1 OUGグループについて(1)沿革と概要

山田稔氏(以下、山田):OUGホールディングス株式会社、常務執行役員の山田稔です。

当社は1947年に大阪市中央卸売市場において水産物卸売業者として創業し、2006年に大阪魚市場株式会社からOUGホールディングス株式会社に商号変更し、主事業である水産物荷受事業を会社分割し純粋持株会社体制に移行しました。

当社グループの現在の事業構成は、水産物荷受事業、市場外水産物卸売事業、養殖事業、その他(食品加工事業・物流事業等)であり、当社は純粋持株会社としてグループ経営を推進する役割を担っています。

(2)グループの事業展開

グループの経営理念は「水産物をコアとし、お客様に価値ある商品とサービスを提供することにより、食文化の発展に貢献する」ことであり、水産物流通グループとして国内連結事業会社15社と海外現地法人1社を展開しています。

2 2025年3月期連結決算ハイライト (1)外部環境

当連結会計年度のわが国経済は、実質賃金の改善に足踏みがみられるものの、緩やかに回復しています。消費者心理は、消費者物価の上昇に賃金の伸びが追いつかず、生活防衛意識を反映した節約志向が継続しています。

水産物流通業界の需要動向は、外食・宿泊・インバウンド関連需要は回復しているものの、内食関連需要は物価高騰も反映し伸び悩んでいます。

このような環境下、引き続き当社グループは『OUGグループ中期経営計画2024』に従い、バリューチェーンの最適化を意識したグループ役職員の個々の行動変容を通じ、5つの事業系テーマにグループ一体となって取り組みました。

事業系テーマは「鮮魚事業の強化」「商品力の強化」「関東マーケットの深耕・拡大」「海外事業の拡大」「サステナブルな事業活動」です。

(2)業績推移 a)売上高推移

当期の連結売上高は、水産物荷受事業・市場外水産物卸売事業がそれぞれ好調に推移し、3,500億円と前年同期比5.1パーセントの増収となりました。

b)売上高の増減要因

前期からのセグメント別増減は、水産物荷受事業は123億円、市場外水産物卸売事業は45億円、養殖事業は7億円とそれぞれ増収となりました。

(3)利益推移

当期の営業利益は51億円、経常利益は58億円、当期純利益は45億円を計上しました。経常利益および当期純利益はそれぞれ過去最高益となりました。前年比では、それぞれ63.4パーセント、50.6パーセント、25.1パーセントの増益を記録しました。

(4)セグメント利益(営業利益)の増減要因

前期からのセグメント別増減は、水産物荷受事業は15億円、市場外水産物卸売事業は4億円とそれぞれ増益となりました。事業環境の厳しさが継続している養殖事業は、営業損失となりました。

(5)資産残高推移

当期末の総資産残高は、前期末911億円から売上債権の減少などで9億円縮小し902億円となりました。

(6)負債・純資産残高推移

当期末の負債残高は、前期末601億円から仕入債務の減少などで54億円縮小し、547億円となりました。当期末の純資産残高は、前期末309億円から46億円増加し355億円となりました。

(7)2026年3月期 連結業績予想

2026年3月期連結業績予想は、売上高は3,450億円、営業利益は44億円、経常利益は45億円であり、現行中計の計画値を上回ります。

(8)2026年3月期末日基準の配当予想

配当については、連結株主資本配当率(DOE)1.6パーセントを目途に安定的な配当水準を維持することを基本方針としており、2025年3月期末の配当予定は1株当たり97円とします。また、2026年3月期末の配当予想は1株当たり102円とします。

3 主要セグメントの状況(1)主要セグメント

当社グループは、水産物荷受事業・市場外水産物卸売事業・養殖事業・食品加工事業・物流事業などを幅広く展開しています。その中で主要セグメントは、水産物荷受・市場外水産物卸売・養殖の3事業です。

