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アドソル日進株式会社3837

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篠﨑俊明氏(以下、篠﨑):アドソル日進株式会社代表取締役社長の篠﨑俊明です。本日はお忙しい中、決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。本日は、スライドに記載の項目についてご説明します。

初めに業績ハイライトとありますが、業績を総括する前に、10月22日に発表した通期業績予想の上方修正についてご説明します。

2026年3月期 通期業績予想 上方修正

今期は、エネルギー分野の電力領域やサービス分野の決済・カード領域を中心に、システム刷新やDX案件が非常に好調に推移しています。これらの事業環境を踏まえ、通期の売上高を171億円に上方修正しました。

営業利益については、AI対応や人材育成など、来期以降の持続的な成長につながる戦略投資を積極的に行いながら、期初予想をさらに更新することが可能だと判断し、21億円としました。手綱を緩めることなく、経営に取り組んでいきます。

2026年3月期 第2四半期(中間期) 業績ポイント :エネルギー(電力領域) 成長のポイント

当社の今期の成長を象徴するのが、主力事業である電力領域です。

スライドに記載のとおり、数年前と比べて売上が大きく伸びただけでなく、ビジネスの主体においても、中期経営計画でベースロードビジネスと位置付けて取り組みを強化してきたDX/モダナイゼーション案件となりました。

この3年、メーカーとの共同で進める大型案件に加え、電力各社との直接取引を拡大し、DXを中心とした多様な案件でワンストップサービスを拡大させてきました。その成果が実を結びつつあると考えています。

さらに、成長事業である次世代エネルギーでは、エネルギーマネジメントや再生エネルギー関連で少しずつ芽が出てきました。すでに、来期以降の大型案件獲得に向けたコンサルティングを通じた提案も進めています。来期以降の成長にもご期待ください。

さらなる飛躍へ : 注力領域の進捗

さらなる成長と発展を実現するため、今期は次世代SIビジネスモデルの確立を目指し、スライドに記載の取り組みを進めました。

詳細については後ほどあらためてご説明しますが、コンサルティング、システム開発の新サービスである「LeapX(リープクロス)」、AIコンサルティングとエンジニアリングの新サービスである「+AIdea(プラスアイディア)」、それぞれで着実に成果が出てきています。

従来の受託開発にとどまらず、新たな次世代SIビジネスモデルが着実に形になってきていると感じています。

さらなる飛躍へ : 人的資本の強化

次世代SIビジネスモデル、ひいては企業の成長を支えるのは人的資本です。新卒採用では、当初の採用予定人数70名を上回る72名が内定しています。

すでに内定者の教育研修がスタートしており、アジャイル開発やAI、データマネジメントなどのより高度な技術を早期に習得できるよう、基礎固めに取り組んでいます。

また、社員のエンゲージメント向上施策として子育て支援施策を充実させたことが評価され、先日、厚生労働省の「くるみん」の認定も取得しました。

2026年3月期 期末配当予想 修正 (増配)

なお、株主還元については、業績予想の上方修正に合わせ、今期の期末配当の増配を発表しました。年間配当金は期初予想から4円増配、前期比11円増配となる41円を予定しており、これにより16期連続増配を達成する見込みです。

2026年3月期 第2四半期(中間期) 損益計算書

次に、2026年3月期第2四半期の連結業績についてご説明します。損益計算書は、スライドのとおりです。売上高は85億600万円、前年同期比11.2パーセントの増収となり、第2四半期として過去最高を更新しました。

利益については、増収効果に加え、契約条件の見直しやコンサルティングへのシフトが進展したことで、売上総利益率が前年比1.0ポイント良化しました。

こちらが販売管理費の増加を吸収した結果、営業利益は11億300万円と、前年同期比25.4パーセントの増益を達成しました。営業利益率は13.0パーセントとなり、いずれも過去最高を更新しています。

2026年3月期 第2四半期(中間期) セグメント別業績 (売上高)

セグメント別の業績についてです。社会インフラ事業の売上高は、前年同期比13.4パーセント増の54億9,000万円となりました。こちらは、電力を中心としたエネルギー、交通・運輸、公共分野の売上増加が貢献しました。

先進インダストリー事業の売上高は、前年同期比7.3パーセント増収の30億1,600万円となりました。これは、サービス分野の決済・カード領域において、DX・データマネジメント案件が引き続き拡大したことによるものです。

