2024年3月期通期業績

松岡真功氏(以下、松岡):代表取締役社長の松岡です。事業報告、連結計算書類及び計算書類についてご報告します。

当社Webサイトに掲載しています招集通知の20ページから54ページをご覧ください。こちらは掲載のとおりです。

通期決算のハイライトについては、スライドにてご説明します。また、当社の事業概要、事業の特徴と優位性、取り巻く市場環境と社会問題、事業計画、中期経営計画についても、本日スライドでご説明します。

事業計画のご説明に関しては、開発中のデジタルレイバーのデモンストレーション動画をご紹介します。

2024年3月期 通期連結 決算ハイライト

まず、2024年3月期の通期連結の決算ハイライトをご説明します。

2024年3月期は新規顧客の案件が増加しましたが、平均顧客単価が減少したため、計画比94.6パーセントに留まりました。しかし、実質的な成長率を示すプロフォーマEBITDAに関しては、計画比127.6パーセントの着地です。

以上が決算のハイライトです。

BlueMemeの主要事業:業務システムの開発サービスを中心としたDX事業

当社の事業概要・事業計画をご説明します。

当社の主要事業は、業務システムの開発サービスを中心としたDX事業です。お客さまに提供しているものは主に2つです。

まず1つは、アジャイル開発サービスです。契約期間は、1ヶ月から半年の案件が多いですが、3年、4年ほど続く案件もあります。こちらはエンジニア主体でサービスを提供しています。

もう1つが、ローコード基盤サービスです。エンジニアが使用するローコード基盤のソフトウェアをサブスクリプションで提供しているサービスです。契約期間は最低1年の契約になり、アジャイル開発を行うエンジニアが使用するローコード基盤を年間契約でお客さまに提供しています。こちらはシステム規模が大きくなるにつれて契約金額が上がっていく仕組みになります。

アジャイル開発とローコード基盤のメリットについてご説明します。

アジャイル開発は、ウォーターフォール型開発に比べると失敗するリスクが減り、必要なものを必要な時に開発することができます。短期間に必要なシステムが作られるため、急激なビジネス環境の変化に対応することができるメリットがあります。

ローコード基盤は、ウォーターフォール型開発と比較して、小人数でシステムを開発することが可能です。また、ローコード基盤を使用するエンジニアを短期間で育成することができます。育成方法に関しては、当社の優位性でもあります。システム開発にはさまざまなソフトウェアを購入する必要がありますが、ローコード基盤はワンストップでほとんどの開発・運用に必要な機能を持っているため、必要な道具(ソフトウェア)が減るというメリットがあります。

ビジネスの流れ

次にビジネスの流れについてご説明します。

まず、事業会社がレガシーシステム等の大規模システムのリプレースの検討、または、新たな事業を開始します。

その後、事業会社の経営や業務部門でどのようなシステムを開発するのか、業務プロセスを見直すのか等を検討する際に、当社はお客さまの業務や現状のシステムを分析し、変更点のご提案をするサービスを提供しています。

構築するシステム要件の決定後、システム構成の検討や、必要なソフトウェアを購入する段階に入ります。この段階で、当社からローコード基盤のソフトウェアのご提案をしています。

ローコード基盤を導入後、システムの設計・製造・機能検証を行います。この時も、当社からアジャイル開発のサービスを提供しています。この段階で、お客さまにプロジェクトに入っていただくことで、当社のノウハウを伝え、内製化の実現も行っています。

最後に、開発したシステムの運用や定期的な機能改修がありますが、ローコード基盤が保守・運用に必要な機能を備えていますので、システムが動いている間はサービスを提供し続けることになります。

以上のことを行うため、開発に3ヶ月から2年ほどかかり、最後の運用の段階に行くと3年から5年、長い案件だと7年、8年ぐらいの運用が続きますので、当社の開発サービスを導入した後も、ローコード基盤のサブスクリプションの契約が長年続くのが当社のビジネスモデルです。

