞよろしくお願いします。

まず、目次をご覧ください。本日はこの目次に沿って、2026年3月期中間期決算内容を経営企画部長の星が説明し、2026年3月期業績予想以降については私からご説明します。

決算ハイライト

星宏明氏:経営企画部長の星です。どうぞよろしくお願いします。

それでは、2026年3月期中間期の決算内容についてご説明します。こちらのスライドは決算ハイライトです。売上高は前中間連結会計期間比0.7パーセント増の326億9,900万円となりました。

商品単価の上昇に加え、海外向けおよび航空・宇宙関連業界向けの販売量が増加したことが主な要因です。海外では、北米セグメントで売上高が増加しました。一方で、中国は景気減速の影響、タイは国内自動車販売台数の減少などの要因から減収となりました。

売上総利益は前中間連結会計期間比8.4パーセント減益の47億6,000万円となりました。減益の主な要因は、半導体製造装置業界向けの需要低迷により、粗利益率の高い標準在庫品の販売量が減少し、単位あたりの利益額が減少したこと、および棚卸資産影響額の差益減少等によるものです。

経常利益は、売上総利益の減少に加えて、人件費や販売促進費などの販管費が増加し営業利益が減少したこと、さらに親子借入金の為替差損による営業外損失を計上したことにより、前中間連結会計期間比38.8パーセント減益の10億8,700万円となりました。

連結損益計算書(PL)サマリ

連結損益計算書のサマリーです。ここでは、売上高および各利益の実額、ならびに売上高比率などについて示しています。

売上高の前中間連結会計期間比差異要因

売上高の前中間連結会計期間比差異要因を示すグラフです。標準在庫品は販売数量の減少によって減収となりました。一方で、特注品は単価の上昇に加え販売数量も増加し、売上高が増加しました。

なお、白銅個別の標準在庫品の売上高については、販売重量が前中間連結会計期間比で8.9パーセント減少し、商品単価は5パーセント上昇しました。

品種別売上高

品種別売上高です。スライドには四半期ごとの売上高を記載しています。前中間連結会計期間比でアルミニウム、ステンレス、その他の売上高が増加しました。

業界別売上高構成比率(国内)

国内における業界別売上高構成比率です。当社が成長領域と位置付けている3業界のうち、航空・宇宙関連業界は、半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置業界の比率が増加したことにより、2026年3月期第1四半期と比較して構成比率が若干下がりました。しかし、民間機需要が持続的に回復し、防衛関連を中心とする官需向けも好調に推移しています。

また、半導体・FPD製造装置業界の業界別売上高構成比率は、2026年3月期第1四半期と比較して増加しました。

自動車・自動二輪車業界は5パーセント前後で推移しています。

セグメント別業績

セグメント別の業績です。北米セグメントでは、主に為替差損の影響により減益となりましたが、米国関税の引き上げの影響等により販売量が増加し、売上高は増加しました。営業利益も前期比で改善しています。

中国セグメントでは、国内景気の影響で売上高および経常利益が減少しました。また、Hakudo(Thailand)CO., LTD.を表すその他セグメントでは、国内での自動車販売台数の減少などが要因となり、前中間連結会計期間比で減益となりました。

2026年3月期 中間期 セグメント別 品種売上高比率

セグメント別の品種売上高比率です。各セグメントの品種売上高比率を円グラフで示しています。

経常利益の前中間連結会計期間比差異要因

経常利益の前年同四半期比差異要因を示したグラフです。経常利益は前中間連結会計期間比で減益となりました。これは、売上高の減少に加え、人件費や販売促進費等の販管費が増加し、営業利益が減少したことによるものです。

連結貸借対照表(BS)

貸借対照表です。2025年3月末と比較すると、法人税等の納税および配当金の支払いにより現預金が減少しました。また、ベトナムのOristar Corporationの株式配当による投資有価証券の増加などにより、投資その他の資産が増加しています。

キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローについてです。2026年3月期中間期の営業キャッシュ・フローは、仕入債務の減少や法人税等の支払いにより、マイナス1億8,300万円となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、国内における設備投資の実施、投資有価証券の取得により、マイナス4億2,900万円となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いやリース債務の返済、子会社株式取得により、7億400万円となりました。

