ハイライト

中野剛人氏:株式会社eWeLLの中野です。本日は当社決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。それでは本資料を基にご説明を進めさせていただきます。

まず、この第3四半期のハイライト3点をまとめています。

1点目ですが、業績につきまして、売上成長を継続しつつ高い営業利益率を維持しており、売上高は14億9,000万円と前年同期比プラス29.5パーセント、営業利益率は47.3パーセントと前年同期比プラス0.1ポイントで着地しました。前回公表しております期末業績予想に対しても、順調に推移しております。

2点目はKPIについてです。契約ステーション数も順調に増加しており、シェア、我々は普及率と呼んでいますが、16.1パーセントと拡大しました。第3四半期の新規獲得件数は150件と、第2四半期に引き続き過去最高タイの獲得件数が継続できており、レベニューベースのチャーンレートも0.09パーセントと引き続き低い水準で推移しています。

3点目はつい先ほど公表しました株式分割と配当予想の上方修正についてです。今年の年末を基準日としまして1:2の割合で株式分割を実施するとともに、1株当たり配当金を前期15円から当期20円へと配当予想の修正を行うことを決議いたしました。詳細は配布資料の20ページに記載しておりますので、後ほどご説明します。

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それでは、eWeLLについて、四半期決算の概要、成長戦略の順に説明させていただきます。

1 会社概要と沿革

まずは当社についてです。大阪を本社として2012年の6月に起業し、その10年後の2022年9月に従業員数61名で上場いたしました。2023年9月末現在、従業員は67名の少数精鋭で事業を行っており、主に訪問看護ステーション向けのクラウドシステムを自社開発し、サービスとして提供しています。

2 経営理念

我々のミッションは「ひとを幸せにする」です。ここで起業までの経緯について少しお話をしますと、私は前職でジェットスキーのプロライダーをしておりました。23歳の時にジェットスキーと出会い、とことん突き詰める性格もあって、「やるからには世界のトップに立つ」と強く思って練習を始めました。

始めて間もなくのレースに参戦する前、練習中の事故に遭い、肝臓破裂で10日間の意識不明の重体状態から一命を取りとめた経験があります。

病院に搬送された直後は意識もあって会話もでき、レントゲンでも肋骨が折れていなかったため、「帰宅してもいいよ」と先生に言われたのですが、診断時に居合わせた看護師さんが私の顔色などに違和感を感じ、「少し休んで帰るように」とナースコールを私の手に握らせるという機転を利かせてくれたおかげで、急変後の処置がなんとか間に合い、こうして命をつなぐことができました。

そこから10ヶ月間の長期入院となりましたが、それでも諦めの悪い私は「絶対にやってやるんだ」と周りの反対を押し切って再びレースに戻りました。「一度死んだと思ったら何でもできる」、そう思って13年間とことんやり抜いた結果、世界一にはなれませんでしたが、世界2位を2回獲らせていただきました。

引退後、看護師さんとお世話になった社会に恩返しがしたいという強い思いから、本当に役立つ本物のサービス、よくある「できる、できる」と言ってできないシステムというのではなく、しっかりと使い込めるシステムを本気で作ろうということで、このeWeLLを起業しました。これが創業の経緯となっています。

我々は、在宅医療分野への新しい価値の創造を行い、本物のサービスを通じて、「ひとを幸せにする」というのがミッションとなっています。

3 役員プロフィール

経営メンバーは、私中野と、事業責任者として常務取締役の北村、プロダクト責任者を務める取締役の浦吉、社外取締役として島田の4人で構成しております。

4 在宅医療における訪問看護領域 ~訪問看護とは~

事業のご説明の前に、まず訪問看護についてご説明します。1文字違いの訪問介護とよく間違われますが、訪問介護と訪問看護では役割がまったく異なります。

こちらのスライドにオレンジで介護保険、ブルーで医療保険の領域を示しており、その中央に記載しているのが訪問看護ステーションになります。図のとおり、訪問看護は医療保険と介護保険の両方の保険が適用される唯一のサービスで、0歳児から看取りまでのすべての年代が対象となります。

サービス内容としては、訪問介護は衣食住に関わる生活援助を、ヘルパーさんなどが利用者へ提供するサービスであるのに対し、訪問看護は国家資格を持った医療従事者である看護師などが利用者宅へ訪問し、点滴や注射といった病院と同じような医療処置を行うという点が大きな違いです。

