2025年の大阪・関西万博の概要
かぶ1000氏:番外編、投資と万博の深い関係についてです。たぶんここからかぶ1000のテンションが上がってくると思うので、みなさんがんばってついてきてくださいね。
そもそも万博って何? とみなさん思うと思います。おそらくみなさんの中で万博に行ったことがある人はほぼいないですよね。愛知万博が2005年で、今から20年前だから、まだ生まれていないのかな。万博に行ったことがない人がほとんどだと思うので、まず万博って何? というところから説明しようと思います。
ちょっと小難しい話になりますが、国際博覧会条約というものがあります。これは1928年にパリで署名されたのですが、定義があるんですよ。
定義というのは、博覧会とは名称のいかんを問わず公衆の教育を主たる目的とする催しであって、文明の必要とするものに応じるために人類が利用することができる手段または人類の活動の……ちょっとなんじゃこりゃということが書いてあると思います。
簡単に言ってしまうと、万博というのは5年に1回あるんですよね。5年に1回、半年間開催される世界最大の国際的なイベントで、そのイベントには世界中の多くの国や機関が参加します。今回の大阪万博にも160カ国近くの国が参加するのですが、万博ごとにテーマがあって、そのテーマに沿った課題や社会問題をどうやって解決したらいいかに取り組んでいきます。ちょっと小難しく見えると思いますが、万博にはすごく意義があるということをぜひみなさん覚えておいてください。
これが、2025年の大阪・関西万博の概要です。「いのち輝く未来社会のデザイン」というのがタイトルになっていて、コンセプトは3つぐらいあります。展示を見るだけでなく、世界80億人の人がアイデアを交換して未来社会を共創すると書いてあるのですが、万博はそういうかたちの参加型のイベントです。
もちろん展示を見ることもできますが、世界中のいろいろな人が参加して、みんなで考えていくというのがテーマになっています。
2つ目です。「万博開催前から世界中の課題やソリューションを共有できるオンラインプラットフォームを立ち上げ」とあります。コロナ以降テレワークとか、実際に会わずにオンラインでいろいろ交流するというのがだいぶ増えてきましたが、やはり万博の醍醐味は、実際に会って対談することだと思います。
「未来社会の実験場」とあると思いますが、いろいろなイベントがあるので、私も今、すごく楽しみにしています。
3つ目が、「人類共通の課題解決に向けて、先端技術などの世界の英知を集め、新たなアイデアを創造・発信する場に」。ここが投資にけっこう通じる場です。私はバリュー株投資なので、グロース株投資はちょっと得意じゃないのですが、嫌いじゃないんですよね。
やはり万博に行くと、先端技術や、いろいろなアイデアがたくさんあるわけですよ。投資のヒントになる場所もけっこういっぱいあるんですよね。だからぜひ、みなさんも投資の目線で万博を見るというのを、大阪・関西万博に行って体験してほしいなと思います。
万博の魅力と見どころ その1
「かぶ1000が見る万博の見どころ」というのが3つあります。まず1つ目。コンセプトにも「少し先の未来が見える場所、それが万博」とありますが、万博の魅力を一言で言うならば、やはり少し先の未来を実際にその場で見て体験できる特別な場所なんじゃないかなと私は思っています。
今回の大阪・関西万博には、世界158ヶ国から多くの人が万博会場の夢洲に集まってきます。そうなってくると、万博会場は1つの小さな世界みたいになるんですよね。
今後世界が発展していく上で、解決しなければいけない課題がいっぱいあって、そういうものに対するアイデアがどんどん出てくる中で、見逃せないポイントがあるんですよ。
右側に「最新技術によってさまざまな課題が解決される未来社会のイメージ」とあると思いますが、今は、AIを使った効率化というのもあるし、その下にはちょっと実現できるかどうかが微妙な感じになっちゃってきましたが、空飛ぶクルマがあります。そういう少し先の未来を実感できるものがけっこう展示されているので、ぜひみなさんも興味を持って見に行っていただきたいなと思います。
