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伊井田栄吉氏(以下、伊井田):代表取締役会長兼社長の伊井田栄吉です。よろしくお願いします。
さっそくですが、2025年12月期第2四半期の決算説明を始めます。前半では第2四半期の決算概要を、後半では今後の業績見通しについてご説明します。
決算サマリー
全体感についてです。詳しくは後ほどご説明しますが、基幹事業である人材教育ビジネスは、半導体関連が非常に順調でした。
不動産ビジネスについても、最適なタイミングで物件を販売したことで、上期は非常に良い結果を出せたのではないかと思います。
業績概況
業績概況についてです。全体総括として、現在は政治的に不安定で、経済も大きく変動している状況ですが、そのような中でも上期は前年同期比で増収増益を達成しました。また、計画比でも上振れて推移することができました。折り返し地点までは、非常に良い数字を出せたと思っています。
業績概況/セグメント別①
スライドはセグメントごとの一覧表です。
業績概況/セグメント別②
スライドの棒グラフをご覧ください。基幹事業である人材教育ビジネスが牽引し、良い数字を達成できたと考えています。特に売上高は、人材教育ビジネスが順調に伸びたことが主な要因です。
利益面については、スライドのとおり、人材教育ビジネスと不動産ビジネスがほぼ半分ずつとなっています。不動産ビジネスに関しては、前年同期と異なり、今期上期の引き渡しが非常に多かったことが影響しています。
プロダクツHR事業
主力のプロダクツHR事業についてです。前年同期比で増収増益を達成し、計画比でも上振れて推移しました。AI向けを中心とした半導体が堅調に推移した結果、半導体分野が非常に順調でした。
当事業のうち、特に人材事業は積み上げ型であり、毎年成長を続けています。プロダクツHR事業が良い結果を出していることは、当社の基盤であると言えます。
一方、採用面ではコストが非常にかかってきている状況です。その中で、粘り強く自社運営の採用サイトを活用してきたことで、採用効率を大幅に向上させることができたことが、良い結果につながったのではないかと考えています。人材については、後ほどワールドインテックの栗山社長より詳しくご説明します。
下期に向けては、アメリカの関税問題などさまざまな課題をリカバリーするため、いろいろな施策を検討しています。特に内需向けの産業に力を入れていきたいと考えています。
サービスHR事業
サービスHR事業についてです。前年同期比で増収増益を達成し、計画比でも上振れて推移しました。
このように、基幹事業である人材教育ビジネスの両事業は、上期に非常に良い成果を上げました。政治情勢が非常に不安定な中で、よくがんばったと感じています。
まず、サービスHR事業の主力であるロジスティクス部門についてです。eコマース向けは、新型コロナウイルス感染症の収束後、一時的に成長が鈍化していましたが、現在では再び大きく成長しています。レイバーマネジメントのトップランナーとして、非常に良好な結果を出しています。
eコマースは、日本の物流の既得権的な縦社会の流れを一新し、まったく新しい物流の仕組みを作り上げたといわれており、その代表的存在はAmazon社とされています。
元々、従来の物流の縦軸の動きについては、私たちはあまり詳しくありませんでした。しかし、ヤマトホールディングスとの合弁事業を通じて、物流の縦軸の動きに直接触れることができました。その中には、改善、あるいは改革を進める余地が非常に多いと感じています。これからはすべて、物流が勝敗を分ける重要な要素になっていくと考えています。
私たちは、物流分野を制した企業が今後生き残るだろうと思っています。その中で当社は、レイバーマネジメントのトップランナーとしての役割を果たすため、ヤマトホールディングスと非常に踏み込んだ議論を進めています。
また、もう1つ重要な柱となる接客・販売についても、今後大きく注力していきたいと考えています。
子会社のディンプルは、販売サービスにおいて大きな強みがあり、デパートなどで販売される価値ある商品を、価値ある説明とサービスを通じて提供するという事業ベースを持っています。
