2023年11月期決算説明

川村俊之氏:ファーストブラザーズ社長室長の川村です。 ファーストブラザーズ2023年11月期の決算についてご報告いたします。お手元の決算説明資料をご覧ください。

今回の決算のポイントは、大きく3つございます。

1つ目は2023年11月期の決算が良好であったこと、2つ目はそれを受けて今期は中間配当を行うこと、3つ目は2024年11月期については不動産ポートフォリオ入れ替えの端境期となり保有資産の含み益増加は見込むものの、売却案件は少なく減収減益見込みであることです。

また、内容に入る前に、弊社の決算の特徴についてご説明させていただきます。2つ大きな特徴があります。

1点目はKPIとして売上総利益額を重視しています。弊社の業績は不動産売却結果に大きく影響を受けますが、物件一つひとつの売買金額が大きく、原価もそれぞれ異なるため、売上高の多寡では業績を正確に測れないということもあり、売上総利益額を重視しているということです。

2点目ですが、利益のうち不動産売却の占める割合が大きいため、決算期ごとに比較的業績の変動が大きいという傾向があります。

以上の特徴を踏まえまして、決算についてもご説明申し上げます。

2023年11月期 業績ハイライト

まずは1ページ目のハイライトからです。記載のとおり、2023年11月期は大幅な増益を達成しました。

売上総利益69億円、前期比70.7パーセント増、経常利益38億円、前期比182.8パーセント増、当期純利益31億円、前期比170パーセント増と、いずれの段階利益においても前期比大幅増の着地となりました。

セグメント別業績は後ほど詳細をお話しいたしますが、2023年11月期が前期比で大幅に増益となった大きな理由は、投資銀行事業において不動産売却が好調だったためです。一方で、自社で運営するホテルに関しても、観光需要の回復をうけて、前年は売上総損失4,600万円と赤字でしたが、2023年11月期は売上総利益1億5,700万円と粗利レベルでは黒字化を達成しました。

2023年11月期 業績ハイライト

続いて2ページ目をご覧ください。このページは先ほど冒頭でご説明した弊社決算の特徴と関連するものですが、ご覧のとおり、弊社の経常利益は決算期ごとに比較的大きく変動します。

一方で株主資本については、毎期利益を計上し続けておりますので、右肩上がりです。これは後述する賃貸不動産ポートフォリオをしっかりと成長させ、賃貸収益・売却収益を得て、その利益を再投資し、よりよい物件を取得していくというサイクルを生み出せている結果であると認識しております。

このように、経常利益の変動度合いが高い一方で株主資本は継続的に成長していることから、配当基準は株主資本に連動した指標である株主資本配当率(DOE)2.0パーセントを目安として設定し、安定的な配当を行ってまいりました。

2024年11月期からはこのDOE2.0パーセントを基準とする期末配当に加え、業績連動というかたちで中間配当を導入することといたしました。こちらも詳細は後ほどご説明いたします。

2023年11月期 セグメント別売上総利益

3ページ目にてセグメント別で売上総利益をお示ししております。売上総利益のうちほとんどを投資銀行事業、つまり不動産収益が占めております。2023年11月期は売却タイミングに至った物件が多かったこと、比較的利益率が高い物件の売却があったことから売却収益は40億円、前期比182パーセント増、また、優良物件の取得を通じ賃貸収益も27億円、前期比17.2パーセント増となりました。

なお、投資運用事業が前期比でマイナスとなっておりますのは、売上の一部を投資運用事業として計上していた子会社を期初に売却した影響によるものです。

投資銀行事業/ 賃貸不動産ポートフォリオの概要

続いて、4ページ目と5ページ目は賃貸不動産ポートフォリオの推移と特徴についてご説明しております。4ページ目をご覧ください。

2023年11月期末における賃貸不動産の時価は838億円、含み益は171億円となり着実に増加をしています。合わせて賃貸収益もゆるやかではありますが、着実に成長してきています。その結果、期末時点でのNOI利回りは7.4パーセントとなりました。

投資銀行事業/ 賃貸不動産ポートフォリオの概要

5ページ目は保有する不動産の用途別・地域別について示したものです。用途別では、コロナ前後でホテル・旅館の割合が増えております。これはコロナ禍においては弊社の目線に合う価格水準で取得できる機会が多かったことから、ホテル・旅館の取得を積極的に進めた結果によるものです。

また、所在地別としても首都圏だけではなく、全国の主要都市へも投資を行っております。なお、用途や所在地の割合については数値的なターゲットは設けず、各不動産の特性やポテンシャルを綿密に調査の上で投資を行っており、時代の変化を見据え、柔軟な投資目線で不動産を選別していることから内訳もその時々で変動し続けております。

投資銀行事業/ 賃貸不動産ポートフォリオからの収益

6ページ目は不動産の賃貸収益と売却収益についてです。ご覧のとおり、賃貸収益は着実に成長している一方で、売却収益は期によって変動が大きいといった特徴があり、今期、賃貸収益は25億円まで成長、売却収益は40億円という結果になりました。

