第1号議案
長尾收氏(以下、長尾):代表取締役社長の長尾收です。本日の決議事項である議案についてここで上程し、その内容についてご説明します。
第1号議案「定款一部変更の件」です。本議案の内容については、当社Webサイト掲載の招集ご通知の株主総会参考書類7ページに記載のとおりです。本社の事務所移転に伴い、当社定款を変更するものです。
第2号議案
第2号議案「取締役(監査等委員である取締役を除く)3名選任の件」です。監査等委員である取締役を除く取締役3名は、本総会終結の時をもって任期満了となります。
つきましては、3名の選任を一括してお願いするものです。取締役候補者はスライドに記載している3名です。大久保潔、長尾收、波多野薫となります。各候補者の略歴、推薦の理由等については、当社Webサイト掲載の招集ご通知の株主総会参考書類8ページから9ページに詳細を記載していますので、ご参照ください。
第3号議案
第3号議案「監査等委員である取締役3名選任の件」です。監査等委員である取締役3名は、本総会終結の時をもって任期満了となりますので、3名の選任を一括してお願いするものです。
取締役候補者はスライドに記載している3名です。内田悟、森大輝、松下修となります。各候補者の略歴、推薦の理由等については、当社Webサイト掲載の招集ご通知の株主総会参考書類10ページから11ページに詳細を記載していますので、ご参照ください。
それでは、報告事項の他、当社Webサイト掲載の招集ご通知に記載の決議事項について、ご出席の株主さまからのご質問ならびに動議を含めた審議に関する一切のご発言を受け、その後に決議事項につき採決を行いたいと思います。ご賛成いただける株主さまは拍手をお願いします。
(会場拍手)
ありがとうございました。過半数の賛成と認めますので、この方式で行います。それでは報告事項及び決議事項について、ご質問をお願いします。
質疑応答:株価の下落要因及び今後の推移について
質問者:2021年5月当時は、株価が2,000円を超えていました。今日は230円を行ったり来たりしています。株価がこの4年間で下落した原因、及び今後どのように回復していくのかについて教えてください。「500円、1,000円になるのはいつかな」と期待しています。
長尾:株価については、私が1年前に社長に就任した時と比べて、昨日の終値は約半分となっています。その点については、率直にみなさまにお詫び申し上げたいと思います。
株価はもちろん会社側が決められるものではなく、株式市場が決めるため、必ずしもコントロールできないわけですが、当社は、昨年11月に中期経営計画を定め、発表しました。その中で、私及び今現在の会社の基本的な考え方をお示ししていると考えていただければと思います。
もう少し具体的にお話しします。当社の事業内容を見ますと、現在すでに売上・利益を上げているものと、今後大きく花開くことが期待できるものの2つに分けられます。
その2つを混ぜてしまうと説明が混乱しますので、1つずつお話しします。まず、すでにキャッシュを生んでいる事業を中期経営計画の中では「ベースライン計画」にまとめています。その中心となるのは、レーザデバイス事業では、量子ドットではない、旧来の量子井戸と言われる技術に基づく各種製品の売上、及びVID(視覚情報デバイス)事業における、すでに発売している製品やサービスの売上です。
これらの売上をきちんと積み上げ、必要な原価・経費を引いてもトントン以上に持っていき、黒字にしていきます。すでに始まっている今期の次の期である2027年3月期には、ベースライン計画の収支が均衡するように持っていくということを中期経営計画で述べています。
しかし、当社に投資いただいている株主のみなさまが、単に黒字になることを期待いただいているのではないことはよくわかっており、私どももそのようには考えていません。
今お伝えした基本的なベースライン計画により、トントンになるとキャッシュが回り始めます。つまり、会社としてのサステナビリティが出るわけです。そこを固めた上で、将来花開く事業をきちんとものにしていくことに取り組んでいきたいと思っています。そして、それらの将来花開くであろう事業が複数ある点が、当社のおもしろいところだと思っています。
