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角裕一氏:おはようございます。ウィルグループ代表の角です。本日は2024年3月期第1四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

本日は、2024年3月期第1四半期の実績、2024年3月期通期の業績予想、配当予想の順にご説明します。

業績ハイライト

2024年3月期第1四半期の業績ハイライトです。第1四半期の連結業績に関しては、売上収益が344億3,000万円、営業利益が11億3,000万円となり、通期計画に対して順調な滑り出しとなりました。

国内Working事業に関しては、今期から始まった中期経営計画の基本方針である「国内Working事業の再成長」に向けて、先行投資を現在行っています。その一方で、子会社株式の売却益を計上したことにより、前年同期比で売上収益は横ばい、営業利益は15.0パーセント増となりました。

海外Working事業に関しては、派遣が堅調に推移した一方で、ポストコロナの時期には非常に高かった正社員雇用需要が一巡し、人材紹介売上が想定を下回りました。その結果、前年同期比で売上収益は横ばい、営業利益はマイナス46.7パーセント減となりました。

連結売上収益の四半期推移

連結売上収益の四半期推移です。売上収益は連結除外の影響により、2023年3月期第4四半期と比較してマイナス8億円となりました。連結除外影響額13.5億円のうち、8.9億円が国内Working事業への影響額であり、この影響を除くと、国内Working事業は実質横ばいとなります。また、海外Working事業は派遣が堅調に推移したため微増となりました。

連結営業利益の四半期推移

連結営業利益の四半期推移です。営業利益は、前四半期比マイナス3億円となりました。海外Working事業では、前四半期に補助金の影響がありましたが、こちらを除くと前四半期から横ばいで推移しています。

国内Working事業(分野別売上の内訳)

国内Working事業の各分野別売上の推移です。セールスアウトソーシング領域、コールセンターアウトソーシング領域で苦戦する一方、新中期経営計画で最も注力している建設技術者領域では、堅調に成長することができました。

国内Working事業(領域別売上、営業利益)

国内Working事業の領域別売上、営業利益はスライドのとおりです。主に採用費と営業の増員を目的として、セールスアウトソーシング領域、ファクトリーアウトソーシング領域、介護領域、建設技術者領域において合計1億6,000万円の先行投資を行いました。

海外Working事業(契約形態別売上、営業利益推移)

海外Working事業に関しては、先ほどもお伝えしたように、人材紹介が低調に推移しました。また、人件費等販管費が増加しているため、営業利益が減少しています。

ポストコロナの急激な人材紹介需要が一巡し、マーケットの中で正社員雇用の需要は大きく変化しています。第2四半期はマーケットの状況を注視しながら、その結果に応じて下期に販管費をマネージして調整していきたいと考えています。

KPI進捗

KPIの進捗として、5つの重点戦略のハイライトをスライドに記載しています。建設技術者領域の年間採用人数、定着率、建設技術者領域以外の正社員派遣稼働増加人数の3つは、表の右端の評価欄に「○」と記載したとおり、順調に推移しています。

一方で、外国人雇用支援増加人数と海外の人材紹介売上比率の2つは「△」という結果になりました。

建設技術者領域の進捗

建設技術者領域の進捗です。スライド右上のグラフのとおり、採用人数は過去最高を記録しました。また、スライド左下のグラフのとおり、定着率も前四半期から上昇しています。

スライド右下のグラフのとおり、平均契約単価も順調にチャージアップすることができました。その結果、スライド左上のグラフのとおり、売上高の推移についても、順調に伸びていっています。

正社員派遣、外国人雇用管理受託の進捗

建設技術者領域以外の正社員派遣、外国人雇用管理受託の進捗です。正社員派遣の採用人数は、スライド右上のグラフのとおり、過去最高を記録しました。セールスアウトソーシング領域、ファクトリーアウトソーシング領域、ITエンジニア領域の3領域においては、いずれも過去最高の採用人数となっています。したがって、正社員派遣の稼働人数も順調に伸びています。

先ほど評価を「△」とした外国人雇用管理受託についてです。ファクトリーアウトソーシング領域と介護領域の2領域をターゲットとして展開していますが、介護領域に関しては我々のプランどおり順調に推移しています。