2026年3月期 第2四半期(中間期) セグメント別業績 (受注高・受注残高)

先行指標となる受注高・受注残高の状況です。好調なDX案件にビジネスを集中した結果、受注高は前年同期比20.2パーセント増の86億3,100万円、受注残高は前年同期比17.7パーセント増の33億7,300万円となり、いずれも第2四半期として過去最高を更新しました。

四半期推移(売上高・受注高・受注残高)

四半期業績では、売上高がすべての四半期を通じて過去最高を記録し、受注高・受注残高も第2四半期として過去最高となりました。

特に受注高においては、この3年間で成長戦略やビジネスシフトを進める中で、いわゆる受託開発にとどまらず、直接取引を増やしながら自ら提案するスタイルへと変化させてきました。また、DXやデジタル案件、コンサル案件など、技術力を十分に発揮できる難易度の高い案件にも取り組んできました。

その結果、規模・内容ともに多種多様な案件を複数同時に対応しながら、収益性を向上させることができ、それが確実に数字にも表れています。今回の過去最高は、これまでとは一味違い、当社の強さが示されていると思います。

2026年3月期 第2四半期(中間期) 経常利益増減分析

次に、経常利益の分析です。増収効果や原価率の改善が販売管理費の増加を上回り、前年同期比25.4パーセント増の11億3,600万円となりました。

2026年3月期 第2四半期(中間期) 貸借対照表

貸借対照表はスライドのとおりです。

2026年3月期 第2四半期(中間期) キャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フローはスライドのとおりです。

2026年3月期 注力ポイント

続いて、成長戦略の進捗についてご説明します。冒頭でも触れましたが、次世代SIビジネスモデルの確立に向け、今期はスライドの5つのポイントに注力しています。今回はこのうち、コンサルティング、アジャイル開発、AIについてご説明します。

次世代SIビジネスモデルの確立へ : コンサルティング

まず、コンサルティング強化に向けた取り組みについてです。昨年からコンサルタント候補者を選抜し、本格的な育成を進めています。

現在、58名のコンサルタントのリソースをGIS(地理情報システム)、「LeapX(リープクロス)」、AIの3つに集中させ、顧客課題の分析に基づくオファリング提案によって受注に結びつけています。

今期中にコンサルタント100名以上の体制を確立し、コンサルビジネスの拡大と収益性の強化を目指していきます。

次世代SIビジネスモデルの確立へ : GIS(地理情報システム) - データ利活用 × AI -

コンサルティング強化の成果が現れている領域の1つに、今後のスマートシティやまち作りに欠かせないGIS(地理情報システム)があります。

GISは、電力領域を中心に、社会インフラ企業におけるニーズが高まっており、設備保全やレガシーシステムのDXにおいて複数のコンサルティング案件が進行中です。

また、オリジナルの証券分析ソリューション「DOCOYA(ドコヤ)」は、新聞や雑誌で紹介されるなど注目を集めています。「提案に来てほしい」という声も増えており、企業からのリクエスト件数は100件を突破しました。ビジネス拡大の大きなチャンスと捉え、引き続き注力していきます。

次世代SIビジネスモデルの確立へ : LeapX - アジャイル開発・データ利活用 -

システム開発のナレッジをサービス化して提供する「LeapX(リープクロス)」についても、アジャイル、クラウド、データマネジメントの3つの分野でお客さまへの提案活動を進め、上期は9件を受注しました。

特に、ベトナムのダナンを活用したアジャイル開発という独自の強みが評価され、「AgileLeap(アジャイルリープ)」の受注を多く獲得できました。

また、昨今業績が急拡大している決済・カード領域でも、クレジット会社向け案件でデータマネジメントの「D×DLeap(ディーディーリープ)」を受注するなど、幅広い分野で実績を上げています。

次世代SIビジネスモデルの確立へ : LeapX - アジャイル開発 -

今期のお客さまの動向から見ても、アジャイル開発のニーズはさらに高まると考えています。実際に、アメリカではアジャイル開発の導入率が8割を超えているという調査結果もあります。

今後は日本にも到来すると予測されるアジャイル導入の波を確実に捉えるため、当社は「AgileLeap(アジャイルリープ)」の強化に取り組んでいます。

その1つが、ハイブリッドアジャイル開発の提供です。ウォーターフォールとアジャイルのメリットを組み合わせることで、アジャイル開発を検討する際に課題となりがちな予算管理や品質管理のハードルを解消し、市場の拡大に挑戦していきます。