具体的にお話しすると、レーザデバイス事業では、当社の祖業でもある量子ドットの具体的なアプリケーションの開発が、当社の提供するウエハやチップを元として進んでいます。世界各国でトップを走っているプレーヤーが、さまざまなかたちで当社の量子ドットを応用しようとアプリケーションの開発を進めている状況です。
例えば、当社からも継続してお伝えしているとおり、シリコンフォトニクスで今までの電気による通信や配線を光に変えるところに当社の技術を用いた製品が使われようとしており、量子ドットは高温に強い特性を持っていますから、自動車の中の配線を電気から光に変えようとする試みが進められています。
さらに、宇宙において温度の変化が非常に激しい環境で人工衛星用に使う試みや、医療機器、先端医療において当社の量子ドットを使うなど、さまざまな開発が行われています。
当社もユーザーさんと共同研究を行ったり、そこまでいかなくても、お客さまからさまざまに要請いただいている波長や出力、寿命について開発を進め、量子ドットのアプリケーション開拓促進に尽力しています。
ただし、これらの実現にはもう少し時間がかかります。一番早くて、来期の後半に、いつ頃にまとまったアプリケーションの需要が出るかがわかり始めるあたりのことを期待しているのが現状です。
もうひとつのVID(視覚情報デバイス)事業においては、ベースライン計画に入っているのは、当社の網膜投影技術を使って、見えにくい方々の視覚を支援するロービジョンエイドや、人々の健康に資するようなかたちで応用していくビジョンヘルスケアが中心になります。
これらと同じ網膜投影技術を応用した延長線上として、今世の中で非常に脚光を浴びているスマートグラスに当社の技術が使われる期待が高まっており、当社も要素技術の開発を進めています。これらの要素技術を用いるかたちで、当社以外のプレーヤーがスマートグラスの実現に向かってさまざまな開発を進めているという状況にあります。
こちらもいつ頃に花が開き、当社の売上につながっていくのかについては、堅く見ると3年先、場合によっては5年先になると考えています。
すなわち、当社は、ベースライン計画の実現によりキャッシュを少しでも生む体制を確立する一方で、レーザデバイス事業、VID(視覚情報デバイス)事業それぞれにおいて将来に大きく花開く可能性を秘めている部分が、今お話ししただけでも3つ、4つ以上ありますので、それらが非常に大きな売上になることを目指します。
そこまで耐えられる体制を固めつつ、当社のユーザー、お客さまと一緒に将来が楽しみな開発を進めていきたいと思っています。
エクイティによる資金調達を行う必要もなくキャッシュが回る状態を確立し、ユーザーと一緒に進めている期待案件の開発状況についての情報をお伝えできるタイミングになり次第開示し、株主のみなさまや株式市場にもしっかりとお伝えすることに取り組んでいきたいと思っています。
そうすることで、当社事業が、「おもしろ味を秘めている」「言っていることが絵空事ではない」ということをわかっていただけると思いますので、それが株価にも反映されていくだろうと考えています。
申し上げたような背景の下、いただいたご質問にお答えすると、「なぜ株価が低下しているのか」については、株主のみなさまのお気持ちをすべて理解することは難しいのですが、当社が「まだ理解と信頼を得られていない」からであろうと感じています。
これには当社の上場来の歴史が反映しているところもあると思っていますが、当社が「言ったことをきちんと行っていく」ということを理解していただき、信頼を勝ち得るには、多少時間がかかるのだろうと思います。
私がお話ししていることや会社が発表していることが嘘ではなく、きちんと進んでいくであろうとまだ信頼してもらっていないところが、株価が低迷している原因だろうと考えています。
「株価がどう上がっていくのか」については、「いつ、いくらにします」ということは難しいですが、正攻法で取り組んでいくつもりです。
株価の基本である、将来的なキャッシュの創造力を現在価値に引き直した企業価値といったものではない、株式市場のあやのようなものを狙ったIR対策を行う会社もありますが、当社はあまりそのようなことは考えずに進めていきたく思います。
