ヤプリ、売上高・営業利益・ARRは過去最高を更新 上方修正後の通期業績予想に対しても利益面が順調に推移
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庵原保文氏:代表取締役CEOの庵原です。株式会社ヤプリの2025年12月期第3四半期の決算説明会を行います。本日は、「2025年第3四半期業績」および「事業ハイライト」についてご説明します。その他については、前回から変更ありませんので割愛します。
2025年12月期 通期業績予想

それでは、2025年12月期第3四半期の業績についてご説明します。最初に、通期業績予想を修正しました。主に利益面の修正であり、営業利益、当期純利益、調整後EBITDA、株主還元の1株当たり配当のすべてを修正しています。
スライドのとおり、営業利益は当初予想の7億5,000万円から8億3,000万円、当期純利益は8億3,000万円から9億2,000万円、調整後EBITDAは8億1,000万円から8億9,000万円となりました。
また、2025年5月に開示した当期の年間配当予想は12円の方針でしたが、今回の業績予想の修正に伴い、1円増額修正し、年間13円としました。権利確定日の12月末の配当予想は7円となります。売上については据え置きとなりましたが、利益面を中心に修正しました。
業績ハイライト 四半期

次に、業績ハイライトについてご説明します。スライド上部に記載されている3つの主要業績は、前年同期および前四半期をいずれも上回り、売上高、営業利益、ARRは過去最高を更新しました。特に利益は大幅に増加し、営業利益率が17パーセントを超えるなど、当四半期は非常に良い結果となりました。
スライド下部の主要KPIについては、契約アプリ数が前四半期から大きく伸び、908となっています。平均月額利用料も堅調に増加し、46万円に達しました。一方で、解約率は若干悪化し、0.87パーセントとなっています。
P&Lサマリー 四半期

四半期別のP&Lサマリーです。前のスライドと大きな違いはありませんが、売上・利益ともに堅調に推移しました。利益についてはYoYで30パーセント以上の成長となり、売上から利益のすべてにおいて、QoQ、YoYともに成長しています。
業績予想の進捗

業績予想に対する進捗についてです。今回は業績予想を修正しており、修正後の予想に基づいた進捗率となります。
売上は、62億円に対して進捗率が約72パーセントと昨年より2ポイントほど下回り、ややビハインドの状況です。予断を許さない状況ですが、期末に向け11月と12月の残り2ヶ月で全力で営業活動を行っています。
利益面は、業績予想修正後の進捗率も順調であると考えています。営業利益が87.2パーセント、当期純利益が77.7パーセント、調整後EBITDAが88.2パーセントと、利益面は修正後の予想に対しても順調に推移していると捉えています。
売上高 四半期

四半期別の売上高の推移です。当四半期は、初期制作やアプリマーケティングなどのプロフェッショナルサービス売上が好調でした。これは、前四半期の受注が非常に好調で、その影響によりアプリ制作関連の売上が増加したためです。ストック型のプラットフォーム売上も堅調に推移し、過去最高の四半期売上を達成しました。
ARR 四半期

ARRはアプリの件数と単価の着実な伸びにより、50億円台に到達しています。
契約アプリ数と平均月額利用料

次に、契約アプリ数と平均月額利用料についてです。契約アプリ数はQoQで12の純増となり、好調な四半期だったと捉えています。第2四半期はQoQで横ばいでしたが、今回は着実に増加し、良い結果となりました。主に社内アプリの「UNITE」が牽引しています。
月額利用料も堅調で、YoYで伸長しています。こちらは「UNITE」「Yappli for Marketing」の両方が単価の上昇を牽引しました。
ソリューション別 アプリ数の構成比率

次に、ソリューション別のアプリ数の構成比率です。「UNITE」の獲得が過去最高に好調な四半期となりました。スライドの棒グラフで上から2番目に示していますが、前四半期の106から今回117と、初の2桁純増を達成しました。
「Yappli for Marketing」も微増ながら伸びを見せており、契約アプリ数は583に達しています。合計アプリ数は908となり、900の大台を超えました。
売上総利益 四半期

売上総利益の四半期別推移です。こちらはYoY5.1パーセント増の10億2,200万円と過去最高を更新しました。売上総利益率はQoQ、YoYのいずれにおいてもほぼ同水準と捉えています。原価のうち人件費は増加傾向にありますが、サーバー費用は効率化などにより抑制できています。直近1年では総利益率はほぼ変わらず推移し、66パーセント前後を維持しています。
営業利益 四半期

四半期別の営業利益のグラフです。QoQでは大幅に上振れて2億7,400万円となり、YoYでも30パーセント増と大きく伸びています。利益率も15パーセントを大きく上回る17.8パーセントとなり、収益性の高さを示すことができたと考えています。
堅実な売上成長に加え、当四半期は広告宣伝費を効率化し、当初予想よりも抑制したことが過去最高の営業利益をもたらしました。
広告宣伝費 四半期

広告宣伝費については、第3四半期は1億4,500万円となりました。マスマーケティング費用は、この1年で毎四半期1,500万円計上していましたが、段階的に減少させており、当四半期は1,000万円という結果です。今後も段階的に削減していく方向です。
また、当四半期の広告宣伝費が1億4,500万円と、当初予算よりもやや減少した理由として、7月から9月はイベント数が少ない時期で、いわゆる「夏枯れ」の傾向があり、これが広告宣伝費の抑制に影響しました。
ただし、獲得効率の面では第3四半期は比較的好調でした。広告宣伝費を顧客獲得数で割ったCPA(顧客獲得単価)は、むしろ改善しました。この点を踏まえると、広告宣伝費については単なる削減ではなく、効率化を図ることができた四半期と評価しています。
また、第4四半期には約2億円のマーケティング広告への投資を予定しています。第4四半期と来期2026年に向けて積極的なマーケティング投資を行う方針です。
正社員数

