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サスメド株式会社4263

東証グロース

情報・通信業

ビジョン

上野太郎氏(以下、上野):サスメド株式会社 代表取締役社長の上野です。資料に基づき、2025年6月期の決算説明を行います。

まず、当社のビジョンです。「ICTの活用で『持続可能な医療』を目指す」という理念を掲げ、「SUStainable MEDicine」を略して「サスメド」と称しています。

事業領域概要

具体的な取り組み内容としては、治療用アプリの開発に加え、当社が「デジタル医療プラットフォーム」と呼ぶ臨床試験システムや医療ビッグデータ分析に関連する取り組みを行っています。

QDTx:治療用アプリ開発プラットフォーム

それぞれについて簡単にご紹介します。当社では、治療用アプリを簡便に開発するためのプラットフォームを有しており、こちらを「QDTx」と呼んでいます。また、後ほどご紹介しますが、当社は多数の治療用アプリのパイプラインを保有しています。

これらのパイプラインを少数精鋭で構築できる背景には、治療用アプリ開発プラットフォームの存在があります。このプラットフォームにより、少人数ながらもパイプラインの開発が同時に複数可能となっており、外部の製薬企業との共同開発においても、「QDTx」を最大限に活用しながら進めています。

SUSMED SourceDataSync:臨床試験システム

臨床試験システム「SUSMED SourceDataSync」についてご説明します。このシステムは「SDS」と略されることもあり、ブロックチェーン技術を実装した臨床試験システムです。

臨床試験で求められる規制対応を、従来は人力で行っていましたが、省庁からお墨付きをいただいたブロックチェーン技術を用いることで、効率的に実施できるようにしています。このシステムを活用することで、他社の臨床試験の効率化に貢献する一方で、当社の治療用アプリの開発もコストを抑えながら効率的に行っています。

治療用アプリだけでなく、医薬品や医療機器の臨床試験においても外部に提供できます。これにより、製薬企業の医薬品開発を効率化し、ドラッグロスの解消などの取り組みにも貢献するシステムとなっています。

Awesome Intelligence:機械学習自動分析システム

当社は、機械学習による自動分析システムも保有しています。治療用アプリが上市され、医療ビッグデータが収集された後の段階で、特に力を発揮する場面が増えてくると考えています。

現在も、機械学習自動分析システムを活用して、医薬品卸の方々との共同事業を行ったり、診断用の医療機器を開発するためのアルゴリズム開発に利用したりと、すでに取り組みを進めています。

治療用アプリの提供の流れ

治療用アプリの取り組みについてご説明します。治療用アプリは医療機器として扱われ、医師が処方することで初めて利用可能となります。従来は医薬品の処方箋を発行していたところを、治療用アプリのアカウントを処方するかたちになります。

患者は自宅で自身のスマートフォンを用いて治療用アプリにログインすることで、在宅で治療を受けることができます。また、日々スマートフォンを通じて患者データがサーバーに集積される仕組みになっており、医師はそのデータを確認しながら治療方針の策定や精緻化を行えるようになっています。

ヘルスケアアプリと治療用アプリの違い

世の中に多数存在するヘルスケアアプリと治療用アプリの主な違いは、治療を行うものであるかどうかです。そのため、治療用アプリは厚生労働省の承認を受けた上で、医療機器として処方する必要があります。

一方、ヘルスケアアプリは健康増進を目的とするものであり、治療を謳うことはできません。また、国民皆保険制度を活用することで、保険収載された場合には患者負担が3割ほどで治療に利用できる点が大きな利点となっています。

開発パイプライン①(2025年8月8日現在)

実際の取り組みについては、スライドのとおりです。パイプラインとしては、不眠障害治療用アプリにおいて一部変更承認を申請していましたが、了承を得られた状況です。それ以外にも、がん領域や腎臓病、さらには杏林製薬と実施している耳鳴の治療用アプリなどの開発を進めています。

開発パイプライン②(2025年8月8日現在)

ほかにも、疼痛に対する治療用アプリや、産婦人科領域に強みを持つあすか製薬と取り組んでいる産婦人科領域の治療用アプリ、めまいの治療用アプリなどの開発を進めています。ここまでが治療用アプリに関する取り組みですが、それ以外にも、先ほど少し触れた診断用プログラム医療機器の開発も進めています。

2025年6月期 重点施策

こちらのスライドは、2025年6月期の期初時点で掲げていた重点施策です。1つ目は、不眠障害治療用アプリの保険収載、2つ目は後続のパイプラインの開発進捗です。これらはいずれも治療用アプリに関する施策となります。

3つ目と4つ目は、特に臨床試験システムに関する重点施策です。複数試験での稼働を目指すこと、そして、これまでの治験や臨床試験だけでなく、レジストリという分野でもブロックチェーンシステムの実績を上げることを目標としています。