万博の魅力と見どころ その2
次、「万博の見どころ②」です。万博の後に、実際に実現するものや流行するものが、すごくたくさんあるんですよね。右側は、今から55年前の1970年に大阪万博が開催されて、その時がきっかけとなって流行したものや実現したものです。ウォシュレットとか、みなさんも知っているものがけっこうあると思いますが、ウォシュレットって、大阪の万博がきっかけだったんです。
リニアモーターカー、動く歩道、電気自動車、電波時計とか、みなさんも知っているものがいっぱいあると思いますが、これらは万博の前まではなかったものなんです。万博をきっかけによって、実用化されるものや流行するものはけっこういっぱいあるんですよ。今回の大阪・関西万博でも同じように絶対あるはずなんですよね。
そういうことを予測しながら万博会場をくまなく見て歩くと、すごく宝探し的な感覚があって、僕はわくわくします。大阪・関西万博に行って、いろいろな展示物やセミナーを聞いたり、パビリオンを見に行ったりすると、「これ、もしかしたら次にはやるかもしれないな」とか「これが未来を変えるかもしれないな」とか、そういうものにきっと出会うと思います。
そこで自分の目利きの予想もできると思います。「あの時、万博で見たものを僕はいいと思ったけど、やはり10年後、すごく流行したな。俺の目は大したもんだね。えへへ」みたいな感じで楽しむこともできます。やはり実際に行ってみないとわからないことも多いし、半年間だけしか開催されないので、ぜひこういう体験をしてほしいなと私は思います。
万博の魅力と見どころ その3
最後に③です。「万博で広がるビジネスチャンス」とありますが、ビジネスチャンスが世界規模で広がる可能性がいっぱいあるのが、万博の特徴なんですよ。先ほどのスライドにも、1970年の大阪万博をきっかけにすごく実用化されたものがいっぱい書いてあったと思いますが、本当にそれと一緒で、ビジネス面でもすごく広がるんですよね。
実際に外国館のパビリオンも4つぐらいあって、ポーランド館は、日本企業団を招待して会期中に経済フォーラムを開きますよと言っていますし、ハンガリー館は、100平米規模のビジネススペースを設けて、そこで商談ができるような場所を作りますよと言っています。スイスは、経済フォーラムや投資促進のイベントを開催します。オーストラリアは、パビリオンでビジネスイベントを開催します。万博って、ビジネスチャンスの場でもあるんですよね。
だからこそ投資のチャンスもヒントもすごく落ちているわけですよ。そこが万博のすごくおもしろいところで、広い万博会場で、本当にいろいろなイベントが開催されているんですよ。だからもう毎日が見逃せないんですよね。
私は暇人なので大阪・関西万博に毎日行こうかなと思っています。みなさんも毎日は無理かもしれませんが、時間があったら1回だけじゃなくて、ぜひ2回、3回と行って、いろいろなヒントやビジネスチャンスを見てほしいと思います。
今回158ヶ国が参加しますが、そこに来る人は優秀な人がすごく多いんですよね。世界中の優秀な人をヘッドハンティングする場所と見ている人もいるし、一方で、いろいろな新しい商談をつなぐ人もいっぱい現れたり、すごくおもしろいんです。
投資につながるかどうかはわからないけれど、その国に興味を持つきっかけになったりとか、「この国は、自分が思っていたのとはぜんぜん違う、今はこういうことをやっているんだ」とか、いろいろ気づくことが多いと思うので、自分の見識や視野を広げるという意味でも、たくさんパビリオンに行って見てほしいなと思います。
万博と株式投資が結びついた実例 キッコーマン(2801)
ここからは、「万博と株式投資が結びついた実例」ということで、2つほど紹介しようかなと思います。最初が2010年の上海万博です。みなさん、キッコーマン(2801)という会社を知っていると思います。