当社の持つバリュー、根源的な価値、強みを育てることが大事ですので、そこにきっちりと取り組んでいきます。そして、その取組状況を株式市場に適切に公開することを通じて理解や信頼を得て、株価の回復、上昇につなげていく施策をとっていきたいと考えています。
質疑応答:量子コンピュータの開発について
質問者:「株探」に「量子コンピュータの開発が始まる」といった内容の記事があり、そのメンバーの10社の中に御社の名前が入っていました。量子コンピュータの開発的なプロジェクトがいつ頃開始するのか、開始されるとすれば、その中で御社はどのような位置で関与していくのかを教えてください。
長尾:まず、当社は量子ドットレーザの開発に携わっていますが、量子コンピュータは同じ量子という言葉が使われるものの、違うものだとご理解ください。当社は量子コンピュータの開発に直接携わる立ち位置にはありません。
量子コンピュータの動向については、当社の研究開発陣も着目しています。それが完成した暁には、当社の製品がそのパーツとして使われる可能性もあるためです。
ただ、その手前の量子コンピュータ自体の開発については、現在の当社の量子ドットレーザとは別物であると考えていただければと思います。
質疑応答:社内におけるコンプライアンス及びリスク管理教育について
質問者:Webサイトに掲載されている「定時株主総会招集ご通知」の31ページに、「社内におけるコンプライアンス及びリスク管理教育」と記載があります。具体的にどのような社内教育を実施しているのかを教えてください。
長尾:当社の中で、情報セキュリティ管理委員会を設けています。最近、世の中一般に、いろいろなかたちで情報セキュリティに関する問題が出ており、それが一度顕在化すると、レピュテーションもそうですし、実害にもつながるといったことが報告されています。
ですので、当社の中でも情報管理がしっかりされているかを今一度検証しています。まずは棚卸的に、どのような情報を当社あるいは当社の委託先が持っているかといった分布図のようなものを作成しています。もちろん今までもそのまま放置しているわけではなく、それぞれについてリスクに対するセキュリティは取っているのですが、それらが十分なのかどうかを検証しています。
法令もテクノロジーも変わっていきます。そのような状況も鑑みて、今行っていることが正しいのかを検証していることが1つです。
また、コンプライアンスの分野で非常に大きなものとして、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメントの他、最近はカスタマーハラスメントも入ってきていますが、「ハラスメント」が当社の中で起きていないか、あるいは当社のお客さまとの間で発生していないかを確認し、防止するため、教育に力を入れています。
年に4回、全社員が参集する全社会議を開催していますが、それらの機会に注意喚起を行っています。
さらに、同じく全社会議において、最近、インサイダー取引規制について講義を行いました。みなさまもご承知のとおり、「この会社が?」と思うような立派な会社や地位の方がインサイダートレーディングを行ったというケースが、何ヶ月かごとに、ほとんど定期的に報道されています。
当社でこれが起こってはいけませんので、インサイダー取引についてあらためてイチから説明し、「行ってはいけない」「無知でもって漏らすといったことがないように」と徹底しました。
コンプライアンスにもいろいろありますが、その中でも大事なことについて説明し、起きやすい、あるいは当社が巻き込まれやすいコンプライアンス事案について、専門家の助けも得ながら、コンプライアンス意識と具体的な知識に基づく問題回避の教育を重ねています。
質疑応答:1株当たり純資産の減少要因について
質問者:Webサイトに掲載されている「定時株主総会招集ご通知」の17ページに、1株当たり純資産の記載があります。今期が前期比で減少している要因を具体的に教えてください。
長尾:今期も残念ながら純損失で赤字となり、純資産が減少したことに伴い、1株当たり純資産も減少しています。株数も多少動いていますが、その影響は小さくなっています。
質問者:単純に言うと、株数が増えたのでしょうか? それとも、純資産が減ったのでしょうか?
