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宮藤康聡氏:こんにちは。SOLIZE株式会社 代表取締役社長兼CEOの宮藤です。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。当社の2024年12月期決算説明会を始めます。
本日のアジェンダはスライドのとおりです。会社概要、決算ハイライト、2025年12月期の連結業績予想、中長期の成長目標、株主還元の順にご説明します。
デジタルものづくりを革新し続けるSOLIZE
会社概要です。SOLIZEは「デジタルものづくりを革新し続ける」を標榜し、事業を進めています。
ビジョンとミッション
ビジョン(理念)とミッション(使命)についてです。我々の理念は「進化を感動に」です。
「知恵と技術をエンジニアリングし、価値創造を革新する」「『本質的に美しいものづくり』を実現する」という2つの使命を実現するために事業を行っています。
会社情報
会社情報です。当社は1990年設立で、今年で創業35年目を迎える会社です。従業員数は2,100名を超える状況となっています。
主要拠点としては、日本に5つのブランチを持つとともに、海外にはアメリカ、インド、中国、今年からカナダ、タイの5つの拠点があります。
ビジネスモデル
ビジネスモデルです。これは、昨年度2024年2月に上場した際にもお示ししている資料です。
我々は創業以来、エンジニアリングサービスとマニュファクチュアリングサービスを行っており、加えて2000年代に入ってからコンサルティングサービスを開始しました。
スライドの上から2つがいわゆる実践、一番下が変革となる事業で、この実践と変革の掛け合わせがSOLIZEの最大の特長です。自動車メーカーをはじめ、さまざまな製造業、建設業をお客さまとしています。
SOLIZEのケイパビリティ
我々は創業以来持つ実践力と、2000年以降のコンサルティングによる変革力の掛け合わせで提供価値を向上させており、今、ものづくりの現場および経路においても引き合いが非常に強いです。
例えば、最大のお客さまである自動車業界では、今、100年に一度の転換期を迎えています。これまで2000年代から2010年代にかけては、どちらかといえば派遣を強く進めており、お客さまに対して点で支えていましたが、2020年以降は請負受託の需要が非常に高まっています。
その背景には、自動車産業では、お客さまがよりソフトウェアの開発に注力していく流れがあります。その中で、今までのハードウェア領域については、丸ごと受けることができる確実なキャパシティ、あるいはケイパビリティのある企業が求められており、我々がそこに選ばれ、非常にたくさんの引き合いが来るようになっています。
さらに我々は、単純に丸ごと受けるだけではなく、プロセスを整流化し、生産性を上げるソリューションも行っており、この組み合わせで非常に高い評価をいただいています。
成長を支える基盤:強固な顧客基盤
当社の成長を支える、顧客基盤についてです。当社のお客さまは、日本の製造業の屋台骨となる自動車関連が約8割を占め、それ以外が2割となっています。自動車OEMの8社すべてと取引があり、グローバルサプライヤーともお付き合いをしています。
その他、自動車以外でも、各製造業や建設業の各業界のトップランナーとお付き合いをしています。
決算ハイライト
2024年12月期の決算ハイライトです。売上高は227億1,300万円で、前期比13.1パーセントの増収となりました。
加えて、儲ける力である売上総利益は64億4,900万円で、前期比17パーセントの増益です。当社は昨年、人件費において約7パーセントの賃上げを実施し、さらに原価も上がる中で、これだけの粗利総利益を出しました。儲ける力が着実に増していると言えると思います。
営業利益は4億5,500万円で、前期比約50パーセント弱の減益となっています。これは昨年のちょうど8月時点で、計画より先行投資することに踏み切ったためですが、内訳は後ほどあらためてご説明します。
当期純利益は2億5,400万円となっています。
売上高・売上総利益
スライド左側は売上高のグラフ、右側は売上総利益のグラフです。ご覧のとおり、売上高は2021年から毎年増収しています。特に2022年以降は2024年まで、創業以来、過去最高の売上高を更新し続けています。
売上総利益も、おかげさまで売上高にあわせて増益となっています。
売上高推移(2017年〜2024年)
もう少し長いスパンの売上高推移です。先ほど触れた2010年代には、我々はある程度成長の踊り場に達していました。その後、2020年にコロナ禍で一度落ち込みますが、事業再編等を行う中で、2021年以降確実に回復し、現在は成長トレンドにあります。
おかげさまで2022年以降はCAGR10パーセントを超える成長を確実に遂げており、2024年12月期の第4四半期には、四半期で初めて60億円を超える売上高を達成することができています。
連結損益計算書
あらためて、連結損益計算書はご覧のとおりとなっています。