現在、例えばモールや、東京に建設されている大型ビルのインフォメーションセンター等の接客業務にも、当社は数多く参画しています。これは、不動産事業とのコラボレーションになります。当社は大手企業とのネットワークが充実しており、デパートで培ったサービスをインフォメーションセンターの受付業務などに提供していますが、これは当社独自の特徴であり、非常に将来性があると考えています。
また、ディンプルおよびJTBとの合弁会社JWソリューションにおいて、大阪・関西万博の運営を6ヶ所ほど手掛けており、非常に良い評価を受けています。大阪・関西万博という大きなイベントで、当社は強みを発揮し、貴重な経験を得ることができたと実感しています。
当社が全面的に関わっているのは6ヶ所ですが、人材派遣についてはさらに広がっています。
不動産事業
不動産事業についてです。前年同期比で大幅な増収増益となりました。一方、計画比では売上高が下振れたものの、利益は上振れて推移しています。なお、近年、売上がやや下振れする一方で利益が上がるという傾向があります。
この現象は、売るタイミングに起因しています。また、不動産物件は、最初は建物を建てて売る計画を立てますが、不動産のプラン・価値を高く評価いただき、その結果、建物を立てずに土地だけの売却に繋がることがあります。その場合、建物の売上分が立たず、利益だけが上がることになります。
前期は下期に引き渡し物件が多かった一方、今期は上期と下期にバランスよく引き渡し物件があるため、当上期の業績は前期を大きく上回りました。
なお、売上高が下振れした大きな要因としては、北九州のランドマークとなる「BIZIA小倉」というビルの引き渡しを下期以降に先送りしたことが挙げられます。それ以外は非常に順調に進んでいます。
情報通信事業
情報通信事業についてです。前年同期比で増収増益を達成し、計画比でも上振れて推移しました。
もともと低い予算を組んでいるという背景がありますが、この5年間から6年間はスクラップ・アンド・ビルドの方針でショップを減らしており、その過程でショップの質を向上させてきました。現在、店舗数は約30店舗まで削減しましたが、ビルドの時代が必ず到来すると思っており、これからはビルドに向けて増やしていくタイミングと考えています。「残存者メリット」がようやく表れる段階に入ってきました。
来期あたりから、面を意識した戦略を構築していきます。そのために、点を一部取りにいく方針になります。
また、当社はこの間、法人向けソリューション部門を強化してきました。法人携帯電話の端末販売だけでなく、地域の医療施設や中小・零細企業に対して、インターネットの活用から電力コスト削減まで含めた幅広いソリューションを提供できる体制を整えてきています。
現在は、トータルなサービスを提供できるようになりつつあり、大きな成長の可能性が見えてきました。よほど厳しい市場環境が出現しない限り、ビルドのチャンスが到来すると考えています。
農業公園事業
農業公園事業は、今期は非常に厳しい状況で推移しています。天候が悪く、土曜日・日曜日のたびに雨が降り、2月には大雪が降りました。温暖化で冬の寒さは和らいだものの、暑すぎる日が続き、多くの方が外出を控えるようになっています。
当園は来園者にお越しいただかないと成り立たないため、天候に大きく左右されます。当上期は特につらい時期でしたが、この間にグループ全体の支援を受けながら、設備投資に取り組んでいます。設備を継続的に磨いていくために、稼ぎ頭であるワールドインテックなどの資金を潤沢に活用し、着実な修繕や、さまざまなコンテンツの導入を進めています。ここ2年から3年は設備投資が先行していますが、これからさらに良い事業になると考えています。
また、コロナ禍の時にやむなく閉園していた、「信州塩尻農業公園チロルの森」をハーフサイズで再オープンしました。
今年の2月頃、大雪の時に用事があり長野県へ訪問した際に地元の大手工場を訪問し、社長にお会いしたのですが、「『チロルの森』、オープンするよね?」「みんな待っている」と非常に喜んでいただきました。
