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トレックス・セミコンダクター株式会社6616

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電気機器

目次

木村岳史氏(以下、木村):みなさま、こんにちは。トレックス・セミコンダクター株式会社代表取締役社長執行役員の木村です。本日は大変お忙しい中、2026年3月期第2四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

本日は目次に従い、私から、2026年3月期第2四半期業績、2026年3月期業績予想、株主還元、当社のトピックス、および2026年度から始まる次期中期経営計画の全体像と、トレックス・セミコンダクター(以下、トレックス)の中期経営計画についてご説明します。

続いて、取締役兼フェニテックセミコンダクター(以下、フェニテック)社長の石井より、同社の中期経営計画についてご説明します。最後に私より、中期経営計画におけるサステナビリティ、および株主還元方針についてご説明します。

サマリー

業績のサマリーです。トレックスは、日本市場と北米市場を中心に売上が回復しましたが、原価上昇の影響を受けて利益が減少しました。

フェニテックは、欧州市場が回復しましたが、北米市場の売上が減少し、減収増益となりました。

これら上期の実績と足元の事業環境を踏まえ、2026年3月期の業績予想を修正しました。

2026年3月期 第2四半期業績概要(連結)

2026年3月期第2四半期の業績についてご説明します。業績概要として、スライド赤枠の部分をご説明します。

売上高は、前年同期比5.1パーセント減の118億7,900万円となりました。営業利益は、前年同期比23.1パーセント増の4億1,400万円となり、営業利益率は前年同期から0.8ポイント上昇し、3.5パーセントとなりました。

為替差損が減少したことで経常利益は、3億8,100万円となりました。最終的な親会社株主に帰属する当期純利益は、3億3,600万円となりました。

EPSは31.72円、海外売上比率は前年同期比で0.3ポイント増加し70.6パーセントとなりました。平均為替レートは、前年同期に比べて5.7円の円高となり、146円50銭となりました。

減価償却費は前年同期比7.3パーセント減の9億8,800万円となり、設備投資は前年同期比53.8パーセント減の7億8,400万円となりました。

2026年3月期 第2四半期業績 売上高

売上高の詳細についてご説明します。トレックスは、前年同期比1.8パーセント増の49億500万円となりました。地域別では、日本市場および北米市場が回復し、若干の増収となりました。アプリケーションでは、医療機器分野が増加しています。

一方、フェニテックは、前年同期比9.5パーセント減の69億7,400万円となりました。地域別では北米市場、アプリケーションでは産業機器分野の落ち込みにより、減収となりました。

結果として、全体の売上高は前年同期比5.1パーセント減の118億7,900万円となりました。

2026年3月期 第2四半期業績 営業利益

営業利益についてです。トレックスは原価上昇の影響を受け、前年同期から1億2,400万円減益し、7,100万円となりました。

一方、フェニテックでは経費抑制の取り組みが奏功し、前年同期から2億200万円の増益となり、営業利益は3億4,300万円となっています。

その結果、全体の営業利益は前年同期比23.1パーセント増の4億1,400万円となりました。

2026年3月期 第2四半期業績 親会社株主に帰属する中間純利益

親会社株主に帰属する中間純利益です。営業利益の増加や為替差損など損失の減少により、増益となり、3億3,600万円となりました。

売上高・営業利益の四半期推移

売上高・営業利益の四半期推移です。トレックスは2024年3月期以降、横ばいの状況が続いていますが、フェニテックでは売上が増加傾向にあります。

ここまでは前年同期と比較しているため、減収としてご説明していましたが、四半期単位で見ると2四半期連続で増収となっています。

エレクトロニクス市場では、半導体電子部品の在庫調整がようやく解消に向かっています。いくつかの分野では依然として力強さは見られないものの、新たな需要につながる動きが出てきていると感じています。

2026年3月期 第2四半期業績 資産・負債・純資産の状況

資産・負債・純資産の状況です。資産は前期末から14億5,200万円増加し、350億5,900万円となりました。負債は前期末から13億4,900万円増加し、175億5,600万円です。純資産は前期末から1億300万円増加し、175億300万円となっています。

有利子負債は、15億4,200万円増加して145億2,600万円となりました。自己資本比率は1.9ポイント減少して49.9パーセント、D/Eレシオは0.09ポイント上昇して0.83となりました。

