決算概要
柳沼雅紀氏:株式会社パリミキホールディングス執行役員CFOの柳沼です。よろしくお願いします。
2025年3月期の損益計算書からご説明します。売上高は507億8,200万円で前期比101.7パーセント、売上総利益は345億4,400万円、営業利益は13億8,300万円で前期比71.7パーセント、経常利益は17億円で前期比65.6パーセント、親会社株主に帰属する当期純利益は8億8,700万円で前期比52.5パーセントとなっています。
国内セグメント売上
国内セグメントの売上高です。国内出店店舗数は21店舗、退店店舗数は16店舗、期末の国内店舗数は635店舗となりました。
売上高は448億2,000万円で前期比102.3パーセントです。子会社別売上高は、パリミキが前期比101.5パーセント、金鳳堂が前期比104.4パーセントと、いずれも伸びています。インバウンドや、都市部の百貨店内に数多くの店舗を有していることがプラス要因となりました。
海外セグメント
海外セグメントの売上高です。海外出店店舗数は4店舗、退店店舗数は21店舗で、海外総店舗数は74店舗となっています。
売上高は61億3,300万円で前期比97.5パーセントとなりました。
セグメント別売上・営業損益
セグメント別の営業損益です。国内は、営業利益18億5,000万円、前期比87.9パーセント、海外はマイナス4億6,400万円となりました。
国内子会社別営業損益は、パリミキが13億9,500万円で前期比76.1パーセントです。金鳳堂が3億3,400万円で前期比109.3パーセントとなりました。
海外では、中国法人の店舗撤退が期初の予測より前倒しで進んだことやフィリピン眼科病院の開院が遅れたことが、損失拡大の主な要因となっています。
営業外損益、特別損益
営業外損益、特別損益です。主な営業外損益は、受取利息が1億5,000万円、営業外費用は為替差損が2,300万円となりました。主な特別利益は、固定資産売却益が2億5,700万円です。特別損失は減損損失が2億9,000万円で、主な要因は店舗評価による減損となっています。
2026年3月期予想概要
2026年3月期の予想概要です。売上高は514億5,100万円で前期比101.3パーセント、営業利益は15億4,800万円で前期比111.9パーセント、経常利益は17億4,800万円で前期比102.8パーセント、親会社株主に帰属する当期純利益は10億500万円で前期比113.3パーセントと予測しています。
売上は昨年に引き続きフレーム・レンズ・サングラス・補聴器によって増収し、1店舗あたりの収益を上げていく計画です。それにより、約12パーセントプラスの営業収益を見込んでいます。
配当は、前期は中間・期末ともに4円、年間で8円を配当します。現時点では、今期も中間・期末ともに4円、年間で8円を予定しています。
国内外事業
恒吉裕司氏:執行役員営業担当兼株式会社パリミキ代表取締役社長の恒吉です。よろしくお願いします。私からは主に国内眼鏡事業について、前期の振り返りと今期の施策をご説明します。
まず、2024年度の国内事業について、スライドの表に沿ってご説明します。売上高は前年を上回ることができましたが、利益に関しては前年より減少する結果となりました。主な要因としては、商品ミックスによる粗利の減少、物価高騰による販管費の高騰が大きく寄与しました。
店舗施策は、出店数21店舗、退店数16店舗、改装34店舗になります。昨今の工事コスト増加などの影響により、予定していた出店30店舗には届きませんでしたが、既存店の改装は予定どおりに進みました。
店舗の業務オペレーションでは、店頭での接客時間を確保することを最優先としています。引き続き、機器への投資やオペレーションの進化に取り組んでいます。
サングラスは前年を超える実績を残しました。これには、インバウンドの上昇が大きく寄与しています。
補聴器は国内の成長市場と捉えていますが、課題が残る結果となりました。ただし、レンタルのニーズが増えたことも踏まえると、一時的には業績が上がりにくいものの、長期的には安定して成長する環境ではないかと期待しています。
海外においては、中国を中心に不採算店舗の整理を行いました。そして、フィリピンでは眼科を開業しています。今後も東南アジアを中心に、メディカル事業との連携を進めていきます。
顧客体験の最大化
今後の施策・取り組みについてです。当社は、2025年も変わらず顧客体験を最優先することに邁進し、価格のみではなく、付加価値で選んでいただける方向へ進んでいきます。本日はその中の大きな3つの要素をお伝えします。