この取り組みを支えるアジャイル技術者についても、2027年3月期に100名体制を目標と掲げ、育成に取り組み始めています。

次世代SIビジネスモデルの確立へ : AI - アドソル日進のあゆみ -

また、急速に市場拡大が進むAIへの取り組みも進めています。当社はこれまで、産業技術総合研究所のAI活動への参画や、東京大学との共同研究などを通じ、AIに関する知見と技術を磨いてきました。

次世代SIビジネスモデルの確立へ : AI - AI活用の現況と予想 -

みなさまもご存じのとおり、生成AIはすでに日常生活に深く入り込んでいます。企業においても、その活用は個人の作業からシステム開発への適用、業務プロセス全体の最適化というように、組織やプロジェクトでの活用へと急速に進化しています。

一方、組織やプロジェクトでAIを活用するには、AI品質の向上やAIガバナンスが非常に重要なポイントとなります。

当社は長年の研究活動に裏付けられた確かな技術を基に、今後の組織やプロジェクトへのAI活用に注力していく方針です。

次世代SIビジネスモデルの確立へ : AI - AIのアドソルへ -

組織やプロジェクトへのAI適用については、すでにお客さまから多くのご相談をいただき、複数の受注も獲得しています。

こちらのスライドで紹介しているのは一例ですが、業務効率化や高度化に貢献するAIシステムの構築や、AI品質に関するコンサルティングにおいて実績が出てきています。

システム開発の現場におけるAI活用については、開発業務の効率化に向けて、当社独自の生成AI「AdsolChat(アドソルチャット)」が行動を自動生成し、処理する機能の組み込みを進めています。

次世代SIビジネスモデルの確立へ : AI - コンサルティング&エンジニアリングサービス 「+AIdea」 -

これらの研究成果やAIビジネスの実績を集約し、10月からAIコンサルティングおよびAIエンジニアリングの新サービス「+AIdea(プラスアイディア)」の提供を開始しました。

導入フェーズに合わせて最適なアイデアを提案し、システムの設計、開発、導入後の効果測定までトータルでサポートします。

サービス開始に先駆け、期初からAIエキスパート100名体制を目指した育成強化も進めてきました。今後は「+AIdea」を中心とした提案活動を強化し、AIビジネスのさらなる拡大に取り組んでいきます。

通期業績予想を上方修正 / 期末配当を増配

最後に、これらの成長戦略に基づく2026年3月期の業績予想および配当予想についてご説明します。

冒頭にお話ししたとおり、先日、通期業績予想を上方修正しました。繰り返しの説明となりますが、売上高は171億円、営業利益は、来期以降のさらなる成長につなげるために、本日ご説明したコンサルタント人材やAI対応といった戦略投資を積極的に行いながら、期初予想を上回る21億円を目指します。

年間配当予想は、41円としています。株主のみなさまへの還元強化にも、引き続き取り組んでいきます。

以上で、2026年3月期第2四半期の説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:期初予想修正において上振れた領域について

司会者:「2025年10月22日に通期業績予想を上方修正し、売上高を期初予想から7億円増となる171億円とされましたが、期初の想定と比べ、上振れた領域を教えてください」というご質問です。

篠﨑:エネルギー(電力)およびサービス(決済・カード)分野が非常に好調であり、下期以降も引き続きビジネスの拡大を見込んでいます。また、リソースを集中投下している交通・運輸のうち、特に鉄道領域が大きく伸びました。

これらの好調な領域に共通しているのは、中期経営計画で謳っているDX・モダナイゼーション案件の引き合いが増加していることであり、下期以降さらなる拡大が期待できる状況です。こうした機運を捉え、リソースを集中するとともに、来期以降の成長に向けた先行投資を継続しながら、今期売上高171億円の達成を目指しています。

売上高だけではなく、収益性向上にもこれらのビジネスが寄与しています。今期の営業利益を21億円に上方修正しましたが、売上高同様、エネルギー(電力)、サービス(決済・カード)、交通の増収が牽引していくと見込んでいます。ぜひご期待ください。

質疑応答:AI効率化と人員増加の必要性について

司会者:「AI活用の進展と効率化を見越し、人材獲得を抑制する企業も出てきています。その中で、御社が人材採用を強化している理由と今後の採用見通しを教えてください」というご質問です。

