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若松孝彦氏(以下、若松):みなさま、こんにちは。タナベコンサルティンググループ(以下、TCG)代表取締役社長の若松孝彦です。本日は、当社の2025年3月期の決算説明会をご視聴いただき、誠にありがとうございます。

本日のアジェンダです。事業概要・強み、2025年3月期の決算概要、2026年3月期の決算見通し、成長戦略、株主還元をご説明します。また、Appendixは後ほどご覧いただければと思います。

創業の原点

まず、事業概要・強みについてお話しします。当社は、創業者である田辺昇一が自分の勤めていた会社が倒産した原体験から、「この国には企業を救う仕事が必要だ」と決意したことからスタートしました。

日本で初めて、企業を救う医師である経営コンサルタントを「ビジネスドクター」と命名し、「企業はトップマネジメント(経営者層)で決まる」という経営理論を構築し、「企業を愛し、企業とともに歩み、企業繁栄に奉仕する」という経営理念を掲げています。

1957年に創業し、今年で68年目となります。創業時から経営コンサルティングファームであったという事実が「日本の経営コンサルティングのパイオニア」と呼ばれる所以です。

長い歴史の中で、中規模企業が中堅企業に、中堅企業が大企業へと成長する、そのようなご支援を数多く行ってきました。

経営理念・パーパス(貢献価値)&バリュー(私たちの価値観)

経営理念は「企業を愛し 企業とともに歩み 企業繁栄に奉仕する」です。そして「その決断を、愛でささえる、世界を変える。」をパーパス(貢献価値)として掲げています。

また、バリュー(私たちの価値観)として掲げた「Teamwork is Power すべてはクライアントの成功と、明るい未来のために」という6つの価値観を持って、経営コンサルティングファームとして活動しています。

タナベコンサルティンググループ概要

TCGの概要です。純粋持株会社として、タナベコンサルティンググループが東証プライム市場に上場しています。

主要な事業会社としてタナベコンサルティングがあり、5つの経営コンサルティング領域を有しています。

スライド下部に、グループ会社を掲載しています。リーディング・ソリューションは、BtoBのデジタルマーケティングを得意とする会社です。グローウィン・パートナーズはクロスボーダーM&A並びにシステムの導入・実装、ジェイスリーはブランディング、カーツメディアワークスは戦略PR、海外PRを得意としています。Surpassはマーケティングおよびセールスの支援、並びに女性活躍の部分においてDE&Iに貢献している会社です。加えて先般、ピースマインドという会社が新たにグループインしました。

ピースマインド株式会社のグループイン(株式の54.9%を取得)

ピースマインドについて少しご紹介します。同社は、日本およびアジアにおけるEAP (従業員支援プログラム)サービスのパイオニアと呼ばれており、今年で27年目を迎えます。

非常に高い専門性を持つプロフェッショナル、例えば臨床心理士、精神保健福祉士、保健師、産業カウンセラーなどの有資格者を約100名抱えている会社です。

スライドに記載のとおり、お取引企業数1,400社、上場企業割合86パーセント、外資系顧客構成比35パーセントとなります。TCGがピースマインドと一緒にコーポレートウェルビーイング市場に参入していくことで、HRコンサルティング領域を強化していきます。

また、「Working Better Cloud(WBC)」という、ピースマインドが独自開発したデジタルプラットフォームを有しています。こちらは、カウンセリングやストレスチェックのデータを一元管理でき、クライアントをつなぐことができるシステムです。

LTV(顧客生涯価値)が非常に高いビジネスモデルになっており、コーポレートウェルビーイング市場への参入を大きなテーマとしてグループインしています。「”はたらくをよくする(※)エコシステム”を創り、社会をいきいきとした人と職場で満たす」というミッションを掲げています。

※「はたらくをよくする」は、ピースマインド株式会社の登録商標です。

ターゲットセグメント①

スライドは、私たちの主要顧客のセグメントを図で示したものです。縦軸が顧客企業の売上高規模、横軸が支援領域を表しています。

中堅企業を中心に大企業から中規模企業まで、経営戦略の策定から現場でのオペレーションの実装・実行まで一気通貫でカバーします。このように、競合他社の少ない独自のポジションを築いています。スライド中央のブルーの部分が、TCGの経営コンサルティング領域と見ていただければと思います。グレーの部分は、われわれがセットしたライバル会社のイメージです。