事業環境(1) アルミニウム・銅・ステンレスの原材料市況

13ページから16ページの資料では、当社の事業環境について説明しています。

まずは、原材料市況の推移についてです。直近では、銅の供給リスクが高まり、急伸した国際相場の影響で電気銅建値が上昇しています。

原材料市況については、足元で激しく変動しており、同様に直近変動幅の大きい為替相場と併せて、引き続き動向を注視していきます。

事業環境(2) 半導体製造装置販売額と標準在庫品売上高との比較

半導体製造装置の販売額と白銅個別の標準在庫品売上高の比較です。スライドのグラフは、日本半導体製造装置協会が公表する日本製半導体製造装置の販売額と白銅個別の標準在庫品の売上高を比較したものです。

生成AI向けについては引き続き堅調な動きが見られるものの、中国市場向けの需要に一服感が現れたことや、メモリ需要の低迷などにより、依然として先行きは不透明な状況です。

事業環境(3) 工作機械受注額と標準在庫品売上高との比較

工作機械受注額と白銅個別の標準在庫品売上高の比較です。スライドのグラフは、日本工作機械工業会が公表している工作機械の受注動向と白銅個別の標準在庫品売上高を比較したものです。

工作機械の受注額は、前年7月から9月との比較で、内需が4.4パーセント減少し、外需が6.5パーセント増加となりました。

事業環境(4) アルミ圧延品出荷金額と出荷金額に対する当社アルミニウム製品売上割合

アルミ圧延品出荷金額と、その出荷金額に対する当社アルミニウム製品売上高金額割合の推移についてです。スライドのグラフは、日本アルミニウム協会が公表しているアルミニウム圧延品の出荷金額と、白銅連結でのアルミニウム製品売上高を比較したものです。ご覧のとおり、当社のアルミニウム製品の市場シェアは比較的安定的に推移しています。

次ページの2026年3月期業績予想以降は、社長の角田からご説明します。

2026年3月期 業績予想

角田:あらためまして、代表取締役社長の角田浩司です。ここからは私がご説明します。よろしくお願いします。

まず、2026年3月期の通期連結業績予想です。当社は第1四半期に業績予想を下方修正しましたが、修正後の業績予想に対し、中間期の売上高および各利益はすべて達成しました。

一方で、現時点では通期予想を据え置きとしています。今後も外部環境の変動に適切に対処し、業績向上に取り組んでいきます。

株主還元策(配当実績と予想)

配当についてです。2026年3月期の中間純利益が予想を上回ったため、中間配当は第1四半期修正予想より1円増配し、1株あたり28円で実施します。

なお、通期配当予想は、配当方針である年間最低配当額の1株あたり80円で据え置きとしています。業績の向上を図りながら、少しでも多くの配当ができるよう努めていきます。

重点戦略の実施状況

当社の重点戦略の実施状況について説明します。まず、「白銅ネットサービス」の進化を通じた顧客基盤の強化・拡大および利益率の向上についてです。

「白銅ネットサービス」のご利用可能アイテム数は、2025年9月末時点で約17万アイテムまで増加し、累計で約1万5,000社、3万1,000名のお客さまにご登録いただいています。スライドの下段のグラフにあるとおり、右肩上がりで推移しています。

重点戦略の実施状況

直近で追加した「白銅ネットサービス」の機能についてです。スライドにあるようなさまざまな機能を実装し、加工品の作図、自動見積もり、注文までを完結できる体制を構築しています。

このように、お客さまのDXを支援することで調達コストの削減に貢献したいと考えています。今後もお客さまのご要望を形にし、さらなる利便性の向上を目指していきます。

重点戦略の実施状況

成長領域の拡大および営業強化についてです。当社では、半導体、航空・宇宙、自動車産業を成長領域として位置付けています。

スライド下段に表示しているグラフは、2021年3月期第1四半期を基準とした成長領域の売上高指数の推移を示しています。

重点戦略の実施状況

海外事業の拡大についてです。スライド上段のグラフは、海外事業の売上高と海外売上高比率の推移を示しています。

2026年3月期中間期において、白銅グループの海外事業の売上高比率は17.4パーセントとなっています。今後の取り組みとしては、「ECパッケージ」のさらなる活用、販路の拡大、および取扱商品の拡充により、海外事業の拡大を進めていきます。

「ECパッケージ」は、国内の「白銅ネットサービス」と同様の機能を国別の仕様にカスタマイズしてご利用いただけるシステムです。海外子会社や既存代理店だけでなく、韓国、台湾、インド、フィリピンなどにも「ECパッケージ」を展開し、販売拡大を進めていきます。