2026年3月期 第2四半期業績~アプリケーション別売上高(トレックス):参考値

トレックスとフェニテックそれぞれの、単体の状況についてご説明します。まずは、トレックスのアプリケーション別売上高についてです。トレックスのビジネスでは、昨年、市場全体の落ち込みが大きかった産業機器や医療機器が回復傾向にあり、増加しています。

産業機器は在庫調整が落ち着きつつあり、医療機器は欧州で補聴器関連のビジネスが好調に推移しています。一方、米国の関税政策の影響を受けている車載機器は減少しました。

2026年3月期 第2四半期業績~地域別売上高(トレックス)

トレックスの地域別売上高です。日本と北米は回復し、アジアと欧州は苦戦しています。日本と北米では産業機器が好調です。アジアではモジュール機器が、欧州では産業機器向けの売上が減少しています。

このように地域ごとの違いはありますが、それぞれの特性に適した販売活動を続けることで、今後はすべての地域での売上を伸ばしていきたいと考えています。

2026年3月期 第2四半期業績~アプリケーション別売上高(フェニテック):参考値

フェニテックのアプリケーション別売上高です。フェニテックはファウンドリ事業であるため、エンドのアプリケーションを開示いただけないケースが多くあります。そのため、不明なものはすべて「その他機器」に含めています。

フェニテックでは、車載機器と医療機器が増加し、産業機器とその他機器が減少しました。特に産業機器が大きく減少しています。

2026年3月期 第2四半期業績~地域別売上高(フェニテック)

フェニテックの地域別売上高です。欧州を除く地域で、前年同期比で減少しました。ただし、四半期単位で見ると、2四半期連続で増収となっています。

今後も回復基調をしっかりと捉え、売上を伸ばしていきたいと考えています。

2026年3月期 業績予想 P/L概要及び主要指標

ここからは、2026年3月期の業績予想についてご説明します。2025年5月に公表した業績予想を修正しました。

売上高については、市場の回復が当初想定より遅れており、前年同期比2.3パーセント増の245億円を見込んでいます。

営業損益については、経費抑制の取り組みを前倒しで実施できたことから、上方修正しました。営業利益は、前年同期比12億3,200万円改善の6億円を見込んでいます。

なお、すでに開示しているとおり、下期にはトレックス本社の移転を計画しており、業績予想にはその費用を含んでいます。

経常損益は前年同期より14億2,000万円改善の6億円、親会社株主に帰属する当期純損益は前年同期より27億5,800万円改善の4億円、為替レートは145円を想定しています。

減価償却費は前年同期比14.9パーセント減の21億円、設備投資は前年同期比7.6パーセント減の27億4,000万円となる見込みです。

配当方針

株主還元についてご説明します。配当については、業績水準を反映した利益配分として、連結配当性向20パーセント以上、また、安定的かつ継続的な株主還元の拡充として、株主資本配当率(DOE)3パーセント程度を当面の目標として実施しています。

配当方針

スライドは、過去3年間の年間配当額、配当性向、DOEをグラフ化したものです。

配当性向は、20パーセントを目標としています。ただし、2024年3月期および2025年3月期はそれぞれ当期純損失となっているため、配当性向は算出できていません。2026年3月期は、最新の業績予想を反映し、148.3パーセントとなる予定です。

DOEは、3パーセントを目標としています。2024年3月期は2.7パーセント、2025年3月期は3.2パーセント、そして2026年3月期は3.5パーセントとなる見通しです。

2年連続で大きな損失が発生し、株主資本が減少しているため、2025年3月期以降、DOEが目標の3パーセントを超えています。今後は事業を通じて安定的に利益を創出し、株主のみなさまへ確実に還元していきます。

PANJIT社への子会社持分に係る契約締結について

ここからは、トピックスについてご説明します。

本件は11月17日に開示したものです。PANJIT INTERNATIONAL社との間で、本年2月に基本合意を締結していた当社のベトナム子会社であるTOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR社(TVS社)の持分譲渡に関する本契約を締結しました。

譲渡割合は95パーセントで、トレックスは5パーセントの持分を引き続き保有します。

なお、譲渡実行日は所有権移転に係る手続き後となるため、相当の時間を要すると考えています。そのため、当期以降の業績に与える影響については精査中であり、開示すべき事項が発生した際には速やかにお知らせします。

トレックス製品の受賞歴

当社製品の受賞に関するトピックスです。これまでにもトレックスの電源ICは、省電力・小型のスペックが評価され、スライドの下段に記載のとおり、多くの製品が数々の賞を獲得してきました。

