霞ヶ関キャピタル、第1期中期経営計画目標を1年前倒しで達成 当期純利益予想も165億円へ上方修正
2025年8月期 決算サマリー
河本幸士郎氏(以下、河本):みなさま、こんにちは。代表取締役社長の河本です。2025年8月期の霞ヶ関キャピタル決算説明を始めます。まずはサマリーについてお話しします。
2025年8月期のおさらいです。1つ目は、当期純利益が102億円だった点です。4年前の2021年10月の決算説明会で「5年間で純利益を10倍の100億円にします」とお伝えした際には、懐疑的に思われた方も多かったかもしれませんが、5年ではなく4年で100億円を達成しました。
2つ目として、ホテルのJ-REIT、物流施設の私募ファンド、ヘルスケア施設の私募ファンドを合計で1,500億円規模で組成しました。当社のビジネスモデルは、第1フェーズでは土地を取得し計画を策定、第2フェーズでは開発ファンドを活用して建物を建設し、第3フェーズで完成した物件を中長期運用型の安定ファンドに移して運用するというものです。
REITや私募ファンドは、この第3フェーズに該当します。この1年は、当社の主力アセットである3つの分野それぞれで、ビジネスモデルを完遂できた年だったと言えます。
3つ目についてです。2025年8月期は収益構造に大きな変化があり、粗利総額の約30パーセントが成功報酬による利益となりました。これは、REITをはじめとした中長期運用型ファンドを組成したことが大きく寄与した結果です。
4つ目は、2026年8月期の配当についてです。先月9月1日に株式を2分割しましたが、分割後で165円、分割前で換算すると330円を予定しています。2025年8月期の240円に対し、40パーセント弱の増配を計画しています。
次に、第2期中期経営計画に対する進捗についてお話しします。
後ほどあらためてご説明しますので、ここでは簡単にお話しします。まず、案件パイプラインですが、2025年8月期末に比べて約1,700億円増加し、約6,600億円となりました。また、棚卸資産が533億円あるため、2026年8月期計画に向けて視界は良好と言えます。
さらに、各事業でビジネス領域が拡大しています。2026年8月期からは海外展開を本格化させ、物流事業ではASEAN、まずはマレーシアでの冷凍冷蔵倉庫の開発を進める予定です。また、物流倉庫の発展系として、(仮称)ファクトリー&ロジスティクスパークという事業を開始します。
ドバイでは約2週間前に発表済みですが、大東建託さまとの合弁で住宅の開発事業を開始します。また、ホテル事業ではアメリカにおける取り組みを検討しています。
最後に、2026年8月期の当期純利益についてです。中期経営計画では150億円と公表していましたが、165億円に上方修正しました。
国内3事業における運用フェーズ移行
2025年8月期のトピックの1つとして、先ほども触れましたが、主力3事業すべてのアセットで中長期運用型の安定ファンドを組成しました。
ホテルでは約500億円のREIT、物流施設では約800億円の冷凍冷蔵倉庫を対象とした私募ファンド、そしてヘルスケア施設では150億円の私募ファンドを組成し、合計で約1,500億円のファンドとなりました。特筆すべき点として、これらのファンドに組み込まれている物件は、すべて当社が開発した物件です。
第1期 中期経営計画を前倒しで達成
スライドは、2022年から始まった第1期中期経営計画の推移と、今後の推移を示しています。
第1期中期経営計画は、期間を1年前倒しした結果、CAGR(年平均成長率)は115パーセントでした。そして、第2期中期経営計画では、2029年8月期に当期純利益500億円を目標に掲げており、それを達成するためのCAGRは50パーセントとなります。この目標に向けて、まずは2026年8月期に当期純利益165億円を確実に達成しようと考えています。
収益ポートフォリオの多層化
冒頭でも申し上げましたが、2025年8月期の収益構造に変化がありました。あらためて当社のビジネスモデルにおける収益ポイントについてお話しします。収益ポイントは3つです。
1つ目は、第1フェーズから第2フェーズの開発ファンドに土地を譲渡する際の売却益、2つ目は、開発ファンドで建物を竣工させて安定ファンドに物件を譲渡する際の成功報酬、3つ目は、開発ファンドや安定ファンドから得られるAMフィーとプロジェクトマネジメントフィーです。これら3つが、当社の主な収益ポイントです。
スライドのとおり、2025年8月期は成功報酬が大きく増加しました。その背景には、REITや安定ファンドを組成できたことがあります。
以上が2025年8月期のトピックです。