特にすごいと思うのは、40から50代の方々が子どもの頃にこの施設で遊んでいて、自分の子どもを連れて行きたいという思いを強く持っていることです。そのような要望が多くあり、昨年は簡易的なかたちで仮オープンし、今年ようやく再オープンすることができました。これは地元の要請を受け、なんとか立ち上げることができたものと考えています。
長野県は現在、温暖化の影響もあり、ブドウの栽培において山梨県よりも良い条件といわれていることにも注目しています。「信州塩尻農業公園チロルの森」は70ヘクタールの土地があり、そのうち約40ヘクタールを当社が所有しているため、ここに新しいものを計画していきたいと考えています。これからは行政と協議を進め、さらに展開を図っていきたいです。
「コ・ソーシング」戦略
次に、今期のトピックスをいくつかご紹介したいのですが、その前提として、人材教育ビジネスの戦略についてお話しします。詳細に関しては、後ほどワールドインテックの栗山社長が説明しますので、ここでは簡単に述べたいと思います。
「コ・ソーシング戦略」についてです。当社は創業以来、人材サービス業、いわゆるアウトソーシング業に分類されることが一般的です。しかし、創業以来、私は一貫して「当社はアウトソーシング企業ではない」とお伝えしてきました。単なる人材派遣を行う会社ではないと考えています。
お客さまとともに、お客さまの強みと当社の強みを一体化させることで、より強力な集団を構築することを目指しています。これが「コ・ソーシング」として掲げる「ともに」という理念です。
当社は「コ・ソーシング」を目指す企業として、お客さまの良きパートナーとなり、事業を推進していきます。当社とお客さまがどのように協働していくかということが、ジョイントベンチャー構想につながっています。
事業のベースはアウトソーシングですが、私たちは「コ・ソーシング」を目指しており、それを約30年間言い続けてきました。そして、ようやく5年ほど前から形になってきたことが当社の強みです。
トピックス①:「コ・ソーシング」の深化
トピックスとして、まず1点目です。今回、東邦チタニウムの子会社であったトーホーテックをグループに迎え入れました。当社と東邦チタニウムは非常に親しい関係にあり、合弁会社のトーホーワールドを以前設立しています。
トーホーワールドは基本的に受託請負の業務を行っていますが、トーホーテックはチタンの加工および溶接などをする、これまでの当社のグループ会社とはまったく異なる「製造メーカー」です。例えば、海の非常に深い場所に設置するタンクは、50年、100年、200年といった長期間の耐久性が求められます。こうしたタンクはチタンでしか製造できません。
このような製品を製造する独自性を持つ会社であり、非常に優れた点が多くあります。チタンの加工・溶接の技術に加え、硬いとされるステンレスの加工や溶接が、さらに広がっていく可能性も考えられます。この技術を発展させることを期待して、グループインしました。
続いて2点目のトピックスであるSUBARU nw Sight(スバルニューサイト)についてです。自動車業界と合弁会社を設立するのは初めてです。当社は人材大手BIG3もしくはBIG5ともいわれていますが、実は大手といわれる人材会社は意外とライバル意識が強く、知ってはいてもコラボレーションすることはほぼありません。独立独歩です。
初めて大手同士が手を組み、特に難しいといわれる自動車業界の人材について、いかにお客さまのオーダーに的確に応えるか、人材の育成をどうするかといった課題に取り組むための1つのプラットフォームを目指し、合弁会社を設立しました。すばらしい第一歩を踏み出せたのではないかと思っています。
トピックス②:半導体人材の育成・地域活性化
半導体人材の育成・地域活性化についてのトピックスです。まず、半導体人材育成についてです。当社は半導体に非常に強みがあるといわれています。スライドは、TSMCの近くの熊本県大津町に設置した半導体技術者育成用の研修所です。記者会見では多くの記者にお集まりいただき、半導体装置を実際に見ていただきました。記者のみなさまも、最新の装置を初めて生で見る機会となり、非常に感動していただけたようです。
また、当社は産学官連携というわけではありませんが、教育の面で訓練や学びの場を提供していきたいという思いがあります。その一環として、開新学園と産学連携協定を結びました。