1つ目は「専門性」です。業界でもトップクラスの人数を誇る、1,102名の国家検定資格「眼鏡作製技能士」を有するスタッフが、お客さま一人ひとりに最適な視界を提供します。眼鏡を販売するのみではなく、お客さまの視力と健康を守るパートナーとして寄り添っていきます。
2つ目は「パーソナライズ」です。お客さま一人ひとりの眼の状況や、生活シーンに合わせて提案していきます。
3つ目は「信頼」です。店長会議等の際に「目の前にいるお客さまが自身と同じ年齢であれば友だちやきょうだいのように、高齢の方であれば自身の祖父母のように接客し、両親やお子さまくらいであれば、自身の親族が目の前にいると思って最適な提案を行ってください」と常に伝えています。社員たちが目の前のお客さまに対し、まるで家族が幸せになることを願うように販売すれば、必ず信頼に結びつくと考えています。
また、スライド右下の図はお客さま満足度を測る指数の1つで、パリミキで実施しているNPS(ネットプロモータースコア)を示したものです。開始から1年経った2023年度末にはプラス3.7ポイント、2024年度末にはプラス6.2ポイントと上昇してきました。これは、お客さま満足度が確実に高まっている証といえます。
見るだけではなく、安心して見られることこそが私たちの価値です。
ブランド力の強化、顧客基盤の拡大
ブランド力の強化、パーソナライズの一例をご紹介します。当社では、昨年秋にお客さま一人ひとりに合わせる「Personal Direction」を導入しました。
「Personal Direction」導入の経緯としては、他店の「眼鏡を測定する」「販売する」「フィッティングする」こととは、明らかに異なる体験をお客さまに提供したいという思いからスタートしました。
このシステムにより、当社の強みを具体的にお客さまに渡し、残すことが可能です。特にデジタル時代の環境下で、多くの方が目を酷使しているかと思います。目を使う時間、用途、頻度等は個人によって大きく異なるため、しっかりと合わせていきたいと考えています。
価格戦略の場合、大量販売が必須となるため、非常に多くの眼鏡店において合理的または平均的に見え方を合わせる対応が増えています。その中で、当社はお客さま一人ひとりに合わせた、きめ細やかなコンサルティングを提供し、長期的な信頼関係を構築していきます。
ブランド力の強化、顧客基盤の拡大
店舗戦略です。当社は画一的な店舗展開から脱却し、この10年間でお客さまのニーズや地域特性に合わせ、さまざまな業態の店舗を展開してきました。
昨年11月にはコンセプト・専門店として銀座に「LINDBERG by PARIS MIKI」をオープンしました。こちらはパリミキの通常店舗と比べると4分の1の商品数で、店舗社員も3名で運営していますが、そのような中でも業績を大きく伸ばしています。今後の都市部における新たな展開として非常に注目している店舗です。
また、「LINDBERG by PARIS MIKI」と並行して、都市部ではエンターテインメント型店舗を展開しています。コロナ禍以降、インバウンドのお客さまの集客が増えたことにより、エンターテインメント型店舗の収益性やお客さまの利用が増え、良い傾向に進んでいます。
郊外では3世代が利用しやすく、地域コミュニティとしても利用の可能性を大いに秘めているロッジ型、メゾン型店舗を展開しています。そして、百貨店サロンでは高級素材やナショナルブランド中心のニーズが高いお客さまに対し、提案を行っています。
パリミキでは、他にも多くの地域密着型店舗を有しています。単に店舗数を増やすための取り組みではなく、お客さま一人ひとりに最適な体験を提供するための展開であり、当社のパーパスに掲げている「トキメキ」と「あんしん」を実現する上で、非常に重要な要素だと考えています。
2025年度は都市部、ロッジ型店舗を中心に、慎重に厳選しながら出店を行っていきます。
DXの推進 ~DXによるCXの向上~
DXの取り組みでは、顧客体験と業務効率を同時に進化させています。お客さまへの店舗または店舗以外での体験の提供は、非常に重要なファクトとなります。我々は、社員がお客さまへの接客やコンサルティングに費やす時間を確保できるよう、DXを推進しています。
また、社員の後方業務や処理業務を減らすためのDXを重点的に進めています。昨年は全店舗でカルテの電子化を実現しましたが、急速なデジタル化により、社員に大変な思いをさせてしまいました。社員には感謝の気持ちしかありません。
このように、CX・DXの中心は運営する社員です。パリミキの進化は社員から始まり、その方向性はお客さまによって決定されると考えています。
また、新たな試みとして、店舗の接客力をそのままWebで発揮できるシステムの導入を、前期の3月から開始しました。社員自らが投稿し、商品の案内や試着の様子を写真で紹介することで、ECへとつなげていく仕組みです。これにより、オンライン販売も伸長し、スタッフの成果も明確に評価できるという新しい展開がスタートしています。