昨年、量産を開始した当社の新製品である「XC9704/XC9705」シリーズが、2025年度の「超モノづくり部品大賞 電気・電子部品賞」を受賞しました。本製品は、産業機器市場向けに開発された36ボルト耐圧の降圧DC/DCコンバータ製品です。

今後のトレックスのビジネス展開を拡大していく上で、重要な製品と位置付けています。現在、市場の反応も非常によく、多くの商談が進行中です。

商談内容としては、12ボルトや24ボルトのラインから、小型・低消費が求められる機器をターゲットとして、空調設備、産業用カメラモジュール、IoT関連の各種センサ向けの電源ICとして多くのビジネス案件が進んでいます。今年度後半から来年度に向けて売上に貢献できるよう、さらに販売活動を強化していきます。

トレックスグループ 中期経営計画方針

ここからは、2026年度から新たに開始される中期経営計画についてご説明します。まず、中期経営計画の策定にあたり、トレックスグループの方針を「CMOS電源ICと半導体パワーデバイスで、持続的成⾧と共に省エネ社会を推進し、すべてのステークホルダーが誇れる半導体企業へ」と定めました。

サステナブルな企業と社会を目指すことは企業の使命として当然です。今回特にこだわりたいのは、すべてのステークホルダーがトレックスグループと関わることを誇りに思えるような企業を目指していきたいという思いです。その実現に向けた中期経営計画を推進していきます。

トレックスグループ 数値目標

数値目標です。当社は売上高CAGRで8パーセントの成長を見込み、2028年度に320億円、2030年度には360億円の達成を目指します。営業利益は、2028年度に25億円、2030年度に45億円を目指します。

半導体市場は、AI、データセンター、IoT、ロボティクスなど多様な分野で需要が拡大し、成長を続けています。当社はこの市場拡大の潮流を確実に捉え、持続的な成長を実現していきます。

ROEは、2029年度には2桁を達成する計画です。株主還元については後ほど詳しくご説明しますが、DOEで3パーセントを維持していきたいと考えています。

トレックスグループの構成

トレックスグループの構成です。当社は、アナログ電源ICを専業とするファブレスメーカーであるトレックスと、ディスクリートおよびパワーデバイスに強みを持つファウンドリであるフェニテックの、2つのビジネスモデルで構成されています。

ファブレスとファウンドリには、強みもあれば弱みもあります。相互補完によるメリットは非常に大きく、シナジーを最大限に発揮しつつ、グループ全体で中期経営計画の達成に向け、成長してきたいと考えています。

トレックスとしては、エレクトロニクス市場の回復に伴うアナログ電源ICの需要増加に対応するため、製品のラインアップや生産体制をフェニテックと連携して強化していきます。

一方、フェニテックにおいては、パワーデバイス製品の販路拡大を目指して、トレックスの商流等を活用しながら、お客さまのニーズの獲得を推進していきます。

トレックスのVISION(ビジョン)

トレックスの成長戦略についてご説明します。当社は、本年で30周年を迎えました。この中期経営計画の5年間を、次の30年に向けた礎となる期間と位置付けています。

今回の中期経営計画を策定するにあたり、当社では中堅社員を中心となり、新たなビジョンを策定しました。

トレックスの新しいビジョンは、「エコでスマートな未来の実現にむけて、エレクトロニクスを半導体技術で支える『省エネ小型電源』のリーディングカンパニーになる」です。

このビジョンはより長期的な視点で描かれていますが、これを基盤に、5年後の2030年度における目指す姿を明確化していきたいと考えています。

FY2026-2030 中期経営計画骨子

中期経営計画の骨子です。製品開発、営業・拡販、生産、人財と、大きく4つの要素に分け、次ページより戦略をご説明します。

これらの戦略を確実に実行することで、当社の新しいビジョンに向けて中期経営計画の達成を目指します。

製品開発

製品開発の事業戦略として、特定領域での強固なポジションの確立と技術の進化と、タイムリーな製品と市場投入の、2つを挙げています。

具体的な重点施策は次の4つです。1つ目に、中高耐圧製品の開発を強化し、産業機器分野の販売を拡大していきます。2つ目に、特定領域の要求に対応したユニークなDC/DCコンバータ製品の開発を進めていきます。

