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日油株式会社4403

東証プライム

化学

目次

沢村孝司氏(以下、沢村):代表取締役社長CEOの沢村です。本日はご多忙の中、当社の業績説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。また、日頃より格別のご高配を賜っていますこと、あらためて感謝申し上げます。

それでは、2026年3月期第2四半期決算についてご説明します。本日ご説明する内容はスライドのとおりです。

連結損益計算書

2025年度上期業績についてご説明します。こちらは連結損益計算書です。2025年度上期は、化薬事業が好調であり、医薬・医療・健康事業はDDS医薬用製剤原料が堅調に推移しました。しかし、機能化学品事業は一部を除き需要減のため低調となり、前年同期比で減収減益となりました。

連結営業利益の差異内訳

連結営業利益の差異内訳についてご説明します。

2025年度上期の連結営業利益について、対前年同期の差異要因をグラフに示しています。前年同期に対し、固定費の増加により27億円の減益となりました。

機能化学品事業

セグメント別の説明に移ります。まず、機能化学品事業については、上期は一部を除き全般的に需要が低調で、前年同期比で減収減益となりました。

上期営業利益が37億円の減益となった差異内訳についてです。増減販では、特殊防錆処理剤の需要が好調だったものの、全般的に需要が低調に推移したことによる減販でマイナス26億円となりました。

変動費の減少によりプラス1億円、労務費などの固定費の増加によりマイナス12億円となっています。

医薬・医療・健康事業

医薬・医療・健康事業は、DDS医薬用製剤原料が底堅く推移したことで前年同期比で増収増益を達成しました。

また、上期営業利益の3億円増益の差異内訳については、増減販がプラス7億円、変動費の減少がプラス2億円、労務費などの固定費の増加がマイナス6億円となっています。

化薬事業

化薬事業は、防衛関連製品などが好調に推移し、前年同期比で増収増益となりました。上期営業利益の6億円増益に関する差異内訳は、増減販がプラス17億円、変動費がマイナス3億円、労務費などの固定費増加によるマイナス9億円となっています。

2025年度上期 前年同期比の業績動向 (主要製品)

主要製品の業績動向についてご説明します。機能化学品事業では、特殊防錆処理剤は増益となった一方で、界面活性剤や脂肪酸誘導体は減益となりました。

医薬・医療・健康事業では、DDS医薬用製剤原料および食用加工油脂、食品機能材がともに前年並みの営業利益となりました。化薬事業は、防衛関連製品および宇宙関連製品とともに増益となりました。

2025年度業績予想(11/6修正)の概要

2025年度の通期業績予想について、まず概要をご説明します。売上高は前回予想から64億円増の2,584億円、営業利益は前回予想と同じ460億円、経常利益は前回予想から4億円増の483億円、当期純利益は前回予想から14億円増の382億円へ修正しました。

1株当たり当期純利益は166円20銭を見込んでいます。

連結営業利益の差異内訳

2025年度の連結営業利益について、今回の修正予想と前年度実績の差異要因をグラフで示します。

2024年度実績に対して、増減販によりプラス55億円、変動費の減少によりプラス12億円、固定費の増加によりマイナス60億円を見込み、2025年度の営業利益は7億円増益となる460億円を見込んでいます。

機能化学品事業

セグメント別に、まず機能化学品事業の2025年度予想について、前年同期比較でご説明します。

通期見通しでは、売上高は前年比29億円減の1,480億円、営業利益は前年比28億円減の270億円と、一部を除き全般的に需要低調により減収減益の見込みです。

通期営業利益28億円減益の差異内訳は、上期に引き続き下期も一部を除き全般的に需要が低調に推移することから、増減販がマイナス18億円、変動費の減少によりプラス11億円、労務費などの固定費の増加によりマイナス22億円となります。

医薬・医療・健康事業

医薬・医療・健康事業についてです。通期見通しでは、売上高は前年比28億円増の508億円、営業利益は前年比3億円増の160億円を見込んでいます。これは、DDS医薬用製剤原料が堅調に推移することによる増収増益の見込みによるものです。

通期営業利益3億円増益の差異内訳については、増減販がプラス13億円、変動費がプラス3億円、戦略投資などによる固定費の増加がマイナス13億円となっています。

化薬事業

化薬事業についてです。通期の見通しとして、売上高は前年比202億円増の590億円、営業利益は前年比33億円増の64億円となり、防衛関連製品の売上高が大きく増加することで、増収増益を見込んでいます。

防衛関連製品の売上高が増加する理由としては、早期装備化の初動費に係る一部取引が、一時点でなく一定期間にわたって収益認識する契約と識別され、下期に収益および費用が計上されるためです。

また、通期営業利益の33億円増益の差異内訳については、防衛関連製品の増加に伴い増減販でプラス56億円、変動費でマイナス2億円、労務費などの固定費の増加によるマイナス21億円となる見込みです。

2025年度配当

配当および配当性向の推移をグラフで示しています。

2025年度の中間配当は26円、期末配当も26円を予想しており、年間配当は前回予想に比べて4円増配の52円に上方修正しました。配当性向は31.3パーセントとなる見込みです。

2009年度以降は累進配当を継続しており、今後も安定的な配当の維持継続を基本としながら、中長期的に累進配当を目指していきます。

株主還元 総還元性向

総還元性向の推移についてグラフで示しています。

株主のみなさまへの利益還元を経営の重要課題の1つと認識しており、安定的な配当の維持継続と併せて、自己株式取得も株主還元として実施します。なお、2025年11月7日から12月31日にかけて、総額50億円を上限として自己株式を取得します。