2025年8月期 PL対前期・対予想比較
ここからは決算概要と業績の見通しについてです。基本的にはスライドをご覧いただければ内容がわかるかと思いますので、いくつかのページを抜粋してお話しします。こちらのスライドでは、売上高ならびに各利益項目の2024年8月期との比較について記載しています。
ご覧のとおり、売上は1.5倍となっており、総利益や経常利益、当期純利益などの各利益は約2倍です。つまり、売上に対する利益率が高まっていることがおわかりいただけると思います。
2025年8月期 BS対前期末比較
次に、バランスシートについて説明します。昨年11月にユーロ円CBで220億円を調達したこともあり、バランスシート全体では440億円ほど増加し、1,200億円になりました。資産で増加した主な項目としては、現金が130億円、販売用不動産が50億円、有形固定資産が80億円、その他資産が150億円の増加となっています。
有形固定資産とその他資産について、もう少し説明します。
有形固定資産の130億円のうち、実質的には販売用不動産の性質を持つものが約90億円含まれています。具体的には、リノベーションを進めているホテル物件が複数あります。それらの物件について、土地と建物を分解し、土地は外部の会社に保有してもらい、建物のみを当社が保有してリノベーションを行う方法を採っています。
この目的は、バランスシートをできるだけ軽くし、財務負担を軽減することにあります。2年から3年かけてリノベーションを施し、安定稼働を実現した後、外部保有の土地と一緒に売却するというシナリオを想定しています。
したがって、固定資産として計上しているもののうち、約90億円は実質的に中期の販売用不動産に該当するとお考えください。また、その他資産のうち100億円超は投資有価証券であり、そのうち約60億円は性質的に売掛金と同様のものです。
具体的には、2025年8月期の第3四半期に物流施設の私募ファンドを、第4四半期にホテルのJ-REITを組成しました。それに伴い、開発ファンドから物件を売却し、開発ファンドには売却益が計上されました。
当社は開発ファンドの出資持分を保有しているため、売却益を加味した時価評価の投資有価証券として、このバランスシートに計上しています。開発ファンドはSPCを利用していますが、8月末時点ではそのSPCの決算が完了していなかったため、投資有価証券として計上されました。
したがって、SPCの決算が完了する第1四半期中には、約60億円の有価証券が現金に変わることになり、実質的に売掛金と同様の性質を持つとお考えください。
有形固定資産のうち約90億円は、実質的に販売用不動産であると整理できます。また、その他資産のうち約60億円は売掛金と同じ性質のものが含まれているということです。以上がバランスシートの説明です。
2025年8月期 プロジェクトパイプライン・AUM
プロジェクトパイプラインについてお話しします。1年間で約1,700億円増加し、約6,600億円となりました。各セクターが順調に伸びていることがおわかりいただけるかと思います。
物流施設で約930億円、ホテルで約880億円、ヘルスケア施設で約80億円、海外事業で約100億円、それぞれ増加しました。一方で、レジデンスファンドは約280億円減少しています。このファンドは、当社が開発した物件を集めたものではなく、マーケットで買い集めた賃貸住宅をファンド化していたものです。
もともとはSTOをはじめとしたデジタル証券を活用し、小口化を目指して物件を集めていました。しかし、現時点でのSTOの需要は、どちらかというとホテルやオフィスに向いているようです。そのため、レジデンスファンドは順次クローズすることにしました。
結果、AUMは約280億円減少しました。ただし、言い換えれば、約280億円の減少を差し引いたうえで、全体では約1,700億円増加しており、実質的なパイプラインは約2,000億円増加したとお考えください。
2026年8月期 業績見通し
2026年8月期の業績見通しについてご説明します。売上高は1,500億円、営業利益は265億円、経常利益は240億円、そして当期純利益は従来公表の150億円ではなく、165億円としました。
当社の事業は着実に成長しています。また、第2期中期経営計画においても順調に推移しています。
ここからは各セクターの事業内容についてお話しします。ホテル事業と物流事業については、それぞれの統括役員である緒方と杉本が説明します。
1. ホテル事業
緒方秀和氏:こんにちは。霞ヶ関キャピタル取締役の緒方です。本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。ホテル事業について、私からご説明します。