3つ目に、回路技術・関連技術など、さらなる技術力の向上および開発スピードのアップを目指していきます。4つ目に、技術コラボレーションおよび協業を推進していきます。

これらの施策を実施することで、当社の技術の優位性が確保できる領域で確固たる地位を築き、収益性と成長性を両立させていきたいと思います。

注力する製品開発領域

当社が事業領域としている市場のうち、AIなどのビッグデータ、ロボティクス、環境発電の3つの分野は、今後大きな成長が見込まれています。

これらに関連する多数のアプリケーションで当社製品が使用される見込みであり、これらをターゲットとした製品開発を推進していきます。

具体的な製品展開としては、中高耐圧製品やコイル一体型DC/DCコンバータ製品のラインナップを拡大し、低出力電圧や低ノイズの製品開発を積極的に進めます。また、関連技術では、ウエハプロセス技術やチップレットといったアセンブリ技術の深化にも取り組んでいきます。

営業・拡販

営業・拡販の事業戦略としては、顧客・市場理解を深めたマーケティングを軸とした提案力の強化と、商談管理の徹底による機会の最大化の、2つを掲げています。

半導体市場において期待される用途として、AIやロボティクスが挙げられます。AIインフラは2030年に2025年の2倍、ロボティクスは2028年に2024年の1.5倍の市場規模となることが見込まれています。

これら成長市場に向けた重点施策は次の4つです。1つ目が、技術営業・FAEを活用したソリューション提案です。2つ目が、営業情報の展開強化です。3つ目が、グローバル販売における対応と拡大の推進です。4つ目が、営業管理システムの再構築です。

この4つの重点施策により、積極的な拡販に努めていきます。

営業・拡販

営業・拡販戦略としては、スライドの図左上から、技術営業・FAEの活用を通じて最適なソリューション提案を可能とします。技術面での主要なトレンドや顧客ニーズを明確化していきます。また、新規顧客の開拓を円滑に進めるための施策を推進します。

このようにして得られた情報が社内で展開されることで、新製品の開発に活用されるだけでなく、把握した市場トレンドをグローバルで共有していきます。

また、グローバルで情報を共有しつつも、日々変化する世界各地域の動向に対応した提案を実施しながら、現場で得た変化や情報を含め、システム上で高度に情報管理を行います。これにより、データドリブンな販売戦略を立案し、FAEを含めた営業パーソンに情報を提供していきます。

このサイクルを循環させることで、市場の景況に左右されることなく、確実に売上を上げられる営業体制を構築し、売上計画の達成を目指して活動していきます。

生産

生産における事業戦略は、生産体制の管理強化による採算性の改善と、協力会社とのコミュニケーション強化の、2つを掲げています。

重点施策は次の3つです。1つ目が、採算性の高い生産体制の構築です。2つ目が、複数工場を活用した供給の安定化とコストの最適化です。3つ目が、フェニテックおよびその他協力工場との連携による新規技術導入と高品質の維持です。

これらの施策を通じて採算性の向上を図りながら、技術力の強化に取り組んでいきます。

生産

施策内容です。まずは在庫管理を徹底し、余剰在庫の削減を進めていきます。また、生産リードタイムを改善することで、顧客の要求に迅速に応えられる体制を整備します。

生産量の多い製品と多品種・少量の製品の生産工場を適切に管理し、BCPとコストの最適化を図りながら、歩留まりの改善およびテスト時間の短縮につなげていきます。

半導体パッケージ技術はめまぐるしい進化を遂げています。外部リソースを活用しながら、新規技術の導入を積極的に進めていきます。

これら日々の生産活動における基本的で地道な努力の積み重ねが、大きな成果を生むものと考えています。

人財

人財の事業戦略です。人財は最大の経営資源であり、競争力の源泉と考えています。今回の中期経営計画では、特に力を入れている項目です。

人財戦略として、社内のコミュニケーションの活性化で付加価値を生む組織と、仕事にワクワクできる、キャリアと自己実現を目指せる環境作りの、2つを掲げています。これらを実現することで、会社風土と従業員の意識向上に取り組んでいきます。

重点施策は、人財戦略の強化、会社風土の再構築、チームワーク・つながりの強化、ウェルビーイング経営の推進の4つです。

これらの重点施策はそれぞれ単独ではなく、相互に関連しています。これらを連動させながら全体を進めることで、戦略を実現していきたいと思います。

人財

変化の激しい時代に対応し、イノベーションを生み出すには、組織とそこに集まる人が重要だと考えています。

そのため、重点施策である4つの取り組みを実行し、従業員が「ワクワクする会社」となることが、人的資本経営につながり、会社の成長や、従業員をはじめとしたすべてのステークホルダーにとって誇れる企業基盤を築けると考えています。

