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石田晃太氏:石田でございます。よろしくお願いいたします。それでは、2022年度決算説明をさせていただきます。本日は、2022年度の決算概要、当社の事業紹介、2023年度からの経営計画の順でご説明します。

FY2022 決算サマリ

2022年度の決算サマリです。売上高は前年同期比8.1パーセント増の29億8,600万円で、4期連続増収となりました。営業利益・経常利益・当期純利益についても4期連続の増益となっています。

営業利益は、製品のクラウド化や新事業の研究開発など、積極的な製品の研究開発と再投資を行っているため、微増レベルに留まっています。経常利益については外貨調達による為替評価益により上昇しています。

FY2022 経営成績

経営成績についてご説明します。売上高は前期比8.1パーセント増の29億8,600万円、営業利益は前期の2億6,000万円から1.2パーセント増の2億6,300万円、EBITDAは前期の3億3,200万円から10.5パーセント増の3億6,700万円、経常利益は前期の2億6,000万円から16パーセント増の3億100万円となりました。当期純利益は前期の1億8,300万円から25パーセント増の2億2,900万円で、EPSは10パーセント以上上昇しています。

FY2022 営業利益 増減要因

営業利益の増減要因です。売上増により収益は向上しました。一方で、これからの新しい展開として「ALog」というセキュリティ製品のクラウド化に伴う積極的な研究開発をはじめ、教育事業やセキュリティの監視サービス事業等の新事業への投資を行っているため、それらが成長利益を相殺し、最終的には2021年度の営業利益とほぼ同額になっています。

2023年度から中期経営計画を始めていますが、今回の投資は、大型の投資を含めて大幅に成長していくための戦略的な中期経営計画の実行前の一過的な施策です。

FY2019-22 営業利益の推移

営業利益の推移です。2022年度上期は円安による仕入価格の高騰の影響があり、営業利益が若干弱く出ています。下期は販売価格に転嫁し、最終的に回復しました。営業利益累計は前年同期を上回っています。

FY2020-22 販管費の推移

販売費および一般管理費の推移です。第4四半期に研究開発から正式製品化に着手したため、研究開発費が減少しています。それ以外についてはほぼ例年どおりで、順調に研究開発や販売費等に投資しています。

FY2022 貸借対照表

貸借対照表はご覧のとおりです。2021年12月期から現金が多少減っているのは自社株の購入と流動資産によるものです。流動資産については、昨今ネットワーク機器の販売が非常に順調で、その仕入調達をかなり前倒しで行っている関係で増えています。

FY2022 セグメントサマリー

2022年度のセグメント別サマリーです。データセキュリティ事業は前年同期比で増収減益となっています。具体的には、新事業への人材投資や新しい製品の研究開発を積極的に行ったため、セグメント利益が若干減少しています。

ネットワークセキュリティ事業は前年同期比で増収増益です。こちらはSaaSのサブスクリプションのストックモデルで、粗利益率も順調に伸長しています。セグメント利益は前年同期比22.9パーセント増の3億6,900万円です。

データセキュリティ事業

データセキュリティ事業における売上高の四半期推移です。順調に増加していますが、まだ成長率は低く、2023年度からの中期経営計画で一気にモデルチェンジして成長性を高めることを考えています。

ネットワークセキュリティ事業

ネットワークセキュリティ事業における売上高の四半期推移は順調で、通期ストックも24.7パーセント伸長しています。ネットワークの装置につながる末端接続端末の台数が140万台を超えており、かなり大きなボリュームでお客さまに供給できている状況です。

株式会社網屋

当社の事業をご紹介します。当社は株式会社網屋といい、事業内容はサイバーセキュリティ製品/サービスの開発・製造・販売です。

当社概要 と 売上高推移

当社は「サイバーセキュリティ製品/サービスを開発・製造・販売するセキュリティベンダ」で、自社製品の開発とサービスを提供できるサービスメーカーです。特徴としては、売上の60パーセントがストックモデルとなっており、これを中期戦略の中で8割程度に高めていく予定です。

昨今、国家間で非常にいろいろな攻撃が行われており、当社のコア事業であるサイバーセキュリティの産業は、今後も継続的に需要が高まると言われています。当社は自社メーカーならではの高利益と、その再投資による高い成長持続性があります。現時点でCAGRは10パーセント程度ですが、これからの3ヶ年計画では20パーセントから30パーセントを上回る大きな成長を遂げる準備をしています。

当社のミッションと存在価値

当社のミッションと存在価値をご説明します。当社は「SECURE THE SUCCESS」をミッションに掲げています。

資金力がある大手のみにセキュリティが強化されている現状があり、これは非常に難しい問題です。セキュリティの事件や事故、侵入、攻撃はどの会社でも起きるため、中小や中堅、準大手企業でもセキュリティは必要です。セキュリティを自動化することで、誰もが同じようなセキュリティを享受できるようなソリューションを作り、社会に貢献することが当社のミッションです。

