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髙橋良典氏:みなさま、こんにちは。新コスモス電機株式会社、代表取締役社長の髙橋良典です。本日はお忙しい中、新コスモス電機の2025年3月期決算説明をご視聴いただきありがとうございます。
本日は、初めて当社グループをお知りになる方もいらっしゃるかと思いますので、簡単に事業の概要をお話しした上で、2025年3月期の決算概要、また決算と同日に発表した、新たな中期経営計画についてもお話しします。
事業内容
まずは当社の事業内容についてです。私たちは、「世界中のガス事故をなくす」という目標を掲げ、家庭や産業の分野で、みなさまの安全・安心、さらには快適な環境づくりに向けて取り組んでいるガスセンサ・ガス警報器メーカーです。セグメントは大きく3つに分かれています。
1つ目は、ご家庭の台所に設置して、都市ガスやLPガスのガス漏れを検知する「家庭用ガス警報器関連」です。ここに住宅用火災警報器や家庭用ガス警報器向けに販売されるガスセンサも分類されます。
2つ目は、各種工場やプラントに設置し、可燃性ガスの爆発防止や、毒性ガスによる中毒防止に使用される「工業用定置式ガス検知警報器関連」です。
3つ目は、作業員の安全確保や点検作業などに使用される「業務用携帯型ガス検知器関連」です。
2025年3月期における売上構成は、「家庭用ガス警報器関連」が51.5パーセント、「工業用定置式ガス検知警報器関連」が28.5パーセント、「業務用携帯型ガス検知器関連」の分野で15.2パーセントとなっています。
決算サマリー
続いて、2025年3月期の決算概要についてご説明します。売上高は、海外向けの家庭用ガス警報器や半導体業界向けの工業用定置式ガス検知警報器などが好調に推移したことにより、前年度比9.4パーセント増の、421億5,300万円となり、当社グループとしては初めて売上高400億円を突破しました。
営業利益については、売上増に加え、円安の影響もあり前年度比26.2パーセント増の、51億5,500万円となりました。売上高に占める海外売上高の比率は46.2パーセントとなっており、前年度比1.2パーセント増となりました。総資産については、新工場や生産設備の増強などにより、前年度比0.7パーセント増の672億8,800万円でした。自己資本比率は、業績が好調に推移し、借入の返済も順調に進んでいることから前年度比4.4パーセント増の70.8パーセントとなりました。
損益計算書(P/L)
こちらのスライドは、四半期ごとの損益の推移となります。第4四半期の利益が、第3四半期までと比較して低い数値となっているのは、第4四半期から新工場が稼働したことに伴い、一時的な経費の増加があったこと、また工場建物や製造装置の償却が始まったこと、加えて、一部在庫の廃棄処理等を行ったことにより、第4四半期が低い数値となっています。
こちら、償却は今後も一定期間継続しますが、経費の増加や在庫の廃棄処理等は一時的なものであり、今期は回復する見込みです。
セグメント別状況
続いてセグメント別の状況です。家庭用ガス警報器関連の売上高は、前期比12.7パーセント増の217億3,500万円となりました。要因としては、ニューヨーク市条例における警報器設置の義務化の影響により、北米向け電池式メタン警報器の販売が好調に推移しました。海外向けガス警報器用ガスセンサも堅調でした。加えて、国内向けの都市ガス用警報器の販売も堅調に推移しました。
工業用定置式ガス検知警報器関連の売上高は、前期比6.1パーセント増の119億9,300万円となりました。要因としては、海外市場の半導体業界向けガス検知警報器の販売が好調に推移しました。加えて、国内市場の半導体業界及び自動車業界などに向けたガス検知警報器の販売も好調に推移しました。また、メンテナンスサービスも堅調に推移しました。
業務用携帯型ガス検知器関連の売上高は、前期比1.7パーセント増の64億円となりました。要因としては、国内市場の都市ガス業界及び、電力業界に向けたガス検知器の販売が好調に推移しました。また、メンテナンスサービスも堅調に推移しました。