ターゲットセグメント②

ご承知のように、現在、中堅企業を日本経済の中軸に置いて成長のエンジンにするという、政府の取り組みがあります。われわれも中堅企業をメインターゲットとしており、実際に売上高の約46パーセントを大手企業から中規模企業を含めた中堅企業が占めています。

われわれは全国地域密着で経営コンサルティングを提供しているため、業界や地域でNo.1の優良中堅企業を顧客企業に多く持ち、そのような企業と一緒に地域創生にも貢献しています。

ターゲットとなる中堅企業は、1万社から1万5,000社程度あると定義しています。それら企業に向けて、経営コンサルティングの提供を進めていきます。

TCGが考える経営コンサルティングファームのあるべき3条件

TCGが考える経営コンサルティングファームのあるべき3条件として、非常に大事にしているコンセプトがあります。極端にいえば、「ここから外れると経営コンサルティングファームではない」と定義するほど大事な考え方です。

1つ目は、「経営者視点」であることです。経営コンサルティングファームである以上、社長または経営者層に対してコンサルティングができなければなりません。これは、非常に大事なことです。

2つ目は、「高度の専門化と高度の総合化」です。専門性と総合性を高度に融合させなければ、経営戦略を立案したり、課題を解決することはできません。

経営というものは企業全体であり、1つの分野、1つの領域だけでは経営にはなりません。経営は会計でも、マーケティングでも、M&Aでもありません。総合性をどのようにデザインできるかが非常に重要です。

3つ目は、「一気通貫の支援モデル」です。トップマネジメント(経営者層)に対してコンサルティングの報告書を渡すようなコンサルティングモデルではなく、トップマネジメント(経営者層)の課題をどのように実装させていくのかを、現場のみなさまと一緒に実現します。これを、われわれは「一気通貫の支援モデル」と呼んでいます。

それを実現していくためには、経営コンサルティングはチームでなければなりません。そのため、現在はチームコンサルティングというモデルを確立しています。

競争優位性 TCGの経営コンサルティングの3つのスタイル

先ほどご説明した3条件を少しわかりやすく、3つのスタイルで示したスライドです。トップマネジメントアプローチ、チームコンサルティング、一気通貫の支援モデルを図解しています。

1.トップマネジメントアプローチ

トップマネジメントアプローチの考え方として、コンサルティングのスタイルを詳細に示したスライドです。

トップマネジメント(経営者層)に不可欠な経営技術やテクノロジーを診療科目とする、経営コンサルティング領域を展開します。これにより、トップマネジメント(経営者層)が常に抱えている経営課題を全方位から解決していきます。

診療科目は、ストラテジー&ドメイン、デジタル・DX、HR、ファイナンス・M&A、ブランド&PRとしています。トップマネジメント(経営者層)が解決すべき経営課題すべてを、これら5つで網羅していこうと考えています。

2.チームコンサルティング①

具体的には、スライドに縦軸で示したように、戦略課題として細分化したり、最近では業種特性を確実におさえて行政/公共のサービスにも進出したりしています。後ほどご説明しますが、地域でいえば北海道から沖縄まで、時にはグローバルに専門性を掘り下げていきます。

このように、「総合性」と「専門性」を同時に掘り下げていく診療科目の展開が、トップマネジメントアプローチです。トップマネジメント(経営者層)が抱える経営課題をチームで解決していくため、スライドの図のように展開しています。

2.チームコンサルティング②(全国展開・地域密着・海外ネットワーク)

チームコンサルティングの2つ目として、国内主要都市10地域に経営コンサルタントが常勤するスタイルをとっています。北海道から沖縄の事業所のほとんどを半世紀以上前から展開しています。

地域密着のサービスを行政/公共も含めて展開しています。グループ会社も含め、それぞれのセグメントで海外ネットワークを構築し、それらも駆使することでグローバルにも展開が可能です。

中堅企業になると、クライアント自身が海外に工場や拠点を持ったり、商品を仕入れたり、輸入・輸出したりしています。そのような場合に、顧客企業に合った海外展開をトータルで提供しています。