ホテル事業については、「fav(ファブ)」「seven x seven(セブンバイセブン)」「BASE LAYER HOTEL(ベースレイヤーホテル)」の3つのブランドを軸に展開しています。
トピックス①:「霞ヶ関ホテルリート投資法人」上場
2025年8月期のトピックスです。冒頭の説明にもありましたとおり、今年8月にJ-REIT上場を果たしました。ホテル事業を開始した当初から目標としていたJ-REIT上場を、無事に達成できたと思います。
ホテル事業を開始した当初は、民泊を金融商品化するという発想からfav事業をスタートしました。しかし、民泊については法的根拠の弱さなどから金融商品化を断念し、それならば民泊の優れたビジネスモデル、例えばグループステイや1人当たり単価を抑えるモデルを、そのままホテルで開発しようという考えから始めたものがfav事業です。
そこから、「fav」で培ったセルフホスピタリティ、つまりセルフチェックインなどセルフで行うホテルのDXといったものに、新しくラグジュアリーを融合させたものを作ろうということで、「seven x seven」を展開するに至りました。
結果的に、企画から開発、ブランド作りといったものをゼロから当社で作り上げ、それにより5年で100パーセント自社開発のポートフォリオでIPOを達成することができました。これまで支えてくださったみなさまに、あらためてお礼を申し上げます。本当にありがとうございます。
J-REIT上場により、REITを活用した資金調達手段を得たことで、今後の投資開発がさらに加速することは言うまでもないメリットです。ただし、それ以上に、当社がこれまで作り上げてきたブランドを資本市場にさらすことが、新たな挑戦であると捉えています。
また、資本市場の視点が取り入れられることで、当社のパフォーマンスに対する透明性や持続性が、これまで以上に求められることになります。それによって、当社の現場やブランドがさらに強固になっていくと考えています。
約2,000億円のパイプラインがすでに存在しており、これによるREITの外部成長を十分に期待できます。
また、REITに組み入れている物件は、平均で築2年から3年の開業間もないホテルが多く含まれています。現状でもADRは約2万5,000円、稼働率は約65パーセントと、当初のターゲットを達成しています。
しかし、まだアップサイドの余地があり、REITの内部成長という観点でも着実に成長していける状況であると判断しています。
トピックス②:旺盛な物件の売買
2025年8月期の売買についてです。売却を中心とした収益計上は16件、案件の仕込みは21件で、いずれも当初計画を上回る非常に順調な推移となっています。
トピックス③-1:ホテル開業5件
ホテルの開業についてです。2025年8月期は新ブランドを含む5棟が開業しました。特に2025年7月に開業した「FAV LUX(ファブラックス)札幌すすきの」は、「fav」ブランドにおける初の試みとして大浴場を併設したホテルとなっています。
また、「seven x seven」の派生ブランド「edit x seven(エディットバイセブン)」を御殿場に開業しました。こちらの特徴として、ペット可の設備があることや、当社のホテルブランドの特徴であるサウナを充実させている点が挙げられます。
貸切サウナに加えて、部屋に併設するタイプのサウナも多様に用意しています。
これまで関東圏では「fav 東京両国」「fav 東京西日暮里」といった宿泊特化型のホテルはありましたが、「edit x seven」のようなレジャー向けホテルの開業は初めてです。
これからも、関東圏のトレンドに敏感なゲストの方にも強く刺さるような商品設計・企画を行ってまいります。
トピックス③-2:リブランドホテル初開業
「BASE LAYER HOTEL」では、今年の7月にリブランドホテルを初開業しました。これは築25年程度のビジネスホテルを、当社がリノベーションし、ライフスタイル型のホテルへと生まれ変わらせた事業の第1号案件です。
スライド下部のバリューアップ実績をご覧いただくと、これまで2019年、つまりコロナ禍前の平均ADRが約5,900円、稼働率が72パーセントであったものが、今年7月の開業を経て、2025年8月の単月実績でADRが約1万800円、稼働率が80パーセントとなり、倍以上のトップラインを確保しています。
9月以降も非常に順調で、9月の速報値ではADRが1万3,000円を超えました。10月以降も非常に順調なオンハンドを確保しています。
