【QAあり】ワンダープラネット、今期は開発投資を継続も通期での営業黒字化を想定、「HUNTER×HUNTER NEN×SURVIVOR」は2026年に世界同時配信予定
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佐藤彰紀氏(以下、佐藤):ワンダープラネット株式会社2025年8月期通期決算説明会を開催します。本日はご多忙の中ご参加いただき、誠にありがとうございます。
本日は、代表取締役社長CEOの常川、取締役COO兼CFOの佐藤よりご報告します。
常川友樹氏:みなさま、本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。ワンダープラネット株式会社代表取締役社長CEOの常川です。
本日の流れについてご説明します。コーポレートサマリーと今後の事業の取り組みについては私が、2025年8月期第4四半期決算概要および2026年8月期通期見通しについては佐藤がご説明します。
IR投資家情報トップメッセージ
IR投資家情報トップのメッセージをそのまま読み上げます。
「世界へ【THE JAPAN IP】を届ける。ワンダープラネットは、《技術で世界のスキマ時間を夢中にさせる、日本発のモバイルカジュアルゲームカンパニー》として、日本が誇るIPコンテンツを安心して託される開発基盤・開発実績を強みに、その価値をグローバル市場で最大化することに取り組んでいます。」
このメッセージを掲げた背景として、当社はこれまでに日本を代表する多数のIPを扱うタイトルを開発・運営してきました。現在も、日本を代表するIPタイトルの新規開発を進めるとともに、新たなお問い合わせも継続的にいただいています。
このような状況を踏まえ、当社の強みを「日本を代表するIPを安心して託していただける会社」として、あらためて認識しました。今後、国策でもあるIPゲーム領域において唯一無二の存在感を発揮できるよう、さらなる成長を目指していきます。詳細は後ほどご説明します。
開発中タイトルの情報公開
まず、これまで開発中としてお伝えしていたもう1本の有力IPタイトルについてです。2025年10月3日、株式会社ブシロードとの共同開発タイトルとして、新作モバイルゲーム「HUNTER×HUNTER NEN×SURVIVOR」を発表しました。
本作は、世界中のすべての『HUNTER×HUNTER』ファンの方々に楽しんでいただけるゲームを目指し、2026年の世界同時配信に向けて現在、鋭意開発を進めています。
開発中タイトルの情報公開
また、前回、株式会社バンダイナムコエンターテインメントが制作・配信する「ジャンプ+ジャンブルラッシュ」の開発を当社が担当し、配信予定日を2025年秋頃とお伝えしていましたが、2025年9月24日より配信を開始しました。
会社概要
続いて、コーポレートサマリーについてです。
会社概要です。ワンダープラネットは名古屋を本社とし、東京にもオフィスがあります。事業内容はモバイルゲーム事業で、従業員数は2025年8月末時点で136名です。
ミッション
当社のミッションは「楽しいね!を、世界中の日常へ。」です。この短い文章には4つの大きな意味が含まれています。「楽しい」はゲームエンターテインメントを指し、そこに「ね!」を追加することで、友達や家族と共有できるものとなります。
そして、それを日本だけでなく世界中へ展開し、日常、つまり365日、毎日楽しく遊んでいただけるものを提供したいという思いが込められています。
ビジョンとバリュー
この度、新たに作成したビジョン、バリューについてご説明します。ビジョンは「技術で世界のスキマ時間を夢中にさせる、日本発のモバイルカジュアルゲームカンパニー」です。バリューはスライドに記載の10項目で構成されています。
当社は2012年の創業以来、世界モバイルゲーム市場においてヒットタイトルを生み出すべく、挑戦を続けてきました。近年では特に、当社が強みと実績を持つカジュアル性の高いIPタイトルに注力し、「世界へ【THE JAPAN IP】を届ける。」をテーマに複数の有力IPタイトルを開発しています。
今回の新ビジョン、バリューは、現在の当社が目指す未来像をより明確に示すものです。すべてのステークホルダーとその思いを共有し、グローバル市場における成長戦略の実現をさらに加速させます。
日本コンテンツの海外売上の市場トレンド
