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フリュー株式会社6238

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フリューの2軸の自社評価

榎本雅仁氏(以下、榎本):本日はお忙しい中、フリュー株式会社2026年3月期第2四半期決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。フリュー株式会社代表取締役社長の榎本です。よろしくお願いします。今回は、新たに説明資料で追加した箇所についても説明します。

最初に、フリューの強みと弱みについて説明したいと思います。当社は、世界観ビジネスとガールズトレンドビジネスという2つの柱で事業を展開しています。共通する強みとして、「『かわいい』を創出する能力」と記載しています。

なおかつ、世界観ビジネスにおいては、IPを獲得する力、表現する力が強みです。旬のIPはもちろん、株式会社サンリオやウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社など、定番のIPも含めて幅広いIPにアプローチし、それぞれの魅力を引き出しています。

ガールズトレンドビジネスでは、年間300回以上に及ぶグループインタビューを通じて、商品企画に特化したマーケティング力に自信を持っています。

また、それを実現するための画像処理を中心とした技術力や、プリントシール機を通じて提供している「ピクトリンク」というWebサービスの利用者数が非常に多い点も、当社の強みと感じています。

共通の弱みとしては、「マーケティング」や「ブランディング」と記載しました。もともとメーカー気質であり、「良い商品を作れば売れる」という志向が強かったため、コロナ禍を経てユーザーが特にゲームセンターに来なくなるという状況がガールズトレンドビジネスで発生しています。

そのため、現在はマーケティングとブランディングの強化を進めているところです。マーケティングについては、支援企業と提携し、ノウハウを吸収しながら自走できる組織への変革を進めています。

また、海外ビジネスについてのノウハウが不足しているため、商社と協業し、スピード感を持って事業を拡大させていく方針です。

今後は、IPとプリントシール機、そして「かわいい」を武器に、グローバル市場で戦っていこうと考えています。

26年3月期 第2四半期 ハイライト

第2四半期の決算概要です。全体的には、世界観ビジネスが好調で、大幅に利益が増加しました。売上高は前年同期比98.7パーセントでの着地となりましたが、営業利益は前年同期比166.5パーセントと非常に好調な結果となっています。

それぞれの事業についてポイントを述べます。世界観ビジネスでは、海外物販と高価格帯ホビーが好調で、大幅な利益増加につながりました。営業利益は前年同期比181.7パーセントの成長を見せています。

ガールズトレンドビジネスについては、プレイ回数と会員数が引き続き減少した結果、減収減益で着地しています。ただし、営業利益は前年同期比97.8パーセントで、第1四半期と比べると少し利益を確保できています。この点については後ほど説明します。

フリューニュービジネスに関しては、前年度の事業の選択と集中により、赤字が圧縮されています。事業撤退等に伴い売上は縮小しましたが、営業利益ベースでは前年同期比で4,000万円の改善が見られます。

26年3月期 第2四半期 世界観ビジネス 概要

ここからは、個別事業の説明を行います。まず、世界観ビジネスについてです。クレーンゲーム景品と海外物販の好調により、増収増益となっています。

前年同期比では、クレーンゲーム景品が103.8パーセント、累計でも100.0パーセントで、昨年同等の売上を達成しています。

海外物販については、第2四半期単体で196.7パーセントと大きく売上を伸ばしており、累計でも168.9パーセントと、前年を大きく上回る成長を見せています。

高価格帯ホビーについては、売上を伸ばしつつ、利益率の改善も進めています。前年は赤字で推移していましたが、今期は大幅な黒字に転じています。

くじに関しては、開発体制がまだ十分には整っていないため、四半期ごとの売上に波があります。第2四半期についてはタイトル1本のみを発売しており、スライドに示されているような数値で着地しています。

その結果、営業利益は第2四半期累計で前年同期比148.0パーセントと、大きく伸びました。

為替の影響については、今期第2四半期累計で9,600万円の利益方向へのプラスとなっています。為替予約などを駆使した結果、実際よりも利益が出る方向となっています。

26年3月期 第2四半期 ガールズトレンドビジネス 概要

ガールズトレンドビジネスについてです。全体としては、第2四半期累計の売上が前年同期比95.7パーセントとなり、前年よりも減少している状況です。

営業利益についても、第2四半期累計で前年同期比86.5パーセントと引き続き減少トレンドが続いています。ただし、第1四半期の6億6,300万円に対して、第2四半期は8億5,800万円と利益の改善が進んでいます。

