目次
進顕氏:ただいまより、2025年9月期第2四半期決算について、代表取締役社長進顕よりご説明します。
本日お話しさせていただく内容は、1点目が業績の状況、2点目が課題への対策と今後の成長戦略、3点目がデジタルソリューション開発事例、4点目が株主還元方針についてです。
業界の動向
はじめに、2025年9月期第2四半期の業績の状況について、当社を取り巻く業界の動向からお話しします。
昨年に続き、国内物価は上昇しており、それに伴い労働者の平均賃金が上昇しています。当社は今年も引き続き、例年を上回る賃上げを実施しました。この平均賃金上昇の傾向は今後も続くと見ています。
自動車業界においては、米国の自動車および自動車部品の関税政策などによる、不確実性が高まっています。研究開発に関しては、脱炭素化に向けた世界的な流れは持続しており、新技術開発を中心に高水準を維持しています。
人材業界では、人手不足を背景に、需要は堅調に推移しています。特にシステムソフトウエア開発分野において、案件が増加しています。しかし、メーカーも含め、各社は採用者数を増加させており、人材獲得競争は激化し、採用難度が高まっています。それに伴い、賃金も上昇傾向にあります。
業績の概要
業績の概要のまとめです。第2四半期において、売上高は前年同期比6.3パーセント増となりましたが、営業利益は前年同期比2.2パーセント減となりました。
主力となる設計開発アウトソーシング事業における単価改善や、稼働要員の増加が進捗したことで、売上は増収となりました。一方で、第19期に平均8.37パーセントの大幅な賃上げを行ったため、人件費が増加し、営業利益は減益となりました。
当社の課題は、賃上げに伴う収益率低下、人材確保の2点であると認識しています。収益率を向上させるためには、引き続き単価改善が求められます。単価は上昇基調にあり、契約改定に向け交渉を継続していきます。
人材確保においては、第19期より、リクルーターの増強や採用コンサルの活用を行っています。また、今年3月に移転・開設した大阪支店を新たな営業・採用戦略拠点とし、採用力強化につなげていきます。
業績の概要
2025年9月期第2四半期の業績数値です。売上高は52億700万円で、対前年同期比プラス6.3パーセントです。営業利益は5億300万円、対前年同期比マイナス2.2パーセントです。経常利益は5億1,400万円、対前年同期比マイナス0.2パーセントです。そして当期純利益は2億7,100万円で、対前年同期比マイナス10.2パーセントとなりました。
経営戦略上の課題の整理
次に、課題への対策と今後の成長戦略についてお話しします。
あらためて、経営戦略上の課題を整理します。当社は営業利益に焦点を当てた経営を推進しています。設計開発アウトソーシング事業において、売上高は人員数・稼働率・単価の要素に分解することができます。当社の課題は、賃上げによる収益率低下と人材確保です。そして、売上原価の大部分は人件費となります。
単価については、技術力に見合わない低単価案件や、契約時の単価が据え置かれていることがありますが、物価および全国的な賃金上昇の影響を受け、当社も大幅な賃上げを行った結果、収益率が低下しています。
そのため、単価見直しが1つ目の課題となっています。また、稼働人員数も売上に直結するため、2つ目の課題は人材確保です。その他の費用や販管費については、取引内容などの継続的な見直しや、効率化等により削減を目指していきます。
現時点における経営課題
現時点での経営課題についてご説明します。経営課題は、先にお伝えしたとおり、賃上げによる収益率低下と、人材確保の2点です。
収益率低下への対策としては、第19期に順調に進捗した契約単価改善に向けた取り組みを継続します。
前事業年度では、国内賃金上昇率に沿った価格改定が後押しした側面もありました。今後においては、より技術力に見合った単価改善を実現するため、営業力強化を図るワーキングチームを組成し、持続的な単価改善を目指します。
人材確保に関しては、技術者数の停滞による売上高成長率が課題となっています。これら2点の課題については、この後のスライドにおいて詳細をご説明します。
課題①単価改善に向けた取り組み
収益率向上のための単価改善に向けた取り組みをご説明します。
まず、国内物価上昇率や賃金上昇率をふまえ、都度単価の見直しを行います。技術力の高い技術者が、低単価の案件に従事していることがありますが、営業力を高め、高難度案件の受注を増やしていくことで、技術力に見合った単価を獲得できるようにします。加えて、引き続き教育を充実させることで、高単価案件に従事できる技術者を増やしていきます。
また、研究開発技術を活用し、AR/AI技術や設計のソリューションを外販することにより、収益化を目指すとともに、設計効率化ツールなどの活用により、請負業務などの効率化を進めていきます。
さらに、従来は専門部署にて行ってきた開発会議について、より詳細かつタイムリーな開発アイテムの選別やリソースの最適化を行うため、現在は部門横断型の「研究開発会議」として運営しています。今後はさらに開発スピードを加速させていきます。
課題①一人月売上高の推移
一人月売上高の推移です。中期経営計画を策定した第17期10月以降も、効率的な人員配置等により、右肩上がりに推移しています。第20期第2四半期においては、単価改善の取り組みが進捗し、前年同期比プラス4万円と、一人月売上高上昇に寄与しています。
引き続き、付加価値の高いサービスの提供、国内賃金上昇率を考慮した単価の見直し等を実施し、さらなる売上高向上を目指していきます。
課題①派遣・請負別売上高、一人月売上高の推移
派遣・請負別売上高と一人月売上高の推移です。
派遣においては、企業の生産活動が高水準を維持し、開発投資も拡大が続いています。戦略的な人員配置転換に加え、単価改善が寄与し、第20期第2四半期の売上高は前年同期比で1.5パーセント増となりました。1人当たり売上高は66万7,000円で、前年同期比で3万5,000円増となりました。
