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吉村修一氏(以下、吉村):ダイナミックマッププラットフォーム株式会社代表取締役社長CEOの吉村です。本日はお忙しい中、当社の2026年3月期第1四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
まずは、本日の流れについて簡単にご案内します。冒頭に会社概要および事業概要、技術・研究開発への取り組みについてご説明します。その後、2026年3月期第1四半期の実績および通期の業績見通し、さらにパイプラインについてご説明し、最後にQ&Aを行う予定です。
会社概要
まず、会社概要についてです。本スライド以降、2025年3月期通期決算説明会での説明と重複する部分もありますが、当社についてご理解いただくために、おさらいを兼ねてあらためてご説明します。
当社は2016年6月に設立され、日本、北米、欧州、韓国、中東で事業を展開しています。これは日本政府主導のもと、自動車会社などが協調出資する形で設立されたものです。
その後、北米の同業他社を海外買収し、グローバル展開を進めています。このような背景から、自動運転や社会のデジタル化に関わるビジネスを進める上で、自動車会社や関係省庁との強固な関係が、当社の事業推進にとって有利に働いています。
数字でみるダイナミックマッププラットフォーム
スライドでは、当社の特徴を1枚にまとめています。2025年3月期連結での売上高は74億円で、年平均成長率は52パーセント、自動運転および先進運転支援システム(以下、ADAS)の市場は、2030年までに年平均37パーセントで拡大すると見込んでいます。
ハイライト
続いて、当社のハイライトを4つ説明します。
1つ目は、当社がダイナミックマップという高精度な位置情報基盤をグローバルに構築する、ディープテック型のスタートアップである点です。今後、グローバルで飛躍的な拡大が見込まれる自動運転市場とデジタルマップ市場において、当社は先進技術を基盤に、先行して事業を展開してきました。
2つ目のハイライトは、日系大手自動車メーカー10社やGM、日本政府など、優良な顧客基盤を有しており、高い売上成長性を実現可能な点です。これは、当社が大手企業の技術を結集する形で設立されたことと、その後に北米最大手企業を買収した経緯によるものです。当社は、拡大するグローバルマーケットの恩恵を享受できる立場にあります。
3つ目は、競合他社と比較して圧倒的なデータ量を保有しており、世界初となる自動運転レベル2+・レベル3を実現した技術力という競争優位性を持っている点です。当社の従業員はグローバルで約220名おり、そのうち7割がエンジニアです。日米のエンジニアがそれぞれの技術を持ち寄り、継続的に開発を行っています。
4つ目は、ビジネスモデルです。当社のビジネスモデルは、フロー型のプロジェクトビジネスとストック型のライセンスビジネスの2本柱で構成されています。プロジェクトビジネスを通じて事業基盤を整備した後は、収益性の高いライセンスビジネスを展開することで、全社として高収益体質を実現可能である点が特徴です。
Modeling The Earth
当社のビジネスを一言で表すと、「Modeling The Earth」、日本語では「地球のデジタル化」になります。現実世界をデジタル空間に複製し、デジタル社会のインフラとなる高精度な3次元データを提供するプラットフォーマーを目指しています。
このプラットフォームにさまざまな情報を結びつけることで、分析・制御・予測を可能にし、社会課題の解決に貢献するイノベーションを実現しています。
高精度3次元データをグローバルに構築(180万kmのデータを整備済)
続いて、当社が保有するデータについてご説明します。今朝発表しましたように、北米での整備距離が30万キロメートル拡大し、150万キロメートルとなりました。この点については後ほどスライドを用いて詳しくご説明します。
これまでの先行投資の結果として、自動車メーカー各社の要求を満たしながら、圧倒的なカバレッジを有する高精度3次元データをグローバルに構築してきました。