重点施策①不眠障害治療用アプリの保険収載

それぞれの重点施策をご説明します。まず、不眠障害治療用アプリの保険収載についてです。

先日リリースしましたが、昨年8月に一部変更申請を行い、厚生労働省の薬事審議会プログラム医療機器調査会で変更承認の了承を得ることができました。今後は保険収載の手続きを進めていきます。

販売に関しては、パートナーである塩野義製薬と共に、保険収載後の各種計画の立案を進めている状況です。

重点施策②パイプラインの開発進捗(再掲)

後続のパイプラインの開発進捗についてです。こちらのスライドは再掲となりますが、めまいに対する臨床研究を新潟大学とともに進めています。

重点施策②パイプラインの開発進捗(再掲)

こちらのスライドも前回までにご報告している内容ですが、あすか製薬とPMS/PMDDといった産婦人科領域の疾患に対する治療用アプリの共同開発を行っています。

今年1月から特定臨床研究を開始し、2月に最初の被験者が登録されました。これに伴いマイルストンが達成され、1億円を受領しました。契約一時金と併せて、第3四半期に収益として計上しています。

重点施策②パイプラインの開発進捗(再掲)

今年4月にリリースした内容として、進行・再発期のがん患者向け治療用アプリの企業治験を開始しました。

重点施策②パイプラインの開発進捗

今回初めてご報告する内容となりますが、杏林製薬と共同で実施していた耳鳴治療用アプリの特定臨床研究を完了しました。

結果については非常にポジティブなもので、今後の開発に期待が持てる内容となっています。また、研究代表医師の先生が今年10月に開催される学会で、この特定臨床研究の内容と結果を公表する予定とうかがっています。

重点施策③臨床試験システムの複数試験での稼働(再掲)

臨床試験システムについては、国立精神・神経医療研究センターで実施されている抗体医薬品の医師主導治験において、実際に活用が開始されました。

重点施策④静脈疾患レジストリシステムの稼働(再掲)

これまでの医師主導治験や臨床試験だけでなく、レジストリと呼ばれるリアルワールドデータにブロックチェーン技術を活用する取り組みとして、静脈疾患レジストリシステムの稼働を開始しました。こちらは、前向き試験を行わずに適用拡大などにデータを活用することを目指した取り組みとなっています。

2025年6月期 重点施策の達成状況

重点施策の達成状況をまとめます。不眠障害治療用アプリについては、保険収載には至っていませんが、一部変更承認の了承をプログラム医療機器調査会で得ている状況です。

パイプラインの開発進捗については、複数の臨床試験を開始したほか、耳鳴治療用アプリの開発において、杏林製薬と実施していた特定臨床研究を無事に完了しました。その結果はポジティブなものであり、次のステップに進むことができそうです。

また、臨床試験システムについては、アキュリスファーマでの試験に続き、複数の試験が稼働を開始しました。さらに、臨床試験以外の分野でも稼働が進んでいます。

業績ハイライト

2025年6月期の業績です。今期の事業収益は4億6,200万円で、営業利益はマイナス2億9,900万円の赤字となっています。研究開発費については、プラットフォームを活用することで効率化を進め、2億7,300万円となりました。

セグメント業績

セグメントごとの業績です。DTxプロダクト事業では、あすか製薬とのマイルストンによる事業収益が3億円となり、セグメント利益は1億1,800万円となっています。

臨床試験システムなどを含むDTxプラットフォーム事業については、事業収益が1億6,200万円となり、セグメント利益は3,300万円を計上しています。

財務状況

財務状況についてです。これまで同様、財務基盤は強固な状態を維持しており、期末時点では現預金が44億円ほどあります。そのため、直近で資金調達が必要な状況にはないと考えています。

2026年6月期 重点施策

2026年6月期の重点施策についてご説明します。1つ目に、不眠障害治療用アプリを保険収載した上で販売を開始する方針を掲げています。ただし、保険点数や保険収載の時期については現時点ではお伝えできず、未確定となっています。そのため、このタイミングでの業績予想の開示は控えます。

2つ目のパイプラインの開発進捗については、複数のパイプラインの進捗が控えています。これらの試験の開始や、特定臨床研究の結果の公表、あるいは完了を目指して進めていきます。

3つ目の臨床試験システムについては、稼働実績をさらに積み上げることで、DTxプラットフォーム事業の売上向上を掲げています。ご説明は以上です。

質疑応答:不眠障害治療用アプリの保険償還と販売開始時期について

質問者:不眠障害治療用アプリについて、保険償還時期や保険点数など、現時点で詳細をお話しいただけないことは承知していますが、一般論として、承認後の書類のやりとりは終了しているのでしょうか? また、手続きが完了した段階で保険適用希望書を提

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