連結経営成績

中條亨氏:コーポレート本部経理部長の中條です。それでは私から、2025年12月期中間期の連結決算の概要についてご説明します。

はじめに、当期の連結経営成績です。売上高は24億1,200万円で、前年同期比で15.7パーセントの減収となりました。売上総利益は13億2,000万円、売上総利益率は54.7パーセントとなり、前年同期よりやや悪化しました。

販売費及び一般管理費については、第1四半期に広告宣伝費が先行して発生したため、前年同期比で7,700万円増加し、12億7,300万円となりました。

これらの結果、営業利益は4,600万円、経常利益は2,000万円となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は、特別利益の計上もあり2億7,900万円となりました。

前年同期比では減収・減益となりましたが、当期は期首の計画段階において医薬品事業の供給強化に向けた投資などの発生を見込んでいたため、計画比ではおおむね順調に推移したものと評価しています。

売上高については、計画比で2億8,700万円の未達となっていますが、これは海外医薬品事業における出荷遅延によるものであり、下期に挽回していきたいと考えています。

連結売上高推移(四半期)

四半期ごとの売上高推移です。スライドのグラフでは、上段の色が薄い部分が医薬品事業、下段の濃い部分が感染管理事業の売上高を示しています。

前年同四半期比で2億2,000万円のマイナスとなりましたが、通期では前年並みの売上を計画しています。

営業利益の変動要因

営業利益の変動要因です。営業利益は前年同期比で4億3,500万円悪化しました。主な要因としては、国内医薬品事業における値上げによる単価改定の影響が2億5,100万円あったものの、主に「正露丸」の供給不足による医薬品事業の減収影響が4億6,300万円あったためです。

原料・資材の値上げ影響や「正露丸」の供給体制強化に向けた人件費の増加もあり、原価影響がマイナス1億4,700万円となりました。その他、円高による為替影響がマイナス2,000万円、販管費の増加は7,700万円となっています。

供給体制強化に向けた人件費などが先行して発生していますが、下期以降、供給量を着実に向上させていきたいと考えています。

販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費の主な増減についてです。販管費は前年同期比で7,700万円増加しましたが、このうち広告宣伝費が前年同期比で1億2,400万円増加しています。こちらは、第1四半期における感染管理事業のWeb広告の強化や、第2四半期における「セイロガン糖衣A 携帯用」の上市に伴うプロモーション費用によるものです。

一方、運送費や販管部門の人件費は引き続き減少しました。また、研究開発費は前年同期比で1,700万円増加して9,600万円となりました。

経常利益・中間純利益

営業外収支の状況についてご説明します。営業外収支では、主に円高に伴う為替差益が前期比で減少したことや、為替差損の増加により、営業利益が減少し、経常利益は2,000万円となりました。

特別利益は、投資有価証券売却益と受取補償金により、3億6,100万円を計上しました。法人税及び法人税等調整額を差し引き、中間期純利益は2億7,900万円となりました。

連結財政状態

前期末と比較した、中間期末のバランスシートの状況です。資産合計は12億3,400万円減少し、116億8,000万円となりました。主な変動要因として、現金及び預金が3億9,200万円減少し、売上債権が前期末から7億800万円減少しました。

棚卸資産は2億9,900万円増加しましたが、第3四半期以降、製品の出荷に伴い減少していく見込みです。固定資産は主に投資有価証券の売却により4億6,400万円減少し、36億8,700万円となりました。

流動負債は未払金の減少などにより22億9,000万円となり、固定負債は借入金の返済などにより6億5,300万円減少し、14億4,000万円となっています。純資産は79億4,800万円となり、自己資本比率は68.1パーセントと安定的な水準に回復しました。

連結キャッシュ・フロー状況

連結キャッシュ・フローの状況です。営業キャッシュ・フローは6,100万円の黒字となりました。投資キャッシュ・フローは設備投資による支出があったものの、投資有価証券の売却により2億9,500万円を獲得しました。一方、財務キャッシュ・フローは主に長期借入金の返済により6億8,400万円の支出となりました。