IT業界におけるポジショニング

IT業界における当社のポジショニングをご説明します。

比較対象は、大型総合コンサルティングファーム会社と大手システムインテグレーター会社、さらに、小規模のシステム会社やエンジニア派遣会社とも比較します。

開発システムの規模について、当社は大手システムインテグレーター会社や総合コンサルティングファーム会社同様、中規模から大規模のシステム開発を対象としています。一般的に当社のような規模の会社は、小規模のシステム会社やエンジニア派遣会社同様、システム開発規模は小から中となりますが、中規模・大規模のシステム開発が可能な独自の方法論を有していますので、当社の優位性を活かした大規模なシステム開発案件を獲得しています。

開発手法について、当社はローコードをほぼ100パーセント使用していますので、ローコードに特化したアジャイル手法を用いています。これと比較して、総合コンサルティングファーム会社や大手システムインテグレーター会社は、アジャイル型開発を行っている案件はあるものの、一般的にはウォーターフォール型開発を中心とした開発手法が現在も多く行われています。

業務分析・業務設計以降は開発ステップを大きく分け、業務分析からシステム要件定義、設計・製造テスト運用へと流れます。

当社独特のサービスは、業務分析とシステム要件定義の間にあるコスト最適化構造設計です。業務内容を構造化し、業務やシステム機能の見直しを行うことで、必要最低限の機能が備わったシステムを短期間で開発するための計画を立てます。当社独自の開発方法論「AgileDX」の特徴がコスト最適化構造設計のフェーズで活かされます。

また、他社との差別化要因は、保守・運用のフェーズになります。一般的にシステム会社は保守・運用の長期契約で利益・売上を伸ばしますが、当社は保守・運用の内製化支援を行い、お客さま自身で改修・運用を行っていただきます。当社は、ローコード基盤を提供するため、運用フェーズ以降はローコード基盤によるサブスクリプションの収益を得ることができます。

以上が、IT業界における当社のポジショニングになります。

企業がシステム開発の委託先決定の際に重要視する項目

事業の特徴と優位性について、企業がシステム会社を選ぶ時のポイント4つをご説明します。

1つ目は、理解力です。これはお客さまの業務や、今から開発するシステムの業務をどの程度理解できるかという理解力があるかの視点をお客さまは重視されます。

2つ目は、技術力です。依頼要件を満たしたシステムを構築できるか、開発期間を短縮できるか、AI等の最新技術を用いてのシステムを開発できるか等の技術力を重要視される傾向があります。

3つ目は、コストです。理解力があり、技術力が高くてもコストが高ければ外部委託費用が高くかかりますので、システム開発費用を抑制するためにコストは重要視されます。

4つ目は、対応力です。システムの不具合や、社会環境の変化で大きな修正を行うことがある場合は、迅速な対応が求められます。

BlueMemeの理解力:豊富な開発実績に基づくコミュニケーション力

上記4つのポイントをどのようにカバーしているかについてご説明します。

理解力についてです。当社は企業の基幹システムをメインで開発しており、情報・通信業、製造業、サービス業、商社、建設業、卸売・小売・飲食業、金融・保険業、医療、不動産業、専門サービス、教育、運輸業、ガス・熱供給・水道業、情報・広告業、農林・水産業、官公庁等のさまざまな業界の業務システムの開発を行っています。特定の業界に偏ることなく幅広い業界のシステムを受託していることから、業界に依存しない豊富な実績を基にさまざまなお客さまの業務を理解できると確信しています。

BlueMemeの技術力:大規模なローコード開発において最上位の評価

技術力についてです。まずは、取引社数や開発サービスの実績が他社と比較して非常に多いことが技術力を図る上で重要な指標だと考えています。

次に、当社がメインで扱う「OutSystems」のプレミアパートナーに、アジアで初めて認定されました。プレミアパートナーは、高い技術力を持つ企業のみが認定されますが、技術力のみならず、製品企画力も評価対象になっています。この最上位の認定をアジアで初めて取得したことも技術力の高さを示していると考えています。

BlueMemeのコスト:ローコードを最大限に活用して開発コストを抑制

コストについてです。ローコードに特化した方法論を徹底的に使えるため、生産性を2倍にし、試験工数を2分の1以下にするのが当社のコストになります。一般的に、大手システムインテグレーター会社がローコード開発を行う場合、工数の削減は30パーセントほどですが、当社は30パーセントから50パーセント、最大で70パーセントの削減が可能です。これは、当社がローコードに特化した独自の開発方法論を持っていることが要因です。

