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【為替とS&P500】円安ドル高の今、積立投資は続けて大丈夫なのか?ハッチの投資成績も公開します!|米国株/投資信託

岡元兵八郎氏:みなさま、こんにちは。マネックス証券のハッチこと岡元兵八郎です。2025年8月のハッチの米国積立投資クラブです。今月もよろしくお願いします。この番組は、米国株の積立投資で長期投資を行い、資産形成を目指す個人投資家を応援するコンテンツです。

アメリカにとどまらず世界を代表する株価指数のS&P500は、足元で史上最高値を更新し、歴史的にも極めて高いレベルにあります。このような状況下で、S&P500に積立投資を続けてきた人の中には、「ここまで上がったのだから、そろそろ利益確定すべきではないか?」「ドルを売って円に変えることを考えると、ドルはまだ高値圏にある。一度売っておいたほうが良いのではないか?」という疑問を持つ方もいるでしょう。

しかし、僕はこれまで積み上げてきたS&P500への積立投資をここで売却するつもりはまったくありません。

アメリカ経済の成長ポテンシャル

そもそも、僕は米国株への投資は長期投資を前提として行っています。その理由は明解です。日本と比べて、米国経済にははるかに高い成長のポテンシャルが今後もあると確信しているからです。人口は今後も増加傾向が続き、経済規模も拡大を続ける見通しです。

さらに、イノベーションが生まれやすい土壌が整っており、マグニフィセント・セブン(巨大テック企業7社)のようなすばらしい企業群がマーケットを牽引しています。そして、今後もマグニフィセント・セブンに続く企業が次々に登場するという期待感もあります。

一方で、「確かに米国経済や企業の将来性は魅力的だが、今は為替が気になる。ドルが対円であまりにも高すぎるのではないか」「もし今後アメリカで利下げがありドル安が進めば、せっかくのS&P500の円建て価値が減ってしまうのではないか」という懸念を抱く投資家も少なくないでしょう。

今回は、為替リスクを理由にS&P500への積立投資を売却すべきかどうかを考えているみなさまに向けて、米国株投資をするにあたっての為替の考え方についてお話しします。

今月のトピックス

今月はスライドに記載の流れでご説明します。

米国株投資をするにあたっての為替の考え方

「今のうちにドル資産を売却して、為替が円高に触れてから買い戻した方が合理的ではないか?」と考える投資家の方もいるかと思います。その気持ちは、僕にもよくわかります。ただ、本当にその戦略が合理的なのでしょうか。スライドのデータをご覧ください。

こちらは、1989年末からこれまでのドル円のチャートです。この期間中、ドルが円に対して下落した時期もあります。そのような期間にドル建て資産を保有していた場合、円ベースで見た資産価値は目減りしていた可能性は確かにあります。

基本的なことですが、僕たちが行っているのは長期投資です。日々の為替の変動に一喜一憂すべきではないのです。

S&P500のプラスリターンの確率

ここでみなさまに質問です。S&P500の1日あたりのリターンがプラスになる確率はどのくらいだと思いますか? 1990年からのデータによると、ドル建てでプラスになる確率は54.2パーセントで、円建てでプラスになる確率は54.0パーセントです。わずかな差はありますが、ほとんど変わらない水準です。

これを月次ベースで見てみると、ドル建てでプラスになる確率は65.7パーセントで、円建てでプラスになる確率は62.9パーセントです。つまり、S&P500を1ヶ月間保有すると、1日単位と比べ、プラスになる確率が高まるのです。

四半期ベースのリターンについては、こちらのスライドをご覧ください。

1990年以降、S&P500に四半期単位で投資を行っていた場合、プラスになる確率はドル建てで73.2パーセント、円建てで69.7パーセントになります。このデータからわかるように、保有期間が長くなるほど、プラスになる確率は高まる傾向にあります。

では、年間ベースで見るとどうでしょうか? S&P500への積立投資が1年を通してプラスになる確率は、円建てのリターンで見ても74.3パーセントに上昇します。

さらに、15年間保有した場合の円建てのリターンを見ると、その結果は驚くべきものです。1990年以降、15年間すべての投資期間において、円建てでも100パーセントの確率でプラスとなっているんです。

つまり、円安局面を含む為替の変動があったとしても、15年間保有し続けた場合、マイナスになった期間は1度もなかったということです。このことは、長期的な視点でのS&P500への継続的な積立投資は、円ベースであってもプラスになるリターンをもたらしたことを示しています。

さらに、もう1つ重要な事実があります。1989年末から2024年末までの長期投資を行った場合、なんと円建てのリターンは284パーセントです。

一方で、ドル建てのリターンは268パーセントでした。円建て、つまり、我々日本人が得たリターンのほうが、アメリカ人の投資家がドルで得たリターンを上回っているのです。これは円安局面が長期的に投資リターンに対して追い風になり、為替リスクが「リスク」ではなく「リターン」になったことを意味します。

こういったデータを踏まえると、目先の為替や市場の動きにとらわれすぎず、長期的な視点で資産形成を続けることの合理性が見えてきます。みなさま、そう思いませんか?