為替換算差額を加えた結果、前年同期比でキャッシュ増減は3億9,200万円減少し、中間期末の残高は41億3,900万円となっています。

セグメント別事業概況

当期の状況をセグメント別にご説明します。スライドはセグメント別の事業概況を示しており、「医薬品事業」「感染管理事業」「その他事業」の3つに分かれています。左側に前期の数字、中央に当期の数字が掲載されています。

スライド上段は「正露丸」「セイロガン糖衣A」を中心とする医薬品事業です。売上高は主に「正露丸」の出荷減少により、前年同期比4億4,800万円減少し、22億600万円となりました。セグメント利益は6億100万円で、セグメント利益率は27.2パーセントです。減収・減益となりましたが、下期には一定程度の改善が見込まれています。

感染管理事業の売上高はほぼ横ばいの2億300万円となりました。セグメント損益では4,400万円改善し、1億5,100万円のセグメント損失となりました。

感染管理事業においては、広告宣伝費の増加があったものの、マーケティング以外の費用を低減したことで収益性が改善しました。

国内医薬品事業市場規模・シェアの推移(国内止瀉薬市場)

四半期ごとの国内止瀉薬市場の市場規模及び当社のシェアの推移です。スライドの表では、棒グラフが市場規模を、折れ線グラフが当社のシェアを示しています。

2025年1月から6月までの市場規模は前年同期比109.2パーセントと、堅調に推移しています。「正露丸」の供給不足はあるものの、「セイロガン糖衣A」や「正露丸クイックC」が引き続き堅調なため、市場シェアは48.2パーセントと高い水準を維持しています。

国内医薬品事業 業績

国内医薬品事業における製品カテゴリ別の売上高です。需要は堅調に推移しましたが、「正露丸」は供給不足に伴う出荷制限の影響により、前年同期比26.0パーセント減の8億6,700万円となりました。

一方、「セイロガン糖衣A」は供給課題が解消されたことや、4月に上市された携帯用製品の販売が堅調に推移し、前年同期比21.0パーセント増の9億2,100万円を記録し、「正露丸」を上回る結果となりました。

「正露丸クイックC」についても、前年同期比7.2パーセント増の1億3,400万円を達成し、堅調に推移しました。

海外医薬品事業 業績

海外医薬品の地域別売上高です。主力地域である中国、香港、台湾の需要は国内同様に堅調に推移しているものの、特に上期においては国内市場との製造スケジュールに起因する出荷調整の影響で、売上高は前年同期比3億1,000万円減少し、5億800万円となりました。

地域別では、中国が前年同期比6,200万円増加の2億2,600万円となった一方で、香港や台湾では前年同期を下回りました。上期時点では前年同期を下回っている状況ですが、下期以降に計画どおり出荷できれば、前年と同程度の売上への回復が見込まれます。

感染管理事業業績

感染管理事業の売上高です。全体の売上高は、前年同期比でほぼ横ばいの2億300万円でした。第1四半期においては、2024年末のインフルエンザ流行の影響もあり、前年同期を下回っていましたが、第2四半期では出荷がわずかに減少しました。

海外向けでは、一部在庫消化が進み、前年同期比で500万円増加して2,100万円の実績となりました。引き続き、ウイルス除去市場の見通しに不透明な部分がありますが、コストコントロールを強化しつつ、この秋冬にはJSA規格の成立を契機として、二酸化塩素による除菌市場の回復を目指して取り組んでいきます。

第2四半期の決算説明は以上です。この後は、今後の事業戦略を中心に、弊社代表の柴田よりご説明します。

2025年度の方針

柴田高氏:代表取締役社長の柴田高です。それでは、私より上期の振り返りと今後の事業戦略についてご説明します。

当期の方針です。2025年度も引き続き医薬品事業を中心に収益基盤を構築することが大きな方針であり、その中でも「正露丸」の供給強化を最優先に取り組んでいきます。「セイロガン糖衣A」を中心に医薬品事業のプロモーションを強化し、シェア拡大を目指していく方針です。

感染管理事業については、市場の下降トレンドからの脱却を目指した取り組みを行うとともに、採算性の改善に向けて引き続き取り組んでいきます。上期までの経営成績は先ほどご説明しましたが、全体としておおむね計画どおりに進捗しているものと考えています。