また、GOP比率についてですが、もともとホテルでは一般的な水準である35パーセント程度だったGOP比率が、単月の実績では55パーセントとなりました。これは「fav」で培ってきたセルフホスピタリティをBASE LAYER HOTEL事業にも適用することで、高い利益率を確保することができた結果です。これらを組み合わせることで、今回のバリューアップでは倍以上の価値を創出できたと考えています。
併せて、お客さまの評価についても、スライド下部に代表的なGoogle評価、Booking.com評価を示していますが、非常に高い評価をいただいています。これはパフォーマンスだけでなく、お客さま満足度が伴わなければ持続性が保てないところですが、一般的なホテルと比較してトップレベルの評価をいただいており、今後もしっかりと運営を続けていきたいと考えています。
トピックス④:Award受賞、メディアイベント
アワードとメディアについてです。アワードについては、上期に「seven x seven 石垣」が「Luxury Japan Award 2025」のトップ10に選出されました。これは、日本の代表的なホテル、例えばパレスホテル東京さま、ブルガリホテル東京さま、アマン東京さまといったブランドと肩を並べて、当社の石垣のホテルがトップ10に選出されたもので、非常に誇らしく思っています。
また、今年の8月に「Graphis Design 2026 Awards」で初の金賞を獲得しました。これは世界的に非常に権威のあるデザインアワードであり、日本のホテルとしては初めての受賞です。さらに、ブランド全体として金賞を受賞するのは世界的にも初の快挙です。
この受賞をきっかけとして、特に欧米を中心に「seven x seven」が多数の記事に掲載され、現時点で1,000を超える媒体で紹介されていると聞いています。
スライド右側にメディアやイベントの情報が掲載されていますが、当社はこれらにも積極的に参加しています。ヨットの写真があるものは「Mini Transat 2025」という大西洋横断レースで、当社はスポンサーシップとして応援しています。
また、スライド下側の「BLACK SAMURAI 2025」では、八村塁選手が名古屋のIGアリーナのバスケットコートで小中高生向けのバスケットボールスクールを開催し、そのホテルスポンサーとして参画しました。
さらに「seven x seven」の開業イベントでは、世界的に有名なDJのAlan Walkerさんを招いたり、媒体では森香澄さんが表紙の『東京カレンダー』で当社のホテルを撮影場所として利用していただいたりなど、ブランド力の向上に伴い、多くのイベントやスポンサーシップの機会をいただいています。
今後もホテルを通じて、地域社会やコミュニティへの貢献を確実に続けていきたいと考えています。
今後の開業予定
今後の開業予定についてです。過去6年間で18棟を開業してきましたが、現在は累計56棟のパイプラインを有しており、3年後には50棟を超える見込みです。過去6年間の開業ペースは年間平均3棟でしたが、次の3年間では年平均10棟以上と大幅に増加する見込みです。
右側に参考として他のホテルブランドを記載していますが、三井ガーデンさま系列やIHGホテルズ&リゾーツさま系列は、年間平均で2棟から3棟程度の開業ペースで、累計39棟、47棟という状況です。当社のFHGホテルブランドも、これらに肩を並べる棟数を目指しています。
また、特に開業ペースですが、我々の年平均10棟以上というペースがどの程度のものかと言うと、最大手のアパホテルさまが、過去3年で平均9棟のペースで開業しており、それを上回るペースでの開業をこれから実現していきます。
通常のホテルオペレーターとしては非常に大変な件数となりますが、当社ホテルではこれまでも説明しているようにフランチャイズ型を採用しています。
ブランドや運営マニュアルについては、霞ヶ関キャピタルがしっかりと統括し、オペレーターやパートナーのみなさまが複数いる中で、その運営ルールのもと、いろいろなオペレーターに運営してもらっています。これにより、日本全国で同時開業が可能となっているのです。
プロジェクトパイプライン一覧
現状のパイプラインです。左側が開業済みの18物件、中央が開発中の22物件、右側がまだ開発していない計画中の9物件で、合計49棟となります。
赤枠は、すでに上場リートに移行している物件を示しています。一方、青枠は上場リートではなく、開発型ファンドや運用型ファンドなど、オフバランスされている物件を示しています。