当時、日本よりもはるかに物価が安い中国の上海万博で、4万円の懐石料理を出すレストランを作ったんですね。日本産業館という中で作ったのですが、これがものすごい人気で、1ヶ月以上先まで予約で埋まっちゃうぐらい人気になったんですよ。ご飯で4万円って、すごく高いなとみなさんも思うと思いますが、今から15年前の4万円なので、今で言うともっと高い金額になってくると思います。それなのに予約がこれだけ埋まっちゃうということは、やはり和食に対する注目が高いという意味で、「この会社はすごいな」と思ったんですよね。
これは投資できていなかったので駄目なのですが、右側に株価のグラフの推移があります。キッコーマンが話題になっていた時の株価は、株式分割などをしているのでちょっとあれですが、その時と比べると、今株価は10倍近くに上がっているんですよね。
万博でキッコーマンがやっているこのレストランがすごく注目を集めて、これが日本の和食、お寿司、醤油、調味料が、世界にすごく注目されるきっかけになりました。
2015年のミラノ万博の「ジャパン・サローネ」というイベントでもキッコーマンは好評を得たのですが、そういうことが重なって、株価がすごく上がっていきました。実際に万博でこういうことを見つけられて投資できていれば、すごく儲かっていたなという1つの例として、キッコーマンがあります。
万博と株式投資が結びついた実例 FOOD & LIFE COMPANIES(3563)
次は2021年、2022年に開催されたドバイ万博、一番直近の万博です。これは私も実際に投資したのですが、スシローってみなさん知っていますよね? FOOD & LIFE COMPANIES(3563)が、日本館の隣にパビリオンを作って、日本と同じようなかたちで回転寿司をやりました。
この現地の写真は私が撮った写真なのですが、みなさん、スシローって、だいたい値段がどれぐらいかイメージできますか?
100円から、200円、300円といろいろあると思いますが、ドバイでは、一番安い握りでも280円なんですよ。一番高いものだと1,000円。例えばマグロだと760円で、日本のスシローと比べると、もう2倍、3倍の値段なんですよね。
にもかかわらず、ピーク時には7時間待ちというぐらい行列ができたんですよ。どのパビリオンよりも待ち時間が長いという状況になったんです。それを見て、やはり海外でのお寿司の人気はすごいんだなと思いました。
ここにはちょっとありませんが、その万博が終わった後に、「スシローさん、ぜひドバイに残ってください」という署名活動がSNS上であったらしく、それぐらいすごい人気だったということがわかります。
ただその時の株価は、この右側の真ん中の線のところで、ちょうど高値をつけて下がっていく途中だったので、この時私は、買わずに様子を見ていました。その後、みなさんもご存じのとおり、2023年1月に寿司の醤油の蓋を舐めちゃうという事件が起こりました。
それで株価が下がって、業績も一時的にちょっと悪くなったのですが、私は、海外であれだけすごく支持をされているから、仮に日本国内でこのまま停滞しちゃったとしても、海外で大きく伸びるポテンシャルは非常に大きいんじゃないかということで、事件が起きて株価が下がった時にけっこう買いました。
そうしたら案の定最近になって株価が上がってきて、2倍ぐらいになりました。ドバイでの繁盛ぶりを見たりする中で、海外に行ったらこれは間違いなく成功するという確信があったので、そういう事件が起きて、みんなが「もう駄目だ」と投げ売りした時に自信を持って買えました。
先ほどのキッコーマンは実際には利益が出なかったのですが、今回は実際に利益に結びついたという実例で、おそらく次の大阪万博でもこういうものはいろいろあると思うので、ぜひみなさんも探してみてください。
「人生一度は万博だ」ということで、みなさんの中では行ったことない方がほとんどだと思いますが、みなさんぜひ行ってみてください。行ってみたらまた感想を聞かせてくれるとうれしいなと思います。
(次回へつづく)