長尾:純資産が減った影響が大きいです。
質疑応答:菅原前社長について
質問者:本日は菅原充前社長は出席されていませんが、今、菅原さんは具体的にどのようなお仕事をしているのかを教えてください。菅原さんはもともとストックオプションをけっこう持っていた認識があります。ストックオプションの現在の状況として、破棄したのか、まだ保有しているのかもお願いします。
また、東京大学の荒川泰彦教授と御社がアカデミア関連で関係がある認識ですが、そちらも引き続き、菅原さんを通して関係が続いているのかを教えてください。
長尾:菅原前社長は、昨年6月の株主総会が終わった段階で代表取締役社長を退任し、ファウンダー兼最高技術顧問となりました。現在もそれが続いています。
菅原ファウンダーは多くの人脈を有しており、学会、あるいは業界と言ってもいいかもしれませんが、さまざまな良い意味でのコネクションを持っています。それらにも基づいて、目線が高いといいますか、業界全体を見渡して、私から見るとおもしろい意見や見方を提示してくれます。
そのような、まさにアドバイザー的な、顧問という言葉から通常連想されるようなサポートや助言をいただいています。現在は当社の指揮命令系統に関わっていることはありません。
当社で人を紹介してもらいたいようなことがあると、菅原さんがつないでくれたり、「この人がよいのではないか」と言ってくれたり、あるいは自発的に「こういうことが起きた、あるいはこんなことを聞いたけど、それはどうなのだろうか? 当社にとってはこういう意味があるのではないか」といったアドバイスをいただいたりすることが中心です。
荒川先生については、当社の創業時から先生の業績に基づいて量子ドットレーザが始まったということもあり、今現在も顧問関係が続いています。私も数回、荒川先生とお話しする機会がありました。学会のトップを変わらず走り続けている方ですので、さまざまなアドバイスをいただいています。
菅原ファウンダーの持っているストックオプションについては、ファウンダー兼最高技術顧問は社員にあたり、当社のストックオプションは役職員である限りそのまま継続する仕組みになっています。
したがって、もちろん当初に定められた期限はありますが、昨年6月に代表取締役を退任した後も、ストックオプションの権利はそのまま継続している状況です。
質疑応答:長期貸付金について
質問者:先ほど初めて御社の貸借対照表を見ました。Webサイトに掲載されている「定時株主総会招集ご通知」の33ページに、長期貸付金が約3億7,800万円あると記載があります。具体的にいつ頃からどのような目的で貸しており、回収見込みがあるのかについて、お話しできる範囲で教えてください。
長尾:当社は、来年3月以降に戸塚に拠点を移転します。戸塚で新しく土地を借り受けて、地主に当社が貸し付けた資金で建物を建ててもらい、その建物を長期にわたって借り受けるという手配をしました。その取引に基づく長期貸付金です。
したがって、家主からの返済は、長期にわたって当社の賃料と実質的には相殺されるというかたちで回収される仕組みになっています。2024年に賃貸に関わる契約をした時に発生し、返済期間は30年以上にわたります。
質疑応答:長尾社長の退任の理由について
質問者:今回、新たに役員の大久保潔さんが選任されていますが、長尾社長が今回、社長を退任するのは正しいのでしょうか? 昨年、新たに長尾さんが社長になりましたが、この短期間でなぜ大久保さんに社長を交代するのか、その理由を教えてください。
長尾:まず、社長交代の背景についてご説明します。私も大久保も、2006年に菅原初代社長と一緒に当社創設に関わったという経緯があります。
QDレーザはもともと富士通と三井物産の61対39のジョイントベンチャーのかたちで始まりましたが、その時に三井物産側の資金を出したベンチャーキャピタル会社の社長が私で、担当者が大久保でした。私はQDレーザの初代取締役であり、大久保は初代の副社長、そして社長が菅原という関係でした。その時以来の縁が、菅原前社長と私にはあります。
その後、しばらくご無沙汰していましたが、昨年2月に菅原前社長から「QDレーザをもう一段ステップアップするために、サポートしてもらえないか」とお声がけいただいたことが、私が昨年6月に社長に就任したきっかけです。