医薬品事業 国内 止瀉薬市場と店頭販売の状況

医薬品事業における止瀉薬市場の動向についてご説明します。国内の止瀉薬市場は単価上昇の影響もあり、前年同期比で9.2パーセント増となり、堅調に推移しました。当社全体でも前年同期比プラス16.2パーセントと、市場を上回って推移しています。

製品別に見ると、「正露丸」は供給不足による出荷調整の影響を受け、前年同期比17.1パーセントの減少となりましたが、「セイロガン糖衣A」は供給課題が解消されたことに加え、4月に発売した携帯用製品の実績が寄与し、前年同期比63.5パーセント増と大幅に増加しました。

「正露丸クイックC」は、プロモーションを強化した昨年から伸び率は収斂しつつありますが、依然として前年同期比9.8パーセント増と堅調な結果を維持しています。

「正露丸」の減少要因である供給課題への対応状況については、後ほどご説明します。

医薬品事業 海外 医薬品の売上状況

海外医薬品の売上状況についてご説明します。上期は製造スケジュールの調整により3.0億円の出遅れがありましたが、現時点での需要は堅調であり、需要見通しも堅調です。そのため、順調に生産が進めば下期で16億4,000万円の売上が可能と考えており、通期では計画どおり21億5,000万円の売上を見込んでいます。

海外売上は中国や香港、台湾といった中華圏が9割以上を占めています。アメリカ向けにも出荷していますが、金額規模は数千万円程度で、関税による業績への影響は軽微と考えています。

国内及び海外の医薬品事業の状況についてご説明しましたが、まとめると、国内・海外ともに需要は堅調な見込みです。現在の優先課題は、供給不足が続いている「正露丸」の供給体制の強化です。

医薬品事業 供給量増加プロジェクトの進捗

供給課題への対応として、今年立ち上げた供給量増加プロジェクトの進捗についてご説明します。期首にご説明しましたが、「正露丸」の供給量増加に向けて、昨年、生産体制の再編に着手し、今年1月からプロジェクトを始動させています。

プロジェクトの1つ目は生産能力の向上、2つ目と3つ目はいずれも生産の安定化を目指すもので、吹田工場の強靭化と生産設備の移設・更新を目的としています。これらのプロジェクトを推進しながら、人材の確保や育成も進め、供給体制の強化を図る計画です。

医薬品事業 供給量増加プロジェクトの進捗

具体的な各プロジェクトの進捗及び展望について少しご説明します。まず、「正露丸」の生産能力向上については、製造リードタイム短縮に向けて、人・機械・材料・方法、いわゆる4Mをベースにボトルネックを分析しました。対応方針を決定し、2025年下期以降に必要な設備投資や人員増強を進め、来年春以降には供給量が約30パーセント増加すると見込んでいます。

生産の安定化に向けた2つのプロジェクトについてですが、設備更新や工場の修繕に関しては操業の一時停止を伴う計画です。「正露丸」の供給不足が継続している状況であるため、供給責任を最低限果たしながら、段階的に設備投資を進めていく方針です。

また、生産設備の最適化を目指し、京都工場からの設備移設を計画していましたが、こちらは7月末に予定どおり移設を完了しています。

医薬品事業 海外事業の今後の取り組み

成長ドライバーの1つである海外事業の今後の取り組みについて説明します。当社は「正露丸」の供給量増加に合わせて、中華圏での販売戦略を強化していく方針です。現在の進出エリアは右の図に示されているとおり、香港や台湾、中国の華南地区である廣東省や福建省を中心としています。

当社は1990年代から香港市場で「正露丸」を販売しており、認知度は90パーセント以上と非常に高いブランドとなっています。このコア市場におけるブランドエクイティを活用し、今後は製品ポートフォリオの拡充や中国におけるエリア拡張を推進する計画です。

医薬品事業 ユーザー拡大に向けた取り組み

国内市場における今後の方針についてご説明します。人口減少が進む国内市場では、今後の成長の軸の1つとして、胃腸薬へのパラダイムシフトを考えています。これは「ラッパのマークの正露丸」だけでなく、「正露丸」ブランド全体で取り組んでいきます。