以上、前期は主な3つのセグメントすべてで、売上を伸ばすことができました。
地域別状況
次に地域別の状況です。当社では、売上高を「日本」「アジア」「北米」「その他」の4つの地域に区分しています。
日本は、先ほどセグメント別の状況でもお話ししたように、家庭用ガス警報器・工業用定置式ガス検知警報器が堅調に推移しました。また、大阪・関西万博向けの製品供給なども行い、結果として前期比7パーセント増となりました。
北米では、「電池式メタン警報器」及び「家庭用ガス警報器向けガスセンサ」が好調に推移し、前期比34.2パーセント増となり、全体の売上を牽引しました。特に電池式メタン警報器についてはセグメント別の売上でもお話ししましたが、ニューヨーク市条例における警報器設置の義務化が大きな後押しとなっています。
アジアについては、半導体業界向けの「工業用定置式ガス検知警報器」による売上が好調だったものの、中国向けの「定置式ガス検知警報器」が、中国の景気減速の影響を受けました。その結果、アジア地域は、前期比1.1パーセント減となりました。
キャッシュフロー
次にキャッシュフローの状況です。営業活動の結果得られた資金は、前期比91.8パーセント増の48億8,700万円となりました。これは主に、仕入債務の減少が20億9,900万円あったものの、税金等調整前当期純利益54億9,400万円、減価償却費12億8,700万円によるものです。
投資活動の結果流出した資金は、前期比103.7パーセント増の47億3,100万円となりました。これは主に、新工場建設をはじめとした有形固定資産の取得による支出41億7,900万円によるものです。
財務活動の結果流出した資金は、16億7,000万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出9億3,900万円及び配当金の支払額5億9,400万円によるものです。
結果、「現金及び現金同等物」は前期比6.4パーセント減の187億1,300万円となりました。
貸借対照表(B/S)
こちらが貸借対照表となります。総資産は、前連結会計年度末に比べ4億5,000万円増加して672億8,800万円(前期比0.7パーセント増)となりました。これは棚卸資産が9億7,000万円減少した一方、先ほど「キャッシュフローの状況」のところでもお話ししましたが、新工場建設に伴う建物及び構築物の増加29億3,200万円、機械装置及び運搬具の増加8億7,000万円などによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ31億6,000万円減少して160億2,700万円(前期比16.5パーセント減)となりました。前期に新工場建設に伴う長期借入を行っていますが、こちらは順調に返済しています。
純資産は、前連結会計年度末に比べ36億1,000万円増加して512億6,000万円(前期比7.6パーセント増)となりました。これは主に、利益剰余金の増加、為替換算調整勘定の増加によるものです。
結果として自己資本比率は70.8パーセントと増加しています。
業績予想
続いて、2026年3月期の業績予想についてです。売上は、前期比13.9パーセント増の480億円、営業利益は前期比8.6パーセント増の56億円を予想しています。
売上に関しては、家庭用ガス警報器関連では、米国向けの家庭用ガス警報器関連が引き続き好調に推移する見込みであること、また半導体業界向けの工業用定置式ガス検知警報器についても堅調に推移する見込みです。
営業利益については、売上が好調に推移する見込みである一方で、新工場やそれに伴う生産設備の償却が本格的にスタートすること、また、原料費や物流費、加工費などが引き続き上昇する見込みであることから、売上増よりは低い割合の増加にとどまると予想しています。
定性目標
続いて、今回の決算と同日に発表した「中期経営計画2025-2027」についてご説明します。
定性目標は、「MEMSガスセンサ技術を軸にグローバルに展開し、ガス事故ゼロとカーボンニュートラル社会の実現に貢献する」です。当社グループの強みである、「MEMSガスセンサ技術」を軸に、世界中のガス事故をなくすためにグローバルに展開していきます。