実はその時、大久保もいました。菅原前社長は、私と大久保に声をかけたということです。しかし、大久保は前職の関係で、アメリカのシリコンバレーに駐在しており、すぐには動けない状況にありましたので、私が先行して昨年6月に社長に就任することになりました。大久保は、昨年12月に日本に帰って来て、前職の三井物産を退職し、今年1月にQDレーザの執行役員COOに就任して一緒にQDレーザの舵取りを始めたという経緯です。
今の話からご推察いただけるかと思いますが、私と大久保で菅原初代社長の意を汲み、「どのように進めたらQDレーザを黒字化できるのか。さらに成長させていけるのか」を、一緒に考えることがもともとのプランでした。
大久保は私よりも10歳近く年下ということもあり、やがては私から大久保に社長を引き継ぐことも十分あり得ると想定していました。当社は社外取締役のほうが多いため、もちろん私ひとりで決められるわけではありませんが。
そのような状況下、大久保COOが1月に着任した後、「早く社長を代わってもらったほうがQDレーザのためになる」という判断をし、社外取締役にも相談し、了承を得ました。
当社はまだ伸びしろの大きい若い会社です。したがって、しっかりとした1人の人間が長く棹さして行くことが正しいと思います。私は65歳で、まだ若いと私自身思わなくもありませんが、世の中を見ても、個人差はありますが、50代のほうが新しいことに挑戦し、世界を広げていくという意味ではより適していると思います。大久保という人間を見てもそう思います。
19年前の2006年に、当時私の部下だった大久保が、QDレーザに出資しようと提案してきました。まだ新しいチップのサンプルしかないような企業に何億円という出資をすることは、三井物産の中でもけっこう破天荒に属する部類です。
大久保は、そのような投資案件への出資をしっかりと実現しました。そうして、紆余曲折ありましたが、QDレーザは、このように上場会社にまで成長しました。この過程を振り返ると、人を説得する力、当時でいえば富士通や東京大学、あるいは三井物産など、一流の企業やアカデミアの方々を巻き込んで成果を上げていく力が、大久保にはあると思います。
そこには勘の良さや見識の深さ、牽引力のようなものもあります。そのようなものを持っている大久保に、QDレーザの次の段階の成長を任せたほうがよいと考えたわけです。
さらにもう1つ、1月以降、私は社長としての権限の相当をCOOである大久保に委譲し、今現在、Day to Dayのオペレーションは、概ね大久保の判断で回っています。その様子を見て、私も、社員も、さらに各取締役も彼に任せて大丈夫だという確信を持ちました。
以上のような理由で、この段階で大久保に社長を交代することを決定しました。確かに、1年だけ上場会社の社長をやって交代することが異例であることは承知していますが、そのほうが会社のためにはよいという判断であったわけです。
また、私は去ってしまうのではなく、業務を執行する取締役としてQDレーザに残ります。つまり、社外取締役的に月に1回の取締役会に出席して意見を述べるというのではなく、会社内のミーティングや、社員とのコンタクトによってQDレーザで何が起きているか、今までどおりの密度で知るつもりです。
そのように把握した事実に基づいて、思っていることや感じたことを、大久保にも、あるいは取締役会でも提言し、QDレーザに貢献していきたいと思っています。そういうかたちを早く取ったほうが、中長期的に見て、QDレーザの成長のためにはよいという判断で、今回の早期の社長交代に相成りました。
質疑応答:株式の非公開について
質問者:これは質問というよりはお願いです。最初のご質問にもありましたが、株価が下落し、ジリ貧状態の中で、株式を非公開にすることは考えていないということを、今発表していただけると助かります。
この1年、非公開にする、上場を廃止するお考えはないということでよろしいでしょうか? また、それはないと断言していただければと思いますが、いかがでしょうか? よろしくお願いします。
長尾:まず、今現在はまったく考えていません。私のバックグラウンド的には、M&Aや投資に長く携わってきており、MBOやプライバタイゼーションが近い世界にいました。したがって、いろいろな選択肢を、広く突拍子もないようなレベルのものまで含めて、メニューとして考えるべきだとは思っています。
