本日のプレゼンテーションの要旨
片岡尚氏(以下、片岡):代表取締役社長CEOの片岡です。お忙しいところご視聴いただき、ありがとうございます。株式会社GENDAの2026年1月期第1四半期決算説明会を開催します。
まずは、本日のプレゼンテーションの要旨です。2026年1月期第1四半期は、KPIのIFRS指標で期初予算を大幅に超過し、通期達成に向けて順調な滑り出しとなりました。
調整後償却前営業利益は、第1四半期予算の38億1,000万円に対し42億6,000万円、プラス11.9パーセントとなっています。前年同期比では9億6,000万円、29.2パーセントの増加です。
調整後のれん償却前営業利益は、第1四半期予算の19億円に対し25億1,000万円、プラス32.2パーセントとなりました。前年同期比では2億円、8.6パーセントの増加です。
調整後のれん償却前当期純利益は、第1四半期予算の11億1,000万円に対し13億3,000万円、プラス19.4パーセントとなりました。前年同期比では2億円、13.1パーセントの減少ですが、今期予算は下期偏重の想定であり、予算に対しては順調な進捗です。
M&Aについては、成長の著しい米国で、同業のロールアップM&Aを2件発表しました。北米ロールアップ戦略では国内での成功例に倣い、米国でも中核のNEN社とPlayer One Amusement Group(以下、Player One)を活かした、ロールアップM&Aの醍醐味であるさまざまなPMIを見込んでいます。
M&Aのバリュエーションは、合算でEV/EBITDA倍率5.0倍と適正価格での譲受であり、PMI施策による利益拡大により、こちらはさらに低減される想定です。
PMIのトピックスは、北米での有力IPの投入開始と、外貨両替機事業の躍進です。米国のNEN社のPMIでは、ゲーム機の入れ替え(SWAP)後の既存店売上高が平均110パーセント増と、依然として国内の既存店成長率と比較して高水準を維持しています。
北米では、6月下旬からサンリオやゴジラなどの本格的な日本IPを使用したGENDAの北米事業エクスクルーシブな専用景品の投入を開始します。その他IPも、順次追加予定です。
また、外貨両替機事業のスマートエクスチェンジは、3月、4月の売上高が過去最高を連続更新しました。外貨両替機で獲得した外貨は、米ドルは米国M&Aの支払いに、ユーロはクライナーの仕入れ代金の支払い等に充当され、グループ全体の外貨調達手段となっています。
次に、業績予想です。2027年1月期の予想値を上方修正しました。売上高は1,850億円、EBITDAは257億円、IFRS当期純利益は99億円です。これは、今後のM&Aが一切ない想定の数値です。
2026年1月期の予想は、P/L連結開始のタイミングや一過性のM&A関連費用に基づき、据え置いています。
連結損益計算書サマリー
2026年1月期第1四半期決算についてご説明します。第1四半期は予算を超過達成し、順調な滑り出しとなりました。国内ゲームセンターおよびカラオケが、全社の業績を牽引しています。
連結営業利益計算書のサマリーです。スライドに記載した「a」の部分では、事業の実力値を表すため、一過性のM&A関連費用を除いた調整後指標を明示しています。M&Aの営業費用は、第1四半期会計期間で3億6,000万円となり、償却前営業利益以下に影響しています。
調整後償却前営業利益は、予算比プラス11パーセント、4億5,000万円の増益で、前年同期比プラス29パーセント、9億6,000万円増です。調整後のれん償却前営業利益は、予算比プラス32パーセント、6億1,000万円の増益で、前年同期比プラス8パーセント、2億円増となっています。
調整後のれん償却前当期純利益は、予算比プラス19パーセント、2億1,000万円の増益で、前年同期比マイナス13パーセント、2億円の減益となりました。
調整後 償却前営業利益(EBITDA)の予実分析
調整後償却前営業利益の予実分析です。2025年1月期は、すべての四半期会計期間において予算を上回る調整後償却前営業利益を達成しました。今期第1四半期も、予算を上回る堅調な滑り出しです。
当社の主力事業であるゲームセンターとカラオケは下期に収益が偏重する季節性があり、今期は前期よりもさらに下期偏重の予算となっています。
連結貸借対照表サマリー
連結貸借対照表のサマリーです。直近の公募増資184億円でレバレッジは改善され、M&A活動が再開可能となりました。
バランスシートのKPIであるNet Debt/EBITDA倍率は1.9倍です。これはPlayer OneのM&A資金と公募増資を勘案した数値となっています。Player Oneの公表時点では2.5倍と想定していましたが、大きく改善しました。
M&A及び資本取引トラックレコード
M&AとPMIです。本日、新たに2件のM&Aを発表し、創業来のM&A件数は48件となりました。