請負においては、案件に対する取引先の難度、要求値が年々上昇しています。単価交渉の進捗もあり、売上高は前年同期比で11.1パーセント増となりました。
単価改善に加え、高単価のプロジェクトを厳選したことにより、1人当たり売上高は83万6,000円と、前年同期比で3万6,000円増となりました。また、請負業務の売上高比率は全体の約58パーセントと、引き続き高水準を維持しています。
新卒・ポテンシャル人材を除く技術者稼働率は高稼働率を維持
技術者数と稼働率の推移です。稼働率は約95パーセントと、引き続き高稼働を維持しています。
課題②人材確保に向けた取組み
人材確保に向けた取り組みです。採用力強化については、リクルーターの増強および採用コンサルの活用を実施しました。
これにより、2025年新卒採用においては目標を達成し、採用人数は前年比1.6倍となりました。採用コンサルの活用による新卒採用のノウハウの一部は、中途採用にも転用しています。 また、新たな採用拠点となる大阪支店の移転開設により、今後の採用力をさらに強化します。
さらに、国内賃金上昇率に合わせた待遇改善のため、平均5パーセントの賃上げを実施しました。これにより、人材確保および従業員の生活向上につなげていきます。
そして、以前より注力している教育カリキュラムは、一部の新卒技術者の早期配属や稼働率向上に寄与するなど成果を上げています。カリキュラムを専門分野別化したことで、より実践的な未経験者教育が可能となりました。
大阪支店開設について
先ほどもお話しした大阪支店についてお伝えします。当社は、さらなる事業拡大および業務効率化の推進を図るため、新たな営業・採用戦略拠点として、2025年3月に京都営業所を移転し、大阪支店を開設しました。
大阪支店は、東京、名古屋と並ぶ戦略の柱となる支店として、関西圏をはじめとする各拠点の採用力強化を目指します。アクセスが良好な当支店を通じて、お客さまや求職者のみなさまとのコミュニケーションをさらに円滑にし、関係性を深めていきます。
また、オフィスでは社員が快適に働き、業務効率と生産性が向上するような環境を整備しています。
【再掲】中期経営計画の内容
あらためて中期経営計画の概要をお示しします。2024年12月に修正開示した内容に変更はなく、目標達成に向けて、各種の施策を着実に実行していきます。
中期経営計画 2027年9月期目標:売上高125億円・経常利益13億円
2020年以降、利益はほぼ横ばいにとどまっていますが、中期経営計画で掲げた取り組みに加え、今回ご説明した対策を進めることで、第21期以降、再び成長軌道に乗せていきます。
ベトナム子会社(特定子会社)設立について
ベトナム法人の設立についてお伝えします。当社は、2022年に発表した中期経営計画における戦略的取り組みの1つとして「オフショア開発を含めたグローバル展開」を掲げています。2019年より、ベトナム法人リッケイソフトとの業務提携を開始し、オフショア開発の実績を蓄積してきました。
今回設立する新会社では、国内の受託業務のうちの特定業務を切り出し、オフショア開発を実施するほか、ベトナム国内における現地メーカーからの直接受注獲得も行います。
設計支援ソリューション開発事例
デジタルソリューション開発事例をご紹介します。まず「設計自動チェックツール」です。これは文書に記載されているチェックシートの内容を読み取り、図面がその内容に適合しているかを自動で判定するシステムです。現在、自動車部品メーカーと共同で研究開発を行っており、利用開始を目指し、開発を進めています。
DiffAR
iPad上で対象物と3D-CADモデルを重ね合わせ、形状の差異をAR技術にてリアルタイムに認識できる表示プログラム「DiffAR」は、2023年8月に特許を出願しました。現在、より精度を上げるよう改良を行うと同時に、既存顧客に向けて売り込みを行っています。
AR・AIソリューション開発事例
AIを用いたソリューションをご紹介します。スライドで示しているとおり、高精度な3Dスキャン技術を用いた人体の3Dモデル設計アプリや、認可証の自動転記システムなどを開発しています。
設計支援ソリューション開発事例
当社主力事業の業務効率化のツールとして、設計断面の自動作成ツールや、干渉チェックツールなどを開発しています。
すでに社内で利用しており、現在はさらなる精度向上に取り組んでいます。これらのツールを活用することで、自社内の設計業務の品質向上や、自動化による原価低減につなげていきます。
継続的・安定的な配当で株主還元
最後に、株主還元方針についてご説明します。当社は、株主さまに対する利益還元を経営の重要課題の1つとして位置づけ、継続的かつ安定的な配当を実施することを基本方針としています。
配当政策については、事業拡大のための設備投資などを目的とした内部留保の確保と、配当の安定的拡大を念頭に置き、財政状態および利益水準を勘案した上で、原則として、当期純利益の35パーセント以上を毎期配当していきます。
アビストの株主優待制度
株主のみなさまからいただく日頃のご支援に感謝の気持ちを示すために、株主優待制度を導入しています。事業についてより理解を深め、当社株式の魅力を高めることにより、多くの株主さまに安定的に株式を保有していただくことを目的としています。
2024年9月末時点の株主さまへは、「アビスト・プレミアム優待倶楽部」のポイントを贈呈しました。2025年3月末時点の株主さまへは、「浸みわたる水素水」の贈呈を予定しています。
都道府県別の配送時期などの詳細は、ホームページに記載しますのでご参照ください。
以上、2025年9月期第2四半期決算について、ご説明させていただきました。ご清聴いただきありがとうございました。
質疑応答:米国の自動車および自動車部品の関税政策による影響について
「米国の自動車および自動車部品の関税政策による影響はありますか?」というご質問です。
既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。