特に郊外にある、客数の少ない店舗では、空き時間を活用して社員・スタッフ全員でこのシステムを運用し、EC販売につなげています。人口減少の中でも、ECには地理的な制限がなく、日本全国のお客さまにアプローチできることにも期待しています。
今後も当社のオペラ会員制度を継続するとともに、将来の労働人口減少を見据え、お客さまの利便性を最優先とした予約制の導入も着実に進めていきます。また、これからもオンラインとオフラインを連携しながら、お客さま満足度の向上と業績の拡大を目指していきます。
サプライチェーンの最適化、 商品・サービスの革新
当社では現在のサプライチェーンに対し、いくつかの課題があると考えています。
お客さまのニーズは多様化し、トレンドは加速していく現状に対し、現行の体制では十分に対応できなくなっていると考えています。デザインが早く店頭に並び、良い商品、クオリティの高い商品がお客さまに届くことが不可欠でありながら、当社としては在庫の最適化も大きな課題の1つとなっています。
眼鏡の場合、レンズはお客さまの測定後、2日から3日、遅くても1週間で店舗に届きます。一方、フレームは国内で同じ商品をリピートしても6ヶ月以上、新商品になると1年以上のリードタイムが必要となります。
昨今、為替問題により、海外から日本の鯖江へ眼鏡作製の依頼が殺到しました。その結果、国内の販売会社に供給がなかなか行き届かない現象が起こり、多くの小売業者が2年分、3年分という大量発注を余儀なくされています。
当社もこの課題を踏まえ、効率と柔軟性を考慮したサプライチェーンの再構築を考えています。市場の変化に対応し、適切なタイミングでお客さまに商品を届けられる仕組みを考えながら、持続可能な収益成長を実現していきます。
サングラス需要の拡大
サングラスについては、昨年よりも上積みがありました。ただし、当初はもう少し上振れると予想していたため、残念な結果となりました。
この伸び悩みの要因として、ファストファッション・アパレルでの取り扱いに加え、みなさまも目にされるかと思いますが、コンビニエンスストアなどでも販売が始まり、市場に安価なサングラスが数多く出回っていることも非常に大きいと考えています。
今期は好調だったラグジュアリーブランドの展開も、積極的に拡大していきます。特に購入しやすさに関しては、プライベートブランドの点数・商品数が非常に伸びているため、そこを強化していく方針です。
また、当社が掲げている「お客さまの目を守る」という視点では、調光レンズや偏光レンズのような高機能商品の提案も、引き続き強化していきます。
さらに、直近の4月からは、アウトレット店舗やアッパーミドルをターゲットとした福岡県にある博多天神の商業施設に出店しました。二極化するマーケットに合わせ、とがったサングラスショップやアッパーミドル向けの店舗で販売していく予定です。
パリミキとしては数年ぶりにセパレート方式で販売する店舗を作りましたが、非常に好調に推移しています。今後は、市場のお客さまが抱いているパリミキのイメージやポジショニングに寄り添った戦略を展開していきたいと考えています。都市部を中心とした業績回復を積極的に目指し、サングラス、インバウンドを含む需要を狙っていきます。
グループ内外のシナジー
今期よりパリミキに「アイケア推進部」を新設しました。グループ内のシナジーを活かし、メディカル事業とも連携し、お客さまの視力と健康を守るための取り組みを強化していきます。さまざまな世代のお客さまの目の困りごとを、よりきめ細かく解決できる眼鏡店を目指していきます。
特に注力しているところは、近視マネジメントです。近年、世界的に近視人口が増加傾向にあります。そのため、特に東南アジアの市場で、中国、韓国を始め、タイ、マレーシア等にあるアイケアセンターを併設した店舗を通じ、眼科医と連携したマネジメントを実施しています。
当社の海外店舗では、すでに近視抑制に関する販売のノウハウがあります。日本においては今期、近視マネジメントの商品が発売される可能性が高く、ポテンシャルの高い市場が変わっていくターニングポイントになると予想しています。この近視マネジメントに対して当社の保有するノウハウを最大限に活かしながら、迅速かつ確実に対応できる組織を構築していきます。
さらに、当社は見ることのみではなく、目の健康を守ることを使命とし、グループ全体で視力と健康をトータルにサポートしていく企業グループへと進化していきます。
前中期経営計画「 PARIS MIKI NOUVEAU ~あたらしいパリミキ~ 」 の振返り