訪問看護ステーションは利用者にサービス提供を1回行うごとに、医療保険・介護保険の両方を国に請求します。これをレセプト請求といいます。

4 在宅医療における訪問看護領域

続いて、在宅医療における訪問看護の役割についてお話しさせていただきます。医療を大きく分けると、急性期と慢性期という2つがあり、この2つで医療となります。

例えば、救急車で病院に運ばれて手術をするというのが急性期医療で、手術の後に回復していく療養の部分が慢性期医療になるのですが、これまでは両方とも病院の中で完結していて、手術後に回復まで病院で過ごし、回復したら退院して自宅に帰るというかたちでした。それが現在は、手術が終わったら患者は自宅へ帰り、慢性期医療を在宅で行うように変わっています。

スライドの図は厚生労働省が推進している「地域包括ケア」という患者の自宅療養中心の慢性期医療のかたちを示しています。厚労省の調査では国民の6割以上が自宅での療養を望んでおり、また、今後65歳を超える老年人口が加速度的に増える我が国では、医療費の財源確保のためにも「地域包括ケア」が必要だとされています。これを実現することで、医療費が約35パーセント削減されることが実態調査で明らかとなっており、2025年に向けて待ったなしの国策となっています。

この図のとおり、医療と介護の連携は欠かせないものではありますが、現状はうまくいっていない状況です。なぜなら、先ほども申し上げたとおり、領域と職種に専門性の違いがあるためです。

医療の中で医師は診断と治療を専門とし、看護師は療養管理を専門としています。介護職員は生活援助を専門としており、それぞれ役割が違います。そのため、介護の生活援助の情報を医師が聞いたところで、専門性の違いから不必要な場合もあります。

例えば、「電球を替えた」「シーツを替えた」という情報を医師が聞いても意味がないこともあります。また中には、介護職員に医師が診断やその治療内容を説明しても、どのように生活援助に必要か介護職員がわからないケースもあります。

このように連携と言っても、ただ情報の提供を行えば地域包括ケアが推進されていくわけではなく、中間的な役割の療養管理を専門とする看護師が必要不可欠です。看護師が医師からの診断や治療内容、現場の状態を聞いた上で、社会的資源を活用しながら生活援助を計画的に介護職員と共に行っていくのが、患者や患者家族にとって理想的な地域包括ケアの姿となります。

このように療養管理を計画的に行う訪問看護師の専門性が、スライドの図にも随所に「訪問看護」と記載がありますように、地域包括ケアの中心的な役割を担っていきます。

しかし地域包括ケアの中心を担う訪問看護は、訪問介護事業所の約半数しか全国になく、その負担は非常に大きいものであります。しかし2年前の調査では約8割のステーションがカルテ作成作業を手書きで行っていて、本来専門性の必要な療養管理に時間を使うのではなく、カルテ作成に時間を使っているのが現状です。

当社はこの部分をDXし、訪問看護師のカルテ作成業務を減らしていくことが国策である地域包括ケア推進につながると考えています。そして訪問看護師のカルテデータを集積することで、慢性期、終末期医療のビッグデータがすでにできており、今後は在宅医療に必要なデータを活用するサービスを提供していきます。

5 eWeLLのビジネスモデル

我々のビジネスモデルとしては、在宅医療の要である訪問看護ステーションに向けたソリューションの提供です。具体的には、クラウドサービスとして訪問看護専用電子カルテ「iBow」を中心としたシステムの提供と、BPOのサービスになっております。

「iBow」は訪問看護の日々の業務を効率化する電子カルテで、レセプトと完全連動し作成したカルテから自動的にレセプト請求業務を行います。さらにこれまでアナログの運用では不可能だったステーション全体と利用者家族との正確な情報共有が可能となり、ステーションへの立ち寄りが不要となるため移動時間を削減し、訪問看護師に看護業務に集中できる環境を提供して、訪問看護の生産性を向上させます。

これにより、1人の看護師がより多くの患者をケアすることが可能となり、社会課題である慢性的な看護師不足に対する解決策としても寄与しています。また、生産性向上でステーションは訪問件数を増やせますので、ステーションの売上が上がり経営が安定化します。

右側の図のとおり、訪問看護のビジネスモデルは看護師が患者宅へ1回訪問するごとに約8,500円の看護提供料が発生し、月初に前月分の医療費及び介護費を国保連などにレセプト請求します。「iBow」は、国からステーションへ支払われる8,500円の中から100円をいただく従量課金制となっており、SaaSモデルでよくあるID課金制ではありません。