当社はプロダクトサービスを製造でき、ワンストップで企画から販売まで提供できるベンダであり、セキュリティネットワークを提供できるサイバーセキュリティ集団です。

事業の紹介 データセキュリティ

現在の主力製品は「ALogシリーズ」というログを取る製品です。あらゆるITシステムには履歴が必要で、集められたログは、車のドライブレコーダーのようにいろいろな事件・事故の調査、履歴保全、サイバー攻撃の監視・検知などさまざまな目的で使われます。

事業の紹介 データセキュリティ

「ALogシリーズ」の大きな特徴として、あらゆるものから、あらゆる出方をするたくさんのログを一元的に集約し、統一フォーマットに変換してAIなどのデータセットに使う自動変換特許技術があります。こちらは、ログの集計・監視・AIの分析までを一連のつながりで自動化するものです。

事業の紹介 データセキュリティ

ログと言われても、なかなか認知や認識がないかと思いますが、実はスライド左側に記載のとおり、経済産業省や日本自動車工業会など多くの公共機関から指定があります。アクセスログや通信ログからサイバー攻撃を検知する仕組みを構築することが要件として定義されています。

また、スライド右側に記載のとおり、当社は高い市場占有力を持っています。特に大手企業に対して5,000契約以上の高いシェアを持ち、この業界のスタンダード的存在になっています。

事業の紹介 ネットワークセキュリティ

ネットワークセキュリティ事業のご紹介です。いわゆる「ICT通信インフラ」と呼ばれる企業LAN/WANをデジタルトランスフォーメーション化したサービスを供給しています。

簡単に言いますと、SaaSのクラウドセンターがインターネット上にあり、サーバやパソコン等あらゆるITシステムの間にいろいろなネットワーク通信機器があります。これらの通信機器をすべてクラウド上からリモートコントロールして制御することができる、新しい分野のソリューションです。

これにより、人を介さずに通信インフラを提供できるようになるため、今までの人材不足に適応したデジタルトランスフォーメーションが可能になります。

事業の紹介 ネットワークセキュリティ

実際のお客さまのモデルをご説明します。スライド左側に記載の熊谷組では、サテライトで工事現場を建てるにあたり、工事現場ごとに当社がルーターや無線Wi-Fi等を設置するまでもなく、託送してクラウド上からインターネットを経由してすべての設定、導入を行いました。

エンジニアを現地にまったく派遣せずに、すべてのネットワークを疎通させることが可能なモデルとなります。

社会背景と当社事業

続いて、経営計画についてです。

まずは社会背景をご説明します。一番重要な点としては、やはり人口減少によるエンジニアの減少です。それに伴い、セキュリティに対応できるエンジニアもさらにいなくなり、枯渇しています。しかし、サイバー攻撃は今後もさらに増加していくという状況にあります。

この問題を解決するためには、クラウドへの移行やAIの活用などのソリューションの対応、サイバーセキュリティへの十分な知識の向上、さらにそのようなリソースの供給が必要になってきます。

当社は今まで製品メーカーでしたが、今後3年から10年の間に自社製品の強みを活かしてサイバーセキュリティの総合プロバイダになることが、我々の目的、すなわちたどり着くゴールだと考えています。

企業が取組むべきセキュリティ

通常、お客さまである一般的な企業がセキュリティ対策をする場合、「自社環境はどこが脆弱か」「どのように社員やIT部門に対して教育や意識付けをしていくのか」など、行うべきタスクがたくさんあります。加えて、サイバー攻撃に対し、自分たちがリテラシーを高めて防衛していかなければならないという問題もあります。

当社は、部分的なセキュリティの提供から総合的なセキュリティを供給するソリューションカンパニーになっていこうと考えています。すでにいくつかのピースについては提供しているサービスですが、今後はサイバーセキュリティサービスや教育事業も含めて、お客さまが課題としている全体のサイバーセキュリティ課題に対応していくモデルを作ろうとしています。

3か年で達成する事業構図

既存のデータセキュリティ事業やネットワークセキュリティ事業だけではなく、今お話しした攻撃検知や脆弱性診断などのセキュリティサービス事業、セキュリティ人材トレーニング等の養成も含めて複合的に事業を行い、M&Aも検討しながら、国内最大のサイバーセキュリティプロバイダになっていこうと考えています。

競合企業と市場規模

競合企業については、各業界においてそれぞれの雄がいらっしゃいますので、イメージとしてスライドに記載しています。

新事業① 既存製品のクラウド化 - その1 データセキュリティ

大きな転換期としては「ALogシリーズ」のサブスク化およびクラウド化です。こちらは今までにかなりの研究開発費を投じてきましたが、今年度の2月末日をもって、正式にクラウド版モデル「ALog Cloud」をリリースします。これにより、クラウド対応されたSaaSになるだけでなく、販売モデルもまったく違うものになります。