グローバルで合計180万キロメートルにおよぶ整備済みのデータは、量産車に搭載される自動運転およびADAS向けの利用にとどまらず、世界各国における産業のデジタル化や社会課題の解決に貢献する大きなポテンシャルを有しています。
各種データ連携を通じたダイナミックマッププラットフォーム構築
当社が提供する高精度3次元データは、さまざまな動的情報を紐づけるためのデータ基盤となっています。これら静的情報と動的情報を統合したものが、ダイナミックマップと呼ばれるものです。
公道における静的データの取得からスタートし、さまざまな動的データの収集・システム化を進めるとともに、公道以外の特定エリアへの展開や、動的データを統合するアプリケーションの開発・導入にも取り組み、ダイナミックマップの構築を進めています。
ダイナミックマップは、今後の産業のデジタル化・効率化を支える共通基盤として重要な役割を果たすと考えています。その社会実装に向けては、より広範なデータ取得が必要であり、当社としてはアライアンスの拡大やパートナーとの協力を通じて、データ基盤となるデジタルアセットの構築に取り組んでいます。
ビジネスモデル全体像(プロジェクトとライセンスの2本柱)
次に、当社のビジネスモデルについておさらいします。当社のビジネスモデルは、プロジェクト型とライセンス型の2つに分類されます。プロジェクト型では、安定した粗利率を確保しつつ、データやソフトウェアの整備を進めるための事業基盤構築の役割を果たしています。
ライセンス型は、プロジェクト型で整備したデータやソフトウェアをライセンスアウトすることで、コストを増やさずに収益を増加させ、高い収益性を実現できます。
具体的には、自動車会社向けの場合、プロジェクト型では特定の顧客から受注を得て粗利を確保しつつ、高精度の三次元地図データを整備します。その後、そのデータを他の自動車会社や自動運転システム会社、半導体メーカー向けにライセンス型で提供することで、高い利益率を実現しています。
また、道路の変化に合わせてデータの更新も必要になるため、累積的に売上高が伸びていくビジネスモデルとなっています。
将来の収益イメージ
こちらは、売上高の成長イメージを図示したものです。プロジェクト型ビジネスでは、マップの更新案件や国家プロジェクトを通じて安定した収益獲得が期待できます。
また、オートモーティブのライセンス型ビジネスでは、売上のパイプラインに裏付けられた量産ライセンスの販売と、アライアンスによる法人ライセンスの販売により堅実な成長が見込まれています。
3Dデータのライセンス型ビジネスは、グローバルかつ多用途に潜在的な成長可能性を有しています。
AI搭載のインテリジェントマップがモビリティと自動走行の未来を牽引
続いて、このパートでは、当社の技術および研究開発への取り組みについて、最新の状況をご説明します。
重要な点としてAIの活用があります。当社グループでは、人工知能(AI)をイノベーションの中心に据え、よりスマートで高精度な3次元地図データの生成を推進し、次世代のモビリティおよび自動運転の未来を牽引することを目指しています。
具体的には、「AI for Data」と「Data for AI」という2つの柱でAIの活用を推進しています。
まず、「AI for Data」はデータのためのAIですが、当社におけるデータ生成にAIをどう活用するかというものです。AIの活用により、高精度3次元地図データの生成プロセスを自動化し、更新の鮮度や品質の向上を大幅に実現しています。
当社が活用している各種技術とその成果についてはスライド左側に記載があり、アライアンスについては後ほどご説明します。
一方の「Data for AI」は、AIのためのデータ活用です。顧客のAI活用に向けて、当社データをどのように提供するかについてですが、当社グループが提供するデータはADASを駆動させ、完全自動運転車の開発を加速させるためのAIの学習・推論用、またはODDの設定やシミュレーション用途など、AIと補完関係を築く形で利用されています。
ちなみに、ODDとは「Operational Design Domain(運用設計領域)」の略で、自動運転およびADASが機能する条件や範囲をデザインするものとご理解いただければと思います。