主な要因は、「ピクトリンク」の有料会員価格統一の影響です。スライドの右側に記載のとおり、現在、有料会員126万人のうち80万人がプレミアム会員となっています。

以前はスタンダード会員の価格がアプリで税込450円、サイトで税込330円でしたが、現在はアプリもサイトも税込550円に統一されています。価格が高いほうに統一された結果、営業利益の改善に効果が出ています。

プレイ回数について、第1四半期時点では前年同期比89.6パーセントでしたが、第2四半期では92.8パーセントとなり、少し改善の兆しが見えています。依然として前年を下回る状況ですが、これが改善すれば本格的に売上・利益ともに増加する見込みです。

もう1つのトピックスとして、「ピクトリンク」の中学生の入会者が前年同期比1.35倍に増加しており、順調に推移しています。中学生がしっかりとファンになれば、高校生、大学生と、その後のビジネスの拡大に寄与するため、中学生の入会状況を注視しています。

26年3月期 第2四半期 フリューニュービジネス 概要

フリューニュービジネスについてです。事業譲渡により経営資源を集中させた結果、赤字が圧縮されている状況です。

個別の事業についてですが、家庭用ゲームソフトは第2四半期で前年同期比69.7パーセントと、やや不調でした。この夏の8月にオリジナルRPG『ヴァレット』を発売しましたが、そちらが少し不調で、このような結果となっています。

アニメ事業では、売上について昨年『ゆるキャン△SEASON3』のブルーレイ発売などがありましたが、今回はそれが剥落した影響で減少しています。しかし、配分金などを含めた利益については昨年を上回る結果を出しており、アニメ事業そのものとしてはしっかりと利益を積み上げられています。

カラーコンタクトやゲームアプリについては撤退したため、売上が減少しています。また、オルドット(アパレル)に関しては、固定費の見直しにより赤字が圧縮されています。

営業利益については、前年同期のマイナス2億7,000万円に対して、第2四半期累計でマイナス4,900万円となっており、利益改善が進んでいます。

事業の進捗 世界観ビジネス

事業の進捗について説明します。世界観ビジネスですが、クレーンゲーム景品については引き続き市場が拡大しており、推定で5パーセントの成長を現在も維持しています。

特に、アミューズメント施設に限られていたクレーンゲームが、ミニクレーンゲームというかたちでコンビニエンスストアやアミューズメント施設以外にも展開されるようになり、市場が拡大する状況が発生しています。

主要な、最も旬のIPは四半期ごとに移り変わりますが、定番のIPもしっかり活用することで、当社の売上も好調を維持できています。

海外物販市場も拡大しており、当社としてもアメリカでの売上を中心に受注が伸びています。

高価格帯ホビーに関しては、昨年までは急激な円安や、トップラインを追求するためにさまざまなIPのフィギュアを製作した結果、売れ行きが伸び悩むという悪循環が発生していました。しかし現在では、高品質な商品に加え、人気のあるIPや粗利の高い商品をしっかりと製作できる体制が整い、利益体質が構築されつつあります。

すでに2025年度アイテムの仕込みは完了しており、利益を確保しながら推移している状況です。

株式会社サンリオとのお取り組み

次のスライドでは、具体的な当社の取り組みを掲載しています。特に、サンリオ社やウォルト・ディズニー・ジャパン社とは信頼関係を築いており、当社オリジナルアート商品が非常に高い人気を誇っています。

当社はまずオリジナルのイラストを制作し、監修が通った後にぬいぐるみ化しています。ユーザーからは、フリューだからこそ得られるオリジナリティのある商品として非常に人気を集めています。

株式会社サンリオとのお取り組み

スライド下に記載されている、当社の「ミルキーボア」という商品がありますが、ミルキーカラーがふわふわでかわいいぬいぐるみに、少しアレンジを加えています。そして、そこにサンリオ社やウォルト・ディズニー・ジャパン社のキャラクターを組み合わせることで、オリジナリティのあるかわいいぬいぐるみが完成しています。

ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社とのお取り組み

特にウォルト・ディズニー・ジャパン社との取り組みでは、昨年度、このスライドにある「ミルキーボア」の「くまのプーさん」が非常に人気を集め、弊社としてもウォルト・ディズニー・ジャパン社にライセンシーとして大いに貢献できました。