今後の取り組みについてご説明します。まず市場トレンドについてです。日本コンテンツの海外売上の市場トレンドでは、アニメやゲームなど日本コンテンツの海外展開が近年顕著に加速しており、2023年には5兆7,000億円と、日本で自動車に次ぐ産業規模にまで拡大しました。
IPゲーム領域は、今後も日本の中核産業として国策としても、さらなる成長が望まれる分野です。当社としても、拡大を続ける大きな市況トレンドの中で、責務をしっかり果たしていきたいと考えています。
世界メディアフランチャイズトップ17
世界メディアフランチャイズトップ17です。トップ17のうち、日本のIPは半数に近い7つがランクインしており、日本のIPがグローバル市場で競争優位を維持していることがわかります。
先ほどお話ししたとおり、日本のコンテンツ産業全体の市場規模は、日本のIPを主力として成長を続けています。当社は手段の1つであるモバイルゲームを通じて、その価値をグローバル市場で最大化することに引き続き注力していきます。
世界モバイルゲーム市場
世界モバイルゲーム市場についてです。世界のモバイルゲーム市場の中で最大の市場は北米で4兆1,800億円となっています。ただし、海外の各エリアや国単位でもそれぞれまとまった市場規模を有しており、各エリア、各国でのシェア拡大の重要性を認識しています。当社は今後もシェア拡大を目指して取り組んでいきます。
当社の強みや実績と目指す姿
当社の強みや実績、そして目指す姿についてです。「世界へ【THE JAPAN IP】を届ける。」に向けて、これまでの有力IPゲームおよびオリジナルゲームで培った強みを活かし、ヒット実績やカジュアル、グローバル、長期運営のノウハウを有していることから、日本を代表するIPを安心して託していただける会社であるとあらためて認識しています。
現在は主に3つの取り組みを進めており、その1つとして、IPホルダーとの関係構築を重視し、IPタイトルのヒット実績をもとに新たな協業タイトルの創出に注力しています。
そして、これまでお伝えしてきた継続的なIPゲームの開発や、当社で「SEED」と呼んでいる開発基盤の整備を推進することで、低コスト、短期間、高品質な開発・運営を実現しています。
目指す姿は「《技術で世界のスキマ時間を夢中にさせる、日本発のモバイルカジュアルゲームカンパニー》として、【THE JAPAN IP】を安心して託される唯一無二の会社になる」です。今後、国策として注目されるIPゲーム領域において、当社が唯一無二の存在感を発揮できるよう、さらなる成長を遂げ、将来の姿を目指していきたいと考えています。
新規タイトル開発の状況
新規タイトル開発の状況についてです。新規タイトル情報が公開され、「ジャンプ+ジャンブルラッシュ」は2025年9月24日に配信開始となりました。また「HUNTER×HUNTER NEN×SURVIVOR」は、2026年の世界同時配信に向けて鋭意開発を進めています。今後の新規タイトルについても、有力IPタイトルに注力する方針です。
開発基盤(SEED)の整備
開発基盤(SEED)の整備についてです。当社では共通の開発基盤として資産化し、これを競争力の強みの1つと位置付ける取り組みを進めています。この基盤により、低コスト、短期間、高品質という業界トップ水準の開発運営を実現していきます。
SEEDは常にアップデートを続けており、新規タイトルにも活用している状況です。
2025年8月期4Q決算 ハイライト①
佐藤:2025年8月期第4四半期決算概要についてご説明します。
まずはハイライトです。開発に取り組んでいた有力IPタイトル2本の情報が公開されました。これまでご説明してきた内容ですので、ここでは割愛します。
2025年8月期4Q決算 ハイライト②
次に業績面についてです。2025年8月期は事業成長に向けた成長投資を推進しましたが、第4四半期は営業黒字となったものの、通期では第3四半期までの営業赤字幅をカバーするには至りませんでした。
その要因として、「パンドランド」の売上が想定を大きく下回り、マーケティング投資の見直しや運営費削減に取り組んだものの、通期で会社全体の営業利益を大きく押し下げる結果となりました。
また、第3四半期の時点で、黒字化を目指しつつも、仮に黒字化できない場合は事業推進を優先することをお伝えしています。その方針のもと事業の進捗を優先し、投資を進めたため、新規タイトル開発や研究開発への投資が前期比で大きく拡大しました。
「クラフィ」については、10周年イベントが堅調に推移したものの、会社全体の営業赤字幅をカバーするには至りませんでした。
2026年8月期は、新規タイトルの事業成果に注力し、開発投資を継続する一方で業績への貢献も見込み、通期で営業黒字化を想定しています。