北米では、米国子会社ですでに51パーセントの株式を取得しているWest Coast Aluminum & Stainless社の残り49パーセントの株式を取得し、100パーセント子会社化しました。これにより、ガバナンスのさらなる強化および経営のスピードアップを実現し、北米市場での競争力強化を図ります。

また、2025年には、新たに製造業が集積している米国中西部を拠点とするPatriot Metals社に、所有比率14パーセントの出資を行いました。

Patriot Metals社は、米国ウィスコンシン州を拠点とし、ステンレスやアルミの薄板の加工・販売を主な事業とする企業です。今回の出資は、米国における事業エリアの拡大および加工機能の拡大を目的としています。West Coast Aluminum & Stainless社とのシナジーを創出し、引き続き北米事業の拡大を図ります。

サステナビリティ経営の取組状況(1/3)

ここからは、サステナビリティ経営の取り組みについてご説明します。ここから3ページにわたり、サステナビリティ経営についてESG/SDGs経営委員会の各分科会が設定した目標や取り組み状況を掲載しています。

当社では、太陽光パネルの設置や営業車への電気自動車導入などを通じて、2030年度までのCO2排出量削減目標「2020年度対比42パーセント削減」を前倒しで達成しました。これに伴い、2030年度までのCO2排出量削減目標を「2020年度対比90パーセント削減」に上方修正しました。

サステナビリティ経営の取組状況(2/3)

記載内容以外にも、昨今高まるサステナビリティの要求に応えるべく、サステナビリティに関する重要課題解決に向け、各種方針を検討しています。

サステナビリティ経営の取組状況(3/3)

さらに新規事業を含めた施策の企画・立案を進めていきます。

サステナビリティ経営の取り組み例

スライドには、白銅のサステナビリティ経営の取り組み例を記載しています。当社では、サステナビリティ経営の一環として、モノづくりを通じた社会への貢献に加え、自社ファームによる雇用創出など幅広い活動を行っています。社内の一体感を醸成し、社会に貢献できるよう、引き続き取り組んでいきます。

以上で、2026年3月期中間期決算の説明を終了します。

より一層気を引き締めて精進し、社業の発展に努めていきます。引き続きご支援のほど、よろしくお願いします。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:半導体市況の見通しについて

司会者:「半導体市況の見通しについて、御社がどのように考えていらっしゃるか教えてください」というご質問です。

角田:2021年度に半導体製造装置の需要が急増し、それに伴い当社の売上高および利益も増加しました。しかしながら、それ以降、当社の売上高の約40パーセントを占める半導体製造装置業界は一服状態にあり、「来年こそは」という状況が続いているのが現状です。

そして、今後の展望についてですが、先ほども少し触れましたように、以前は中国向けのレジェンドタイプの機械の需要が多かったものの、現在はやや一服している状況です。需要が低調だった理由としては、EV需要が伸び悩んだことや、パソコン需要が思うように伸びなかったことが挙げられます。

ただし、今後については、私が聞いている限りでは、これらの需要が徐々に増加する見込みで、特に生成AIやデータセンターの需要がさらに増加すると言われています。また、AI機能が充実したスマートフォンの登場により、半導体需要が増加するとの見方もあります。

こうしたことから、半導体製造装置の需要は大幅な回復が見込まれ、当社もこうした見通しを踏まえて運営を行っている状況です。

今まではそのような話がありながら需要増につながっていなかったことがありましたが、今回は必ず需要増に結びつくと見込んでいます。

質疑応答:West Coast Aluminum & Stainless社を100パーセント子会社化した狙いについて

司会者:「West Coast Aluminum & Stainless社を100パーセント子会社化したことにより、今後は何が変化するのでしょうか?」というご質問です。

角田:北米市場について少しお話しします。「West Coast Aluminum & Stainless社に対して、51パーセントの株主であったところから100パーセントの保有にしたことについて、どのような狙いがあるか?」というご質問かと思います。

これまで49パーセント側の会社のトップがWest Coast Aluminum & Stainless社の社長を務めており、意見の食い違いなどがあったため、我々の思いを伝えきれない部分がありました。そのような状況の中でも話し合いながら経営を進めてきましたが、今回、当社が100パーセントの株式を取得したことで、我々のやりたいことを米国でよりスピーディに進めることができるようになりました。