事業の進捗 ガールズトレンドビジネス

ガールズトレンドビジネスです。スライドでは、内容をわかりやすくするため、いくつかグラフを掲載しています。

プリントシール機は高校生が中心的なユーザーですが、その前段階として、中学生向けの「ピクトリンク」無料という取り組みを行っています。この取り組みにより、中学生ユーザーが高校生になった際に、より多くプレイして課金に至るというデータがあります。このため、当社では「ピクトリンク」の中学生無料会員の推移をウォッチしています。

2022年3月期から徐々に会員数が増加しており、今年度第2四半期の終了時点で、すでに30万人の中学生が無料会員になっています。

日本の女子中学生は、3学年を合わせると約150万人です。現在そのうちの5人に1人が「ピクトリンク」の無料会員となっており、口コミを中心に会員数が自然と増加しています。

スライド中央では、価格統一の進捗を示しています。最初に、利益ベースでの貢献というお話をしましたが、今期第1四半期終了時点で20万人程度だった会員数は、現時点で80万人に達し、全体の63パーセントがプレミアム会員化している状況です。

今後の流れについては、まだいくつかのキャリアで対応が進んでいない部分もありますが、それらがシフトすることで、63パーセントという数字がさらに伸びていく予定です。

ユーザー数の変化については、スライド右のグラフに示しています。中学生を強化した結果、コロナ禍後には中学生ユーザーのプレイの割合が確実に増加しています。

これらの中学生ユーザーが、将来的に高校生、大学生、そして社会人へと成長していく中で、しっかりとプレイ頻度を確保できれば、フリューのガールズトレンドビジネスにおいて、さらなる成長が可能になると考えています。

事業の進捗 ガールズトレンドビジネス

一方で、課題は有料会員数「ピクトリンク」やプレイ数が前年を下回っていることです。それらへの対策をスライドに記載しています。

なお、スライドに記載されていませんが、最も重要な施策として人事異動を実施しました。下期から本部長、事業部長、副事業部長2名を新たに配置し、新しい体制のもと、対策を確実に推進していく方針です。

主な目的は、実行力の強化とIPとの連携強化を掲げています。これまで、IPの人気は非常に高いものの、ガールズトレンドビジネスにおいてそれを十分に活かせていなかったため、この点を加速するために新たな体制を構築しました。

特に今年度において貢献度が高いのは、プリントシール機30周年のキャンペーンです。このキャンペーンについてはメディアからの期待も大きく、すでにいくつかの取材を受けています。

先週末には『NHKニュース7』で取り上げられるなど、注目度も非常に高くなっています。このようなメディアの注目を活用し、話題を作っていきたいと考えています。

来期については、来年の春・夏に向けた筐体で、新しい価値を提供できる開発を進行中です。

事業の進捗 フリューニュービジネス

フリューニュービジネスです。家庭用ゲームソフトについては、第2四半期終了時点ではやや遅れが見られましたが、今週『ベイブレードエックス エボバトル』を発売しました。

このソフトはSwitchとSteamで展開しています。海外でも『ベイブレード』が非常に人気を集めているため、巻き返しを図っていきたいと考えています。

アニメについては、『転生悪女の黒歴史』という作品がこの秋シーズンに放送されており、一定の売上にも寄与しています。

オルドットに関しては、今期を見極めの年とし、黒字化を目指しています。ただし、改善が進まない場合は事業終了も視野に入れています。

通期業績予想に対する進捗 PL

通期業績予想に対する進捗についてです。一言で申し上げると、スライドに記載されているお天気マークのとおりです。

世界観ビジネスについては、第3四半期・第4四半期ともに晴れマークが示されており、来期もそれが続く見込みです。

ガールズトレンドビジネスに関しては、現在は少し厳しい状況ですが、来期に向けて徐々に晴れ間が見えてくると期待しています。現在進めている施策が来期には効果を発揮すると感じています。

フリューニュービジネスについては進捗が芳しくない状況ですが、家庭用ゲームソフトでの巻き返しを図りたいと考えています。現時点ではやや不透明な部分もあるため、公表数値の変更は行っていません。

株主還元と財務方針

株主還元については、安定的な配当と機動的な自己株式取得を通じて充実を図り、2028年3月期にはROE15.0パーセント以上を目標としています。

キャピタル・アロケーション

今年度からキャピタル・アロケーションというかたちで、戦略投資の部分も記載しています。

営業キャッシュフロー150億円に対して、戦略投資枠として50億円から60億円を設定しました。具体的には、M&A、マイノリティ出資、自己株式取得、合弁会社設立などに50億円から60億円を投入する予定です。