2025年8月期4Q 決算業績サマリー
第4四半期決算業績サマリーです。第4四半期の売上高は6億7,400万円で、前四半期比で41パーセント増加しました。営業利益は4,400万円で黒字転換しました。
通期では売上高が23億1,600万円で、前年比5.4パーセント減少、営業利益は前年比マイナス1億2,900万円で赤字転換となっています。
第4四半期の主な増収要因としては、「クラフィ」の10周年イベントが堅調に推移したことや、新規タイトルなどの開発・運営売上高が進捗に応じた数字となり、第4四半期の同売上高は2億4,000万円となりました。
一方、第4四半期の主な減益要因としては、新規タイトル開発投資や研究開発を大きく拡大させたこと、さらに「パンドランド」の売上が想定未達であったことが挙げられます。
売上高・営業利益の四半期と通期の推移
売上高と営業利益の四半期および通期の推移についてです。2025年8月期は、売上未達や成長投資の拡大により営業赤字となりました。しかし、業績改善後の直近3年度の累計では、営業利益の範囲内にとどめるコントロールができました。
今年度は、前期実績に一過性の要因が含まれていることを踏まえ、新規タイトルの事業成果に優先的に取り組み、通期の営業黒字化を目指して努めていきます。
PL
PLです。内容はスライドをご参照ください。
会社全体のコスト内訳の四半期推移
会社全体のコスト内訳の四半期推移です。第4四半期の会社全体のコストは6億2,900万円となりました。新規タイトル開発投資や研究開発投資を拡大させましたが、全体としては継続的な費用コントロールにより増加幅を抑制しています。
現在の新規タイトルの採用座組
現在の新規タイトルで採用している座組についてご説明します。現在開発中の新規タイトルでは、当社負担費用の抑制を重視し、その結果として事業利益が緩やかに拡大する座組を採用しています。
一般的な共同事業タイトルと比較するとリターンには時間がかかりますが、当社の投資余力を超える大規模プロジェクトへの参画がしやすくなります。また、当社の強みである「長期運営力」を活用し、中長期的に同等程度の累計収益機会の確保に努めていきます。
今後の新規タイトルにおいては、タイトルの投資規模や当社の投資余力などを勘案し、合理性に基づいて判断する予定です。
従業員数の推移
従業員数の推移についてです。第4四半期末の従業員数は136名で、当社の働き方や生産性向上への取り組みにより、現体制でこれまで以上の事業規模に対応できるよう努めています。
当社の働き方と生産性向上の取り組み
当社の働き方と生産性向上の取り組みについてです。AIの活用により、単なるコスト削減だけでなく、プロダクトの品質向上に注力し、同じ人員・コストでよりクオリティの高いゲームの提供を目指しています。
当社の働き方は、全社的にフルリモートワークに最適化された業務環境を整備しており、バーチャルオフィスの定着、電子データを前提とした業務体制の構築、リモートワーク環境の補助、フレックス制度の導入など、働きやすさを追求してきました。
その業務環境により、部門や職種にこだわることなく、AI活用を全社的に推進しやすい状況にあったと考えています。啓蒙と普及の取り組みとして、最新AIツールを全社に導入し、AI活用の推進や全社的なリテラシー向上に努めています。
また、標準化と実運用の段階として、各部門のAI専門ツールを業務プロセスへ本格導入するとともに、全社ガイドラインを整備中です。これにより、AI活用による新たな事業価値の創造や事業組織の再構築を進め、競争優位性の確立を目指しています。
BS
BSの状況についてです。後ほどご説明しますが、10月に3億8,000万円の借入を予定しています。
そのほか大きな動きはありませんでした。スライドをご参照ください。
借入の実施
借入の実施についてです。2025年10月に、合計3億8,000万円の借入を実施する予定です。この借入金額の一部については、借入期間を長期化することで財務基盤の一層の安定化を図ることを目的としています。
CF
キャッシュ・フローの詳細については、スライドをご参照ください。
株主構成
株主構成についてもスライドをご参照ください。特に大きな動きはありません。
2026年8月期 通期見通し
2026年8月期の通期見通しについてご説明します。
2026年8月期は、新規タイトルの事業成果に優先的に取り組み、開発投資を継続する一方、業績への貢献も見込み、通期で営業黒字化を想定しています。