営業利益増減分析
営業利益増減分析です。我々は2024年8月に先行投資を行い、当初の目標から利益計画を3億5,000万円まで引き下げました。この結果、営業利益は4億5,500万円の着地となりました。
どこに先行投資したかというと、一番多いのは人件費です。販売管理人員を含めて、先に体制の強化を図るため、特に採用チームの増強をしたほか、採用に対する経費を投資と考えて充当しました。
我々としては、今非常に採用競争が激しい事業環境を考慮すると、事業を確実に成長させていくために、もともと計画していた水準以上に、採用に対する費用を投資として使ったという背景があります。
それ以外にも、昨年からM&Aを試みており、そちらの費用もプラスで計上することになりました。その他、一定の新しい技術領域への開発費用、あるいは展示会の費用が増え、最終結果は4億5,500万円となっています。
成長に向けた研究開発・事業開発等への投資
当社は2024年2月の上場に際して、あくまでも中長期スパンでの企業価値の向上、成長の加速を目的に、売上高の5パーセントを目安にした投資活動のポートフォリオを描き、現在はこちらを前提に進めています。2024年はさらに売上高の2パーセント、つまり計7パーセントを投資に回しました。
中身としては、より成長を加速する上で必要な、研究開発あるいは採用等への投資、設備投資、CVCへの投資を行っています。
重視する経営指標
重視する経営指標についてです。我々が上場以来掲げているのが、国内のエンジニア数を増やすことです。
また、労務費も上げていますので、お客さまに訴えかけ、派遣の単価を上げることです。
さらに、採用した社員をいち早く稼働に回すことです。
採用数については、2020年代に入り、だいたい150名の採用体制から、5年ぐらいかけて、500名にしていく計画を立てており、2024年には約300名まで伸ばすことができています。
2025年12月期 連結業績予想
2025年12月期の連結業績予想です。今年はさらに成長を加速する見通しで、売上高は270億円台、前期比約19パーセントの増収を目指します。
これを踏まえ、営業利益は昨年以上に増益を確保する方針で、今は5億円を計画しています。
SOLIZEの目指す姿
中長期の成長目標です。昨年の秋口にも、成長を加速する上で少し触れていますが、今年になって、より具体的に進めるところもあるため、あらためてご説明します。
SOLIZEグループは、2033年に1,000億円企業になることを目指しています。そして、これまで30年以上培ってきた「デジタルものづくり」というコア領域で培った実践と変革を応用することで、さらに次世代の企業運営を変えていきます。
最終的には、社会変革を目指し、さまざまな社会課題の解決に企業として取り組んでいきたいと考えています。このような事業ドメインを、我々が持つ2つの基軸である創造性と公益性で拡大させていきます。
創業以来育んできた創造性と、民事再生を踏まえ、さらには昨年上場を果たしましたので、上場企業として果たすべき公益性の2軸でドメインを広げ、中長期目標としては今後3年で売上400億円、2033年には1,000億円を目指していきます。
成長目標
成長目標についてです。2020年代に入り、我々はしっかりとした顧客基盤の上で、創業以来続けている2つの事業にコンサルティングを加えた3つの既存事業で、売上の約5パーセントを投資に回し、新規領域の事業を作ってきました。
売上高10パーセントから13パーセントの成長を2024年まで続け、2025年以降は、調達資金によるM&Aも加えて事業を加速させ、年平均20パーセント以上の成長率を目指しています。
長期の成長目標実現に向けて「持株会社体制への移行」
昨秋すでに開示しているとおり、今年7月1日に持株会社体制への移行を目指しています。SOLIZE株式会社は持株会社となり、エンジニアリング・マニュファクチュアリング事業、コンサルティング・エンジニアリング事業、ビジネスインキュベーション事業の3つの中核事業会社を設立し、フォーメーションを組んで経営を行っていきます。
成長モデル
なぜこの3つに分けたかというと、従来の一体化で行う意思決定スタイルではなく、それぞれが自主的、自律的にキャッシュカウと収益モデルを作り、その中で上げた収益を新しい領域に投資していくためです。それぞれが遠心力を利かせて成長を加速させることを目指しています。
成長戦略
その中核事業会社の急成長を支えるのが我々の持株会社となります。コーポレート機能をしっかりと回すのは当然ながら、投資戦略、さらには昨今謳われている人的資本経営を実践する人財戦略の大きな2つの戦略で、中核事業会社の成長をアクセラレートすることが持株会社の役割であると思っています。
エンジニアリング・マニュファクチュアリング事業領域
3つの中核事業会社それぞれにおける中長期の成長戦略についてです。まず、エンジニアリング・マニュファクチュアリング事業領域は、既存事業でしっかりとボリュームを拡大し、単価を上げていきます。この領域は実質7割から8割の売上となるため、着実に伸ばしたいところです。