引き続き資本効率向上を意識し、戦略投資とのバランスを取りながら、株主還元の維持向上に努めます。

防曇剤の事業展開 ~機能化学品事業~

事業トピックスと研究開発として、まず機能化学品事業における防曇剤の事業展開についてご紹介します。

防曇剤とは、水分が結露して生じる曇りを防ぐためのコーティング剤で、当社の防曇剤の主用途は自動車用ヘッドランプやリアコンビネーションランプです。

当社防曇剤の強みとして、固有技術による優れた防曇性能と、自動車用途に通用する高い信頼性が挙げられます。また、当社は世界各国で長年の市場実績を有しています。

防曇剤の事業環境については、自動車生産台数の堅調な成長が見込まれる状況です。また、防曇剤はLEDランプでの使用比率が高い製品であり、LEDランプを搭載する自動車の割合も上昇することが予想されています。

このような事業環境下において、当社の防曇剤は2030年度に向けて年平均成長率6パーセントを見込んでいます。

この成長を実現するための施策として、当社は固有技術と市場要望を反映させた製品の開発および投入を行い、世界各国で継続的な拡販活動を進めることで、シェアの拡大を図ります。さらに、スポーツゴーグルなど非自動車用途への製品展開にも注力していきます。

食品機能材 (ルテイン配合製品) の事業展開 ~医薬・医療・健康事業~

医薬・医療・健康事業における食品機能材の事業展開についてご紹介します。

食品機能材とは、顧客製品の付加価値を向上させる素材であり、当社はレタスの葉に含まれるルテインに、小麦グルテンの食感を変える効果を見出し、ルテイン配合製品を中心に事業展開しています。

事業環境としては、冷凍パンや冷凍パン生地の市場が拡大しており、冷凍保管中の品質低下の改善が顧客課題となっています。また、さまざまな種類の麺の需要が増加する中で、小麦グルテンによる自然なコシの強さの実現も、顧客課題として挙げられています。

当社のルテイン配合製品は、これらの顧客課題の解決に貢献することが可能です。今後は、小麦製品だけでなく、肉、卵、乳タンパク質の改質によって、さらに多くの顧客課題の解決に貢献していきます。

CPTデータ取得サービスの事業展開 ~化薬事業~

化薬事業におけるCPTデータ取得サービスの事業展開についてご紹介します。

このサービスでは、海底地盤の強度や力学的特性の数値データを取得するために、CPT装置とオペレーターを一体で派遣します。当社グループの日油技研工業において、本年7月よりサービスの提供を開始しました。

日油技研工業は、固有の火工品技術を活用して海洋機器事業に長年携わっており、この事業で培った耐圧、密封、計測技術の知見を活かして海底着座型CPT装置を新規開発し、サービス展開を行っています。

このサービスは、浮体式洋上風車のアンカリングポイントや海底インフラの敷設ルートの調査にご利用いただきます。これらの開発を支援することで、日本のエネルギー自給率の向上や脱炭素社会の実現に貢献していきます。

新規事業創出に向けた研究開発

コーポレート部門の研究本部と事業部門の連携による新規事業創出に向けた研究開発についてご説明します。

当社の目指す3分野である「ライフ・ヘルスケア」「環境・エネルギー」「電子・情報」において、新規事業創出に向け、6つの重点事業領域を新たに選定しました。この領域において、社会課題の解決に貢献できる新製品や新技術の創出を目指しています。

研究本部では有望な素材や技術の発掘および技術検証を行い、事業部門では実用化の検討を進めています。研究本部と事業部門が連携することで、新規事業の創出を実現します。

オープンイノベーションの推進

新規事業の創出を加速するため、オープンイノベーションの推進に取り組んでいます。主な施策として、産学委託研究公募、ベンチャーキャピタルへの出資、産学官連携研究ラボの活用などを行っています。

産学委託研究公募は2021年度から実施しており、本年度は「エレクトロニクス素材」においてテーマ公募を行っています。ベンチャーキャピタルの活用では、スタートアップ企業と協創し、有望な技術の育成に努めています。

産学官包括連携では、産業技術総合研究所との連携研究ラボを設立し、環境調和型の化学品および製造プロセスの開発を推進しています。

これらのオープンイノベーションへの取り組みにより、新規事業の創出をさらに加速していきます。

発掘した素材・技術の一例

新規事業創出に向けた研究開発によって発掘した素材や技術について、2つご紹介します。

1つ目は、医療・医療機器領域における独自ポリマーを配合した創薬開発や、再生医療向け細胞凍結保存液です。

培養細胞にこの細胞凍結保存液を添加することで、そのまま凍結保存が可能となり、培養細胞の大量保存が実現できます。現在サンプルワークを開始しており、早期の上市を目指しています。

2つ目は、機能性食品領域における北海道白ぶどう果皮パウダーです。これはワイン製造後に残るブドウの果皮を再利用して粉末化した製品で、肌の健康維持に寄与する働きがあります。従来廃棄されていた原料素材をアップサイクルすることで、持続可能な社会の実現にも貢献します。

2025年度第2四半期決算のご説明は以上です。

沢村氏からのご挨拶

今年度は「2025中期経営計画」の総仕上げと同時に、「2028中期経営計画」へと続く重要な架け橋となる年です。本年度も残り半分を切りましたが、下期においても引き続き中期経営計画の達成に向け、着実に事業を推進していきます。

また、当社が「StageⅢ 事業領域拡大ステージ」として位置付ける「2028中期経営計画」の策定においては、成長の原動力であるソリューションビジネスの強化に加え、新規事業創出に向けた施策や投資計画の立案を着実に進めていきます。

以上、ご清聴ありがとうございました。

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