また、18番の「FAV LUX 札幌すすきの」と40番の宮崎市橘通東ホテルPJ以外は、すべてオフバランスされています。今後の計画中の案件についても、基本的には順次、開発ファンドに組み入れることでオフバランスしていく予定であり、こちらも非常に順調に推移しています。
計画中/開発中パイプライン
最後に、現状のパイプラインの写真です。いくつかご紹介します。左上は由布院です。来年度末から2027年の年初にかけてオープンを予定しており、「seven x seven」の3つ目のブランドとして、大分県由布院に開業します。
右下は「edit x seven 瀬戸内小豆島」で、御殿場で開業した「edit x seven」ブランドの2棟目にあたります。当社初となるサーマルスプリング、男女共用の混浴型サウナ、プール、スパを併設した施設で、非常に期待が持てます。
一昨日、私も竣工間近の施設を見てきたのですが、とてもクオリティが高く、みなさまに楽しんでいただけるホテルになると考えています。
一番下の愛知県名古屋中区のホテルリブランドPJ(プロジェクト)は、「BASE LAYER HOTEL」系のリノベーションホテルであり、当社として初の結婚式場併設型ホテルを予定しています。
こちらも来年度中の開業を目指しており、新しいコンテンツや取り組みについても積極的に進めていきます。
今後も新しいホテルの開業を楽しみにしていただき、ぜひみなさまにご支援いただけますようお願い申し上げます。引き続きよろしくお願いします。以上で、ホテル事業の説明を終わります。ありがとうございました。
トピックス① 冷凍冷蔵倉庫特化型の私募ファンド組成
杉本亮氏:みなさま、こんにちは。霞ヶ関キャピタル取締役副社長の杉本です。本日はご来場いただき、誠にありがとうございます。物流事業について、私から説明します。
まず、トピックスについてお話しします。昨年度、大型の私募ファンドを立ち上げたことが1つの大きなトピックだったと思います。2020年から物流における冷凍倉庫の開発を始め、5年が経過しました。この区切りのタイミングで、開発してきたものを束ねた私募ファンドの組成は、非常に大きな取り組みだったと考えています。
また、スライドに記載のとおり、DebtやEquityに関わる関係者の方々には、開発フェーズから多大なサポートをいただき、深く感謝申し上げます。このファンドについても、引き続きご支援をいただいていることに、心より感謝しています。
今後も、このような開発を継続していきたいと考えていますので、引き続きのご支援をお願い申し上げます。
これが第1期中期経営計画の総決算といえるかたちだったと思います。次のページからは、第2期中期経営計画、つまり現在の中期経営計画を達成するための事業の種まきが非常にうまくいった点についてご説明します。
トピックス②- 1 ASEAN進出に向けたクアラルンプールでの物流事業始動
まずは海外での取り組みについてです。ASEANを対象に進めていきたいと考えています。国単位ではなく、ASEAN全体を対象とし、その中でも主要都市を狙います。具体的には、最初の取り組みとしてマレーシアのクアラルンプールを選定しています。
なぜマレーシアのクアラルンプールなのかとさまざまなことを思い浮かべるかと思いますが、クアラルンプールを選んだ理由はいくつかあります。特に、人口が増加しており、経済が非常に成長しているといった点が非常に大きな要因だと考えています。
また、不動産において土地を借りるのではなく、100パーセントの所有権で投資できる国は多くありませんが、マレーシアではそのような投資が可能です。
例えば、タイでは所有権を持つことはできるものの、外資規制があり49パーセントまでしか出資できません。一方でベトナムは100パーセント出資可能ですが、借地でなければ投資できないという制限があります。この点で、マレーシアは100パーセント所有権を取得できることが魅力です。
さらに、ポートクランという港の存在も非常に重要です。この港は世界で11番目の規模を誇ります。その規模について具体例を挙げると、日本で最も大きな港である東京港では、年間で約450万TEUのコンテナを取り扱っています。さらに、東京、横浜、大阪、名古屋、神戸の5つの港を合わせた取り扱い量は年間約1,500万TEUにのぼります。
このポートクラン港は、年間で約1,400万TEUの取り扱いがあり、日本の5大港を合わせた規模に匹敵する量を、この港単独で処理できる非常に大きな港です。
このように物流の要となるエリアであるため、非常に魅力的であり、まずはマレーシアでの取り組みを進めていきたいと考えています。
トピックス②- 2 ASEAN進出に向けたクアラルンプールでの物流事業始動