北米アミューズメント施設 ロールアップ
北米アミューズメント施設ロールアップ戦略についてご説明します。米国アミューズメント事業を非連続的に強化していきます。
1件目は、米国でゲームセンター12店舗、ミニロケ89ヶ所を展開するBarberio Music Companyの株式取得です。全米大手のトランポリンパークや大手高級ホテルチェーン、ファミリーエンターテインメントセンター(FEC)などに出店しており、知名度も高く人流の多い大型商業施設内での展開が強みです。
2件目は、米国のVENUplus社より、ミニロケ拠点約1,100ヶ所を展開する事業を譲受します。既存スタッフの承継を最小限に抑え、全米で約1万ヶ所のミニロケを有するNEN社の既存人材を活用し、現金回収やプライズ補充のオペレーション統合を進めることで、さらなる人件費の効率化が可能となります。
これら2件を合算したEV/EBITDA倍率は5.0倍と、対象会社の過去の実績ベースで適正な価格での譲受となっています。PM施策による利益拡大やコスト削減により、将来業績を参照した場合のEV/EBITDA倍率はさらに低減される想定です。
現行のKiddleton式のミニクレーンと「Kawaii」景品の展開により、NEN社と同様に既存店売上高の成長を想定しています。
北米プラットフォームの強化
北米(米国・カナダ)のエンタメ・プラットフォーム網がさらに拡大しました。
既存のNEN社のゲームセンター19店舗、ミニロケ約1万ヶ所、Player Oneのゲームセンター104店舗、ミニロケ約2,000ヶ所に、この度Barberio Music Companyのゲームセンター12店舗、ミニロケ89ヶ所と、VENUplusのミニロケ約1,100ヶ所が加わることになります。
NENのPMI進捗状況
NEN社のPMIの進捗状況です。当社が「SWAP」と呼んでいる「Kiddleton式のミニクレーン」と「日本式の『Kawaii』景品」に入れ替える施策は、順調に進捗しています。
入れ替えは515ヶ所で完了し、店舗の売上高成長率は平均プラス110パーセント、つまり2.1倍となっており、高止まりが続いています。
SWAPを実施した店舗の売上高成長率は、2月末のプラス201パーセントからは安定したものの、依然として平均プラス110パーセントを記録しています。
これは国内の既存店成長率が数パーセントであり、M&Aで取得した国内店舗がプラス約20パーセントであることと比較すると、圧倒的な高い成長率を実現できています。
北米事業PMI:順調な進捗と今後の成長戦略
北米事業のその他のPMIの進捗と今後の成長戦略についてご説明します。北米のPMIでは、想定外のポジティブな進捗を見せています。
1つ目は、Walmartへの「新規」出店です。M&A前から進捗していたNEN社におけるWalmartの一部店舗の解約数は想定どおりでしたが、SWAPの売上増大効果が顕著だったため、M&A前にはまったく想定していなかったWalmartへの新規出店を7店舗獲得しました。
Walmartへの新規出店はNEN社としても7年ぶり、さらにWalmartへのリース契約での出店は、NEN創業以来初めてです。
2つ目は、Walmart以外への「新規」出店です。NEN社のSWAP効果が顕著であるため、M&A前に想定していなかった新規出店の引き合いが数多く発生しました。結果的に、Walmartの閉店数を新規出店が上回り、店舗数は毎月純増で推移しています。
足元での新規出店は、月間200店舗を超えます。既存店のSWAPよりも新規出店は投資効率が大変高く、出店時の一時的コストはかかりますが、最良のオーガニック成長投資として今後も進めていきます。
3つ目は、Player Oneのゲーム機の卸売機能によるゲーム機のディスカウント価格での仕入れを開始することができました。Player Oneの売上は、約3割がゲーム機の卸売事業です。今回新たに、NEN社で使用するゲーム機の仕入れをPlayer Oneでのボリュームディスカウント価格で開始することに成功しました。
4つ目は、Player OneのPMI施策を今月より開始予定です。Player Oneのクロージングに先駆け、今月よりPlayerOneでも65ヶ所でKiddleton式のゲーム機・景品のロケテストを実施予定です。
Player OneではSWAPのみならず、既存店の空きスペースへ追加投入する「Add on」を推進していきます。SWAPは既存売上の置き換えであり、純粋な売上増としてはAdd onのほうが効率的であるため、空きスペースが豊富なPlayer Oneでは、既存売上を取り除かないAdd onを中心に実施していきます。
これにより、Player Oneの空きスペースを有効活用しながら、日本アニメIPをオフラインで提供するプラットフォームを強化していきます。
遂に強力IPの投入開始!