また、株主還元の配当原資として30億円から40億円を想定しています。

M&A方針(28年3月期までの方針)

M&Aについては、今後、経営戦略を実現するための手段としてしっかり活用できるようにと考えています。

具体的には、まずは世界観ビジネスの周辺ビジネスで事業シナジーが明確に見込め、成長に寄与できる事業体を対象に検証を行います。その後、ある程度ノウハウが蓄積された段階で、長期視点でガールズトレンドビジネスなどの検討も視野に入れ、対応していきたいと考えています。

中期ビジョン 目指す経営指標と定量目標

「フリュー中期ビジョン2027」についてお話しします。現在、このプロジェクトは3年目に突入していますが、新しい体制の下でも引き続き実現を目指しています。

ROE15パーセント以上、営業利益率10パーセント以上、売上高600億円、営業利益60億円を堅持しつつ、目標実現に向けて日々議論を重ね、戦略を実行しています。

中期ビジョン 基本方針

新たな組織風土改革では、チームワークと成長をキーワードに掲げ、企業成長を目指す新しい体制へ移行しました。これにより、成長をより意識したオペレーションを実施しています。

質疑応答:第2四半期までのセグメント別進捗状況と期初計画との比較について

質問者:第2四半期までの進捗はかなり良くなっていますが、セグメント別やサブセグメント別で、社長が見ていた期初計画に対してどのような進捗になっているかコメントをいただけますか?

榎本:まず、世界観ビジネスに関しては、比較的順調に推移しており、想定どおり、もしくは若干上回る動きをしていると考えています。

ガールズトレンドビジネスについては、夏休みを経てプレイ数が前年同月比を超えると想定していましたが、その進捗が思わしくなく、全体としてやや保守的に見ざるを得ない状況です。

フリューニュービジネスについては、家庭用ゲームソフトで想定外の下振れが起きています。しかし、今後『ベイブレード』の展開などで巻き返しを図れる見通しがあり、現時点では計画どおりに着地するものと認識しています。

質疑応答:世界観ビジネスの米国での急伸と今後の見通しについて

質問者:サブセグメントについておうかがいします。世界観ビジネスにおいて、海外物販が米国で急伸していると資料に記載されていますが、これに関する背景と今後の見通しについてコメントをお願いします。

榎本:世界観ビジネスに関しては、特に北米での売上が伸びています。特に、株式会社ラウンドワンさんが海外進出を進めており、それに対して商品を着実に納品できている状況が続いています。

今後については、トランプ関税などの影響が特にない現状が続く場合、比較的好調に推移すると見通しています。ただし、一方で、アメリカと中国の間で急な話が浮上する可能性もあるため、その際にはリスクが発生すると認識しています。

質疑応答:米国ビジネスの来年度の見通しについて

質問者:来年度にかけて現状の状況が変わらないという前提であれば、米国でのビジネスは堅調に推移すると見ていると理解してよろしいでしょうか?

榎本:新しい販路開拓も進めていますので、そうした取り組みが寄与すれば、引き続き売上が伸びていくと認識しています。

質疑応答:ガールズトレンドの進捗と年度末への影響について

質問者:ガールズトレンドに関してですが、夏が明けた後の進捗が弱いとのお話がありました。御社の事業計画では、3月に大きく伸びる計画になっていますが、夏場明けの進捗が悪いことが年度末の最大の伸びる時期に影響を与えるリスクについては、どのように考えればよいでしょうか?

榎本:夏の状況が春に影響を与えるかという点については、現時点でそこまでの影響を感じていません。むしろ、プリントシール機30周年の企画を秋からスタートさせており、その立ち上がりはメディアの反応も良好です。

具体的には、12月に大規模な施策を行い、さらに3月にも施策を実施する予定です。それにより、波を作りながら展開していきます。現在ご利用いただいているお客さまだけでなく、大学生もターゲットにWebメディアなどを通じて接点を増やし、「じゃあ、久しぶりにプリを撮ってみよう」というような盛り上げを狙っています。