マレーシアでは、先ほどのポートクランという大きな港とクアラルンプールという首都の間がプライム立地と考えており、その中にある「Setia Alaman(セティア・アラマン)」で土地を取得し、これから冷凍自動倉庫の開発を進めたいと考えています。マレーシアでは、日本のデベロッパーが日本の最新技術を用いた冷凍自動倉庫を建設するということで話題になっており、最初の手応えとして非常に良好だと感じています。
これを皮切りに、ASEAN地域で冷凍自動倉庫の展開を進めたいと考えています。
トピックス③- 1 工場・倉庫一体型拠点『(仮称)ファクトリー&ロジスティクスパーク』
続いて種まきの2つ目です。仮称「ファクトリー&ロジスティクスパーク」という名のもとに、物流施設を核とした賃貸工場併設型の複合開発を推進していく取り組みです。これによって期待されるのは、効率化が非常に大きな要素であると考えています。
工場がスタンドアローンで運用される場合、会議室や倉庫などをそれぞれ単独で設置しなければなりません。しかし、今回のように1つの大きなまとまりを形成することで、会議室や倉庫をテナント間で運用・活用するといったシェアリング型のビジネスモデルが可能となり、入居者にとって非常に大きなメリットが生まれると考えています。
さらに、人材のシェアリングといった視点も検討していきたいと思います。さまざまな事業を運営する中で、繁忙期と閑散期の差がどうしても生じますが、工場運営においても同様です。冬場に忙しい工場があれば、夏場に忙しい工場もあります。このような状況では、1社だけで対応すると、夏場や冬場のピークに合わせて人員を雇用しなければならなくなります。
例えば、夏場のピークと冬場のピークが逆転している事業が同じ施設に入れば、人件費の削減が可能となると考えています。このように、働く人や空間のシェアを積極的に進めたいと思います。
また、次のページで説明しますが、輸送のシェアにより輸送コストを削減できる点も非常に重要だと考えています。
トピックス③- 2 工場・倉庫一体型拠点『(仮称)ファクトリー&ロジスティクスパーク』
やはり、工場が単体である場合の運用は、スライド下部の従来型のようなかたちになります。工場は存在しますが、原料を置くための倉庫が必要で、そこからトラックで原料を運ぶ必要があります。
この輸送は当たり前のように感じるかもしれませんが、ファクトリー&ロジスティクスパークのように仕組みをまとめることで、このコストをゼロにすることが可能です。
倉庫があることで原料を保管し、工場で製造が行えます。そして、製品が完成した後も倉庫に保管できるため、この輸送コストを削減できることは非常に大きなメリットと考えられます。
さらに、共同配送の実施も視野に入れています。現在、トラックの積載率は約40パーセントと言われていますが、例えば東京から大阪へ荷物を80パーセント積載して運び、戻る際には積載率が0パーセントである場合、行き帰りを通じた平均の積載率は40パーセントとなります。このような積載効率の非効率性を、共同配送により改善し、効率を向上させることができるのではないかと考えています。
輸送する際に共同配送を活用することで輸送費を削減できるため、ここに入居する工場テナントにとって非常にメリットがあると考えています。
また、この倉庫を借りる方にとっても、すでに工場が併設されているため、原料を保管できるだけでなく、完成品を運ぶことも可能です。倉庫に入る方も、すでに荷物がある状態で入居できるため、非常にWin-Winな取り組みであると考えており、このような仕組みを今後展開していきたいと考えています。
トピックス③- 3 『(仮称)ファクトリー&ロジスティクスパーク』の全国展開
ファクトリー&ロジスティクスパークを活用した地域共創の第1弾として、函館市と地域連携協定を締結しました。
このような取り組みにより、函館市以外からも「ぜひ我が市でやってほしい」といった話が出てくるのではないかと期待していたところ、翌々日頃に、同じく北海道内の市の市長さまから反響がありました。
ニュースを見たということで、アポイントなしで飛び込み営業に来てくださいました。それに関連して、函館市の取り組みが非常にすばらしいため、ぜひ我が市でもやりたいということでお越しいただきました。
本日午前中には、北海道ではなく北陸にある市の市長さまがお越しくださり、ぜひ我が市でもということで、非常に多くの引き合いを感じ、手応えを得ています。
また、これは日本国内だけでなく、海外も視野に入れることができ、むしろ海外のほうが需要が高いのではないかと考えています。
