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山田政彦氏(以下、山田):みなさま、本日はお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。株式会社SM ENTERTAINMENT JAPAN取締役経営企画部門長の山田政彦です。

それでは、2025年12月期第2四半期決算についてご報告します。本日は主に業績の部分を中心にお話ししたいと考えています。

1)2025年第2四半期累計の業績

それではさっそく、2025年第2四半期累計の業績についてお話しします。

スライド下段のセグメント別業績に記載のとおり、2025年第2四半期累計の売上高は48億6,700万円で、前年同期比約3億2,700万円減、6.3パーセントの減となっています。

その中で、エンターテインメント部門の売上高は36億7,300万円で、前年同期比約3億円の減収となりました。ライツ&メディア部門の売上高は約12億円で、前年同期比約3,000万円の減収となっています。

スライド上段の棒グラフは、2024年と2025年の四半期別売上高および累計売上高を示しています。第1四半期について、前回のご報告では、2025年第1四半期の売上高が前年同期比約28.7パーセント減少しているとお伝えしましたが、第2四半期の売上高は48億6,000万円で、昨年の51億9,000万円に対して、約6.3パーセントの減となっています。

第1四半期に28.7パーセント減だったものが、今回の報告では6.3パーセント減に改善しており、目標に対しては順調に推移していると考えています。

2024年について見ると、第3四半期の累計売上高は約72億円、第4四半期の累計売上高は約97億円となっています。一方、2025年の第4四半期時点で累計は98億6,600万円、前年比で1.5パーセントの増収となる見込みです。なお、当社では四半期別の売上高や利益については公開していませんが、累計の数字は昨年を上回る見込みであることが確認できます。

次に、営業利益に関してです。第2四半期までの営業利益の累計は1億3,800万円で、前年同期比1億8,000万円の減益、56.4パーセント減となりました。エンターテインメント部門が2億7,300万円、ライツ&メディア部門が1億3,400万円となっており、いずれも昨年より減益となっています。

2024年の第1四半期を振り返ると、営業利益は2億3,200万円で、上期偏重となっていました。主力であるコンサートビジネスが上期に集中していたためです。今年は下期偏重で、前回第1四半期の決算発表時にもお伝えしたように、これからコンサートが続く予定です。

そのため、第1四半期の営業利益実績は、昨年の2億3,200万円に対して4,200万円で、約81パーセントの減となりましたが、今回の第2四半期では昨年が3億1,800万円だったのに対し1億3,800万円となり、56.4パーセントの減となっています。

特徴的な点として、累積ベースではなく第2四半期単体でみると、売上高はグラフの「Q単体」で示されている約26億円となり、昨年と比べて増加しています。また、営業利益に関しても同様に、昨年と比べて増加しています。

結果としてマーケットでは、昨年と比較して第2四半期の売上高が6.3パーセント減少し、営業利益がマイナス56.4パーセントとなっている部分が注目されるかもしれません。しかし、当社としては計画どおりに進んでいることをお伝えできると思います。

その内容は、下段の「セグメント別業績」の表の「前期比較」として記載されており、決算説明資料をWeb上でもご覧いただけます。第2四半期単体では増収増益となり、順調に推移していると考えています。

エンターテインメント事業においては、主力のコンサートが下期偏重となるため、売上高や利益が昨年と比べて低い状況です。しかしながら、コンサート以外の事業が計画よりも高い成果を上げ、第2四半期の売上高に大きく寄与しています。

ライツ&メディアに関しては、日本を含めた市場環境が依然として厳しい状況ではあります。しかし、今回、徹底したコストコントロールや、後ほど具体的にお話しするライツビジネスにおける売り方の戦略転換により、第2四半期単体では増収増益を達成することが確認できました。そのため、全体のマイナスイメージよりも、実際には内容として良好な結果であったと考えています。

2)2025年第2四半期サマリー

次に、第2四半期までの進捗率のサマリーを確認していきます。左側の棒グラフからわかるとおり、売上高の進捗率は、98億6,000万円に対し約49.3パーセントと、計画のほぼ半分に達しています。

一方、営業利益の進捗率は34.3パーセントと、下期偏重の傾向があるため、若干遅れているようにも見えますが、計画どおりの進捗となっています。

ちょうど1年前にお見せした昨年同時期のスライドでは、売上高が57パーセント程度進捗しており、営業利益は250パーセントという上期偏重の状況でした。最終的には、今年の売上高と営業利益が昨年を上回る結果になることを考えると、下期偏重の傾向が明確に表れているといえるでしょう。

スライド右側の上段部分には2024年および2025年のコンサート状況をまとめています。公演数については、各四半期別に比較すると今年が非常に多い状況です。ただし、括弧内に記載されているように、東京ドームや京セラドームといった大型会場での公演数が少なく、今年は小規模のコンサートが多かったという特徴があります。この点も下期偏重というかたちが顕著に現れています。

動員数について、2024年の1月から6月までの累計は約85万人、同じ時期の2025年は約64万人となり、昨年に比べて減少しています。一方で、全体のコンサートの動員は昨年実績の約157万人から今年は170万人に増加を見込んでおり、下期偏重の傾向であることがわかります。