澤田将広氏:当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。代表取締役社長の澤田です。
ここまで、CFOの柳沼より、今期の業績概要と来期の数値計画について、次に、グループ売上の大半を担う販売子会社のパリミキの責任者である恒吉より、前期の取り組みと今期の方針について、それぞれご説明しました。最後に私から、グループ全体を俯瞰した視点でいくつかお話しします。
前中期経営計画の振り返りからご説明します。スライドは売上高、営業利益の推移です。着地の計画数値である売上高510億円に対して507億円、営業利益は21億円に対して13億8,000万円となりました。
数字は当初の計画に届かなかったものの、計画以前に抱えていた赤字体質からの脱却、そして安定的な利益体質への転換が実現できたと思っています。まずはこの点について、お客さまのご支持と現場の社員の努力に心から感謝をお伝えします。
前中期経営計画「 PARIS MIKI NOUVEAU ~あたらしいパリミキ~ 」 の振返り
これまでの3年間は、再成長に向けた土台作りの期間でもあり、当社は大きく4つの方向から変革に取り組んできました。
1つ目は、出店、改装を通じた店舗の再設計です。ロッジ型店舗やエンターテインメント型店舗など、体験価値を高める新しいフォーマットを積極的に展開し、この3年間で国内で150店以上の出店、改装を進めてきました。
地域やお客さまに合わせた出店、戦略的改装は、一定の成果があったと手応えを感じています。しかしながら、立地や業態によって収益性にはばらつきが見られ、すべての店舗施策が想定どおりのパフォーマンスを発揮したわけではありません。
2つ目は、商品戦略とブランディングです。PB商品の主力である鯖江の眼鏡や補聴器の提案強化、累進レンズの比率向上など、高品質、高付加価値の訴求に努めてきました。結果として、組単価や構成比の改善など、成果も見られましたが、消費動向や価格に対する感度の多様化もあり、今後はさらなる柔軟なラインナップ設計が求められています。
3つ目は、人材とCXの強化です。眼鏡作製技能士の資格取得へ向けた育成支援を進めてきました。3年間での資格保持者数1,200名という高い目標を設定していましたが、結果として1,102名と、惜しくも達成には至りませんでした。しかし、それでも資格保持者の人数は業界屈指を誇っています。
また、視力測定の精度やカウンセリングスキル、さらには接客時間の確保に向け、DXを含む業務効率化を並行して進めてきました。これにより、お客さま一人ひとりへの最適な提案や満足度向上のための基盤が整ってきたと実感しています。
4つ目は、メディカルとの協業、海外事業の進化です。ベトナムに続き、フィリピンでも眼科病院の経営と併設型店舗の開設など、眼鏡と医療の融合というビジネスモデルの構築を進めてきました。国内においても、医療モール内への出店など、眼鏡・補聴器を通じて健康に寄り添う事業モデルへの進化を模索しています。
前中期経営計画「 PARIS MIKI NOUVEAU ~あたらしいパリミキ~ 」 の振返り
このように成果があった一方で、課題も明確になった3年間だったと率直に捉えています。特に出店コストの増加や労働市場における人材確保の難しさ、そして、お客さまの販売構造の多様化といった外部環境の変化に対し、今までの延長線上の施策では追いつかない局面も出てきました。
この結果を踏まえ、2030年度までの3年ごとに、フェーズ1、フェーズ2、フェーズ3と捉えていたフェーズ区分を見直し、まずはこの3年間での数値計画を確実に達成することに注力します。
Future Framework 2027 とは
当社が2030年度の目標を設定した前中期経営計画の策定当時と比べ、地政学的リスク、消費者行動の変化、デジタル化の加速など、経営環境が大きく変化してきました。この複雑な環境下で、従来の計画をそのまま推進するだけでは、持続的な成長は望めません。
そこで、我々は「Future Framework 2027」を策定し、2025年から2027年度の3年間を、本質的な価値創造に集中する期間と位置づけました。これは、短期的な成果を追うのではなく、変化に強い企業基盤を築き、持続可能な成長を実現するためのものです。
当社のパーパスは、「トキメキ」と「あんしん」で、一人ひとりの人生を豊かにすることです。パリミキブランドの価値を再定義し、コモディティ化が進む業界の中であえて価値を重視し、世界的なホスピタリティブランドを目指していきます。
この3年間は単なる計画ではなく、未来への飛躍を準備する期間です。お客さまとの信頼を深め、選ばれたブランドとして進化し続け、持続的な成長を実現していきます。
顧客体験(CX)を経営の中心に
当社は、これからの成長を3つの軸で捉えています。