日本においてこのような取り組みを実施する場合、既存工場の建替えや移転といったニーズが多いと考えられます。一方で、マレーシアのようにまだ物が十分に揃っていない地域では、そもそも工場を新設することで需要が生まれると見込まれます。
新設によって需要が発生するようなマーケットであると考えられるため、このモデルを日本で構築し、ASEAN諸国へ展開していくことを今後進めていきたいと考えています。
冷凍保管サービス事業『COLD X NETWORK』
種まきの3つ目は、昨年10月頃から開始したオペレーションです。これまで倉庫を借りる場合、どうしても長期契約や大口契約が主流でしたが、ケース単位、パレット単位で利用できる冷凍保管サービスである「COLD X NETWORK(コールドクロスネットワーク)」を立ち上げて取り組んでいます。パレット単位、ケース単位、1日でも利用できるというビジネスです。
この1年間、展示会に出たり、広告媒体に掲載したり、メディアの取材を受けたりというかたちで、さまざまなメディアに出て着実に認知を広めてきました。その結果、今年7月頃には100パーセントに近い稼働率を一時的に達成することができました。
このビジネスについては、さらなる向上を目指したいと考えています。昨年度は初めての事業ということもあり、慎重に進める必要がありました。そのため、オペレーションでミスが起きないよう、稼働率を抑えながら運営してきました。
結果として、昨年度1年間を通じて誤入荷・誤出荷は1件も発生せず、無事に運営することができました。2026年8月期はキャパシティをさらに引き上げ、より多くの荷物を扱うことを目指し、オペレーションを強化しながら、新たな事業展開にも取り組んでいきたいと考えています。
コンセプトと施設タイプ
今までは、スライド上段にあるような冷凍自動倉庫や3温度帯の倉庫を作ってきました。それに加え、昨年度はHAZMAT(危険物)倉庫、今年度はファクトリー&ロジスティクスパークなど、さまざまな展開を行ってきています。今後もさまざまな事業に取り組んでいく予定のため、スライドは「To be continued」としています。
また、組織についてはこれまでロジスティクス事業本部という物流に限定した事業名を付けてきましたが、今年度からはインフライノベーション事業本部という名称に変更し、物流にこだわらず産業系のアセット全体に事業領域を広げる方針で取り組んでいきたいと思います。
その1つがファクトリー&ロジスティクスパークですが、これに限らず、さまざまな産業の中で事業を展開していく予定です。
荷待ち・荷役時間短縮に向けた取り組み
続いて、荷待ち・荷役時間短縮に向けた取り組みについてです。事業のネタをどう考えていくかという1つのアイデアとして、今年4月に改正された物流効率化法に着目しました。
この法律の改正は、人手不足が深刻化し、働き方改革が必要になっているという背景に基づいています。具体的には、荷待ちや荷役時間を削減しなければ物が運べなくなる時代が来るため、事業者に荷待ち・荷役時間を減らしていくように義務を課すという基本方針が物流効率化法の趣旨となっています。
荷待ち・荷役時間をモニタリングしていくことがまず取り組むべき課題であり、この課題を解決していく過程で、将来的にどのように事業化していくかを検討します。
例えば、トラックをGPSで連動させ、10キロメートル圏内にトラックが来たというGPS信号を受信した倉庫側で自動的にロボットが稼働し、トラックの到着に合わせて荷物の出荷準備を開始する仕組みを実現します。
あるいは、入荷準備を開始するなど、連動させながら荷待ち時間や荷役時間を削減するような倉庫開発につなげていきたいと考えています。この物流効率化法の趣旨に則り、新しい事業を生み出していきたいと思います。
また、時期については明言できませんが、このような自動化の枠組みは決して冷凍施設に限ったものではないと考えています。現在は冷凍に限って取り組んでいますが、ドライの常温倉庫でも自動化を取り入れた施設を構築することで、新しいマーケットへの参入機会があるのではないかと考えています。
今後は、冷凍倉庫に限らず、自動化を切り口としたドライ倉庫の可能性についても検討していきたいと考えています。
以上、物流事業およびインフライノベーション事業の説明となります。ご清聴ありがとうございました。
CLASWELL トピックス
河本:ヘルスケア事業と海外、特にドバイ事業についてご説明します。
冒頭でもお話ししましたように、ホスピス住宅6物件で150億円の私募ファンドを組成しました。当社が手掛けるホスピス住宅は、建物のクオリティとロケーションのいずれも、一般的なホスピスと比べて高品質なものを提供できていると考えています。