さらに、スライドに赤字で記載している「前年同期比売上18パーセント増」が今回の1番のポイントです。コンサート以外のビジネスを戦略的に推進しており、その成果がしっかりと表れた第2四半期と考えています。

ライツ&メディア事業に関しては、独占先行配信を戦略的に展開しています。このビジネスモデルについては、表を用いて後ほど詳しく説明します。販売手法を一部変更したことが収益構造に良い影響を与えたと考えています。

1)エンターテインメント|主要スケジュール及び実績

セグメント別にもう少し詳しく見ていきます。こちらはエンターテインメント分野に関するもので、第2四半期(4月から6月まで)のコンサートおよびコンサート以外のビジネス展開についてです。写真がいろいろと掲載されていますが、例年どおりコンサートをしっかり開催していくとともに、コンサート以外のビジネスにも注力しています。最近ではPOPUPストアの開催がメインとなっています。

当社ではどうしてもアーティストやアイドルの稼働に依存する部分が大きくなります。コンサートについては四半期ごとの決算発表でも頻繁にお伝えしていますが、昨年のコンサート動員数は約157万人で、今年は170万人の計画となっているものを、300万人や500万人といった規模に引き上げていくのは簡単ではないと認識しています。

そのため、コンサート以外の分野にも戦略的に力を入れており、第2四半期は下段の写真に示されているPOPUPストアやCM契約の獲得など、着実に進展が見られた期間となりました。その結果として、先ほど触れたこれらの分野における売上高は昨年より約2割増加し、予想を上回る良好な成果を得ることができました。

2)エンターテインメント|第2四半期の実績及び成長戦略の進捗状況

これまでに話した内容が、スライド左側の棒グラフにまとめられています。こちらは、昨年と今年のコンサート動員数のKPIを示したものです。昨年同時期の動員数は約85万人であるのに対し、今年は約64万人となっており、目標は170万人です。昨年比でコンサートの数を約8パーセント増加するかたちを目標として、事業計画を策定しています。

一方、右側の円グラフはコンサート以外のビジネスに関する分析です。300万人や500万人の動員を実現するのは難しい状況にあるため、当社は戦略的にコンサート以外の分野にも力を入れています。その結果、2024年第2四半期の段階と比べて、今年はかなりの伸びを示しています。

また、今年1年を通して、コンサート以外の事業比率を昨年の49パーセントから55パーセントに引き上げることを目標に掲げています。コンサートの数を増加させつつ、それぞれの収益性も高め、さらにコンサート以外のビジネス比率を伸ばしていく方針を取っています。この戦略によって、売上高や営業利益をさらに拡大できると考えており、その方針に基づいて展開を進めています。今期も戦略どおり進んだと言えると思います。

3)ライツ&メディア|第2四半期の実績及び成長戦略の進捗状況

ライツ&メディア事業についてお話しします。スライドの左側には、ライツ&メディア事業でリニア配信をしているKNTVの状況が示されています。SMEJとの吸収合併以降、当社は韓国ドラマの初放送のみならず、K-POPの生放送や録画放送など、K-POPプレミアムコンテンツの放送にも積極的に取り組んでいます。昨年は15本のプレミアムコンテンツを放送しましたが、今年は20本を目標とし、現在その半分が達成されており、順調に推移しています。

しかしながら、先ほどからお伝えしているように、放送事業を取り巻く環境は、現時点では赤字を出していないものの、依然として厳しい状況が続いています。このため、コストコントロールをさらに徹底し、収益向上を目指した施策を進めていきたいと考えています。現時点では、事業は順調に進んでいる状況です。

スライドの右側に記載されているのは、ライツ事業の販売方法についてです。従来は、ファースト放送(初放送)やセカンド放送を経てDVDや配信を展開する形式でした。しかし最近では、まず配信の独占契約をどこか1ヶ所で大きく展開し、その後に放送や従来どおりの展開を進めるケースが増えています。

この方法により、OTT事業者との価格交渉が可能になるほか、さまざまな協業を進めることができます。その結果、ライツ事業ではさらなる収益獲得を図ることができています。こうした成果は、第2四半期において良かったトピックスの1つとして挙げられます。

1)エンターテインメント|第3四半期以降の主要トピック

エンターテインメント事業の第3四半期以降のトピックについて、スライドに示しています。写真が並んでおり少しわかりづらい点もあるかもしれませんが、先ほどからお伝えしているとおり、コンサートが下期に集中しています。そのため、第3四半期には多くのコンサートが行われます。例えば、現在非常に人気のあるRIIZEやaespaなどです。

加えて、最も重要なトピックとして、今週末に東京ドームで開催されるSMTOWN LIVEが挙げられます。このイベントは、2日間とも満席となっており、大変盛り上がっています。これが第3四半期の売上高および利益に大きく貢献すると見込んでいます。

また、新しい試みとして、従来のグループ活動に加え、ユニットやソロ活動にも取り組んでいます。中でも、東方神起のCHANGMINによるソロ活動が注目されています。このようにグループだけでなく、ユニットやソロでも活動できる構造を整え、すべてのアーティストが柔軟に活動できる仕組みを構築しています。