ステーションの職員全員で使ってもらっても料金は変わりません。全員で使ってもらってシステムの恩恵で業務効率が大幅に上がるようにと考えて、1訪問100円の料金体系にしています。基本料金は1万8,000円で、契約は最低で2年間、ほか3年、5年、7年とありまして、平均すると3年から4年ほどの利用期間になっています。

また、事務を代行するBPOのサービスも行っており、レセプト請求金額の約5パーセントを課金する従量課金となっています。

6 eWeLLの強み(好循環ビジネスモデル)

スライド左側はステーションの平均単価の推移となっています。「iBow」は職員が全員で使うからこそ、UI・UXを徹底的に追求し誰でも簡単に使えるシステムを提供しています。これによりステーションの生産性を向上させ、その結果、長く利用していただくほど訪問件数が伸びて顧客単価が向上していきます。

当期の第3四半期においては、月額の平均単価はその前期よりプラス3パーセント成長し7万6,600円まで伸びています。

我々のビジネスモデルは、「シェアの拡大」「満足度の向上である解約率の低位安定」「顧客単価の向上」の3つの循環がサスティナブルな成長の基盤となっており、契約数は2,523ステーション、シェアは16.1パーセントと順調に推移しています。

7 サービス概要 1 iBow

それでは、このビジネスモデルのベースとなる、サービスの概要と特徴をご説明します。

7 サービス概要 2 iBowレセプト

スライドの図は訪問看護ステーションのひと月の業務の流れと、「iBow」と他社サービスの違いを表しています。

他社が提供するレセプトシステムは白い丸で表している、月初の1日から10日までの保険請求を行うものです。介護サービスは26種類54サービスあり、そのすべての請求ができるようになっており、その介護用のシステムを訪問看護用に転用したものがほとんどです。

一方、「iBow」は図の左側、電子カルテ・手書きと書いている、患者管理と記録の作成、情報共有をメイン機能とする患者管理システムです。

つまり、患者管理システムであるCRMのシステムと、介護保険請求システムである勘定系システムでは、機能や用途や対象範囲が違うため、似ているがまったく異なるものとしてご理解いただけると思います。

医療業界は慢性的に人員不足が続いているにもかかわらず、旧態依然のアナログな紙を中心とした業務を行っています。我々はそのアナログな業務をテクノロジーで解決し、訪問看護の業務全般をカバーするシステムとサービスを提供しており、それが手書きカルテからの脱却としての電子カルテの「iBow」と、訪問看護の制度に則り看護師の勤務管理を行う「iBowKINTAI」、「iBow」と完全に連携している保険請求システムの「iBowレセプト」、介護伝送システムです。

7 サービス概要 3 BPOサービス

また、クロスセルとしてBPOの、事務管理代行のサービスも提供しています。訪問看護では、システムのソリューションだけでは解決できない問題として、事務作業の作業者が不足しているという問題があり、これをカバーするために「iBow」の複合的なサービスを駆使して、完全に遠隔でクラウドのBPOサービスを実現しております。

我々がBPOで行う保険請求業務の返戻率は6ヶ月で平均0.03パーセントと非常に低く、現在は114ステーションにご利用いただいています。

レセプト事務作業を我々が一手に引き受けることで、ステーションは看護に集中できるようになり質が高まります。それが訪問件数アップに返ってきますので、1訪問100円で我々のさらなる収益化にもつながっています。

1 業績推移

2023年12月期の第3四半期決算の説明です。まず業績推移ですが、長期トレンドとしては2019年の11月に単月で黒字化しまして、以降安定した収益を創出することができています。昨年の通期営業利益率は43.2パーセントに増加し、2022年12月期は3期連続で増収増益となりました。

当期の第3四半期の売上高が14億9,000万円、営業利益は7億800万円となっております。

なお、2023年12月期の営業利益率の予想が42.8パーセントと昨年より下がっておりますが、これは本社移転にかかる費用が計上されていることが主な要因であり、後ほどご説明いたします。

2 業績予想に対する進捗

また、業績予想に対する進捗状況ですが、売上高と営業利益の進捗率は、ともに前年同期並みで順調に推移しております。

3 契約ステーション数

次に、契約ステーション数の推移となります。9月末現在2,523件で、第3四半期では123件の増加となりました。増加分の内訳としては、新規獲得が150件、解約が22件、休止ステーションの増加が5件ありましたので、差し引き123件となっています。

市場もステーションの数が2023年4月1日現在で15,697ステーションとなり、ここ1年で約1,400件増えましたが、我々はそれ以上の伸びで現在の普及率(シェア)は、16.1パーセントと順調に推移しています。