(2)セグメント別売上高推移

セグメント別売上は、水産物荷受事業や市場外水産物卸売事業は、それぞれ好調であり増収となりました。 

(3)セグメント別利益推移

セグメント別利益(営業利益)は、水産物荷受事業や市場外水産物卸売事業は、好調でありそれぞれ増益となりました。

一方、養殖事業は、主要生産コストである餌料価格が高止まりし、セグメント利益はマイナスとなりました。

4 主要セグメントの状況1(水産物荷受事業)

主要セグメントの状況をご説明します。水産物荷受事業は株式会社うおいちが担っています。

市場営業本部は生鮮魚介類を扱う鮮魚部門と水産加工品などを扱う加工食品部門の2部門で構成されており、商品事業本部は冷凍魚介類等を扱い流通ネットワークにより商社活動を行います。

(1)売上高推移について

市場営業本部の鮮魚部門は、当第4四半期は天候不順のため集荷にばらつきが生じ、また養殖魚の値上がりも続いたため、全般に売上、利益確保に苦慮しました。加工食品部門では製品原料不足から商品集荷に苦労したうえに、商品仕入価格高となり、販売には逆風となりました。

結果的には、価格上昇および社内連携強化等により、市場営業本部の売上高は増収となりました。

商品事業本部は、冷凍マグロ相場の底打ち感から販売は引き続き回復、冷凍イカなどの商材に陰りがある一方、冷凍ホタテや需要期を迎えた冷凍エビ・カニなどの販売は好調でした。商品事業本部でも増収となりました。

なお、売上高にはグループ内売上高を含んでいます。

(2)利益推移について

物流費等の増加もあったものの、増収効果が大きく、適切在庫の保有および諸経費の抑制に努め、経常利益、当期利益ともに増益を達成しました。

5 主要セグメントの状況2(市場外水産物卸売事業)

市場外水産物卸売事業は株式会社ショクリューが担っています。

商品部は国内外から冷凍エビなどの水産物を調達し、外販に加え社内部門にも商品を供給する部門です。営業部は自社加工品を含む水産物を外食・ホテル・専門店などを顧客として供給する部門です。量販部は自社加工品を含む水産物を大手スーパー業態や百貨店等などを顧客として供給する部門です。

(1)売上高推移について

商品部は、物流経費の上昇や円安の影響などにより各商材相場の高値が続く中、コスト上昇を販売価格に転嫁するとともに適正在庫を維持することにより、利益を意識した販売活動を実施し、前年同期をやや上回る売上高となりました。

営業部は、外食需要やインバウンド需要の回復はあるものの、値上げ疲れによる消費減退や飲食店などの倒産件数の増加が影響し、前年同期比では減収となりました。

量販部は、既存取引の深耕や新規顧客の獲得に注力しました。加工業者と連携し、原料調達から取り組む水産加工品の販売や取引先とタイアップしたオリジナル製品の開発が貢献し、売上高は前年同期を上回る結果となりました。

なお、売上高にはグループ内売上高を含むものです。

(2)利益推移について

適正な在庫管理に努め、各部門での適正な販売価格の設定などにより収益確保が奏功し、前年同期比増益となりました。

(3)その他、営業拠点投資など

西関東地区を網羅する自社物流センターの建設および老朽化した横浜営業所の移転先として、横浜市瀬谷地区に用地を取得しました。

6 主要セグメントの状況3(養殖事業)

養殖事業は株式会社兵殖および株式会社松浦養殖が担っています。

兵殖は大分・長崎・宮崎・高知においてブリ・マグロの養殖を行っています。松浦養殖は長崎においてブリ・タイ・ヒラマサ等の養殖を行っています。

(1)養殖事業の環境

ブリの生産量は暦年ベースで2023年が増加したことから、2024年の中盤にかけて価格は下落しました。直近の各市場の取引相場は、世界的な高水温による養殖魚の成育不良のため、全国的に小サイズのものが多数出荷され在庫消化が進み、単価は上昇基調にあります。

