2025年12月期第2四半期決算説明
宮藤康聡氏:SOLIZE Holdings株式会社 代表取締役社長CEOの宮藤です。本日はお忙しい中、お時間をいただきましてありがとうございます。ただいまより、SOLIZE Holdings株式会社の2025年12月期第2四半期決算説明会を始めます。
人間の創造性はこれからだ。
「人間の創造性はこれからだ」、これは当社SOLIZEグループのスローガンです。まさに人の知恵と技術をエンジニアリングし、革新していくという、これまでの歩みを踏まえた内容となっています。
会社情報
会社の概要についてご説明します。当社は1990年に設立されました。グループ会社としては、中核会社を新たに設立したことに加え、海外ではインド、アメリカ、中国、タイ、カナダの5地域に進出しています。
従業員数は昨年末時点で2,200名弱で、今年新卒者が約160名加わり、現在は2,400名弱となっています。
売上高推移(2017年~2024年)
売上高の推移です。当社は2010年代には約160億円から170億円の売上高を維持していましたが、2020年には新型コロナウイルスの影響で一時的に約15パーセント減少しました。その後は立て直しを進め、4年連続で10パーセント以上の成長を目指しています。
ビジネスモデル
1990年の創業から36年が経ちますが、創業以来続けている事業が、エンジニアリングサービスとマニュファクチュアリングサービスです。ものづくりのデジタル化、現在でいうDXが90年代初頭から始まった中で、当社はその黎明期からエンジニアリングサービスおよびマニュファクチュアリングサービスを実践してきました。
加えて、2000年代からはそこで培ったノウハウをコンサルティングサービスとして提供しています。主に製造業や自動車産業を中心としていますが、それ以外にもさまざまな業種のトップランナーとお付き合いしています。
SOLIZEのケイパビリティ
創業以来続けてきたエンジニアリングおよびマニュファクチュアリングの「実践力」に加え、2000年代からのコンサルティングによる「変革力」、この2つを掛け合わせたケイパビリティがSOLIZEグループの大きな特長です。
昨今、自動車メーカー各社も「100年に一度の転換期」として、ハードウェア中心の研究開発からソフトウェア中心へと大幅な開発リソースのシフトを進めています。我々は2010年代までは、主にエンジニア派遣を中心に展開してきましたが、最近では、ハードウェア領域におけるお客さまのニーズが変化しています。
お客さまがソフトウェアにリソースを優先的に割り当てる中で、ハードウェア領域においては派遣によって「点」で関与するサービスから、「面」で対応する受託サービスへの移行が進んでいます。具体的には、ある程度のノウハウとリソースを持つ企業に、業務を一括で委託するという要望が高まっており、その需要が非常に増加しています。
また、当社は単に業務を受託するだけでなく、業務プロセスを整流化し、生産性を向上させる「変革力」を掛け合わせることで、お客さまからの需要がさらに高まっています。
デジタルものづくりケイパビリティの拡張
さらに、2020年以降、当社は一定の投資を行い、これまでものづくりの設計、解析、生産準備を中心に業務を展開してきましたが、上流工程として、お客さまのPoC(概念実証)を早めるというニーズに対し3Dプリンターが非常に適しており、これまでお客さまの聖域であった研究開発領域にも入る機会が増えています。
また、下流工程では、これまで試作品製造を中心としていた当社ですが、3Dプリンティングの性能や品質が向上したことで、少量量産工程まで進出できています。
このように工程の上流と下流の両方に展開を広げるとともに、これまではハードウェア中心だった事業領域を、2020年以降、ソフトウェア領域、さらにはサイバーセキュリティのデジタルリスク領域へと拡大させ、成長を続けています。
成長を支える基盤:強固な顧客基盤
そして、その成長を支える強固な顧客基盤についてですが、日本の製造業の屋台骨といわれる自動車産業に深く関わり、すべての自動車メーカーと取引を行っています。また、グローバルサプライヤーとも取引をしています。さらに、それ以外の製造業分野でも、各業界のトップランナーと取引を行っています。
SOLIZEグループ
続きまして、当社の中長期成長目標についてお話しします。
まず、当社はこの7月に、中長期目標を達成するため、新たに持株会社体制に移行しSOLIZE株式会社からSOLIZE Holdings株式会社へと商号変更しました。そして、3つの中核事業会社であるSOLIZE PARTNERS、SOLIZE Ureka Technology、および+81に分社化し、事業展開を進めています。
