【速報版】Kudan株式会社 2026年3月期第2四半期決算説明会
※当記事は速報版です。スライド情報は割愛している他、数値などに誤りが含まれる可能性がございます。正確な情報は決算短信・決算説明資料などの正式な開示資料、または追って公開予定の確定版記事にてご確認ください。
ハイライト
項大雨(以下、項):こんにちは、Kudan 代表取締役の項です。2026年3月期第2四半期決算について、説明をいたします。
まずは、ハイライトです。第2四半期までの実績として、全事業領域で売上の伸びが好調に推移しております。売上は4億円となり、前年比で170%増と大幅に伸長しました。下期も好調な見通しを維持しており、通期の業績予想は売上と利益ともに直近で上方修正をしております。
業績拡大の背景としては、急速な市場変化に対して、今期からの事業戦略としております「ソフトウェア技術の拡張」と「ハードウェアパッケージの活用」が効果を発揮し、市場で先進的なポジションを確保するKudanのデジタルツインとロボットの両事業が加速している状況となっております。
管理部長の石井より、詳細を説明いたします。
通期業績予想の修正 ー 概要
石井 達裕(以下、石井):10月31日に開示いたしました通期業績予想の修正につきまして、管理部長の石井よりご説明申し上げます。
まず、今回の業績予想修正の概要でございます。
当社の成長戦略となります「ハードウェアパッケージの活用」および「ソフトウェア技術の拡張」が順調に進捗し、多角的に売上が伸長しております。また、受注済みの政府案件につきまして、会計処理が確定したことにより、通期業績予想を上方修正いたしました。
具体的には、通期売上高を修正前7億円、修正後9.2億円から10.2億円へと上方修正いたしました。これは修正前比でプラス31%から46%、前期比ではプラス80%から100%という大幅な増収となります。
収益性につきましては、今期下期から収益性改善が大きく進むため、通期の調整後営業利益は修正前マイナス7.2億円、修正後マイナス7.2億円からマイナス6.8億円への改善にとどまるものの、期末時点の調整後営業利益は修正前マイナス5.9億円、修正後マイナス5.2億円からマイナス4.8億円へと、より大幅に改善する見込みでございます。
その結果、来期の調整後営業利益はマイナス3.5億円からマイナス4億円へと赤字圧縮が加速する見通しでございます。詳細につきましては、後ほど5ページ目でご説明申し上げます。
通期業績予想の修正 ー 売上の伸長
石井:次に、売上の伸長についてご説明いたします。
今回の上方修正は、デジタルツイン向けとロボット向けの双方で多角的に売上が伸長したことによるものでございます。当社は、「ハードウェアパッケージの活用」と「ソフトウェア技術の拡張」という2つの成長戦略を推進しております。
ハードウェアパッケージの活用では、ソフトウェアとシナジーが高いハードウェアパッケージを拡大し、多層的に収益を最大化しております。ソフトウェア技術の拡張では、コアソフトウェア技術を空間知覚領域へ拡張するとともに、ソリューション志向で開発案件の収益性を改善しながら、当社の技術普及を推進しております。
具体的には、デジタルツイン領域では、ハードウェア・ソフトウェアパッケージとして、次世代ソリューションと相互補完するスキャナ機器等の販売が拡大しております。また、デジタルツインソリューションとして、設備管理・点検向け次世代ソリューション、Kudan PRISMの販売が進んでおります。
ロボット領域では、政府案件として、経済産業省・建設大手が推進するロボット自律走行技術の研究開発を牽引しております。
この結果、売上の上方修正としてプラス31%からプラス46%を見込んでおります。内訳といたしましては、ハードウェア・ソフトウェアパッケージの販売増が1億円から1.5億円、デジタルツインソリューションの販売増が0.5億円から1億円、そして政府案件の受注上振れが0.7億円となっております。
特に申し上げたいのは、デジタルツイン向けではシナジー最大化と短期利益の確保、ロボット向けでは開発体制と中長期の競争力の強化に寄与しているという点でございます。