一方で、ファクトリーアウトソーシング領域は当初の計画を下回っている状態です。こちらに関しては、マーケットの外国人雇用管理受託のニーズが現在も旺盛な状態のため、我々自身のオペレーションを見直し改善していくことで、残りの9ヶ月間で遅れを取り戻し、計画を達成できるよう取り組んでいきます。

ブランドプロモーション

ブランドプロモーションです。実際には、2023年7月1日からブランドプロモーションを展開しているため、厳密にいえば第1四半期の取り組みではありません。しかし、せっかくの機会ですので、今回お話ししたいと思います。

採用強化を目的に、2023年7月1日から首都圏エリアを除く複数の地域で、認知度向上のためCM、SNS、さらにはWebCMによる積極的なプロモーションをスタートしました。こちらは、オウンドメディアや一般メディアにおける純粋想起と助成想起を高めることで、採用のパフォーマンスを上げていく狙いがあります。

まだ検証するタイミングではありませんが、展開している地域におけるオウンドメディアの検索数や、媒体の反響による採用数は増加傾向にあります。

2024年3月期業績見通し

続いて、2024年3月期の業績予想と配当予想です。

業績の見通しについては、第1四半期が終わった段階での進捗率は順調に推移しており、公表している業績予想に変更はありません。

次に、配当予想についてです。2024年3月期は、2023年3月期の営業利益を下回る見通しです。しかしながら、当社は株主還元方針として累進配当方針を掲げているため、今期の配当は、公表のとおり前期と同額の1株当たり44円を予定しています。

私からのご説明は以上となります。

質疑応答:2023年7月に放送開始したTVCMの反響について

「7月からTVCMを開始したそうですが、どのくらいの反響がありましたか?」というご質問です。

当社は、2023年7月1日から各地域で段階的に、大型プロモーションというかたちで、ガンバレルーヤさまにご出演いただいたTVCMの放送を開始しました。

今期は、首都圏以外のエリアで取り組んでおり、特に関西エリアに力を入れています。この関西エリアで実際にプロモーションを始めた後の各メディアの反応や、求人に対するパフォーマンスが上がってきており、今後も徐々に増加していくことを見込んでいます。

採用環境が悪化する中、当社ブランドの認知度、自社媒体での集客力アップが重要になりますので、引き続きプロモーションに取り組んでまいります。

質疑応答:建設技術者領域の定着率の進捗について

「建設技術者領域の進捗は順調とのことですが、今期の第1四半期の定着率は73パーセントで、中計の目標も73パーセントでした。この数字はもっと引き上げられるということでしょうか?」というご質問です。

我々は、定着率を中期経営計画において重要KPIに定めるなど、非常に大切なスコアだと考えています。第1四半期の採用人数は新卒社員の採用も含め四半期ベースで一番ボリュームがあり在籍者が一時的に多くなるため、定着率が0.数パーセント高くなります。

ライバル企業の場合、80パーセントの水準まで持っていくと「定着率が非常に高く、技術社員の雇用満足度も非常に高い企業」と謳うと思います。我々もその水準を長期的に目標にしています。第1四半期時点においては、我々のプランどおりの進捗となっています。

定着率73パーセントを超えるための取り組みとしては、専任のフォロー担当を置き、モチベーション、就業における課題等、個々の細かな現状のステータスを図れるようコミュニケーションの質の向上を図っています。また、定着には賃金の上昇もポイントとなってくるので、顧客への単価交渉、資格取得のキャリアアップの研修も行っています。フォローと教育に力を入れることで、高い定着率を実現していきたいと考えています。

質疑応答:海外Working事業の第2四半期以降の業績見通しについて

「海外Working事業に関しては、前期比、計画比で大きくビハインドしているように見えますが、第2四半期以降、回復の兆しはありますか? また、海外Working事業が厳しい場合、国内Working事業でカバーできる見通しがあるのでしょうか?」というご質問です。