簡単に申し上げると、当社のデータは、AIの力を最大限発揮させるために必要な空間理解力を高めることに役立っています。「Data for AI」の収益モデルとしては、法人向けに固定価格で当社データをライセンス提供する「法人ライセンス」モデルで販売しています。
自動運転のソフトウェアは、自動車メーカーごとにモデル別の開発が行われるため、当社にとって案件機会は非常に豊富です。
2026年3月期第1四半期において、大手自動車メーカーグループ向けに「Data for AI」を通じたデータ販売実績があり、今後も収益への貢献が期待されます。
(取組事例)日本マイクロソフトと連携し「AI for Data」の取り組みを加速
続いて、日本マイクロソフトと連携した「AI for Data」の取り組みについてご説明します。この度、当社は日本マイクロソフトと連携し、「Azure Databricks」を利用して「AI for Data」の取り組みを加速することを発表しました。
マイクロソフトのAI技術を活用することで、当社データ内の地物抽出や図化作業の自動化率を向上させ、コストの大幅な削減を目指しています。
また、この取り組みは、自動運転・ADAS向けの高精度3次元地図データや、除雪支援システムなどの各種ガイダンスサービスなど、すでに展開しているサービスにも順次導入していく予定です。
当社は日本マイクロソフトと連携し、AIの導入をさらに加速させていきます。
政府研究開発事業(国家プロジェクト)を通じた研究・商品開発の取り組み
次に、国家プロジェクトを通じた研究サービス開発の取り組みについてご案内します。
2024年度は、計4件の国家プロジェクトに取り組みました。当社グループが保有するデータや技術を提供することで、社会課題解決に貢献するとともに、自己投資を抑制しながら新たなライセンス商品の開発に取り組むことができる、研究開発・サービス開発の機会となっています。
これら4件のプロジェクトは、モビリティやインフラストラクチャーなど、当社が目指すビジネス領域に幅広く活用できる研究開発事業です。これらの成果や技術を基に、社会実装およびビジネス化を進める計画を立てています。
2024年度 政府研究開発事業(国家プロジェクト)成果報告
それぞれのプロジェクトについて、昨年度の成果を簡単にご紹介します。1つ目は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)によるデジタルライフライン事業です。
昨年度、当社では自動運転に関するデータ連携システムを開発しました。このシステムは、自動運転バスの運行や物流トラックの定時運行を支援し、地域交通の維持や物流の2024年問題の解決に貢献しています。
2つ目は、同じくNEDOによるグリーンイノベーション基金事業です。昨年度は、ダイナミックマップを基にルート探索システムを開発し、運行の最適化や燃費改善の効果を確認しました。
3つ目は、国土交通省によるSBIR事業と、経済産業省によるBRIDGE事業です。昨年度は、空港制限区域におけるデータ連携システムの開発に取り組みました。これにより、空港や港湾での自動運転による安全性と効率性の向上が期待されます。
4つ目は、経済産業省によるSBIR事業で、カープローブデータを活用したグローバルでのデータ更新技術の大規模実証に取り組みました。
昨年度は、自動車会社が収集している大量のカープローブデータを分析・活用することで、高精度3次元地図データの更新業務が効率化できるかの検討を行いました。
スライドでは、2024年度に取り組んだ4件の国家プロジェクトについて、プロジェクトの概要、当社の役割・成果を記載しています。各プロジェクトの詳細はAppendixに掲載していますので、本資料の42ページ目以降をご覧ください。
2026年3月期 第1四半期サマリー
ここからは、2026年3月期第1四半期の実績および通期の見通しについてご説明します。スライドにサマリーをまとめています。第1四半期を振り返ると、全体として2026年3月期の取り組み方針に沿って、事業面・開発面ともに進捗しました。
まず事業面ですが、当社の高精度3次元地図データを搭載したHondaの「ACCORD」が発売され、搭載モデル数は36車種となりました。