中核事業会社:SOLIZE PARTNERS株式会社
まずはSOLIZE PARTNERSについてです。この事業会社は、当社が創業以来続けているエンジニアリングとマニュファクチュアリングを主としたメインビジネスを担う事業会社です。
加えて、現在はインドやタイを含む海外展開を担い、今後はさらにその海外展開を含めた発展を目指しています。
中核事業会社:SOLIZE Ureka Technology株式会社
2つ目の事業会社であるSOLIZE Ureka Technologyについてです。この会社は、かつて当社の前身である株式会社インクスが、先端技術を常に取り入れ、それをビジネスに活用してきたという背景を持っています。例えば、デジタルものづくりの黎明期には3D CADや3次元技術を早期に取り入れました。
現在では、AIや自動車業界のSDV(Software Defined Vehicle)、さらにはサイバーセキュリティといった先端技術を取り扱い、これに基づくコンサルティングおよびエンジニアリングサービスを展開しています。
中核事業会社:+81株式会社
最後に+81という会社についてです。これは、当社がこれまでのものづくりの中で培った「実践力」と「変革力」を、企業運営や社会課題の解決という観点から、ビジネスポートフォリオに組み込むかたちで設立された会社です。
新しい技術との掛け合わせによって、ビジネスポートフォリオや新しいドメインを構築していくことを目指しており、現在は主にソフトウェア領域に注力しています。当社が自ら立ち上げた株式会社STELAQに加え、今回名古屋の株式会社フューレックスをM&Aし、ソフトウェアビジネスの急成長を図るとともに、新規ビジネスをいくつも立ち上げることを進めています。
SOLIZEの目指す姿
そのような取り組みを重ねることで、2023年の200億円の売上高に対し、中期で2027年には倍の400億円、さらに2033年には1,000億円の売上高を目指しています。
成長目標
その成長をどのように実現するかについてですが、先ほどからお話ししていますように、創業以来しっかりと継続している顧客基盤が確立されている従来の領域、つまり既存ビジネスである、エンジニアリング・マニュファクチュアリング・コンサルティング事業において着実な成長に向けて取り組んでいきます。
加えて、2020年以降は売上高の約5パーセントを新規事業へ投資しています。その結果、新しいビジネス領域として、ソフトウェアやサイバーセキュリティ領域、AI、デジタル製造分野では3Dプリンティングを活用した少量量産を開始しました。
また、2024年2月には上場を果たし、資金調達を進める中で、M&Aも実施しました。今年はカナダのエンジニアサービスの会社と名古屋のソフトウェア会社(株式会社フューレックス)を買収しました。この3つを掛け合わせることで、従来の売上成長率10パーセント台から、20パーセント成長の実現を目指しています。
長期の成長目標実現に向けて「持株会社体制への移行」
繰り返しにはなりますが、我々は、成長を加速するためにホールディングス体制とし、3つの中核事業会社を基盤としています。
成長モデル
それぞれの中核ビジネスがしっかりと収益の核となるビジネスを持ち、そこで得た収益を新規事業に投資することで、成長を一気に加速させていきます。それが当社の成長モデルです。
成長戦略
持株会社は、グループ全体の成長を支えるために、成長戦略および人財戦略を統括していきます。
決算ハイライト
第2四半期の決算ハイライトです。売上高は上期で122億2,600万円と過去最高を記録しました。売上総利益も32億1,300万円となり、こちらも過去最高です。我々は成長とともに、しっかりと利益を生み出すビジネスモデルを構築できていると自負しています。
一方で営業利益については、今年2月にお伝えしたように、昨年下期から進めている投資を加速させたことにより販管費が増加し、結果として営業利益は4億3,100万円の損失、中間純利益は2億5,200万円の損失となっています。
連結損益計算書
こちらが連結損益計算書です。注目していただきたいのは、前年同期比で売上高と売上総利益の増加、つまり収益力の伸びがみられる点です。加えて、当社が期初に予想していた業績予想にほぼ一致しており、おかげさまで計画どおり順調に上期を終えることができています。
営業利益増減分析