篠﨑:当社の現在の規模、社員数を踏まえ、本日お話しした成長戦略を実行し、中長期的な成長を実現するためには、体制強化のための人材獲得が不可欠と考えています。なお、先日実施した内定式には内定者72名が出席し、来年の4月に入社する予定です。

数千人から数万人規模の大手IT企業とは異なり、当社はまだまだ人材を増やし、強化しながら対応していくべき課題が多くあります。たとえば成長戦略で掲げた「次世代SIビジネスモデル」に進化し、コンサルタント100名、AIエキスパート100名体制を実現するためには、現状ではまだ人材が不足しています。

もちろん、AIを活用したシステム開発をはじめ、業務効率化も並行して進めていますが、一方でAIを使いこなせる高度IT人材の集団になることが、成長戦略の実行には必須だと考えています。したがって、来期以降も人材採用を強化していく方針です。

質疑応答:下期の売上高、営業利益率低下要因について

司会者:「営業利益率が上期と比べて下期は低下する予想になっていますが、成長投資以外で低下の要因があれば教えてください」というご質問です。

篠﨑:上期に比べて下期に営業利益率が低下する要因は、成長投資以外にはありません。投資の具体的内容は、当社の今後の成長に必要不可欠な高度IT人材の育成や社員の処遇改定です。

また、「+AIdea(プラスアイディア)」をはじめ、「LeapX(リープクロス)」や「DOCOYA(ドコヤ)」といったソリューションの開発・提供にも注力していきます。顧客のニーズに沿った、新たなソリューション開発にも積極的に投資していきます。

質疑応答:日本政府の成長戦略を意識した自社の取り組みについて

司会者:「高市首相の日本成長戦略のテーマと親和性の高いビジネスをされているという印象です。今後、この戦略を意識し、さらに強化する事業やビジネス展開について、社長のお考えをお聞かせください」というご質問です。

篠﨑:当社は創業以来、社会インフラ向けITシステム開発を中心にビジネスを展開しています。現在の主力は、エネルギー(電力・ガス)向けです。

先日高市首相が発表された日本成長戦略の17分野のうち、関連するテーマは複数ありますが、特に、本業である「情報通信」はもちろん、主力ビジネスであるエネルギー分野に関連するテーマとして、「AI・半導体」、また「資源・エネルギー安全保障・GX(グリーントランスフォーメーション)」が挙げられていますので、ここに注力していきたいと考えています。

また、社会インフラに関わるテーマとしても「防衛産業」、「防災・国土強靱化」、さらに私たちが注力する「航空・宇宙」、「デジタル・サイバーセキュリティ」など、幅広い分野でお客さまの投資が期待でき、当社の強みを発揮できると考えています。今後発表を予定している次期中期経営計画の中に、具体策を織り込むことも検討していきます。

質疑応答:次世代SIビジネスモデルの受注割合と展望について

司会者:「2026年3月期中間期は増収に加え、売上の内容も次世代SIビジネスモデルの比率が高まったと理解しています。下期以降の受注・売上高において、どの程度の割合が次世代SIビジネスモデルになると見込んでいますか?」というご質問です。

篠﨑:今後、これまでの受託開発型のSIビジネスモデルから、顧客課題の分析に基づきオファリング提案を行う「次世代SIビジネスモデル」の実現に向けて、現在成長戦略を進めています。

その中で、「LeapX(リープクロス)」「+AIdea(プラスアイディア)」をはじめとしたソリューション、コンサルティングや高度エンジニアリング提案の割合を増やしていきたいと考えています。具体的な数値目標は今後検討していきますが、例えば「LeapX(リープクロス)」に限れば、今期売上高の10パーセント程度以上は目指せるのではないかと考えています。

これからの時代は、お客さまのニーズに的確かつスピーディーに応える主体的な提案が求められます。それを実現し、来期以降の躍進につなげるべく、引き続きソリューションの強化や人材育成に取り組んでいきますので、ぜひご期待ください。

質疑応答:AIサービス「+AIdea」の差別化要素とお客さまの反応について

司会者:「10月にリリースされた「+AIdea(プラスアイディア)」の他社サービスとの違いや競争優位性を教えてください。特定の産業領域のニーズに合わせたサービスでしょうか? また、引き合いや反応はいかがでしょうか?」というご質問です。

