株式チャートに登場する「ローソク足」とは? 基本的な見方・代表的な種類を紹介
ローソク足とは
ローソク足(ローソクあし)は、株価の値動きを視覚的にわかりやすく表すためのチャートの1つです。 1本のローソク足は、ある一定期間(1日、1週間、1か月など)の「始値・終値・高値・安値」の4つの価格を示します。見た目がローソクのようであることから、ローソク足と呼ばれます。
- 始値(はじめね)・・・その期間の最初についた株価。取引がスタートした時点での株価です。
- 終値(おわりね)・・・その期間の最後についた株価。取引終了時点の株価で、多くの投資家が重視します。
- 高値(たかね)・・・その期間における最も高い株価。買いの勢いがどこまで強かったかを示します。
- 安値(やすね)・・・その期間における最も低い株価。売りの圧力がどこまで強かったかを示します。
この4つを組み合わせることで、ただの数字の並びではわかりにくい相場の流れを、直感的に理解できるのがローソク足の大きな特徴です。
ローソク足の基本的な見方
ローソク足は「実体」と「ヒゲ」で構成されます。
- 実体(じったい)・・・ローソクの部分のことです。胴体(どうたい)といわれることもあります。始値と終値で挟まれた四角い部分のことで、値上がりした場合は白色(または赤色など)で表現され、陽線(ようせん)と呼びます。値下がりした場合は黒色(または青色など)で表現され、陰線(いんせん)と呼びます。
- ヒゲ・・・実体から上下に伸びる細い線のことです。その期間中に「一時的にどこまで株価が動いたか」を表しています。ヒゲは、取引時間中につけた高値や安値を示す部分ですから、相場の勢いや投資家の心理を読み取るヒントになります。
- 上ヒゲ(うわひげ)・・・その期間中の「高値」と実体の上端を結んだ線のこと。
- 下ヒゲ(したひげ)・・・その期間中の「安値」と実体の下端を結んだ線のこと。
つまり、ローソク足1本を見るだけで「その期間の始まりと終わりの株価」「その期間の高値と安値」がひと目でわかるのです。
ローソク足の代表的な種類
大陽線・大陰線
大陽線(だいようせん)は、実体部分の長い陽線で非常に強い値動きを表します。上昇トレンド中で、さらに出来高を伴っていると、トレンド継続の可能性を強く示し、株価が下降トレンドで安値圏のなかでの大陽線は、底打ちの可能性を示します。
大陰線(だいいんせん)は、実体部分の長い陰線で非常に弱い値動きを表します。株価が下降トレンドのなかでの大陰線は、下降トレンドが継続する可能性があり、出来高を伴った大陰線は、投げ売りが拡大していることを示します。高値圏での大陰線は、天井圏のサインになりやすく、利食い売りや失望売りが発生している可能性があることを示しているのです。
なお、実体部分が長い、短いは相対的に評価します。シンプルな判定方法としては、直近20本のローソク足の実体の平均と比べるといった方法があります。ただし、細かな定義にはこだわらなくても、視覚的に「長い」「短い」と判定できるのがローソク足の長所です。
小陽線・小陰線
小陽線(しょうようせん)は、実体部分の短い陽線で勢いは強くありません。相場の迷いが表れているとも言われ、上昇トレンド中の小陽線は、小休止と言えます。
小陰線(しょういんせん)は、実体部分の短い陰線で勢いは限定的です。相場の迷いが表れているともいわれます。下降トレンド中の小陰線は、下げの流れの小休止で、戻り待ち売りに押し返されるケースがあります。
小陽線、小陰線は、基本的には弱い値動きを示すのですが、株価レンジの上限で出る小陽線や株価レンジの下限で出る小陰線には注意が必要です。株価レンジの上限で出る小陽線は、高値ブレイクの前触れの可能性があり、その後、急上昇につながることがあります。逆に株価レンジ上限の小陽線から押し返される場合は、上値が重くなる可能性があります。
株価レンジの下限で出る小陰線は、株価の底割れの可能性があり、逆にそこから押し返される場合は、トレンドの転換の可能性があるのです。
上影陽線・上影陰線
上影陽線(うわかげようせん)は、上ヒゲが長く実体が下方にある陽線です。その期間中に株価はいったん大きく上がったものの、引けにかけて戻り売りで押し戻されたことを示します。陽線なので買いの勢い自体は残っているものの、売り圧力が強い状態です。上値の重さのサインを表します。
上昇トレンドの高値圏や抵抗線付近での上影陽線は、上値の重さや利食い売りが優勢であることの兆しであり、続落していく可能性に注意が必要です。また下落局面で発生する上影陽線は、戻り売り圧力が存在することを示しており、戻り天井の可能性があります。