BlueMemeの対応力:企業内に内製化チームを構築することで迅速な対応

対応力についてです。開発後のシステム改修が必要な場合、一般的には改修内容を見積り業者に発注し、要件定義で設計していく流れになりますが、当社はお客さまに改修対応ができる人材の育成を行うため、お客さまの中である程度の改修を行うことが可能になります。大きな改修や当社にしか開発できないものに関しては、スライドの上のフェーズのように一般的なやり方で改修しますが、内製化チームを構築した場合、ほぼ契約処理を行うことなくお客さまの中で対応できます。そのため、契約プロセスを早く回すよりもお客さまの中で実現できる組織を作ることが、当社の対応力を高めている1つのポイントになっています。

ローコード開発市場の参入障壁

ローコード市場の参入障壁について、ポイントが4つあります。

1つ目は、当社は正規代理店の実績が12年あり、「OutSystems」を取り扱う他社よりも、非常に長い実績がある点です。これは、アジアにおいてトップの技術力とノウハウを持っているということを意味しています。

2つ目は、独自の開発手法を持っており、大規模な開発が可能な点です。一般的なアジャイル手法では、大規模な開発が難しいと言われていますが、当社は大規模開発を前提としたアジャイル開発の手法を構築しています。

3つ目は、無駄な投資の抑制が可能な点です。コスト最適化構造設計フェーズという独自のフェーズを用いることで無駄な投資の抑制を行い、生産性を最大化するという方法論です。

4つ目は、お客さまに当社のノウハウを提供して、内製化チームの構築を行う点です。

開発の内製化・大規模な開発の実現・無駄な投資の抑制の3点を行うことで、方法論の構築も含め参入障壁は大きいと考えています。

3つの社会課題

取り巻く市場環境と日本の社会問題についてと、今後の当社のマーケットについてご説明します。

まず国内の問題について、1つ目は、日本のGDPの低迷です。そして2つ目は、IT人材の不足です。3つ目は、企業での人材育成が難しいという点です。

我が国の問題:GDP(国内総生産)の低迷

国内の問題について詳しくご説明します。

GDPの低迷は、スライドの赤色の棒が日本企業のIT投資額で、白色の棒が米国企業のIT投資額です。棒とGDPの線を比較すれば、IT投資額に比例し日本のGDPも横ばいになっています。一方で、米国のGDPは米国企業のIT投資額とほぼ同期するように右肩上がりになっています。つまり、GDPの低迷はIT投資額が増えていないことが要因ではないかと当社は考えています。

アンケートを取ったところ、レガシーシステムが足かせだと思う企業の割合は67パーセントでした。レガシーシステムは古いシステムのことで、1970年代・1980年代に作られたシステムです。古いシステムを置き換える予算を取らずに延命しながら使っているため、システムの置き換えが進んでいないのが現状です。このことが日本の企業競争力の低下につながっていると当社は考えています。お客さまの古いシステムを置き換えることは、当社にとって非常に大きな収入源になっており、マーケットがまだ国内に多く残っていることも見て取れるかと思います。

IT業界の問題:IT人材の不足

人材不足についてご説明します。

IT人材の供給グラフにおいて、2019年以降急激に人数が減少しています。さらに、技術者の平均年齢は2023年から2024年にかけて40歳を超え、年々上昇傾向にあります。年齢層が高くなり供給率が減少しているにもかかわらず、IT人材の需要は高まっているのが現状です。2024年以降はさらにIT人材が急速に不足していくため、小人数でシステムを作るアジャイル開発やローコードを使用する当社にとっては、追い風になると考えています。

企業の問題:IT人材の育成ができない

企業の問題についてご説明します。

企業の問題は、IT人材の育成ができないことです。技術を学ぶ環境やコンテンツはあるものの、活用する場がないというアンケート結果が出ており、この問題が人材育成ができない原因の1つだと当社は考えています。また、使う機会がないため成果を見せられない、つまり評価につながらないということも原因としてあります。これらが現在日本企業の抱えている問題です。

ローコード・ノーコード開発市場の拡大

ローコード・ノーコードの拡大についてご説明します。

GDPの低迷・IT人材不足・企業によるIT人材の育成が困難な問題に加え、価値観の変化が起きています。我々は、今後もコロナ禍等の予測できない社会変動に適応しなくてはなりません。また、AIの発展でIT人材ではない人々にも技術革新が身近になりました。上記により、人々の価値観は今後も変化すると考えています。