篠﨑:当社が10月に提供を開始した「+AIdea(プラスアイディア)」は、単なるパッケージやツールではなく、当社のAI研究所を中心に長年取り組んできたAI品質やガバナンスに関する知見・ノウハウを集約したサービスです。特に、AIエンジニアリング、コンサルティングを中心に提供していきます。

AI活用が急速に広がる中で、単にAIを導入するだけでは効果を最大化できません。そこで、AIの魅力を十分に引き出し、適切に運用していくための支援を「+AIdea(プラスアイディア)」が担います。

他社サービスとの最大の差別化要素は、当社の長年にわたる確かな研究開発に裏付けられた「AI品質」や「AIガバナンス」に関する知見・ノウハウです。これにより、安心してAIを活用いただける点が競争優位性となっています。

質疑応答:今期予想の進捗と順調な分野・課題について

司会者:「本日は、5つの注力領域のうち3分野についてご説明いただきましたが、社長のご見解として、予想より順調だった分野、また、やや不満が残る分野をお聞かせください」というご質問です。

篠﨑:今期の当社注力領域は、コンサルティング、アジャイル開発、AI、データマネジメント、そして私たちが創業以来50年取り組んできたSI開発に大別できます。

特にアジャイル開発とデータマネジメントは、この上半期、非常に順調に推移しました。アジャイル開発に関しては、日本国内でも導入を進めるお客さまが増え、受注や引き合いも拡大しています。「LeapX(リープクロス)」シリーズに「AgileLeap(アジャイルリープ)」を設けたことや、ベトナム・ダナンにアジャイル専門チームを有していることが大きな差別化要素になっています。

また、DXの流れを受けてデータマネジメントに特化した組織を設置した結果、この数年で大きく成長しました。高度なデータマネジメントサービスを提供する組織へと進化し、従来の社会インフラ領域を超えて、幅広い業界、お客さまにデータマネジメントビジネスを展開できていることは大きな成果だと考えています。

一方、コンサルティングやオファリング提案の体制づくりを早期に進め、コンサルティング100名体制を築き、機能させることが私の目標であり、課題といえる分野だと認識しています。

また、ソリューション(GIS:地理情報システム関連)については、次世代SIビジネスモデルの軸となるアジャイル開発やデータマネジメント分野の拡大、さらにはコンサルティングやAIとも組み合わせ、さらなる成長を目指していきたいと考えています。長年の経験により培った基礎技術から、新しいエンジニアリングやサービスが循環・共創する仕組みを構築していくことが重要であり、私自身が率先して取り組んでいきます。

質疑応答:コンサル人材の育成について

司会者:「中長期的な成長においてコンサル人材の確保がボトルネックとなりそうですが、業界全体で人材不足が続く中、早期育成や中途採用、内製化、業務提携など、御社独自の人材強化策があれば教えてください」というご質問です。

篠﨑:コンサルタントの育成に加え、AIエキスパートの育成も含め、多くの人材が必要となっています。そして、人材を確保するだけではなく、育成のスピードも非常に重要ですので、教育の仕組みが鍵となります。

当社は2023年に社長直轄の組織として「人財開発センター」を設立し、戦略的な人材教育の仕組みづくりに取り組んでいます。年間を通じた一般的な人材教育とは異なり、ピンポイントで強化すべきスキルに焦点を当てた教育を実施しており、すでにコンサルタント教育を受けたコンサルタント85名が、実績を積んでいます。コンサルティング100名体制の構築に向け、人財開発センターの活躍が当社の人材強化策の中核と考えています。

一方、当社のコンサルティングビジネスは、幅広い業種・業界を対象にするのではなく、創業以来50年間取り組んできた社会インフラ領域に特化しています。これまで培ってきたノウハウや技術を活かし、社会インフラに特化したコンサルタント教育を効率的に実施できる点が大きな特徴です。

また、コンサルティングにとどまらず、その後のシステム開発から導入、保守・運用までワンストップでサービスを提供するため、社員だけでなく、パートナー企業との連携、教育にも力を入れています。さらに、ベトナムにおいては、アジャイル開発だけではなく、コンサルタント育成も徐々に進めています。

このように、当社は「社会インフラに特化したコンサルティング」という明確なターゲット設定と、社会インフラ領域における豊富な実績・ノウハウを活かした組織的な教育体制を構築しています。今後も早期のコンサルティング体制強化に取り組んでいきます。

