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三嶋隆氏(以下、三嶋):本日はお集まりいただき、ありがとうございます。フリュー株式会社代表取締役社長の三嶋です。日頃より当社をご支援いただき、ありがとうございます。あらためて感謝申し上げます。本日は、2025年3月期の決算概要からご説明します。
25年3月期ハイライト
2025年3月期の連結全社のハイライトです。売上高は、特に世界観ビジネスが好調に推移し、増収です。一方、ガールズトレンドビジネスが苦戦し、利益は減益となっています。
内訳は、世界観ビジネスのクレーンゲーム景品が相変わらず好調です。日本のゲームセンターはインバウンド需要が引き続きあるため、相変わらず好調です。大型景品からミニクレーンと言われる小さい景品まで順調に伸びています。加えて、日本のキャラクターは今海外にどんどん進出しています。海外物販も好調で、増収増益となっています。
ガールズトレンドビジネスは、プレイ回数がなかなか伸びません。結果として、有料会員も減少しており、減収減益となっています。詳しくは後ほどご説明します。
フリューニュービジネスのスマートフォンゲームは撤退しました。カラーコンタクトレンズは事業譲渡しました。こちらにより、経営資源を集中させています。今期は、大きく赤字を圧縮した年で、2026年3月期につなげていきたいと思っています。
25年3月期連結概要
連結概要です。スライドに記載のとおり、第4四半期単独で見ると、売上高は前年同期比104パーセント、営業利益は72パーセントです。売上高を牽引したのは世界観ビジネスで、前年同期比115.7パーセントです。一方、ガールズトレンドビジネスは89.4パーセントと低迷しています。
営業利益も同様の動きをしており、世界観ビジネスは前年の2倍強の210.5パーセントと非常に好調です。ガールズトレンドビジネスは62.4パーセントと、停滞している状況です。
25年3月期世界観ビジネス概要
世界観ビジネスの概要です。先ほどもお伝えしたように、ゲームセンターは今も非常に人気です。クレーンゲーム景品の受注が引き続き好調に動いています。3ヶ月先の受注を取っているため、今期で言いますと、7月8月の受注も相変わらず好調です。
海外物販は、今期も好調です。前期は中国と北米を中心に売上が拡大しましたが、特に中国は好調を維持しています。北米は、トランプ政権の関税の影響でストップしていた部分もありますが、今挽回を図っています。
高価格帯ホビーは高粗利なものに絞り、前期から赤字の縮小改善を進めていました。総仕上げが2025年3月期だったため、第4四半期に向けて黒字体質に改善できたと思っています。その他、中価格帯ホビーやくじも順調に推移しています。
25年3月期ガールズトレンドビジネス概要
ガールズトレンドビジネスの概要です。入口で中学生の入会を促進し、高校生に移行し、プレイ回数を上げることによって、コロナ禍前のプレイ回数に戻そうという大きな戦略を持っていました。
第1ステップであるユーザー数は、特に中学生を中心にコロナ禍前に戻り、中学生に限るとコロナ禍前をはるかに上回る水準で、プレイしてもらっています。一方、1人当たりのプレイ回数は高校生になると伸び悩みます。中学生を獲得し、高校生になってもっと頻繁に遊んでいただくといった連鎖がうまくいっていません。そのため、プレイ回数と会員数が減少し、減収減益となっています。
アミューズメント施設も同じ状況です。前年同期比で減少し、直営店も同様の動きをしています。結果として「ピクトリンク」の有料会員数は、前年から減少しています。
良いところは、先ほどもお伝えしたとおり、中学生の入会数です。第4四半期単独では、前年度比1.5倍と大きく伸びています。入口には人が集まってきているため、どのように活性化するかといった、次のステップに移ろうとしています。
1人当たりの単価を上げるプレミアム会員数は維持しています。プレミアム会員数を維持することで、単価が上がっていっている状況です。その他は、デコメ等のコンテンツサービスの縮小により減少しています。
25年3月期フリューニュービジネス概要
フリューニュービジネスの概要です。先ほどもお伝えしたとおり、カラーコンタクトレンズとスマートフォンゲームは撤退しました。今期は、残る家庭用ゲームソフト、アニメ、オルドットを伸ばしていこうと思っています。
2025年3月期第4四半期は、家庭用ゲームソフトの新規発売はなかったものの、過去作品のダウンロードが順調に動き、売上が上がっています。過去作品の積み上げによって、利益が安定してきていることを示しています。
アニメは、前年比136.6パーセントと第4四半期も伸びています。こちらも、まったく同じことが言えます。特に『ゆるキャン△』を中心に、過去作品がロングテールで利益を出す構造です。家庭用ゲームソフトとアニメは、ロングテールで利益を出し、前期第4四半期は売上も利益も上がっている状況でした。