ですので、夏の影響については、それほど心配しなくてもよいと考えています。

質疑応答:人事異動の狙いとその効果について

質問者:人事にも手を入れられたということで、社長に就任されてからさまざまな特色を出されているかと思います。この人事異動の狙いについて、また、まだ就任されたばかりで成果を出すのは難しい時期かと思いますが、なにか変化の兆しなどがあれば教えていただけますでしょうか。

榎本:人事異動の狙いは2点あります。1つ目は実行力をより強化することです。これまでは、大企業病というわけではありませんが、意思決定がかなり遅い点がありました。そのため、より迅速に意思決定できる体制を作るために、比較的アグレッシブな人材を中心に配置しました。

こちらはすでにさまざまな効果が現れてきています。例えば、以前はなにかの仕様を決める際に1回の会議では決まらず、何度も調整を重ねることがありましたが、現在では新しい機種の仕様を決定する際も短期間での仕様決定が可能になってきていると報告を受けています。

2つ目は、IPとの連携強化です。これまでもプリントシール機とIPのコラボをしてきましたが、正直なところ、期待したほどの効果は出ていないと考えています。

ガールズトレンドビジネスに関わる人員の中には、IPの魅力よりも「ユーザーをかわいくしたい」や「ガールズトレンド的なところをやりたい」といった要素に重きを置く意向が強く、表層的なコラボレーションにとどまっていました。

現在は、より深いコアなファンの要望を満たし、繰り返し利用したくなるような仕様について、世界観ビジネスのメンバーも加わりながら議論が進められるようになってきています。このように、IPを横断的に活用した取り組みが進んでおり、下期から来年の初めにかけて、その成果が現れることを期待しています。

質疑応答:家庭用ゲームソフトの予約状況と下期の見通しについて

質問者:家庭用ゲームソフトについてですが、新しいソフトを11月に発売されたかと思います。予約状況や下期の挽回について、どのように見ておられるか教えていただけますか?

榎本:家庭用ゲームソフトに関しては、『ベイブレードエックス エボバトル』が発売され、想定どおりに動いています。期待している点としては、海外での売上をどれくらい伸ばせるかというところですが、Steam対応もしているので、海外での拡大を見込んでいます。

『MODEL Debut4 #nicola(モデルデビュー4 ニコラ)』については、もうすぐ発売となります。前作は競合の動きが少し見られましたが、今期は特にそのような動きがないため、『MODEL Debut3 #nicola(モデルデビュー3 ニコラ)』に続いてしっかりと結果を出していきたいと考えています。

質問者:女性からの評価も高かったと思いますので、楽しみにしています。

質疑応答:ガールズトレンドビジネスの会員価格統一による採算改善効果について

質問者:ガールズトレンドビジネスについてうかがいます。今期は会員価格の統一で採算改善を見込んでいると思いますが、この効果は今期に引き続き、来期以降にも影響してくるのでしょうか?

榎本:統一した会員価格は来期以降も継続しますので、今後もその効果は続くと考えています。

古い課金に関しては一部、価格統一の対応が難しいケースがありましたが、多くの課金については今期中にすべて統一することが可能です。ただし、一部のユーザーには年額課金が適用されており、この場合、7月から新たに課金した結果、例えば6月に更新した場合は来年の6月までのいずれかのタイミングで価格が統一されるという流れになります。

そのため、この採算を改善していく効果は、来期の上期まで見込んでいます。

質疑応答:プリントシール機のプレイ回数の下げ止まりと今後の見通しについて

質問者:プリントシール機のプレイ回数が下げ止まるというのは、先ほどおっしゃったように、プリントシール機30周年で行う、12月、3月の施策の効果で、第3四半期ではプレイ回数は下げ止まるという見込みでいらっしゃるのでしょうか?

榎本:現時点では、スライドに記載していますが、年間総プレイ回数が前期は3,000万回だったのに対して、今期は3,100万回ということで、特に3月に向けてしっかりとプレイ回数を伸ばしていく見通しとなっています。

質疑応答:中学生向けマーケティングと会員増加の見込みについて

質問者:中学生の会員数の増加を、現在進めていると思いますが、中学生向けにはどのようなマーケティングを行っているのでしょうか?