投資銀行事業/ 賃貸不動産ポートフォリオの資金調達

続いて7ページ目・8ページ目は資金調達についてです。

弊社は、投資を行う際は原則として銀行から借入による調達をしております。そのため、投資の進展とともに借入金の残高が大きくなる傾向があります。借入比率は簿価ベースだと79パーセントと一見高めですが、時価ベースだと63パーセントとレバレッジが下がります。

また、原則として長期での借入を行っており、加重平均での残存期間は9.7年です。加えて変動金利での借入を基本としていることから、将来の上昇リスクをヘッジするため、金利の固定化をしております。金利スワップ契約が一部終了してきていることから、固定化割合は22.4パーセントとなっております。

金利固定化割合については継続的に市場動向を勘案しつつ、金利スワップの新規契約の要否を検討しております。

投資銀行事業/ 賃貸不動産ポートフォリオの資金調達

8ページは金利上昇に対する余力について示したイメージです。賃貸不動産ポートフォリオからの純現金収入が35.8億円であり、対応する元利金は24億円です。賃貸不動産ポートフォリオから生まれる賃貸収益でその元利金の支払をカバーしようと考えた場合、元利金支払い後の残余は11.8億円であり、仮に金利が「2パーセント」上昇してもカバーできる水準であるということを示しております。

一見、高レバレッジの借入を行っているように見えますが、返済余力は十分にあり、賃貸収益でカバーできる借り方をしているということをお伝えしたいと思います。

以上が2023年11月期の結果についてのご説明でした。

2024年11月期 連結業績予想

続いて、今期の見通しについてご説明いたします。

冒頭で申し上げたとおり、今期から予算はレンジ形式で発表をすることといたしました。弊社の特徴として、不動産を個々のバリューが最も発揮される、弊社が描いた投資戦略・目線に合う価格が実現できるタイミングで売却をしていくというスタンスであり、特定の期間の損益を無理に作るために売り急ぐということをいたしません。

その結果、中長期的には売却利益、株主資本の最大化に繋がると考えておりますが、その反面、ある期間では売却物件が多い、または逆に控えめという期間が生まれます。このような不動産ごとの個別事情や購入検討する買主の事情によっても損益は左右されることからも、今期からはレンジ形式の予算といたしました。

バリューアップが完了した不動産のうち、売却適時であると考える不動産を売却想定案件とし、施設運営事業の収益等を検討した結果、2024年11月期は前期に比べ売却計画は控えめとなり、売却収入及び売却利益が減少し、売上高は175億円から217億円、経常利益は12億円から22億円、当期純利益は7.2億円から13.7億円の減収減益を予想しております。

ただし、これは個々の不動産を最適なタイミングで売却することを企図する中で、売却収益が一時的に減少するためであり、結果として将来の売却収益の源泉となる含み益が翌期以降に繰り越されます。そのため、単年度では減収減益見通しですが、成長戦略を推進する中での過渡的なものであり、弊社グループとしては賃貸不動産ポートフォリオの状況を見てもわかるとおり、着実な企業成長を遂げております。

2024年11月期 連結業績予想 含み益と売却益

この含み益については10ページをご覧ください。賃貸不動産ポートフォリオの含み益と売却益の関係です。先ほどからの繰り返しとなりますが、売却収益は期によって変動するものの、仮に売却をしなかった場合は含み益が次期以降に持ち越されていくということを説明したものです。

また、売却をした場合には、必ずしも事前に認識していた含み益額のみが実現されるのではなく、時価に比べ高値で売れた場合にはその上振れ分も売却益として計上されます。2024年11月期の売却計画が控えめであることから、2023年11月期と比較して含み益の顕在化は減少する一方で、翌期以降の収益源泉として繰り越されます。

株主還元 配当政策

最後に11ページ目の配当方針をご説明いたします。これまで弊社は期末配当のみを行ってまいりましたが、これに加えて業績に応じた中間配当を開始することといたしました。

まず、安定的継続的な配当として期末にDOE2.0パーセントを目安として配当することは変わりません。

他方でDOE基準による配当金の増加ペースは緩やかであり、業績が大きく上振れした場合でもその利益還元を即座に反映できないという側面もあるため、今後、業績に応じた株主還元とROE向上等の資本効率向上の観点から、直前期の当期純利益が一定水準を超過した場合に、それを超える部分を利益連動型の配当として還元、中間配当することといたしました。

具体的には、直前期の連結損益計算書における「親会社株主に帰属する当期純利益」の額が20億円を超過した場合、その超過分の40パーセント相当額を中間配当として還元いたします。

この方針に基づき、2024年11月期の配当金につきましては、中間配当として1株当たり33円、期末配当として1株当たり34円、年間合計で1株当たり67円を予定しております。

以上をもちまして、2023年11期決算につきましてご報告させていただきました。最後までご清聴いただきまして、ありがとうございました。