上影陰線(うわかげいんせん)は、上ヒゲが長く実体が下方にある陰線です。その期間中に株価はいったん高く上がったものの、引けにかけて売りが優勢であったことを示します。上影陽線よりも上影陰線の方が弱気のニュアンスが強くなります。
高値圏での上影陰線は天井圏のサインになりやすく、翌日の株価が続落することで弱気の可能性が高まります。下降トレンドのなかでの上影陰線は、戻りの失速を示し、再び下落トレンドにつながりやすくなります。
上影陽線や上影陰線は、好材料と思われるニュースが出て投資家が買い進んだものの、好材料ではないと判断する投資家も多くて売りが増加し、結果として失望につながったという場合に見られます。
下影陽線・下影陰線
下影陽線(したかげようせん)は、下ヒゲが長く実体が上方にある陽線です。その期間中に株価はいったん大きく下がったものの、下値で買いが入り、引けまでに持ち直したことを示し、強い値動きを表します。
上昇トレンドの押し目局面で発生した場合は、押し目が完了した可能性があります。下降トレンドの安値圏や支持線付近で発生した場合は、株価の下げ止まりや反発への転換点の可能性があります。
下影陰線(したかげいんせん)は、下ヒゲが長く実体が上方にある陰線です。その期間中に株価はいったん大きく下がった後、下値で買いが入り株価は持ち直したものの、終値は始値を下回っています。反発力はあるものの、売り圧力が残っているため、中立からやや弱気のニュアンスがあります。
下落トレンドの途中で発生した場合は、下落の小休止で自律反発の可能性もありますが、反発力が弱く翌日以降の株価も注視しなければなりません。安値圏で出来高が急増している場合は、投げ売りが一巡している兆しかもしれません。
複数のローソク足の代表的な組み合わせ
包み線
包み線(つつみせん)は、2本のローソク足をセットで見た時の呼び方で、2本目の足の実体が、1本目の足の実体を包み込む形になっています。包み線にはいくつかのパターンがありますが、そのうちの2つを紹介します。
上に示した陽の包み線は、1本目が陰線、2本目が陽線で、2本目の実体が1本目の実体を完全に包んでいます。この陽の包み線は、1本目と2本目を合成してひとつのローソク足にすると、下影陽線になるため、強い値動きを表します。
上に示した陰の包み線は、1本目が陽線、2本目が陰線で、2本目の実体が1本目の実体を完全に包んでいます。この陰の包み線は、1本目と2本目を合成してひとつのローソク足にすると、上影陰線になりますから、やや弱い値動きを表します。
2本をひとつの足としてイメージすると下影陽線や上影陰線に近い形になる場合がありますが、常にそうなるわけではありません。実際は個別に確認しましょう。
はらみ線
はらみ線は、2本のローソク足をセットで見た時の呼び方で、1本目の足の実体が、2本目の足の実体をすべてはらんでいる形になっています。
はらみ線にはいくつかのパターンがありますが、そのうちの2つを紹介します。
上に示した陽の陰のはらみ線は、1本目が陽線、2本目が陰線で、1本目の実体が2本目の実体を完全にはらんでいます。この陽のはらみ線は、1本目と2本目を合成してひとつのローソク足にすると、上影陽線になりますから、弱い値動きを表します。
上に示した陰の陽のはらみ線は、1本目が陰線、2本目が陽線で、1本目の実体が2本目の実体を完全にはらんでいます。この陰のはらみ線は、1本目と2本目を合成してひとつのローソク足にすると、下影陰線になりますから、やや弱い値動きを表します。 2本をひとつの足としてイメージすると上影陽線や下影陰線に近い形になる場合がありますが、常にそうなるわけではありません。こちらも実際は個別に確認しましょう。 このようにローソク足は、上影陽線、下影陽線、上影陰線、下影陰線を理解したうえで、複数のローソク足を合成することで、解釈しやすくなります。 さまざまな組み合わせがあるので、実際の企業のローソク足を見て、当てはめてみてください。
YouTube「公認会計士ひねけんの株式投資チャンネル」
著書「世界一やさしいファンダメンタル株投資バイブル」
公認会計士の個人投資家。京都大学を卒業後、2003年、監査法人トーマツに入所、世界的な上場企業を担当する。2007年、独立。公認会計士事務所を開業。一方でアクションラーニング社を立ち上げる。同社では初心者投資家向けに、決算書をいかに株式投資に活用するかを中心に講義を行い、多くの個人投資家に実践的な知識を提供。「どんなに難しいことも、わかりやすく」の授業コンセプトは絶大な支持を得る。投資スタイルは、「決算書・IRなどから良い企業を見抜き、安く買って、持ち続ける」というファンダメンタルズ分析に基づく長期投資。