新規タイトルについては、「HUNTER×HUNTER NEN×SURVIVOR」の2026年世界同時配信に向けた開発を進めるとともに、「ジャンプ+ジャンブルラッシュ」の開発にも引き続き取り組んでいきます。
「クラフィ」については、KPIの減衰を見込み、売上高は前期比減収を想定していますが、マーケティング投資や運営体制の適正化により、継続的な事業利益への貢献を見込んでいます。
なお、2026年8月期の業績予想は非開示としています。適正かつ合理的な業績予想が可能となり次第、開示する予定です。配当については、利益剰余金の改善を優先し、無配を予定しています。
2026年8月期 1Q想定
2026年8月期第1四半期の想定についてです。第1四半期では、前四半期比で「クラフィ」の反動減や開発投資の継続により、減収減益を見込んでいます。
売上高に関して、「HUNTER×HUNTER NEN×SURVIVOR」「ジャンプ+ジャンブルラッシュ」は開発進捗に応じた推移を想定し、「クラフィ」は10周年イベントの反動減を主因として前期第4四半期比で減収を見込んでいます。
営業利益については、売上に連動する支払手数料などが減少する一方で、新規タイトルの開発投資や研究開発投資を継続すると見込んでおり、前期第4四半期比で概ね同等のコストを想定しています。
ご説明は以上です。引き続き、企業価値の向上に努めていきます。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:有力IPホルダーから受注できる要因について
「有力IPホルダーがワンダープラネットにIPゲーム開発を依頼する一番の理由は何と考えていますか?」というご質問です。
当社では、経営陣の人脈やネットワークが重要な役割を果たしていると考えています。国内の有力なIPホルダーの経営陣や意思決定者、あるいは稟議承認に関わる層との関係性が、過去からのつながりも含めて構築されています。
このようなネットワークを活用し、ふだんの定期的な情報交換などを通じて、新たな協業タイトルの獲得につなげていけると期待しています。これまでも同様の流れで成果を上げてきましたので、今後も引き続きこのような活動を推進していきたいと思います。
質疑応答:「HUNTER×HUNTER NEN×SURVIVOR」の業績期待値について
「『HUNTER×HUNTER NEN×SURVIVOR』について、どのくらい業績期待値を見込んでいるのかについて教えてください」というご質問です。
まず前提として、主な経済条件などの情報については公表されている範囲以上の詳細な内容をお伝えできません。そのため、具体的な数字についてはお答えできないことをご理解いただければと思います。
しかし、当社の認識としては、これは事業戦略上の大きな分岐点となり得る、利益規模を大きく変える可能性を持つ非常に重要なプロジェクトであると位置付けています。
また、このタイトルに限らず、当社に求められていることは、新規タイトルの事業成果にあると認識しています。現在は、当タイトルの開発に会社一丸となって取り組んでおり、事業成功に向けて引き続き注力していきます。
「HUNTER×HUNTER」は日本を代表する著名なIPの1つであり、共同事業のパートナーであるブシロードと共に、世界中のすべての「HUNTER×HUNTER」ファンの方々に楽しんでいただけるゲームの提供を目指しています。
2026年に世界同時配信を予定しています。リリースを楽しみにお待ちいただけると幸いです。
質疑応答:新規タイトルの業績動向と利益コントロールについて
「2026年8月期は新規タイトルの事業成果に優先的に取り組み、通期での営業黒字化を想定とのことですが、業績の内訳や方向性など考え方を教えてください」というご質問です。
先ほどのご質問でもお答えしましたが、当社に求められているのは新規タイトルの事業成果であると認識しています。
業績においても方向性は同様であり、2026年8月期には新規タイトルの業績動向が大きな影響を与えると想定しています。そのため、特に新規タイトルの今後の進捗動向にご注目いただければと思います。
会社全体では、新規タイトルがどのようなケースになるのか、進捗動向に合わせつつ、11年目を迎える「クラッシュフィーバー」などの投資額を調整しながら進めています。さまざまなケースに対応しながら、会社全体の利益コントロールに努めていく方針で、今期の流れを考えています。
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