しかし、冒頭のご質問にもありましたが、残念ながら、私の社長就任以来、QDレーザの株価は下がっています。今、私が考えていることは、株価をもう一度回復させることです。それを、まともなやり方で、すなわち、事業を展開する上で固めるべきは固め、飛躍させるべきはそれに備えた種まきや、育てるということを地道に進めることで達成していきたいと思っています。従って、非公開化については、今現在は考えていないとご承知おきください。
質疑応答:株主総会の改善点について
質問者:株主総会の会場についてです。一昨年来て、質疑応答の時に注文をつけたのですが、その時と比べるとよくなったと思います。
今回は歩道に案内の方がいらっしゃって、その点は良くなったと思います。一昨年は、横浜ランドマークタワーが非常に大きな建物のため、通路を歩いているうちに迷ってしまいました。今回は前回のことがあったため迷わなかったのですが、通路に案内の方が必要ではないかと思います。
横浜ランドマークタワーの歩道から「この通路をまっすぐ行ってください」という人が、1人必要だと思います。中のあたりに女性がいて、無事に迷わないでまっすぐ行ったのですが。
その後、男性と会って、「一番端っこですよ。3階です」と言われました。このNORTHの3階の入口に1人立ったほうがよいと思います。また、「QDレーザの株主総会会場」という立て看板は、この建物の中に置いても意味がないと思います。
特に、地方から来られる方や初めての方は、横浜などよくわからないですからね。もう少し工夫がいるのではないかということです。
売上が増えないのは、このようなセンスがいろいろなところで出ているからではないかと思います。例えば、今回はお水がありますが、一昨年に私が言ったのですよ。我々株主には水が出なくて、役員の方には出しているのです。そのような会社なのですよ。
今回は、椅子に置いてあるのだろうと思って入ったら、私が座ったところにはなかったため、先ほどトイレに行った時に「どこにあるの?」と聞いたら、「前のほうにある」と言われました。出入口や受付で渡せばよいことでしょう? どこで渡せば効率的なのかはいろいろあると思いますが、もう少し工夫が必要だと思います。
また、このような立派な会場は必要ないのではないかというのが、私の率直な感想です。いくらかかっているかわかりませんが、むしろ私が驚くほど安いのかもしれませんね。
したがって、どのくらいのコストがかかっているかということで、判断するしかないのですが。「そんな程度ですか」ということで、納得する可能性もありますが。今度、本社ビルが建つようですから、そこの会議室でよいのではないですか? このくらいの人数しかいないのですよ。
長尾:株主総会の場所の選定及び案内の不十分さや飲料水について、環境をきちんと整えるべきというご意見と承りましたので、改善していきたいと思っています。他にもなにかありますでしょうか?
質問者:株価などに対して不満があるからです。19期も連続して赤字など、考えられないでしょう?
長尾:赤字が続いていることについて、基本的な会社としての姿勢が表れているものなのではないかというご叱責・ご批判と承りました。正面から受け止め、対処していきたいと考えています。ありがとうございます。
質疑応答:「ロービジョン」という用語の使用及び取締役の強化について
質問者:資料を読み、わかりにくいところについてお聞きします。私が知識がないからかもしれませんが、例えば「ロービジョン」などと、日本で誰が言いますか? 「ロービジョンのための眼鏡を作っています」のような言い方はあほらしいです。「弱視」という言葉を使用すればよいのではないでしょうか? したがって、売れないのではありませんか?
ただ、去年社長が交代し、ようやくQDレーザの経営に光が見えたなと思っています。さらに、大久保さんが来られるということで、これまでより変わってくれるだろうと非常に期待しています。
したがって、決して感情的に、反会社という人間ではないのですが、もう少しわかりやすくやってほしいと思います。「ロービジョン」などという言葉は、日常的な言葉に入っていますか?