狙いの1つは、ガバナンスの強化です。West Coast Aluminum & Stainless社を吸収した際には、管理の煩雑さが見受けられましたが、それを一掃し、整備しました。また、経営スピードにおいては、特に海外展開での武器と考えている「ECパッケージ」の材料見積りを365日24時間対応可能とする仕組みのさらなる強化を進められると思っています。

さらに、Patriot Metals社にマイノリティ出資したことで、同社がWest Coast Aluminum & Stainless社とは異なる商品を保有していることにより、北米市場でのアイテム数を増やすことができました。

米国中西部は製造業が集積している地区であり、Patriot Metals社ではステンレスの研磨にこれから力を入れていく計画です。この研磨加工はWest Coast Aluminum & Stainless社の競争力にもつながるため、相乗効果が期待できると考え、同社へ出資しました。

この取り組みを起点に、今後も北米市場において必要であればロールアップも視野に入れ、拡大を進めていきます。

質疑応答:航空・宇宙関連業界向け需要の今後の見通しについて

司会者:「航空・宇宙関連業界向けの販売量が増加したとのことですが、どのような需要によるものか背景を教えてください。この需要は今後も長く続くものでしょうか?」というご質問です。

角田:当社が注力している航空・宇宙関連業界について、「今後の見通しはどうか?」というご質問だと思いますので、そちらにお答えします。航空機分野では、大型機も含めて民間機の需要が順調に伸びていますが、特に小型機の需要が好調に推移しています。この分野については、長期にわたって成長が続くものと考えており、そのような情報が入ってきています。

さらに、ここのところ急激に成長しているのは防衛関連の需要です。特に官需を中心に需要が伸びてきています。ただし、一気に大きく需要を増やすことは難しいため、長期にわたって徐々に増加していくという状況にあるとの情報を得ています。

このような航空機関連分野においては、当社も営業力をさらに強化するとともに、取り扱い商品の幅を広げるなどの対応を行い、今後の需要を積極的に取り込んでいきたいと考えています。

質疑応答:「白銅ネットサービス」の新機能について

司会者:「『白銅ネットサービス』の新機能について教えてください」というご質問です。

角田:「白銅ネットサービス」の主な目的は、従来から当社が扱っている材料であるアルミ、ステンレス、プラスチックといった、比較的コモディティな商品、つまりどこから購入しても大きな違いがないと考えられる商品に対して、「365日24時間、その場で見積りができる」「品揃えが豊富」といった点で差別化を図ることでした。

さらに差別化を強化するために、現在進めているのが副資材の取り扱いです。これにより、ただ材料を販売するだけではなく、ネジ、工具、刃物、軍手、安全靴なども「白銅ネットサービス」にて調達可能な環境を整えています。

また、最近はお客さまから「部品加工までやってくれないか」という要望をいただき、その要望に応えるかたちで、順次改善を進めています。具体的には、金属3Dプリンターに加えて、樹脂の3DプリンターでもCADデータをアップロードするだけでその場で見積もりが出る仕組みを導入しました。この仕組みはすでに多くのお客さまにご利用いただいています。

さらに、部品のCADデータを入力することで、それに適した材料の見積もりが瞬時に可能となる仕組みも、すでにリリース済みです。

最近では、ウォータージェットやレーザー加工についても、CADデータを入力するだけで加工後の見積りができる機能を追加しました。

また、これまで当社ではフライス盤まで対応していましたが、穴開けや座ぐり、切り欠きといった簡単な加工については、Web上で座標を調整することで見積りが可能となる「描いて見積り・注文」サービスの機能を追加しました。

これにより、お客さまは材料だけでなく、加工品の見積りも可能となります。当社のお客さまは加工業者の方々ですが、「アルミの加工は得意だけど、ステンレスの加工は苦手」「ステンレスの加工は得意だけど、アルミの加工は苦手」といったお客さまに便利にご利用いただけるよう準備しました。

さらに、今後はCADデータによる部品加工の見積りが可能となる機能など、現在寄せられているお客さまからのご要望を少しずつ具体化し、「白銅ネットサービス」をお客さまにとってさらに価値のあるものにしていき、当社にとっては付加価値の高い仕事ができるようにしていきます。このような取り組みを進めていきたいと考えています。

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