(1)決算ハイライト

舩橋哲也氏:機関投資家のみなさま、証券アナリストのみなさま、社長の舩橋です。日頃より格別のご支援・ご指導を賜り、心より厚く御礼を申し上げます。本日はお忙しいところ、当社説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。さっそくですが、2023年度第2四半期決算についてご説明します。

まずは、2023年度第2四半期業績について決算ハイライトからご説明します。トップラインは過去最高水準、受注高は過去最高を更新しました。売上高は前年に1,000万円ほど届きませんでしたが、ほぼ昨年同様で最高レベルと考えています。

また、おかげさまで都市インフラ事業、システムソリューション事業が少しずつ成長の兆しを見せています。まだ通信キャリア事業が下げ止まっているわけではありませんが、増益を出してきています。この2つのセグメントに力を入れてきたことが、少しずつ実ってきていると考えています。

配当については、DOE4.0パーセントをベースに中間配当は60円を見込んでおり、自己株式の取得も継続を予定しています。

(2)業績ハイライト(受注高・売上高)

受注高・売上高です。スライドのグラフのとおり、受注高は前年比プラス9パーセントと、少しずつですが増えてきています。特に都市インフラ事業では、データセンターを中心にかなり手応えを感じています。売上高は2,651億円と前年比横ばいですが、昨年、比較的大型の案件が取れたという意味ではまずまずだと見ています。

(3)業績ハイライト(営業利益)

営業利益です。第2四半期は、前年同期比プラス7億円の92億円となりました。通信キャリア事業はまだ少し弱い部分がありますが、都市インフラ事業とシステムソリューション事業が牽引の兆しを見せています。

残念ながら、上期に一過性の要因がいくつか出ていますが、そこをリカバリーしつつ、プラス7億円となりました。私としてはもう少しがんばりたいと思っていますが、前半はなんとかステディに突破してきたかたちです。

(4)業績ハイライト(セグメント別状況)

セグメント別の状況です。通信キャリア事業の売上高は、やはり昨年度の第2四半期から少し減っています。我々は当初からセグメント利益率をキープしたいとお伝えしてきましたが、2つほど特殊要因が出たため、残念ながらまだ5.1パーセントとなっています。

しかし、仮にこれがなかった場合は5.8パーセント近くまではいくと見ていますので、後半戦は稼ぐ力をどこまでキープできるかが重要になってくると思っています。

都市インフラ事業は売上高も着実に増えてきています。我々としてはもう少し利益をグッと押し上げたいところですが、ここでも若干不採算な部分が出ており、14億円となりました。システムソリューション事業は、売上高も利益も着実に増えています。

いずれにしても、今年の合言葉は「各セグメントで稼ぐ力を取り戻す」ですので、一つひとつしっかりと各セグメントの中身を見て、必要な対策を打つというフェーズにあると理解しています。

(5)計画サマリー

通期計画については、特段修正はありません。引き続き、都市インフラ事業、システムソリューション事業の拡大を意識しながら、売上高は6,300億円をキープしています。営業利益率は5.4パーセント、営業利益は340億円必達で後半戦に臨みたいと考えています。

(1)通信キャリア

セグメント別の取り組みについてご説明します。まずは通信キャリア事業です。残念ながら昨年と比べて売上が数十億円下がっており、厳しい部分がありますが、随所に構造改革を入れながら利益率の低下を最小限度にしていきたいと思います。

若干の特殊要因はありますが、通期計画を達成すべく、特に下期は引き続きモバイル分野も売上や利益にこだわる運営を心がけていきたいと思っています。

主な取り組みの「構造改革2.0」については次のスライドでご説明しますが、モバイル分野での社員のリソースの再配置を進める予定で、すでに7月より実施しています。我々としてはモバイル分野関係の施工体制をできる限り統合し、需要の変動にフレキシブルに対応できる柔軟な体制作りを心がけていきたいと思っています。

厳しい中でも、NTTドコモさまから明るい話題も出ています。「都市部でのつながりにくさ解消のため、前向きに投資する」というアナウンスが出ていますので、若干の期待を持っています。

特殊要因はあるものの、計画値を超えていけるよう、後半戦は効率よく運営を継続したいと思っています。また、各通信キャリアの動向についても適宜注視し、事業運営に織り込んでいきたいと思っています。