質疑応答:AIの効率化による新卒採用方針への影響について

司会者:「AIによる業務効率化が進む中で、エンジニアに求められる資質も変化すると考えられます。これまでの採用方針を変更するご予定はありますか?」というご質問です。

篠﨑:採用方針を大きく変える予定はありません。

ただし、AIに限らず、専門性を持った人材の採用にはここ数年注力しており、特に、当社ならではの社会インフラ領域やソリューション分野で専門性を有する人材の採用を強化しています。

例えば、当社が力を入れているGIS(地理情報システム)分野では、大学でGISや位置情報システムを専門的に学んだ学生を積極的に採用してきた実績があります。同様にAI分野においてもAI技術そのものを学んだ人材や、AI活用に欠かせないプロンプト技術に強みをもつ学生の採用を進めたいと考えています。

採用面では、当社は、ジョブ型の人事制度を導入しており、新卒採用時点から職種を明確にしたかたちで専門性を持つ人材を迎え入れることが可能です。これにより、教育期間の短縮と効率的な育成を実現し、AIによる効率化が進むビジネス環境にも対応できると考えています。

質疑応答:社員1,000名体制の目標時期について

司会者:「御社の事業の柱が開発事業である以上、人員の増加ペースが重要なポイントになると考えます。例えば、従業員・エンジニア数で1,000名体制に到達するのはいつ頃を想定されていますか?」というご質問です。

篠﨑:今後、さまざまな事業を進めていく上で、「社員1,000名体制」を1つの目標としています。具体的な時期としては、私自身、3年、5年先を見据え、2030年を1つの節目、目標にしたいと考えています。

AIによる効率化が進む中で、人員をどこまで拡大していくべきかというご指摘もあるかと思います。ただ、当社はまだ社員数600名強の中堅規模の企業であり、成長戦略を確実に実現していくためには、一定の規模、1,000名体制が必要だと考えています。

1,000名体制の実現に加えて、パートナー企業やアライアンス企業との協力体制、さらにグループ会社であるアドソルアジアを通じたベトナムでの開発体制も組み合わせることで、総勢2,000名規模の体制を視野に入れています。この規模でビジネスに取り組むことで国内外の大手IT企業と中にあってもしっかりと存在感を発揮し、成長を続けていけると考えています。

質疑応答:新卒の早期戦力化について

司会者:「内定者向けの研修を実施されているとのことですが、新卒社員の戦略化は来期以降早まるのでしょうか? また、現時点でも新卒社員の戦力化は早期化していますか? 生産性向上が待遇改善の前提条件と考えていますが、その点についても教えてください」というご質問です。

篠﨑:内定者研修はこれまでも実施しています。したがって、現場投入のタイミングが、今回から特に早まる予定はありません。

一方、例えばAI分野では日々新しい技術が登場しています。そのため、市場やお客さまのニーズ、当社の戦略に応じた教育内容の変更や質の向上には常に取り組んでいます。また、スピード感を持ちながらも、十分な時間をかけてしっかり教育を行ってきた、従来からの方針にも変わりはありません。

当社では創業以来、教育や資格取得支援を通じて社員のモチベーション向上に注力しており、これは私たちの強みのひとつだと考えています。今後も引き続き力を入れていきます。

次に、ご指摘のとおり、生産性の改善は、待遇改善の1つの要素であると認識しています。一方、当社は、いわゆる受託開発から次世代SIビジネスモデルへの進化を進めています。

コンサルティングやオファリング提案を含む上流工程の強化、さらに「+AIdea(プラスアイディア)」や「LeapX(リープクロス)」、GIS(地理情報システム)をはじめとしたソリューション拡充により、開発業務以外の売上比率を大きく伸ばすことが収益性の向上につながると考えています。

これらの取り組みを総合的に進めることで、収益力を強化し、あわせて待遇改善も段階的に実施していく予定です。今後の当社の取り組みにぜひご期待ください。

篠﨑氏からのご挨拶

本日はご多用の中、ご出席いただき誠にありがとうございました。質疑応答を通じ、みなさまからのご期待をあらためて強く感じました。

株主、投資家のみなさまに当社の目指す方向性をご理解いただき、その成長を実感していただくことが、市場でのさらなる高評価や向上につながると考えています。

引き続き、役員および社員一同、全力で邁進していきます。今後ともご支援とご指導を賜りますようお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。

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