正社員数については、採用が非常に好調で、期初予定では約280名を見込んでいましたが、すでに283名に達しています。2025年12月期末時点では290名前後になると想定しており、採用が順調に進んだ結果、当初予算や人員計画を上回る状況となっています。
人件費 四半期

人員の純増に伴い、人件費も増加しています。
販管費の内訳

販管費の内訳です。先ほど説明した広告宣伝費の効率化により、S&M費用の割合は大幅に減少しました。ただし、第4四半期には広告宣伝費を増加させる予定であるため、やや上昇すると予想しています。
R&D費用については、主に既存プロダクトの機能強化を目的としたもので、アプリ開発プラットフォーム「Yappli」など、既存プロダクトの新規性の高い機能強化のために大きく増加しています。
このように、広告宣伝費の効率化を進める一方で、R&D費用はむしろ積極的に投資しています。
解約率(LTM)

解約率です。直近12ヶ月の平均を示すLTMは、第3四半期においてやや悪化しました。店舗やEC向けアプリ「Yappli for Marketing」を中心に、解約件数は減少したものの、1件当たりの解約単価が上昇したため解約率が悪化しました。
まだ予断を許さない状況であり、年末から来年に向けて、プロダクト面の強化とカスタマーサクセスの人員強化を進め、改善に努めます。
LTV/CAC (LTM)

LTV/CACについては、解約率の悪化に伴い微減しました。広告宣伝の効率化により獲得コストは改善しましたが、それを上回り解約率の影響を受けてLTVが低下し、4.8倍となりました。会社全体で見た獲得効率は微減しましたが、4.8倍という水準はまだ十分に許容範囲内と考えています。
ビジネスハイライト 株式譲受

次に、事業ハイライトについてご説明します。まずグループ化の報告です。福岡のスタートアップ「株式会社チューズモンスター」の株式を譲受し、ヤプリグループに参画してもらいました。同社は、「LINE」ミニアプリを活用し、飲食店向けモバイルオーダー等の優れた製品を持つ会社です。
株式取得の主な背景は3つあり、まずマルチプロダクト戦略の一環として、自社アプリ以外にも企業の包括的なモバイルDX課題に応える製品群を拡充することです。次に、自社アプリと同様に店舗DXの領域で活発に利用されるLINEミニアプリの市場へ参入を図ることです。さらに、飲食業界の知見やモバイルオーダー等のノウハウを取り込み、当社「Yappli」の販売・マーケティングに活かしていく狙いもあります。
今後、チューズモンスター社を含めたヤプリ全体の製品ラインナップの戦略については、通期決算の場であらためてご説明したいと考えています。
ビジネスハイライト

次にビジネスハイライトです。CX・EXともにさまざまな製品開発や取り組みについてご説明します。特に第3四半期においては外部サービスとの連携を強化しました。アプリの行動データをもとにリアルタイムでプッシュ通知やメール配信が可能な「Braze」と連携を実施しています。
この連携により、「Yappli」を活用してパーソナライズされたプッシュ通知が可能となり、高度な1 to 1マーケティングが実現します。
もう1つはEX(従業員体験)の領域です。「UNITE by Yappli」をリニューアルしました。前四半期説明会では導入が100社を超えたと発表しましたが、そのような節目に合わせて大幅なブランドリニューアルを行いました。
具体的には、社内でアプリをより活用してもらうために、社内ポイント機能を充実させました。他にもさまざまな機能アップデートを行い、これまで以上に社内エンゲージメント向上を実現させるアプリとしてブランドをリニューアルし、営業活動に注力しています。
プロダクトハイライト

プロダクトハイライトです。年に1回、「Yappli Summit」というイベントにて、顧客向けに新しい機能や事例を発表する場を設けています。今回、新たな機能を多数提供し、「Yappli」「Yappli WebX」「Yappli CRM」など複数製品の底上げや付加価値向上を図っています。
詳細はスライドをご覧ください。ユーザー体験、通知、分析など多様な新機能追加や機能強化を行っています。
活用事例ハイライト

活用事例のハイライトです。ワークマンに導入していただきました。ワークマンはアパレル・衣料全体で最大手の一角を担う企業ですが、当社のアプリを導入いただき、to C向けの顧客接点として活用されています。
スライド左下にはゆうちょ銀行の導入事例があります。「UNITE」を従業員向けに導入し、社内報や福利厚生のサービスをより良い体験で提供、発信する目的で活用いただいています。
「Yappli for Marketing」「UNITE」ともに、日本を代表するエンタープライズ企業に導入されています。
スライド右側は労働組合の事例です。こちらは丸井グループの労働組合であるマルイグループユニオン福祉会向けに提供しているアプリです。
このアプリはWebでも閲覧できます。当社の新製品である「Yappli WebX」を組み合わせることで、従業員はアプリでもWebでも好きなタッチポイントで、労働組合の情報を閲覧でき、情報の浸透をより広範囲に拡大させます。
当社のマルチプロダクト戦略であるアプリとWebの連携を活かした優れた事例であり、顧客により包括的な価値を提供できる好例だと考えています。今後、このマルイグループユニオン福祉会のような、当社の複数製品を組み合わせた販売事例を、より多くの投資家のみなさまに知っていただきたいと考えています。
以上、2025年第3四半期の業績、事業ハイライトについてご説明しました。
引き続き、ヤプリの飛躍にご期待ください。
ご清聴ありがとうございました。
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