現在日本国内の市場規模は、サービスとライセンスを含め800億円とのレポートが出ています。これを踏まえ、海外のローコードの成長率を参考にすると、2030年には9.4倍の7,500億円以上の規模に達すると予測しており、スライドに記載した主な社会問題と価値観の変化が追い風となり、当社のマーケットは2030年に向けさらに拡大すると予測しています。

収益構造のイメージ

事業計画についてご説明します。

現在は投資フェーズで、2026年3月期から投資の回収フェーズに入ります。何に投資して何を回収するかをご説明します。

業務システムの開発は「エンジニアがゼロ」の時代に加速

現在システム開発を行う企業は、ローコードを使った開発にシフトしています。それまでは、インターネット上に存在するオープンソースと呼ばれる無料のソフトウェアで、さまざまなシステムが作られていました。

これらのシステムが徐々にローコードによる開発に変わっていくと考えています。まだ国内では数パーセント程度ですが、将来的にはエンタープライズ開発の5割から6割がローコードに変わるという予測も出ています。

現在はスライド上の2番目のローコードによる開発が進んでいる状態です。その後は、システム利用者がエンジニアを介さずに構築したいシステムを作ることが可能な世界が来ると考えています。自動運転に近いデジタルレイバーやAIがシステムを作るようになると、さまざまなクラウドやローコード・ノーコードを使い分け、マルチローコード・ノーコードを使う時代が来ると考えています。

成長ビジョンのコアとなる人材戦略

当社の人材戦略についてご説明します。

当社は教育ノウハウを独自に有しており、非IT人材を中心に採用後、約3ヶ月から6ヶ月間の教育を行うことで、ローコード人材へと育成しています。経験者も採用しますが、非IT人材を育成するほうが採用コストも含め市場が大きいと考えています。また、利用者がシステムをAIに作らせるマルチローコード時代に向けて、育成したローコード人材にシステム開発の業務分析やマネージメント方法を教育することにより、ビジネスアーキテクトという新しい技術者を育成します。

さらに、ローコード開発を行ったノウハウをデータベース化し、モデルデータをデジタルレイバーに入れ込むことで、ローコード人材が行う作業の約50パーセントを自動化する予定です。ビジネスアーキテクトがデジタルレイバーを使いこなすことにより、生産性をさらに高める人材戦略を立てています。現在はシステム開発を主な収益源としていますが、さらに事業戦略に貢献するコンサルティング領域まで進みたいと考えています。

デジタルレイバーによって売上拡大に必要な人材を削減可能

デジタルレイバーの開発により、売上拡大に必要な人材をどのように削減するかについてご説明します。

デジタルレイバーを使わない場合の当社の売上は技術者数に比例しますので、現在は採用数が重要なKPIになっていますが、デジタルレイバーがローコードエンジニアの約50パーセントの作業を肩代わりするようになると、必要な技術者が減り売上が拡大します。技術者数に比例しない売上構成で、技術者1人当たりの生産性を増加させていく戦略を立てています。

デジタルレイバーは技術者とAIやローコードの仲介役

デジタルレイバーがAIと競合しないのか、ローコードとぶつからないのかについてご説明します。

生成AIでプログラムを開発するデモンストレーションが多く存在するように、今後さまざまな技術が新たに出現します。当社は現在、「OutSystems」というローコードをメインで使っていますが、将来的には、アプリケーション開発や上流工程の自動化を行うような、より優れたローコード製品が出てくる可能性もあると考えています。ただ、新たなローコード製品の数だけそれに対応できるエンジニアを持つと、またエンジニア不足に陥ってしまいます。このような事態を防ぐため、エンジニアの数を増やさずに、デジタルレイバーにさまざまなツールやアルゴリズム・AIの使い方を仲介させる戦略を立てています。

本日お見せするデジタルレイバーのデモンストレーションは「OutSystems」での作業を一瞬で完了させます。さまざまなツールの使い方をデジタルレイバーが覚えることにより、技術者の代わりにツールを使いこなして開発を支援します。そのため、デジタルレイバーは生成AIやローコードに代わるものではなく、スライド2番目の図に入るものです。