市場拡大が先行しているデジタルツイン領域では、早期成長と利益確保を牽引し、長期でより市場拡大するロボット領域では、先行的なポジションを強化しております。また、開発体制を効率的に維持・強化しております。
通期業績予想の修正 ー コスト構造の改善
石井:次に、コスト構造の改善についてご説明いたします。
当社は、構造的な定常コストの低減に向けて、固定費低減と開発最適化を通期で推進しております。
具体的な施策といたしましては、固定費削減として、組織最適化による固定費の削減、約1.5億円を実施しております。また、開発費最適化として、コア技術以外の開発の凍結・外注化、約0.5億円を実施しております。
こちらのグラフは、今期の固定コスト等の推移を年間換算ベースで示したものでございます。期首時点では11.7億円でございましたが、期中、第2四半期末時点では11.4億円の実績となっております。そして、期末時点では9.5億円まで削減する計画でございます。
ご覧のとおり、「コスト低減の進捗に遅延が発生しているが…」という表示がございます。これは期首時点の計画に対しては遅延があるものの、今期中には当初計画に追いつく予定でございます。
この結果、期末時点では固定コストが大幅に削減され、収益性が大きく改善することとなります。
通期業績予想の修正 ー 赤字改善の見通し
石井:次に、赤字改善の見通しについてご説明いたします。
こちらのウォーターフォールチャートは、調整後営業赤字の推移を示したものでございます。まず、前期実績はマイナス7.5億円でございました。前期下期に固定費が膨らみ、期末に収益性が悪化し、今期上期にも影響しております。
今期につきましては、期首時点の予想では、マイナス7.2億円を見込んでおりました。しかしながら、今回の最新の業績予想では、以下の要因により改善が見込まれます。Aの売上の上方修正による利益増として、プラス0.8億円からプラス1.2億円を見込んでおります。
一方で、Bのコスト低減の遅延等により、マイナス0.5億円の影響がございます。その結果、通期の調整後営業利益はマイナス7.2億円からマイナス6.8億円となり、通期利益の修正は限定的となっております。
一方で、固定費を中心としたコスト低減は今期中に完了するため、Dの期末時点では収益性は大きく改善され、そこを起点としてEの来期は通期でも大きな赤字圧縮を見込んでおります。
具体的には、期末時点の調整後営業利益はマイナス5.2億円からマイナス4.8億円へと大幅に改善し、来期は今期期末の収益性を起点とし、さらなる売上伸長で、マイナス3.5億円からマイナス4億円へと赤字圧縮が進む予定でございます。
固定費削減が今期中に完了することにより、期末時点で収益性が大きく改善し、来期は通期でも大きな赤字圧縮が加速いたします。これにより、黒字化への道筋が明確化されたと考えております。
以上が、通期業績予想の修正に関するご説明でございます。
成長戦略の概要
項:続いて、上方修正の背景を含めて、事業の状況の詳細について項より説明いたします。
今期から成長戦略を新たにし、これまで「機械の眼」として独自の空間知覚の社会実装を加速させるため、技術と事業領域の拡大を目指しております。
具体的には、Kudanは現実空間とデジタル空間を結合する「空間知覚」として、ロボットが現実空間をデジタルに把握することでロボットの自律化を推し進めたり、現実をデジタル空間上に複製することでデジタルツインによる生産性向上を実現することを目指しておりますが、前期までの進捗として、顧客製品化が伸長し、中長期の成長に向けて積み上げは達成したものの、一方で製品化以降の普及速度が想定を下回り短期的な課題として取り組みが必要な状況でした。
これに対する今期からの成長戦略では、ソフトウェア技術の拡張とハードウェアパッケージの活用により、開発案件の収益強化と製品普及の後押しのための技術領域拡大を実現し、独自の人工知覚を中核として、ソフトウェアとハードウェアの双方で補完技術を強化。結果として、中長期的には引き続きライセンス収益による高成長を目指す方針となっております。
売上拡大の背景
項:一方、市場の状況としては、技術需要の次世代シフトが加速し、当社の先進性が発揮しやすい市場環境へ徐々に変化しております。