カラーコンタクトレンズは前年同期とほぼ横ばいですが、大きな改善が見込めないため、今回事業譲渡に至りました。
その他は、スマートフォンゲームのタイトルを縮小しています。クローズによって減収減益し撤退しています。オルドットは、固定費見直しによって赤字を圧縮しています。結果、こちらのセグメントの赤字は圧縮できています。2026年3月期に向けて、さらに赤字を圧縮し、黒字化を目指します。
25年度連結業績予想について
2026年3月期の業績予想です。全体は、売上高450億円、営業利益30億円、経常利益30億円、親会社株主に帰属する当期純利益21億5,000万円といった見通しになっています。
内訳をご説明します。世界観ビジネスは、増収増益を見込んでいます。海外事業は、特に中国が伸びています。日本のキャラクターは中国で大人気のため、中国市場を中心に増収を狙っていきます。
アメリカに子会社を設立しました。現地の流通やゲームセンター等と取引が始まり拡大途上でしたが、トランプ政権による関税の影響で期初は足踏みしていました。現在は若干緩和されているため、今がチャンスということでアメリカも伸ばしていきます。
為替の前提は、今期と同様に150円です。為替感応度は前期が1ドル1円変動により年7,000万円を超えるくらいでしたが、為替予約を進めたことにより、150円よりも円安に進行した場合に1ドル1円変動するに当たり年2,500万円と抑えられています。
ガールズトレンドビジネスは増収増益の見通しです。プレイ回数は3,100万回で、「ピクトリンク」は減少の124万人です。プレミアム会員へのシフトを促進し、顧客単価を上げることにより、収益を上げていきます。
以前の「ピクトリンク」会員は、いろいろな価格帯があり、価格帯によってできることや、付加価値が違う状況でした。お客さまから見て非常にわかりにくいところがあったため、価格を1つに統一します。すべての当社の価値をお客さまに提供していくことによって、客単価を上げ、増益を目指そうと思っています。
フリューニュービジネスは、2024年度の選択と集中による効果で、来期は黒字化していきます。家庭用ゲームとアニメは積み上げ型のビジネスのため、手堅く利益貢献してくれると思っています。
全社費用は固定費が増える影響で、若干増えています。選択と集中によって、人材の配置転換をしています。世界観ビジネスとガールズトレンドビジネスはまだまだ成長させようと思っているため、成長に向けた人材をバックオフィスで準備しているところです。
育成強化を図り、プロ人材を育て、世界観ビジネス、ガールズトレンドビジネス、フリューニュービジネスの家庭用ゲームとアニメを大きく伸ばしていこうと思っています。
当期のプレイ回数とピクトリンク有料会員数の見通し
プレイ回数と「ピクトリンク」の前提は、スライドに記載のとおりです。プレイ回数は2025年3月期が3,000万回に対して、2026年3月期は3,100万回です。有料会員数は遅れて出てくるため、まだ減少は続き、137万人に対して124万人という前提で予算を組んでいます。
株主還元と財務方針
株主還元と財務方針です。安定的な配当と機動的な自己株取得を通じて、株主還元の充実を目指していきます。目標は変えず、2028年3月期にROE15パーセント以上となっています。
2026年3月期施策について 世界観ビジネス
具体的な施策についてご説明します。世界観ビジネスです。国内のクレーンゲーム景品について、市場の見込みは今期も堅調に動くと思っています。新規出店はある程度減速していきますが、まだまだインバウンド需要は旺盛に続いています。これまで、市場全体の伸びが年率5パーセントであったところ、まだ継続するという前提を置いています。
当社は、キャラクターによっては急激に売上が減る部分もありますが、新しいキャラクターへチャレンジを続けています。今までなかったようなキャラクターが売上を伸ばすこともあります。
直近では、例えば「パペットスンスン」や「エスターバニー」などの新しいキャラクターが、これまでのキャラクターを凌駕するかたちで売上を伸ばしています。そのようなことにより、ポートフォリオを組んでいます。当社の売上高は年率37パーセント伸びており、今後も伸ばしていこうと思っています。
海外物販の市場は、特に中国と周りのアジア諸国、ドイツなどの欧州でも日本のキャラクターは大人気です。当社がまだ進出できていなかった地域の市場がどんどん大きくなっているため、波に乗って海外物販を伸ばしていこうと思っています。スライド右側のグラフのとおり、右肩上がりで伸ばしていこうと思っています。
当社は、前年同期比1.5倍のペースで拡大中です。トランプ政権の関税は、現在の緩和されている時期がチャンスだと思い、アメリカへの出荷を急いでいるところです。