「デジタルレイバー自身が直接アプリケーションを作れないのか?」というご質問を受けますが、デジタルレイバーが仮に完成しなかった場合、エンジニアがスライド2番目の図のツールを使うことができます。人間も使えてデジタルレイバーも使える、つまり、デジタルレイバーができないところは人間が行い、デジタルレイバーができるところはデジタルレイバーが行います。このようなハイブリッドの使い方で、非常に柔軟な開発ができるため、仲介役というかたちでデジタルレイバーの開発を行っています。

デジタルレイバー デモンストレーション

朱未氏:これから実際にデジタルレイバーを使ったデモンストレーションを行います。

今回開発するのは簡単なオークションのアプリケーションです。「Excel」にオークションのアプリケーションでどのような機能が必要か、どのようなユーザーが使うか、どのようなデータが必要か、何の商品に関しての項目を登録するか、等をすべて記載します。

次に、「Slack」を使ってデジタルレイバーを呼び出します。設計書をデジタルレイバーから依頼されるので、先ほど作成した「Excel」ファイルをアップロードします。デジタルレイバーによる設計書の確認後、何のローコードツールを使うかを選択します。ここで当社が扱っている「OutSystems」を選択すると、「OutSystems」向けにアプリケーションを裏で開発してビルドします。できたら実際にアプリケーションを動かしてみて、その場で動作確認をすることができます。

例えば商品を登録したい場合、商品に対する入札等の機能をすぐに構築することが可能です。実際に使ってみると、自分が入札した商品を閲覧する機能が漏れているため、もう1度先ほど作成した「Excel」ファイルを開き、機能を追加します。これまではエンジニアが修正していましたが、デジタルレイバーが開発された場合は、コードを触らずに「Excel」の設計書を変更することによりアプリケーションを変えることが可能です。修正した「Excel」をもう1度デジタルレイバーにアップロードし、使用したいアプリケーションを選択すると、新しいアプリケーションが設計書に基づいて開発されます。その後、もう1度画面を開くと追加した機能がすぐに確認できるようになっています。

このようなかたちでお客さまとその場で確認しながらアプリケーションを開発していくことが可能です。

以上が、デジタルレイバーを使ってのデモンストレーションになります。

松岡:デモンストレーションのように、デジタルレイバーは、細かい画面のレイアウトや機能を書かなくても、非常に少ない情報で業務システムをある程度パターン化することができます。当社は十数年ローコード開発を行い、少ない日本語から推論して画面とデータモデルとロジックを作るノウハウを培ってきました。このノウハウをデジタルレイバーに蓄積すればするほど、さまざまなアプリケーションの開発ができるようになります。

できたものを細かく修正することで、ユーザーが使いやすいアプリケーションになります。画面のレイアウトに関してはデザイナーが細かく作っていくため、それのベースになるものを一瞬で作るイメージです。エンジニアが作ると1週間から2週間ぐらいかかるアプリケーションを数分で作り、非常に早くアジャイル開発を行うことができるのがこのデモンストレーションの内容になります。

デジタルレイバーの開発進捗

デジタルレイバーの開発進捗についてご説明します。

デジタルレイバーの開発進捗は、進捗レベルを自動運転と同様にレベル0からレベル5まで定義し、今どの段階のデジタルレイバーを開発しているかをご説明します。

レベル0は、何も使っていない状態です。

レベル1は、非常にシンプルな情報に基づき、指示されたことだけを行う状態です。

レベル2は、エンジニアが書いた日本語で、デジタルレイバーが持っている知識を使って基本的な動作のアプリケーション開発ができる状態です。例えば、インターネット上に存在するオークションという文字を選び出し、テストデータの自動生成を行うようなイメージです。

現在は、デモンストレーションでお見せしたようなシンプルな機能を高速に作る、レベル2の状態です。お客さまにサービスを提供する中で活用しながら、デジタルレイバーにモデルデータと呼ばれているデジタルレイバーの知識を蓄えるというフェーズです。蓄えながら生産性を上げている段階となります。

さらにレベル3・レベル4・レベル5と続きますが、ローコードエンジニアを必要とせずに、利用者自身でアプリケーションを作る世界をレベル5と定義しています。そのため、レベル1・レベル2に関してはエンジニアが使用するツール、レベル3・レベル4に関しては、先ほど人材戦略でご説明した、ビジネスアーキテクトが使うツールとしてデジタルレイバーを開発しています。