3.一気通貫の支援モデル

3つ目のスタイルである、一気通貫の支援モデルについてです。先ほどのポジショニングマップで少しご説明した部分を、スライド上段に掲載しています。

各経営コンサルティング領域が連携するチームコンサルティングで、上流工程である経営戦略の策定から、下流工程である現場での経営オペレーションの実装・実行までを一気通貫で支援します。

こちらが、非常に高い契約継続率を実現できている一因です。トップマネジメントアプローチで経営コンサルティング領域を展開し、戦略策定から実装・実行までのバリューチェーンとして、それぞれの経営コンサルティング領域が連携し顧客企業の経営課題の解決を支援しています。

高い契約継続率(LTV)

高い契約継続率を、われわれはLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)と呼んでいます。スライドで示したように、1年以上の継続が約75パーセント、5年以上の継続が約45パーセントとなっています。また、20年、30年、40年の長期契約の実績を多数有しています。

「顧客企業以上に顧客企業を理解している」が、いわゆるわれわれの合言葉であり、基本的にクライアントとリレーションを組んでコンサルティングしていく姿勢のもと、70パーセント以上の契約継続率を実現していることが特徴です。

業界No.1メーカーA社における長期契約の事例

長期契約の事例として、40年以上契約が継続しているメーカーの事例をご紹介します。スライドの縦軸が、経営コンサルティング領域です。

ストラテジー&ドメインでビジョンを作り、ビジョンの中で出てきたさまざまな課題を、HRコンサルタントやファイナンス・M&A、場合によってはブランド&PRやデジタルのコンサルタントが支援します。

その時々のテーマと企業の症状、優先順位を明確にして取り組んでいくことで壁を突破し、着実に中規模企業が中堅企業へ、中堅企業が大企業へと成長していきます。

われわれは「1・3・5の壁」「1・3・5の成長理論」と呼んでいますが、年商30億円、50億円、100億円、300億円、500億円、1,000億円、3,000億円と、成長の壁がやってきます。それらを越えていくためのメソッドを有しており、そのメソッドを提供していきながら、顧客企業とともに成長しています。

決算概要(前期比)

2025年3月期の決算概要についてご説明します。

2025年3月期の実績は、売上高が145億4,300万円で前期比プラス14.2パーセント、売上総利益が66億1,200万円、営業利益が15億円で前期比プラス48.6パーセント、経常利益が15億8,900万円でプラス56.9パーセント、当期純利益が10億1,600万円でプラス58.6パーセントとなりました。

おかげさまで1957年の創業以来、過去最高の売上高に加え、各段階利益も過去最高を達成し、増収増益を実現しました。

営業利益増減要因分析(前期比)

スライドは、前期比での営業利益の増減要因分析です。売上高は前期比プラス14.2パーセントの増収で、売上総利益は11億4,600万円増加しました。

人的資本やDX、ブランディングなどへの投資に加え、オフィスなどの環境整備も行いましたが、最終的に営業利益は48.6パーセントの増益で着地しています。

戦略投資について

戦略投資の内訳です。人的資本投資は63億2,600万円で前期比プラス5億200万円、デジタル・DX投資は3億3,400万円で前期比プラス8,100万円となりました。

人的資本投資に関しては、新しいコンサルティング領域における採用投資や、後ほどご紹介する「TCGアカデミー」(企業内大学)など人材育成への投資があります。

健康経営優良法人も取得しており、働く環境の投資のほか、グローバルやIPO支援の専門人材の採用も積極的に行いました。

デジタル・DX投資は、スライドに記載したとおりです。AIなどへの投資は、今後も積極的に進めていくべき分野だと思っています。

経営コンサルティング領域別売上高分析

経営コンサルティング領域別の売上高の分析です。すべての経営コンサルティング領域で、増収を達成しました。

スライドの中央の列が2025年3月期の各セグメントの売上高で、右隣は前期比での伸び率を記載しており、各セグメントで増収になっていることがご覧いただけます。また、右端の売上高構成比では、バランスの良い構成となっています。

主要KPI(チームコンサルティング指標)