榎本:最初の2020年3月期は、少しWeb広告などを行いましたが、主に最初に大きく広がった要因としては、ユーザー自らがTikTokで「今、そういうのが始まった」という内容のコンテンツを作り始めたことです。

現時点では、それほど広告を行っていないため、主に「ピクトリンク」内での視聴や、先輩や友だちからの「入ったほうがお得だよ」といったリアルな口コミによって広まっていると認識しています。

中学生の会員価格を無料にした結果が現在どんどん積み上がっています。当社が一番狙っているのは、あるタイミングに達して、むしろ入っていないと友だちに知られるのが恥ずかしいような状況になり、さらに会員数増加が加速することです。社内目標の1つとして、50万人を掲げており、3人に1人が加入する状況を目指しています。

質疑応答:成長が見込める納入チャネルについて

質問者:今後、納入先として成長性が見込めるのは、どのようなチャネルになりますか?

榎本:国内における現在のクレーンゲーム市場が今後2倍、3倍に拡大するとは考えていません。むしろ、その成長余地については海外市場を中心に狙っています。

特に現在、日本のクレーンゲームが海外でも少しずつ広がってきているため、そうした市場でもしっかりと取り組み、物販分野でも展開することで、海外でのビジネスを加速させていきたいと考えています。

質疑応答:北米での成長要因とグローバル展開について

質問者:現在、北米での展開が伸びているのは、どのような理由があるのでしょうか?

榎本:北米でのメインのお客さまはラウンドワン社です。ラウンドワン社は日本のクレーンゲームを現地にも導入し、高い人気を得ています。そのため、ラウンドワン社の店舗が拡大することで、当社の販路も自然に広がるかたちとなっています。

クレーンゲームそのものを広げようという動きが、現在少しずつ広がっています。株式会社ナムコも海外店舗でクレーンゲームを強化されている状況があり、そのような流れに乗ることがビジネスモデルとして適切ですし、当社としても取り組みやすいと考えています。

質疑応答:中国や東南アジアでのビジネス展開について

質問者:第2の北米になるような地域は、どのようなところをイメージしたらよろしいのでしょうか?

榎本:もともと市場としては、北米が非常に物販の市場でも大きく、その次が中国となるため、当社でもまずはその2つの地域を重点的に攻略しているところです。

ただし、現状は市場の成長という観点では、中国や東南アジアなどアジア地域の成長が非常に顕著です。そうした地域にも積極的にアプローチしていきたいと考えています。

中国については、具体的な数字までお伝えすることはできませんが、堅調に推移しています。現在では、主にECサイトを通じた物販が中国での売上の中心です。今後はリアル店舗での売上拡大を目指し、その開拓を進めている段階です。

質疑応答:プレイ回数の年齢別動向について

質問者:スライド20ページに記載されたプレイ回数の年齢別割合に関するグラフについておうかがいします。このグラフは通期と上期の比較となっていますが、一般的なプレイ回数が明確にわかりません。

中学生に関しては上期と上期を同条件で比較した場合、コロナ禍前とほぼ同じ水準に戻っており、それ以外の年齢層では減少していると推察していますが、そのような理解でよいでしょうか?

さらに、このロジックに基づくと、中学生がそのまま大人になってもプレイを続けていくというシナリオが考えられますが、現在の大学生のプレイ回数はおそらくコロナ禍前と比較して約6割減少していると推測しています。この減少がそのまま社会人層まで継続していくのかという点についても確認させてください。

榎本:まず、中学生の回数ですが、個別の開示はしていませんが、基本的にはコロナ禍の期間以上に現在、回数が出ています。中学生だけに限って言うと、コロナ禍の期間よりも回数が出ています。

ただ、その数がどんどん積み上がっていくかというと、そこまでのインパクトはありません。やはり、高校生になって裾野が広がる部分がありますので、その点についてはしっかりと対策を講じていきたいと考えています。

中学生の時に無料体験をされたお客さまは、高校生になってもプレイを継続しており、「ピクトリンク」の課金率が高いというデータはしっかり取得できています。一方、高校生になってからアカウント登録を行いユーザーが拡大するという部分に関しては、コロナ禍前と比べると少し弱い状況があります。そのため、ここについてはしっかりと対策を進めていこうとしています。

大学生に関しては、スライドのデータのとおり減少しており、絶対数で見ても大きく差がある、現在非常に厳しい状況が続いています。この現状を認識した上で、ただ移行を待つのではなく、ターゲットを広げるかたちで大学生にも利用していただけるようなマーケティングを進めているところです。

そこに関しては、まずプリントシール機30周年が1つのフックとなります。数年前に非常に人気があった機種の復刻も行う予定で、そうした取り組みを活用して「久しぶりに撮ってみたらけっこう楽しくて、また継続をしたい」という流れに持っていくことが重要だと考えています。

下の年齢層から上がってくるものをそのまま広げるのではなく、若いターゲットは引き続き若いターゲットとして対応しつつも、上の年齢層のターゲットにもしっかり響くようなマーケティングを展開していきたいと考えています。

質疑応答:コロナ禍以前の水準への回復時期について

質問者:プレイ回数がコロナ禍以前とほぼ同じ水準に戻るには、あと何年かかると考えていますか?

