中期経営計画説明会
則武栗夫氏:信和株式会社の代表取締役社長の則武です。本日は中期経営計画説明動画をご視聴いただき、ありがとうございます。
5月9日に公表した中期経営計画においては、着実な成長を遂げる期間と位置づけ、企業価値の向上を図りつつ、5年後には売上収益200億円、営業利益24億円を実現したいと考えています。
また、当社は4月1日に全国でも有数の仮設施工会社であるヤグミグループを子会社化しました。建設業界を取り巻くさまざまな課題を、新たな力とともに解決し、社会の発展に寄与していきます。
それでは、これより中期経営計画の概要についてご説明します。
目次
IR担当:この度は、動画をご視聴いただきありがとうございます。これより信和株式会社、2025年3月期から2029年3月期までの中期経営計画についてご説明します。
当社グループは2021年12月21日に、2022年3月期から2026年3月期までの中期経営計画を公表しました。しかしその後、当社グループを取り巻く環境は大きく変化しました。このような状況に対応すべく、2024年4月1日に大手足場施工会社であるヤグミグループの株式を取得し、子会社化しました。
このような背景を前提とし、一層の企業価値向上を目指すべく策定した新たな中期経営計画を、ご覧のスライドの流れに沿ってご説明します。
パーパス
はじめに、当社についてご紹介します。当社のパーパスは「いのちを守り、未来を支える」です。当社の製品やサービスを使うすべての人のために、また、製品やサービスによって発展する社会のために、当社は金属製品の製造、サービスの提供を通じて、人と社会の安全と未来に貢献し続けます。
企業概要
当社は岐阜県海津市に本社を構え、今年で創業47年になるメーカーです。2018年には東京証券取引所、名古屋証券取引所に株式を上場しました。2024年3月期の売上収益は、126.7億円を見込んでいます。
対処すべき社会課題① 社会インフラの老朽化
当社が考える対処すべき社会課題と、課題に対する価値提供についてご説明します。
まず、社会インフラの老朽化問題です。日本では、高度経済成長期に社会インフラが集中的に建設されましたが、スライド左側のグラフのとおり、そのうち設置後50年を超えるものは、2020年3月で全体の18パーセントとなっています。老朽化の度合いは年々高まり、2040年3月には全体の半数を超える見込みです。
また、スライド右側のグラフにあるように、それらの維持管理のための投資も欠かせません。費用を抑えた予測でも年間約6兆円、2048年度には最大12.3兆円のインフラ維持費用が必要と推計されています。
このように、生活や社会の機能を維持するためのインフラ保全は、政府による国土強靱化基本計画においても重点課題とされ、長期にわたり計画的な事業投資が継続する見込みです。
対処すべき社会課題② 建設就業者数の減少
次に、建設就業者数の減少問題です。建設投資額は2010年度より増加のトレンドが続き、2023年度では70.3兆円の市場規模となっていますが、その担い手である建設就業者数は年々減少し、高齢化も進んでいます。
これらの対策として、工期、労働時間、賃金などに関連する社会制度整備が進んでいますが、建設現場の運営においては一層の効率化が求められています。
信和グループによる価値提供
今挙げた2点のほかにも、今日では数多くの社会課題があり、それらは常に変化し続けています。当社は「いのちを守り、未来を支える」という理念のもと、さまざまな社会課題の解決に資する製品・サービスの提供を通じ、成長を続けていきたいと考えています。
中期経営計画の位置づけ
中期経営計画の概要をご説明します。本計画の位置づけとしては、長期的な成長を見据え、「確実な成長と飛躍の足場固め」の期間と考えています。
メーカーとしての力を高めつつ、今般、子会社化したヤグミグループとのシナジーを創出・育成し、長期的テーマである「成長の加速と事業領域のさらなる拡大」のための基盤を確立していきます。
中期経営計画における目標
本計画においては、最終年度である2029年3月期に、売上収益200億円、営業利益24億円、ROEは8.5パーセントをそれぞれ目標に取り組んでいきます。そのほかの目標についてはスライドのとおりです。
仮設資材部門の目標および施策
本計画における事業ごとの目標と、取り組みについてご説明します。仮設資材事業では、インフラ関連製品・高付加価値製品の拡販や、施工およびレンタル事業の強化等を通じ、中期経営計画最終年度の売上収益として156億4,000万円を目標とします。
物流機器部門の目標および施策
物流機器部門では、新たな業種向けなどサービス領域の拡大や、既存領域におけるコスト競争力の一層の向上に向けた取り組みを通じて、中期経営計画最終年度の売上収益として43億6,000万円を目標とします。
注力分野① 橋梁向けシステム吊り足場
これらの目標を達成するために注力していく分野についてご説明します。1つ目は、橋梁向けシステム吊り足場の拡販です。社会インフラの中でも、橋梁の老朽化ペースは全体を上回る速度で進行しており、その対策は喫緊の課題です。