主要KPIについてです。「チームコンサルティング指標」と呼び、チームコンサルティングの件数、売上高、社数をKPIとしています。

スライドの棒グラフが売上高、折れ線グラフの濃い青が件数、その下の水色が社数です。これらすべてが前年を上回り、過去最高の結果となりました。

主要KPI(ベース売上高)

同じく主要なKPIのうち、「ベース売上高」と呼んでいる指標があります。基本6ヶ月以上の長期契約をベース売上高と捉え、安定的なベースの成長基盤となる売上高として、長らくKPIとしてきました。こちらも前年を上回り、過去最高の結果となりました。

従業員数の推移

非常に大事な従業員数の推移についてです。こちらも詳しくは後ほどご説明しますが、各業界・職種の実務経験者を全国で採用しています。

加えて、ストラテジー&ドメイン、HR、デジタル・DX、グローバル、IPO支援などの戦略を推進する専門人材、コンサルタントの生産性を向上させるアシスタント人材も積極的に採用しています。

中期経営計画では従業員800名を目標に掲げていますが、現時点ですでに目標人数に到達しており、さらなる強化をしていきたい考えです。スライドには過去の目標設定と実績を示しているため、ご覧いただければと思います。

2026年3月期通期 業績見通し

2026年3月期の決算見通しについてご説明します。売上高が160億円、営業利益が18億円、営業利益率11.6パーセント、経常利益が18億円、当期純利益が10億7,000万円の見通しです。

前期比では売上高が10.0パーセント増、営業利益が20.0パーセント増、経常利益が13.3パーセント増、当期純利益が5.2パーセント増となります。

売上高の見通しに関しては、計画当初の150億円から160億円へと上方修正して発表しています。

2026年3月期通期 経営コンサルティング領域別の売上高計画

経営コンサルティング領域別の売上高計画についてです。先ほどお示しした、今期の売上高予想160億円の内訳となるセグメント別の計画目標をスライドにまとめています。

ストラテジー&ドメインが33億円、デジタル・DXが34億円、HRが33億円、ファイナンス・M&Aが23億円、ブランド&PRが30億円、その他が7億円です。

前期比で見ると、伸びているストラテジー&ドメインに関しては、引き続き長期ビジョン・中期経営計画の策定・推進を主軸に、新規事業開発やグローバル戦略策定、行政/公共コンサルティングなどを強化し、2桁の増収を見込んでいます。

HRに関しては、人的資本経営ニーズが引き続き高い中で、前期の期中にグループインしたSurpassの特にDE&Iや女性活躍の部分について、期を新たに年間で取り組んでいきます。また、冒頭にご紹介したピースマインドの9ヶ月分の売上が加わることで、2桁の増収を見込んでいます。

今回は組み換えがあり、2024年3月期実績と2025年3月期については、組み換え前実績と組み換え後実績とつなげてご覧いただければと思います。

Surpassの事業内容となるマーケティングセールス領域は、HRよりもストラテジー&ドメインとの親和性が高く、投資家や株主のみなさまにご理解いただきやすくするため、ストラテジー&ドメインに組み換えています。全体の構成や伸び率が大きく変わったわけではないことを、ご覧いただければと思います。

中期経営計画(2021〜2025)経営コンサルティング領域別の売上高計画

中期経営計画のスタート時点で掲げていた売上高および経営コンサルティング領域別売上高の実績と、今期の計画を示したものです。

トップマネジメント(経営者層)が常に抱える経営課題を全方位から解決していきます。すべての経営コンサルティング領域において、高成長を実現すべく計画を推進していきます。

トピックス:「PRO Market上場支援サービス」の提供を開始

トピックスです。「PRO Market上場支援サービス」を提供開始しました。

TOKYO PRO Marketの「J-Adviser」資格、およびFukuoka PRO Marketの「F-Adviser」資格を取得しました。東証プライムに上場する経営コンサルティングファームだからこそ、可能な上場支援サービスであると考えています。

また、先ほど少しお話しした、全国の中規模企業が中堅企業へ、中堅企業が大手企業になっていく成長プロセスを支援します。70年近い歴史の中で、実際に多くの企業の上場を支援してきました。

現在は、プライム市場はもちろんグロース市場も、上場基準や上場維持基準が大きく変わろうとしています。全国をまわって経営者のみなさまとコミュニケーションする中で、日本中の中規模企業、中堅企業の持続的成長や上場に対する思いが非常に大きく変わってきています。