具体的には、デジタルツイン領域では、フォトリアル技術とそれによるAI活用が革新的な潮流となり、技術進化と実用化が急速に進行し、Nvidia社などをはじめとして、数十年に一度のイノベーション技術として需要が急増中ですが、フォトリアル技術とAI活用の先進的な応用で先行している当社は、次世代技術を一貫して提供可能な希少な企業として需要が高まっております。
またロボット領域では、AIがロボットを通して現実世界に拡大するPhysica AIが急速に発展し、有脚型や人型ロボットなどの次世代ロボットも実用化に向けて拡大する中、当社が強みとする複雑環境や高度ロボティクスなど、より先進的なアルゴリズムの必要性が増大しており、さらにデジタルツインとロボットの双方をカバーする希少な企業である当社は、そのシナジーで優位性を発揮しやすくなっている状況です。
こうして、市場が革新期に突入し、先行技術が需要を獲得しやすい市場環境に向かっておりますが、今期からの技術・事業領域の拡大方針も効果を発揮し、案件が拡大、開発フェーズにおける収益性も改善しております。
デジタルツイン向け案件(1/3)
項:続いて、デジタルツインとロボットのそれぞれの事業状況について詳細を説明します。
まずデジタルツイン向けの事業ですが、ソフトウェアソリューションとハードウェアパッケージを組み合わせた革新性の高い技術・製品ポートフォリオで、新規市場需要を開拓し今期業績の成長に大きく寄与しております。
具体的には、デジタルツインソリューションとしてKudan PRISMをリリースし、フォトリアル表示とセマンティック3D認識の融合によってデジタルツインの活用に革新をもたらす世界初の次世代ソリューションとして市場から好評を得ております。
欧州と日本において、設備管理・点検・保守などで効果を市場検証済となっており、土木建設・不動産・インフラ・物流・製造向けに市場急拡大が予想される中、今期の本格展開と商用ユーザー拡大を進めております。
また、Kudan PRISMと相互補完する3Dスキャナ機器の販売が、前期よりXGRIDS社との戦略的提携を拡大して急成長しており、高性能かつ低価格による高い競争力と、フォトリアル表示の実用化で世界市場を牽引しております。
これらデジタルツインソリューションと3Dスキャナは、技術と販売の双方で高いシナジーを発揮して、今期売上増に大きく寄与しており、高い新規性で新たに市場需要を開拓、世界市場展開で高い成長ポテンシャルを持っております。
デジタルツイン向け案件(2/3)ー Kudan PRISM詳細
項:今期新規リリースしておりますKudan PRISMの詳細です。
Kudan PRISMは、これまで社会需要が非常に高いものの、従来手法では実用化に制約があった分野に対し、革新的な技術手法を導入してソリューションの実用化と普及を目指しております。
具体的には、従来の3D点群中心のデータ使用に加えて、フォトリアル表示を3D合成し、これをセマンティック3D認識することでAI活用が飛躍的に拡大しております。
Kudan PRISMは幅広い産業DXへの活用が期待され、施設・設備管理やインフラ点検保守では、従来困難となっていた領域での業務自動化・効率化や作業の遠隔化を実現するとともに、先進国に共通する現場労働力の不足、設備インフラの老朽化の解消に向けて需要が拡大しております。
また、スマートシティや災害対応に関しても、需要が高まる災害シミュレーションや防災設計を高度化し、人命保護・災害復興への貢献を目指しております。
デジタルツイン向け案件(3/3)ー Kudan PRISM案件紹介
項:Kudan PRISMの具体事例を紹介します。
たとえば、ネクスコ東日本エンジニアリング社とは、道路点検・保守業務DXに向けて技術支援をしており、共同開発中の PRISM e-Roadでは、軽快に動くフォトリアル3D表示、先進的な空間知覚技術、高度なデータ管理・情報連携を提供しております。
現場情報の一元管理や発注業務の簡素化・手戻りの削減を目指しており、Kudan PRISMでは社会インフラの安全・効率的な維持管理のための技術提供を通じて、現場の省力化・業務高度化に貢献してまいります。