さらに、このページで特に重要なポイントは、当社オリジナルIPに関するトピックです。ガールズグループやバーチャルアーティストが年内にデビューする予定であり、こちらについてはデビューの際にあらためて報告します。現在の仕上がりは非常に良好で、みなさまに期待していただける内容となっていると考えています。

1)ライツ&メディア|第3四半期のトピック

ライツ&メディア事業の第3四半期のトピックです。戦略的にKNTVとK-POPプレミアムコンテンツ、特に「SMTOWN LIVE 2025 in TOKYO」と記載されている、今週末に行うSMTOWN LIVEなどを放送していきながら、新規加入者の獲得、解約を防止する施策を継続していきます。また、ライツ事業では、韓国で大きくヒットし日本でもヒットが見込まれる作品をしっかり獲得していきたいと考えています。

1)その他の報告事項

最後に、その他の報告事項として2点お伝えします。前回までのご報告では「ストリームメディアコーポレーション」という商号でご報告していましたが、6月1日付で「株式会社SM ENTERTAINMENT JAPAN」に商号を変更しました。

日本を含むさまざまな海外の機関投資家のみなさまとお会いする中で、SM ENTERTAINMENTグループというブランド力の強さをあらためて実感してきた数年間でした。そのため、会社としてさらなる発展を目指し、商号を変更しました。

商号変更を開示した前後の出来高を比較したところ、現時点では少し効果があったように思います。この効果を継続させるために、売上高や利益といった重要な数字をさらに向上させる構造につなげていきたいと考えています。

2つ目は、新株予約権の消滅です。今回は特別利益として約2億2,000万円を計上しました。ただし、現状として上方修正はまだ公表していません。

まだ6月までの状況ですので、第3四半期の状況を見ながら、新株予約権の件も含めて、必要に応じて開示していきたいと考えています。この点については、関心を持っていただければと思います。

2)業績の概況

業績の概況として、四半期別およびセグメント別に、これまでの全体の売上高と営業利益をまとめています。スライドの表をご覧いただければ、ここ4年間で売上高が着実に伸びており、利益についても赤字から黒字化し、最近は少しずつ増加していることが確認できます。ぜひご参考にしていただければと思います。

質疑応答:今期が下期偏重になっている理由について

司会者:「説明資料には『下期偏重』というワードが目立ちますが、2025年が下期偏重になっている理由がありましたら教えてください」とのご質問です。

山田:直近の2023年および2024年は、上期にコンサートがかなり集中していましたが、今年は下期に集中しています。これにはさまざまな事情がありますが、大きな理由として、今年はSM ENTERTAINMENTグループ全体の30周年ということで、特別に多くのアーティストが上半期にアメリカ、ヨーロッパ、東南アジアなど、日本以外の国でSMTOWN LIVEに注力していたことがあります。

私たちはコンサートを単発で行うのではなく、少なくとも5万人、10万人、20万人、場合によっては30万から40万人規模でツアーを組みます。これを年間を通して行ったり、長期間にわたって実施したりすると、コストコントロールに課題が生じるため、コストやアーティストの稼働状況を踏まえ、計画段階から7月以降の下期にコンサートを集中させる方針を取っています。

第1四半期・第2四半期は、MDやPOPUP、CMなど、アーティストが日本に来なくても売上や利益を確保できる、コンサート以外のビジネスに注力してきました。そのような中で、第3四半期・第4四半期ではコンサートを積極的に行っていく予定ですが、さらにコンサート以外のビジネスにも注力し、予定を上回る成果を目指していきたいというのが、当社の考えです。

質疑応答:コンサート以外のビジネスを重要視する理由について

司会者:「コンサート以外のビジネスを伸ばしていく計画かと思いますが、コンサート以外のビジネスを重要視しているのはなぜでしょうか?」とのご質問です。

山田:ご説明の中でも触れましたが、特に会社の説明や外部とのミーティングの際によく話題に挙がる内容です。確かにコンサートは、「何万人動員」などが最もわかりやすく、説明もしやすい分野です。今年は170万人を目標としていますが、成長性という観点では、この170万人という目標を200万人以上に引き上げることは簡単ではないと考えています。

その背景には、アーティストの稼働状況、日本国内でのコンサート会場の確保など、さまざまな課題があります。そのため、コンサートは年間150万人から200万人程度の枠内で確実に運営していく一方で、1件1件の制作の単価を抑える努力や、チケット価格の引き上げを少しずつ進めています。

コンサートごとの収益性を向上させることに注力しながら、アイドルやアーティストが日本に直接来なくても売上を着実に伸ばせる仕組みを構築することが重要だと考えています。

先ほどお伝えしたように、バーチャルアーティストは、実際に来日するかどうかに関係なく展開可能なため、この分野に数年間かけて会社としても大規模な投資を行ってきました。これまで投資によって利益への影響もありましたが、長い時間をかけた結果が、今年の年末にようやく現れます。

もちろん、ブレイクさせることは非常に重要ですが、そのプロセスを通じてコンサート以外のビジネスを拡大していくことも目指しています。