そのような中で、われわれは新しい可能性や新しい選択肢をご提示しながら一緒に成長していくことが、日本経済や地域経済の活性化につながると考えています。

事業承継の後継者がいない、あるいは採用が難しいという課題もあります。どのように企業価値やブランド価値を上げていくのかをご支援していきたいと思っています。

また、TCGでは全国に経営コンサルタントが常駐しています。地域には多くの優良企業がありますので、そのような会社に対するご支援を「J-Adviser」「F-Adviser」と経営コンサルティングの両面で支えていく体制ができればと思っています。

中期経営計画(2021〜2025)数値目標

成長戦略についてです。2021年3月期の売上高を中期経営計画の発射台として、オーガニックな成長で売上高135億円を達成し、M&A戦略の推進により売上高25億円を上乗せしています。また、先ほどご説明したとおり、上方修正により、売上高160億円、および営業利益18億円を計画しています。

M&A戦略の推進による売上高に関しては、ピースマインドのM&Aに伴って売上高5億円を上乗せし、上方修正しています。

中期経営計画 経営コンサルティング領域の多角化戦略

順調に成長した経緯や中身については、本日の冒頭から一貫して、強みとしてお伝えしていますが、経営コンサルティング領域の多角化を進めているということです。ただ、どこまでいっても、経営コンサルティング領域から出ることはありません。その中でどのように専門性と総合性を発揮していくかということで、拡大してきました。

スライドの5つのセグメントのうち、中央のグリーンでお示しした部分は、ピースマインドと資本業務提携を締結し、コーポレートウェルビーイング市場に参入することになったことで増えています。

加えて、各グループ会社がTCGとして活動していく中、各経営コンサルティング領域においてメソッドや提供価値が強化された部分をスライド上で色を変えてお示ししています。

今後も、トップマネジメント(経営者層)が抱える経営課題が増えてくればこの部分を増やし、実装に必要なメニューやメソッドを強化していくことで、さらに成長していきたいと考えています。

診療科目の拡大や高度化は、非常に大事だと思っています。病院では高度医療・先進医療がありますが、非常に高度な治療や医療が必要な病気があります。「そのような病気に対応できるようなビジネスドクターでありたい」という思いが、経営コンサルティング領域の多角化戦略へとつながっています。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応①

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応についてです。中期経営計画ではROE10パーセントを目標としており、前期は9.5パーセントを達成し、当期純利益が拡大しています。

後ほどお話ししますが、株主還元方針の変更により、連結総還元性向100パーセントを目安とし、DOE6パーセント以上の配当、機動的な自己株式取得の実施を掲げています。

時価総額は250億円以上を目標としていますが、スライドに記載のとおり、2025年5月末の時点で241億円となっています。引き続き、今期の時価総額目標の達成に向けて取り組んでいきます。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応②

スライドは、ROEと株主資本コストの推移です。エクイティスプレッドの拡大を目指し、ROE10パーセントに向けて取り組みを進めていきます。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応③

キャピタルアロケーションの2年間の推移です。

当社の株主資本コストは7.5パーセントであり、2026年3月期のROEは10パーセント、自己資本比率は75パーセントを計画しています。売上高160億円、営業利益18億円の達成とともに、あるべきキャピタルアロケーションへ向けて取り組んでいきます。

サステナビリティ戦略(ESG)

サステナビリティ戦略(ESG)についてです。経営理念・パーパスを実現していく前提として、持続可能な状態を目指すことをコンセプトに、今般、サステナビリティ定義と方針を策定しました。

サステナビリティの定義は、「100年先の未来をともに」です。サステナビリティ方針は、「ビジネスドクターとしての使命」「社会に対するイノベーションの発揮」「プロフェッショナルの人的資本価値の向上」「ガバナンス体制の強化」「コンプライアンスとリスクマネジメント」「地球環境への配慮と対応」の6つとなっています。

その中でも、特にTCGらしさとして重きを置いているのが「プロフェッショナルな人的資本価値の向上」です。すなわち、プロフェッショナルなDE&Iを推進し、「世界で唯一無二の経営コンサルティングファーム」を目指します。