普通に計算すると、おそらく7年はかかり、さらに現状の大学生のプレイ回数が横ばいの場合、グラフで示されている22歳以上の社会人層に、次の大学生がそのまま年齢を重ねて上がっていくに過ぎないため、相当少ない数値になるのではないかと思います。

そうなると、実はコロナ禍以前の水準には戻らないという計算も成り立ちますが、そのようなわけではないということでしょうか? つまり、結局現在の施策がうまくいった場合、コロナ禍以前である2019年度と同じ水準に戻るのは、いつ頃と見込んでいるのかをおうかがいしたいです。

榎本:そこは5年以内、できれば3年程度を目指して動いていますが、現状では具体的な施策がまだ出ていないため、現時点で明言するのは難しいというのが正直なところです。

質疑応答:2026年春の新機種開発とIP活用について

質問者:スライド21ページに記載されている2026年の春というのは、そもそも3月なのでしょうか? また、同じく記載されている体験価値の異なる新機種の開発やIP活用といった試みは、2026年春の時点では現実のものとなっているのかについて、確認させていただきたいです。

榎本:まず、2026年の春というのは、来年の3月に発売される筐体を指しています。

まだ公にはできませんが、一目見ただけでもまったく異なる印象を受けると思います。また、現在グループインタビューなどを通じて検証を行っていますが、ゲーム性などの点でも過去とは異なる体験価値を提供できるかたちになりつつあると感じています。

少し前に実施した大規模なグループインタビューでも、お客さまから「非常に楽しい」や「盛れる」だけにとどまらない価値を感じていただけるような商品に作り上げられつつあります。これを来年の春までにさらにしっかりと作り込んでいきたいと考えています。

見ていただければ、本当に違いを実感していただけるような商品に仕上がっていると思います。どうぞ楽しみにお待ちください。

IP活用については、先週末から『鬼滅の刃』の映画が中国で上映されており、これに合わせて『鬼滅の刃』プリントシール機を制作し、映画館の近くに1機設置しました。その結果、それ以前と比較してプレイ回数が大幅に増加しました。やはりIPをうまく活用し、旬のIPに適した場所で展開することで、一定のプレイ回数の拡大が期待できるのではないかと考えています。

質疑応答:中国地政学的緊張が事業全体に与える影響について

質問者:中国についてですが、現在、地政学的な緊張が高まっている状況です。そこで、貴社の事業全体に対してどのような影響があるとイメージすればよいでしょうか?

例えば、プリントシール機に関してインバウンド需要があるのかないのか、また海外物販や高価格帯ホビーの分野で中国との取引がどのような状況にあるのか、また、今後パートナーシップを組んで進めようとしている事業にどのような影響が出るかについてお聞きしたいです。

榎本:まず、インバウンドについてですが、クレーンゲーム景品ほどのインバウンド需要が現在は発生していません。この点については課題がある程度見えてきているため、対応をしっかり行うことで、インバウンドのお客さまをもっと取り込めるのではないかと議論しています。

中国での物販については、現時点では悪影響は出ていません。ただし、そうした状況がさらに加速する場合、一時的に中国の売上が減少する可能性があるため、他の地域でのカバーが可能かどうかを検討していく必要があると認識しています。

プリントシール機に関しては、『クレヨンしんちゃん』や『はたらく細胞』の映画が中国で上映延期となっており、映画館のそばでこうしたIPの人気を活用してプレイの動向を検証する予定でしたが、中国では場合によっては検証が難しくなる可能性があります。

そのような場合には、例えば国内の映画館と協力関係を構築し、こうしたIPを活用したニーズの検証を行うことや、他の地域や国でも同様の検証を実施することも可能かもしれません。今後は柔軟に対応していきたいと考えています。

質問者:確認ですが、クレーンゲーム景品については、ある程度インバウンド需要によるプラスの影響があるため、中国の件がいろいろあると、そこはリスク要因として気にしなければいけない、という理解で合っていますか?