医薬品事業 ユーザー拡大に向けた取り組み

「正露丸」と聞いた時、みなさまはどのようなイメージをお持ちでしょうか? 多くの方は「下痢止め」や「常備薬」をイメージされるのではないでしょうか。確かに、「下痢止め」や「常備薬」のイメージは「正露丸」にとって非常に重要な訴求ポイントとなります。

しかし、スライドの表に示されているとおり、下痢止めとしてご利用いただけるお客さまは非常に限られており、10代から60代の人口の約6パーセントにしかアプローチできていない状況です。今後は、中期的にターゲットを拡大する方針を掲げています。

具体的には、下痢止め以外の対処をされている方や、現在お腹の不調時に薬を服用していない方に向けて、「ラッパのマークの正露丸」が持つ多様な効能や、体にやさしい生薬である特長を伝えることで、ユーザーの拡大を目指していきます。

医薬品事業 ユーザー拡大に向けた取り組み

下痢止めから胃腸薬へ、伝統薬である「正露丸」の本来のポテンシャルや、まだ十分に認知されていないポテンシャルの伝達を通じて、ユーザーの拡大を目指していきます。

具体的な訴求ポイントとしては、年間で400万人以上が経験している食あたりや、水あたり、吐き下しといった症状への効能があります。また、「正露丸」は塩素イオンチャネルに作用し、腸の蠕動運動を正常化させる働きがあるため、軟便時にも安全にご使用いただけます。

その他、5歳から服用できる点や、外出先でのお腹のトラブル、「正露丸クイックC」が妊婦の方でも使用できる点など、下痢止めや常備薬以外のポテンシャルを積極的に伝えていきたいと考えています。このように、さまざまなお腹の悩みを解決するブランドとしての認知を高めていく方針です。

医薬品事業 2025年下期のプロモーション施策

7月下旬から、外出や旅行ニーズが高まる夏のシーズンに向けて、「セイロガン糖衣A」のプロモーションを開始しています。

こちらは働く世代の女性をメインターゲットとし、外出時には携帯用、家庭では常備用の瓶タイプを訴求するクリエイティブを作成し、SNSなど多数のWebメディアで展開していきます。

感染管理事業 感染管理事業の振り返り

感染管理事業についてご説明します。まず、これまでの業績の振り返りですが、新型コロナウイルスの流行以降、除菌市場は縮小傾向が続いています。市場の縮小は下げ止まりつつありますが、見通しは依然として不透明な状況が続いています。

感染管理事業 感染管理事業の方針

そのような中で、今期は市場の下降トレンド脱却に向けた取り組みとして、JSA規格成立後のマーケティング施策を実施するとともに、季節性の変動が少ない業務用ビジネスの確立を目指しています。また、採算性改善への取り組みとして、マーケティング費用を厳選し、固定費の削減にも取り組んでいます。

感染管理事業 2025年下期のマーケティング活動

今期下期の取り組みについてです。今年の秋に、二酸化塩素ガス製品に関するJSA規格が発行される予定です。この規格は、空中に浮遊するウイルスに対して、二酸化塩素ガスを用いたウイルス低減の測定方法と低減効果について規定するものです。

製品の浮遊ウイルスに対する性能評価において、日本初の規格となる予定です。これにより、二酸化塩素の有効性に関する規格が強化され、除菌市場における二酸化塩素の信頼性向上につながると考えています。

JSA規格の成立後には、本規格に基づいた検証試験を実施するとともに、パッケージや広告表示のコミュニケーションワードを刷新していきます。当社は引き続き、科学的根拠に基づいた商品機能をお伝えしていきます。

感染管理事業 低濃度二酸化塩素に関する研究成果

最後に、低濃度二酸化塩素に関する研究成果についてご説明します。これまでの当社の取り組みとして、国内外で92件の特許を保有し、論文や学会発表を数多く実施してきました。

特許については、スプレーや置き型に加え、パウチなどのさまざまな特許を取得しているほか、用途関連の特許も取得しています。当社は、低濃度二酸化塩素におけるリーディングカンパニーであると自負しています。これまでの約20年間で蓄積した知的財産を有効活用し、市場トレンドの回復と業務用領域の確立を目指していきます。