4 チャーンレート/顧客単価推移

さらに、顧客満足度を計測するために必要である解約率は、レベニューMRRで0.09パーセントと非常に低い数値となっており、ご覧のとおり低い状態で安定しています。

また、顧客単価は7万6,600円で、前期末から2,200円のプラスとなりました。「iBow」は長く使えば使うほど業務が効率化され、その分ステーションの訪問件数が増えて、1訪問100円の従量課金が伸びています。

最も長いお客さまで、「iBow」をリリースした2014年からお使いのステーションが数十件いらっしゃいますが、これらの平均単価は9万円台後半となっています。

なお、新規開業のステーションは訪問件数が増えるまでに時間がかかるため、新規契約が増えると平均単価は引き下げられますが、それでもこのように伸長し続けています。

5 配当予想修正および株式分割

こちらは、ハイライトでもご説明しました配当予想の修正と株式分割についてです。

配当予想につきましては、当期の業績および当社の配当方針等を総合的に勘案し、1株当たり配当金を前期の15円から当期20円へと配当予想の修正を行うことを決議いたしました。前回予想では18円としておりましたので、前回予想より2円増配することとしております。

なお、記載の1株当たり配当金の金額は、次にご説明する株式分割考慮「前」の金額です。

株式分割につきましては、投資家のみなさまがより投資しやすい環境を整え、当社株式の流動性の向上と投資家層の拡大を図るため、表のとおり株式分割を実施いたします。なお、同タイミングで、発行可能株式数も2倍とする決議をしております。

6 業績ハイライト(損益計算書)

こちらは第3四半期決算の損益計算書です。前年の第3四半期との比較となります。業績は順調に推移しており、売上、利益ともに約30パーセントの伸び率となりました。

6 業績ハイライト(貸借対照表)

こちらは第3四半期末の貸借対照表で、前期12月末との比較であります。自己資本比率は77.3パーセントとなり、強固な財務体質を形成できております。有形固定資産の増加が大きくなっておりますが、これは本社を移転したことによります。

7 サービス別収益/粗利益

こちらは第3四半期でのサービス別の売上高と売上総利益の状況です。売上、利益ともに主力のクラウドサービスが約90パーセントを占めております。

7 サービス別収益(四半期推移)

こちらはサービス別売上高の四半期ごとの推移です。クラウドサービス、BPOサービスともに当期も順調に増加している状況です。特に、BPOサービスは前年同期比プラス86パーセントと大きく増加して黒字化も達成しております。

8 営業利益の増減要因

こちらは前期の第3四半期の営業利益からの増減要因です。前年同期比では1億6,200万円増加しております。

増加要因としては、粗利益の増加が約2億6,000万円あったものの、減少要因としては、本社移転による備品購入や減価償却費の増加で4,600万円、人件費や採用フィーなど、人的資本投資増加で2,000万円、展示会への積極参加による広告宣伝費の増加が1,000万円、その他上場したことによる株式事務委託費やIR関連費用の発生がありました。

1 中長期ビジョン

最後に、我々の成長戦略についてです。

中長期的なビジョンとしては、在宅医療のプラットフォーマーとしてのサービス展開となります。我々は社会課題である2025年問題の解決を目指し、28兆円の巨大な在宅医療市場で貢献したいと考えています。また、「新・中期経営計画」を始動して、事業基盤の強化を図りながら、高成長、高収益モデルでビジョンの実現を目指します。

なぜ我々が「在宅医療のプラットフォーマー」であるかについてご説明します。在宅医療の中心的な役割を担う訪問看護のデータは、言い換えると在宅医療の中心となるデータです。我々は訪問看護のお客さまが全国47都道府県にいらっしゃって、16.1パーセントのシェアがあり、訪問看護のプラットフォーマーとしてアナログだった訪問看護の情報を活用可能な形でデジタル化し、すでに3,700万件以上蓄積しております。

訪問看護ステーションの数と病院・クリニックの数を比較すると、訪問看護ステーションの比率は非常に小さいです。病院が関わっている訪問看護ステーションは1件から2件程度ですが、訪問看護ステーションはだいたい35人のドクターとつながっているという実態がありますので、そうすると訪問看護のほうが医療記録の集積が広がるスピードは速く、病院よりも訪問看護の情報をデータ化するほうが、より早く形になると我々は考えています。

今後このビッグデータを活用して、在宅医療全体のプラットフォーマーとして社会課題を解決していくことは慢性期医療ビッグデータを持つ我々にしかできない使命だと考えています。