榎本:そのとおりです。

質疑応答:韓国のプリントシール機市場とグローバル展開について

司会者:「韓国のプリントシール機について、貴社への影響や、逆に韓国へ輸出できる可能性など、ご意見があればお願いします」というご質問です。

榎本:まず、韓国のプリントシール機についてですが、国内にはすでに入ってきている状況です。正直に申し上げると、現時点では国内市場において大きなインパクトは発生していません。ただし、新しい価値という観点では、学ぶ点も多くあります。そのため、そうしたエッセンスを取り入れ、当社でも新しいプリントシール機の開発に活用しています。

また、グローバルに目を向けると、韓国のプリントシール機は中国、東南アジア、北米にも進出しており、プリントシール機文化の拡大に寄与しています。これをビジネスチャンスと捉え、展開を進めていきたいと考えています。

例えば、少し前にタイでプリントシール機のショップを協力して開設したというリリースを出しましたが、これも韓国のプリントシール機がすでに店舗展開をしているため、それに合わせるかたちで当社のプリントシール機を提供するということも考えています。

一方で、韓国に弊社のプリントシール機を設置することに関しては、テストマーケティングを行っているものの、プリントシール機単体ではなかなか結果を出しにくいのが現状です。韓国市場を直接攻めるよりも、むしろ他の地域において、韓国がすでに開拓した市場にうまく弊社も連携するかたちで、日本の文化を発信していきたいと考えています。

質疑応答:データ検証を軸に行う事業運営について

質問者:質疑応答を聞いていると、多くの検証が行われるようになっているという印象を持ちました。ガールズトレンドやプライズに関しても、さまざまな実証研究でデータを収集し、それを横展開する方式に徐々に移行していると捉えてよいでしょうか?

榎本:そうですね。私の進め方としては、「ピクトリンク」を長く担当していたこともあり、もともとデータ収集を重視する姿勢を持っています。データや検証を踏まえた上で、テストマーケティングをきちんと実施し、ある程度の見通しが立った段階で拡大する、といったオペレーションを社内で進めています。

まずは検証を行い、その中で見えてきた課題をつぶしながらブラッシュアップを進める、という方法で取り組んでいます。

質問者:その方法でPDCAサイクルを回しながら、徐々にそのサイクルを短縮できれば、パフォーマンスが向上するとともに、資本効率が上がり、最終的にはROEの向上にもつながる、という考え方でよろしいですか?

榎本:おっしゃるとおりです。そうした部分が少し弱くなっていたところがありましたので、それらの強化を意識しています。また、無駄な会議を減らして生産性を上げるといった地道な取り組みにも注力しています。そのようなメッセージは社内にも発信しています。

質疑応答:プリントシール機の設置台数と推移について

質問者:プリントシール機について、プレイ回数を1つの指標として開示されていると思いますが、設置台数自体の推移をおうかがいしてもよろしいですか?

事務局:現状では、日本全国で5,500台ほど設置されています。ここ数年は現状維持かと思います。

質疑応答:周辺領域への参入についての検討状況

質問者:周辺領域の中で、例えばガチャガチャなどは、消費者目線から見ても非常に拡大が進んでいると思います。このような周辺領域への参入についてはお考えではないのでしょうか?

榎本:現在、プリントシール機に関しては、「そもそも自分たちで女子中高大生に限定して、サービスを提供しているのではないか?」という問いかけを行っています。

インバウンドにも関わるテーマであり、例えば、ぱっと見てこれが何であるかがわかるか、操作が必要以上に複雑になっていないかといった観点から見ると、グローバル化を進めたり設置場所を広げたりする際に、多くの課題が生じます。

こうした課題については、「そもそも誰に、どういう価値を提供するか?」という、まさにマーケティング的な思考を活用し、「ゲームセンターに女子高生向けに置く」という考え方ではなく、「もっと広げるためにどうあるべきか?」のような議論を現在進めています。

例えばIPを活用する場合、IPのファンが集まるような場所に設置する方法も一案と考えています。そのようなことも含め、現在は根本的な議論を始めた段階です。

榎本氏からのご挨拶

以上をもちまして、フリュー株式会社の2026年3月期第2四半期決算説明会を終了します。最後までご参加いただきましてありがとうございました。

ここでは伝えきれなかった部分もありますので、ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ個別の面談をお願いできればと思います。本日はありがとうございました。

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