サステナビリティ戦略(ESG)S 人的資本マネジメント(採用・育成)

人的資本マネジメントについて、詳細をご説明します。採用においては、スライドに記載のとおり、業種・業界の実務経験者と新卒社員を積極的に採用しています。

キャリア入社者の主な業種は、スライドに記載のとおりです。加えて、全国展開をしている強みを活用し、Iターン・Uターン採用も積極的に実施しています。

われわれは、経営コンサルタント経験者をほとんど採用していません。業界的には人材が渡り歩いていくイメージをお持ちかもしれませんが、われわれはそのような採用手法でなく、スライド右側に記載のように、コンサルタントを「育成」しています。

社内に企業内大学(TCGアカデミー)というコンサルタントを養成するビジネススクールを開講し、12の学部と約900の講座をオリジナルで展開しています。

ストラテジー&ドメイン学部、コーポレートファイナンス学部、M&A学部、HR学部など12の学部がありますが、そのような講座とコンサルティング現場における実務を連携することで、プロフェッショナルコンサルタントを育成しています。

このような制度を導入する以前は、プロフェッショナルの育成に5年ほどかかっていました。しかし、現在は2年から3年以内で、われわれが求めているチーフコンサルタントの領域まで成長することが実証されています。

企業内大学というインフラの整備は非常に有効であり、現在も多くのプロフェッショナルコンサルタントを生み出し、活躍につながっています。

サステナビリティ戦略(ESG)S 人的資本マネジメント(活躍・定着)

人的資本マネジメントのもう1つは、活躍・定着です。スライドに記載のとおり、グループ社員全体で800名、総人員では現在900名ほどが在籍しています。男女比率は50:50であり、おそらくこれは日本で唯一無二だと思います。

経営コンサルティングファームで50:50を実現することは大変難しいのですが、私自身、プロフェッショナルなDE&Iの価値は、必ず組織の独創性やイノベーションの源泉になると思っています。

昨年グループインしたSurpassのみなさまもですが、多くの企業で女性活躍だけでなく、男女かかわらず公正に活躍できるようなインフラの整備に取り組んでおり、われわれも推進しています。その結果、定着率は3年平均で89.0パーセントとなっています。

定着率向上の実現には、多彩なプロフェッショナル人材がいきいきと活躍できる人事制度や処遇制度が必要になります。

スライド中央から時計回りで見ると、ちょうど1時のあたりから、例えばワークスタイルデザインを複数持つなど、さまざまな制度を展開しながら活躍・定着のモデルを推進しています。

人材は、特に大事な部分でもあります。投資家のみなさまからのご質問も非常に多かったため、ご紹介させていただきました。

株主還元方針

最後に、株主還元です。株主還元方針は、連結総還元性向100パーセント目安、DOE6パーセント以上、機動的な自己株式取得の3つです。

自己株式の消却・株式分割・期末配当予想の上方修正(2025年2月13日開示)

2025年3月31日に、自己株式の消却を実施しました。また、同日に普通株式1株を2株に株式分割しています。加えて、期末配当予想を上方修正し、前期比4円の増配を実施しました。

株主優待制度の導入(2025年4月23日開示)

株主優待制度の導入についてです。こちらは2025年4月23日に開示しています。株主アンケートにおいて、株主優待制度の導入を希望するお声を多くいただきました。

そのようなご要望をしっかりと受け止め、取締役会で議論した結果、より多くの個人投資家のみなさまに当社株式を保有していただきたいという願いから、株主優待制度の導入を決定しました。

内訳は、100株、300株、500株、1,000株ごとに、スライドに記載のとおりの優待内容を実施します。

株主還元(配当金)

配当金についてです。2026年3月期は、株式分割後ベースで年間配当金26円、前期比プラス2円、配当性向79.4パーセント、中間12円、期末14円を予定しています。

配当性向は総還元性向100パーセントを目指しています。今期も、機動的な自己株式の取得並びに増配が実現できるよう、取り組んでいきます。

私からのご説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:ピースマインドのグループインについて

司会者:「ピースマインド株式会社と出会ったきっかけと、グループインによってどのようなシナジーが期待できるのか教えてください。また、株式取得比率を54.9パーセントとされた意図や経緯についても教えてください」というご質問です。

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