北米のゲームセンターにて、待望の日本アニメIPの限定景品を投入開始します。6月下旬より投入される日本アニメIPとして、スライドに掲載しているラインナップを予定しています。
現行の「Kawaii」景品だけでも非常に人気がありますが、これに加え、北米のゲームセンターではKiddletonとNEN社、クロージング後のPlayer Oneのみが取り扱い可能な「エクスクルーシブな専用景品」となります。
これをGENDAの1万3,000以上のプラットフォームを使って、北米全土のアニメファンにお届けします。GENDAでしか手に入らない希少性とコレクタブル性を兼ね備え、新規のお客さまの獲得と来店頻度の向上を期待しています。
日本発の“推し”を世界へ!GENDAのグローバルプラットフォーム
このように、念願だった北米の個人消費者とのエンタメ・プラットフォームを確立したGENDAは、グローバルネットワークを通じて、日本が誇る強力なIPを世界のファンへお届けします。限定景品を開発・展開することで、他のプレーヤーとの圧倒的な差別化を実現していきます。
特に、北米市場でのクレーンゲーム文化とIPコンテンツの融合で、新たな需要を喚起できると考えています。今後も続々と、さらに有名なIPの限定景品を展開していく予定です。
GENDAの新たな外貨獲得手段
3月にグループインした、外貨両替機事業を展開しているSMART EXCHANGEのPMI施策です。
SMART EXCHANGEは、過去最高月次売上を連続更新しています。さらに、外貨を海外M&Aの対価や「クライナーファイグリング」の仕入代金の支払い等に有効活用しています。
外貨両替機事業のSMART EXCHANGEは、インバウンド需要の高まりを背景に3月、4月と過去最高の払出額を記録し、単月売上の過去最高記録を更新しました。スライドに記載のとおり、PMI施策を順次進めています。
両替機で回収した外貨の有効活用にも着手しています。海外M&Aにおけるドル建ての対価支払いや、「クライナーファイグリング」の仕入代金に充当するユーロ建ての支払いを、為替手数料を低減しながらグローバルに展開していく、GENDAグループ全体の外貨の獲得手段として活用していきたいと考えています。
来期業績 上方修正
来期業績の上方修正についてです。本日発表した2件のM&Aを織り込み、2027年1月期の業績見込みを上方修正しました。こちらは、本日以降は1件もM&Aがない場合の業績見込みです。
売上高は1,830億円から1,850億円へ、償却前営業利益(EBITDA)は250億円から257億円へ、のれん償却前当期純利益は95億円から99億円へ上方修正しました。2026年1月期は、P/Lの連結開始のタイミングや一過性のM&A関連費用に基づいて据え置いています。
有償ストック・オプションの発行について
有償ストック・オプションの発行についてです。償却前営業利益を5年間で5倍の750億円にできた時のみに行使可能な、株価向上に連動するインセンティブ設計となっています。
今回の有償ストック・オプションは、単なる業績達成の現金ボーナスではなく、M&A戦略の規律を堅持しつつ、株主価値の極大化を両立させる戦略的なツールです。株価が下落すれば役職員が一切メリットを享受できない仕組みであり、無謀なM&Aを構造的に抑制する設計にもなっています。
したがって、GENDAの役職員は償却前営業利益の目標達成に加え、1株当たり株式価値の極大化を追求する強いインセンティブを持ち、株主のみなさまと同じ目線で経営していきます。
GENDAの考えるDX
GENDAのDX施策のご紹介です。まずは、GENDAの考えるDXについてお話しします。PMIの効果を最大化する「攻めと守りのDX」戦略として、スライドに記載している施策を考えています。
GENDAは組織運営力強化、生産性向上、顧客体験の価値最大化を目的としたDXを推進しています。M&Aでグループインした事業に対して、当社のテックチームがディープダイブしてDXに取り組んでいます。