また、AI用途での法人ライセンス案件(Data for AI)がクロージングしました。さらに、ダイナミックマップ構築に向けた取り組みでは、三井不動産、ソニーグループに加え、JALや大手エネルギー企業との連携を進めています。
技術・開発面では、高精度3次元地図データの整備距離が北米で30万キロメートル拡大しました。加えて、先ほどお伝えしたとおり、日本マイクロソフトと連携し、データ生成へのAI活用「AI for Data」の取り組みを加速させました。
なお、当社データを活用した事業領域の拡大および非連続的な成長を実現する目的で、M&Aへの取り組みを本格化しています。現在、複数の候補案件のデューデリジェンスを進めており、具体的な動きがあり次第、随時お知らせしていきます。
以上の結果、業績については、前年同期比で売上高が45パーセント増加し、ライセンス型売上も70パーセントの大幅増加となりました。さらに、利益指標である調整後EBITDAもプラスとなり、黒字化を達成しています。
北米における高精度3次元地図データ整備距離の拡大
今朝発表しましたが、このたび北米(米国・カナダ)において、セカンダリロードまでのデータ整備が完了しました。整備距離は95万マイル、約150万キロメートルに到達しました。
今回新たに整備が完了した北米のセカンダリロードというロードクラスは、日本で言うと都道府県道や比較的交通量の多い市町村道に相当し、生活圏の道路までデータ整備が完了したことを意味しています。
スライド右側の技術・開発面での成果として、中央分離帯のない道路で安全なハンズフリー運転を実現することに貢献しています。
また、今回のデータカバレッジ拡大の戦略的価値として、北米には約2万8,000軒の自動車ディーラーが存在し、その99パーセントが当社保有のデータから1.6キロメートル(約1マイル)以内に位置します。
これにより、ディーラーでの試乗やADAS機能の利用促進を通じて、ユーザー体験の向上に寄与できると考えています。
広範なデータカバレッジは、自動運転技術のさらなる発展に貢献し、自動車業界のイノベーションの基盤となることが期待されています。また、これは自動車向けだけでなく、全米のインフラアセットの維持管理にも活用可能です。
「Honda SENSING 360+」に当社の高精度3次元地図データ採用(ACCORDに搭載)
続きまして、オートモーティブ向けの量産ライセンスの進捗についてです。当社データが採用されている「Honda SENSING 360+」が搭載された「ACCORD」の最新グレードが発売されました。
「Honda SENSING 360+」は、従来「ACCORD」に標準搭載されていた「Honda SENSING 360」に、当社の高精度3次元地図データなどを新たに追加したものです。
これにより、自車の位置を正確に特定することが可能となり、ハンズオフ走行の実現やシステムによるレコメンド型車線変更支援機能をサポートします。
今回の「ACCORD」への搭載によって、当社データを搭載する量産車はグローバルで36車種となりました。今後も、自動車メーカーの了解が得られたものについては、車種をお知らせしていく予定です。
業界横断的な社会へのインパクト(高精度3次元データの活用領域)
スライドは、当社データが活用される領域や業界を示しています。
この四半期のアップデートとしては、レベル4自動運転を活用した大手エネルギー企業との物流の自動化への取り組みや、日本航空グループとの高精度3次元データを活用した空港における航空機のプッシュバックガイダンスに関する新たな取り組みを発表しました。
ダイナミックマッププラットフォーム構築に向けた取り組み
スライドで詳細を示していますが、1つ目の大手エネルギー企業との取り組みについては、同社のエネルギー事業の業務効率化を目的に、同社の関連施設内および周辺の一般道での自動運転の実現を共同で推進することに関して、MOU(基本合意書)を締結しました。
また、日本航空のグループ会社であるJALグランドサービスとともに、新千歳空港において当社のデータを活用した除雪支援システム「SRSS」を、航空機のプッシュバック時のガイダンスに活用する実証実験を開始しています。
この背景ですが、航空機が滑走路に向かう際、自力での後退ができないため、プッシュバックと呼ばれる、トーイングカーという専用車両による誘導路までの押し出し作業が必要となります。