次に、地域活性化についてです。当社はもともと、地元北九州市との連携が盛んで、企業誘致のお手伝いなども積極的に行ってきました。その企業誘致の延長線上として、先ほどお話しした北九州のランドマークとなるインテリジェントビル「BIZIA小倉」の建設にも繋がりました。
そして今回、北九州市と同じような連携協定を徳島県鳴門市とも締結することになりました。これは非常に珍しいことであり、当社の業界では例を見ないことです。この取り組みは、今後大きく広がっていくのではないかと思っています。
トピックス③:直営施設「チロルの森」再開
そして最後のトピックスは、先ほどお話しした「チロルの森」です。近隣のみなさまも機会があればぜひご訪問ください。諏訪湖は非常に美しい場所で、一望が見られますので、ぜひお越しいただければと思います。
2025年12月期通期業績見通し
次に、通期の業績見通しについてです。上期が上振れて推移しているため、下期ももう少し良い数字になるのではないかと考えられる部分もあるとは思いますが、アメリカ関税政策の影響についてまだはっきりと見通せていません。
そのため、通期の見通しについては当初の計画のまま据え置きました。
セグメント別通期業績見通し
セグメントごとの数値はスライドのとおりです。
プロダクツHR事業 通期業績見通し
プロダクツHR事業についてお話しします。人材教育ビジネスは例年、下期に売上・利益が大きく伸びるケースが多いため、今期も下期に大きな数値目標を設定しています。半導体関連は現在非常に順調に推移しており、機械・製造装置関連も堅調に推移しています。
一方、依然として先行きが読みにくい状況で、アメリカの関税の影響がどの程度出てくるかについては、当社も大きなリスクと捉えています。そのリスクに対応するため、多種多様な分野をカバーしている当社の強みを活かし、人材の流動化をどのように進めるかなどの対策を講じています。加えて、内需産業向けの分野を広げていく戦略を取ることなどにより、しっかりとリスクに備えています。
プロダクツHR事業 多様な領域・業種カバーにより成長
スライドは当社の強みをお示ししています。ものづくりの川上から川下までの領域を幅広くカバーしており、業種に関しても非常にバランスよく分散していることをご確認いただければと思います。この点については、栗山よりあらためて説明いたします。
サービスHR事業 通期業績見通し
サービスHR事業についてです。ロジスティクス部門については、特に年末やクリスマスの時期に物流量が大きく増加し、ピークはおおむね年末になります。そのため、下期に向けて大きく成長できると考えています。
サービスHR事業 物流倉庫一括受託ノウハウの横展開
サービスHR事業の物流についてです。現在、これまで培った物流倉庫一括請負のノウハウの横展開を模索しておりますが、その一環で、昨年、福岡県小郡市に自社運営の倉庫を開設しました。2ヶ月目から黒字化を達成し、大きな成功を収めたと評価されています。また、九州では小郡に続く2号案件として、久山に新しい物流倉庫が完成する予定です。これにより、九州内は当社1社でほぼ網羅できると考えています。
これにより、当社は、物流倉庫内の人材の一括受注から、物流基地を自ら借り運営していく体制を整えるところまで成長することができました。
当社では非常に将来性のある分野と考えており、これを横展開することに注力しています。ヤマトホールディングスとも協議を通じてBtoB分野での取り組みを強化し、さらなる発展を目指しています。
サービスHR事業 自社運営倉庫の展開
スライドは、先ほどお話しした自社倉庫の場所をお示ししています。
不動産事業 通期業績見通し
不動産事業についてです。不動産事業は現在、建設費などが高騰しバブリックな状態になっていることは間違いありません。しかし、かなり想定シミュレーションを重ね、下期もほぼかたちが見えており、予定どおりに着地する見込みです。
複数事業のポートフォリオで安定成長を目指す
今期の見通しは当初の計画を十分にクリアできると考えています。ただし、金利の問題や、アメリカ関税問題などさまざまな憶測が飛び交っており、政治的な動向が見えにくい状況にあります。