(1)通信キャリア~構造改革2.0~

「構造改革2.0」についてです。モバイル分野は今まで通信キャリアごとに体制を取っていましたが、NCCさまについては昨年度に一体化しました。今年7月からはNTTドコモさまも加え、すべてのキャリアをワンストップでお引き受けする体制を構築しています。同時に、約100名規模の人員シフトを実施しました。

おかげさまで都市インフラ事業は受注が非常に好調のため、都市インフラ事業に半分くらいのリソースをシフトしています。従来の通信インフラの中で1割ほど、システムソリューション事業などにも残りの割合を配置しています。

特にシステムソリューション事業には、より若手のメンバーを中心に再配置しています。このように、我々としてはフレキシブルなかたちで進めたいと思っています。まだ7月1日に体制を変更したばかりですので、後半戦にならないと効果が見えないというご意見もあるかもしれませんが、少しずつ前進できていると見ています。

また、都市インフラ事業にはモバイル専担というよりも、例えば電気や土木などの非常に基礎的なコアの技術を持っているメンバーを中心に、本人とも相談しながら適性を見て再配置しています。当初、我々が心配していたより、それぞれのメンバーは新しい仕事にもなじんでくれているようで少し安心しています。

仕事がより多く、かつそれぞれのメンバーが持っている技術・スキルをフル活用できる分野を中心に人員のリソースを再配置していますので、ご安心いただければと思います。仮にモバイル分野がまた盛況になれば、再配置したメンバーが戻ることも含め、柔軟に考えていきたいと思っています。

(2)都市インフラ

都市インフラ事業です。この分野は、第2四半期もデータセンターと公共関係の二強です。データセンターは、昨年度の年度末にかけて大型案件がかなり竣工したこともあり、もともと2023年度のスタートは少し厳しいと見ていました。

おかげさまで受注は大変タイトな雰囲気ですし、大型案件のご相談も多くいただいています。さらに今までの経験を踏まえて、リソースもより有効に活用できるように予定を組んでいます。データセンターについては数年先まで見て、漏れや緩みのないように、リソースの拡充と配置を考えていくことに尽きると思っています。

公共関係は、過去に受注していた案件が今ちょうど竣工の時期を迎えており、残念ながら若干採算が厳しいものも出てきています。

今年度に入ってからは、公共の中でも我々の得意にしている分野である通信関係や照明、トンネル、ケーブル等の更新、更改工事などに極力フォーカスし、我々の経験スキルが活きる分野に注力して、やや選別的に受注しようと取り組み始めています。もう少し時間はかかるかもしれませんが、見守っていただけるとありがたいです。

受注残高も増えてきているため、これからの分については我々もかなり期待しています。公共案件のターゲットをしっかり捉えることで、利益改善にも少しずつ結果が出てくればと期待しています。

土木分野については後ほど少しご紹介しますが、海外での仕事もかなり地に足が着き始めていると考えています。洋上風力や電力線の分野に必要な技術者の育成も継続的に進めていますので、案件が入り次第、対応していきたいと思っています。

(2)都市インフラ(ビジネスユニット別内訳)

都市インフラ事業の内訳です。エネルギーは、データセンター、環境、再生エネルギーを含めた部分で、着実に進んでいると思います。公共基盤も同様です。以前もお話ししましたが、施設基盤では700MHzテレビ受信対策工事が少しずつ減少しているため、この部分の減は仕方がないと見ています。

(2)都市インフラ(系統用蓄電池)

我々が都市インフラ事業で新たに力を入れている蓄電池に関わる事例をご紹介します。スライド左側の写真のとおり、かなりの重量物ですので、しっかりとした基礎を打ち、その上に蓄電システムを載せています。我々も初めての経験でしたが、非常にうまく出来上がったと思っています。

太陽光発電所の余剰電力を蓄電することで、需給の調整や全体の変動調整能力を担保するものになります。このような蓄電所や蓄電池に関わる工事、システム設計、保守などにも力を入れていきたいと考えています。

(2)都市インフラ(EV拡大に向けた事業展開)

EVに関してです。スライド左側はGachacoさまのケースで、以前にもご紹介した電動バイクのバッテリーステーションです。スライド中央は、Terra Motorsさまとの業務提携のご紹介です。

実は国内のみならず海外でも事例があり、シンガポールのEVチャージャ設置工事についてかなりの数を受注できるようになってきており、国内外でEVに関わる経験を積んでいきたいと思っています。

(2)都市インフラ(イノベイティブな施工手法)