プッシュバックは空港における日常的な業務作業ですが、常に細心の注意と熟練した技術、そして関係者間での円滑な連携が求められる非常に難易度の高い作業です。
この業務を、当社のシステムでガイダンスすることで、安全かつ安心にプッシュバックを実現していきたいと考え、取り組みをスタートさせています。結果が出次第、他の空港での展開も検討する予定です。
2026年3月期 第1四半期 連結業績ハイライト
続いて、2026年3月期第1四半期の業績ハイライトをグラフで示しています。
まず、当社が重視する売上高、ライセンス売上、調整後EBITDAの3つがいずれも前年同期比で増加しました。売上高は14億5,900万円で前年同期比45パーセント増、ライセンス型売上は5億8,600万円で前年同期比70パーセント増、利益指標である調整後EBITDAはプラス2,400万円で前年同期比7億700万円の改善となりました。
売上増加の要因としては、オートモーティブ事業において大手自動車メーカーグループ向けにAI用途(Data for AI)の法人ライセンス売上が計上されたことが挙げられます。また、プロジェクト型売上も北米での新規整備の進捗により増収となりました。
当社の売上には季節変動要因があり、年度の後半、特に第4四半期のウエイトが高くなる傾向があります。しかし、今回の第1四半期では利益率の高い法人ライセンス売上が計上されたこと、原価低減が進んだこと、さらに第2四半期以降に予定していた案件の一部前倒しがあったことにより、調整後EBITDAがプラスとなりました。
(ご参考)連結業績 四半期累計売上高推移
スライドでは、四半期ごとの累計売上高推移を示しています。年度後半のウエイトが高く、季節変動要因はありますが、増収トレンドを継続しています。引き続き、当社としては特にライセンス型売上の成長に取り組んでいきます。
2026年3月期 通期業績予想(据え置き)
第1四半期は、例年と比べて利益率が大幅に改善しました。しかし、今後の見通しについては、米国の関税政策による不確実性が落ち着きつつある一方で、その他の米国政権の政策による影響や各地での地政学的リスクの高まりなど、先行きが依然として見通せない状況と認識しています。そのため、通期の業績予想は据え置きとしています。
具体的には、売上高は70億円、うちライセンス型売上高は23億円、調整後EBITDAはマイナス5億円と据え置いています。
2026年3月期 事業環境と取り組み方針
次に、2026年3月期の事業環境と取り組み方針のスライドに移ります。
こちらは、今年5月に発表した2025年3月期の通期決算時に示したものから大きな変更はありません。スライド左側にある事業環境では、前のスライドで説明しました米国の関税措置について、依然として先行きが見通しづらい状況が続いています。これらを踏まえ、2026年3月期の取り組み方針にも変更はありません。
スライド右側に記載されているライセンスビジネスの拡大については、第1四半期に法人ライセンス販売をクローズし、進捗しています。開発面でもアライアンスが拡大しています。このような取り組みを継続することに加え、M&Aを有効なグロース戦略として積極的に推進しています。
2026年3月期 売上増加に向けた主な取り組み
こちらのスライドは、期中で追加受注が期待される2026年3月期の売上増加に向けた取り組みをまとめたチャートです。今年5月の2025年3月期通期決算発表以降の進捗としては、オートモーティブビジネスにおけるAI用途の法人ライセンス案件のクロージングがありました。
また、3Dデータビジネスのプロジェクト型では、総務省V2Nの実証実験を受注し、さらに大手エネルギー企業やJALグループとの基本合意書締結がありました。引き続き、潜在的な売上増加の実現に向けて取り組んでいきます。
主要株主の異動完了について
こちらは先般開示した主要株主の異動についてご説明するスライドです。2025年7月24日、株式会社産業革新投資機構(以下、JIC)が、そのグループ会社である株式会社INCJの保有する当社普通株式のすべてを取得しました。
株式会社INCJは活動期間を2025年3月末までと定められていましたが、本件株式の譲渡により、活動期限を2050年までとするJICが発行済株式の31.33パーセントを保有する当社の筆頭株主となっています。