しかし、当社の事業ポートフォリオはかなり裾野が広いため、こうした状況にも対応できると考えていますので、安心して見守っていただければと思います。
株主還元 配当性向を35%に引き上げ
配当についてです。配当性向は今期から35パーセントへ引き上げました。そのため、今期の業績が予想どおりの結果となれば、過去最高の106.2円となります。
会社は順調に成長しており、基盤もしっかり整ってきていると考えています。これからも株主のみなさまへの還元をできるだけ実現するよう努めていきたいと思っています。
以上で、私からの半期の決算報告を終わります。ありがとうございました。
ものづくりの川上から川下までをベストアシストする幅広い事業領域
ここからは、栗山からワールドインテックについてご説明します。ワールドインテックは製造会社に対するトップランナーであり、みなさまが特に気にされている部分かと思います。
栗山勝宏氏(以下、栗山):先ほどご紹介いただきました、ワールドインテック代表取締役社長執行役員の栗山勝宏です。どうぞよろしくお願いします。
おそらく「関税の問題がどのように業績に影響してくるのか?」に関するご質問が多いかと思いますが、その前に、当社グループであるワールドインテックグループの成り立ちや仕組みについて簡単にご紹介します。
スライドのとおり、ワールドインテックグループは、日本の製造会社をお客さまとし、製造業を支援することを目的としています。会社のビジョンとして、日本のものづくりを支援する「ベストアシストカンパニー」になることを掲げています。
当社グループは、製造会社のお客さまの研究開発、商品の設計、詳細設計、工場の生産技術、製造設備の保守・保全、製造、物流、販売、アフターサービスまで、日本のものづく全体を川上から川下までシームレスに支援し、トータルなサービスを提供しています。
例えば研究領域では、医薬品メーカーだけでなく、化学品メーカーや一般のものづくりメーカーにおいて、約2,000名の当社研究社員がさまざまなプロジェクトに参加し、お客さまの研究開発やR&D事業部門、特に解析・分析業務などに携わっています。
また、「ワールドインテックIT」という新しいロゴを採用したITS事業部、さらに関連会社であるワールドシステムサービスやクリエーション・ビューを合わせ、合計で約2,000名のシステムエンジニアが、日本のアプリケーションシステム開発等に携わっています。
最近では、IoTを活用し、生産工場の生産設備をインターネットに接続し、リアルタイムでプロセスをモニタリング・コントロールする動きが非常に活発化しています。この分野でも、当社の多くのエンジニアが活躍しています。
また、テクノ事業部では、機械設計、生産設備の設計、電気電子部品の設計に携わるエンジニアが、日本技術センターと合わせて約2,500名稼働しています。
さらに、生産ラインの保守・保全において、当社は半導体や電子部品業界で非常に強い特色を持つ企業です。製造の請負だけでなく、設備産業として24時間365日工場を稼働させる分野において、製造ラインの保守・保全で非常に大きなシェアを誇ります。製造部門では、現在約1万4,000名の従業員が従事しています。
その他、人事部門における給与計算では、クリエイティブという会社が顧客の給与計算を一括で請け負っています。また、アフターメンテナンスでは、ワールドリテックという会社が市場に出た製品の修理などの事業を展開しており、このような分野での強みがあると考えています。
グローバル拠点
当社は、日系企業のものづくりにおけるお客さまの人事まわりのサポートを、アウトソーシングやコ・ソーシングのかたちで提供しています。最近では、日本国内だけでなく、グローバルに展開するお客さまがほとんどであるため、海外進出している工場向けのサービスも年々拡大しています。
スライドはグローバル拠点についてです。国内には229拠点、海外には22の拠点を構え、テクニカルサポートやエンジニアリングサポートなどを主軸に、お客さまの世界展開をサポートしています。
特にアメリカでは3拠点を展開しており、今年末までにさらに1拠点を東海岸に増やす予定です。ヨーロッパではフランスのパリとリヨンに展開し、アジア地区では中国に7拠点を構えています。