営業利益がマイナスであることについて心配の声をいただくこともありますが、売上総利益はしっかりと増益を達成しており、売上総利益率も賃上げの中で安定的に確保できています。そのため、この状況で成長を止めるのではなく、さらに成長を加速させるために体制強化を進めています。
具体的には、採用体制の強化やM&Aに向けた投資戦略の機能充実、さらに実際のM&Aに関連する調査費用といった費用が発生しています。
さらにもう1つの施策として、海外展開を加速させるための取り組みを行っています。今年の2月にはタイとカナダに会社を設立し、M&Aも実施しました。これらグローバル展開に向けた追加の費用が発生した結果、上期の営業利益は4億3,100万円の損失となっています。
セグメント情報
セグメントとしては、特に現在投資を加速させているデザイン事業において経費などが加算され、セグメント利益のマイナス額が大きくなっています。一方、マニュファクチュアリングサービス領域は順調に伸びており、セグメント利益を確保しています。
連結貸借対照表
バランスシートについてです。先ほどお伝えしたようなM&Aの実施により、流動資産が減少しています。さらに、フューレックスの株式譲受やカナダの事業譲受に伴い一定の固定資産が増加しています。
重視する経営指標
私どものKPI、重視している経営指標についてご説明します。まず、国内エンジニア数は順調に増加しています。また、国内派遣単価も5,000円を超えました。
国内派遣稼働率については、第2四半期に毎年低下しますが、今回は90パーセントを割りました。これは、これまで新卒採用が100名前後だったところ、今期は159名と採用を増やした結果、第2四半期(4月から6月)に新入社員が加わるタイミングで一時的に国内派遣稼働率が下がったためです。
その後、7月以降は続々と配属が決まっており、第3四半期(10月から12月)にかけては例年どおり、稼働率が最大の95パーセントを超える見込みです。
国内採用数は、3年で500名体制を構築するという目標のもと、今期も順調に推移し、第2四半期で280名を超える採用を達成しています。
2025年12月期 連結業績予想
連結の最終的な予想です。期初に公表した売上高270億円、営業利益は微増の5億円で、最終着地は変わらないものと想定しています。
株式会社フューレックスの株式取得(子会社化)
トピックスです。当社は上場を果たし、資金調達を通じてM&Aを加速させていく中で、今回非常に良いかたちで株式会社フューレックスを子会社化することができました。M&Aは、まさに我々が戦略として考えている一例です。
事業承継において、地域や地場で長年しっかりと事業を続けてきたものの、後継者がなかなか見つからない企業に対して、エンジニアのキャリアや教育も含めた体制が整った企業にジョインしたい、という想いでSOLIZEを選んでいただきました。
このように、日本各地には地域に根ざした企業が数多く存在しています。一方で、事業承継において、会社の将来や社員のことを考え、基盤がしっかりした会社を求めている企業もあります。そのような企業を今後も積極的にSOLIZEグループにジョインさせていければと考えています。
カナダ、タイに拠点を開設
さらに、カナダとタイの展開についてご説明します。北米については、当社として今後も非常に重要な地域と位置づけています。これまでデトロイトにSOLIZE USA Corporationが1社ありましたが、新たにカナダを重要拠点とし、事業譲受というかたちでジョインする運びとなりました。
また、新たにタイにも進出することになりました。当社ではアジアを非常に重要なマーケットと考えています。これまで中国やインドに進出していましたが、東南アジアは大規模なマーケットです。その中でタイは、日本企業が古くから開発拠点を置いている地域であり、東南アジア全体をカバーするハブになる拠点と考えています。
Roboze の「ARGO 500 HYPERSPEED」を導入し、国内唯一の代理店として装置販売・導入サポート
さらに、当社が創業以来続けている3Dプリンティング事業において、イタリアのRoboze社と国内初の代理店契約を締結しました。この3Dプリンティング技術は、インフラ業との親和性が非常に高く、欧米ではすでに進展しています。これを日本で初めて導入することにより、ものづくり領域のデジタル化が進む中で大きく期待しています。
配当
最後に株主還元についてです。期初に発表したとおり配当について、増配を維持したいと考えています。上場初年度の配当金は44円、その後47円と推移し、今期は55円を予定しています。