S&P500積立投資の過去の実例

参考までに、過去10年間、毎月月末にS&P500へ1万円ずつ積立投資を行っていたと仮定すると、投資元本の合計は120万円となりますが、その資産は現在およそ338万円まで増えています。すなわち、約218万円の利益、リターンはおよそ82パーセントに相当します。

同様に、過去20年間、毎月月末にS&P500へ1万円ずつ積立投資を行っていた場合、累計投資額は240万円ですが、資産評価額は約1,523万円に達しています。これは、約1283万円の利益、投資元本の5倍を超えるリターンを実現できたことになります。

結論:積立で長期投資をするのであれば、為替は気にしないほうが良い

ここで、今回のまとめです。株式市場において絶対ということはありえませんし、過去の成績がこれからの利益を保障するわけではありません。しかし、株式投資は確率に基づいたゲームのようなものです。

1989年以降を振り返ると、ドル安の時期はいくつもありました。それでもS&P500に投資をしていた人たちは、長い目で見ればかなりのリターンを得ることができました。為替のリスクを取っても、それ以上のリターンがあったということです。

もしこれからドル安が進めば、積立投資をしている人にとって、S&P500を円建てで安く買い続けられるチャンスになります。つまり、毎月安く買えるということです。将来振り返った時、「あの時積立をやめずに続けていて良かった」と思える日がやってくると思います。ただ必要なのは、目先のことを追うのではなく、資産形成のために長期的な視点を忘れないことです。

ハッチのつみたて投資成績公開!

まだ5年も経っていませんが、2020年末から始まった「ハッチの米国つみたて投資クラブ」の成績、資産の推移をご紹介します。毎月コツコツと積立投資を行ってきました。この間の資産は、スライドに示したように増えていきました。

一時、2022年の市場の下落時にマイナスになったこともありました。しかし、ここでやめずに、下落時は投資金額を増やすなどして積立投資を継続しました。

S&P500の積立投資は今から始めても遅くないと思います。始めようかどうか悩んでいるあなた、ぜひ僕と一緒に積立投資を始めてみませんか?

では、ハッチの米国つみたて投資の成績を確認していきたいと思います。こちらが、現在僕が保有している銘柄のリストです。2020年12月4日から、S&P500連動型の投資信託を始めました。

これまで330万314円の投資を行いましたが、現時点では571万1,080円で、上昇率は73パーセントとなっています。

ハッチ注目の「テーマ型投資信託」ご紹介

現在の世の中ではデジタル化が進み、AIの発達などがよく話題になっていますが、それと同時に、社会に不可欠なインフラとしてサイバーセキュリティがますます重要性を増しています。サイバーセキュリティへの関心が高まる背景には、デジタル化の進展により利便性が向上する一方で、サイバー犯罪による被害が増加しているという現状があります。

個人情報の保護や企業の信頼性維持が一層重要視される中、サイバーセキュリティは社会の基盤を支える不可欠なインフラになると見られています。今回は、そんな社会の重要な役割を担うサイバーセキュリティ関連銘柄に投資する投資信託をご紹介します。

それは、三菱UFJアセットマネジメントの「サイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジなし)」です。日本を含む世界のサイバーセキュリティ関連企業の株式に投資を行う投資信託で、基準価格も堅調に推移しています。今後もデジタル化が加速すると考えると、サイバーセキュリティは非常に重要な要素として市場が拡大していくのではないかと見ています。

視聴者のみなさまから「AI以外に話題のテーマはありますか?」という質問もいただいているのですが、AIとともに市場の拡大が予想されるサイバーセキュリティ関連銘柄にもぜひ着目してみてください。

(※「ご意見・ご感想」のパートについては割愛します)

資産形成 成功の秘訣

毎回ご紹介している、とても大切な3つのポイントを紹介します。できるだけ長期的な視点で投資を行う、定時定額で投資を行う(ドルコスト平均法)、そしてマーケットが上がっても下がっても止めない(継続は力なり)。昔の人はよく言いました。「継続は力なり」まさにそのとおりです。みなさまも米国株式のインデックス投資で資産形成をやってみませんか?

毎日暑い日々が続いていますが、ぜひみなさまも元気にお過ごしください。そして来月、またお会いしましょう。

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