一方、主要生産コストの餌料価格は近年の円安圏内での相場推移の影響を受け高止まりとなりました。経営環境は引き続き厳しい状況です。

(2)養殖事業の業績状況

売上高推移はスライドのとおりです。売上高にはグループ内売上高を含みます。

ブリの最需要期となる冬場も順調な販売を維持し増収となりました。前述のとおり餌料コスト高などから営業損失となりました。

(3ー1) 参考

餌料単価と為替の動向はスライドのとおりです。円安圏での為替推移の影響から餌料単価も高止まりとなりました。

(3ー2) 参考

養殖ブリの市場単価と年間生産量の動向はスライドのとおりです。養殖ブリの市場単価は、2023年にブリの生産量が増えたため、2024年の中盤にかけて市場単価は下落しましたが、その後在庫調整が進んだことなどから上昇基調に入りました。

なお、2024年の年間生産量の統計数値は未発表です。

7 「OUGグループ中期経営計画2024」の2025年3月期の実績

中村耕氏:常務執行役員の中村耕です。続いて当社の「中期経営計画2024」の2025年3月期(現行中計初年度)の実績についてご説明します。

「OUGグループ中期経営計画2024」の初年度の状況は、売上高、利益ともに当初計画を上回るペースで進捗しました。

現中期経営計画の経営指標の目標としているROE (自己資本利益率)8.0パーセント維持、ROIC(投下資本利益率)5.0パーセントに対し、それぞれ13.6パーセント、6.4パーセントと、計画期間最終年度の2027年3月期末目標を上回る水準で推移しています。

また、2025年3月期の下期に、食品加工事業において、フードロスとコスト削減効果があるガス置換パック事業の開始や、収益性向上に向けたマグロ加工会社の取得など2026年3月期の事業活動に向けての準備を行いました。

8 2026年3月期業績予想と配当予想について (1)業績予想について

山田:2026年3月期業績予想と配当予想についてご説明します。なお、図表20は配当を除き百万円単位で表示しています。

2025年3月期は、水産相場が比較的順調に推移し売上高・利益ともに好調でしたが、2026年3月期は高水温の影響等で一部魚種の漁獲減や堅調な相場の下落懸念などから、インバウンド・宿泊等需要の堅調さもうかがえるものの、売上高は減収を予想しています。

加えて、運賃・保管料等の経費高騰等の影響などを勘案し、利益も減益と予想しています。

ただし、現行のOUGグループ中期経営計画の2026年3月期との対比では、売上高・利益額ともに上回ると予想しています。

(2)配当予想について

配当については、中長期的な経営基盤の安定強化および成長投資に必要な内部留保の確保に十分留意しつつ、連結株主資本配当率(DOE)1.6パーセントを目途に安定的な配当水準を維持することを基本としています。

2025年3月期末基準の配当は1株当たり97円を予定しています。また、2026年3月末基準の配当は1株当たり102円を予想しています。

2026年3月期業績予想、配当予想などについての説明は以上です。

(3)連結経営指標推移

連結経営指標の3期推移については図表のとおりです。特に当2025年3月期の経常利益およ び当期純利益は、過去最高益となりました。

9 よくあるご質問について

よくあるご質問に関しては、それぞれ次の資料をご参照ください。

Q:資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応についての当社の最初の表明について

A:「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」(2024年2月8日開示)
https://www.oug.co.jp/ja/ir/news/auto_20240206527201/pdfFile.pdf

Q:資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の更新について

A:「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」(2025年2月13日開示)
https://www.oug.co.jp/ja/ir/news/auto_20250212569457/pdfFile.pdf

Q:OUGグループ中期経営計画2024について

A:「『OUGグループ中期経営計画2024』の策定について」(2024年5月10日開示)
https://www.oug.co.jp/ja/ir/news/auto_20240509586806/pdfFile.pdf

Q:配当について

A:「配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」(2025年5月13日開示)
https://www.oug.co.jp/ja/ir/news/auto_20250512542064/pdfFile.pdf