台湾では新竹、台中、台南、高雄に拠点を設置しています。これら拠点についてはみなさまのほうが詳しいかもしれませんが、世界大手のお客さま向けにテクニカルサポートやエンジニアリングサポートを提供しており、現在150名の当社エンジニアが台湾で活躍しています。
その他、インドネシアでは昨年から準備を進め、今年から拠点を拡大しました。主に日本のものづくりを支えるためのもので、現在多くのお客さまが抱える労働人口減少という問題への対応を目的としています。
技能実習生については、インドネシアの学校と提携し、ジャカルタ近郊の初期に設立された古い工業団地を運営している企業と協力して進めています。職業訓練学校と提携を結び、質の高い教育を受けた技能実習生を日本の製造現場に受け入れる事業を開始しています。
このようなかたちで仕事を進めている企業グループとなります。
プロダクツHR事業 多様な領域・業種カバーにより成長
当社のプロダクト系の領域と業種についてご説明します。
まず、領域については、製造が68パーセント、技術が20パーセント、研究開発が11パーセントという内訳です。このうち、技術には商品の設計や製造技術、生産技術、システム開発が含まれます。
当社の特徴として、約10年前まで、半導体と電子部品で売上高の6割を占めていました。非常に尖った領域のため、人材育成と技術の蓄積に取り組んできました。しかし、グローバル化の波に翻弄される経験を積んだ結果、さまざまな分野にしっかりと領域を広げ、業種を拡大してきました。そのため、現在の社内売上高のシェアは、スライド中央の円グラフのようになっています。
そのような背景もあり、アメリカの自動車産業における相互関税の影響について、「どの程度の影響があるのか?」といったご質問もあるかと思いますが、当社のシェアを見る限り、現在のところ非常に軽微であると判断しています。
もちろん、主要なお客さまとは毎日のように関税対策の打ち合わせを行っています。コストダウンの要求や、生産がやや減少する企業もあったりはしますが、日々打ち合わせを重ねながら、今年年末に向けてどのような対策を講じるべきかを検討し、努力を続けています。
その他、自動車産業は13パーセントと記載していますが、当社はこの業界では後発に位置しており、市場におけるマーケットシェアが特別高いわけではありません。そのため、お客さまとの取引内容が非常に重要であると考えています。単なる受託ビジネスではなく、コア領域に近い分野に注力し、サービスの品質を高めることで、関税の影響を可能な限り軽減する努力を過去5年間にわたり続けています。このような取り組みにより、影響を軽微に抑えられることを期待しています。
いずれにしても、当社が得意とする多業種の領域をさらに拡充していくことが重要です。また、採用は非常にキーポイントであることから、採用のあり方を根本から改善するために、3年前から抜本的な改革を進めてきました。
当上期には、その成果がようやく数字に表れました。しかし、採用の手法は水物であり、テクノロジーの進化とともに採用手法も変化するため、引き続き改善が求められます。当社としては、採用効率をさらに高めるべく取り組むとともに、より多くの求職者に当社からのメッセージを届けられるような方法の開発に、これまで以上に力を入れていきたいと考えています。
簡単ですが、以上です。
質疑応答:求人の仕組みと採用効率の向上について
質問者:栗山取締役におうかがいします。自社運営採用サイト「工場求人ワールド」について、求人の仕組みが非常に機能しているというお話でした。従来の御社の強みとして、広い意味で社員のみなさまを自由に配置転換していくことが挙げられるかと思います。一昨年から昨年、半導体分野が少し不況だった際には、半導体以外の分野に人員をシフトする対応をされていたように思います。
一方で、採用時には多くの費用がかかる中で、今回急にこの仕組みの効果が表れたように感じます。ご準備を進められていたかと思いますが、これほど効果が出た理由について、どのようにお考えでしょうか?
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