高価格帯ホビーは、前年度に仕上げの高付加価値体質化を実現できました。今期は、そちらをみなさまにお見せする年だと思っています。なんとしても黒字化を目指し、アイテムの仕込みを進めています。全体の7割の受注は完了しているため、あと3割の受注が獲得できれば、黒字化を実現できると思います。
2026年3月期施策について ガールズトレンドビジネス
ガールズトレンドビジネスです。先ほどもお伝えしたように、中学生の入会率は非常に高くなっており、コロナ禍前を上回っています。ユニークユーザー数もコロナ禍前に戻っているため、まずは1人当たりのプレイ頻度を改善したいと考えています。
私は、もともとメーカー出身のため、商品戦略にフォーカスしていました。良い商品を作ればお客さまに来ていただけるといった点だけにフォーカスしていましたが、コロナ禍で離れたお客さまに対しては、プロモーションやコミュニケーション戦略が大事になってくると思っています。
昨年もいくつか実行していましたが、2026年3月期もプロモーションやコミュニケーションを取った上でお客さまを呼び寄せ、活性化させていきます。そして、良い商品を作り、プレイ回数を上げていこうと思っています。
2026年3月期施策について フリューニュービジネス
フリューニュービジネスは、前期は経営資源の選択と集中をしたため、今期は安定した収益を狙っていきます。家庭用ゲームは自社タイトル『ヴァレット』をはじめ、複数のオリジナルタイトルをリリースしていきます。
「Steam」などの新たな流通を強化しています。特に海外市場の販売においては、このようなネットワークのインフラを使って販売できるため、今後もeコマースを中心とした売上を伸ばしていこうと思っています。新規タイトルの完成度で一喜一憂するのではなく、過去タイトルの積み上げで利益を安定化させようと考えています。
アニメも、長期的に支持されるIPを育成していきます。『ゆるキャン△』に続くIPを獲得すべく、ライセンサーとしての事業を強化していきます。過去の複数の幹事タイトルや出資タイトルでずっと積み上がっているため、さらなる積み上げを狙っていきます。
後ほど詳しくご説明しますが、会社分割によりアニメの新会社を設立しました。新会社を原動力に、さらに有料化IPの獲得を目指していきます。
アパレルのオルドットは正念場だと思っています。2025年度はなんとしても黒字を実現させ、今後の発展につなげていきたいと思っています。
2026年3月期施策について フリューニュービジネス
フリューニュービジネスの中のアニメは、新設分割により、フリュー・ピクチャーズ株式会社を設立します。当社がアニメに力を入れているところをみなさまに見ていただきながら、制作会社としての機能を強化していきます。
今は、スタジオ機能がアニメの善し悪しを決めるKFSになっているため、スタジオを中に持ちます。このような専門のアニメ子会社を持ったことにより、環境や制度を整えて、有力な人材を確保していきます。
さらに、アニメ化した作品をキャラクターマーチャンダイジングとして、展開を戦略統一し、売上も伸ばしていこうと思っています。設立は、2025年6月20日の予定です。
中期ビジョン 目指す経営指標と定量目標
中期ビジョンの進捗状況です。目標は変えていません。ROEは15パーセント以上、2027年度の売上は600億円、営業利益は60億円を目標に動いています。
中期ビジョン 基本方針
構造も変えていません。
中期ビジョン 24年度進捗
今の進捗状況は、ROEが7.3パーセント、売上が443億円、営業利益が22億円です。こちらから、2027年に営業利益60億円を目指していきます。
ROE向上に対する考え方
ROEを分割すると、スライドのとおりです。
ROE 24年度進捗
ROEの進捗は、スライドのとおりです。
株主還元策と経営指標
株主還元と経営指標です。配当性向40パーセントまたはDOE(株主資本配当率)5パーセントを参考指標としながら、累進配当を続けています。普通配当は、維持もしくは増配を続けていきますので、今後の当社の成長にご期待ください。
質疑応答:フリュー・ピクチャーズの将来について
質問者:三嶋社長、長い間社長業を本当にありがとうございました。私はあまり説明会で社長退任の時に、このようなことを言うタイプではありませんが、三嶋社長がいらっしゃる前のフリューは、IRを積極的に行っていませんでした。
しかし三嶋社長が着任してから、新型コロナウイルス感染症の流行などもあり、今も苦しい状況ですが、ここまで業績が伸び、投資家からの注目もかなり高まったと思います。新しい社長も、IRへの積極的なスタンスは続けていただけたらと思います。本当に、思い出に残る経営者だったと思います。
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