イノベイティブなというのも恐縮ですが、太陽光発電設備をご紹介します。スライド左側の写真は完成したばかりのケースですが、太陽光パネルが非常にきれいに設置できています。これは3Dの技術をベースに、非常に精度の高い施工ができる手法を活用した事例になります。

我々としても、施工をスピードアップすることでトータルな納期短縮に対するご提案もできると考えており、引き続き最新・最先端の工法を活用していきたいと思っています。

(2)都市インフラ(推進工事の海外展開)

ODAによる土木の事例です。インドネシアの例になりますが、大型の下水プロジェクトの一端です。主として機動建設工業さまが工事を担当し、イセキ開発工機さまが写真に写っている機械そのものを開発しているチームとなります。この2社が相まって、海外での仕事のお手伝いをしています。

ちなみに、我々も土木駐在員事務所を開設したばかりです。これからおそらく下水プロジェクトは継続すると見ており、事業展開をしっかりと進めていきたいと考えています。

(3)システムソリューション

システムソリューション事業です。こちらはグローバルと国内のソリューションが混ざっていますが、一言で言いますと着実に成長を始めています。

今まで東京都内でも少しマルチロケーションになっていたため、ワンチームで仕事ができるように、非常に広いスペースに移りました。同時に、トータルではスペースを若干狭くするといった工夫を行いながら、10月1日に集約が完了したところです。

後半戦もこのような良い雰囲気を継続しつつ、ITの中核2社である開発をするチームと保守・監視をするマネジメントチームと両輪で、継続的に展開を進めたいと思っています。

また、我々はグローバルに急速拡大して4年から5年になりますので、そろそろ事業としても見直しを行い、取捨選択するかたちになるかと思います。そのような意味では、後半戦はグローバルの見直しというフェーズになるとご理解いただければと思います。

(3)システムソリューション(ビジネスユニット別内訳)

システムソリューション事業の内訳です。情報システムでは、いろいろな開発について非常に多くの引き合いを受けています。第2四半期はまだ503億円ですが、昨年に非常に大型の案件があったという特殊要因を除くと、着実にステップアップできているかと思います。

(3)システムソリューション(事業拡大に向けて)

これからの事業拡大に向けて、我々はSIerのみならず、ソリューションプロバイダーとしての足場固めをしていく時期だと思っています。3つの戦略でそれぞれ力を込めて、我々の得意な分野にフォーカスしながら、お客さまのお仕事を受注したいと考えています。

(3)システムソリューション(グローバル分野の効率化)

グローバルの拠点作りについてです。これまではシンガポールにグループ会社9社でそれぞれ建物を借りていましたので、昨今は賃貸料が高くなっていました。そこで、プロジェクト名「The Pulse」としてグループ各社を新たなグローバル本社に集結させました。ちょうど良い時期にワンチームになれたと思っています。

シンガポールの政府のみなさまからも、しっかり地に足をつけて運営している会社だと見ていただけているのではないかと思います。

(3)システムソリューション(「Hackathon 2023」にて1位を獲得)

おかげさまで、「Hackathon 2023」にて優勝できました。「ServiceNow」に関わるAIの活用と自動化ということで、過去2021年と2022年にもエントリーしていましたが、残念ながら1位まで届きませんでした。しかし、今年は非常に良い成果につながったと思っています。

我々の知恵やアイデアを出して、アプリケーションの展開に広げられればと思っています。おかげさまで、「ServiceNow」は認定資格保有者が約200名を超えるところまできました。日頃の努力の結果かと思っています。

(4)R&Dの取り組み

R&Dの取り組みについてです。これからはやはり、自分たちでR&Dを取り組むことによって新しいサービスや変化に対応するという意味で、少し弾込めが必要だと思っています。そのため、DXとR&Dの投資を含めて年間売上の約1パーセントを目標に予算化し、取り組んでいきたいと考えています。

(1)配当、自己株式取得

株主還元についてです。配当方針について、DOE4.0パーセント基準に変更するとすでに発表しています。12期連続増配予定で、今年度は年間配当120円、中間配当60円を予定しています。11月末には自己株式300万株ほどを償却しようと思っています。

また、2024年4月に1対2での株式分割を予定しています。来年から新NISAも始まるタイミングということもあり、より多くの投資家のみなさまに当社の株式をお持ちいただき、応援していただけたらということで分割を発表しました。ご理解いただければ幸いです。

(2)総還元額、ROE・EPS

総還元額とROE・EPSについては、計画の変更はありません。

以上で第2四半期の決算説明を終わります。ありがとうございました。