まずは、売上の大半を占める国内事業のさらなる強化、次に、地域特性に応じて展開を最適化していく海外事業の再構築、そして、将来の柱となる新規事業の創出とグループ全体でのシナジーの最大化です。これらの取り組みはすべて、単に事業拡大を目的としたものではなく、一貫して目指すものは、最高の顧客体験を実現することです。
価格訴求ではなく、信頼、納得、感動といったお客さまの心に残る価値で選ばれる存在になるために、事業ポートフォリオ全体を俯瞰し、リソースを適切に配置しながら前進していきます。
海外成長戦略
海外事業の現状と方針です。シンガポールやタイでは黒字化が定着した一方、海外グループ全体では10年以上、赤字が続いています。したがって、不採算事業の整理が急務だと考えています。
まずは、中国において赤字店舗のリストラを加速し、事業ポートフォリオの健全化を図ります。その上で、単なる規模拡大ではなく、ベトナム・フィリピンでの眼科病院経営や、中国での眼科医と眼鏡店を融合したアイケアセンター併設店など、独自のビジネスモデルによる差別化を図っていきます。
各地域の成長には、ローカルパートナーとの協業が欠かせません。信頼関係を深め、地域とともに創る共創型モデルを推進し、現地特性に合わせたマーケティングと人材育成で定着を図ります。
さらに、韓国では福井県鯖江市製の高品質フレームを武器に、高付加価値戦略を展開していきます。これを起点に、東南アジアへの商品展開も視野に入れています。
グループ内外のシナジー
我々はグループ全体でのシナジーを活かし、新たな価値を創造する試みに取り組んでいます。
その一例が、先般、新たにグループインしたアセットマネジメント事業との協業です。今回のグループインについて、みなさまからいろいろなご意見、ご指摘をいただいています。主なものとして、対価に自己株式を用いたことによって株式の希薄化が進んだことへの心配、次に、眼鏡を主力とする当社が資産運用事業とどのようにつながっていくのかという質問が寄せられています。
これらのご指摘を真摯に受け止めていますが、当社のビジネス哲学に立ち返って考えた時、お客さまの困りごとを解決することこそが、我々の変わらぬ使命です。
眼鏡や補聴器は健康に関するお困りごとを解決するものであり、アセットマネジメントはお金に関する困りごとの解決をサポートするサービスです。お客さまの人生に寄り添うという意味では決して異質な事業ではないと、我々は考えています。
もちろん、これは理念のみで納得していただけるものではありません。今後は、実際のシナジーをどのように見出し、収益貢献を実現していくか、グループとして取り組みを可視化し、みなさまに適時ご説明します。
例えば、グループ内のリソースを活用し、資産運用へ関心を持っているお客さまを対象に、資産運用セミナーを開催する予定もあります。グループ全体で連携し、多様な価値を提供する企業へと今後も進化していきます。
数値計画
3ヶ年の数値計画です。この計画は、現実的かつ持続可能な成長を目指し、着実に達成可能な計画として設定しています。昨今の市場環境は急速に変化していますが、我々は現実的な数値計画を掲げ、確実に達成していくことを目指しています。
ただし、数値計画に固執するわけではなく、そのプロセスを通じて価値ある顧客体験を提供し、企業価値を着実に高めていくことこそが、我々の基本方針です。
配当については、現在の年間配当金額および現行の1株あたり年間8円を下限とする安定配当を維持しつつ、業績が想定を上回る際には追加還元も柔軟に検討します。
将来の具体的な金額は、業績、投資機会、財政バランスを踏まえて判断していますが、株主価値の最大化を優先し、さらなる還元が実施できるよう努力していきます。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
資本コストと株価を意識した経営体制の実現に向けて、経営陣で議論を重ねながら改革を進めていきます。
現在の株価低迷とPBR1倍割れについては、厳しい市場の声として真摯に受け止めています。その要因は複合的で、資産効率や資本政策を含めた多面的な対応が必要です。その中で、我々は事業成長を最優先とし、今後3年間で構造改革を力強く推進していきます。限られたキャッシュは成長投資に集中させ、企業価値の向上を図っていきます。
同時に、業績に応じた配当も柔軟に実施し、事業成長と株主還元の両立を目指します。長期的には、お客さま、従業員、株主のみなさまをはじめ、すべてのステークホルダーにとって価値ある企業となることを目指していきます。
今後とも当社へのご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いします。