また、「定時株主総会招集ご通知」の12ページにスキルマトリクスというものがあります。この中で、QDレーザの問題は、売るものはあるものの、売上が増えないことだと思います。どうやって使ったらよいのかも、よくわからないのかもしれません。
セールス・マーケティングのところに、大久保さん、長尾さん、社内取締役が、誰も丸がついていません。私は取締役をもっと増やしてもよいと思います。例えば、波多野さんが適任であれば、社外から社内に来てもらったり、他から来ていただいたりする選択肢もあるかもしれません。
もっと売上を増やさなければどうしようもないと思います。したがって、お金を使うのはかまわないと思います。トヨタ社と同じぐらいの業績を上げるのでしたら、豊田章男さんと同等の報酬でもぜんぜんかまいません。もう少しセールスとマーケティングにおいて、柱となるような人を連れてきてほしいということです。
長尾:まず、「ロービジョン」という言葉については、例えば、弱視という言葉は、医学的弱視と社会的弱視という複数の概念があるため、「ロービジョン」という言葉を使うことが、ロービジョン学会で推奨されているという事情があります。
もちろん、ご指摘いただいたとおり、わかりやすい言葉を使うことについて、心がけていきたいと思います。
また、最後に指摘いただいた点については、スキルマトリクスにおいて、取締役がさまざまな必要なスキルを持っていることが、東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コードにおいても推奨されています。
特にセールスとマーケティングについて、それぞれ独立したスキルとして専門的な知見を導入すべきではないかという点については、来年以降の対応を考えていきたいと思います。
質疑応答:IR活動について
質問者:先ほど長尾さんから、IRはあまり重要視していないような発言がありました。御社はすばらしいことをされていて、応援したい気持ちでいっぱいのため、以前、追加で投資をしようと思い、IRにメールをしました。しかし、数ヶ月経ってもメールが返ってきません。
遅れても構いませんので、なんらかのかたちでメールさえいただければ、安心できると思います。この点に関しての、社長のご意見をよろしくお願いします。
長尾:私がIRに力を入れないというように聞こえたとしましたら、それは誤解です。本来の意味で行われる正攻法のIR活動は重要だと思っています。
そもそも、問い合わせをしても、返答が遅い、あるいは返事をしないといったことは、基本動作を疎かにしているものとしてあってはならず、もちろん、きちんと行っていく必要があると考えています。
また、IRの一環としてのリリースの出し方について、先ほどの返答で誤解を与えてしまったかもしれませんが、実質を伴わないような発表は行わないという意味で申し上げました。内容の伴った実質のある事業活動を作り上げ、それを正しい姿で投資家さまや株式市場に伝える、広げるといったことは、きちんと行っていきたいと考えています。
また、個別の投資家さま対応についても、それは会社の本業ではないので、ないがしろにしてもいいとはまったく思っていません。そこは適切にやっていきたいと考えています。先ほどご指摘のような事情についてはあってはならず、率直にお詫び申し上げます。
採決
それでは、これをもちまして、質問・審議を終了し、議案の採決に移ります。議案の採決に移ることについて、ご賛成いただけます株主さまは、拍手をお願いします。
(会場拍手)
ありがとうございました。過半数の賛成と認めますので、議案の採決に移ります。
第1号議案
それでは第1号議案、定款一部変更の件を採決します。本議案につき、ご賛成いただける株主さまは拍手をお願いします。
(会場拍手)
ありがとうございました。議決権行使書及びインターネット等によるご賛成を合わせ、3分の2以上の賛成をもって、本議案は原案どおり、承認可決されました。
第2号議案
第2号議案、監査等委員である取締役を除く取締役3名選任の件を採決します。本議案につき、ご賛成いただける株主さまは拍手をお願いします。
(会場拍手)
ありがとうございました。議決権行使書及びインターネット等によるご賛成を合わせ、過半数の賛成をもって、本議案は原案どおり承認可決されました。
第3号議案
第3号議案、監査等委員である取締役3名選任の件を採決します。本議案につき、ご賛成いただける株主さまは拍手をお願いします。
(会場拍手)
ありがとうございました。議決権行使書及びインターネット等によるご賛成を合わせ、過半数の賛成をもって、本議案は原案どおり承認可決されました。