JICは、次世代を担う企業の成長と競争力強化を支援する目的で設立された官民ファンドと理解しています。当社のオールジャパン体制による国内外の社会課題解決や日本の産業競争力強化につながる取り組みを、支援いただく見通しです。
ライセンス型ビジネス(3Dデータ)
以降は、パイプラインを4つに分けてアップデートしていきます。当社の売上は、以前からお伝えしているとおり、パイプラインによって裏付けされたものであり、成長イメージをご理解いただくために、パイプラインの内訳を列挙するかたちで示しています。
ただし、具体的な顧客名や数字、将来見込みなど、一部開示が難しい情報もありますが、可能な限り最大限の情報を開示している点をご理解いただければと思います。また今回は、今年5月に開示した内容から更新箇所のみをご説明します。
まず1つ目は、ライセンス型の3Dビジネスです。今回のアップデートとしては、販売パートナーを通じたデータ拡販について、海外のソフトウェア企業とのライセンス契約締結に向けて最終調整の段階に入っています。このライセンス契約に基づき、今後、データ販売の拡大が期待されています。
ライセンス型ビジネス(オートモーティブ)
2つ目はライセンス型のオートモーティブビジネスです。量産車向けライセンスについては大きな更新はなく、順調に進捗しています。前回もご説明したとおり、大手自動車メーカーG社との北米における大型契約については、契約締結に向けて最終調整中です。新モデルの量産開始スケジュールに合わせて予定どおりに進捗しています。
法人向けライセンスについては大手自動車メーカーグループ向けの法人ライセンス売上を第1四半期にクロージングしました。
大手半導体メーカー向けの法人ライセンス取引も商談が進捗しています。これらは、いわゆる「Data for AI」として、AIの学習用データに当社のデータが利用される予定です。一方で、シミュレーション用途でも新規受注を見込んでいます。また、自動運転システム開発会社向けの法人ライセンスの販売についても契約を締結しています。
こうした法人ライセンスは、当社がすでに保有している既存データを販売するため、限界利益がほぼ100パーセントとなり、非常に高い利益率が期待できます。
プロジェクト型ビジネス(3Dデータ)
3つ目はプロジェクト型の3Dデータビジネスです。今年度の国家プロジェクト案件については、総務省との「V2N通信を用いたユースケース実証事業」の契約締結が完了しており、すでに締結済みであった「Bridge公共エリア向けダイナミックマップの開発」とあわせて2件が現時点で確定しています。
また、民間企業との取り組みについては、新たに大手エネルギー企業とのMOU(基本合意書)を締結し、三井不動産向けと同様に準備を進めています。
プロジェクト型ビジネス(オートモーティブ)
4つ目は、プロジェクト型のオートモーティブビジネスについてです。特にアップデートはありませんが、契約済みのプロジェクトの遂行にしっかりと取り組み、商談中の案件のクロージングに向けて取り組んでいます。
中長期ビジョン
最後に、当社の中長期ビジョンです。「高精度位置情報の提供を通じてあらゆる産業における共通基盤を目指す」べく、事業に取り組んでいます。当社事業に引き続きご支援を賜れると幸いです。どうぞよろしくお願いします。
質疑応答:オートモーティブ向け法人ライセンス案件の売上計上とライセンス売上比率について
司会者:「第2四半期以降に計上予定であった案件の一部を前倒計上についてです。当該案件は、ライセンス型売上かプロジェクト型売上か、どちらでしょうか? ライセンス型売上である場合、契約開始時期の前倒しによって今後も継続的に売上が計上される性質のものでしょうか?
一方で、プロジェクト型売上である場合、今回の前倒し分は本来第2四半期以降に計上予定だった売上を移したものであり、その分、第2四半期以降は反動減が見込まれるのでしょうか? また、第1四半期のプロジェクト型売上、ライセンス型売上比率について、前年同期比または直前四半期比で大きな変動がありましたか?」というご質問です。
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