単なる既存技術の導入にとどまらず、現場の具体的な課題解決と生産性向上を目的としたDX施策を展開することで、大幅な業務効率化を実現しています。GiGOに続いて、カラオケBanBanでのDXも大きく進行中です。
ゲームセンターのオペレーション業務のDXによる生産性向上
具体的な施策を2つご紹介します。1つ目は、ゲームセンターのオペレーション業務のDX化による生産性向上です。店舗オペレーションのDXにより、月間4,000時間の作業時間を削減しました。
GiGOの店舗での課題だった無駄な業務・手作業・紙運用を削減し、業務をシステムで統一化・標準化することで、属人化解消とデータに基づいた店舗運営を加速することを目指しました。
具体的には、次の3つの施策を進めました。1つ目は、売上および景品の払出数の入力業務に関するDXです。一部のPOS未導入のゲーム機では、従来はフロアでメモした売上等をバックオフィスに戻ってPCに入力していたところ、社内アプリの「GiGO NAVI」を活用し、入力作業をフロア内で完結するフローを実現しました。
2つ目は、プライズ計画業務のDXです。従来は文字情報のみの「Excel」で入荷予定の景品をチェックし展開計画を立案していましたが、新着景品が画像とともに表示され、直感的に把握しやすいUIを実装しました。これにより、新着景品の具体的な絵を見ながらフロアでの展開計画を作れるようになりました。
3つ目は、ゲーム機ごとのプライズ売上実績確認業務のDXです。従来はバックオフィスのPCのみで閲覧可能だった売上情報を、手元のスマートフォンのアプリで確認可能になりました。フロアにいながら実績確認ができるため、データに基づいた景品の配置転換がスムーズにできるようになりました。
今期中にデジタルプラットフォームのさらなる活用を通じて、店舗業務の改善と売上向上を目指していきます。
現場課題から生まれたイノベーション:生成AIによる業務効率化と価値創造
現場課題から生まれたイノベーションとして、生成AIによる業務効率化と価値創造をご紹介します。GENDAのDX戦略は、現場の具体的な課題を起点とし、テックチームとの密な連携によってPDCAサイクルを推進することで、常に最適なオペレーションを生み出すことが特徴です。
スライドに記載している2つの事例は、単なる技術導入にとどまらず、業務フローを根本から変革し、事業の競争優位性を高めることができた代表例です。
当社が独自開発した「AI Agent」は、多様な店舗ビジネスに共通する課題解決を目的とした汎用性の高いソリューションです。一度の開発投資で、グループ全体の業務効率化と標準化を推進し、投資効率の最適化と競争力向上を同時に実現することが可能であると考えています。
株主優待ラインナップ拡充
最後に、株主優待ラインナップの拡充についてです。現在のGiGOおよびカラオケBanBanでのクーポン券利用に加え、3月には「クライナーファイグリング」とのポイント交換を発表しました。さらに、デンマーク産プレミアムウォッカ「DANZKA(ダンズカ)」が仲間入りします。
「DANZKA」は、株式会社シトラムがこの春から新たに取り扱いを開始した商品で、「クライナーファイグリング」と同様、日本での取り扱いはシトラムの独占契約です。2025年7月末の権利確定より、交換可能となります。
本日の説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。
Q&A
<質問1>
質問:北米におけるアニメグッズの新たな販路としてクレーンゲームを展開していることについて質問です。昨年、エンタメ企業他社がガチャの北米展開を発表しています。ガチャは消費金額が安く、確実に手に入ることが魅力ですが、御社はガチャを対抗軸と見ているのでしょうか。また、アニメグッズの新たな販路としてどのように見ていますか。
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