中期経営計画におけるKPIベースの成長シナリオ

宮脇訓晴氏(以下、宮脇):中期経営計画についてご説明します。

先ほど事業計画でご説明したとおり、今後大きく事業形態が変わりますので、KPIの再定義も含めてご説明します。

売上について、2024年3月期は25億円の売上高で、今後デジタルレイバーを活用した営業拡大により、2026年3月期には41億円まで増加させたいと考えています。

また、営業利益についても、デジタルレイバーによる大きな生産性の拡大を予定しているため、2024年3月期2.5億円から2026年3月期には9.2億円まで拡大したいと考えています。

そして、2028年3月期にはデジタルレイバーを活用した間接販売の拡大も計画しています。エンジニアのやることが徐々に減っていき、さまざまな方に営業していただいて売上を拡大することが可能になるため、2028年3月期には売上高を100億円まで伸ばしたいと考えています。

中期経営計画の成長シナリオ

中期経営計画についてご説明します。

今後中期経営計画のモニタリングをしていく必要があると思っていますが、一般的なEBITDAだと当社の状況が正確に測れないということと、今後はエンジニア数での売上ではなく、デジタルレイバーの活用も含めて成長のシナリオが変わりますので、新しくプロフォーマEBITDAというものを導入し、当社の事業計画・中期経営計画の進捗をご説明したいと考えています。

中期経営計画の成長シナリオ(KPIベース)

これは一般的なEBITDAから採用教育費と研究開発費を控除した当社独自のもので、ITサービスのデリバリーの実力値を図るKPIとして定義しています。今後は、これを集計して開示を積極的に行いたいと思っています。

そして、売上対比のプロフォーマEBITDA率について、現在投資期のため、2025年3月期の18パーセントの部分はまだ伸びませんが、2026年3月期から2028年3月期に向けて、急激に上がることを想定しています。2026年3月期には29パーセントまで上昇するため、投資回収期にあたっては、実力値に合わせて利益を出せると考えています。2028年3月期には投資のフェーズが終わりますので、最終的には一般的なEBITDAとよく似た数値まで収れんしてくると考えています。

合わせて、営業活動の進捗をモニタリングするため、デジタルレイバーの受託状況を投資家のみなさまにもご理解いただくために受注残をKPIとして定義し、それを開示していきたいと考えています。この受注残についても、2025年3月期までに9億円まで積み上げることを想定しています。受注残を開示させていただくことで、中期経営計画がシナリオどおり進んでいるかをご理解いただけるように開示していきたいと考えています。

中期経営計画のご説明は以上になります。

第1号議案 取締役7名選任の件

松岡:それでは本日の決議事項について議案の内容のご説明をします。

第1号議案は現任の取締役7名全員が本総会の集結の時を持って任期満了となりますので、取締役7名の選任をお願いするものです。議案の内容の詳細は招集通知6ページから14ページに記載のとおりです。

第2号議案 監査役3名選任の件

続きまして、第2号議案は現任の監査役3名全員が本総会の集結の時を持って任期満了となりますので、監査役3名の選任をお願いするものです。議案の内容の詳細は招集通知15ページから19ページに記載のとおりです。

質疑応答

松岡:本総会の報告事項並びに招集通知記載の決議事項について、ご出席の株主さまからご意見、動議を含めた審議に関する一切のご質問、ご発言をお受けします。

終了後、決議事項につき採決のみを行います。この方法についてご賛同いただける株主さまは拍手をお願いします。

(拍手)

過半数のご賛同を得たため、この方法で進めます。

※当社以外の会社や組織についての具体的名称は控えさせていただいています。

質疑応答:売上高に占める大手・中小企業の割合について

質問者:今回の配布資料には記載がなかった中長期的な内容についてうかがいます。御社のDX化の提案について、大手企業と中小企業では求められる内容等が異なると思いますので、売上高に占める大手企業と中小企業の割合を示したグラフを見たいです。

その割合によって将来的な売上規模も変わり、会社の成長性や中長期的な売上も多少前後すると思います。そのあたりについて詳しくお聞かせください。

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