海外Working事業については、先ほどご説明したように、特に人材紹介が厳しい状況です。前年の推移を見ると、人材紹介がかなり順調に成長しています。

また、シンガポールやオーストラリア、特にシドニーのインフレ率が非常に高いため、賃金も上昇しています。人材紹介については、優秀なキャリアコンサルタントの確保が成長のドライバーになるため、人材をつなぎ留めておくための環境整備や報酬などの人件費も加えて上げてきています。

第1四半期に関しては人材紹介は想定を下回ったものの、実際に月ごとのKPIを見ると、特にオーダー数や面接の設定数が底を打ち始めている状況です。第2四半期にどのくらい挽回できるかを注視しながら、パフォーマンスをチェックすることで判断していきたいと思います。

仮に、第2四半期も非常に厳しい結果となった場合は、海外Working事業に関してはコストコントロールを行い、そこでどうしても調整が難しければ、国内Working事業の中でも、再成長のためのコストは温存し、それ以外の部分、ヘッドクォーターのコスト部分を見直すことでコントロールしたいと考えています。

質疑応答:ファクトリー領域における新領域の案件開拓の遅れについて

「外国人雇用管理受託について、スライドに『ファクトリー領域は新領域の案件開拓に遅れ』という記載があります。具体的にはどのようなことが生じているのか教えてください。入国規制の影響等でしょうか?」というご質問です。

こちらは入国規制の影響ではなく、我々のオペレーション上の問題が要因となっています。

新中期経営計画では、初年度から一気に外国人雇用管理受託を伸ばしていこうと考えました。そのためには、オーダーの獲得が必要になりますので、営業メンバーの増員に取り組みましたが、我々の立てた計画に対し、獲得できたオーダー数が下回っている状態です。この要因は、社員の教育時間とそれに対するパフォーマンスの設計が少し甘かったことです。4月、5月は、なかなか思うようにパフォーマンスが出なかったものの、6月、7月はプランどおり、オーダーを獲得できました。

この先、経験則がしっかりと活きてくることによって、パフォーマンスはさらに伸びていくだろうと考えています。エリアの攻め方やセールスのマネジメントの仕方など、オペレーションの部分をてこ入れすることで、残りの9ヶ月間でオーダーの獲得数を計画ペースに乗せ、外国人雇用管理受託人数はクリアできる見込みです。

質疑応答:国内Working事業のセールス、コールセンター領域の苦戦要因について

「国内Working事業のセールス、コールセンター領域が苦戦した理由について、どのように見ていますか?」というご質問です。

国内Working事業のセールスアウトソーシング領域とコールセンターアウトソーシング領域が伸び悩んだ要因はそれぞれ違います。

まず、セールスアウトソーシング領域のセールスプロモーションを上期・下期で対比すると、下期によりシフトしていく傾向となっています。

また、通信において、取りたいオーダーを獲得できていないところがあります。ただしこれは、我々が競合に競り負けているということではなく、どちらかというとクライアントサイドのセールスプロモーションに対する予算の張り方によるもので、現段階ではモバイルが全体の需要としてあまり強くないといえます。

セールスプロモーションと通信に関しては、どちらも下期にしっかりと需要が出てくる見込みなので、そこを獲得していきたいと考えています。

続いて、コールセンターアウトソーシング領域についてです。昨年度までは、新型コロナウイルス関連のコールセンターとして、主に公共機関向けのコールセンター派遣が活況でした。当社はこのような行政向けの案件受注には積極的に動かず、継続して民間サイドの受注獲得に取り組んできました。

しかしながら、行政をメインにサービス提供を行っていた競合他社が、案件終了に伴い、一斉に民間のオーダー獲得に動いたため、現在、コールセンターのマーケット自体が混み合っており、薄い需要の取り合いが行われています。当社としては、今は積極的にオーダーを取りにいくよりも、再びマーケットが適正な状態に戻るのを待ちながら、コストコントロールを行っていきたいと考えています。

角氏からのご挨拶

本日の決算説明は以上とさせていただきます。我々は、引き続きさらなる成長を目指していきます。今後もぜひともよろしくお願いします。本日はご参加いただき、誠にありがとうございました。