このような状況を背景に、国土交通省やNEXCOではシステム吊り足場の採用促進に加え、一歩踏み込んでシステム吊り足場の工事指定がされるなど、脚光を浴びつつあります。
当社は2023年に、橋梁補修分野向け製品として国内大手の仮設資材リース企業、橋梁施工企業と業務提携し、最新式システム吊り足場「ラピッドフロア」を共同開発しました。当社の製造力と業務提携先の商流・ノウハウを活用し、高い安全性と効率性を誇る本製品の速やかな普及と拡販に注力します。
注力分野② 仮設施工サービス
2つ目は、仮設施工サービスの拡大です。建設投資の堅調な推移に対し、その担い手不足が社会問題となっているほか、近年の資材高騰を背景に、顧客の仮設資材調達マインドに大きな変化が生じています。
そのような中、当社は2024年4月に、全国有数の仮設施工企業であるヤグミグループを子会社化しました。仮設資材のトップメーカーである当社とのグループ化により、製造から施工まで、強固なバリューチェーンを構築することが可能になりました。
国内における軽仮設工事市場は約4,636億円、東海3県だけでも470億円あるとされる極めて大きなマーケットにおいて、グループ化は大きな価値とアドバンテージを生みます。グループ内でシナジーを創出し、販売、施工ともにシェアアップを図りつつ、新たな仮設・建設関連サービスを創出していきます。
注力分野③ 物流事業の領域拡大と強化
3つ目は、物流事業の領域拡大と強化です。物流はすべての産業・業界に関連しており、ニーズも一様ではありません。顧客それぞれの課題に対し、開発力、営業力、製造力、そして蓄積してきたノウハウを活かし、新領域への進出と既存領域の強化に取り組んでいきます。
新領域では、省人化分野、海外展開、未経験分野への積極的な挑戦など、柔軟な対応力で、製品のみならず付帯サービスまで事業領域を拡大します。また、既存領域については、さらなる低コスト・短納期の追求、レンタル事業の拡大による利便性の向上など、今ある製品・サービスに一層の磨きをかけ、利益の基盤をより強固にしていきます。
カスタマ―ファーストの考えを念頭に、顧客に対するプラスワンの提案・サービスを通じ、社会課題の変化に応じたソリューションの提供に取り組んでいきます。
キャッシュの調達と配分について
資本政策についてです。計画期間内に獲得される営業キャッシュフローは、70億円から80億円と見込んでいます。このうち少なくとも20億円以上は、既存設備の更新や拠点の拡張、レンタル資産拡充のために投資する予定です。
株主還元としては20億円から30億円を想定しており、残額を既存有利子負債の返済に充当することを予定しています。そのほか、事業戦略に則した有望なM&A案件があれば、積極的に追加投資を行う方針です。資金は、主に有利子負債の調達によりまかなう予定です。
資本政策の基本方針
資本政策上の目標は、本計画最終年度にROE8.5パーセントとします。また、株主への利益還元は、経営上重要な課題の1つとして位置づけており、40パーセント以上の配当性向を目標とします。
PBR改善に向けた取り組み
PBRの改善に向けた取り組みとして、まずは着実に業績目標を達成し続け、利益を拡大していくことが重要だと考えています。
その過程で適切に株主還元を増額しながら、将来の飛躍に備えてESGにも配慮した事業基盤を固めていきます。加えて、実現可能性の高い成長戦略を打ち出していくことが、当社への信頼性の向上、ひいては投資案件としての魅力を高めることにつながるという考えです。
このような取り組みを通じて、資本効率の改善と、PBRの改善を実現していきます。
信和グループとサステナビリティ
持続可能な社会に向けた当社の取り組みについて、まず、当社が供給する製品の循環についてご説明します。
当社の製品のほとんどは、リサイクル性の高い鉄を原料としています。ユーザーに供給された製品は、戸建てからインフラまで幅広い建設現場で使用され、適切なメンテナンスを経て長期間活躍します。寿命を迎えた製品は鉄スクラップとしてリサイクルされ、その一部が再び当社製品の原料として使用されるのです。
このように当社の事業は、材料の調達、供給、使用、廃棄、再生のサイクルの中に位置しています。当社の成長は、こちらのサイクルをより強固なものとし、社会の持続的成長に貢献していくものだと考えています。
ESGの取り組み
社会の持続的成長と関連の高い当社が持続的に成長するために、経営においてもESGの観点を重視しており、環境、社会、企業統治の課題に取り組んでいきます。
人的資本経営の考え方
その中でも人的資本に対する取り組みは、持続的な企業価値向上に不可欠だと考えています。人材こそが企業活動の原点であるとともに、当社のパーパスを実現する最小単位です。
長く働いてもらえる企業作りのための制度整備などの取り組みと、理想の従業員・組織を実現するための人材教育や評価制度などの取り組みを両輪とし、「やる気にあふれた元気な企業」を実現していきます。