以上をもちまして、本日の目的事項はすべて終了しましたので、本総会は閉会とします。
それでは、本日選任された取締役をご紹介します。大久保潔、長尾收、波多野薫、内田悟、森大輝、松下修です。
それでは本総会後の取締役会での承認を得て、新たに代表取締役社長となる大久保より、一言ご挨拶申し上げます。
大久保氏からのご挨拶
大久保潔氏:本日は株主総会へのご参加を賜り、ありがとうございます。今、長尾社長よりご紹介いただきました大久保です。何卒よろしくお願いします。
まず、株主総会での当方の取締役の就任について、ご承認を賜りまして、御礼申し上げます。
簡単に、「私とQDレーザとの縁」について、長尾社長からご説明もありましたが、補足的にお話しします。
ご説明のとおり、設立した時に、私は投資の担当だったのですが、この投資というのが、書類が既に固まって、それを見ながら投資を検討して、というようなものではまったくありませんでした。
もともと富士通において、富士通研究所と東京大学が、量子ドットレーザの研究を行い、サンプルも作っていました。「どのように事業化しようか」ということで、さまざまなアイデアが検討されていました。その中の1つのアイデアが、「ベンチャー企業にする」ということでした。
そのタイミングで東京大学を通じてご相談をいただき、その責任者である、当時の富士通の菅原と、長尾、私の3人で、「どうしたらよいか」を議論してきました。
それが2年ぐらい続きました。2006年4月に創業する2年前から、「そもそもベンチャー企業とは何か」「この技術を世に出すとしたら何をしたらよいのか」など、非常に根源的な話を、膝詰めで話をしたといった経緯がありました。そのため、私としては、志を3人で合わせて会社になったのがQDレーザだと思っています。
今回、ここに私が立つようになった経緯も、長尾のご説明のとおりですが、おそらく、「この会社をどうしたいのか」という志の部分について、菅原も、長尾と私に託してくれたのだろうと思っています。その責任、志を引き継いで、なんとかして会社をしっかり成長させていきたいと思っています。
QDレーザという社名は、最初から菅原が「この社名にしたい」と言っていました。まさに、その量子ドットレーザを事業化するための2006年の創業だったわけです。
今年の1月から、私は社員としてQDレーザに入社しましたが、一番驚いているのは、このレーザのアプリケーション、レーザの商売が非常に広がっているということです。今、レーザデバイス事業部には160社を超えるお客さまがいらっしゃいます。創業時にはこのようになるとは、まったく考えていませんでした。
これはもちろん、今レーザデバイス事業部を支えている社員の壮絶ながんばりで、ここまで来たということです。これがさらに拡大、成長しようとしています。そのようなことが、日々情報で上がってくるわけです。これは本当にすばらしいことだと思いますし、しっかり形にしていきたいと思っています。
もう1つの視覚情報デバイス事業も、直接お客さまや代理店とお話しする機会がありますが、これが良いと言っていただけるお客さまがいます。「これは本当にすばらしい機械です」というファンの方もいらっしゃいます。お客さまの中からは「これを扱いたい」という話もあります。
これまでさまざまなチャレンジをしてきて、良かったことや悪かったことがつながって、今に至っています。これをしっかりとした事業とし、拡大していくのが、もう1つの私のミッションだと思っています。
私は前職で、いわゆる「ビジネスデベロップメント」という、新しい事業を作ったり、既存の事業を少しかたちを変えて大きくしていったりすることに、かなり長い期間、従事してきました。
私と長尾は、前職で上司・部下だったため、大変長い付き合いがありますが、持ち味はまったく違います。ここは長尾のご説明のとおりです。
私のミッションとは、QDレーザの成長可能性を具現化させることです。それと同時に、「ベースライン」という、今中期経営計画で掲げている土台の収益を、しっかり堅固・堅牢なものとして立ち上げていくことです。この両方を同時に進めていくことだと、強く認識しています。
それをなんとかかたちにして、株主のみなさまに実際の成果としてお見せできるようにしていきたいと思っています。
全力でがんばりたいと思いますので、引き続きご支援いただければと思います。どうぞよろしくお願いします。今日はありがとうございました。
長尾:株主のみなさまにおかれましては、熱心にご審議いただき、誠にありがとうございました。引き続き、変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願いします。