CLASWELL ブランドコンセプト
スライドでは、当社が手掛けるホスピスのコンセプトについてお話しします。「CLASWELL」という名称で展開しており、「いい暮らしを送っていただきたい」という思いを込めています。平たく言えば、自分の親を入居させたいと思えるような施設を作ろうという思いが込められています。
スライドの写真をご覧ください。一般的なホスピスをご存じない方も多いかもしれないので、あまりピンとこないかもしれませんが、実はこれらの写真には多くの驚きが詰まっています。
まず、施設は広くて明るい空間となっています。また、ほぼ毎月イベントを開催しています。例としては、演奏会やバンド演奏、クリスマス会といったさまざまな催しです。
さらに、「食べる」ことを楽しんでいただけるよう、当ホスピスではおいしい食事を提供しています。これらすべて、驚きの工夫が詰まった内容です。
加えて、麻雀の雀卓やソフトクリームマシンを設置するなど、多目的に使用できる共用スペースを多く確保しています。その結果、ご家族が毎日でも訪れたくなるようなホスピスを展開しています。
CLASWELL プロジェクトパイプライン一覧
ホスピスのパイプライン一覧をスライドに記載しています。上段の6物件は安定ファンドに組み入れ済みであり、下段の11物件は開発ファンドに含まれる物件です。開発が完了次第、これらも順次、中長期運用の安定ファンドに組み入れる予定です。
4. 海外事業:ドバイの不動産投資戦略について
ドバイの話に移ります。まず、ドバイの不動産マーケットは非常に活況を呈しています。なお、トリップアドバイザーの調査によると、世界の人気観光地ランキングでドバイは3年連続で1位となっています。
住宅需要は非常に旺盛です。過去10年間で人口が150万人増加しており、これは兵庫県神戸市や神奈川県川崎市と同じ人口に相当します。
さらに、ドバイ政府が発表したマスタープランでは、今後15年間で人口を約200万人増加させる計画を立てています。200万人というのは北海道札幌市の人口と同規模であり、福岡県福岡市の160万人、愛知県名古屋市の230万人と並ぶ規模です。
そのようなドバイの成長を、当社は目の当たりにしてきました。その結果、ドバイでのビジネスモデルを転換します。これまでは既存のマンションや戸建てのバリューアップを手掛けてきましたが、今後は住宅の開発を行います。
3年前から、当社はドバイで事業を展開しており、ノウハウやネットワークを築いてきました。ビジネスモデルは日本で行っているものと同様で、土地の仕込みやプランの作成、許認可の取得、ゼネコンのセットアップなどを当社が担当し、開発フェーズではパートナーの資金を活用させていただき、竣工後の売却益をパートナーとシェアするという仕組みです。
その第1弾として、大東建託さまとパートナーシップを組み、プロジェクトを開始しました。なお、ドバイにおける日本企業としての開発事業は、本プロジェクトが第1号となります。今後も大東建託さまをはじめとするパートナー企業とともに、ドバイでの開発事業の展開・発展を目指していきます。
以上が事業内容の説明です。これをもちまして、2025年8月期決算説明を終了としますが、最後に一言申し上げます。
河本氏からのご挨拶
いつも申し上げていることですが、当社の社員は本当に優秀で、自慢の社員たちです。2倍成長を平然と実現するほどの能力を持っています。特にすばらしいのは、その貪欲さです。事業を成長させることに対して非常に貪欲であり、たとえ指摘を受けても、それをしっかりと糧として成長させています。このような社員たちのおかげで、第1期中期経営計画の目標であった当期純利益100億円を達成することができました。
しかしながら、社員だけで成長することはできません。ここにお越しのみなさまをはじめとした関係各社のみなさまのご協力のおかげで、この成果を得ることができました。会社を代表して、あらためてお礼申し上げます。ありがとうございます。
2025年8月期は第1期中期経営計画の完了期であると同時に、第2期中期経営計画の始まりでもありましたが、まずは良いスタートを切ることができました。霞ヶ関キャピタルはまだまだ成長していきます。当社はベンチャー企業であり、やりたいことに対して、まだ十分にできることが少ないという意味で「ドベンチャー」だと考えています。
私も含め、当社の社員は誰も現状に満足していません。みなさま、引き続きご支援とご指導を賜りますようお願いします。
以上です。ご清聴いただき、ありがとうございました。
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