前回の中期経営計画からの連続性を重視して、今回の中期経営計画は「展開と拡張」のための3年間と位置づけ、前中期経営計画中に実施した投資の収益化を図る「展開」では、主に北米向け電池式メタン警報器市場の拡大を、将来に向けた「拡張」としては、欧州におけるカーボンニュートラル市場の基盤づくり及び電池式LPガス警報器の開発と普及に取り組みます。
戦略体系
戦略体系としては、当社の基本となる考え方「世界中のガス事故をなくす」「安全・安心・快適な環境創りに貢献」「多様な人材が活躍でき、多様なアイデアや経験を活かすことができる土壌づくり」、この3点のもと、成長戦略として「グローバル市場におけるエリア別戦略の推進」「新製品・サービス戦略の推進」「新市場開拓のための協業体制及び土台づくり」「次世代に対応したセンサ技術の確立、MEMSガスセンサの質・量の充実」に取り組みます。
また、この成長戦略を支える基盤戦略として、「エンジニアリングチェーン確立による技術強化」「サプライチェーンの強化」「DX推進や人的資本経営による組織体質強化」「SDGsへの取り組み(豊かな地球を子孫に残すための活動)」を実施します。
定量目標
定量目標としては、中期経営計画の最終年度には、連結売上高600億円以上、海外売上高比率50パーセント以上、営業利益率12.5パーセント以上、PBR1.0、ROE8.5パーセント、ROIC8.0パーセントを目指します。
売上高のセグメント別の内訳としては右の円グラフのとおりです。グループ一丸となり中期経営計画達成に努めていきます。
配当金の推移
続いて、株主還元についてです。2025年3月期の期末配当金は、通期業績が概ね計画どおりに推移したことや財政状態等を総合的に勘案し、1株あたり60円としました。また、2026年3月期については、記念配当を含め、1株あたり70円を予想しています。
当社の株主のみなさまに対する利益還元の基本方針は、業績及び配当性向等を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配当を行うことです。
「中期経営計画2025-2027」で発表のとおり、中期経営計画の期間中に配当性向30パーセントを目指し、継続的に高めていきます。
「トヨタイムズ」で世界初の家庭用電池式水素警報器が紹介されました
最後に最近のトピックスをご紹介します。トヨタ自動車のオウンドメディア「トヨタイムズ」で当社の家庭用水素警報器が紹介されました。
燃料電池自動車に搭載される高圧水素タンクを製造しているトヨタ自動車の下山工場では、元々廃棄されていた出荷検査等で使用する水素を有効活用する取り組みとして、社員食堂に「水素グリル」が導入されました。この安全対策として当社が海外でサンプル品として販売している世界初の家庭用電池式水素警報器を食堂の厨房に設置していただきました。
2025年2月10日の「トヨタイムズニュース」の記事や、YouTubeチャンネルで動画もアップされていますので、ぜひご覧ください。
大阪・関西万博会場の安全対策として当社の警報器が800点以上設置されています
4月13日から開催されている大阪・関西万博の安全対策の一環として、当社のガス検知器が会場内に800点以上設置されています。
2024年3月に発生した建設現場でのメタンガス爆発事故を踏まえ、日本国際博覧会協会さまからの依頼のもと設置された当社のガス検知器は、 さまざまなエリアの室内、天井、地下ピットなどに設置されガスを常時監視し、爆発事故を未然に防ぎます。
これらガス検知器の設置を通じて、来場者及び関係者の安全と安心を支えています。
最後に
最後に、当社は「世界中のガス事故をなくしたい」という設立当初からの変わらない思いを基に、日本から世界へ、保安・防災だけでなく快適な環境づくりへ事業の範囲を広げています。さらに、SDGsへの取り組みを推進し、持続可能な企業価値の向上を目指しています。
今後とも、当社を応援していただければと思います。本日はご清聴ありがとうございました。