また、人作りを通じて、会社の成長だけを目指すのではなく、従業員が能力を発揮し、成長し続けるとともに、幸せに働ける社会を実現することが、企業に求められる責任だと考えています。

フェニテックのビジョン

石井弘幸氏:取締役兼フェニテックセミコンダクター株式会社、代表取締役社長執行役員の石井です。ここからは、フェニテックの中期経営計画を中心にご説明します。

まずは、フェニテックのビジョンについてお話しします。2024年1月に「ファウンドリ事業を通じすべてのステークホルダーから信頼されることにより持続的成長を目指します」というビジョンを新たに作成しました。

次期中期経営計画においても、このビジョンを展開していきます。

フェニテック 中期経営計画基本方針

中期経営計画の基本方針です。当社は、事業活動を通じて市場の期待を超える価値を創出し、高品質な製品と誠実な供給責任をもって揺るぎない信頼を築きます。

従業員一人ひとりがプロフェッショナルとしての自覚と誇りを持ち、お客さま、取引先、地域社会など、すべてのステークホルダーと共に持続可能な成長を追求していきます。

スライドの写真は、岡山県にある当社の本社および第1工場です。背景には井原市の全景が広がっています。左側に見えるのは小田川で、その伏流水を工場の純水等の水資源として活用しています。

フェニテック 中期経営計画骨子

中期経営計画の骨子についてご説明します。

1つ目は、当社の中心事業であるファウンドリ事業を拡大し、収益力の向上と持続的な成長を目指します。

ファウンドリ事業の持続的な成長に向けた、市場の期待に沿った戦略的な技術開発を進めます。同時に、顧客ニーズへの迅速な対応と対応能力向上及び当社の競争優位性に基づく価値提供により、継続的な顧客満足度向上を目指します。

2つ目は、DX推進です。データに基づいた意思決定と業務の効率化による生産性向上を進めます。現在、MES・ERPの刷新・Al活用などにより、散在する情報の統合・業務の効率化を図り、生産性の飛躍的向上を図っています。同時に、データに基づいた意思決定を徹底し、課題に迅速に適応できる組織を目指します。

3つ目は、サステナビリティ推進です。ファウンドリの前工程における生産現場での環境負荷の低減を目指すとともに、従業員のエンゲージメント向上にも取り組みます。

温室効果ガスの削減、適切な廃棄物処理・リサイクルの推進など、事業活動を通じて環境負荷を継続的に低減し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

また、従業員一人ひとりが仕事に意義とやりがいを感じ、能力を最大限に発揮できるように、多面的な施策を実施し、組織全体の生産性と創造性を高めることで、企業として持続的成⾧を目指していきます。

テクノロジーロードマップ(Siデバイス)

シリコンおよびSiCのテクノロジーロードマップについてご説明します。

岡山の第1工場では長年、トレンチタイプの「MOSFET」を量産しています。耐圧は20ボルトから150ボルトが中心となっています。今年度、鹿児島工場にてスプリットゲートの「MOSFET」を開発しました。

新しい構造により、特に60ボルトから150ボルトの耐圧において、従来のトレンチタイプよりもオン抵抗が非常に小さい製品を実現しました。

中期計画期間中には、鹿児島工場での微細な加工技術を最大限活用し、高密度なトレンチタイプの「MOSFET」を開発するとともに、スプリットゲートタイプについても微細化を進め、高性能な製品開発を進めていきます。

テクノロジーロードマップ(SiCデバイス)

SiCデバイスについて、ショットキーバリアダイオードでは、650ボルトおよび1,200ボルトの量産を開始しました。さらに、2,200ボルトおよび3,300ボルトについても開発を進め、現在お客さまから評価をいただいています。

「MOSFET」については、プレーナータイプで650ボルトから3,300ボルトの開発を進めており、こちらもお客さまから評価をいただいています。並行して、トレンチタイプの「MOSFET」の1,200ボルトの開発を進めています。

これらのSiCとしては中心的なデバイスであるSBD(ショットキーバリアダイオード)および「MOSFET」の開発と並行して、フォトダイオード、CMOS IC、イメージセンサ、JFET、PNダイオード、IGBT、TVSなどの開発も行っています。