また、2020年以降投資を加速しているエンジニアの採用・育成に力を入れていきます。
さらに、我々の持つケイパビリティの1つとして、グローバル展開は非常に大きな成長のポテンシャルだと思っています。
マニュファクチュアリング領域のAM関連では、先日イタリアの3Dプリンターメーカーの販売代理店となりましたが、このような分野も加速していくことになります。
コンサルティング・エンジニアリング事業領域
変革を担う分野とエンジニアリングの掛け合わせの事業領域についてです。先ほどお伝えしたように、現在自動車新領域は大きな変革期で、特にDXの加速に関して我々も多くの引き合いをいただいています。我々の持つ変革力で、採用を強化のうえしっかりと伸ばしていきます。
また、我々が独自で開発したAIプロダクトをコンサルティング事業と連携させ、次の事業拡大の柱としたいと思っています。
さらに技術領域では、一番付加価値の高い自動車の制御のモデルベース開発、サイバーセキュリティ対応支援などにより拡大を図っていきます。
ビジネスインキュベーション事業領域
ビジネスインキュベーション事業領域です。こちらについては、先立って今年1月にソフトウェア事業を承継する株式会社STELAQを分社化しました。STELAQはビジネスインキュベーション事業の配下で今年4年目になりますが、3年間で200名を超える規模のソフトウェア事業に成長し、独立した会社となっています。
このようなスタートアップ的な事業をいくつも作っていくことが、ビジネスインキュベーションの非常に大事な事業内容となるため、今後は中核事業会社となって、CVC等を含めた外部とのパートナー連携を進めていきたいと思っています。
海外事業の拡張
エンジニアリング・マニュファクチュアリング事業領域では、我々は競合他社に比べて海外でのアドバンテージが非常に高く、現在インドに注力しています。インドはモータリゼーションがいよいよ日本を超える勢いで、過去の中国の例をとっても、自動車関連は今後大きく発展が見込まれるため、着実にこの事業を伸ばしていきます。
さらに、2月末にはタイに進出します。中国とインドのちょうど中間にある東南アジアに拠点を持つことで、今後まさに世界的にも最も成長するアジアのマーケットをしっかり伸ばしていきます。
また、先端技術を扱っていく上では、北米市場も非常に大事なマーケットだと思っています。これまでSOLIZE USA社単体で展開してきましたが、隣国のカナダにも拠点を持つことになりました。こちらも今月中にローンチできると考えています。
このように、拠点も増やす中で一気に海外売上を伸ばすのが中期の目標となっています。
投資戦略
コーポレート側での投資戦略では、日本、北米、また今後はアジアのスタートアップにも投資を行うことによって、新領域への進出、あるいは新領域と新技術の掛け合わせと、それぞれいくつかを掛け合わせた事業で攻めていきます。
我々は創業以来、常に先端技術を日本に取り込み、成長を遂げてきました。したがって、このような領域での連携を深める投資が重要だと考えています。
投資戦略
より具体的にお伝えすると、これまで行ってきたCVCの中では、当然ながらすぐにキャピタルゲインが出ることはなかなかないのですが、我々のいくつかの投資先の事例として、日本で最も歴史のある大学系VCのWERU社に出資を行い、MDC社を紹介いただきました。
MDC社はスタンフォード大学発のスタートアップで、昨年の全米スタートアップTOP10に入っています。MDC社は実はヘルスケアの領域で非常にメカニカルな手術器具を製造しており、我々のエンジニアリング能力がPoCを回す上で非常に強力なサポートになると、先方から信頼を寄せられています。
我々としては、CVC投資で単純にキャピタルゲインを得るだけではなく、むしろ人と技術の供給を行い、スタートアップの成長を加速させる意味合いも含めて進めていければと思っています。
人財戦略
継続投資を行っている人事領域、人財戦略です。経営戦略と連動した採用、人財育成、あるいはエンゲージメントが重要となります。今後我々が持株会社化する中で、事業の成長は遠心力で加速しますが、一方でグループとしての確たる求心力が必要です。
これらの人財戦略の実践により、我々のマインドを含め、求心力で事業を拡大させていきたいと思っています。
人財戦略:採用強化
採用については、2020年以降で500名体制の目標に対し、2021年以降順調に数字を伸ばし、昨年は約300名を採用しました。今年は350名から400名を目指しています。
売上高目標
売上高目標については、2021年以降3期連続過去最高を達成しました。そこで終わらせることなく、次の3年も引き続きCAGRを20パーセント台に乗せ、400億円を目指していきます。
配当
最後に、株主還元についてご説明します。おかげさまで、昨年の上場1年目から配当を実施することができました。2023年期末に44円、2024年に47円、2025年はさらに増配し、現時点で55円を予定しています。
以上で説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。