2 新・中期経営計画 位置づけ

当社は2023年をスタートとした「中期経営計画2025」を策定しました。すでに2022年にはこの事業を見据えてクラウドサービスの全面リニューアルを行っており、また上場によってファイナンスに対する基盤もできました。

さらに、研究開発投資と人的資本投資は、2023年度以降の3年間で合計6億円の投資を行います。2026年度以降は在宅医療のプラットフォーマーとしてのサービスを展開し、2030年にはSDGs達成に向けて、国の政策も鑑みて貢献していきたいと考えています。

3 具体的戦略 2新規事業 1/2

さらなる戦略は、慢性期医療のデータを活用した新規事業です。この図の左から右に、「健康」「不調」「病気」「回復」「慢性化」「終末」と記載していますが、これが人の一生を表しており、その下に、医療の領域を4つの矢印に分けて示しています。

「健診・予防」「急性期医療」というのは短期的で瞬間的なデータとなります。健診・予防は、例えばJMDCさんやメディカル・データビジョンさんなど、急性期医療はエムスリーさんやメドピアさんなどがこれにあたると思います。

一方、我々が手掛けているのが右手のピンクの領域で、訪問看護は療養経過情報の「慢性期医療」「終末期医療」にあたります。これは長期的で継続的なデータで、我々は47都道府県すべてに「iBow」が導入されていることで、手書きカルテでは実現できなかった全国の慢性期医療データが活用可能な形で日々蓄積されており、全国的な慢性期医療データを保有している企業は当社のみだと考えています。

そして後ろのグラフを見ていただければわかるとおり、今後このピンクの側が加速度的に増えていくと予測しています。

この我々が保有している特異性のある医療ビッグデータを活かすことで、国が課題としている今後の医療問題の解決や、すでに昨年から課金している在宅治験CRO向けサービスの構築など、在宅医療のプラットフォーマーとして新しい価値を提供していきます。

3 具体的戦略 2新規事業 2/2

さらに我々は、保有する長期的・継続的な慢性期医療データに、病院、歯科や薬局の多様性のある正確な医療記録を、オープンAPIを通じて取り込み、分類・分析した上で、在宅医療のビッグデータとして蓄積していきます。

これは「iBow」をベースとするのではなく、我々が新たに構築するeWeLLプラットフォームに、「iBow」も含めたさまざまなシステムから情報連携させます。その付加価値の高いビッグデータを在宅医療に関わるすべての人が必要となるよう活用し、情報提供ポータルやプッシュ型のPHR、在宅治験などのソリューションとして提供していきます。

すでに必要なオープンAPIは2022年にベータ版まで開発を終えており、今年度からは準備期間として、プラットフォームに欠かせない在宅医療ビッグデータとPHRをはじめとするさまざまなソリューションの企画と開発を行い、2025年までにテストフェーズを行って、実用のフィードバックと改修のPDCAサイクルを実施する計画です。

この開発は我々だけでなく多くの事業者を巻き込むことで、より早く計画が進捗すると考えていますので、オープンAPIを通じたさまざまな企業やベンダーとの連携を視野に入れて進めていきます。

4 中期経営計画 数値目標

中期経営計画の数値目標は、売上高を2023年に20億5,300万円、2024年に24億6,500万円、2025年に29億2,500万円とし、CAGR22パーセントの成長を計画しています。

先ほどの具体的戦略でお話ししたとおり、研究開発投資と人的資本投資を行いつつ、当期純利益はCAGR26.7パーセントで、2023年に6億円、2024年に7億1,000万円、2025年に9億6,300万円の達成に向けて取り組んでいきます。

また、積極的な株主還元を行い、株主、従業員、お客さま、在宅医療のコメディカル、患者とご家族などステークホルダーに対し、我々のミッションである「ひとを幸せにする」を実現してまいります。

5 中長期成長イメージ

最後に中長期の成長イメージとなります。在宅医療を牽引するテクノロジーカンパニーとして2025年問題の解決に向け、クラウドサービスとBPO、医療データビジネスの3つの事業を柱に、成長を加速させていきます。

次の中期経営計画では、プラットフォーマーとしての新たなビジネスモデルの確立と、医療データビジネスの成長戦略を本格的に始動していきたいと考えています。

我々はミッションである「ひとを幸せにする」を企業として体現し、すべてのステークホルダーに応援いただける企業となれるよう成長し続けていきます。ご説明は以上となります。ありがとうございました。