特に、CMOS ICおよびイメージセンサについては、長年にわたり共同開発を進めている広島大学とともに取り組んでいます。これらの製品の開発および生産能力を向上させるため、スライド下部に記載した設備投資を計画しています。

営業・拡販

営業・拡販活動についてご説明します。新規開発において、今後当社の主力のお客さまとなるよう、新たなお客さまを開拓するとともに、新規案件の獲得を目指していきます。

また、ファウンドリという特殊な事業形態でもありますので、これまでマーケティングは営業活動の一部として進めてきました。今年度からは、エンジニアとして長年の経験を持つ者を専任担当として起用し、取り組んでいます。当社の技術を特に活かせるニッチな市場に特化したマーケティング活動を推進しています。

新機種の拡販においては、当社が成長分野と位置付けているパワーデバイスについて、ニッチな市場に焦点を当て、拡販活動を進めています。また、長年開発してきたオリジナル製品の拡販とカスタム対応も推進しています。

既存の拡販活動については、小信号ディスクリートにおける顧客ごとのニーズを把握しながら拡販を進めています。同時に、SiCや新たな微細デバイスの開発を行っている鹿児島工場のアピールを強化し、生産量を増加させていきたいと考えています。

戦略的なマーケティングに基づき、新たな製品の開発プロセスにも結び付けていきます。

生産・製造

生産と製造については、1つ目に、岡山工場と鹿児島工場の両方で安定した利益を確保できる体制を目指していきます。

どちらか一方の工場に生産が偏ることがないよう、機会損失を防ぐ生産体制を構築していきます。さらに、営業と工場が一体となった受注活動を推進します。

収益面では、不良率の低減、歩留りの向上、製造固定費の抑制により、収益力の向上を図っていきます。ERP、MESを導入することで、生産性のさらなる向上を目指します。

また、原材料や保守材料の安定供給が課題ですが、複数購買などを通じて効率化し、コスト低減活動につなげていきます。

2つ目に、安心・安全で活気ある工場を作るために、エンゲージメントの向上、労働災害ゼロの実現、そしてモチベーションの向上を強化していきます。

売上については、2025年度比で2030年度には1.4倍の成長を目指しています。

人財

人財についてです。1つ目に、人員の確保においては、再雇用期間の延長を進め、65歳から70歳程度までの雇用を延長し、ベテランや熟練工の雇用を継続していきます。

採用に関しては、新卒だけでなく、中途採用や外国人など、多様な人材の確保に努めていきます。また、労働環境のさらなる改善も進めていきます。基幹システムの刷新を通じて、適切な人員配置を進めていきます。

2つ目に、教育の推進については、多能工化の推進や業務ローテーション・異動による中長期的な人材育成、専門家教育の強化に取り組みます。

フェニテックについてのご説明は以上です。

トレックスグループのサステナビリティ

木村:最後に、サステナビリティと株主還元方針についてご説明します。スライドは、トレックスグループのサステナビリティに関するご説明です。当然ながら、中期経営方針は当社のマテリアリティに基づいています。

事業戦略とサステナビリティを一体として推進することで、長期的な企業価値の向上とステークホルダーへの持続的な貢献を目指していきます。

トレックスグループのマテリアリティとして、次の4つを掲げています。1つ目が、社会課題解決に向けた高付加価値製品の提供です。

2つ目が、多様で個性ある人財が活躍できる環境の整備です。3つ目が、地球環境保全に向けた取り組みの推進です。4つ目が、すべてのステークホルダーのための経営基盤の確立です。

また、脱炭素への取り組みとして、気候変動に関するリスクの低減および機会の創出に向けた進捗を評価するため、2030年度のScope1・2における温室効果ガス排出量削減率を2023年度比30パーセントに設定し、温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みを進めていきます。

ガバナンス体制および人的資本強化については、スライドに記載のとおりです。

株主還元方針

株主還元方針です。当社の配当方針は、連結配当性向20パーセント以上、DOE3パーセントを目標としています。中期経営計画期間にもこの方針を継続していく予定です。

利益のボラティリティが大きい事業特性を踏まえ、安定性を重視しつつ、DOE3パーセントを意識して活動していきます。足元ではDOE3パーセントを超過している状況が続いていますが、この中期経営計画期間中においてもさらに安定配当を意識しながら、継続していく方針です。

Powerfully Small!

以上で、2026年3月期第2四半期の決算説明を終了します。ありがとうございました。

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