ロボット向け案件(1/3)ー 自律走行パッケージ
項:続いて、ロボット向け事業の状況について説明いたします。
これまでの顧客製品化の進捗をふまえ、今期より技術領域を拡大して、案件の大型化と社会実装の早期化を目指し、グローバルで複数案件を推進しております。
自律走行ロボットはその潜在的な巨大市場に対して、従来技術で実用可能なのはごくわずかと、技術的なチャレンジが存在していました。
2040年には300兆円に成長するロボット市場のほとんどは、次世代技術が必須となる困難な複雑環境となっておりますが、Kudanはこれまでのコア技術である自己位置推定と環境地図生成により、そのような複雑環境での実用化を達成する実績をこれまで積み上げてきました。
今期からは、これに加えてより幅広い顧客層への提供と効率的な開発を実現するため、自律走行に必要な補完的なソフトウェアを全て統合し、自律走行ナビゲーションパッケージへと拡大しております。
さらに、複雑環境に適した有脚型ロボットを活用し、点検ロボット向けソリューションの開発にも着手、設備管理などに取り組むデジタルツイン向け事業とのシナジー発揮を目指しております。
ロボット向け案件(2/3)ー 政府プロジェクトへの参画
項:こうしたロボティクス向けの取り組みの中、政府プロジェクトへの参画を活発化させ、経済産業省が推進し建設業界大手が参画するソフトウェア開発事業を開発リーダーとして推進、日本におけるロボット自律走行のコア技術開発の牽引に力を入れてまいります。
こうした国策の背景としては、人材不足に対する政府と産業界の注力があり、Kudanが得意とする困難な複雑環境でのロボットの自律性を高める技術革新が求められております。
今回の案件では、課題の大きい建設向けをモデルケースとして取り組み、ゼネコン大手各社と建設業界横断で推進し、汎用的なロボット自律走行技術を確立することで将来的にはより幅広い産業に対する応用展開を見込んでおります。
Kudanは、技術と実績を認められ、中核となるソフトウェアリーダーとしての採択となっておりますが、本事業を通して産業横断基盤となる開発プラットフォームとマーケットプレイスに対して技術提供を今後行っていき、当社技術の社会実装と普及の加速を見込んでおります。
そして政府プロジェクトにつきましては、新政権の成長投資の戦略分野にも密接に関連しておりますので、関連の政府方針については継続した緊密な連携を目指してまいります。
ロボット向け案件(3/3)ー XR放映用ロボットカメラ
項:また、グローバル最先端の取り組みとして、XR放映用のロボットカメラ向け案件も進捗を重ねております。これまで、FOX Sports社およびSkycam社との協業により、当社技術が2024年よりNFLスーパーボウル等の世界最高峰の舞台で採用され、2025年はシーズンを通してNFL放映の実運用を継続して拡大してまいりました。
そしてこの度、低コストで視覚効果の高いXR放映を下支えするロボットカメラ向けに、独自の空間知覚を応用したSW技術として特許取得し、Kudan VANTAGEとして正式リリースいたしました。
今後はスタジアム・コンサートホール・バーチャルスタジオなど、世界規模の主要スポーツ・ライブイベント等への導入拡大を目指してまいります。
その他ハイライト案件(一部抜粋)
項:続いて、ハイライト案件の抜粋です。
詳細を紹介しております案件以外にも、デジタルツインとロボットの両方で、グローバルで多くの案件が進捗しております。
今後も継続した事業状況のアップデートと詳細の開示に努めてまいります。
中長期の成長イメージ
項:最後に、改めて中長期の成長イメージとなりますが、今期からの技術領域の拡大戦略、すなわちソリューション志向でコア技術拡大して空間知覚を推し進める方針のもと、2〜3年程度の短期な計画としては開発案件とハードウェアパッケージによる収益性改善と成長をより強化しながら、中長期的には市場の加速に合わせ、商用技術の普及とソフトウェアライセンスの拡大で飛躍的な成長を目指してまいります。
以上で決算発表説明を終わります。
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