従来はソフトウェアやライセンスを販売し、次年度以降にいただく保守料金やメンテナンスフィーをもとに新しい開発につなげるモデルでした。しかし、今後はサブスクリプションでクラウドの利用料をいただく新しいモデルとなります。

また、クラウドにデータを集めた段階で我々がそのログをマネージドすることも可能になり、そのサービスフィーも含めて、次年度以降は単金が向上していきます。

新事業① 既存製品のクラウド化 - その2 データセキュリティ

販売顧客層も変わってきています。当社が従来提供していた「ALog」という製品は、お客さまがほぼ日本の大手企業に限られてきました。なぜかと言いますと、製品に自力で対応、導入、運用できるスキルを持っている企業が大手に限られているからです。

しかし、セキュリティ対策は、準大手、中堅、中小企業を含め、喫緊の問題で、誰も逃れることができません。特に、請負事業やサプライヤーを含め「取引先からの指示でやらなくてはならない」というミッションがかなり増えています。

そのような意味でも「ALog Cloud」は基本的にSaaSで出来上がっているため、サーバやハードウェアの調達、インストール作業などを必要としません。また、すべての運用を前提の上に我々が代行して提供できるサービスも付きますので、提供するレイヤーがかなり拡大できると考えています。

新事業① 既存製品のクラウド化 - その3 データセキュリティ

細かい部分は割愛しますが、従来のフロー販売およびストック販売モデルから大きく切り替え、ライセンス販売は一定のタイミングで終了します。

今後は、ストックモデルとして「ALog」のクラウド版とオンプレ版を両方提供する予定で、クラウド版は2023年2月もしくは3月のはじめからサブスクリプションを開始します。オンプレ版のライセンス販売も年度の後半にサブスクリプション化しますので、今後はまったく新しいモデルに変わっていきます。

新事業 ① セキュリティサービス データセキュリティ

セキュリティサービス事業についてご説明します。

すでに2022年度から始めていますが、引き合いもかなり多く非常に有望で、需要の高いサービスとなっています。我々の強みである「データを集める」ことを活かして、サイバー攻撃や内部不正の監視について、AIを含め我々が代行しご提供するサービスです。

有事のトラブルの対応やサイバー保険の加入なども含め、お客さまのすべてのセキュリティ運用を低価格でリモート提供するというソリューションをサービスモデルとして、重点的に事業化していきます。

新事業 ② 教育/トレーニング事業 データセキュリティ

2023年度から、教育/トレーニング事業を開始します。一般の社員や経営者の方々だけではなく、顧客の中でも十分な攻撃に対応できるようになるためにセキュリティエンジニアを養成するというものです。

日本ではこのような機関がまだ少ないため、我々が名乗りを上げ、教育をしながらお客さまがセキュリティエンジニアを育てるための支援を始めます。

新事業 ③ ゼロトラスト ネットワークセキュリティ

ネットワークセキュリティ事業についてご説明します。簡単に申し上げますと、昨今話題の「ゼロトラスト」というもので、従来のネットワークは、会社のシステムに一度アクセスすることで、安定かつ安心したセキュリティ通信を行っていました。

今後は、テレワークを含め、いつでも、どこでも、どのような場面でも、必ず安全な状態でインターネットを使えるようにしたいと考えています。そのために、パソコンの中にエージェントを入れて、危険なインターネット通信を自動的に抑止する「ゼロトラスト」という仕組みについて、現在、日本でも数少ない開発メーカーとして当社が構築しています。

すでに一部分は「Network All Cloud」サービスで提供していますが、さらなる研究開発を行い、新しい製品の「ゼロトラスト」をさらにアップセルで供給していくモデルになります。

FY2023 業績予想

2023年度の業績予想です。売上高は33億円、営業利益は2億8,000万円、経常利益は3億2,500万円、当期純利益は2億3,400万円を予定しています。こちらは「ジャンプする前のかがむタイミング」であり、戦略的な3ヶ年の中期経営計画に向けた初年度の対応になります。3ヶ年、5ヶ年の中で、20パーセント、30パーセントの成長を超える大きなビジネスモデルの大転換を図っていきます。

中期経営計画は、別のタイミングで開示する予定ですので、どうぞよろしくお願いします。私からのご説明は以上です。

石田氏からのご挨拶

当社は上場したてで、売上も上昇レベルもまだ小さいのですが、この3ヶ年の中で、かなり本格的な投資戦略を推進し、大きな成長を遂げてまいりますので、ぜひご支援のほどよろしくお願い申し上げます。